以下、本発明の炊飯器に係る好ましい一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
先ず、図1に基づき、例えばキッチン台や床面などに載置される炊飯器本体100の構成を説明すると、1は米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の内釜である。この内釜1は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体2が外面の側面下部から底部にかけて接合してある。炊飯器本体100の外郭をなす胴体3は、その上部と上側面部を構成する上枠4と、側底面部を構成する外枠5とを主な構成要素とする。その際、上枠4や外枠5は、PPやABSポリカなどの合成樹脂で形成されている。
胴体3の中央部には、凹状の内釜収容部6が形成されており、内釜収容部6の外周囲には後述する加熱コイル14を除いて、加熱手段を設けない構成としている。内釜収容部6の上端にはコードヒータ7を備えてあり、コードヒータ7は熱伝導がよいアルミ板などの金属板部8で覆われている。これらのコードヒータ7と金属板部8は、発熱手段としてのフランジヒータ9を構成している。
フランジヒータ9には、内釜1の略中央部から外周方向全周に延出させた内釜リング部11の下面が載置し、内釜1が吊られた状態で内釜収容部6に収容される。フランジヒータ9は、炊飯時と保温時に内釜リング部11および内釜1の側面を加熱すると共に、蓋体12と胴体3との隙間及び内釜1と内釜収容部6との隙間に金属板部8から熱放射して、内釜1の冷えを抑制し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面へ結露するのを防止する構成となっている。
内釜収容部6の底部外面の、発熱体2に対向する内釜収容部6の側面下部と底部には、内釜1を電誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル14が配置される。また、内釜1の底部外面にはサーミスタ式の内釜温度センサ15が当接し、これが内釜1の底部温度を検知して、加熱コイル14による内釜1の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
そして炊飯時と保温時には、内釜1を加熱手段で加熱するが、保温時は、内釜1の外底面に接触させた内釜温度センサ15の検出温度に応じて、加熱手段となる加熱コイル14を加熱調節し、内釜1を一定温度に保持する。また炊飯後、内釜1内のご飯の温度が保温温度に低下するまで(約100℃→約73℃)、及び保温安定時(約73℃)に、発熱手段となるコードヒータ7を発熱させ、蓋体12と胴体3との隙間に金属板部8から熱放射して、その隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、内釜1を加熱する。さらに保温時に、内釜1内のご飯を再加熱するあつあつ再加熱を実行している期間にも内釜1を加熱し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面へ結露するのを防止する構成になっている。
12は、胴体3の上部に回動可能に設けられ、胴体3と共に炊飯器本体100の外郭をなす蓋体である。内釜1の上方開口部を覆う蓋体12には、蓋体12の特に後述する内蓋36の温度を検知するサーミスタ式の蓋温度センサ16と、コードヒータなどの蓋加熱手段17が備えてあり、主に蓋加熱手段17による内蓋36の温度管理を行なうようになっている。また、内釜リング部11の上方にあって、内釜1の外側面に対向する蓋体12の内側面部には、蓋加熱手段17とは別のコードヒータ18が備えられている。コードヒータ18は、ステンレスやアルミニウムなどの金属板からなる内蓋リング19にアルミ箔テープなどにより固定され、これらのコードヒータ18と内蓋リング19とにより、蓋側面加熱手段としての内蓋リングヒータ20を構成している。
21は、炊飯時と保温時に内釜温度センサ15と蓋温度センサ16の温度検知にて、内釜1の底面、下部側面、及び上部側面への加熱と、蓋体12の下面及び側面への加熱を、それぞれ温度制御して行なうための加熱制御手段である。加熱制御手段21は、内釜温度センサ15や蓋温度センサ16からの検知信号を受信し、加熱手段たる加熱コイル14、フランジヒータ9、内蓋リングヒータ20、及び蓋加熱手段17の各動作を調節するもので、後述する制御部71の一部を構成する。
蓋体12の上面部前方には、表示操作ユニット23が設けられる。表示操作ユニット23は、時間や選択した炊飯コ-スを表示するLCD24や、現在の行程を表示するLED25の他に、炊飯を開始させたり、炊飯コ-スを選択させたりするスイッチ26を、蓋体12の内部に装備した基板27の上部に配置して構成される。表示操作ユニット23の上方には、ボタン名を表示したりするために操作パネル29が配置される。この操作パネル29は、電子部品であるLCD24や、LED25や、スイッチ26や、基板27に、ほこりや水が付着することも防止している。また、基板27上に配置される押動式のスイッチ26とは別に、操作パネル29にも非押動式のスイッチ26による操作部が設けられており、LCD24の表示に合わせて、直接タッチ操作することが可能となっている。
本実施形態では、スイッチ26への操作により炊飯開始を指示すると、内釜1内の米に対する吸水を促進させるために、内釜温度センサ15による内釜1の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル14とコードヒータ7で内釜1の底部と側面部をそれぞれ加熱し、水温を約45~60℃に所定時間保持するひたし炊きが行われる。その後、加熱コイル14からの加熱量を増やして内釜1を強加熱し、内釜1内の被炊飯物を沸騰まで加熱する。この沸騰加熱時に、内釜温度センサ15や蓋温度センサ16からの検知温度に基づいて、内釜1の底部温度が所定温度以上になり、内蓋36の温度が所定温度以上で安定(温度上昇率検知)したら沸騰を検知し、加熱量を低減した沸騰継続加熱にする。この沸騰検知において、内釜温度センサ15と蓋温度センサ16とにより、内釜1の底部および蓋体12がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に内釜1の内部が沸騰したことを精度よく検知可能になる。
また、内釜1の底部と蓋体12のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない温度になったら異常と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。また、内釜1の底部と蓋体12のいずれかが90℃以上になって所定時間経過(例えば5分)しているのに、それ以外の内釜1の底部と蓋体12のいずれかが90℃未満の低い温度の場合、内釜温度センサ15と蓋温度センサ16のいずれかが何らかの理由で温度検知精度が悪化している(汚れ、傾き、接触不良など)と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。
沸騰継続になると、蓋加熱手段17や内蓋リングヒータ20で蓋体12の特に内蓋36への加熱を開始する。蓋体12の加熱は、蓋体12の温度が100~110℃になるように、蓋温度センサ16の検知温度により管理される。また、内釜1の底部が所定の温度上昇になったら、内釜1内の被炊飯物に水が無くなったドライアップを検知し、むらしに以降する。むらし中は蓋体12の温度管理にて、内釜1の上部内面へのつゆ付き防止し、内釜1の底部の温度は、ご飯が焦げない程度に高温を保持(98~100℃)するように温度管理する。そして、所定時間のむらしが終了して、被炊飯物がご飯に炊き上がったら、保温に移行する。
保温では、加熱コイル14にて内釜1の底部と側面下部を加熱しながら、蓋加熱手段17にて蓋体12の下面となる内蓋36をご飯の温度よりわずかに高く加熱し、さらに内釜1の側面をフランジヒータ9と内蓋リングヒータ20でご飯が乾燥せず、かつ、つゆが多量に付着しないように温度管理する。内釜1内のご飯は、70~76℃に温度保持するが、保温時も2つのセンサが相互に異常に高かったり、低かったりした場合は異常を検知し、異常加熱を防止する。以上の動作を、加熱制御手段21が行うように構成される。
上枠4の後方には、蓋体12と連結するヒンジ部31が設けられる。このヒンジ部31には、ねじりコイルバネ等で形成したヒンジバネ(図示せず)が収納される。蓋体12の前方上面には、蓋開ボタン32が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン32を押すと、蓋体12と胴体3との係合が解除され、ヒンジ部31を回動中心として蓋体12が自動的に開く構成となっている。
蓋体12は、外観部品となる外蓋33と、外蓋33の下方を形成する外蓋カバー34から構成される。外蓋カバー34にはステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板35を設け、放熱板35には蓋加熱手段17を設けてある。蓋加熱手段17はコードヒータなどの電熱式ヒータでも、電磁誘導加熱式コイルでもよい。放熱板35の外側には、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の内蓋36を設ける。蓋体12の下面を形成する内蓋36の外側には、内釜1と内蓋36の隙間を塞ぐシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなりシール部材となる蓋パッキン37が備えてあり、蓋パッキン37は内釜1の上面に当接している。内蓋36と蓋パッキン37はパッキンベース38で一体化され、これらの内蓋組立ユニット39が外蓋カバー34の内面に着脱可能に備えられる。
ヒンジ部31には、胴体3と蓋体12とを開閉自在に軸支するヒンジシャフト41が設けられる。前述のヒンジバネは外蓋カバー34に引掛けられ、蓋体12を常時開方向へ付勢している。蓋体12の回動中心となるヒンジシャフト41の略反対側には、蓋開ボタン32に連動するクランプ42が配置される。クランプ42はクランプシャフト43で外蓋カバー34に軸支され、上枠4のヒンジ部31と略反対側には、クランプ42と係合するクランプ受け(図示せず)が設けられる。
蓋体12に設けたクランプ42は、クランプシャフト43を中心軸として回転し、胴体3に設けたクランプ受けと係合する。このクランプ42とクランプ受けとの係合により、胴体3と蓋体12は閉状態を保持している。反対に、蓋体12を開く場合には、蓋開ボタン32を押動操作してクランプ42を逆方向に回転させ、クランプ42とクランプ受けとの係合を解除する。
内蓋組立ユニット39には、炊飯器本体100の内部に形成された内部空間44の圧力を調整する調圧部45が配設される。調圧部45は、調圧弁46と調圧弁ホルダー47と調圧弁カバー48とにより主に構成される。調圧弁46は、耐食性に優れた材料である程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で構成される。ここでいう内部空間44とは、胴体3に対して蓋体12を閉じたときに、内釜1の内面と内蓋組立ユニット39の下面とにより囲まれた、被炊飯物を収容するための空間である。
調圧弁46は、調圧弁ホルダー47で保持される。調圧弁ホルダー47には、調圧弁46の下方に位置して、炊飯器本体100の内部空間44と蓋体12の外部とを連通する調圧孔49を設けてある。つまり、内釜1内の内部空間44で被炊飯物から発生する蒸気は、この調圧孔49を通過すると外気へ放出されることになる。調圧弁46は調圧孔49を塞ぐように保持されており、調圧孔49の開口面積と調圧弁46の重量により、内部空間44の圧力を調整することができる。
調圧弁ホルダー47で調圧弁46を保持し、それらの上方から調圧弁カバー48を被せる。調圧弁ホルダー47を内蓋36に差込み、内蓋36の下側に突出した調圧弁ホルダー47の取付け部を、調圧弁ホルダー支持部材50で保持することにより、内蓋36に装着された調圧部45を構成する。調圧弁カバー48は、調圧弁46の移動範囲を規制するためのもので、調圧孔49から放出する蒸気を、蓋体12の上部に設けた蒸気口51に導く複数の孔が設けられている。
外蓋カバー34には、ソレノイド54を駆動源として可動するフレーム55と調圧パッキン56がそれぞれ配設される。フレーム55は常時、調圧弁46を押して調圧孔49を開放する位置にあり、内釜1内の内部空間44を非加圧状態としている。この時のフレーム55の位置を、第1のフレーム位置とする。こうすることで、蓋体12の開閉時は、内部空間44の負圧の影響を受けることなくスムーズな動作を得られる。なお、フレーム55の調圧弁46を操作する突出した部分を、調圧弁操作部57とし、フレーム55の調圧弁操作部57の略反対側には、クランプ動作規制部58を設けておく。第1のフレーム位置では、クランプ42の回動を規制しない位置にクランプ動作規制部58が移動する。
被炊飯物への炊飯を開始すると、フレーム55は第1のフレーム位置から第2のフレーム位置へ移動する。この時、フレーム55の調圧弁操作部57は調圧弁46から離れて、調圧弁46への押しを解除し、それにより調圧弁46は調圧孔49を閉塞する。また、フレーム55のクランプ動作規制部58はクランプ42の下方に潜り込む。フレーム55は下方に潜り込まなくても、クランプ42の動作を規制する位置や形状であれば構わない。こうすることで、第2のフレーム位置ではクランプ42の回動が規制され、蓋開ボタン32を押動操作しようとしても、クランプ42とクランプ受けとの係合がロックされるので、蓋体12が開かないようになる。
蓋体12の上面後方部には、炊飯時に内釜1内で発生した蒸気を機外へ排出する蒸気口51が設けられる。炊飯時に内釜1内の内部空間44で被炊飯物から発生する蒸気は、調圧孔49が開放した状態で内蓋36の調圧部45から排出され、蓋体12の内部で外蓋カバー34に設けられた蒸気通路59を通って、蒸気口51から機外へ排出する構成となっている。蒸気口51は、蓋体12から着脱可能に構成される。
外蓋33に設けられた表示操作ユニット23は、LCD24やLED25からなる表示部61と、スイッチ26からなる操作部62とを備えている。表示部61となるLCD24は外蓋33の略中央に配置され、LCD24の表面となる上面には、LCD24に表示される表示要素64を選択することで、炊飯コースや時刻設定などを指先やペン先のタッチ操作で行なうタッチセンサ65が配置される。タッチセンサ65はLCD24などの電子部品を実装する基板27に接続されることで、非押動型の操作部62であるタッチキーとして機能する。
表示部61上のタッチセンサ65で行なう操作内容は、各種炊飯コースの選択、設定や、時刻及び予約時間の設定などとし、切状態から炊飯の開始を指示するのに操作されるスタートキー66Aや、保温や予約を取り消して切状態にするのに操作される切キー66Bなどは具備せず、表示部61以外の箇所に、タッチでは操作することができないタクトスイッチによる押動型の操作部62を設置している。
また、炊飯や保温、予約などの行程を表示するのに、LED25を点灯させる押動型の操作部62として、スタートキー66A以外に、切状態から保温を開始したり、保温時に被炊飯物を再加熱したりするのに操作される保温キー66Cや、予約時刻に被炊飯物を炊き上げるのに操作される予約キー66Dなどが、表示部61以外の箇所に設置される。その他、短時間で被炊飯物を炊き上げる早い炊き上がりの炊飯コースを選択する場合に操作されるそくうまキー66Eも、表示部61以外の箇所に設置される。押動型の操作部62は、点灯したLED25で照明されるスタートキー66Aや、保温キー66Cや、予約キー66Dの他に、LED25で照明されない切キー66Bや、そくうまキー66Eにより構成され、前述した非押動型の操作部62と併せて、表示操作ユニット23のスイッチ26が構成される。
操作部62は蓋体12の上面前側に配置され、意匠やエンボス加工された操作シート67には、各キー66に対応してキー66の名称などを印刷すると共に、LCD24が配置される表示部61上には意匠の印刷が無い透明窓部68を形成している。この透明窓部68の下方にタッチセンサ65を配置し、LCD24に表示された炊飯コースなどの表示要素64上で、非押動型の操作部62となるタッチセンサ65に触れることで、タッチキーとしての操作を可能にしている。なお、上述の表示部61や操作部62を含む表示操作ユニット23は、蓋体12の上面にではなく、胴体3の前面に設ける構成としてもよい。
次に、上述の炊飯器本体100を含む炊飯器ユニットの電気的構成について、図4を参照して説明する。
先ず、実質的な炊飯器となる炊飯器本体100の電気的構成から説明すると、71は炊飯器本体100の内部に組み込まれ、マイクロコンピュータや各部の駆動素子などを含んで構成される制御部である。制御部71の入力ポートには、タッチセンサ65やキー66を含む操作部62と、内釜温度検知手段としての内釜温度センサ15と、蓋温度検知手段としての蓋温度センサ16と、有線や無線の通信手段72を介して、使用者が保有する情報端末73との送受信を可能にする送受信手段74が、それぞれ電気的に接続される。また、制御部71の出力ポートには、LCD24やLED25を含む表示部61と、被炊飯物の加熱手段となる加熱コイル14やコードヒータ7,18や蓋加熱手段17と、ソレノイド54と、送受信手段74と、報知部となるブザー75が、それぞれ電気的に接続される。制御部71には、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリなどの記憶手段76が組み込まれる。
遠隔操作体となる情報端末73は、炊飯器本体100とは別体の例えばスマートフォンやタブレット端末により構成され、炊飯器本体100の表示操作ユニット23と同様に、LCDなどの画面表示を可能にする表示部77や、表示部77の表面に設けられたタッチセンサによる操作部78などを主に備えている。情報端末73と炊飯器本体100は、通信手段72により直接送受信できる構成としてもよいし、情報端末73と炊飯器本体100の送受信手段74を何れも通信手段72となるネットワークに接続し、そのネットワークに同じく接続する管理サーバ(図示せず)を介して、お互いが送受信できる構成としてもよい。
制御部71は、操作部62からの操作信号と、内釜温度センサ15や蓋温度センサ16からの検知信号を受けて、内蔵する計時手段(図示せず)からの計時に基づく所定のタイミングで、表示部61と、加熱コイル14と、コードヒータ7,18と、蓋加熱手段17と、ソレノイド54と、ブザー75に、制御信号を各々出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての前記記憶手段76に記録したプログラムを、制御部71が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、炊飯時に内釜1内の被炊飯物である米や水を炊飯加熱してご飯に炊き上げる炊飯制御手段81と、保温時に内釜1内の被炊飯物であるご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段82と、操作部62からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め設定された予約時刻に内釜1内の被炊飯物をご飯に炊き上げるように、炊飯制御手段81を制御する予約炊飯制御手段83として、制御部71を機能させるプログラムを備えている。
炊飯制御手段81は、炊飯開始指示手段となるスタートキー66Aからの炊飯開始の指示を受けて、内釜1に投入した被炊飯物の中で米の吸水を促進させるひたしと、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰加熱と、被炊飯物の沸騰状態を継続させて、水の無いドライアップ状態にする沸騰継続と、ドライアップ状態になった被炊飯物を焦がさない程度の高温に維持して、ご飯に炊き上げるむらしの各行程を順に実行して、内部空間44に収容される被炊飯物を所望の圧力で炊飯加熱するものである。特に本実施形態では、炊飯器本体100で炊飯加熱が可能な全ての炊飯コースについて、表示部61や、加熱コイル14や、コードヒータ7,18や、蓋加熱手段17や、ソレノイド54や、ブザー75を、各々どのように動作させるのかという制御パターンが記憶手段76に予め記憶保持されており、そくうまキー66Eやタッチパネル65への操作により、複数の炊飯コースの中からユーザが所望する任意の炊飯コースが選択した後に、スタートキー66Aへの操作により炊飯開始が指示されると、その選択された炊飯コースの制御パターンを、炊飯制御手段81が記憶手段76から読み出して、表示部61や、加熱コイル14や、コードヒータ7,18や、蓋加熱手段17や、ソレノイド54や、ブザー75を適切に制御することにより、内釜1に入れられた被炊飯物への炊飯動作を行ないながら、表示部61からの表示やブザー75からの報知を行なう構成となっている。
保温制御手段82は、内釜1内のご飯を所定の保温温度に保つように制御するもので、選択した炊飯コースに拘わらず、炊飯制御手段81による被炊飯物への炊飯加熱が終了すると、自動的に保温制御手段82による保温が行われる構成となっている。また保温制御手段82は、保温中に保温キー66Cが操作されると、内釜1内のご飯が保温温度よりも一時的に高くなるように、加熱コイル14の動作を制御するあつあつ熱々再加熱の機能を有する。さらに、炊飯器本体100に電源を投入した直後の切状態で、保温キー66Cが操作された場合にも、保温制御手段82により内釜1に入れられた被炊飯物を保温できるようになっている。
予約炊飯制御手段83はタイマー機能を備え、操作部62への操作により、炊飯終了時刻に相当する予約時刻を設定して炊飯開始を指示すると、タイマー機能により設定された予約時刻にご飯が炊き上がるように、予約時刻の所定時間前になると、炊飯制御手段81により炊飯を自動的に開始させ、予約時刻には被炊飯物がご飯に炊き上がって、炊飯が終了するように制御するものである。本実施形態では、制御部71に内蔵する計時手段が現在時刻をカウントして、現在時刻が設定された予約時刻に達したときに炊飯が終了するように、予約炊飯制御手段83が炊飯制御手段81による炊飯加熱の動作を制御するが、操作部62への操作により炊飯開始を指示したときに、現在時刻から設定された予約時刻までの間の予約時間が、予め選択された炊飯コースに応じた予約可能時間(例えば60分~65分)よりも短い場合には、炊飯制御手段81が設定された予約時刻を受け付けずに、直ちに炊飯加熱の動作を開始する。つまり予約炊飯制御手段83は、現在時刻から設定された予約時刻までの間の予約時間が、炊飯コースに応じて予め設定された予約可能時間以上である場合にのみ、炊飯制御手段81により予約時間後(つまり予約時刻)に、被炊飯物をご飯に炊き上げる構成となっている。
なお本実施形態では、タッチセンサ65と予約キー66Dへの操作により、ユーザが任意の予約時刻を設定できるようになっているが、現在時刻をカウントする計時手段が制御部71に組み込まれていない場合は、操作部62への操作により、炊飯開始を指示してから何時何分後にご飯を炊き上げるのかという予約時間を設定できるように、予約炊飯制御手段83を構成してもよい。
次に、図5と図6を参照して、上述したLCD24の特徴を説明する。LCD24は、透明なガラス板(図示せず)印刷された電極となる表示要素64に電流を流し、ガラス板で封止された液晶(図示せず)に電圧を印加して、その表示要素64を黒色に点灯表示させることで、液晶表示装置として機能している。本実施形態のLCD24は、表示要素64を印刷した基板となるガラス板を複数重ねた多層LCDを使用することで、表示要素64の使用数を確保している。図5は、LCD24の1層目のガラス基板における全ての表示要素64を示しており、図6は、2層目のガラス基板における全ての表示要素64を示している。
図5に示す1層目のガラス板には、時刻/時間表示用の表示要素64Aと、時刻/時間調整用の表示要素64Bと、炊飯コース選択用の表示要素64Cが、主な表示要素64として配置される。時刻/時間調整用の表示要素64Bは、時刻/時間表示用の表示要素64Aの左右に、「戻る」の表示要素64B1と、「進む」の表示要素64B2と、をそれぞれ配置して構成される。炊飯コース選択用の表示要素64Cは、LCD24の画面上部に米の種類として、「白米」の表示要素64C1と、「エコ炊飯」の表示要素64C2と、「玄米」の表示要素64C3と、「麦ご飯」の表示要素64C4と、「雑穀米」の表示要素64C5と、をそれぞれ横方向に並べて配置し、LCD24の画面下部に炊き方として、「かまど名人」の表示要素64C6と、「ねらい炊き」の表示要素64C7と、「甘み炊き」の表示要素64C8と、「お弁当」の表示要素64C9と、「白米混合」の表示要素64C10と、をそれぞれ横方向に並べて配置して構成される。
図5に示す2層目のガラス板には、1層目のガラス板に引き続いて、炊飯コース選択用の表示要素64Cと、炊き分け選択用の表示要素64Dと、炊き分け表示用の表示要素64Eが、主な表示要素64として配置される。炊飯コース選択用の表示要素64Cは、1層目のガラス板に引き続いて、LCD24の画面下部に炊き方として、「少量」の表示要素64C11と、「炊込み」の表示要素64C12と、「おかゆ」の表示要素64C13と、をそれぞれ横方向に並べて配置して構成される。炊き分け選択用の表示要素64Dは、LCD24の画面下部に、左側へ頂点が向く三角形の表示要素64D1と、右側へ頂点が向く三角形の表示要素64D2と、をそれぞれ横方向に並べて配置して構成される。炊き分け表示用の表示要素64Eは、炊き上がりの食感を表現する言葉として、「かため」の表示要素64E1と、「しゃっきり」の表示要素64E2と、「おすすめ」の表示要素64E3と、「もちもち」の表示要素64E4と、「やわらか」の表示要素64E5と、を横方向に並べて配置し、それらの表示要素64E1~64E5の下側に、複数のスポット状の表示要素64E6を横方向に並べて配置して構成される。
上述した表示要素64の中で、時刻/時間調整用の表示要素64Bに重なるタッチパネル65の部位をタッチ操作すると、時刻/時間表示用の表示要素64Aに表示される設定時刻や設定時間を増減させて、任意の設定時刻や設定時間を選択することができる。つまり、LCD24に時刻/時間調整用の表示要素64Bが表示される場合には、その表示要素64Bに重なるタッチパネル65の部位が、設定時刻や設定時間を選択可能にする時刻/時間選択手段85となる。こうした記憶時刻や記憶時間は、記憶手段76に記憶保持されており、制御部71により必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。また、炊飯コース選択用の表示要素64Cに重なるタッチパネル65の部位をタッチ操作すると、炊飯器本体100で炊飯加熱が可能な複数の炊飯コースの中から、ユーザが所望する1つの炊飯コースを選択することができる。つまり、LCD24に炊飯コース選択用の表示要素64Cが表示される場合には、その表示要素64Cに重なるタッチパネル65の部位が、複数の炊飯コースの中から任意の炊飯コースを選択可能にする炊飯コース選択手段86となる。
記憶手段76にその制御パターンが記憶される複数の炊飯コースの中には、炊き上がりの食感となる炊き分けの選択が可能な炊飯コースが含まれており、それぞれの食感で異なる制御パターンが記憶手段76に記憶されている。こうした炊き分け選択が可能な炊飯コースを、ユーザが炊飯コース選択手段86へのタッチ操作により選択すると、炊飯制御手段81は表示部61のLCD24に、少なくとも炊き分け選択用の表示要素64Dと、炊き分け表示用の表示要素64Eとを表示させる。この状態で、炊き分け選択用の表示要素64Dに重なるタッチパネル65の部位をタッチ操作すると、炊き分け選択用の表示要素64Dに表示される炊き上がりの食感を可変させて、任意の食感を選択することができる。つまり、LCD24に炊き分け選択用の表示要素64Dが表示される場合には、その表示要素64Dに重なるタッチパネル65の部位が、複数の食感の中から任意の食感を選択可能にする炊き分け選択手段87となる。
次に、図7~図15を参照しながら、上記構成を有する炊飯器本体100について、その作用を説明する。先ず、複数の炊飯コースの中で、米の種類を白米とした炊飯コースを選択した場合の動作を一通り説明すると、被炊飯物である米および水を入れた内釜1を、炊飯器本体100の内釜収容部6にセットし、蓋体12を閉じた後に、炊飯コース選択手段86へのタッチ操作により、米の種類を白米とする炊飯コースを選択する。次いで、スタートキー66Aを押動操作すると、炊飯制御手段81による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段81は、最初に内釜1に入れられた米に対する吸水を促進させるために、内釜温度センサ15により検知される内釜1の底部の温度に基づき、加熱コイル14とコードヒータ7を通断電制御して、内釜1の底部と側面部をそれぞれ加熱し、内釜1内の水温を約45~60℃に所定時間保持するひたし行程を行なう。また、炊飯器本体100に減圧手段(図示せず)が組み込まれている場合には、ひたし行程中に内釜1内の圧力が大気圧よりも低い減圧状態となるように、炊飯制御手段81が減圧手段の動作を制御する。ひたし行程の期間中に、内釜1内の内部空間44を減圧状態に維持することで、炊飯の初期に内釜1の内部で米に水を十分に吸水させることが可能になる。
所定時間のひたし行程が終了し、次の沸騰加熱行程に移行すると、加熱制御手段81は加熱コイル14やコードヒータ7,18を連続通電することにより、ひたし行程よりも内釜1内の被炊飯物を強く加熱し、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる。ここで前述の減圧手段が炊飯器本体100に組込まれていれば、ひたし行程から引き続いて沸騰加熱工程でも、内釜1の内部を大気圧よりも低い減圧状態に維持するように、炊飯制御手段81が減圧手段の動作を制御する。これにより、沸騰加熱工程では米の糊化温度とされる60℃~100℃で、内釜1内の被炊飯物を減圧状態で沸騰させることができ、沸騰時の泡で米を舞わせて加熱ムラがなくなり、併せて被炊飯物を減圧状態にして、米の芯まで短時間に吸水させることが可能になる。
炊飯制御手段81は、沸騰加熱行程中に内釜温度センサ15で検知される内釜1の底部の温度が、所定温度となる例えば100℃に達したら、内釜1内の被炊飯物が減圧状態で沸騰したと判断として、被炊飯物が収容された内部空間44を外部と連通させて常圧に戻す。その後、調圧部45の調圧弁46が調圧孔49を塞ぐように、制御部71がソレノイド54の動作を制御して、内部空間44を再び密閉した状態にすると、引き続き内釜1内の被炊飯物への強い加熱により、被炊飯物が大気圧以上の例えば1.2気圧に達するまで加圧され、その加圧状態で被炊飯物を沸騰させることができる。
こうして炊飯制御手段81は、沸騰加熱行程中に内釜1内の被炊飯物が減圧状態で沸騰したと判断したら、内釜1内を減圧状態から大気圧よりも高い加圧状態へ一気に切替えて、被炊飯物に圧力ショックを加える。これにより、加圧状態では米の糊化最適温度である105℃(1.2気圧の場合)に被炊飯物を沸騰させることで、米の硬さと粘りのバランスを確保し、芯まで均一に米を糊化させることが可能になる。
その後の沸騰加熱行程で、炊飯制御手段81は、内釜温度センサ15で検知される内釜1の底部の温度が、所定温度となる例えば90℃以上になり、それに加えて蓋温度センサ16で検知される内蓋36の温度も、所定温度となる例えば90℃以上になって、この内蓋36の温度の傾き(所定の時間に検出温度がどの程度上昇するのか)が一定値以下になって安定したら、被炊飯物が加圧状態で沸騰したと判断して、次の沸騰継続行程に移行する。
沸騰継続行程に移行すると、炊飯制御手段81は加熱コイル14を所定の通電率で通断電制御すると共に、蓋加熱手段17による内蓋36への加熱(蓋加熱)を開始させる。ここでの蓋加熱は、内釜1内で内部空間44を形成する内蓋36の温度が100~110℃になるように、蓋温度センサ16からの検知信号により管理される。また沸騰継続行程に移行したら、炊飯制御手段81はソレノイド54を周期的に通電状態と非通電状態に切替え、内釜1内で内部空間44の圧力を大気圧と大気圧よりも高い圧力の範囲で繰り返し増減させる。
そして炊飯制御手段81は、沸騰継続工程で内釜温度センサ15により検知される内釜1の底部の温度が次第に上昇して、所定のドライアップ温度に達したら、内釜1内の被炊飯物に水が無くなったものと判断して、次のむらし行程に移行する。むらし行程中は、蓋温度センサ16からの検知信号に基づき内蓋36の温度を管理して蓋加熱手段17を通断電し、内蓋36への露付きを防止すると共に、内釜1内部の被炊飯物が焦げない程度に高温(98~100℃)が保持されるように、内鍋温度センサ15からの検知信号に基づき内釜1の底部の温度を管理する。むらし行程は所定時間続けられ、その所定時間が経過して、内釜1内の被炊飯物がご飯に炊き上がったら、炊飯制御手段81による一連の炊飯動作を終了して、ブザー75によりその旨を報知し、次の保温制御手段82によるご飯を所定温度に維持する保温に移行する。
次に、ユーザが前述した炊飯コース選択手段86へのタッチ操作で、LCD24に炊飯コース選択用の表示要素64Cとして表示された複数の炊飯コースの中から、一つの例として、内釜1に投入する米の種類が「白米」で、炊き方が「ねらい炊き」の組み合わせからなる「白米・ねらい炊き」の炊飯コースを選択したときに、炊飯時間や炊き分けの食感をどのように設定するのかを、図7~図13に基づいて詳しく説明する。
図7~図9は、「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで、ユーザUが時刻/時間選択手段85へのタッチ操作で、任意の炊飯時間を設定する場合の表示操作ユニット23をそれぞれ示している。また図10~図13は、同じ「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで、ユーザUが炊き分け選択手段87へのタッチ操作で、好みの食感を設定する場合の表示操作ユニット23をそれぞれ示している。これらの各図に共通して、炊飯制御手段81は、炊飯コース選択手段86で選択された炊飯コースが「白米・ねらい炊き」であることをユーザに理解させるために、炊飯コース選択用の表示要素64Cの中で、「白米」の表示要素64C1と、「ねらい炊き」の表示要素64C7だけをLCD24に表示させる。また、現時点で記憶手段76に記憶される設定時間として、炊飯コース選択手段86で選択された「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで、炊飯制御手段81がスタートキー66Aからの指示を受けて被炊飯物への炊飯を開始してから、上述した一連の行程を経て炊飯を終了するまでの炊飯時間を、時刻/時間表示用の表示要素64AでLCD24に表示させる。
さらに、「白米・ねらい炊き」の炊飯コースは、ユーザが好みの食感を選択できる炊き分け選択が可能な炊飯コースの一つでもある。そこで炊飯制御手段81は、「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで選択できる食感の範囲をユーザに理解させるために、炊き分け表示用の表示要素64Eの中で、「しゃっきり」の表示要素64E2と、「おすすめ」の表示要素64E3と、「もちもち」の表示要素64E4をLCD24に表示させ、併せて現時点で記憶手段76に記憶される設定された好みの食感を、一つのスポット状の表示要素64E6でLCD24に表示させる。
一つの例として、図7に示すように、時刻/時間表示用の表示要素64Aに表示される「45分」の炊飯時間を短くしたい場合、ユーザUは「戻る」の表示要素64B1に重なるタッチパネル65の部位を、時刻/時間選択手段85としてタッチ操作すると、記憶手段76に記憶される炊飯時間を「40分」に減らすことができる。図8は、そのときの表示操作ユニット23の状態を示している。本実施形態では、ユーザUが「戻る」の表示要素64B1に重なるタッチパネル65の部位をタッチ操作するたびに、記憶手段76に記憶される炊飯時間を単位時間である5分ずつ、最短で30分にまで減らすことができる。
一方、時刻/時間表示用の表示要素64Aに表示される炊飯時間を長くしたい場合には、ユーザUが「進む」の表示要素64B2に重なるタッチパネル65の部位を、時刻/時間選択手段85としてタッチ操作すればよい。図9は、そのようなタッチ操作により、時刻/時間表示用の表示要素64Aに表示される炊飯時間を「50分」に増やした状態を示している。本実施形態では、ユーザUが「進む」の表示要素64B2に重なるタッチパネル65の部位をタッチ操作するたびに、記憶手段76に記憶される炊飯時間を5分ずつ、最長で60分にまで増やすことができる。
上述した「白米・ねらい炊き」の炊飯コースでは、炊飯制御手段81が被炊飯物をご飯に炊き上げる標準の炊飯時間を45分として、ユーザUが炊飯時間を30分~60分の範囲(すなわち、標準の炊飯時間±15分の範囲)で設定することができる。こうした標準の炊飯時間や、ユーザUが設定できる炊飯時間の範囲は、炊飯コース選択手段86で選択された炊飯コースに応じて変わる。またユーザUへの操作性を考慮して、本実施形態のように、「戻る」の表示要素64Bと「進む」の表示要素64B2に重なるタッチパネル65のそれぞれの部位を、時刻/時間選択手段85における2つの選択キーとして、炊飯時間を増減させる構成とするのが望ましいが、単独の選択キーのみで、この選択キーを操作するたびに、炊飯時間を45分→50分→55分→60分→30分→35分→40分→45分→…のように変えて選択する構成としてもよい。
「白米・ねらい炊き」の炊飯コースでは、ユーザが炊き分け選択手段87をタッチ操作することにより、炊き分け表示用の表示要素64Eに表示される好みの食感を、標準の「おすすめ」から、硬めの「しゃっきり」や、やわらかめの「もちもち」に変更できる。一つの例として、図10に示すように、炊き分け表示用の表示要素64Eに表示される「おすすめ」よりも食感を硬くしたい場合、ユーザUは炊き分け選択用に表示される2つの表示要素64D1,64D2の中で、表示要素64D1に重なるタッチパネル65の部位を、炊き分け選択手段87としてタッチ操作すると、記憶手段76に記憶される好みの食感を「しゃっきり」に変更することができる。図11は、そのときの表示操作ユニット23の状態を示しており、炊飯制御手段81は、好みの食感が「しゃっきり」に設定されたことをユーザUに理解させるために、「しゃっきり」の表示要素64E2の直下に、一つのスポット状の表示要素64E6を表示させ、ユーザUが「しゃっきり」よりもさらに硬い食感を設定できないように、炊き分け選択用に表示される表示要素64Dを一方の表示要素64D2だけにして、もう一方の表示要素64D1は非表示にする。
一方、図12に示すように、炊き分け表示用の表示要素64Eに表示される「おすすめ」よりも食感をやわらかくしたい場合、ユーザUは炊き分け選択用に表示される2つの表示要素64D1,64D2の中で、表示要素64D2に重なるタッチパネル65の部位を、炊き分け選択手段87としてタッチ操作すると、記憶手段76に記憶される好みの食感を「もちもち」に変更することができる。図13は、そのときの表示操作ユニット23の状態を示しており、炊飯制御手段81は、好みの食感が「もちもち」に設定されたことをユーザUに理解させるために、「もちもち」の表示要素64E4の直下に、一つのスポット状の表示要素64E6を表示させ、ユーザUが「もちもち」よりもさらにやわらかい食感を設定できないように、炊き分け選択用に表示される表示要素64Dを一方の表示要素64D1だけにして、もう一方の表示要素64D2は非表示にする。
上述した「白米・ねらい炊き」の炊飯コースでは、標準の食感である「おすすめ」に対して、それよりも硬い「しゃっきり」や、やわらかい「もちもち」に、炊き上がりのご飯の食感を設定することができるが、別な炊き分けの選択が可能な炊飯コースでは、「しゃっきり」よりもさらに硬い「かため」の食感や、「もちもち」よりもさらにやわらかい「やわらか」な食感を選択できるものもある。その場合、炊き分け表示用の表示要素64Eには、「かため」の表示要素64E1や「やわらか」の表示要素64E5も表示され、炊き分け選択用に表示される表示要素64D1,64D2に重なるタッチパネルの部位65を適宜タッチ操作することで、「かため」の表示要素64E1の直下や、「やわらか」の表示要素64E5の直下に、一つのスポット状の表示要素64E6を表示させることが可能となる。
また、本実施形態のように、時刻/時間選択手段85と炊き分け選択手段87は、それぞれ別な選択手段として配置されることが望ましいが、単独の選択手段として炊飯時間と炊き分けを設定できるようにすると、操作部62が複数の選択手段で構成されるものに比べて、ユーザUへの複雑さが解消される。
図7~図13に示す「白米・ねらい炊き」の炊飯コースでは、ユーザUが炊き分け選択手段87へのタッチ操作でどの食感を設定したとしても、時刻/時間選択手段85へのタッチ操作で、炊飯時間を30分~60分の範囲に設定することができる。こうした炊飯時間と食感の設定が行われた後に、LED25が点滅するスタートキー66を押動操作すれば、炊飯制御手段81が「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで、設定された食感に対応した制御パターンを記憶手段76から読み出し、その制御パターンに沿って上述したひたし行程からむらし行程に至る一連の炊飯が、設定された炊飯時間に終了して、内釜1内の被炊飯物がご飯に炊き上がるように、加熱コイル14や、コードヒータ7,18や、蓋加熱手段17や、ソレノイド54の各動作を適切に制御する。
図14は、一つの例として、炊飯制御手段81が「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで被炊飯物への炊飯加熱を行なう場合の、炊飯温度曲線と各炊飯工程との関係を示したものである。図中、Taは内釜温度センサ15の検知温度、Tbは蓋温度センサ16の検知温度、Tcは内釜1に被炊飯物として入れられた米の温度、Vは加熱コイル14に入力する電圧値、Dsは炊飯時間である。炊飯時間Dsは、炊飯制御手段81がスタートキー66Aからの炊飯開始の指示を受けて、内釜1に入れられた被炊飯物への炊飯を開始してから、その被炊飯物への炊飯が終了するまでの、ひたし行程の時間D1と、沸騰加熱行程の時間D2と、沸騰継続行程の時間D3と、むらし行程の時間D4を合計した時間である(Ds=D1+D2+D3+D4)。本実施形態では、ユーザUが前述した時刻/時間選択手段85へのタッチ操作で、図14に示す炊飯時間Dsを、30分~60分の範囲で任意に設定することができる。
図15は、「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで、設定した炊飯時間Dsに対するひたし行程の時間D1と、むらし工程の時間D4の関係をそれぞれ示したものである。炊飯制御手段81は、ユーザUによる時刻/時間選択手段85へのタッチ操作により、任意に設定された炊飯時間Dsを受け付けると、被炊飯物を炊飯加熱する一連の行程D1~D4の中で、ひたし行程の時間D1とむらし行程の時間D4の少なくとも何れかを、その設定された炊飯時間Dsに応じて増減させる。
より具体的には、「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで、炊飯時間Dsが標準的な45分に設定された場合には、ひたし行程の時間D1は13分となり、むらし行程の時間D4は13分となる。この標準時間(=45分)よりも短い炊飯時間Ds(30分、35分、40分)が設定された場合には、ひたし行程の時間D1よりもむらし行程の時間D4を優先した時間割り振りを行なう。その理由は、炊飯時間Dsが短い場合は、ひたし行程の時間D1よりもむらし行程の時間D4を長く確保した方が、炊き上がりのご飯の食味が良くなるからである。逆に、標準時間以上の炊飯時間Ds(45分、50分、55分、60分)が設定された場合は、むらし行程の時間D4を13分で固定し、ひたし行程の時間D1を延ばしていく。つまり、長い炊飯時間Dsではむらし行程の時間D4を十分に確保できるので、ひたし行程の時間D1を長くすれば、むらし行程の時間D4が長すぎることにより、炊き上がりのご飯が固まったり、べちゃ付いたりして、食味が悪くなるのを回避できる。
なお、ユーザUが炊飯コース選択手段86をタッチ操作することにより、米の種類が「白米」で、炊き方が「ねらい炊き」以外の例えば「かまど名人」や「甘み炊き」の炊飯コースを選択した場合にも、炊き分け選択手段87へのタッチ操作により、複数の食感の中から任意の食感を選択させ、選択されたそれぞれの食感で、時刻/時間選択手段85へのタッチ操作により、炊飯時間Dsを任意に変更設定することができる。この場合、「白米・かまど名人」の炊飯メニューを選択すると、炊飯コース選択用の表示要素64Cの中で、「白米」の表示要素64C1と、「かまど名人」の表示要素64C6だけがLCD24に表示され、「白米・甘み炊き」の炊飯メニューを選択すると、炊飯コース選択用の表示要素64Cの中で、「白米」の表示要素64C1と、「甘み炊き」の表示要素64C8だけがLCD24に表示されるが、そのときの炊飯時間Dsの設定範囲は、選択された炊飯メニューに応じて、「白米・ねらい炊き」の炊飯メニューと同じ30分~60分であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、好みの食感の設定範囲についても、選択された炊飯メニューに応じて、「白米・ねらい炊き」の炊飯メニューと同じ「しゃっきり」、「おすすめ」、「もちもち」としてもよいし、「かため」、「やわらかめ」を含めたより広い範囲としてもよい。
本実施形態では、時刻/時間選択手段85でどの炊飯時間Dsに設定した場合であっても、炊飯制御手段81が炊飯の終了と同時に被炊飯物が炊き上がったものとして、むらし行程の終了したタイミングでブザー75へ制御信号を出力して、被炊飯物の炊き上がり完了をブザー75から報知できるようになっている。したがって、炊飯制御手段81がスタートキー66Aからの炊飯開始の指示を受けて、被炊飯物への炊飯を開始してから、ブザー75が炊き上がり完了を報知するまでの炊き上がり報知時間Dcは、実質的に被炊飯物への炊飯を開始してから、被炊飯物の炊き上がりが完了するまでの炊き上がり時間と同一で、被炊飯物への炊飯を開始してから、被炊飯物の炊飯が終了するまでの炊飯時間Dsと等しく(すなわち、炊飯時間Ds=炊き上がり時間=炊き上がり報知時間Dc)、時刻/時間選択手段85は、実質的には炊き上がり時間若しくは炊き上がり報知時間Dcを任意に設定可能にするための操作手段に相当する。また、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり時間若しくは炊き上がり報知時間Dcは、実質的に時刻/時間表示用の表示要素64AとしてLCD24に表示される。
これによりユーザUは、蓋体12を開けて内釜1内を覗き込まない限り、実際に内釜1内で被炊飯物がご飯に炊き上がったのかを確認することができないので、炊飯が終了したらブザー75などの報知部で何らかの報知を行なえば、蓋体12をわざわざ開けることなく、時刻/時間選択手段85で設定した時間に、ご飯の炊き上がりが完了したのか否かを確認できる。またユーザUは、時刻/時間選択手段85へのタッチ操作で設定した炊き上がり報知時間Dcを、LCD24に表示される時刻/時間表示用の表示要素64Aですぐに確認できる。
なお、こうした炊飯時間Dsや炊き上がり報知時間Dcや炊き上がり時間について、何をもって被炊飯物への炊飯の開始の始点とし、また何をもって炊飯の終了や炊き上がりの完了の終点とするのかは特に限定されない。例えば炊飯制御手段81とは別な手段が、スタートキー66Aからの炊飯開始の指示を受けるタイミング以外で、被炊飯物への炊飯を開始する始点を設定してもよい。さらに、被炊飯物への炊飯が終了してご飯の炊き上がりが完了してから、一定の時間差(タイムラグ)を有してブザー75が炊き上がり完了を報知してもよい。
一方、別な変形例として、時刻/時間選択手段85で設定される炊き上がり時間や炊き上がり報知時間Dcが、前述した標準の時間以上となる場合には、炊飯制御手段81による実際の炊飯時間Dsを標準の時間のまま変更せずに炊飯を行ない、炊飯時間Dsが終了して保温に移行してから、設定した炊き上がり時間や炊き上がり報知時間Dcにブザー75で被炊飯物の炊き上がり完了を報知してもよい。これにより、標準の時間で炊飯を終了させた場合と同等の炊き上がりを、ブザー75による報知が行われた時点で安定して得ることができる。
こうした変形例を含めて、本実施形態の炊飯器本体100は、ユーザUが操作部62の時刻/時間選択手段85を操作することにより、炊き上がり時間や炊き上がり報知時間Dcを任意に設定して、被炊飯物を炊飯することが可能になる。時刻/時間選択手段85で設定される炊き上がり時間や炊き上がり報知時間Dcは、炊飯制御手段81により被炊飯物への炊飯を開始してから、被炊飯物の炊飯が終了するまでの炊飯時間Dsと同一であってもよいし、そうでなくてもよい。
以下、上述の炊き上がり報知時間Dcが炊き上がり時間と実質的に同一であるとして説明すると、本実施形態では、ユーザUが時刻/時間選択手段85をタッチ操作すると、炊き上がり報知時間Dcを一定時間である5分毎に増減して設定できる。時刻/時間選択手段85で設定できる炊き上がり報知時間Dcの最長は、予約炊飯制御手段83により予約炊飯が可能な時間、すなわち予約可能時間未満とするのが好ましい。
一つの例として、前述の「白米・ねらい炊き」の炊飯コースでは、図7に示すLCD24の表示状態から、ユーザUが予約キー66Dを押動操作すると、予約炊飯制御手段83が記憶手段76に記憶される設定時刻として予約時刻を読み出し、これをLCD24に時刻/時間表示用の表示要素64Aとして表示させる。次いでユーザUが、必要に応じて時刻/時間選択手段85をタッチ操作して、時刻/時間表示用の表示要素64Aに表示される予約時刻を設定変更した後に、スタートキー66Aを押動操作すると、予約炊飯制御手段83は、現在時刻から設定された予約時刻までの間の予約時間が、「白米・ねらい炊き」の炊飯コースに応じて設定された予約可能時間(例えば65分)以上である場合にのみ、炊飯制御手段81と連携して、設定された予約時刻に内釜1内の被炊飯物をご飯に炊き上げる。一方、ユーザUが予約キー66Dを押動操作することなく、時刻/時間選択手段85をタッチ操作した場合は、時刻/時間表示用の表示要素64Aに表示される炊き上がり報知時間Dcを5分毎に、且つ最長で予約可能時間未満である60分に設定できるようにする。こうすることで、ユーザUは時刻/時間選択手段85への操作により、炊き上がり報知時間Dcを一定時間毎に設定でき、しかも時刻/時間選択手段85で設定できる最長の炊き上がり報知時間Dcは、炊飯可能時間よりも短くなるので、予約炊飯の機能と重複することなく、ユーザUが任意の炊き上がり報知時間Dcを設定して、被炊飯物を炊飯することが可能になる。
一方、時刻/時間選択手段85で設定できる炊き上がり報知時間Dcの最短は、炊飯制御手段81が内釜1に入れられた標準量の被炊飯物を炊飯加熱して、ご飯に炊き上げることができる時間以上とするのが好ましい。したがって、図15に示す「白米・ねらい炊き」の炊飯コースでは、時刻/時間選択手段85で最短の炊き上がり報知時間Dc、すなわち30分を設定した場合であっても、内釜1に入れた被炊飯物が標準量の例えば3合であれば、最終的に炊飯器本体100で炊き上がり報知時間Dcまでに、被炊飯物をご飯に炊き上げることが可能となる。
また、図7~図13でそれぞれ示したように、炊飯制御手段81は、ユーザUがスタートキー66Aを押動操作する前の、被炊飯物への炊飯が開始するまでは、時刻/時間選択手段85で設定された任意の炊き上がり報知時間Dcを、LCD24に時刻/時間表示用の表示要素64Aとして表示させるが、ユーザUがスタートキー66Aを押動操作して、被炊飯物への炊飯が開始した後は、被炊飯物の炊飯が終了するまでの残時間、或いは設定された炊き上がり報知時間Dcに達するまでの残時間を、LCD24に時刻/時間表示用の表示要素64Aとして表示させる。被炊飯物への炊飯が開始した後に、こうした残時間をLCD24に例えば1分単位で表示させることで、ユーザUが炊飯の進行具合を確認できる。
ユーザUがスタートキー66Aを押動操作した後は、炊飯制御手段81が例えば「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで、設定された食感に対応した制御パターンを記憶手段76から読み出し、その制御パターンに沿って、内釜1に入れられた被炊飯物が、設定された炊き上がり時間Dcに設定された食感のご飯に炊き上がって、ブザー75による報知が行われるように、加熱コイル14や、コードヒータ7,18や、蓋加熱手段17や、ソレノイド54や、ブザー75の各動作を適切に制御する。このとき炊飯制御手段81は、炊き分け選択手段87で硬めとなる例えば「しゃっきり」の食感を選択したときの内部空間44の圧力が、炊き分け選択手段87で標準となる例えば「おすすめ」の食感を選択したときの内部空間44の圧力よりも低く又は同じになり、また炊き分け選択手段87でやわらかめとなる例えば「もちもち」の食感を選択したときの内部空間44の圧力が、炊き分け選択手段87で「おすすめ」の食感を選択したときの内部空間44の圧力よりも高く又は同じになるように、調圧弁46を転動させるソレノイド54の動作を制御して、調圧部45で内部空間44の圧力を調整する。
これにより、ユーザUが炊き分け選択手段87で「しゃっきり」の食感を選択した場合は、被炊飯物を収容する内部空間44の圧力を、「おすすめ」の食感を選択した場合の内部空間44の圧力よりも低く又は同じになるように調圧部45で調整することで、粘りの少ない硬めのご飯に炊き上げることができる。逆に、ユーザUが炊き分け選択手段87で「もちもち」の食感を選択した場合は、被炊飯物を収容する内部空間44の圧力を、「おすすめ」の食感を選択した場合の内部空間44の圧力よりも高く又は同じになるように調圧部45で調整することで、粘りの多いやわらかめのご飯に炊き上げることができ、炊き分け選択手段87で選択された好みの食感のご飯に炊き上げることが可能となる。
炊飯制御手段81は、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcに、被炊飯物への炊飯が終了するように、炊飯の各行程で内部空間44への加熱量や圧力を調整するが、例えば時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcが標準の時間よりも短く、しかも内部空間44に収容される被炊飯物の量が多い状態で炊飯を行なうと、炊き上がり報知時間Dcが経過した時点でむらし行程の途中で、被炊飯物への炊飯が終了していないことが起こり得る。このとき、設定された炊き上がり報知時間Dcを優先して、その時間に被炊飯物への炊飯を強制的に終了させると、ご飯のおいしさが損なわれるので、炊飯制御手段81は被炊飯物が炊き上がるまでむらし行程を継続させ、所定のむらし行程の時間D4が経過して被炊飯物の炊き上がりが完了したら、そこで炊飯を終了してブザー75を報知出力させ、炊き上がりの美味しいご飯をユーザUに提供する。
好ましくは、炊飯制御手段81が例えば「白米・ねらい炊き」の炊飯コースで被炊飯物への炊飯加熱を行なう場合に、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcに、被炊飯物への炊飯が終了していなければ、図15に示す時刻/時間選択手段85で設定できる炊飯時間Dsひいては炊き上がり報知時間Dcの範囲(すなわち30分~60分)の中で、むらし行程の最低の時間D4(すなわち9分)が経過するまでは、むらし行程をそのまま続けて、被炊飯物が炊き上がるまで炊飯を継続させ、むらし行程の最低の時間D4が経過して、被炊飯物の炊き上がりが完了したら、そこで炊飯を終了してブザー75を報知出力させる。これにより、むらし行程の最低の時間D4を確保しつつ、被炊飯物が炊き上がるまで炊飯を終了させずに継続させることで、食味を低下させずに炊き上がりの美味しいご飯をユーザUに提供できる。
また、図7~図13に示すものと同等の表示要素64を、情報端末73の表示部77に表示させ、情報端末73の操作部78に、時刻/時間選択手段85や、炊飯コース選択手段86や、炊き分け選択手段87としての機能を持たせてもよい。情報端末73の操作部78で設定された炊き上がり報知時間Dcを、炊飯器本体100の送受信手段74で受信して炊飯制御手段81に取り込む構成とすることで、ユーザUが炊飯器本体100から離れた場所で、情報端末73の操作部78により任意の炊き上がり報知時間Dcを設定すると、これを炊飯器本体100の送受信手段74が受信して、その炊き上がり報知時間Dcに被炊飯物の炊き上がりを完了してブザー75を報知するように、内釜1に入れられた被炊飯物を炊飯することが可能になる。
以上のように本実施形態では、加熱手段として加熱コイル14や、コードヒータ7,18や、蓋加熱手段17を備えた炊飯器本体100と、炊飯器本体100に設けられた表示部61及び操作部62と、加熱手段の動作を制御して、炊飯器本体100に入れられた被炊飯物を炊飯加熱する制御部71と、制御部71からの制御信号を受けて、被炊飯物の炊き上がり完了を報知する報知部としてのブザー75と、を備えた炊飯器において、操作部62には、例えば制御部71の炊飯制御手段81により被炊飯物への炊飯を開始してから、被炊飯物の炊き上がり完了までの炊き上がり時間を、ブザー75が炊き上がり完了を報知するまでの炊き上がり報知時間Dcとして任意に設定可能にする時間選択手段としての時刻/時間選択手段85が備えてあり、この時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcを、表示部61となるLCD24に時刻/時間表示用の表示要素64Aとして表示させる構成となっている。
この場合、ユーザUが操作部62の時刻/時間選択手段85を適宜操作することにより、被炊飯物の炊き上がり完了をブザー75で報知する任意の炊き上がり報知時間Dcを設定して、被炊飯物を炊飯することが可能になる。
また、本実施形態の制御部71となる炊飯制御手段81は、被炊飯物を炊飯加熱する一連の行程D1~D4の中で、炊飯を開始した直後に被炊飯物の吸水を促進させるひたし行程の時間D1と、被炊飯物をドライアップ状態後に蒸らすむらし行程の時間D4の少なくとも何れかを、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcに応じて可変させる構成となっている。
そのため、炊飯制御手段81による被炊飯物への炊飯加熱制御を変えることなく、設定された炊き上がり報知時間Dcに応じた最適なひたし行程の時間D1とむらし行程の時間D4で、被炊飯物を炊飯することが可能になる。
また、本実施形態の炊飯制御手段81は、炊き上がり報知時間Dcが設定されている標準時間よりも短くなる程、ひたし行程の時間D1よりもむらし行程の時間D4が長くなるように優先的に割り振り、炊き上がり報知時間Dcが標準時間よりも長くなる程、むらし行程の時間D4を固定してひたし行程の時間D1を長くする構成としている。
つまり、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcが標準時間よりも短い場合には、ひたし行程の時間D1よりもむらし行程の時間D4を長くしたほうが、炊き上がりのご飯の食味が良くなる。逆に、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcが標準時間よりも長い場合には、むらし行程の時間D4を十分確保できるので、ひたし行程の時間D1だけを長くすることで、炊き上がりのご飯の食味が悪くなるのを回避できる。
また、本実施形態の操作部62は、制御部71の記憶手段76のその制御パターンが記憶された複数の炊飯コースの中から、任意の炊飯コースを選択可能にする炊飯コース選択手段86と、この炊飯コース選択手段86で炊き分け選択が可能な炊飯コースを選択した場合に、2つ以上の複数の食感の中から任意の食感を選択可能にする炊き分け選択手段87と、をさらに備え、時刻/時間選択手段85は、炊き分け選択手段87で選択可能なそれぞれの食感で、炊き上がり報知時間Dcを任意に設定できる構成となっている。
この場合、ユーザUが炊飯コース選択手段86により炊き分け選択が可能な炊飯コースを選択した場合に、複数の食感の中から炊き分け選択手段87でどの食感を選んだとしても、時刻/時間選択手段85により任意の炊き上がり報知時間Dcを設定して、選択した好みの食感に被炊飯物を炊飯することが可能になる。
また、本実施形態の炊飯制御手段81は、予約時間が予約可能時間以上である場合にのみ、その予約時間後に内釜1内の被炊飯物をご飯に炊き上げる予約炊飯制御手段83を備えており、時刻/時間選択手段85は、前記炊き上がり報知時間を一定時間毎に、且つ最長で、前記予約可能時間未満に設定できる構成としたことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の炊飯器。
これによりユーザUは、時間選択手段により炊き上がり報知時間を一定時間毎に設定でき、予約炊飯の機能と重複することなく、任意の炊き上がり報知時間Dcを設定できる。
また、本実施形態の炊飯制御手段81は、被炊飯物への炊飯が開始するまでは、時刻/時間選択手段85で設定された任意の炊き上がり報知時間を、表示部61である例えばLCD24に時刻/時間表示用の表示要素64Aとして表示させ、被炊飯物への炊飯が開始した後は、被炊飯物の炊飯が終了するまでの残時間、或いは設定された炊き上がり報知時間Dcに達するまでの残時間の何れかを、LCD24に時刻/時間表示用の表示要素64Aとして表示させる構成としている。
この場合、被炊飯物への炊飯が開始した後は、炊飯が終了するまでの残時間、或いは炊き上がり報知時間Dcに達するまでの残時間を、表示部61のLCD24に表示させることで、ユーザUが炊飯の進行具合を確認することが可能になる。
また本実施形態では、炊飯器本体100に設けられ、被炊飯物が収容される内部空間44と、内部空間44の圧力を調整する調圧弁46を含む調圧部45と、をさらに備え、炊飯制御手段81が調圧弁46を転動させるソレノイド54の動作を制御して、炊き分け選択手段87で硬めの食感を選択したときの内部空間44の圧力が、前記炊き分け選択手段87で標準の食感を選択したときの内部空間44の圧力よりも低く又は同じになり、また炊き分け選択手段87でやわらかめの食感を選択したときの内部空間44の圧力が、炊き分け選択手段87で標準の食感を選択したときの内部空間44の圧力よりも高く又は同じになるように、調圧部45を構成している。
これにより、炊き分け選択手段87で選択された好みの食感のご飯に炊き上げることが可能となる。
また、本実施形態の炊飯制御手段81は、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcが経過したときに、被炊飯物への炊飯が終了していない場合には、被炊飯物が炊き上がるまで炊飯を継続させる構成としている。
つまり、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcを優先して、その時間に被炊飯物への炊飯を強制的に終了させると、ご飯のおいしさが損なわれるので、炊き上がり報知時間Dcが経過したときに、被炊飯物への炊飯が終了していなければ、被炊飯物が炊き上がるまで炊飯を終了させずに継続することで、炊き上がりの美味しいご飯を確保できる。
また、本実施形態の時刻/時間選択手段85は、炊き上がり報知時間Dcを最短で、炊飯制御手段81が被炊飯物を炊飯加熱して、ご飯に炊き上げることができる時間以上に設定できる構成としている。
この場合、ユーザが時刻/時間選択手段85で設定できる最短の炊き上がり報知時間Dcは、炊飯制御手段81による被炊飯物への炊飯加熱で、少なくとも被炊飯物をご飯に炊き上げることができる時間以上となっている。そのため、最短の炊き上がり報知時間Dcを設定した場合でも、最終的に炊き上がり報知時間Dcまでに、被炊飯物をご飯に炊き上げることが可能となる。
また、本実施形態の炊飯制御手段81は、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcが経過したときに、被炊飯物への炊飯が終了していない場合、被炊飯物をドライアップ状態後に蒸らすむらし行程の最低の時間D4が経過して、被炊飯物が炊き上がるまで炊飯を継続させる構成としている。
つまり、時刻/時間選択手段85で設定された炊き上がり報知時間Dcが経過したときに、被炊飯物への炊飯が終了していない場合に、むらし行程の最低の時間D4を確保しつつ、被炊飯物が炊き上がるまで炊飯を終了させずに継続することで、食味を低下させずに炊き上がりの美味しいご飯を確保できる。
さらに、本実施形態の炊飯器本体100は、遠隔操作部となる操作部78を備えた遠隔操作体に相当する情報端末73との間で、送受信手段74を介して送受信可能に構成されており、情報端末73の操作部78で設定された炊き上がり報知時間Dcを、炊飯器本体100の送受信手段74で受信できる構成となっている。
これにより、ユーザUが炊飯器本体100から離れた場所で、情報端末73により任意の炊き上がり報知時間Dcを設定して、内釜1に入れられた被炊飯物を炊飯することが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更して構わない。また、報知部はブザー75のような音の報知に限らず、例えば表示部61のLCD24やLED25で視覚的に報知する構成でもよい。