JP7444313B1 - 表刷り用グラビア印刷インキ、それを用いた印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、接着性、塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性、防曇フィルムへの耐ブロッキング性、および印刷適性に優れた表刷り用グラビア印刷インキを提供することを課題とする。【解決手段】ウレタン樹脂(A)、ロジン樹脂、キレート剤、および有機溶剤を含有する表刷り用グラビア印刷インキであって、前記ウレタン樹脂(A)は、脂肪族二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有し、前記脂肪族二塩基酸が、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含有し、前記ロジン樹脂の酸価が、50~250mgKOH/gである、表刷り用グラビア印刷インキ。【選択図】なし

Description

本発明は表刷り用グラビア印刷インキおよびその印刷物に関するものである。
近年、商品パッケージその他の包装物には装飾や表面保護のために印刷が施されているのが一般的である。また、印刷物の意匠性、美粧性、高級感などの印刷品質のでき如何によって、消費者の購入意欲を促進させるものであり、産業上での価値は大きい。
一方、食品メーカーや印刷加工会社などからは包装物の多様化、包装技術の高度化に伴い、表刷り用の印刷インキに対して高度の品質、性能が要求されるようになってきている。表刷り用印刷インキは、例えばフレキソインキ、オフセットインキ、グラビア印刷インキその他が挙げられるが、中でも印刷速度が良好であるため、生産性の観点でグラビア印刷インキが多く使用されている。
表刷り用グラビア印刷インキの性能としては、印刷性能の品質はもちろんのこと、接着性、印刷して巻き取られた時にインキが基材の裏面に裏移り・接着しないための耐ブロッキング性、印刷適性、などといった各種耐性が要求されている。
接着性および各種耐性に優れた表刷り用グラビア印刷インキとして、例えば、ウレタン樹脂とセルロース誘導体および/または塩化ビニル-酢酸ビニル共重合が規定の比率であるバインダー樹脂、キレート剤および特定の質量平均分子量であるポリアミド樹脂を含有する表刷り用グラビア印刷インキ(特許文献1)、トール油脂肪酸よび米ぬか脂肪酸のうちいずれか一方を反応原料としたポリアミド樹脂とセルロース誘導体の含有比率、インキ各組成物の含有量を規定した表刷り用グラビア印刷インキ組成物(特許文献2)、酸基を有しないバインダー樹脂と酸価および含有量を規定したロジン系樹脂を含有する脱離用印刷インキ組成物(特許文献3)、ウレタン樹脂骨格に含まれる二塩基酸の炭素数が6であるインキ組成物(特許文献4)が提案されている。
特開2017‐025256号公報 特開2019‐183112号公報 特開2022‐080724号公報 特開2022‐101885号公報
本発明は、接着性、塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性、防曇フィルムへの耐ブロッキング性、および印刷適性に優れた表刷り用グラビア印刷インキを提供することを課題とする。
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の表刷り用グラビア印刷インキを用いることで上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、ウレタン樹脂(A)、ロジン樹脂、キレート剤、および有機溶剤を含有する表刷り用グラビア印刷インキであって、
前記ウレタン樹脂(A)は、脂肪族二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有し、
前記脂肪族二塩基酸が、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含有し、
前記ロジン樹脂の酸価が、50~250mgKOH/gである、表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、ウレタン樹脂(A)のアミン価が、1~20mgKOH/gである、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、更に、塩化ビニル系樹脂および/またはセルロース系樹脂を含む、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、キレート剤が、アセチルアセトン系チタンキレートおよび/またはアセト酢酸アルキル系チタンキレートを含む、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、更に、脂肪酸アミドおよび/またはポリアミド樹脂を含有する、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、脂肪酸アミドの重量平均分子量が、500~2,000である、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、ポリアミド樹脂の重量平均分子量が、1,000~20,000である、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸が、不飽和脂肪酸を含む、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、脂肪酸アミドが、ビスアミドを含む、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、更に、炭化水素ワックス粒子を含有する、前記表刷り用グラビア印刷インキに関する。
本発明は、基材上に、前記表刷り用グラビア印刷インキからなる印刷層を有する印刷物に関する。
本発明により、接着性、塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性、防曇フィルムへの耐ブロッキング性、および印刷適性に優れた表刷り用グラビア印刷インキを提供することが可能となった。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
なお、以下の説明において「表刷り用グラビア印刷インキ」は単に「グラビア印刷インキ」、「インキ組成物」、「インキ」と略記する場合がある。また「部」は特に断らない限り「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
本発明において「表刷り」とはプラスチック基材あるいは紙基材へ印刷した場合、印刷層側から見て印刷模様や絵柄を確認できる印刷方法をいう。なお、積層体あるいは包装袋とした場合に最外面が印刷層となる。表刷り用グラビア印刷インキを印刷して得られる層は「印刷層」、「インキ層」または「インキ被膜」と表記する場合があるが同義である。
<表刷り用グラビア印刷インキ>
ウレタン樹脂(A)、ロジン樹脂、キレート剤、および有機溶剤を含有する表刷り用グラビア印刷インキであって、前記ウレタン樹脂(A)は、脂肪族二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有し、前記脂肪族二塩基酸が、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含有し、前記ロジン樹脂は、酸価が50~250mgKOH/gである、表刷り用グラビア印刷インキである。
(1)上記ウレタン樹脂(A)が、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含む二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有することで、接着性が向上する。また、(2)キレート剤と酸価50~250mgKOH/gのロジン樹脂を含むことで、キレート剤とロジン樹脂のカルボキシル基が相互作用して塗膜の凝集力が向上し、また、ロジンのカルボキシル基と着色剤が相互作用することで、分散安定性が向上する。上記(1)および(2)の効果により、接着性、防曇フィルムへの耐ブロッキング性、塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性および印刷適性が向上する。更に、(3)脂肪酸アミド(特にビスアミド)及び/又はポリアミドを含むことで、インキ皮膜の表面にアミド基が配向し、インキ皮膜と接触する基材との相互作用を低減させる。(1)~(3)の効果により、接着性、防曇フィルムへの耐ブロッキング性、塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性が更に向上する。
<ウレタン樹脂(A)>
本発明において使用するウレタン樹脂(A)は、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含む二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有するが、その製造方法は、例えば特開2013-256551号公報や特開2016-043600号公報に記載の方法により合成することができ、好ましい形態として、上記構成単位を含むポリエステルポリオールを含むポリオールと、ポリイソシアネートとの反応で得られるウレタン結合を有するウレタン樹脂(A)である。また、必要に応じて残存するイソシアネートとポリアミンにより生成されるウレア結合を介して鎖延長されていてもよい。
上記ウレタン樹脂(A)が、脂肪族二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有し、前記脂肪族二塩基酸が、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含有することにより、接着性および防曇フィルムへの耐ブロッキング性を付与し、本願における課題解決に寄与する。脂肪族二塩基酸炭は、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することが更に好ましい。
なお、本発明の作用・効果を損なわない範囲で上記「炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含む二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有するウレタン樹脂(A)」以外のウレタン樹脂を含んでもよく、公知のウレタン樹脂を使用することができる。
(ポリオール)
ポリオールは1分子中に水酸基を平均で1.7~2.3個程度有することが好ましく、平均2個有することがより好ましい。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール類、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体などのポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、ビスフェノールAの酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるポリオール類、ダイマージオール類、ひまし油ポリオール類、水添ひまし油ポリオール類などの各種公知のポリオールが挙げることができ、単独で用いても、2種以上併用してもよい。またバイオマス由来の化合物ないし原料(バイオマス原料)をポリオールの構成要素として有していても良い。
本発明においては、基材となるポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムに対する接着性の観点から、ポリオールの中でもポリエステルポリオールが好ましい。また、2種以上のポリオールを併用する場合においては、接着性と耐ブロッキング性の観点から、ポリエステルポリオールをポリオールの全質量に対して40~100質量%含むことが好ましく、60~100質量%含むことが好ましく、80~100質量%含むことが更に好ましい。
ウレタン樹脂(A)を構成するポリエステルポリオールは、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を含む二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有することが必要であり、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸としては、ピメリン酸(炭素数7)、スベリン酸(炭素数8)、アゼライン酸(炭素数9)、セバシン酸(炭素数10)、ドデカン二酸(炭素数12)、テトラデカン二酸(炭素数14)等が挙げられる。前記脂肪族二塩基酸の炭素数は8~14が好ましく、9~12がより好ましい。上記範囲である場合、接着性および耐防曇フィルムブロッキング性が向上する。
ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタジオール、メチルペンタジオール、ヘキサジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、メチルノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリオールの数平均分子量は、ウレタン樹脂(A)の溶解性と防曇基材への耐ブロッキング性を保つため300以上が好ましく、500~6,000がより好ましく、1,000~3,000がさらに好ましい。
(脂肪族ジオール)
ウレタン樹脂(A)を構成するポリオールは、脂肪族ジオールを含むことが好ましい。 脂肪族ジオールは例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等の直鎖状ジオール類、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、メチルノナンジオール等の分岐ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、などの脂環族ジオール類等が挙げられ、複数種併用しても良い。中でも、炭素数1から6のアルキル基を置換基として有する脂肪族ジオールは、ポリオレフィン基材への接着性、および印刷適性に優れることから好ましい。より具体的には3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の分子量が180以下の脂肪族ジオールが好ましく使用される。
分子量が180以下の脂肪族ジオール由来の構造単位は、ウレタン結合密度を高めて結晶性と凝集力を付与し、ポリオール由来の構造単位は柔軟性と接着性に寄与する。そのため耐ブロッキング性と接着性が向上する。ポリオール由来の構造単位の総量中の前記脂肪族ジオール由来の構造単位(ただしポリオール中に含まれる構造単位は除く)の含有量は10~60質量%であると好ましく、20~40質量%であるとより好ましい。上記範囲である場合、イソシアネートと反応して得られるウレタン結合の凝集力が向上し、防曇フィルムへの耐ブロッキング性に優れる。
他のポリオール成分としては、芳香族ジオールや分子量が180を超える脂肪族ジオール等が挙げられ、これらを併用しても良い。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートとしてはジイソシアネートを使用することが好ましい。例えば、1,5ーナフチレンジイソシアネート、4,4'ージフェニルメタンジイソシアネート、4,4'ージフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'ージベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3ーフェニレンジイソシアネート、1,4ーフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ブタンー1,4ージイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4ートリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンー4、4'ージイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。中でもイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
本発明に使用するウレタン樹脂(A)を得るためには、ポリイソシアネート由来のNCOとポリオールおよび脂肪族ジオールを含むOHの反応モル比(NCOモル当量/OHモル当量)が0.5以上2以下、好ましくは1.05以上3以下となるように反応させ、次いで、必要に応じてポリアミンで鎖延長を行うこともできる。また、過剰反応を防止するため、更に反応停止剤を使用することもできる。
ウレタン化反応は、有機溶剤中で行ってもよいし、無溶剤で行ってもよい。有機溶剤を使用する場合は、反応時の温度および粘度、副反応の制御の面から適宜選択して用いるとよい。また無溶剤でウレタン化反応を行う場合は、均一なウレタン樹脂(A)を得るために、攪拌が十分可能な粘度となるように温度を上げて行うことが望ましい。ウレタン化反応は10分~5時間行うのが望ましく、反応の終点は粘度測定、IR測定によるNCO由来ピーク、滴定によるNCO%測定等により判断される。
鎖延長に用いるポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、イソホロンジアミン、アミノエチルエタノールアミン等の脂肪族ジアミン類であることが好ましい。また鎖延長剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類も使用することができる。 また反応停止剤としては、メタノール、エタノール等のモノアルコール類、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類が挙げられる。
ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は8,000~80,000であることが好ましく、10,000~60,000であることがより好ましく、20,000~50,000であることが更に好ましい。ガラス転移温度は0℃以下であることが好ましく、-40℃~-5℃であることがなお好ましく、-35~-10℃であることが更に好ましい。塩化ビニル系樹脂またはセルロース系樹脂との親和性が良好となるためである。ウレタン樹脂(A)はアミン価を有するものが好ましく、アミン価は1~20mgKOH/gであるとより好ましく、5~15mgKOH/gであるとさらに好ましく、7~10mgKOH/gであることが特に好ましい。上記範囲であると、接着性が向上する。ウレタン樹脂(A)のウレタン結合濃度は、0.5~4mmol/gであることが好ましく、1.0~3.5mmol/gであることがより好ましく、2~3mmol/gであることが更に好ましく、2.5~2.8mmol/gであることが特に好ましい。上記範囲である場合、接着性、耐塩ビブロッキング性、及び耐防曇フィルムブロッキング性が向上する。ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度は、0.1~2.0mmol/gであることが好ましく、0.4~1.7mmol/gであることがより好ましく、0.9~1.4mmol/gであることが更に好ましい。上記範囲である場合、接着性、耐塩ビブロッキング性、及び耐防曇フィルムブロッキング性が向上する。ウレタン樹脂(A)の軟化点は、80~240℃であることが好ましく、110~210℃であることがより好ましく、140~180℃であることが更に好ましい。上記範囲である場合、耐塩ビブロッキング性、及び耐防曇フィルムブロッキング性が向上する。
ウレア結合を有する場合の製造方法は、特に限定されるものではないが、脂肪族ジオールおよびポリオール並びにポリイソシアネートを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの、イソシアネート基の数を1とした場合の鎖延長剤および反応停止剤中のアミノ基の合計数量が0.5~1.3の範囲内であることが好ましい。
(ウレタン結合濃度)
上記において(NCOモル当量/OHモル当量)>1の場合は下記の式(1)で表される。
式(1)
ウレタン結合濃度(mmol/g)=総水酸基モル数(mmol)/総固形分(g)
ここで、総水酸基モル数とはウレタンを形成する反応において用いられる高分子ポリオール、脂肪族ジオールその他ポリオールの有する水酸基の総モル数をいう。また、総固形分とはウレタン樹脂となる不揮発成分の総質量をいう。
上記において(NCOモル当量/OHモル当量)<1の場合の場合は下記の式(2)で表される。
式(2)
ウレタン結合濃度(mmol/g)=総イソシアネート基モル数(mmol)/総固形分(g)ここで、総イソシアネート基モル数とはウレタンを形成する反応において用いられるポリイソシアネートの有するイソシアネート基の総モル数をいう。
(ウレア結合濃度)
上記(NCOモル当量/OHモル当量)>1の条件で末端イソシアネート基を有するプレポリマーを合成した後にポリアミンで鎖延長し、ウレタン樹脂の末端にアミノ基を有する場合、下記の式(3)で表される。
式(3)
ウレア結合濃度(mmol/g)=[総イソシアネート基モル数(mmol)-総水酸基モル数(mmol)]/総固形分(g)
上記(NCOモル当量/OHモル当量)>1の条件で末端イソシアネート基を有するプレポリマーを合成した後にポリアミンで鎖延長し、ウレタン樹脂の末端にイソシアネート基を有する場合、下記の式(4)で表される。
式(4)
ウレア結合濃度(mmol/g)=(総アミノ基モル数(mmol))/総固形分(g)
ここで総アミノ基モル数とは、末端イソシアネート基を有するプレポリマーと反応させてウレア結合を生成するために用いられるポリアミンの有するアミノ基の総モル数をいう。
<ロジン樹脂>
本発明で使用するロジン樹脂とは、ロジン酸(アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等)由来の構造単位を主成分(50質量%以上)として有するものをいう。ロジン酸またはロジン樹脂は水素化されていても良い。ロジン樹脂の種類としては例えばロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル、重合ロジン樹脂などが挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種のロジン樹脂であることが好ましい。
ロジン変性マレイン酸樹脂は、ロジン由来の構造とマレイン酸および/または無水マレイン酸由来の構造を有する樹脂である。ロジンエステルは、水素化ロジンとアルコールをエステル化した後に得られたエステル化物を脱水素化反応させたもの、あるいは水素化ロジンとアルコールを脱水素触媒の存在化にエステル化と脱水素化反応させるものをいう。
水素化ロジンは、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンを部分的にまたは完全に水素化反応したのち、精製して得られるものである。
またアルコール成分としては、n-オクチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコールのような1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の4価アルコールが挙げられる。反応に際しては、必ずしもエステル化触媒を必要としないが、反応時間の短縮のために酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒、水酸化カルシウム等のアルカリ金属の水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物等を使用することもできる。
ロジン樹脂の酸価は50~250mgKOH/gであり、100~250mgKOH/gであることがより好ましく、150~250mgKOH/gであることが更に好ましく、180~220mgKOH/gであることが特に好ましい。上記範囲である場合、顔料との相互作用が向上することで印刷適性が良好となる。また、酸価が50~250mgKOH/gであるロジン樹脂と、キレート剤を併用することにより、これらの相互作用により塗膜の凝集力が向上し、強固なインキ被膜を形成して塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性が良好となる。酸価が50~250mgKOH/gであるロジン樹脂は、グラビア印刷インキ全質量中に0.1~5質量%含有することが好ましく、0.5~4%含有することがより好ましい。また、樹脂全質量中に5~40質量%含有することが好ましく、15~25%含有することがより好ましい。上記の場合、塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性および防曇フィルムへの耐ブロッキング性が良好となる。ウレタン樹脂(A)とロジン樹脂の固形分比率は、5:5~9.5:0.5であることが好ましく、7:3~9:1であることがより好ましい。上記の場合、塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性、防曇フィルムへの耐ブロッキング性、及び印刷適性が良好となる。
また、ロジン樹脂の軟化点は100~200℃であることが好ましく、130~180℃であることがより好ましい。上記範囲である場合、接着性が向上する。なお、軟化点とは環球法による測定値をいう。軟化点は例えばJISK2207に記載の測定法により測定することができる。
表刷り用グラビア印刷インキは、更に、塩化ビニル系樹脂および/またはセルロース系樹脂を含むことが好ましい。
<塩化ビニル系樹脂>
本発明において使用する塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル由来の構造単位とその他モノマー由来の構造単位を含有するものであれば特に限定されない。塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル酸共重合樹脂等が挙げられ、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂が好ましい。
(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーを共重合して得られる。分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、20,000~70,000が更に好ましい。塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1~30質量%が好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70~99質量%であることが好ましく、80~99質量%であることがより好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に接着性、インキ層の物性等が良好となる。また、水酸基を有することが好ましく、共重合において更にビニルアルコールを用いる、または酢酸ビニルの一部をケン化することで得られる。塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率は、樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動に影響を与え、例えば、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の水酸基価は、50~180mgKOH/gが好ましく、70~160mgKOH/gがより好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましく、60~80℃であることがより好ましい。
上記ウレタン樹脂(A)と上記塩化ビニル系樹脂との組み合わせにより、防曇フィルムへの耐ブロッキング性が向上する。他の樹脂をさらに併用する場合、樹脂総量中、ウレタン樹脂(A)および塩化ビニル系樹脂を合計で60~100質量%含有することが好ましく、80~100質量%以上含有することがより好ましい。接着性が良好となるためである。
更に、上記ウレタン樹脂(A)と上記塩化ビニル系樹脂の固形分質量比(ウレタン樹脂/塩化ビニル系樹脂)は95/5~50/50であることが好ましく、95/5~60/40であることがより好ましく、95/5~70/30であることが更に好ましい。この配合比および組み合わせのとき、接着性と耐ブロッキング性、更には印刷適性が良好となる。
<セルロース系樹脂>
セルロース系樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。
セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースが好ましい。特に好ましくはニトロセルロースである。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましく、140~180℃であるものがより好ましい。ウレタン樹脂(A)との併用で耐ブロッキング性等のインキ被膜物性が更に向上するためである。
(ニトロセルロース)
上記ニトロセルロースは、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましく、平均重合度20~200、更には30~150の範囲のものが好ましい。平均重合度が20以上の場合、インキ層の強度が向上し、耐摩擦性が向上する。また、平均重合度が200以下の場合、溶剤への溶解性、インキの低温安定性、併用樹脂との相溶性が向上する。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、7,500~100,000のものがより好ましく、10,000~50,000のものが更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましく、140~180℃であるものがより好ましく、窒素分は10.5~12.5質量%であることが好ましい。
好ましいニトロセルロース樹脂としては、TRシリーズ(TNC INDUSTRIAL社製)、DLXシリーズ(Nobel Enterprises社製)等が挙げられる。
上記ウレタン樹脂(A)と上記セルロース系樹脂との組み合わせにより、防曇フィルムへの耐ブロッキング性が向上する。上記ウレタン樹脂(A)と上記セルロース系樹脂の固形分質量比は、95/5~40/60であることが好ましく、95/5~50/50であることがより好ましく、95/5~60/40であることが更に好ましい。この組み合わせおよび配合比のとき、接着性や、耐ブロッキング性等、印刷インキ層の各種耐性が良好となるためである。
<キレート剤>
本発明の表刷り用グラビア印刷インキは、キレート剤を含有する。キレート剤を含有することで、インキ被膜における凝集力が向上し、基材に対する密着性が向上する。キレート剤としては有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物等が挙げられ、1分子中にTi-O-C型結合をもつチタンキレートが好ましい。チタンキレートは、一般に架橋反応完結に加温が必要な反面、常温での加水分解が起り難く、安定性に優れておりインキへの使用に適しており、好適に使用することが出来る。具体的には、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド、トリエタノールアミンチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、オクチレングリコールチタネート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのチタンキレートを挙げることができる。1分子中にZr-O-C型結合をもつジルコニウムキレートとしては、ジルコニウムエチルアセトアセテート等が挙げられる。
中でも、アセチルアセトン系チタンキレートおよび/またはアセト酢酸アルキル系チタンキレートを使用することが好ましく、アルコキシ基を有するアセチルアセトン系チタンキレートおよび/またはアルコキシ基を有するアセト酢酸アルキル系チタンキレートを使用することがより好ましく、アルコキシ基を有するアセチルアセトン系チタンキレートおよびアルコキシ基を有するアセト酢酸アルキル系チタンキレートを併用することが更に好ましい。上記の場合、接着性および耐防曇フィルムブロッキング性、および印刷適性が向上する。
また、前記ロジン樹脂と、上記のアセチルアセトン系チタンキレートおよび/またはアセト酢酸アルキル系チタンキレートを使用することにより、耐塩ビブロッキング性が更に向上する。基材に対する密着性および耐塩ビブロッキング性を両立するには、ロジン樹脂と、アセチルアセトン系チタンキレートおよび/またはアセト酢酸アルキル系チタンキレートとの質量比が10:90~90:10であることが好ましく、15:85~60:40であることがより好ましく、20:80~40:60であることが特に好ましい。
キレート剤は、グラビア印刷インキ全質量中に0.1~5質量%含有することが好ましく、0.3~3質量%含有することがより好ましい。0.1質量%以上の場合、接着性および耐ブロッキング性が向上する。また、5質量%以下の場合、インキの保存安定性および印刷適性が向上する。
<脂肪酸アミド、ポリアミド樹脂>
本発明の表刷り用グラビア印刷インキには、更に脂肪酸アミドおよび/またはポリアミド樹脂を用いることが好ましい。本願において脂肪酸アミドは、脂肪酸残基及びアミド基またはアミド結合を有する化合物を指し、アミド基およびアミド結合の合計数が1であるモノアミド、アミド基およびアミド結合の合計数が2であるビスアミドがあり、また、ポリアミド樹脂は、アミド基またはアミド結合を有する樹脂を指し、アミド基およびアミド結合の合計数が3以上である。中でもポリアミド樹脂、ビスアミドが好ましく、より好ましくはビスアミドである。
ビスアミドは1分子中のアミド基がモノアミドよりも多く、1分子中のアミド基がより多いポリアミド樹脂よりも重量平均分子量が比較的低い。よって、ビスアミドの場合、モノアミドやポリアミドに比べてインキ皮膜の表面に配向しているアミド基が多く、インキ皮膜と接触する基材との相互作用を低減させる効果により、耐ブロッキング性がより向上すると考えられる。
脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸が挙げられ、不飽和脂肪酸が好ましい。飽和脂肪酸は、炭素数10~22の飽和脂肪酸が好ましく、炭素数12~18の飽和脂肪酸がより好ましい。不飽和脂肪酸は、炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸などが挙げられ、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。
不飽和脂肪酸からなるビスアミドが、耐防曇フィルムブロッキング性、有機溶剤への溶解性および印刷適正の点から特に好ましい。
(モノアミド)
モノアミドは下記一般式(5)または一般式(6)で表される。
一般式(5)
-CONH
一般式(6)
-CONH-R
(式中、R、R2、およびRは、炭素数10~25の脂肪族炭化水素基を表し、同一でも異なっていても良い。)
モノアミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-オレイルオレイン酸アミド、等が挙げられ、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドが好ましく、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドがより好ましい。
(ビスアミド)
ビスアミドは下記一般式(7)または一般式(8)で表される。
一般式(7)
-CONH-R-HNCO-R
一般式(8)
-NHCO-R-CONH-R
(式中、R、R、R、およびRは、炭素数10~25の脂肪族炭化水素基を表し、同一でも異なっていても良く、RおよびRは、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
なお、本発明の作用・効果を損なわない範囲で上記一般式(7)または一般式(8)で表されるもの以外のビスアミドを含んでもよく、公知のビスアミドを使用することができる。
ビスアミドとしては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられ、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミドが好ましく、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミドがより好ましい。
脂肪酸アミドの重量平均分子量は、500以上2,000以下であることが好ましく、550以上1,750以下であることがより好ましく、600以上1,500以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量が500以上の場合は耐ブロッキング性が向上する。分子量が5,000以下の場合は印刷後にインキ皮膜の表面に配向しやすくなり、滑り性を発現させて耐ブロッキング性が良好となる。
また、脂肪酸アミドは、インキ組成物中に0.1~5質量%含有することが好ましく、より好ましくは、0.2~4質量%である。含有量が0.1質量%以上の場合は耐ブロッキング性が向上し、5質量%の以下の場合は印刷適正が向上する。
脂肪酸アミドは、軟化点が80~160℃であることが好ましく、より好ましくは90~130℃である。上記範囲においてインキ被膜が強くなる。軟化点が80℃以上の場合は、印刷物のインキ被膜の表面タック切れが良好となり、ブロッキングを防ぐ。軟化点が140℃以下の場合はインキ被膜が柔軟となり接着性が向上する。
(ポリアミド樹脂)
本発明において使用するポリアミド樹脂は以下に限定されるものではないが、好ましくは多塩基酸と多価アミンとを重縮合して得ることができる有機溶剤に可溶な熱可塑性ポリアミドである。特に、重合脂肪酸および/またはダイマー酸を含有する酸成分と、脂肪族および/または芳香族ポリアミンの反応物を含むポリアミド樹脂であるとより好ましく、一級および二級モノアミンを一部含有するものであると更に好ましい。
ポリアミド樹脂の原料で使用される多塩基酸としては、以下に限定されるものではないが、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、グルタル酸、フマル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、テレフタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、トリメリット酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、重合脂肪酸などが挙げられ、その中でもダイマー酸あるいは重合脂肪酸に由来する構造を(ポリアミド樹脂中に50質量%以上)含有するポリアミド樹脂が好ましい。ここで、重合脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の環化反応等により得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸(ダイマー酸)、三量化重合脂肪酸等を含むものである。なお、重合脂肪酸あるいはダイマー酸を構成する脂肪酸は、大豆油由来、パーム油由来、米糠油由来など天然油に由来するものを好適に挙げることができ、オレイン酸およびリノール酸から得られるものが好ましい。
多塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
ポリアミド樹脂の原料で使用される多価アミンとしては、ポリアミン、一級または二級モノアミンなど挙げることができる。
ポリアミンとしてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン、キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンを挙げることができる。
さらに、一級および二級モノアミンとしては、n-ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。
ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、1,000以上20,000以下であることが好ましく、3,000以上14,000以下であることがより好ましく、6,000以上10,000以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量が500以上の場合は耐ブロッキング性が向上する。分子量が20,000以下の場合は印刷後にインキ皮膜の表面に配向しやすくなり、滑り性を発現させて耐ブロッキング性が良好となる。
また、ポリアミド樹脂は、インキ組成物中に0.1~5質量%含有することが好ましく、より好ましくは、0.2~4質量%である。含有量が0.1質量%以上の場合は耐ブロッキング性が向上し、5質量%の以下の場合は印刷適正が向上する。
ポリアミド樹脂は、軟化点が80~150℃であることが好ましく、より好ましくは90~130℃である。上記範囲においてインキ被膜が強くなる。軟化点が80℃以上の場合は、印刷物のインキ被膜の表面タック切れが良好となり、ブロッキングを防ぐ。軟化点が140℃以下の場合はインキ被膜が柔軟となり接着性が向上する。
<炭化水素ワックス粒子>
本発明の表刷り用グラビア印刷インキには、さらに炭化水素ワックス粒子を用いることが好ましい。炭化水素ワックスとしてはポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられ、インキ組成物中に0.1~3質量%含有することが好ましく、より好ましくは、0.3~2.5質量%である。本発明のバインダー樹脂と併用することで耐ブロッキング性がさらに向上する。
炭化水素系ワックスのJISK2207で規定された25℃における硬度(針入度)は、12以下であることが好ましく、0.5~10であることが好ましく、1~8であることが更に好ましい。上記範囲である場合、耐ブロッキング性が良好となる。炭化水素系ワックスのJISK7112(B法)に規定された23℃における密度は、900~990kg/mであることが好ましく、925~990kg/mであることがより好ましい。上記範囲である場合、耐ブロッキング性が良好となる。炭化水素系ワックスのDSC測定における融点は、90~150℃であることが好ましく、100~125℃であることがより好ましい。上記範囲である場合、耐ブロッキング性が良好となる。なお、炭化水素系ワックスの融点は、DSC昇温曲線における吸熱ピークのピークトップ(極小値)の融点を表す。炭化水素系ワックスの平均粒子径は、0.5~12μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましく、1.5~4μmであることが更に好ましい。なお、炭化水素系ワックスにおける平均粒子径とは、動的光散乱法での測定におけるD50の値を表す。
<着色剤、顔料>
本発明の表刷り用グラビア印刷インキには、着色剤を含んでもよい。着色剤としては顔料が挙げられる。本発明で利用可能な顔料は特に限定されず、一般に印刷インキや塗料で使用できる各種の無機顔料や有機顔料を好適に使用できる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料、および、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。また有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などが好適である。なおこれらに限らず、前記顔料はカラーインデックスのジェネリックネームで記載のものが適宜使用可能である。これらの顔料の含有量としては、インキ総量中に0.5~50質量%が好ましい。
<添加剤>
本発明の表刷り用グラビア印刷インキには、必要に応じて各種添加剤を使用することができる。例えば、顔料分散剤、体質顔料、無機系微粒子、レベリング剤、接着補助剤等を挙げることができる。具体的には、顔料の分散性を向上させるための顔料分散剤、乾燥性や塗膜隠蔽性を向上させるための体質顔料、防滑性を付与するために無機系微粒子、レベリング性を向上させるためのレベリング剤、消泡性を付与するための消泡剤、基材に対する密着性を向上させるための接着補助剤等の各種添加剤を挙げることができる。
<有機溶剤>
本発明のインキ組成物で利用する溶剤としては、主に、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、アセトン,メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤、および、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶剤が挙げることができ、バインダー樹脂の溶解性や乾燥性などを考慮して、混合して利用することが好ましい。これらの有機溶剤の使用量としては、インキ総量中に20質量%以上含有することが好ましい。なお、印刷時の臭気や環境対応のため、有機溶剤はエステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤の混合溶剤を主成分とすることが好ましく、その質量比(エステル系有機溶剤:アルコール系有機溶剤)が、50:50~90:10であることが好ましい。
<表刷り用グラビア印刷インキの製造>
本発明の表刷り用グラビア印刷インキを製造する方法として、まず、顔料、ウレタン樹脂等(A)等のバインダー樹脂、キレート剤、有機溶剤、および必要に応じて脂肪酸アミドおよび/またはポリアミド樹脂、炭化水素ワックス粒子、その他添加剤などを含む組成物を、羽根つき攪拌装置を用いて均一に撹拌混合した後、各種練肉機、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、パールミル等を利用して分散し、さらに、他の樹脂や添加等を混合する方法がある。中でもビーズミルを用いて顔料を含む組成物を混錬・分散することが好ましい。
<基材>
本発明の印刷インキは、基材上に印刷されて印刷物となる。当該基材は特に限定されないが、フィルム基材であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル基材、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系基材、ナイロン基材、ポリアミド基材、ポリ塩化ビニル基材、ポリ塩化ビニリデン基材、セロハン基材などのフィルム基材、およびこれらの複合材料からなるフィルム基材が挙げられる。基材は、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの金属あるいは金属酸化物が蒸着されていても良く、更に蒸着面をポリビニルアルコールなどの塗料でコーティング処理を施されていてもよい。一般的に、印刷される基材表面はコロナ処理などの表面処理が施されている場合が多い。さらに基材は、予め防曇剤の塗工、練り込み、マット剤の表面塗工、練り込みなどの加工が施されたフィルムも使用する事が可能である。 また、基材は、単層でもよいし、2つ以上の基材が積層された積層体(基材層)であってもよい。基材層を構成する基材は、同じでも異なっていてもよい。
中でもポリオレフィン基材であることが好ましい。当該ポリオレフィン基材は表面処理されていてもよいし、されていなくてもよい。
<印刷物>
印刷物は基材上に表刷り用グラビア印刷インキを印刷することで形成される。基材上に、本発明の表刷り用グラビア印刷インキを用いて印刷した後、揮発成分を除去することによってインキ層を形成し、印刷物を得ることができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式であり、例えば、グラビア印刷に適した粘度および濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給され、印刷される。その後、オーブンによる乾燥によってインキ層を定着することで得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表す。
<重量平均分子量および数平均分子量>
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求めた。昭和電工社製「Shodex GPC-104」を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量を求めた。以下に測定条件を示す。
カラム:下記の複数のカラムを直列に連結して使用。
昭和電工社製 Shodex LF-404 2本
昭和電工社製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)、
カラム温度:40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
<酸価>
酸価は、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸等を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に記載された方法で測定した。
<アミン価>
アミン価の測定は、JISK0070(1992年)に準じて以下の方法により行った。
・アミン価の測定方法
試料を0.5~2g精秤する(試料量:Sg)。精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30mLを加え溶解させる。得られた溶液に対して0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)を用いて滴定を行う。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とする。この時の滴定量(AmL)を用い、次の(式9)によりアミン価を求める。
(式9)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S
<軟化点>
軟化点の測定方法は、自動環球式軟化点試験機OSK-40DP-81PV0144(オガワ精機社製)を用いて、「日本工業規格」JIS K 6863-1944による環球法による軟化点試験方法で行った。
<合成例1><ウレタン樹脂(A)溶液PU1の調整>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに数平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンタンジオールとセバシン酸の縮合物であるポリエステルポリオール103.2部、ネオペンチルグリコール35.2部、イソホロンジイソシアネート121.4部、2-エチルヘキシル酸第一錫0.03部および酢酸エチル65.1部を仕込み、窒素気流下に90℃で2時間反応させ、酢酸エチル165.3部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液490.2部を得た。次いでイソホロンジアミン33.6部、ジ-n-ブチルアミン1.2部、酢酸エチル237.5部、イソプロピルアルコール200.6部の混合物に、得られた末端イソシアネートプレポリマー490.2部を室温で徐々に添加、次に50℃で1時間反応させた。その後、イソホロンジイソシアネート5.3部を加えて粘度調整した後、酢酸エチル/イソプロピルアルコールを質量比で2/1の割合で混合した溶剤で固形分を30%に調整し、脂肪族二塩基酸中における、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸の含有量100質量%、軟化点161℃、ウレタン結合濃度2.6mmol/g、ウレア結合濃度1.2mmol/g、アミン価8.2mgKOH/g、重量平均分子量40,000のウレタン樹脂(A)溶液PU1を得た。
<合成例2~7>(ウレタン樹脂(A)PU2~PU7の合成)
表1に示した配合および原料を使用した以外は合成例1と同様の方法でウレタン樹脂(A)(PU2)~(PU7)を合成した。なお、表1中の略称は以下を示す。
MPD:3-メチル-1,5-ペンタンジオール
SeA:セバシン酸
AdA:アジピン酸
NPG:ネオペンチルグリコール
IPA:イソプロピルアルコール
MPD/SeA:MPDとSeAの脱水縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
MPD/AdA・SeA:MPDとAdA・SeAの脱水縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
Figure 0007444313000001



<塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液の調製>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(水酸基価:154mgKOH/g、重量平均分子量:28000、ガラス転移温度:78℃)20部を、酢酸エチル80部に混合溶解させて、固形分20%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液を得た。
<塩化ビニル-アクリル酸共重合樹脂溶液の調製>
塩化ビニル-アクリル酸共重合樹脂(水酸基価:59mgKOH/g、重量平均分子量:45000、ガラス転移温度:69℃)20部を、酢酸エチル80部に混合溶解させて、固形分20%の塩化ビニル-アクリル酸共重合樹脂溶液を得た。
<ニトロセルロース溶液の調製>
ニトロセルロース イソプロピルアルコール湿潤品(TNC INDUSTRIAL社製、製品名NC TR2)20部を、酢酸n-プロピル:酢酸エチル:イソプロピルアルコール:メチルシクロヘキサン=20:20:20:40(重量比)からなる混合溶剤80部に混合溶解させて、固形分20%のニトロセルロース溶液を得た。
<セルロースアセテートブチレート溶液の調製>
セルロースアセテートブチレート(EASTMAN CHEMICAL社製、製品名CAB553-0.4、ガラス転移温度:136℃、重量平均分子量20,000)20部を、酢酸エチル:イソプロピルアルコール:=50:50(重量比)からなる混合溶剤80部に混合溶解させて、固形分20%のセルロースアセテートブチレート溶液を得た。
<ロジン樹脂>
ロジン樹脂(1)酸価200、軟化点160℃(ハリマ化成社製、ハリマックスAS-5)
ロジン樹脂(2):酸価100、軟化点175℃(荒川化学工業社製、マルキード3002)
ロジン樹脂(3):酸価20、軟化点145℃(荒川化学工業社製、マルキード5)
ロジン樹脂(4):酸価300、軟化点150℃(荒川化学工業社製、マルキード33)
各ロジン樹脂50部を、酢酸エチル:イソプロピルアルコール:=50:50(重量比)からなる混合溶剤50部に混合溶解させて、固形分50%のロジン樹脂溶液を得た。
<キレート剤>
チタンキレート(1):チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)(成分濃度75%、イソプロピルアルコール25%)
チタンキレート(2):チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(成分濃度75%、イソプロピルアルコール25%)
ジルコニウムキレート:ジルコニウムエチルアセトアセテート(成分濃度75%、ブチルアルコール25%)
<脂肪酸アミドおよびポリアミド樹脂>
ビスアミド(1):ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド(Mw)650
ビスアミド(2):エチレンビスオレイン酸アミド(Mw)590
ビスアミド(3):エチレンビスステアリン酸アミド(Mw)590
モノアミド:オレイン酸アミド(Mw)280
ポリアミド(1):(Mw)8,000(ハリマ化成社製、製品名ニューマイド838)
ポリアミド(2):(Mw)15,000(三洋化成工業社製、製品名ポリマイドS-1962)
<炭化水素ワックス>
ポリエチレンワックス(三井化学社製 製品名ハイワックス320MP、分子量:3,000、密度:930、融点107℃、軟化点114℃、硬度(針入度):7)
<実施例1>
フタロシアニン系青色顔料(トーヨーカラー社製 リオノールブルーFG-7400G(C.I.ピグメントブルー15:4)10部、ウレタン樹脂(A)(PU1)34部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液6部、ロジン樹脂溶液5部、ビスアミド(1)1部、チタンキレート(1)0.5部、チタンキレート(2)1.3部、ポリエチレンワックス1部、酢酸n-プロピル:酢酸エチル:イソプロピルアルコール:メチルシクロヘキサン=35:30:20:15(重量比)からなる混合溶剤41.2部をサンドミル(アイガーミル)で混練し、表刷り用グラビア印刷インキ(インキS1)を調製した。
<実施例2~22>
表2に記載した原料および配合比を使用した以外は実施例1と同様の方法で表刷り用グラビア印刷インキ組成物(インキS2~S22)を得た。
<比較例1~6>
表3に記載した原料および配合比を使用した以外は実施例1と同様の方法で表刷り用グラビア印刷インキ組成物(インキT1~T6)を得た。
<表刷り用グラビア印刷物の製造(印刷)>
実施例1で得られた表刷り用グラビア印刷インキを希釈溶剤(酢酸n-プロピル:酢酸エチル:イソプロピルアルコール:メシルシクロヘキサン=35:30:20:15(重量比))で希釈し、ザーンカップNo.3で15秒に調整し、印刷用の希釈インキとした。
次にコロナ放電弱処理ポリプロピレンフィルム(D-SHNY01、28μm、DIC(株)社製)または防曇フィルム(AF-642S 25μm、(フタムラ化学社製)にグラビア校正印刷機を利用して版深30ミクロンの腐蝕版で印刷(乾燥温度50℃、印刷速度50m/分)を行い、印刷物を得た。
実施例2~22で得られた表刷り用グラビア印刷インキを使用した以外は、上記と同様の方法でポリプロピレンフィルム印刷物および防曇フィルム印刷物をそれぞれ得た。
比較例1~6で得られた表刷り用グラビア印刷インキを使用した以外は、上記と同様の方法でポリプロピレンフィルム印刷物および防曇フィルム印刷物をそれぞれ得た。
実施例1~22および比較例1~6で得られた表刷り用グラビア印刷インキおよびその印刷物を用いて以下に記載の評価を行った。結果を表2および表3に示す。
<接着性>
実施例1~22、比較例1~6のポリプロピレンフィルムに印刷した印刷物のインキ被膜面に粘着テープ(製品名セロハンテープ)を貼り付け、これを急速に剥がしたときのインキ被膜がフィルムから剥離する度合いから、接着性を評価した。なお、評価は印刷後に25℃で24時間静置後に行った。
評価基準
A.インキ層がフィルムから取られない
B.インキ層がフィルムから取られ、フィルムから剥離した面積が5%未満であるもの
C.インキ層のフィルムから剥離した面積が5%以上15%未満であるもの
D.インキ層のフィルムから剥離した面積が15%以上50%未満であるもの
E.インキ層のフィルムから剥離した面積が50%以上であるもの
なお、A、BおよびCは実用上問題がない範囲である。
<耐塩ビブロッキング性>
実施例1~22、比較例1~6のポリプロピレンフィルムに印刷した印刷物を4cm角に切り、同じ大きさに切った軟質塩化ビニルシートと印刷物のインキ被膜面とを重ね合わせて、0.5kg/cmの荷重をかけ、50℃/80%RHの雰囲気で24時間放置後、印刷面と塩化ビニルシートを引き剥がし、インキ被膜の剥離の程度から耐塩ビブロッキング性を評価した。
評価基準
A.インキ層がフィルムから取られない
B.インキ層がフィルムから取られ、フィルムから剥離した面積が5%未満であるもの
C.インキ層のフィルムから剥離した面積が5%以上15%未満であるもの
D.インキ層のフィルムから剥離した面積が15%以上50%未満であるもの
E.インキ層のフィルムから剥離した面積が50%以上であるもの
なお、A、BおよびCは実用上問題がない範囲である。
<耐防曇フィルムブロッキング性>
実施例1~22、比較例1~6の防曇フィルムに印刷した各表刷りグラビア印刷物を100kg/cmの荷重で巻取り、巻き取った印刷物を60℃の雰囲気で24時間放置後、巻き取った印刷物の印刷面と非印刷面を引き剥がし、インキの剥離の程度から耐ブロッキング性を評価した。
評価基準
A.インキ層がフィルムから取られない
B.インキ層がフィルムから取られ、フィルムから剥離した面積が5%未満であるもの
C.インキ層のフィルムから剥離した面積が5%以上15%未満であるもの
D.インキ層のフィルムから剥離した面積が15%以上50%未満であるもの
E.インキ層のフィルムから剥離した面積が50%以上であるもの
なお、A、BおよびCは実用上問題がない範囲である。
<印刷適性>
実施例1~22、比較例1~6で得られた表刷り用グラビア印刷インキについて、希釈溶剤(酢酸n-プロピル:酢酸エチル:イソプロピルアルコール:メチルシクロヘキサン=35:30:20:15(重量比))にて、粘度をザーンカップNo.3で15秒(25℃)に調整し、室温:35℃、湿度:80%の条件にて、印刷機における版を印刷速度300m/分で90分間空転後の、版かぶり部分の面積を目視判定し、評価を行った。
評価基準
A.版かぶりが目視で確認できない
B.版かぶりが目視で確認でき、版かぶり面積が5%未満であるもの
C.版かぶり面積が5%以上10%未満であるもの
D.版かぶり面積が10%以上20%未満であるもの
E.版かぶり面積が20%以上であるもの
なお、A、BおよびCは実用上問題がない範囲である。
Figure 0007444313000002



Figure 0007444313000003



以上より、比較例1では、ウレタン樹脂(A)中の前記脂肪族二塩基酸が、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含有しなかったため、接着性および耐防曇フィルムブロッキング性が不良であった。比較例2では、ウレタン樹脂(A)を含まなかったため、接着性、耐塩ビブロッキング性、耐防曇フィルムブロッキング性、および印刷適性が不良であった。比較例3では、ロジン樹脂を含まなかったため、耐塩ビブロッキング性、耐防曇フィルムブロッキング性、および印刷適性が不良であった。比較例4では、ロジン樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であったため、耐塩ビブロッキング性および耐防曇フィルムブロッキング性、および印刷適性が不良であった。比較例5では、ロジン樹脂の酸価が250mgKOH/g超であったため、耐防曇フィルムブロッキング性が不良であった。比較例6では、キレート剤を含まなかったため、耐塩ビブロッキング性、耐防曇フィルムブロッキング性、および印刷適性が不良であった。
一方で、実施例では、ウレタン樹脂(A)、ロジン樹脂、キレート剤、および有機溶剤を含有する表刷り用グラビア印刷インキであって、前記ウレタン樹脂(A)は、脂肪族二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有し、前記脂肪族二塩基酸が、炭素数7~16脂肪族二塩基酸を80質量%以上含有し、前記ロジン樹脂の酸価が、50~250mgKOH/gであるため、接着性、耐塩ビブロッキング性、耐防曇フィルムブロッキング性、および印刷適性が良好であった。特に、耐ブロッキング性に関しては、印刷物は紙管に巻き取られた状態で保管されるため、保管時は印刷層と印刷基材が接し、かつ荷重がかかる状態となる。特に巻取りの中心部ほど印刷物にかかる荷重が大きくなり、ブロッキングが非常に発生しやすくなるため、高い耐ブロッキング性が求められる。そのため、本発明における耐防曇フィルムブロッキング性試験は、従来にない高荷重条件で実施した。また、印刷適性に関しては、近年の地球温暖化の影響で、高温、高湿度下での印刷環境への適応が求められており、かつ、生産効率化の観点から高速印刷も求められている。そのため、本発明の印刷適性試験は、従来にない、高温、高湿度、高速印刷(空転)の条件で実施した。これらの条件においても、本発明のインキは耐防曇フィルムブロッキング性および印刷適性が良好であった。

Claims (11)

  1. ウレタン樹脂(A)、ロジン樹脂、キレート剤、および有機溶剤を含有する表刷り用グラビア印刷インキであって、
    前記ウレタン樹脂(A)は、脂肪族二塩基酸とジオールとからなるポリエステル由来の構成単位を含有し、
    前記脂肪族二塩基酸が、炭素数7~16の脂肪族二塩基酸を80質量%以上含有し、
    前記ロジン樹脂の酸価が、50~250mgKOH/gである、表刷り用グラビア印刷インキ。
  2. ウレタン樹脂(A)のアミン価が、1~20mgKOH/gである、請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  3. 更に、塩化ビニル系樹脂および/またはセルロース系樹脂を含む、請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  4. キレート剤が、アセチルアセトン系チタンキレートおよび/またはアセト酢酸アルキル系チタンキレートを含む、請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  5. 更に、脂肪酸アミドおよび/またはポリアミド樹脂を含有する、請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  6. 脂肪酸アミドの重量平均分子量が、500~2,000である、請求項5に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  7. ポリアミド樹脂の重量平均分子量が、1,000~20,000である、請求項5に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  8. 脂肪酸アミドを構成する脂肪酸が、不飽和脂肪酸を含む、請求項5または6に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  9. 脂肪酸アミドが、ビスアミドを含む、請求項5または6に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  10. 更に、炭化水素ワックス粒子を含有する、請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ。
  11. 基材上に、請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキからなる印刷層を有する印刷物。
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