JP6871787B2 - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Description
このため、フロントエアバッグなどで用いるインフレータでは、多くの高圧ガスを瞬時に発生させる必要がある。また、フロントエアバッグの展開を開始させてから、フロントエアバッグが荷重を吸収できる状態に展開するまでには、瞬時的にではあるにせよ時間がかかる。
このようにシートの周囲に配置された内装部材からシートに着座した乗員へ向かって展開させるエアバッグでは、展開容量と効果とのバランスが基本的に良くない。
しかも、多様な衝突による乗員の倒れに対応させるためにエアバッグの幅といったサイズを大きくしたり、即時性を高めるために展開速度を速めようとしたりした場合には、さらにバランスが悪化してゆくことになる。
よって、アームレストエアバッグは、下展開部により乗員の腰部が前へずれることを抑制し、中展開部により上体が前へ倒れることを抑制し、上展開部により頭部が上体に対して振れることを抑制できる。
その結果、車両の前突時には、乗員を着座位置に維持しつつ上体の前への倒れを抑制し、上体が倒れてしまうことを抑制できる。
また、上体に対して頭部が振れてしまうことを抑制し、頭部または首部に対して頭部の傾きといった振れが影響し難くできる。
図1は、本発明の実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10を適用可能な自動車1の説明図である。
図1には、上から見た自動車1が図示されている。自動車1は、車両の一例である。
図1の自動車1は、車体2を有する。車体2の乗員室3内には、乗員が着座する複数のシート4が配置される。右前のシート4の前には、図示外のハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダルが配置される。シート4に着座した乗員がハンドルなどを操作することにより、自動車1は前進、停止、後退、右折、左折をする。
これらの各種の衝突形態に対応するために、自動車1では、シートベルト装置14とともに、各種のエアバッグ装置が用いられる。
図2(A)では、シート4に着座した乗員の前には、シートベルト15が掛け渡されている。また、シート4の前では、フロントエアバッグ18が展開している。
この場合、シート4に着座した乗員は、シートベルト15により拘束され、シート4に着座したまま、上体が前へ倒れる。前へ倒れた上体は、展開したフロントエアバッグ18に倒れ込む。
これにより、衝突の際に乗員に作用する衝撃を、吸収することができる。
このため、フロントエアバッグ18などで用いるインフレータでは、多くの高圧ガスを瞬時に発生させる必要がある。また、フロントエアバッグ18の展開を開始させてから、フロントエアバッグ18が荷重を吸収できる状態に展開するまでには、瞬時的にではあるにせよ時間がかかる。
このようにシート4の周囲に配置された内装部材からシート4に着座した乗員へ向かって展開させるエアバッグでは、展開容量と効果とのバランスが基本的に良くない。
しかも、多様な衝突による乗員の倒れに対応させるためにエアバッグの幅といったサイズを大きくしたり、即時性を高めるために展開速度を速めようとしたりした場合には、さらにバランスが悪化してゆくことになる。
図3において、乗員保護装置10は、撮像センサ11、衝突センサ12、タイマ13、シートベルト装置14、アームレストエアバッグ装置20、およびこれらが接続される制御部19、を有する。
衝突センサ12は、たとえば車体2に取り付けられた加速度センサであり、車体2に作用する衝突の衝撃を検出する。
タイマ13は、時間を計測する。
シートベルト装置14は、シートベルト15、図示外のリトラクタなどを有する。シートベルト15は、シート4に着座した乗員の前に掛け渡される。リトラクタは、車体2のたとえばBピラーなどに設けられ、シートベルト15を巻き取る。
図4は車体2の前側から見た正面図、図5は車体2の上側から見た平面図、図6は車体2の左側から見た側面図である。
図4から図6に示すように、シート4の背部の左右両側には、左右一対のアームレスト5が取り付けられる。なお、アームレスト5は、シート4の左右両側に設けられていればよく、シート4の左右両側に位置する内装部材であるドアパネルやセンターコンソールに形成されてもよい。
各アームレスト5は、シート4の座面より上側において、自動車1の前後方向に沿って延在する。
これにより、乗員は、左右の両腕部を、左右一対のアームレスト5の上に載せた姿勢で、シート4に着座できる。
助手席の乗員や後部座席の乗員だけでなく、運転席の乗員であってもたとえば自動運転中であれば、図4から図6に示す姿勢でシート4に着座できる。
そして、右側のアームレストエアバッグ装置20では、図4に示すように、アームレストエアバッグ22が、アームレスト5の左側の内面から展開する。
そして、乗員の右半身の前側において、アームレスト5から下向きに展開してシート4に着座した乗員を前から押す下展開部23と、シート4に着座した乗員の上体の前に展開する中展開部24と、中展開部24から上へ突出するように展開してシート4に着座した乗員の頭部の側方に展開する上展開部25と、が形成される。
また、左側のアームレストエアバッグ装置20では、図4に示すように、アームレストエアバッグ22が、アームレスト5の右側の内面から展開する。
そして、乗員の左半身の前側において、アームレスト5から下向きに展開してシート4に着座した乗員を前から押す下展開部23と、シート4に着座した乗員の上体の前に展開する中展開部24と、中展開部24から上へ突出するように展開してシート4に着座した乗員の頭部の側方に展開する上展開部25と、が形成される。
そして、右側のアームレストエアバッグ22と、左側のアームレストエアバッグ22とは、左右対称に展開して、シート4に着座した乗員の上体の前において互いに接する。
そして、制御部19は、自動車1の衝突を予測した場合に、タイマ13により計測されるタイミングにおいて、シートベルト装置14を作動させる。シートベルト装置14は、制御部19の制御により、衝突前にシートベルト15を巻き取るプリテンション動作を実施する。
そして、制御部19は、自動車1の衝突を検知した場合に、タイマ13により計測されるタイミングにおいて、アームレストエアバッグ装置20を作動させる。
一対のアームレストエアバッグ装置20は、インフレータを点火し、高圧ガスによりアームレストエアバッグ22を展開する。右側のアームレストエアバッグ22と、左側のアームレストエアバッグ22とは、左右対称に展開して、シート4に着座した乗員の上体の前において互いに接する。アームレストエアバッグ22では、まず下展開部23および中展開部24が展開し、その後に中展開部24の上から上展開部25が展開する。
これにより、乗員は、腰部および背面がシート4に接した状態に押さえられ、維持される。
また、それらの上展開部25は、乗員の頭部を左右両側から挟んで支える。
衝突の際に、乗員の上体の前に沿って、一対のアームレストエアバッグ22が展開している。これにより、乗員の上体は、前へ倒れ難くなる。
よって、アームレストエアバッグ22は、下展開部23により乗員の腰部が前へずれることを抑制し、中展開部24により上体が前へ倒れることを抑制し、上展開部25により頭部が上体に対して振れることを抑制できる。
その結果、自動車1の前突時には、乗員を着座位置に維持しつつ上体の前への倒れを抑制し、上体が倒れてしまうことを抑制できる。
また、上体に対して頭部が振れてしまうことを抑制でき、頭部の傾きといった振れの影響が頭部または首部に対して作用し難くなる。
よって、シート4に着座した乗員の上体に対して下展開部23および中展開部24を密着するように位置決めした状態で、中展開部24の上から上展開部25を展開させて、乗員の頭部の側方に対して上展開部25を展開させることができる。
その結果、衝突の衝撃による上体および頭部の倒れを効果的に抑制できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。
以下、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を使用し、その説明を省略する。また、主に第1実施形態との相違点について説明する。
図7において、アームレストエアバッグ22は、前展開部26を有し、アームレスト5の左右方向の内側の面から展開する。
前展開部26は、中展開部24から前外側へ展開し、アームレスト5の上面に当たる。
よって、アームレストエアバッグ22は、アームレスト5についての展開を開始した内面および上面においてアームレスト5により支持され、荷重が作用した状態でもアームレストエアバッグ22が倒れにくくなる。
特に、アームレスト5の上面により支持されることにより、アームレスト5から反力を得て、前へ倒れようとする上体および頭部を効果的に支持できる。
次に、本発明の第3実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。
以下、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を使用し、その説明を省略する。また、主に第1実施形態との相違点について説明する。
図8において、アームレストエアバッグ22は、横展開部27を有し、アームレスト5の下面から展開する。
横展開部27は、中展開部24から左右方向の外側へ展開し、アームレスト5についての左右方向の内面に当たる。
そして、中展開部24から左右方向の外側へ横展開部27が展開して、アームレスト5についての左右方向の内面に当たる。
よって、アームレストエアバッグ22は、アームレスト5についての展開を開始した面および内面においてアームレスト5により支持され、荷重が作用した状態でもアームレストエアバッグ22が倒れにくくなる。
特に、アームレスト5の内面により支持されることにより、アームレスト5から反力を得て、横へ倒れようとする上体および頭部を効果的に支持できる。
この他にもたとえば、アームレストエアバッグ22ともにフロントエアバッグ18を併せて展開させてもよい。
Claims (4)
- 車両のシートの側に設けられ、前記シートに着座した乗員の腕部を載置可能なアームレストと、
前記アームレストに設けられ、前記アームレストから左右一対のアームレストエアバッグを展開するアームレストエアバッグ装置と、
前記車両の衝突を検知または予測した場合に前記アームレストエアバッグを展開させる制御部と、
を有し、
前記アームレストから展開する前記アームレストエアバッグは、
前記アームレストから下向きに展開して前記シートに着座した乗員を前から押す下展開部と、
前記シートに着座した乗員の上体の前に展開する中展開部と、
前記中展開部から上へ突出するように展開して前記シートに着座した乗員の頭部の少なくとも側方に展開する上展開部と、を有し、
左右一対の前記アームレストエアバッグは、展開後に前記シートに着座した乗員の上体の前で互いに接する、
車両の乗員保護装置。 - 車両のシートの側に設けられ、前記シートに着座した乗員の腕部を載置可能なアームレストと、
前記アームレストに設けられ、前記アームレストからアームレストエアバッグを展開するアームレストエアバッグ装置と、
前記車両の衝突を検知または予測した場合に前記アームレストエアバッグを展開させる制御部と、
を有し、
前記アームレストから展開する前記アームレストエアバッグは、
前記アームレストから下向きに展開して前記シートに着座した乗員を前から前記シートに押す下展開部と、
前記シートに着座した乗員の上体の前に展開して前記乗員を前記シートに押す中展開部と、
前記中展開部から上へ突出するように展開して前記シートに着座した乗員の頭部の少なくとも側方に展開する上展開部と、を有する、
車両の乗員保護装置。 - 車両のシートの側に設けられ、前記シートに着座した乗員の腕部を載置可能なアームレストと、
前記アームレストに設けられ、前記アームレストからアームレストエアバッグを展開するアームレストエアバッグ装置と、
前記車両の衝突を検知または予測した場合に前記アームレストエアバッグを展開させる制御部と、
を有し、
前記アームレストから展開する前記アームレストエアバッグは、
前記アームレストから下向きに展開して前記シートに着座した乗員を前から押す下展開部と、
前記シートに着座した乗員の上体の前に展開する中展開部と、
前記中展開部から上へ突出するように展開して前記シートに着座した乗員の頭部の少なくとも側方に展開する上展開部と、を有し、
前記アームレストエアバッグは、前記アームレストについての上面以外から展開し、
前記中展開部から前側に展開する前展開部、を有し、
前記前展開部は、前記アームレストの上面に当たる、
車両の乗員保護装置。 - 車両のシートの側に設けられ、前記シートに着座した乗員の腕部を載置可能なアームレストと、
前記アームレストに設けられ、前記アームレストからアームレストエアバッグを展開するアームレストエアバッグ装置と、
前記車両の衝突を検知または予測した場合に前記アームレストエアバッグを展開させる制御部と、
を有し、
前記アームレストから展開する前記アームレストエアバッグは、
前記アームレストから下向きに展開して前記シートに着座した乗員を前から押す下展開部と、
前記シートに着座した乗員の上体の前に展開する中展開部と、
前記中展開部から上へ突出するように展開して前記シートに着座した乗員の頭部の少なくとも側方に展開する上展開部と、を有し、
前記アームレストエアバッグは、前記アームレストについての下面から展開し、
前記中展開部から左右方向の外側に展開する横展開部、を有し、
前記横展開部は、前記アームレストについての左右方向の内面に当たる、
車両の乗員保護装置。
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