JP7451633B2 - 水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、酸化チタン粒子の分散液、酸化チタン粒子の分散液の製造方法、及び水性インクの製造方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、酸化チタン粒子の分散液、酸化チタン粒子の分散液の製造方法、及び水性インクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、酸化チタン粒子の分散液、酸化チタン粒子の分散液の製造方法、及び水性インクの製造方法に関する。
近年、紙や樹脂フィルムなどの記録媒体を用いた広告や展示物を出力する際に、インクジェット記録装置が広く利用されるようになってきた。例えば、透明な記録媒体においても鮮明なカラー画像を表現するために、ブラックや基本色のインク(以下、これらをまとめてカラーインクと記載することがある)に加えて、白インクが併用される。具体的には、透明な記録媒体の画像を記録する領域を含む箇所に前もって白インクを付与して下地処理を行い、その上からカラーインクを付与する、又はその逆順で各インクを付与する(いわゆるバックプリント)記録方法が用いられている。
白インクの色材としては、低コストであるとともに、白さや隠ぺい性など白インクとして必要とされる特性に優れるため、酸化チタンが広く用いられている。一方で、酸化チタンを水性インク中で安定に分散させるためには、分散剤が必要である。分散剤は、酸化チタンへの吸着と酸化チタンからの脱離を繰り返して存在しているため、温度などの環境変化が生ずると、一旦脱離した分散剤が酸化チタンに再び吸着しづらくなってしまい、分散安定性が損なわれる場合がある。インクの輸送過程における温度や、インクジェット記録装置が置かれるさまざまな場所などを想定しても、安定に酸化チタンが分散されている状態を維持して、インクの吐出安定性に影響が生じないようにする必要がある。
これまでにも、インクの吐出安定性を維持しながら、酸化チタンを安定に分散させる手法が検討されてきた。例えば、酸化チタンをシリカで表面処理した後に、さらにシランカップリング剤で表面処理し、乾燥させることで、シランカップリング剤の一部を酸化チタンの粒子表面に共有結合させた乾燥二酸化チタン生成物の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。また、アルミナで表面処理された酸化チタン、1価の金属塩、及びアルミナ微粒子を含有するインクが提案されている(特許文献2参照)。さらに、アルミナ及びシリカで表面処理を施した後に、シランカップリング剤によって表面処理を施した酸化チタン、アニオン性基を含有する樹脂、水溶性有機溶剤、及び塩基性化合物を含有するインクが提案されている(特許文献3参照)。
特表2017-521348号公報 国際公開第2018/190848号公報 特開2011-225867号公報
本発明者らは、特許文献1で提案された乾燥二酸化チタンを用いて調製した水性インク、並びに、特許文献2及び特許文献3で提案された水性インクを用いて、インクの吐出安定性について検討した。その結果、より厳しい環境変化をも想定した性能が求められる現状に対して、吐出安定性が不十分であり、向上の余地があることがわかった。
したがって、本発明者の目的は、吐出安定性に優れる、酸化チタンを含有するインクジェット用の水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、吐出安定性に優れるインクジェット用の水性インクの製造に用いることができる酸化チタン粒子の分散液の製造方法、及び前記製造方法によって得られた酸化チタン粒子の分散液を用いる水性インクの製造方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかる水性インクは、酸化チタン粒子、及び前記酸化チタン粒子の分散剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であり、前記酸化チタン粒子の分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする。
Figure 0007451633000001
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
本発明によれば、吐出安定性に優れる、酸化チタンを含有するインクジェット用の水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、吐出安定性に優れるインクジェット用の水性インクの製造に用いることができる酸化チタン粒子の分散液の製造方法、及び前記製造方法によって得られた酸化チタン粒子の分散液を用いる水性インクの製造方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。酸化チタンや酸化チタン粒子のことを、単に「顔料」と記載することがある。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
酸化チタンなどの無機酸化物は、水性インク中の水性媒体を構成する水分子と反応して、その表面にヒドロキシ基(以下、「表面ヒドロキシ基」と記載することがある)を生ずる。このため、インクジェット用の水性インクにおいては、生成した表面ヒドロキシ基を活用しながら、インクの保存安定性をさらに向上するために、アルミナやシリカなどの無機酸化物で表面処理が施された状態で利用されることが一般的である。酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物に固有の性質を持ち、無機化合物の種類によって酸としての強さの指標である等電点がそれぞれ異なる。したがって、酸化チタンはそれそのものも無機酸化物ではあるが、酸化チタン粒子の表面は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物の性質を示し、酸化チタン粒子の表面電荷は、水性媒体のpH、表面処理剤の種類、表面処理剤の使用量に強く依存する。
本発明者らは、インクに含有させる成分によって、インクの吐出安定性を向上させることについて検討した。酸化チタンを安定に分散させるためには、分散剤が必要である。一方で、酸化チタンとの親和性の高い分散剤を用いると、安定に分散させることができる一方で、インクの吐出安定性に影響を与えることがわかってきた。酸化チタンは、表面ヒドロキシ基による電荷反発によってある程度の分散安定性を有しているが、長期にわたって安定に分散した状態を保つことは困難である。そこで、一般的には、酸化チタンをシリカやアルミナで被覆することでインクの保存安定性を向上させるとともに、酸化チタン粒子の表面状態に適した分散剤を組み合わせることで、分散状態を安定に保っている。
本発明者らが検討した結果、特許文献1に記載されているように、酸化チタンをシリカのみで被覆すると、シランカップリング剤のように酸化チタンとの親和性の低い分散剤を用いても、インクの吐出安定性が十分に得られなかった。一方で、特許文献2に記載されているように、酸化チタンをアルミナのみで被覆した場合、シランカップリング剤のように酸化チタン粒子との親和性の低い分散剤を用いても、酸化チタン粒子の分散安定性は十分に得られなかった。さらに、酸化チタン粒子の分散安定性を高めようとして、酸化チタン粒子との親和性の高い分散剤を用いると、インクの吐出安定性に影響を及ぼす場合があることがわかった。さらに、特許文献3のように、酸化チタン粒子にアルミナとシリカで表面処理を施した後、シランカップリング剤で表面処理を施した酸化チタン粒子においても上記と同様の傾向を示すことがわかった。
このような状況で、酸化チタンの粒子表面へのアルミナ及びシリカの被覆量を調整することによって酸化チタン粒子の分散安定性及びインクの吐出安定性のバランスを得ることについて検討を行った。そして、そのような酸化チタン粒子に適した分散剤の検討を行った。その結果、その表面の少なくとも一部が、アルミナ及びシリカによって特定の比率で被覆された酸化チタン粒子を特定の化合物で分散することで、酸化チタン粒子の分散安定性を損なうことなく、インクの吐出安定性を向上することができるという知見を得た。すなわち、本発明のインクや顔料分散液は以下の特徴を有する。まず、酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)は、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下である酸化チタン粒子を用いる。つまり、酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)が、シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下である酸化チタン粒子を用いる。さらに、酸化チタン粒子を分散させるための分散剤として、後述する一般式(1)で表される化合物を用いる。上記の構成によって、インクの吐出安定性が向上するメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。
インクや顔料分散液には、酸化チタン粒子を分散させるための分散剤として、一般式(1)で表される化合物を含有させる。一般式(1)で表される化合物の一部は、シランカップリング剤として知られている。一般式(1)中、ORはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表す。ケイ素原子に結合したORの一部は、水性媒体中で加水分解し、シラノール基を形成し、シラノール基の一部は解離してイオンになり得る。そのため、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基と一般式(1)で表される化合物のシラノール基との間で、水素結合が形成されることによる「弱い親和性」が示される。さらに、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基と一般式(1)で表される化合物のシラノール基との間の一部においては、脱水反応により共有結合した状態を取り得る。つまり、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基と一般式(1)で表される化合物中のシラノール基は水素結合及び共有結合による親和性を示し、脱離と吸着を繰り返して、酸化チタン粒子の近傍に一般式(1)で表される化合物を存在させることができる。ORが炭素数4超のアルコキシ基であると、加水分解してシラノール基を形成することが難しくなってしまう。その結果、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基との親和性が得られず、酸化チタン粒子を安定に分散することができず、インクの吐出安定性も得られない。
一般式(1)で表される化合物は、前述のようにシラノール基を形成することができる構造に加えて、連結基となるXを介して、繰り返し単位として炭素数2乃至4のアルキレンオキサイド基をn個有する構造(一般式(1)中の(OR)を持つ。nは、繰り返し単位であるアルキレンオキサイド基の個数(平均値)を表し、6乃至24である。以下、上記の構造をアルキレンオキサイド鎖とも表す。アルキレンオキサイド鎖は親水性を有するため、水性媒体中で適度に伸長して、立体障害による反発力を示す。このため、酸化チタン粒子近傍に一般式(1)で表される化合物が存在すると、酸化チタン粒子を安定に分散させることができる。
シリカのみで表面処理を施された酸化チタン粒子は、同じようにケイ素を含む化合物である前記分散剤と前述したように親和性を持つ。そのため、酸化チタン粒子の近傍に分散剤が過剰に存在する状態になりやすく、酸化チタン粒子の表面特性は、分散剤が持つ特性が支配的となる。余剰な量の分散剤が吸着と脱離を繰り返すような状態では、インクが吐出される際に加えられるエネルギーが余剰な分散剤を脱離させるために消費されてしまう。このため、インクの吐出速度が低下し、インクの吐出安定性が不十分となる。
アルミナのみで表面処理を施された酸化チタン粒子は、ケイ素を含む化合物である前記分散剤との親和性が弱く、分散剤を酸化チタン粒子の近傍に存在させにくい。そのため、前述のように酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の一部が電離することにより得られる電気二重層の反発力は得られるものの、長期保存や温度の変化などの環境変化が生ずる場合、酸化チタン粒子の安定に分散した状態を維持できない。
本発明のインクや顔料分散液に含有させる酸化チタン粒子は、アルミナ及びシリカで被覆された酸化チタンである。酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)は、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下である。つまり、得られた各元素の値をその酸化物に換算することで算出される、酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下である。前記アルミナの割合(質量%)が上記の範囲内であれば、酸化チタン粒子を安定に分散させることができるだけでなく、インクの吐出安定性に影響を及ぼさない。これは、アルミナが特定の比率で被覆されているため、酸化チタン粒子の近傍に存在している分散剤の量を、分散安定性が得られる範囲にコントロールすることができるためである。前記質量比率が0.50倍未満であると、アルミナに対してシリカの割合が多すぎる状態となる。そのため、一般式(1)で表される化合物との親和性が高くなり、酸化チタン粒子がシリカのみで被覆された場合と同様に、余剰な量の前記化合物が酸化チタン粒子に吸着している状態になる。その結果、インクの吐出安定性が得られない。前記質量比率が1.00倍超であると、アルミナに対してシリカの割合が少なすぎるため、一般式(1)で表される化合物との親和性が十分に得られず、酸化チタン粒子を安定に分散させることができない。そのため、インクの吐出安定性も得られない。
本発明では、酸化チタンの表面がアルミナ及びシリカで被覆された酸化チタン粒子を、一般式(1)で表される化合物によって分散するという構成によって、前記化合物が上述の親和性によって酸化チタン粒子の周囲に幅広く存在することができる。そのため、酸化チタン粒子を安定に分散させることができる。さらに、酸化チタン粒子が所定の比率でアルミナ及びシリカで被覆されているため、余剰な前記化合物の吸着を抑制できる。そのため、吐出の際に使用される余剰な前記化合物の脱離のエネルギーが多くならず、吐出速度の低下を抑制することができる。これらの構成を満足することによって、インクの吐出安定性を向上することができる。
<水性インク、水性インクの製造方法>
本発明のインクは、特定の無機酸化物によって被覆された酸化チタン粒子、及び酸化チタン粒子を分散させるための特定の化合物を含有するインクジェット用の水性インクである。このインクは、酸化チタンが白色顔料であるため、白インクであることが好ましい。また、本発明のインクは、いわゆる「硬化型インク」である必要はない。したがって、本発明のインクは、熱や光などの外部エネルギーの付加により重合し得る重合性モノマーなどの化合物を含有しなくてもよい。以下、本発明のインクを構成する成分、インクの物性、製造方法などについて詳細に説明する。
(色材)
インクは色材(顔料)として、特定の無機酸化物によって酸化チタンに表面処理が施された酸化チタン粒子を含有する。つまり、インクは、その表面が特定の無機酸化物で被覆された酸化チタンである酸化チタン粒子を含有する。インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上20.00質量%以下であることが好ましい。また、インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下であることがさらに好ましい。なかでも、インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上15.00質量%以下であることが特に好ましい。
酸化チタンは、白色顔料であり、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3つの結晶形が存在する。なかでも、ルチル型の酸化チタンが好ましい。酸化チタンの工業的製造方法としては、硫酸法及び塩素法が挙げられ、本発明で用いる酸化チタンはいずれの製造方法によるものであってもよい。
酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(以下、平均粒子径とも表す。)は、200nm以上500nm以下であることが好ましい。なかでも、酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径は、200nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として、小粒子径側から積算して50%となる粒子の直径である。酸化チタン粒子のD50は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:非球形、屈折率:2.60、の条件で測定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計を使用することができる。勿論、測定条件などは上記に限られない。
酸化チタンは、アルミナ及びシリカで表面処理が施されているものを用いる。表面処理により光触媒活性能の抑制や分散性の向上が期待される。本明細書において、「アルミナ」は、酸化アルミニウムのようなアルミニウムの酸化物の総称である。また、本明細書において、「シリカ」は、二酸化ケイ素、又は二酸化ケイ素によって構成される物質の総称である。酸化チタンを被覆するアルミナ及びシリカの大部分は、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの形態で存在している。
酸化チタン粒子に占める、酸化チタンの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、90.00質量%以上であることが好ましい。また、酸化チタン粒子に占める、酸化チタンの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、98.50質量%以下であることが好ましい。酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であることを要する。前記質量比率が0.50倍未満又は1.00倍超であると、インクの吐出安定性が得られない。また、酸化チタン粒子に占める、シリカの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、1.00質量%以上4.00質量%以下であることが好ましい。前記シリカの割合(質量%)が1.00質量%未満であると、一般式(1)で表される化合物との親和性が十分に得られず、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。前記シリカの割合(質量%)が4.00質量%超であると、アルミナで表面処理が施されていても、酸化チタン粒子に吸着する一般式(1)で表される化合物の量を抑えることができず、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、0.50質量%以上4.00質量%以下であることが好ましい。
酸化チタン粒子に占める、アルミナ及びシリカの割合、すなわち、アルミナ及びシリカの被覆量を測定する方法としては、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析によるアルミニウム及びケイ素元素の定量分析が挙げられる。この場合、表面に被覆している原子がすべて酸化物になっていると仮定し、得られたアルミニウム及びケイ素の値をその酸化物、つまり、アルミナ及びシリカに換算することで算出できる。酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)は、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下である。この値をその酸化物、すなわち、アルミナ及びシリカに換算すると、酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下となる。
酸化チタンの表面処理方法としては、湿式処理、乾式処理などが挙げられる。例えば、酸化チタンを液媒体に分散させた後、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなどの表面処理剤と反応させて表面処理を行うことができ、これら表面処理剤の比率を適宜変更することによって所望の特性に調整することもできる。表面処理には、本発明の効果が損なわれない限り、アルミナ及びシリカ以外にも、酸化亜鉛やジルコニアなどの無機酸化物、ポリオールなどの有機物を利用することができる。
本発明の効果が損なわれない限り、インクは、酸化チタン以外の、その他の顔料を含有してもよい。この場合、白インク以外の色のインクとすることもできる。インク中のその他の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上1.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(一般式(1)で表される化合物)
インクは、酸化チタン粒子を分散するための分散剤として、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上1.00質量%以下であることが好ましく、0.02質量以上0.50質量%以下であることがさらに好ましい。
Figure 0007451633000002
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。炭素数1乃至4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基が挙げられる。なかでも、加水分解のしやすさの観点から、メチル基が好ましい。R、R、及びRがそれぞれ炭素数4超のアルキル基であると、加水分解してシラノール基を形成することが難しくなってしまい、酸化チタン粒子との親和性が得られない。そのため、酸化チタン粒子を安定に分散させることができず、インクの吐出安定性が得られない。ROの数を表すaは1乃至3であり、Rの数を表すbは0乃至2であり、a+b=3である。なかでも、aが3であるとともに、bが0である、すなわち、ケイ素原子の置換基が3つともROであることが好ましい。
一般式(1)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。炭素数2乃至4のアルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基が挙げられる。なかでも、エチレン基が好ましい。ORの個数、つまり、アルキレンオキサイド基の個数を表すn(平均値)は6乃至24である。nが6未満であると、アルキレンオキサイド鎖の長さが短すぎるため、立体障害による反発力が十分に得られず、インクの吐出安定性が得られない。nが24超であると、アルキレンオキサイド鎖の長さが長すぎるため、親水性が高まり水性媒体中に遊離しやすくなる。そのため、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基との親和性が十分に得られず、酸化チタン粒子の凝集を抑制することができなくなってしまう。そのため、酸化チタン粒子を安定に分散させることができず、インクの吐出安定性が得られない。
一般式(1)中、Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。Xが単結合である場合、ケイ素原子とORが直接結合していることを意味する。炭素数1乃至6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基などが挙げられる。なかでも、n-プロピレン基が好ましい。Xが炭素数6超のアルキレン基であると、一般式(1)で表される化合物の疎水性が高くなりすぎて、酸化チタン粒子を安定に分散することができず、インクの吐出安定性が得られない。
酸化チタン粒子の分散剤である一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。一般式(2)で表される化合物は、ケイ素原子に結合するORが3個であるため、水性媒体中でその一部が加水分解して、ケイ素原子に結合するヒドロキシ基を3個形成することが可能であり、酸化チタン粒子との親和性を有する部分を増やすことができる。また、下記一般式(2)で表される化合物は、エチレンオキサイド基の繰り返し構造を持つ。そのため、水性媒体中で適度にエチレンオキサイド鎖が伸長し、立体障害による反発力を得ることができる。
Figure 0007451633000003
(一般式(2)中、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。mは8乃至24である。)
インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.002倍以上0.10倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.002倍未満であると、酸化チタン粒子を安定に分散させる作用が弱くなってしまい、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。前記質量比率が0.10倍超であると、一般式(1)で表される化合物の割合が高くなりすぎて、一般式(1)で表される化合物の分子間での縮合(自己縮合)が生じやすい。そのため、一般式(1)で表される化合物が分散剤として作用することなく消費されてしまい、酸化チタン粒子を安定に分散させる作用が弱く、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
一般式(1)で表される化合物は、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基と水素結合するが、その一部は、脱水反応によって共有結合を形成していると考えられる。但し、本発明では、一般式(1)で表される化合物は、酸化チタン粒子と共有結合を形成しなくとも、酸化チタン粒子を分散させることができる。つまり、酸化チタン粒子に共有結合している一般式(1)で表される化合物は非常に少なく、無視することができる程度である。このため、酸化チタン粒子の含有量には、共有結合している一般式(1)で表される化合物は含まないものとする。本発明者らの検討の結果、酸化チタン粒子に共有結合した一般式(1)で表される化合物が多すぎると、インクの吐出安定性が低下することがわかった。この理由としては、以下のようなことが考えられる。一般的に水のような誘電率の高い液媒体中では、静電的な引力が働きにくくなるため、酸化チタン粒子は周囲の環境の影響をそれほど受けずに自由に動く。しかし、一般式(1)で表される化合物が酸化チタン粒子と共有結合すると、一般式(1)の構造の親水性を有する部分(ORの部分)が水分子と水素結合を形成し、結果として酸化チタン粒子の動きに影響を与える場合がある。そのため、インクジェットの吐出時のように液体に瞬時の圧力による変形を与える状況においては、上記のような特性が吐出特性の違いとして現れる。このため、酸化チタン粒子に共有結合している一般式(1)で表される化合物の量(質量%)は、酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.001倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.001倍超であると、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。前記質量比率は、0.000倍であってもよい。酸化チタン粒子に共有結合している一般式(1)で表される化合物の量は、熱重量分析などで算出することができる。
(樹脂)
インクには、樹脂を含有させることができる。樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂が好ましい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上25.00質量%以下であることが好ましく、3.00質量%以上15.00質量%以下であることがさらに好ましい。なかでも、5.00質量%以上15.00質量%以下であることが特に好ましい。
樹脂は、耐擦過性や隠蔽性などの記録される画像の各種特性を向上させる用途でインクに含有させることができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、樹脂は、水性媒体に溶解し得る水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と等量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、とすることができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA-EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子を用いる場合、その酸価は、0mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、5,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(水性媒体)
インクは、水性媒体として水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水溶性(好ましくは、25℃において水に任意の割合で溶解するもの)であれば特に制限はない。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、10.00質量%以上40.00質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が3.00質量%未満であると、インクジェット記録装置内でインクが固着してしまい、耐固着性が十分に得られない場合がある。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が50.00質量%超であると、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
インクには、上記の添加剤以外に、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。なかでも、インクは界面活性剤を含有することが好ましい。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、インクの各種物性の調整に用いるため、酸化チタン粒子との親和性が低く、少量で効果をもたらすノニオン性界面活性剤が好ましい。
(インクの物性)
インクは、インクジェット方式に適用するインクであるので、その物性を適切に制御することが好ましい。25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。インクの表面張力は、インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃におけるインクのpHは、7.0以上9.0以下であることが好ましい。インクのpHが上記の範囲内であれば、一般式(1)で表される化合物の加水分解によるシラノール基の生成が進むため、酸化チタン粒子及び一般式(1)で表される化合物の弱い親和性が効果的に発揮される。インクのpHはガラス電極などを搭載した一般的なpHメータで測定することができる。
(インクの製造方法)
本発明のインクの製造方法は、酸化チタン粒子の分散液、及び、その他のインクの成分を混合する工程を有する。酸化チタン粒子の分散液は、後述する製造方法によって製造された酸化チタン粒子の分散液を用いる。その他のインクの成分としては、さらに添加される水、水溶性有機溶剤、樹脂、及び上述した「その他の添加剤」などが挙げられる。インクの製造方法は、例えば、適当な容器に、酸化チタン粒子の分散液、及びその他のインクの成分を添加して撹拌することで行えばよい。撹拌速度、温度、及び時間などの条件は、所望の条件に応じて適宜設定することができる。そのほか公知の製造工程を組み合わせてもよい。
<酸化チタン粒子の分散液の製造方法>
本発明の酸化チタン粒子の分散液の製造方法は、インクジェット用の水性インクの製造に用いるためのものである。所定の処理剤を酸化チタンの表面に反応させて、その表面がアルミナ及びシリカで被覆された酸化チタンである酸化チタン粒子を準備する工程(第1工程)を有する。そして、第1工程の後に、酸化チタン粒子を分散させるための一般式(1)で表される化合物によって、酸化チタン粒子を液媒体中に分散させる分散工程(第2工程)を有する。以下、各工程を詳細に説明する。
(第1工程)
第1工程は、その表面がアルミナ及びシリカで被覆された酸化チタンである、酸化チタン粒子を準備する工程である。酸化チタン粒子としては、予めアルミナ及びシリカで被覆されたものを用いてもよいし、未処理の酸化チタンに被覆処理を施したものを用いてもよい。被覆処理の方法としては、湿式処理、及び乾式処理などが挙げられる。なかでも、均一な表面処理を施すことができる湿式処理が好ましい。具体的には、原料である酸化チタンの分散液に表面処理剤を添加する方法が挙げられる。表面処理剤としては、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。表面処理の条件は一般的なものとすればよい。また、予めアルミナ及びシリカで被覆されたものに、さらに被覆処理を施して酸化チタン粒子の各種特性を調整してもよい。
表面処理が施された酸化チタン(酸化チタン粒子)は、第1工程の後に、乾燥した状態としてもよく、水などの液媒体中に含まれる状態であってもよい。引き続き実施する第2工程での取り扱いを容易にするために、酸化チタン粒子が液媒体中に含まれる状態にしておくことが好ましい。第2工程の効率と取り扱いを容易にする観点で液媒体中の酸化チタン粒子の濃度を設定することが好ましい。具体的には、酸化チタン粒子を含む液体中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、液体全質量を基準として、20.00質量%以上60.00質量%以下であることが好ましい。
(第2工程)
第2工程は、酸化チタン粒子を分散させるための一般式(1)で表される化合物によって、酸化チタン粒子を液媒体中に分散させる分散工程である。必要に応じて、pH調整剤、及び各種の添加剤を用いてもよい。第2工程では、所望の粒度分布にするために必要な剪断力をかけるなどの処理によって、分散剤としての一般式(1)で表される化合物により、酸化チタン粒子を分散する。第2工程では、メディア分散、メディアレス分散などの公知の分散方式を用いることができる。メディア分散による分散機としては、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、ロールミルなどが挙げられる。メディアレス分散による分散機としては、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどが挙げられる。第2工程は、上記の2種以上の分散機を組み合わせて行ってもよい。
第2工程で得られる酸化チタン粒子の分散液は、必要に応じて一定期間貯蔵した後に、インクジェット用の水性インクの調製に用いる。このような観点から、分散液中の酸化チタン粒子の濃度を設定することが好ましい。具体的には、酸化チタン粒子の分散液中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、分散液全質量を基準として、20.00質量%以上60.00質量%以下であることが好ましい。
第2工程の温度は、任意に設定することができる。水系の液媒体中で第2工程を行うため、0℃以上100℃以下であることが好ましく、工程中の発熱や、メディア分散方式を利用する場合はメディアの信頼性の観点から、10℃以上40℃以下であることがさらに好ましい。第2工程の時間は、利用する装置、分散液の濃度などによって調整すればよく、酸化チタン粒子が過分散とならない限り、任意に設定することができる。例えば、25℃で、0.5mmジルコニアビーズを用いたペイントシェーカーで分散工程を行う場合、10時間以上20時間以下であることが好ましい。
また、酸化チタン粒子を含む成分を混合し、液媒体に湿潤させて、分散しやすくするために、予備分散工程を行ってもよい。予備分散工程では上記の第2工程で使用し得るものとして説明した分散方式や装置を利用できる。
〔pH調整剤〕
第2工程では、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の状態を制御するために、pH調整剤を用いることが好ましい。pH調整剤は、酸性化合物であっても、塩基性化合物であってもよい。なかでも、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基をアニオン性に保つことができるため、塩基性化合物であることが好ましい。液媒体がアルカリ性であると、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の一部がイオン化し、電気二重層が形成されて、電荷の反発による分散安定性を得ることができる。塩基性化合物としては、アンモニア;有機アンモニウム化合物;水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。なかでも、製造した分散液からインクに持ち込まれることを考慮すると、水酸化カリウムが好ましい。pH調整剤を利用して調整される第2工程における液媒体のpHは、7.0以上12.5以下であることが好ましい。pHが12.5超であると、酸化チタン粒子の表面を被覆しているシリカが溶解する場合がある。pH調整剤は、液媒体のpHを上記の範囲内に維持するために、任意のタイミングで継続的に追加してもよい。
〔液媒体〕
第2工程は、液媒体、好適には水系の液媒体中で行う。水系の液媒体としては、水のみ、又は、水を主溶媒としてプロトン性や非プロトン性の有機溶剤を併用した水性媒体を使用することができる。水性媒体は、水及び有機溶剤の混合溶媒である。有機溶媒としては、水と任意の割合で混和又は溶解するものを用いることが好ましい。なかでも、水を50質量%以上含有する均一な混合溶媒を水性媒体として用いることが好ましい。水としては、イオン交換水や純水を用いることが好ましい。
プロトン性の有機溶剤は、酸素や窒素に結合した水素原子(酸性水素原子)を有する有機溶剤である。また、非プロトン性の有機溶剤は、酸性水素原子を有しない有機溶剤である。有機溶剤としては、例えば、アルコール類;アルキレングリコール類;ポリアルキレングリコール類;グリコールエーテル類;グリコールエーテルエステル類;カルボン酸アミド類;ケトン類;ケトアルコール類;環状エーテル類;含窒素化合物類;含硫黄化合物などを挙げることができる。
(後処理)
製造した酸化チタン粒子の分散液は、好適には精製などの一般的な後処理方法を行った後、インクジェット用の水性インクの製造に用いる。液媒体として有機溶剤を使用せず水のみを利用した場合には、得られた分散液をそのままインクの調製に利用することもできるし、洗浄や酸化チタン粒子の含有量の調整を行ったものを最終的な分散液とすることもできる。有機溶剤を含む液媒体を利用した場合には、有機溶剤を除去することができる。有機溶剤を除去する方法としては、例えば、エバポレーターなどを利用して減圧や加熱によって有機溶剤を除去しながら水を加えて、水性の酸化チタン粒子の分散液とする方法などがある。さらに、限外ろ過などにより有機溶剤を除去した後、水を加える操作を繰り返す方法などもある。特に、水性媒体中に酸化チタン粒子が分散した状態の分散液とする場合には、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基をイオン解離させることで、静電反発による反発力により分散状態をより安定に保つことができる。そのため、必要に応じてpH調整剤などを添加して、分散液をアルカリ性にすることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インク(白インク)である。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。例えば、白インクによる画像を記録する場合は一般的なインクジェット記録方法にそのまま適用することができる。また、カラーインクの下地処理として白インクを用いる場合は、白インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、カラーインク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどのインク)を付与して画像を記録すればよい。また、カラーインクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、白インクを付与するバックプリントにも用いることができる。記録媒体としては、特に制限されないが、本発明の水性インクは白インクとして用いることができるため、透明、又は、有色の記録媒体を用いることが好ましい。また、記録媒体は、樹脂フィルムなどの液媒体の吸収性の小さい難吸収性媒体(非吸収性媒体)であってもよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
記録媒体の単位領域へのインクの付与を、記録ヘッドと記録媒体との複数回の相対走査に分けて行うマルチパス記録が好ましい。特に、単位領域への白インクの付与及びカラーインクの付与を、それぞれ異なる相対走査で行うことが好ましい。これにより、各インクが接触するまでの時間が長くなり、混合が抑制されやすくなる。単位領域とは、1画素や1バンドなどの任意の領域として設定することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。また、酸化チタン粒子の分散液を「顔料分散液」と記載する。
<酸化チタンの準備>
あらかじめ表面処理が施された市販の酸化チタン粒子、及び、未処理の酸化チタンを表面処理して調製した酸化チタン粒子を用いた。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「Nanotrac WaveII-EX150」、マイクロトラック・ベル製)を使用して測定した。酸化チタン粒子の特性を表1に示す。表1中、TITANIX:JR、JR-403、JR-800、JR-806、JR-805、JR-301、JR-405、及びJR-600Aは、テイカ製のルチル型酸化チタンの商品名である。また、TITONE:R-62N、及びR-7Eは、堺化学工業製のルチル型酸化チタンの商品名である。タイペーク:PFC-208、R-780-2、PFC-211、及びR-780は、石原産業製のルチル型酸化チタンの商品名である。
(アルミナ及びシリカの被覆量の測定)
酸化チタン粒子に占める、アルミナ及びシリカの割合、すなわち、アルミナ及びシリカの被覆量は以下のようにして測定した。準備した酸化チタン粒子を硝酸に添加した液体を試料として、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光装置によるアルミニウム及びケイ素元素の定量分析を行った。この際、表面に被覆している原子がすべて酸化物になっていると仮定し、得られたアルミニウム及びケイ素の値をその酸化物、つまりアルミナ及びシリカに換算して質量比率を算出した。
(酸化チタン粒子1~8)
酸化チタンの表面処理を湿式法により行い、酸化チタン粒子1~8を製造した。湿式法による表面処理は、未処理の酸化チタンに、表面処理剤(アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなど)を接触させるもので、表面処理剤の使用量や比率を適宜調整することで、任意の比率に表面処理を施した。
具体的には、表面処理が施されていない、ルチル型の酸化チタン(商品名「TITANIX JR」、テイカ製)300部、及び、純水700部をホモジナイザーで混合した。そして、撹拌しながら90℃に昇温し、水酸化カリウム(pH調整剤)を添加して、pHを10.5に調整した。次に、ケイ酸ナトリウムを添加して、希硫酸(pH調整剤)を約1時間かけて添加することで、pHを5.0に調整した。約1時間反応を継続させた。その後、90℃で、アルミン酸ナトリウムを少量ずつ添加した。この際、pHを維持するために、希硫酸を併用してpHを6.0以上8.0以下に維持した。アルミン酸ナトリウムの添加後、約1時間反応を継続し、分散液を得た。分散液を25℃まで冷却した後、遠心分離機による沈降と、イオン交換水への再分散を繰り返すことで精製し、120℃で乾燥させることで、アルミナ及びシリカの少なくとも一方で表面処理が施された各酸化チタン粒子を得た。表1に酸化チタン粒子1~8の特性を示す。
(酸化チタン粒子9~22)
市販の酸化チタン粒子(アルミナやシリカにより予め表面処理が施されているものを含む)を酸化チタン粒子9~22として用いた。表1に酸化チタン粒子9~22の特性を合わせて示す。市販の酸化チタン粒子の中には、アルミナやシリカ以外にも、酸化亜鉛やジルコニアなどの無機酸化物、ポリオールなどの有機化合物が含まれているものもあったが、その割合は、多くとも1.0%程度であった。そのため、便宜上、酸化チタン粒子に占める、酸化チタンの割合T(%)(表1中の「酸化チタンT(%)」)にまとめて示した。
Figure 0007451633000004
<一般式(1)で表される化合物の準備>
一般式(1)で表される化合物を以下の手順で合成した。一般式(1)で表される化合物として合成した化合物、及び、比較化合物の合成条件、構造を、それぞれ表2及び表3に示す。一般式(1)で表される化合物は、原料(ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルなど)をアリル化及びヒドロシリル化することによって合成することができる。
(化合物1~13、比較化合物14)
撹拌子及び窒素導入管を備えた3つ口フラスコに、表2に記載の原料、塩基、及び溶媒を入れ、25℃で30分撹拌した。「水素化ナトリウム」としては、60%水素化ナトリウムのパラフィン分散液を用い、表2に示す水素化ナトリウムの使用量となるように分散液を用いた。そして、表2に記載の臭化物を滴下しながら25℃で撹拌し、滴下終了後12時間撹拌を続け、反応物を含む溶液を得た。反応物を含む溶液から、未反応の水素化ナトリウム及び中和物(臭化ナトリウム)をろ別した後、減圧によりTHFを除去し、濃縮物を得た。濃縮物を純水500部に溶解させ、この水溶液をヘキサン200mLで3回抽出した後、ジクロロメタン200mLで抽出した。生成物を含む溶媒を硫酸マグネシウムの添加により乾燥し、減圧して濃縮することで、アリル化した化合物をそれぞれ得た(アリル化の工程)。
撹拌子及びアルゴン導入管を備え、不動態化処理をした乾燥丸底フラスコに、表2に記載のアリル化した原料及びシラン化合物を入れ、85℃で撹拌した。そして、65mmol/L塩化白金酸・一水和物のイソプロピルアルコール水溶液を0.54部添加し、85℃で5時間加熱した。反応終了後、混合物を25℃まで放冷し、減圧により過剰のシラン化合物を除去した。残留物をトリエトキシシランによって不動態化処理を行ったシリカゲルを担体として、カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、各化合物を得た(ヒドロシリル化の工程)。カラムクロマトグラフィーによる精製の際には、酢酸エチル/ヘキサン/エタノール=85/15/5(体積基準)の溶離液を利用した。
(比較化合物15)
撹拌子、還流コンデンサー、及びアルゴン導入管を備えた3つ口フラスコに、表2に記載の原料、及び溶媒を入れ、原料を溶解させた。表2に記載の臭化物を80℃で約1時間かけて撹拌しながら滴下し、30分間還流させた。反応終了後、減圧によりTHFを除去し、純水300部及び表2に記載の塩基を添加した。得られた反応物を含む液体を25℃まで放冷し、ジエチルエーテル200mLで2回抽出した。生成物を含む溶媒を硫酸マグネシウムの添加により乾燥し、減圧して濃縮することで、アリル化した化合物を得た。ヒドロシリル化の工程については、化合物1~13、比較化合物14と同様の手順で行い、比較化合物15を得た。
(比較化合物16)
撹拌子及び窒素導入管を備えた3つ口フラスコに、表2に記載の原料、及び溶媒を入れ、原料を溶解させた。混合物を55℃で3時間撹拌し、反応終了後、減圧により溶媒を除去し、濃縮物を得た。濃縮物にエタノール100部を添加して、ろ過し、残留物をエタノールで洗浄することで不純物を取り除いた。ろ液を減圧することで液体成分を除去し、アリル化した化合物を得た。ヒドロシリル化の工程については、化合物1~13、比較化合物14と同様の手順で行い、比較化合物16を得た。
Figure 0007451633000005
Figure 0007451633000006
<顔料分散液の調製>
下記の手順で顔料分散液を製造した。顔料分散液の製造条件を表4に示す。
(顔料分散液1~22、27~29、31~47、50)
表4に示す種類の酸化チタン粒子40.00部、表4に示す種類及び使用量(部)の分散剤、及び成分の合計が100.00部となるイオン交換水を混合し、ホモジナイザーを用いて予備分散を行った。その後、0.5mmジルコニアビーズを用いて25℃、ペイントシェーカーで12時間分散処理を行った。ジルコニアビーズをろ別し、必要に応じてイオン交換水を適量加え、酸化チタン粒子の含有量が40.00%の各顔料分散液を調製した。
(顔料分散液23~26、30)
表4に示す種類の酸化チタン粒子40.00部、表4に示す種類及び使用量(部)の分散剤、及び成分の合計が100.00部となるイオン交換水を混合し、ホモジナイザーを用いて予備分散を行った。その後、0.5mmジルコニアビーズを用いて25℃、ペイントシェーカーで12時間分散処理を行った。ジルコニアビーズをろ別し、必要に応じてイオン交換水を適量加え、各顔料分散液を調製した。調製した各顔料分散液を撹拌しながら、35℃の送風による乾燥で水分を除去した。その後、120℃のオーブンでシラノール基と酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基との脱水縮合反応を促進し、一般式(1)で表される化合物の一部が酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基に共有結合した酸化チタン粒子の粉体を得た。120℃のオーブンで加熱する時間を調整することによって、表5~9に記載の「共有結合した化合物の質量比率(倍)」とした。酸化チタン粒子の粉体を適量のイオン交換水で再分散させ、酸化チタン粒子の含有量が40.00%の各顔料分散液を調製した。
(顔料分散液48)
表4に示す種類の酸化チタン粒子40.00部、及びイオン交換水60.00部を混合し、ホモジナイザーを用いてプレ分散を行った。その後、酸化チタン粒子を分散させるための樹脂分散剤(商品名「フローレンG700」、酸価:60mgKOH/g、共栄社化学製)を添加して、混合物を得た。この混合物を、0.5mmジルコニアビーズを充填したペイントシェーカーを用いて12時間分散処理を行い、酸化チタン粒子の含有量が40.00%の顔料分散液48を調製した。
(顔料分散液49)
特許文献1の実施例3の顔料3kの調製方法に準じて顔料分散液を調製した。具体的には、酸化チタン粒子1、及び化合物5の代わりに酸化チタン粒子4、及び化合物4を用いる以外は、上記顔料分散液1と同様に顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液を撹拌しながら35℃の送風による乾燥で水分を除去した後、105℃のオーブンで4時間15分乾燥し、酸化チタン粒子の粉体を得た。酸化チタン粒子の粉体を適量のイオン交換水で再分散させ、酸化チタン粒子の含有量が40.0%の顔料分散液49を調製した。
(顔料分散液51)
特許文献3の実施例1の水性顔料分散液Aの調製方法に準じて顔料分散液を調製した。具体的には、化合物5の代わりに、ビニルトリエトキシシラン(シランカップリング剤)1.2部を用いる以外は、上記顔料分散液1と同様に顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液を加熱して乾固することで、シランカップリング剤で表面処理が施された酸化チタン粒子の粉体を得た。酸化チタン粒子の粉体40.00部、スチレンアクリル系樹脂3.20部、及びイオン交換水56.80部を混合した。スチレンアクリル系樹脂は、公知の方法で合成したものであり、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13で、その酸価は150mg/KOHであった。その後、再度顔料分散液1と同様の手順で分散処理を行い、酸化チタン粒子の含有量が40.00%、樹脂の含有量が3.20%の顔料分散液51を調製した。
(酸化チタン粒子に共有結合している一般式(1)で表される化合物の質量比率の算出)
酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基と共有結合している一般式(1)で表される化合物の質量比率は、以下のようにして測定した。まず、調製した各顔料分散液を、遠心分離機により遠心処理を行うことで、酸化チタン粒子を含む固形分を沈降させ、上澄みの液体成分を除去し、固形分に水を添加することで再分散した。上記の一連の操作を3回繰り返すことで、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基と共有結合していない一般式(1)で表される化合物を取り除き、一般式(1)で表される化合物が共有結合している酸化チタン粒子を得た。この酸化チタン粒子を熱重量分析(TGA)で定量分析することで、前記質量比率を算出した。表5~9に、「共有結合した化合物の質量比率(倍)」として表記した。各顔料分散液を含有するインクについても同様に測定を行った結果、前記質量比率は変化しないことがわかった。但し、分散剤として一般式(1)を満たさない化合物を用いた場合は、「共有結合した化合物の質量比率(倍)」の欄を「0.000」と表記した。
Figure 0007451633000007
<アルミナ粒子を含む液体の調製>
アルミナ粒子を含む液体は、特許文献2の実施例1のインク3の調製方法を参考に調製した。具体的には、両性アルミナ粒子(商品名「Dispal 23N4-80」、分散粒子径90nm、Sasol製)の含有量が10%であるアルミナ粒子分散液を用意した。アルミナ粒子分散液のpHを、強酸(1mol/L塩酸)によって4.0に調整し、アルミナ粒子分散液をプロペラミキサーで均一になるまで混合し、ビーズミルを用いて粉砕し、アルミナ粒子を含む液体(アルミナ粒子の含有量:10%)を得た。
<インクの調製>
表5~表9の上段に示す種類及び量の各成分を混合し、撹拌した。ビニブラン2685(商品名)は、日信化学工業製のアクリルエマルジョン(アクリル樹脂粒子の含有量30%)の商品名である。アセチレノールE60(商品名)は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。水酸化カリウムを含むイオン交換水は、各インクのpHを表5~表9に記載の値に調整するための水酸化カリウムを含むイオン交換水であり、成分の合計が100%となるように、残量を添加した。その後、ポアサイズ5.0μmのメンブレンフィルタ(ザルトリウス製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。各インクのpHは、pHメータ(商品名「ポータブル型pHメータD-74」、堀場製作所製)を用いて測定した。
<評価>
上記で得られた各インクについて、以下の項目の評価を行った。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「A」、「B」、「C」、「D」、及び「E」を許容できるレベルとし、「F」を許容できないレベルとした。比較例16、及び17のインクは、吐出ができなかったため、インクの吐出安定性の評価結果の欄を、「吐出不可」と表記した。また、実施例18のインクの吐出安定性の評価は、実施例17と同じ「D」であったが、実施例17の方が優れていた。評価結果を表5~表9の下段に示す。表5~表9中、「共有結合した化合物の質量比率(倍)」の欄には、酸化チタン粒子の表面に共有結合している一般式(1)で表される化合物の量(質量%)を、酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で示した。
(吐出安定性)
上記で得られた各インクを密閉容器に入れ、70℃で1週間保存した。保存前のインクのpHよりも上昇した場合は、水酸化カリウムを添加して、保存前と同じpHに調整した。この操作は、長期保存や温度などの環境変化を想定した加速条件である。その後、各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS PRO-10S」、キヤノン製)にセットした。記録ヘッドの任意の5つの吐出口を選択し、50000発/秒の頻度でインクの連続吐出を行い、吐出されるインク滴を横方向から撮影し、画像処理によって、インク滴の吐出速度を算出した。連続吐出を開始してから所定時間後(1分後、3時間後)のインク滴の吐出速度を算出した。「吐出速度の変化」を(「1分後のインク滴の吐出速度」-「3時間後のインク滴の吐出速度」)/(「1分後のインク滴の吐出速度」)の式に基づいて、吐出口ごとに計算した。5つの吐出口についての「吐出速度の変化」の平均を求め、吐出速度の変化率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、インクの吐出安定性を評価した。吐出速度の変化率が小さいほど、インクの吐出安定性が優れていることを意味する。逆に、例えば、酸化チタン粒子に余剰な量の分散剤が吸着しているような状態だと、吐出の際に余剰に吸着した分散剤の脱離に吐出のためのエネルギーが消費されてしまい、吐出速度が低下して、吐出速度の変化率が増加する。
A:吐出速度の変化率が、0.02以下であった。
B:吐出速度の変化率が、0.02を超えて0.05以下であった。
C:吐出速度の変化率が、0.05を超えて、0.08以下であった。
D:吐出速度の変化率が、0.08を超えて、0.10以下であった。
E:吐出速度の変化率が、0.10を超えて、0.20以下であった。
F:吐出速度の変化率が、0.20を超えていた。
Figure 0007451633000008
Figure 0007451633000009
Figure 0007451633000010
Figure 0007451633000011
Figure 0007451633000012
本実施例の開示は、以下の構成及び方法を含む。
[構成1]
酸化チタン粒子、及び前記酸化チタン粒子の分散剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であり、
前記酸化チタン粒子の分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする水性インク。
Figure 0007451633000013
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
[構成2]
前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、90.0質量%以上である構成1に記載の水性インク。
[構成3]
前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、98.5質量%以下である構成1又は2に記載の水性インク。
[構成4]
前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、0.50質量%以上4.00質量%以下である構成1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成5]
前記酸化チタン粒子に占める、前記シリカの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、1.00質量%以上4.00質量%以下である構成1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成6]
前記酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径が、200nm以上400nm以下である構成1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成7]
前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下である構成1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成8]
前記水性インク中の、前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.002倍以上0.10倍以下である構成1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成9]
前記酸化チタン粒子の表面に共有結合している前記一般式(1)で表される化合物の量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.001倍以下である構成1乃至8のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成10]
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である構成1乃至9のいずれか1項に記載の水性インク。
Figure 0007451633000014
(一般式(2)中、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。mは8乃至24である。)
[構成11]
前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.01質量%以上1.00質量%以下である構成1乃至10のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成12]
前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.02質量%以上0.50質量%以下である構成1乃至11のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成13]
前記水性インクのpHが、7.0以上9.0以下である構成1乃至12のいずれか1項に記載の水性インク。
[構成14]
インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、構成1乃至13のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
[構成15]
インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、構成1乃至13のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
[構成16]
酸化チタン粒子、及び前記酸化チタン粒子の分散剤を含有する、インクジェット用の水性インクの製造に用いる酸化チタン粒子の分散液であって、
前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部が、アルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
前記酸化チタン粒子の分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であることを特徴とする酸化チタン粒子の分散液。
Figure 0007451633000015
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
[構成17]
インクジェット用の水性インクの製造に用いるための、酸化チタン粒子の分散液の製造方法であって、
その表面がアルミナ及びシリカで被覆された酸化チタンである酸化チタン粒子を準備する工程、並びに、
前記酸化チタン粒子を分散させるための下記一般式(1)で表される化合物によって、前記酸化チタン粒子を液媒体中に分散させる分散工程を有し、
前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であることを特徴とする酸化チタン粒子の分散液の製造方法。
Figure 0007451633000016
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
[構成18]
インクジェット用の水性インクの製造方法であって、
構成17に記載の酸化チタン粒子の分散液の製造方法によって製造された酸化チタン粒子の分散液、及び、その他のインクの成分を混合する工程を有することを特徴とする水性インクの製造方法。
[構成19]
酸化チタン粒子、及び前記酸化チタン粒子の分散剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
前記酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)が、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下であり、
前記酸化チタン粒子の分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする水性インク。
Figure 0007451633000017
(一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)

Claims (19)

  1. 酸化チタン粒子、及び前記酸化チタン粒子の分散剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
    前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であり、
    前記酸化チタン粒子の分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする水性インク。
    Figure 0007451633000018

    (一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
  2. 前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、90.0質量%以上である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記酸化チタン粒子に占める、前記酸化チタンの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、98.5質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  4. 前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、0.50質量%以上4.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  5. 前記酸化チタン粒子に占める、前記シリカの割合(質量%)が、酸化チタン粒子全質量を基準として、1.00質量%以上4.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  6. 前記酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径が、200nm以上400nm以下である請求項1に記載の水性インク。
  7. 前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  8. 前記水性インク中の、前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.002倍以上0.10倍以下である請求項1に記載の水性インク。
  9. 前記酸化チタン粒子の表面に共有結合している前記一般式(1)で表される化合物の量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.001倍以下である請求項1に記載の水性インク。
  10. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の水性インク。
    Figure 0007451633000019

    (一般式(2)中、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。mは8乃至24である。)
  11. 前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.01質量%以上1.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  12. 前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.02質量%以上0.50質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
  13. 前記水性インクのpHが、7.0以上9.0以下である請求項1に記載の水性インク。
  14. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  15. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. 酸化チタン粒子、及び前記酸化チタン粒子の分散剤を含有する、インクジェット用の水性インクの製造に用いる酸化チタン粒子の分散液であって、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部が、アルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
    前記酸化チタン粒子の分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
    前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であることを特徴とする酸化チタン粒子の分散液。
    Figure 0007451633000020

    (一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
  17. インクジェット用の水性インクの製造に用いるための、酸化チタン粒子の分散液の製造方法であって、
    その表面がアルミナ及びシリカで被覆された酸化チタンである酸化チタン粒子を準備する工程、並びに、
    前記酸化チタン粒子を分散させるための下記一般式(1)で表される化合物によって、前記酸化チタン粒子を液媒体中に分散させる分散工程を有し、
    前記酸化チタン粒子に占める、前記アルミナの割合(質量%)が、前記シリカの割合(質量%)に対する質量比率で、0.50倍以上1.00倍以下であることを特徴とする酸化チタン粒子の分散液の製造方法。
    Figure 0007451633000021

    (一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
  18. インクジェット用の水性インクの製造方法であって、
    請求項17に記載の酸化チタン粒子の分散液の製造方法によって製造された酸化チタン粒子の分散液、及び、その他のインクの成分を混合する工程を有することを特徴とする水性インクの製造方法。
  19. 酸化チタン粒子、及び前記酸化チタン粒子の分散剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカによって被覆された酸化チタンであり、
    前記酸化チタン粒子に占める、誘導結合プラズマ発光分析で得られるアルミニウム元素の割合(質量%)が、ケイ素元素の割合(質量%)に対する質量比率で、0.57倍以上1.13倍以下であり、
    前記酸化チタン粒子の分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする水性インク。
    Figure 0007451633000022

    (一般式(1)中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1乃至4のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に、炭素数2乃至4のアルキレン基である。Xは、単結合、又は炭素数1乃至6のアルキレン基である。nは6乃至24である。aは1乃至3であり、bは0乃至2であり、a+b=3である。)
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