JP7451113B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
このエアバッグ装置は、一般に、衝撃センサと、インフレータと、エアバッグと、制御装置等、から構成されている。エアバッグ装置は、前面衝突などにより衝撃センサが衝撃を検知すると、検知信号を制御装置に出力し、制御装置が作動信号をインフレータに送出して、インフレータがガスを発生させてエアバッグに送出する。そして、エアバッグは、インフレータから送出されたガスにより瞬時に膨らみ、乗員の前方に展開する。これにより、エアバッグは、内部のガス圧によって衝撃により前方へ移動する乗員の身体を受け止めて、その運動エネルギーを吸収しながら収縮する。このようにして、自動車の前面衝突等における、衝突の衝撃による乗員の急激な前方移動がエアバッグにより緩和され、乗員の安全が確保される。
また、単純にサブエアバッグを大きくしてしまうと、サブエアバッグを展開する際に、乗員の肩などに当たってしまい、肝心の乗員の腕を払い落とすことができなくなってしまう虞がある。
図1は、本発明の実施の形態における乗員保護装置を備えた車両の一部の概略を示す断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態における乗員保護装置の概略ブロック図である。また、図3は、本実施の形態の乗員保護装置が作動した際の、エアバッグ袋体の展開経過を示す側面図である。また、図4は、乗員保護装置の動作概要を示すフローチャートである。
図1に示すように、車両1の乗員室は、下部にアンダーフロア3、上部にルーフ4が設けられている。また、アンダーフロア3には、座席シート10が配備されている。さらに、車両1には、後述する乗員保護装置101が備えられている。
図2に示すように、乗員保護装置101は、車載カメラ31と、レーダー32と、メインエアバッグ装置50と、サブエアバッグ装置60と、制御部110と、を備えている。なお、メインエアバッグ装置50は、ダッシュボード5に設けられている。また、サブエアバッグ装置60は、ルーフ4に設けられている。
車載カメラ31は、車両1の外部および内部を撮影することができるようになっている。例えば、車載カメラ31は、車両1の周辺環境、具体的には、車両1の前方、後方、および、側方を撮影する。そして、撮影した画像情報が制御部110に入力され、制御部110のRAMに画像情報が記録されるとともに、画像情報が制御部110に解析される。これにより、制御部110は、車両1の周囲の状況(車外の状況)をリアルタイムおよび事後的に認識することができる。
レーダー32は、電波を発射して障害物等の物体を探知し、物体までの距離と方位を測定するものである。また、レーダー32は、車両1のフロントバンパやリヤバンパに取り付けられ、車両1の前方監視、側方監視、後方監視等ができるようになっている。そして、監視情報が制御部110に入力され、制御部110のRAMに監視情報が記録されるとともに、監視情報が制御部110に解析される。これにより、制御部110は、車両1の周囲の状況をリアルタイムおよび事後的に認識することができる。
メインエアバッグ装置50は、制御部110に制御され、衝突の衝撃から乗員Pを保護するものである。また、メインエアバッグ装置50は、メイン用インフレータ51と、メインエアバッグ袋体52と、を有している(図3参照)。
メイン用インフレータ51は、制御部110による車両1の衝突検知または衝突予測に基づく作動信号により、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させるものである。また、メイン用インフレータ51に発生されたガスは、メインエアバッグ袋体52に圧入される。なお、メイン用インフレータ51は、後述するサブ用インフレータよりも、制御部110による作動信号が遅れて入力される。
メインエアバッグ袋体52は、メイン用インフレータ51によってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折り畳まれている。また、メインエアバッグ袋体52は、メイン用インフレータ51からガスが圧入されると、ダッシュボード5から座席シート10の方向に膨張展開し、乗員Pの頭部および胸部等に対する、車両1の衝突の衝撃を緩和するものである。すなわち、メインエアバッグ袋体52は、制御部110により車両1の衝突が予測されると、車両1の前方から乗員Pに向かって展開するようになっている。
サブエアバッグ装置60は、制御部110に制御され、乗員Pの腕や手を振り落とすものである。また、サブエアバッグ装置60は、サブ用インフレータ(不図示)と、サブエアバッグ袋体62と、を有している。
サブ用インフレータは、制御部110による車両1の衝突検知または衝突予測に基づく作動信号により、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させるものである。また、サブ用インフレータに発生されたガスは、サブエアバッグ袋体62に圧入される。なお、サブ用インフレータは、前述のように、メイン用インフレータよりも、制御部110による作動信号が先に入力される。
サブエアバッグ袋体62は、サブ用インフレータによってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折り畳まれている。また、サブエアバッグ袋体62は、サブ用インフレータからガスが圧入されると、ルーフ4に取り付けられた所定の位置から、下方に向かって膨張展開し、乗員Pの腕や手を振り落とすものである。すなわち、サブエアバッグ袋体62は、乗員Pの上方から下方に向かって展開するようになっている。
したがって、メインエアバッグ袋体52は、サブエアバッグ袋体62のこの櫛状の形状、すなわち、間欠領域が設けられていることにより、乗員Pを保持する状態まで展開することができる。
制御部110は、乗員保護装置101の動作を制御するためものである。また、制御部110は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUにより実行される制御プログラム、データテーブル、各コマンドやデータ等の記憶を行うROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)および入出力インターフェース回路を備え、乗員保護装置101の制御を統括するようになっている。
なお、制御部110は、車載カメラ31、レーダー32から入力された情報に限らず、加速度センサ(Gセンサ)、距離センサ、衝撃センサ(圧力センサ)等を用いて、これらの装置から入力された情報に基づいて、衝突予測や衝突判定を行うものであってもよい。
次に、このような乗員保護装置101の動作について、説明する。
図3は、エアバッグ袋体(メインエアバッグ袋体52、サブエアバッグ袋体62)が展開した際の側面図である。また、図4は、乗員保護装置101の動作概要を示すフローチャートである。
制御部110は、制御処理において、まず、衝突予測処理を行う(ステップS111)。具体的には、制御部110は、車載カメラ31、および、レーダー32から入力された情報に基づいて、車両1の衝突予測を行う。また、制御部110は、この衝突予測に加え、車両1の衝突判定処理も行う。なお、制御部110は、車両1の衝突を検知した場合には、以下の衝突予測時の処理と同様の処理を行ってもよいが、衝突時の処理を行うことが望ましい。この衝突時の処理では、例えば、サブエアバッグ袋体62を展開させず、メインエアバッグ袋体52のみを展開させるようにする。
次に、サブエアバッグ装置60の配置例について、説明する。
また、本実施の形態において、車載カメラ31は、第1の実施の形態で示した機能に加え、車内を撮影し、座席シート10に着座した乗員Pの着座状態、特に、乗員Pの腕や手の位置がわかるように撮影する。そして、撮影した画像情報が制御部110に入力され、制御部110のRAMに画像情報が記録されるとともに、画像情報が制御部110に解析されることにより、制御部110は、車内の状況、特に、乗員Pの状態をリアルタイムおよび事後的に認識することができる。なお、ここでいう、乗員Pの状態とは、特に、乗員Pの腕や手の位置を想定している。
左サブエアバッグ装置60Lは、ルーフ4の下部に、前後方向に延在して設けられている。また、左サブエアバッグ装置60Lは、座席シート10に着座した乗員Pの左腕の上方を通るように、ルーフ4の下部に設けられている。なお、左サブエアバッグ装置60Lは、乗員が座席シート10を前後方向に移動させても、乗員Pの左腕の上方を網羅するように、前後方向に十分な長さを有している。また、左サブエアバッグ装置60Lは、不図示の左サブ用インフレータと、左サブエアバッグ袋体62Lと、を有している。
左サブ用インフレータは、制御部110による車両1の衝突予測が行われた場合に、乗員Pの左腕や左手が所定の位置に検知されると、作動信号を受信し、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させるものである。また、左サブ用インフレータに発生されたガスは、左サブエアバッグ袋体62Lに圧入される。なお、左サブ用インフレータは、メイン用インフレータよりも、制御部110による作動信号が先に入力される。
左サブエアバッグ袋体62Lは、左サブ用インフレータによってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折り畳まれている。また、左サブエアバッグ袋体62Lは、左サブ用インフレータからガスが圧入されると、ルーフ4に取り付けられた所定の位置から、下方に向かって膨張展開し、乗員Pの左腕や左手を振り落とすものである。
右サブエアバッグ装置60Rは、左サブエアバッグ装置60Lと同様に、ルーフ4の下部に、前後方向に延在して設けられている。また、右サブエアバッグ装置60Rは、座席シート10に着座した乗員Pの右腕の上方を通るように、ルーフ4の下部に設けられている。そして、右サブエアバッグ装置60Rは、左サブエアバッグ装置60Lと同様に、乗員が座席シート10を前後方向に移動させても、乗員Pの右腕の上方を網羅するように、前後方向に十分な長さを有している。また、右サブエアバッグ装置60Rは、不図示の右サブ用インフレータと、右サブエアバッグ袋体62Rと、を有している。
右サブ用インフレータは、制御部110による車両1の衝突予測が行われた場合に、乗員Pの右腕や右手が所定の位置に検知されると、作動信号を受信し、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させるものである。また、右サブ用インフレータに発生されたガスは、右サブエアバッグ袋体62Rに圧入される。なお、右サブ用インフレータは、メイン用インフレータよりも、制御部110による作動信号が先に入力される。
右サブエアバッグ袋体62Rは、右サブ用インフレータによってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折り畳まれている。また、右サブエアバッグ袋体62Rは、右サブ用インフレータからガスが圧入されると、ルーフ4に取り付けられた所定の位置から、下方に向かって膨張展開し、乗員Pの右腕や右手を振り落とすものである。
次に、このような乗員保護装置101の動作について、説明する。
図6は、乗員保護装置101の動作概要を示すフローチャートである。
本実施の形態において、ステップS111、ステップS112、および、ステップS114の処理は、第1の実施の形態と同様の処理なので、説明を省略する。
なお、左サブエアバッグ装置60Lおよび右サブエアバッグ装置60Rが展開する左サブエアバッグ袋体62Lおよび右サブエアバッグ袋体62Rの左右方向の幅を広めに設けておくことにより、より確実に乗員Pの腕を払うことができる。
第3の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60を可動させるサブエアバッグ可動装置70を備えている。
図7に示すように、本実施の形態のサブエアバッグ可動装置70は、上部がルーフ4に取り付けられている。また、サブエアバッグ可動装置70は、座席シート10の左右方向の略中心の上部に、前後方向に延在して設けられている。そして、サブエアバッグ可動装置70は、下部にサブエアバッグ装置60を保持し、サブエアバッグ装置60の展開方向を、左右に回転させるものである。すなわち、サブエアバッグ可動装置70は、制御部110に制御されて、サブエアバッグ装置60を、車両1に対する左右方向に回転させるものである。したがって、サブエアバッグ可動装置70は、後述するように、サブエアバッグ袋体62の展開位置を可動させるようになっている。
次に、このような乗員保護装置101の動作について、説明する。
図8は、乗員保護装置101の動作概要を示すフローチャートである。
本実施の形態において、ステップS111、ステップS112、ステップS113、および、ステップS114の処理は、第1の実施の形態と同様の処理なので、説明を省略する。
次に、連結部が脆弱部によって形成されるサブエアバッグ袋体62を備えた乗員保護装置101の一例について、説明する。なお、上記実施の形態と同様の構成については、説明を省略する。
図9に示すように、サブエアバッグ袋体62は、先端部62aと、連結部62bと、基端部62cと、を有している。
先端部62aは、サブエアバッグ袋体62の先端、すなわち、サブエアバッグ袋体62が展開する際の前方(本実施の形態では、下方に展開する)に設けられており、乗員Pの腕を払う部分であり、車両1の前後方向に大きく展開するように形成されている。また、先端部62aの上部には、サブエアバッグ袋体62内のガスが放出されるベントホールが設けられている。
基端部62cは、サブエアバッグ袋体62の根本部分、すなわち、ルーフ4に接続される側であり、連結部62bの前後幅よりも、大きく形成されている。
次に、このような乗員保護装置101におけるサブエアバッグ袋体62およびメインエアバッグ袋体52の動作について、説明する。
このとき、メインエアバッグ袋体52は、まず、サブエアバッグ袋体62の先端部62aに接触する。
さらに、本実施の形態において、制御部110は、本願の衝突予測手段、展開制御手段を構成する。
さらに、本実施の形態において、車載カメラ31は、本願の乗員状態検知装置を構成する。また、本実施の形態において、サブエアバッグ可動装置70は、本願の展開方向可動装置を構成する。
Claims (5)
- 車両の衝突を予測する衝突予測手段と、
前記車両の前方から乗員に向かって展開するメインエアバッグと、
乗員の上方から下方に向かって展開し、前記メインエアバッグの展開による進行を妨げずに変形されるための脆弱部を有するサブエアバッグと、
前記衝突予測手段により車両の衝突が予測された際に、前記サブエアバッグを展開させてから、前記メインエアバッグを展開させる展開制御手段と、
乗員の腕の位置を検知する乗員状態検知装置と、を備え、
前記展開制御手段は、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置に基づいて前記乗員の腕がメインエアバッグの展開範囲にあるか判定し、前記腕が前記展開範囲にある場合に前記サブエアバッグを展開させる、
ことを特徴とする車両の乗員保護装置。 - 車両の衝突を予測する衝突予測手段と、
前記車両の前方から乗員に向かって展開するメインエアバッグと、
乗員の上方から下方に向かって展開し、前記メインエアバッグの展開による進行を妨げずに変形されるための脆弱部を有するサブエアバッグと、
前記衝突予測手段により車両の衝突が予測された際に、前記サブエアバッグを展開させてから、前記メインエアバッグを展開させる展開制御手段と、を備え、
前記サブエアバッグは、乗員の腕を払うための先端部と、車両の一部に接続される側の基端部と、を有し、前記先端部と前記基端部と前記脆弱部によって連結され、前記メインエアバッグの展開により、前記メインエアバッグの展開方向に変形される、
ことを特徴とする車両の乗員保護装置。 - 乗員の腕の位置を検知する乗員状態検知装置と、
を備え、
前記展開制御手段は、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置に基づいて前記乗員の腕がメインエアバッグの展開範囲にあるか判定し、前記腕が前記展開範囲にある場合に前記サブエアバッグを展開させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記サブエアバッグは、右腕用サブエアバッグと、左腕用サブエアバッグと、を有し、
前記展開制御手段は、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の右腕または左腕の位置に基づいて前記右腕または前記左腕がメインエアバッグの展開範囲にあるか判定し、
前記右腕が前記展開範囲にある場合に前記右腕用サブエアバッグを展開させ、
前記左腕が前記展開範囲にある場合に前記左腕用サブエアバッグを展開させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記サブエアバッグの展開方向を可動させる展開方向可動装置と、
を備え、
前記展開制御手段は、前記展開方向可動装置に対して、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置に向かって前記サブエアバッグが展開するように展開方向を可動させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両の乗員保護装置。
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