JP7435919B1 - 数値制御装置 - Google Patents

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Abstract

本開示に係る数値制御装置は、サーボモータ(71x)、及び、前記サーボモータにブレーキを掛けるブレーキ装置(711x)を制御し、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置であって、前記振動切削に伴う微振動の振動回数に基づいて、ブレーキ装置(711x)の劣化を推定する推定部(482)を有する。

Description

本開示は、振動切削を制御する数値制御装置に関する。
数値制御装置に制御されるサーボモータは、例えば、鉛直方向に対して移動可能な送り台が電源OFF時に落下するのを防止するため、通常、ブレーキ装置を備えている。このブレーキ装置を構成する部品は、ブレーキ動作等の繰り返しにより摩耗し、この部品の摩耗によりブレーキ装置に寿命が到来する。このため、ブレーキ装置の劣化や寿命を前もって把握し、不具合や不意の故障に備えることが重要である。
ブレーキ装置の劣化を把握することついては、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、電磁ブレーキの仕事量を算出し、この電磁ブレーキの仕事量を工作機械が非常停止するブレーキ動作毎に積和することにより電磁ブレーキの総仕事量を算出し、この電磁ブレーキの総仕事量に基づいて電磁ブレーキの寿命を監視する技術が開示されている。
特開2006-155199号公報
しかしながら、上記の特許文献1では、ブレーキ動作に起因する劣化の監視に限られており、例えば、振動切削を行う工作機械において、振動切削の振動で摩耗する締結ハブ、又は摩擦板等を部品として有するブレーキ装置の振動切削に起因する劣化を把握することはできない。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、サーボモータにブレーキを掛けるブレーキ装置の振動切削に起因する劣化を把握することが可能な数値制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る数値制御装置は、サーボモータを制御し、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置であって、振動切削に伴う微振動の振動回数に基づいて、サーボモータにブレーキを掛けるブレーキ装置の劣化を推定する推定部を有する。
本開示によれば、サーボモータにブレーキを掛けるブレーキ装置の振動切削に起因する劣化を把握することが可能な数値制御装置を提供することができる。
実施形態に係る数値制御装置の構成例を示す図。 実施形態に係るブレーキ装置の実装例を説明するための図。 実施形態に係るブレーキ装置の動作を説明するための図。 実施形態に係るブレーキ装置の締結ハブの構造の例を説明するための図。 実施形態に係る数値制御装置が実行する処理の例を示す図。 実施形態に係る振動切削の実行時間とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報の例を表す図。 実施形態に係る数値制御装置が出力する表示画面の一例を示す図。 実施形態に係る振動切削制御の動作条件を示す図。 実施形態に係る振動切削制御の動作条件変更前後の振動波形の例を示す模式図。 実施形態に係る数値制御装置が出力する表示画面の他の例を示す図。 変形例に係る数値制御装置の構成例を示す図。 変形例に係る数値制御装置が実行する処理の例を示す図。 他の実施形態に係るブレーキ装置の動作を説明するための図。 実施形態及び変形例に係る制御演算部のハードウェア構成例を示す図。
以下、図面を参照しながら実施の形態に係る数値制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これら実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施形態.
図1は、実施形態に係る数値制御装置1の一例を示すブロック図である。この図1に示される数値制御(NC:Numerical Control)装置1は、例えば、切削加工を行う工作機械に対して、工具を振動させながら加工する振動切削の制御を実行するコンピュータである。数値制御装置1は、入力操作部2、出力部3、及び制御演算部4を有する。また、図1では、例えば、工作機械の構成要素である駆動部7が示されている。なお、駆動部7は工作機械とは独立した要素であってもよい。
駆動部7は、制御演算部4と接続されており、工作機械の加工対象である加工ワークを加工するための工具、及び加工ワークの少なくとも一方を駆動する機構である。本実施形態では、駆動部7は、例えば、加工ワークを回転させながら、X軸方向に平行な方向とZ軸方向に平行な方向の2方向に工具を駆動し、加工ワークの加工を行う機構である。X軸方向は、例えば鉛直方向、すなわち重力方向である。Z軸方向は、例えば水平方向である。なお、本実施形態では、加工ワークの中心軸線をZ軸とし、当該Z軸に直交する方向をX軸と規定している。なお、軸方向は機械構成によるため、上記方向に限定されない。
駆動部7は、X軸サーボモータ71x、検出器72x、及びX軸サーボ制御部73xを有する。X軸サーボモータ71xは、数値制御装置1上で規定されたX軸に工具を移動させる。検出器72xは、X軸サーボモータ71xの位置及び速度を検出する。X軸サーボ制御部73xは、数値制御装置1からの指令、並びに、検出器72xにて検出された位置情報及び速度情報に基づいて、X軸サーボモータ71xのフィードバック制御を行う。フィードバック制御については、以下、フィードバックをFBとも記載する。X軸サーボ制御部73xは、X軸サーボモータ71xのFB制御を行うことにより、工具のX軸方向の動作を実現する。また、駆動部7は、検出器72x にて検出された位置情報を、X軸のFB振動移動量として制御演算部4に出力する。
また、駆動部7は、Z軸サーボモータ71z、検出器72z、及びZ軸サーボ制御部73zを有する。Z軸サーボモータ71zは、数値制御装置1上で規定されたZ軸に工具を移動させる。検出器72zは、Z軸サーボモータ71zの位置及び速度を検出する。Z軸サーボ制御部73zは、数値制御装置1からの指令並びに検出器72zにて検出された位置情報及び速度情報に基づいて、Z軸サーボモータ71zのFB制御を行う。Z軸サーボ制御部73zは、Z軸サーボモータ71zのFB制御を行うことにより、工具のZ軸方向の動作を制御する。また、駆動部7は、検出器72zにて検出された位置情報を、Z軸のFB振動移動量として制御演算部4に出力する。
なお、工作機械は刃物台を1つ、又は、2つ以上備えていてもよい。工作機械が刃物台を2つ以上備えている場合、駆動部7は、1つの刃物台毎に、X軸サーボモータ71x、検出器72x、及びX軸サーボ制御部73x、Z軸サーボモータ71z、検出器72z、及びZ軸サーボ制御部73zを2組以上備えている。
また、駆動部7は、主軸モータ71s、検出器72s、及び主軸制御部73sを有する。主軸モータ71sは、加工ワークを回転させる主軸を回転させる。検出器72sは、主軸モータ71sの位置及び回転数を検出する。主軸制御部73sは、数値制御装置1からの指令並びに検出器72sにて検出された位置情報及び速度情報に基づいて、主軸モータ71sのFB制御を行う。主軸制御部73sは、主軸モータ71sのFB制御を行うことにより、加工ワークの回転動作を制御する。なお、検出器72sが検出する回転数は、主軸モータ101sの回転数に対応する。
なお、工作機械は2つ以上の加工ワークを同時に加工してもよい。工作機械が2つ以上の加工ワークを同時に加工する場合、駆動部7は、主軸モータ71s、検出器72s、及び主軸制御部73sを2組以上備えている。このとき、工作機械は、例えば、2つ以上の刃物台を備えている。
入力操作部2は、制御演算部4に対して情報を入力する手段である。入力操作部2は、例えば、キーボード、ボタン、又はマウス等の入力手段によって構成されている。入力操作部2は、例えば、オペレータによる数値制御装置1に対するコマンド等の入力、加工プログラム番号等の入力、及び振動切削に関連するパラメータ等の入力等を受け付けて、制御演算部4に入力する。
出力部3は、制御演算部4からの情報を出力する手段である。出力部3は、例えば液晶表示装置等の表示手段によって構成されている。出力部3には、制御演算部4によって処理された情報が表示画面に表示される。なお、実施形態では、出力部3として表示手段を備えたこととしたが、この構成に限らない。出力部3は、例えば、数値制御装置1がネットワークに接続され、当該ネットワークに接続された表示装置またはコンピュータの表示装置であってもよい。また、出力部3は、スピーカ等の音声デバイスであってもよい。
制御演算部4は、入力制御部41、データ設定部42、記憶部43、出力制御部44、解析処理部45、制御信号処理部46、PLC(Programmable Logic
Controller)回路部47、補間処理部48、加減速処理部49、及び軸データ入出力部50を有する。なお、本実施形態では、制御演算部4の内部にPLC回路部47を配置することとしたが、制御演算部4の外部にPLC回路部47を配置してもよい。
入力制御部41は、入力操作部2から入力される情報を受け付ける。データ設定部42は、入力制御部41で受け付けられた情報を記憶部43に記憶する。すなわち、入力操作部2が受け付けた入力情報は、入力制御部41及びデータ設定部42を介して記憶部43に書き込まれる。
記憶部43は、パラメータ記憶エリア431、加工プログラム記憶エリア432、表示データ記憶エリア433、及び共有エリア434を有している。
パラメータ記憶エリア431内には、制御演算部4の処理で使用されるパラメータ、具体的には、数値制御装置1を動作させるための制御パラメータ、サーボパラメータ、工具データ、及び振動切削に関するパラメータが格納される。
加工プログラム記憶エリア432内には、加工ワークの加工に用いられる1以上のブロックを含む加工プログラムが格納される。なお、本実施形態では、加工プログラムは、工具を移動させる指令である移動指令や、主軸を回転させる回転指令等を含んでいる。
表示データ記憶エリア433内には、出力部3で表示される画面表示データが格納される。画面表示データは、出力部3に情報を表示するためのデータである。また、共有エリア434には、制御演算部4が各処理を実行する際に一時的に使用するデータが格納される。例えば、入力操作部2が受け付けた加工プログラム番号は、入力制御部41及びデータ設定部42を介して記憶部43の共有エリア434に書き込まれる。
出力制御部44は、記憶部43の表示データ記憶エリア433に格納された画面表示データを出力部3に表示させる。
制御演算部4では、解析処理部45、制御信号処理部46、及び補間処理部48が、記憶部43を介して互いに接続されており、当該記憶部43を介して情報の書き込み及び情報の読み出しが行われる。以下では、解析処理部45、制御信号処理部46、及び補間処理部48の間の情報の書き込み及び読み出しを説明する際に、記憶部43が介されることを省略する場合がある。
解析処理部45は、記憶部43に接続されている。解析処理部45は、当該記憶部43の共有エリア434に書き込まれた加工プログラム番号を参照しており、共有エリア434内の選択された加工プログラム番号を共有エリア434から受け付けると、選択された加工プログラムを加工プログラム記憶エリア432内から読み出して、加工プログラムの各ブロック(各行)に対して解析処理を行う。解析処理部45は、主軸モータ回転数指令であるSコード、軸移動等に関する指令であるGコード、及び機械動作指令であるMコード等を解析する。解析処理部45は、加工プログラムの各行に対して解析処理を終えると、Sコード、Gコード、及びMコード等の解析結果を、記憶部43の共有エリア434に書き込む。
また、解析処理部45は、加工プログラムにSコードが含まれている場合、当該Sコードを解析することによって、主軸の回転数である主軸回転数を取得する。そして、解析処理部45は、この取得した主軸回転数を、記憶部43の共有エリア434に書き込む。
また、解析処理部45は、加工プログラムにGコードが含まれている場合、当該Gコードを解析することによって、工具が加工位置を移動するための工具送りの条件である移動条件を取得する。この移動条件は、刃物台を移動させるX 軸方向及びZ軸方向の速度、並びに、刃物台を移動させるX軸方向及びZ軸方向の位置等によって示される。そして、解析処理部45は、この取得した移動条件を、記憶部43の共有エリア434に書き込む。
また、解析処理部45は、加工プログラムに振動切削のGコードが含まれている場合、当該Gコードを解析することによって、振動切削において工具を振動させる周波数である振動周波数、及び、振動切削において工具を振動させる振幅を含む振動条件を取得する。そして、解析処理部45は、この取得した振動条件を、記憶部43の共有エリア434に書き込む。
制御信号処理部46は、PLC回路部47に接続されており、PLC回路部47から、工作機械の機械を動作させるリレーなどの信号情報を受付ける。制御信号処理部46は、受付けた信号情報を、記憶部43の共有エリア434に書き込む。これらの信号情報は、加工運転時に補間処理部48が参照する。また、制御信号処理部46は、解析処理部45によって共有エリア434に補助指令が出力されると、この補助指令を共有エリア434から読み出してPLC回路部47に送る。補助指令は、数値制御軸である駆動軸を動作させる指令以外の指令である。補助指令は、例えば、Mコード又はTコードである。
補間処理部48は、記憶部43及び加減速処理部49と接続されている。補間処理部48は、当該記憶部43の共有エリア434を参照しており、解析処理部45によって上記移動条件及び上記振動条件が当該共有エリア434に書き込まれると、上記移動条件及び上記振動条件を読み出し、読み出した移動条件及び振動条件を用いて、X軸方向への指令振動移動量であるX軸指令振動移動量を生成するとともに、Z軸方向への指令振動移動量であるZ軸指令振動移動量を生成する。なお、X軸指令振動移動量及びZ軸指令振動移動量を総称して単に指令振動移動量とも記載する。補間処理部48は、この生成した指令振動移動量を、記憶部43の共有エリア434に書き込むとともに、加減速処理部49に出力する。また、補間処理部48は、加減速処理部49からFB振動移動量を取得すると、取得したFB振動移動量を記憶部43の共有エリア434に書き込む。
加減速処理部49は、補間処理部48及び軸データ入出力部50と接続されている。加減速処理部49は、補間処理部48から出力された指令振動移動量を、予め指定された加減速パターンに従って加減速を考慮した単位時間当たりの移動指令に変換し、この変換した移動指令を軸データ入出力部50に出力する。また、加減速処理部49は、軸データ入出力部50から出力されたFB振動移動量を補間処理部48に出力する。
軸データ入出力部50は、加減速処理部49及び駆動部7と接続されている。軸データ入出力部50は、加減速処理部49から出力された単位時間当たりの移動指令を駆動部7に出力する。また、軸データ入出力部50は、駆動部7から出力されたFB振動移動量を加減速処理部49に出力する。
次に、ブレーキ装置の実装例について説明する。本実施形態では、X軸方向、すなわち鉛直方向に工具を移動させるX軸サーボモータ71xがブレーキ装置を備えているものとする。なお、X軸サーボモータ71xが備えるブレーキ装置は、X軸サーボモータ71xに対して内蔵されている形態であってもよいし、外付けされている形態であってもよい。また、ブレーキ装置を備えるのは、X軸サーボモータ71x以外のサーボモータであってもよい。例えば、工具の移動方向に鉛直成分を含むような制御が可能なサーボモータは、ブレーキ装置を備えている。
図2は、実施形態に係るブレーキ装置の実装例を説明するための図である。図2によれば、X軸サーボモータ71xは、ブレーキ装置711x、モータ本体712x、及びシャフト713xを有する。なお、X軸サーボモータ71xには、検出器72xが配置されている。また、図2に示されるX軸方向は、例えば、鉛直方向を表している。
また、図2によれば、X軸サーボモータ71xには、送り機構81xが接続されている。送り機構81xは、カップリング811x、ボールねじ812x、稼働部813x、及びボールねじ支持部814xを有する。カップリング811xは、X軸サーボモータ71xと送り機構81xとを連結する機能を有する。ボールねじ812xは、例えば、X軸方向に沿って配設され、X軸サーボモータ71xの回転により、カップリング811xを介してX軸の軸線中心に回転可能である。稼働部813xは、ボールねじ812xの回転により、X軸に沿った方向、例えば、鉛直方向に沿った上下方向に移動可能である。
非常停止等で工作機械を緊急で停止する場合は、ブレーキ装置711xが動作して、モータ本体712xの回転を停止させる。このとき、ボールねじ812xの回転が停止することにより、稼働部813xの上下移動も停止する。
なお、ブレーキ装置711xはモータ本体712x側ではなくボールねじ支持部814xに組み込まれていてもよい。また、X軸は鉛直方向で説明したが、X軸が鉛直方向に対して斜めに設定された状態で加工する工作機械を用いる場合、当該工作機械に接続されるサーボモータにブレーキ装置が組み込まれていてもよい。また、X軸とは異なる他の軸が鉛直方向を含むように設定されている場合、当該他の軸を制御するサーボモータにブレーキ装置が組み込まれていてもよい。具体的には、例えば、Y軸が鉛直方向を含むように設定されている場合、当該Y軸を制御するサーボモータにブレーキ装置が組み込まれていてもよい。
次に、締結ハブを有するブレーキ装置の動作について説明する。図3は、実施形態に係るブレーキ装置の動作を説明するための図である。図3では、ブレーキ装置711xのX軸方向に平行な模式的な断面構造の一例を参照し、ブレーキON時、及び、ブレーキOFF時の動作について説明する。なお、図3では、説明に必要な構成以外の構成は省略している。
図3に示されるブレーキ装置711xは、外歯歯車7111x、内歯歯車7112x、摩擦板7113x、固定プレート7114x、押付プレート7115x、ハウジング7116x、電磁コイル7117x、及びバネ7118xを備えている。外歯歯車7111x、及び内歯歯車7112xは、請求項における締結ハブの一例である。
外歯歯車7111xは、内歯歯車7112xと噛み合っている。以下、図4を用いて外歯歯車7111x及び内歯歯車7112xの具体的関係について説明する。図4は、実施形態に係るブレーキ装置の締結ハブの構造の例を説明するための図である。
図4によれば、例えば、外歯歯車7111xには貫通孔が形成されており、当該貫通孔にシャフト713xが挿通され固定されている。外歯歯車7111xは、シャフト713xの軸を中心としてシャフト713xの回転に同期して回転する。
外歯歯車7111xは、外周に沿って複数の外歯7119xを有している。また、内歯歯車7112xは、内周に沿って複数の内歯7120xを有している。ブレーキ装置711xを使用する際は、図4に示される複数の外歯7119xと複数の内歯7120xが噛み合うような位置関係に、外歯歯車7111x及び内歯歯車7112xが配置される。このとき、内歯歯車7112xは、外歯歯車7111xに対してX軸方向に移動可能に配置されている。そして、ブレーキOFF時において、内歯歯車7112xは外歯歯車7111xの回転に同期して回転する。
また、外歯歯車7111xと内歯歯車7112xとの間には予めバックラッシが設定されている。バックラッシは、歯車と歯車が噛み合う部分に意図的に設けられた隙間のことであり、例えば、押付プレート7115xの動作、ブレーキ仕様、及び組立性等の観点から最適な値が設定される。バックラッシを表す単位は、例えば「分」である。「分」は「度」又は「°」の60分の1の角度の大きさを表す単位である。なお、本実施形態では、バックラッシを表す単位として「°」を用いて説明する。
図3に戻って、摩擦板7113xは、内歯歯車7112xと連結されている。摩擦板7113xは、内歯歯車7112xの回転に同期して回転する。固定プレート7114xは、例えば、ブレーキOFFからブレーキONに切り替えられた際に、摩擦板7113xのモータ本体712x側から離れる方向の移動を制限する機能を有する。
図3において、ブレーキOFF時では、電磁コイル7117xが励磁されている。すなわち、電磁コイル7117xに電流が流れている。このとき、バネ7118xの弾性力より大きい電磁力が発生し、押付プレート7115xは、電磁コイルに引き寄せられ、モータ本体712x側に移動する。これにより、摩擦板7113xは、固定プレート7114x、及び、ハウジング7116xから離れた位置に配置される。このとき、摩擦板7113xは、固定プレート7114x、及び、ハウジング7116xとの間の摩擦はなく、回転を制限されない。したがって、外歯歯車7111xは、内歯歯車7112x、及び摩擦板7113xは、シャフト713xの回転と合わせて回転することができる。
図3において、ブレーキON時では、電磁コイル7117xに流れる電流が止められて電磁力が消滅し、バネ7118xの弾性力により、押付プレート7115xがモータ本体712xから離れる方向に移動する。これにより、摩擦板7113xは、押付プレート7115x及び固定プレート7114xの両方に当接し、挟まれた状態となり、摩擦力により摩擦板7113xの回転が制止される。したがって、摩擦板7113xと連結している内歯歯車7112xが制止し、歯車を介して外歯歯車7111x及びモータ軸であるシャフト713xの回転が停止する。
また、ブレーキON時では、非常停止等でX軸サーボモータ71xが停止した直後において、図2に示される稼働部813xは、重力の作用により、外歯歯車7111x及び内歯歯車7112xの間に設けられたバックラッシ分だけ落下した後に停止する。このように、非常停止等において、ブレーキ装置711xにより稼働部813xの落下を止めることが可能となる。
ここで、振動切削ではない通常の加工では、加工によるX軸の移動は一方向のため、例えば、図4に示される外歯歯車7111xが備える外歯7119xは、これに噛み合う内歯歯車7112xが備える2つの内歯7120xのうち、一方にのみ当接する。しかしながら、振動切削中においては、振動切削に伴う微振動が加工の移動に重畳されるため、外歯歯車7111xが備える外歯7119xは、これに噛み合う内歯歯車7112xが備える2つの内歯7120xの両方と、例えば振動切削に伴う微振動の周期で、当接を繰り返す。このため、外歯歯車7111xが備える複数の外歯7119xと内歯歯車7112xが備える複数の内歯7120xは、通常加工のみを行う場合に比べて、早く擦り減ることになり、ブレーキ装置の寿命が早く到来する。そして、ブレーキ装置の寿命が到来した状況でサーボモータを使用し続けた場合、非常停止等において、例えば、X軸サーボモータ71xが備える稼働部813xが想定以上に落下して他の機械構造に衝突して故障につながる可能性も出てくるため、ブレーキ装置の交換が必要となる。このように、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置において、ブレーキ装置711xが備える締結ハブ、すなわち外歯歯車7111x及び内歯歯車7112xは、ブレーキ動作に起因する摩耗よりも、振動切削に起因する摩耗の影響が大きくなる。なお、振動切削に伴う微振動とは、振動切削において工具を振動させる振動条件に基づく振動であり、例えば、振動切削が実行されている間にブレーキ装置711xに伝達される振動である。
図1に戻って、本実施形態に係る補間処理部48は、振動切削の実行時間に基づいて、ブレーキ装置の劣化を推定する。具体的には、補間処理部48は、計測部481、推定部482、変更部483、波形生成部484、及び振動移動量生成部485を有する。
計測部481は、振動切削の実行時間を計測する。具体的には、計測部481は、例えば、1つのブレーキ装置において、振動切削が実行されている時間の累積値を記憶する。また、計測部481は、振動切削の実行時間の累積値が所定の値以上であるか否か判定する。
推定部482は、振動切削に伴う微振動の振動回数に基づいて、ブレーキ装置711xの劣化を推定する。推定部482は、例えば、計測部481によって計測された振動切削の実行時間、及び、振動切削の振動周波数に基づいて、ブレーキ装置711xの劣化を推定する。振動切削の振動周波数とは、例えば、振動切削において微振動を発生させるために設定される周波数である。振動切削に伴う微振動の振動回数は、振動切削の実行時間、及び、振動切削の振動周波数から計算することができる。なお、推定部482は、波形生成部484により生成される振動の基本波形である振動波形に基づいて、振動回数をカウントし、これを累積することで、振動切削に伴う微振動の振動回数としてもよい。
具体的には、推定部482は、振動切削の実行時間とブレーキ装置の劣化の進行との関係を示す劣化進行情報を参照し、ブレーキ装置711xの劣化を推定する。このとき、劣化進行情報には、振動切削の前提条件となる振動切削の振動周波数に関する情報も含まれている。劣化執行情報は、振動切削の実行時間が長いほどブレーキ装置の劣化が進行する進行度合いを示す。劣化進行情報は、例えば、振動切削の実行時間とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報、すなわち振動切削の実行時間が長くなるほどブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗が進む関係を示す情報である。締結ハブにおける摩耗量は、例えば、外歯歯車7111x、及び、内歯歯車7112xとの間で発生する摩耗の量である。この摩耗量は、例えば、外歯歯車7111x、及び、内歯歯車7112xとの間のバックラッシの値によって認識される。
なお、振動切削の実行時間とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報は、例えば、ブレーキ装置711xと同種、又は類似の機械構成を有するブレーキ装置について振動切削時間に対する耐久試験を実施して予め取得した測定値等に基づく情報である。具体的には、振動切削の実行時間に沿った複数の時点において、ブレーキ装置が備える締結ハブのバックラッシを測定した結果に基づく情報である。なお、耐久試験で用いるブレーキ装置は、ブレーキ装置711xと同型のものを用いてもよい。
また、測定の前提となる振動周波数は、例えば、平均166.7Hzである。平均166.7Hzは、例えば、166.7Hzである振動周波数、少なくとも1以上の166.7Hzより小さい振動周波数、及び、少なくとも1以上の166.7Hzより大きい振動周波数を指定し、所定の時間内に実行される振動切削の平均の振動周波数が166.7Hzとなるように、段階的に振動切削を実行することを繰り返すことにより実現される。また、測定の前提となる振動周波数が所定の値、例えば166.7Hzに固定された状態で測定が実行されてもよい。なお、測定の前提となる振動周波数は、劣化進行情報に含まれていなくてもよい。このとき、推定部482は、劣化進行情報と劣化進行情報に関連付けられた測定の前提となる振動周波数を参照するようにしてもよい。
変更部483は、推定部482により推定された劣化の推定結果に基づいて、振動切削の振動条件を変更する。具体的には、変更部483は、例えば、ブレーキ装置711xの寿命が延びるように、すなわち、ブレーキ装置711xの劣化の進行を遅らせるように、主軸1回転当たりの振動回数(回)、及び主軸回転速度(r/min)のうち、少なくとも1つを変更する。これにより、振動切削に伴う微振動の振動周波数(Hz)が変更される。より具体的には、変更部483は、例えば、振動切削に伴う微振動の振動周波数(Hz)が小さくなるように、主軸1回転当たりの振動回数(回)、及び主軸回転速度(r/min)のうち、少なくとも1つを変更前と比べて小さくする。
波形生成部484は、解析処理部45から取得した情報に基づいて、振動の基本波形である振動波形を生成する。波形生成部484は、変更部483が振動条件の変更を行った場合、変更後の振動条件に基づいて、振動波形を生成する。
振動移動量生成部485は、波形生成部484が生成した振動波形と、工具の移動経路とを用いて、例えばX軸の振動移動量を求める。具体的には、振動移動量生成部485は、工具の移動経路に振動波形の振幅を加算した振動前進位置と、工具の移動経路から振動波形の振幅を減算した振動後進位置とを振動毎に求め、X軸の振動移動量を生成する。
振動移動量生成部485が生成した振動移動量は、加減速処理部49、軸データ入出力部50を介して、駆動部7に送られる。駆動部7は、振動移動量生成部485から送られた振動移動量に基づいて、例えば、X軸サーボモータ71xを制御することで、振動切削を実行する。
以上のように構成された数値制御装置1によって実行される処理について図5、及び図6を用いて説明する。図5は、実施形態に係る数値制御装置が実行する処理の例を示す図である。なお、本実施形態では、変更前の振動切削の振動周波数は、166.7Hzであったものとする。また、推定部482が参照する動切削の実行時間とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報の前提となる振動切削の振動周波数は平均166.7Hzであるものとする。
図5によれば、計測部481は、振動切削処理が開始されると、振動切削の実行時間の計測を開始する(ステップS51)。具体的には、計測部481は、例えば、振動切削モードがONの状態において、切削開始の指令を受信すると、振動切削の実行時間の計測を開始する。計測部481は、振動切削処理が終了すると、振動切削の実行時間の計測を終了する。具体的には、計測部481は、例えば、振動切削モードがONの状態において、切削終了の指令を受信すると、振動切削の実行時間の計測を終了する。このとき、計測部481は、過去に計測してきた実行時間の累積時間にステップS1で計測した時間を加えて、新たな実行時間の累積時間として記憶する。
推定部482は、計測部481が振動切削の実行時間の計測を終了すると、計測部481によって計測された振動切削の実行時間、及び、振動切削の振動周波数に基づいて、ブレーキ装置711xの劣化を推定する(ステップS52)。具体的には、推定部482は、例えば、劣化進行情報を参照し、ブレーキ装置711xの劣化を推定する。推定部482は、例えば、振動切削の実行時間とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報に基づいて、ブレーキ装置711xの劣化を推定する。
図6は、実施形態に係る振動切削の実行時間とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報の例を表す図である。図6に示される情報について、測定の前提となる振動周波数は、平均166.7Hzであるものとする。図6によれば、振動切削の実行時間が増加するにつれてバックラッシ、すなわち外歯歯車7111xと内歯歯車7112xとの間のバックラッシが増加することが分かる。推定部482は、この振動切削の実行時間と締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報を参照し、計測部481で計測された振動切削の実行時間に対応するバックラッシを求めることにより、ブレーキ装置711xが備える締結ハブの摩耗量を推定する。なお、図6に示されるグラフは、平均166.7Hzで振動切削処理を続けた場合の振動切削の実行時間とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示すグラフであり、このとき、振動切削の実行時間と振動切削に伴う微振動の振動回数とはほぼ比例する関係にある。このため、推定部482は、ブレーキ装置711xが備える締結ハブの摩耗量を推定するための情報として、平均振動周波数及び振動切削の実行時間から算出された振動切削に伴う微振動の振動回数とブレーキ装置が備える締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報を用いてもよい。
なお、また、振動切削の実行時間とバックラッシとの関係は、サーボモータのシャフト径、ボールねじ径、稼働部のイナーシャ等の条件により変わるため、機械構成毎に事前に測定しておくことが好適である。
図5において、推定部482は、ブレーキ装置711xが備える締結ハブの摩耗量を推定すると、推定した摩耗量が第1閾値以上であるか否か判定する(ステップS53)。図6において、第1閾値は、例えば、Th1である。このTh1は、例えば、ブレーキ装置の交換が必要となる閾値として設定されている。
図5において、推定部482は、推定した摩耗量が第1閾値以上であると判定した場合(ステップS53のYes)、出力制御部44を介して、例えば、出力部3に警告画面を出力する(ステップS54)。
図7は、実施形態に係る数値制御装置が出力する表示画面の一例を示す図である。図7によれば、ブレーキ装置711xの交換を促すメッセージが出力部3に表示されている。具体的には、図7において、推定部482は、出力制御部44を介して、例えば、ブレーキ装置711xが組み込まれた状態で実行された振動切削の実行時間とバックラッシとの関係を示すグラフSL1とともに、メッセージ出力時点における振動切削の実行時間、及び、この振動切削の実行時間に対応するバックラッシの値の組合せを示すマークM1を出力部3に表示している。
ここで、図7に示されるマークM1が示す振動切削の実行時間はT1以上である。また、図7に示されるマークM1が示すバックラッシの値は、第1閾値Th1以上である。なお、マークM1は、図7に示されるような星形に限定されない。マークM1は、丸形、四角形、又は三角形であってもよいし、その他オペレータ又は保守員が認識できるものであれば何であってもよい。
また、図7によれば、推定部482は、出力制御部44を介して、ブレーキ装置711xの交換を促すメッセージである「X軸のブレーキ装置の交換時期です。交換用ブレーキ装置の交換をお勧めします。」を出力部3に表示している。
これにより、オペレータ又は保守員は、ブレーキ装置に交換時期が到来していることを認識することができ、対象軸の交換用ブレーキ装置の交換を行うことが可能となる。また、交換を促すメッセージとともにグラフが並列表示されることにより、オペレータ又は保守員は、直感的に状況を把握することが可能となる。
なお、図7において、推定部482は、グラフ表示、及び、交換を促すメッセージの両方を表示しているが、交換を促すメッセージのみを表示してもよい。
推定部482は、推定した摩耗量が第1閾値以上でないと判定した場合(ステップS53のNo)、推定した摩耗量が第2閾値以上であるか否か判定する(ステップS55)。図6において、第2閾値は、例えば、Th2である。このTh2は、例えば、振動条件を変更してブレーキ装置の寿命を延ばす時期を示す閾値として設定されている。Th2は、例えば、工作機械の設計時に予め数値制御装置に設定された値である。また、Th2は、例えば、工作機械の使用状況及び加工状況に応じてオペレータにより設定された値であってもよい。
図5において、推定部482は、推定した摩耗量が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS55のYes)、例えば、変更部483に対して、ブレーキ装置711xの延命条件を計算する旨の通知をする。延命条件を計算する旨の通知を受けた変更部483は、所定の条件に従って、延命条件を計算する(ステップS56)。
図8は、実施形態に係る振動条件の組合せを示す図である。図8によれば、振動切削制御の動作条件、すなわち振動条件を表す項目として、主軸1回転当たりの振動回数(回)、主軸回転速度(r/min)、及び振動周波数(Hz)が示されている。なお、振動周波数は、主軸1回転当たりの振動回数、及び、主軸回転速度から一意に定まる。このため、変更部483は、ブレーキ装置711xの寿命が延びるように、主軸1回転当たりの振動回数、及び、主軸回転速度のうち少なくとも一方を変更する。
以下、図8を用いて延命条件の計算の具体例について説明する。なお、変更前の振動条件は、図8に示されるように、「主軸1回転当たりの振動回数:2.5回」、「主軸回転速度:4000r/min」、及び「振動周波数:166.7Hz」であるものとする。
図8において、変更部483は、例えば、主軸1回転当たりの振動回数は変えずに、主軸回転速度を4000r/minから3428r/minへ変更する。これにより、振動周波数は166.7Hzから142.9Hzに変更される。なお、変更部483は、例えば、所望の延命時間の入力を受け付け、入力された延命時間から逆算して主軸1回転当たりの振動回数、及び、主軸回転速度のうち少なくとも一方を変更するようにしてもよい。
図9は、実施形態に係る振動条件変更前後の振動波形の例を示す模式図である。図9において、例えば、変更前の振動周波数は166.7Hz、変更後の振動周波数は142.9Hzである。このとき、図9に示される変更前の振動周期CT1は6.0ms、変更後の振動周期CT2は7.0msである。図9では、振動条件の変更前後において、n周期目の振動波形Cn、及び、n+1周期目の振動波形Cn+1がそれぞれ示されている。また、図9では、振動条件の変更前後において、振動切削における切り屑分断を実現するための領域であって、n周期目とn+1周期目との間に生じる空振り領域Sが示されている。空振り領域Sは、例えば、工具の移動経路と、被加工物との間で切削が行われず、空振りする領域であり、それまで発生した切り屑の分断が実行可能な領域である。
図9に示されるように、このような振動条件の変更により、変更前後において空振り領域Sを生じさせつつ、振動周波数を下げることが可能である。これにより、振動切削ができる条件、すなわち切り屑を分断しながら切削できる条件を満たしつつ、ブレーキ装置711xの延命が可能となる振動条件を計算することが可能となる。なお、図9に示される振動波形は、実測値に基づく振動波形が振動切削ができる条件を満たしているかぎり、指令値に基づく振動波形、及び、FB値に基づく振動波形のどちらを前提としてもよい。
図5において、変更部483は、ステップS56において延命条件を計算すると、計算した延命条件に基づいて、振動切削の振動条件を変更する(ステップS57)。その後、波形生成部484は、変更後の振動条件に基づいて、振動波形を生成し、生成された振動波形に基づいて振動切削処理が実行される。このとき、振動切削処理における振動周波数が166.7Hzから142.9Hzに変更されているため、例えば図4に示される外歯歯車7111xが備える外歯7119xが、これに噛み合う内歯歯車7112xが備える2つの内歯7120xに当接する周期が長くなり、振動切削を実行している単位時間当たりの当接回数を減らすことができる。具体的には、すなわち、振動切削を実行している単位時間当りのブレーキ装置711xが備える締結ハブの摩耗量を減らすことができる。このとき、変更後の寿命は、166.7Hz/142.9Hz=1.17倍程度に延びることが期待できる。このように、ブレーキ装置711xの寿命を延ばすことが可能となる。
なお、変更部483は、計算した延命条件を、オペレータ又は保守員に提示するようにしてもよい。図10は、実施形態に係る数値制御装置1が出力する表示画面の他の例を示す図である。図10によれば、X軸サーボモータ71xにおける振動条件の変更を促すメッセージが出力部3に表示されている。
具体的には、図10において、変更部483は、出力制御部44を介して、例えば、ブレーキ装置711xにおける振動切削の実行時間とバックラッシとの関係を示すグラフとともに、メッセージ出力時点における振動切削の実行時間、及び、この振動切削の実行時間に対応するバックラッシの値の組合せを示すマークM2を出力部3に表示している。また、図10において、変更部483は、出力制御部44を介して、例えば、点線で表される推定グラフDL1を表示する。推定グラフDL1は、メッセージ出力時点において変更後の振動条件を設定した場合にどの程度延命することができるかを表すグラフである。
ここで、図10に示されるマークM2が示す振動切削の実行時間はT2以上T1未満である。また、図10に示されるマークM2が示すバックラッシの値は、第2閾値Th2以上第1閾値Th1未満である。なお、マークM2は、図10に示されるような星形に限定されない。マークM2は、丸形、四角形、又は三角形であってもよいし、その他オペレータ又は保守員が認識できるものであれば何であってもよい。
また、図10によれば、変更部483は、出力制御部44を介して、X軸サーボモータ71xにおける振動条件の変更を促すメッセージである「振動切削の振動条件を変更すると、X軸のブレーキ装置の交換時期を振動切削時間で2時間程度延ばすことができます。実行中の加工の時間で24時間程度延ばすことができます。交換用ブレーキ装置の事前手配をお願いします。」を出力部3に表示している。このとき、表示時点の実行中の加工は、一般に、通常加工、及び、振動切削加工が混合された加工であり、その割合は例えば11:1である。実行中の加工の時間に換算した時間を、振動切削の処理時間と合わせて表示することにより、オペレータ又は保守員にとって、より分かりやすい表示となる。また、図10によれば、変更部483は、出力制御部44を介して、例えば、振動条件を変更しなかった場合の寿命を「残り12時間」と表示している。また、図10によれば、変更部483は、出力制御部44を介して、例えば、振動条件を変更した場合に延びる寿命を振動切削時間で「+2時間」と表示している。
これにより、オペレータ又は保守員は、振動切削の振動条件を変更することの必要性を認識することができ、振動切削の振動条件を変更するか否かの判断をすることが可能となる。具体的には、オペレータ又は保守員は、図10に示される振動切削を変更することを決定するボタンB1を押下することにより、数値制御装置1に対して変更後の振動条件を設定することが可能となる。また、オペレータ又は保守員は、振動条件を変更しないことを決定するボタンB2を押下することにより、数値制御装置1に対して変更後の振動条件を設定せず、変更前の振動条件で振動切削処理を続けること可能となる。また、振動条件の変更を促すメッセージとともにグラフが並列表示されることにより、オペレータ又は保守員は、直感的に状況を把握することが可能となる。また、ボタンB1を押下した場合には、ブレーキ装置711xの寿命を延ばすことが可能となる。
なお、オペレータ又は保守員は、変更部483が計算した振動条件ではなく、加工条件等の過去の経験から決定される振動条件を用いて振動切削の振動条件を変更してもよい。そして、変更部483は、出力制御部44を介して、例えば、オペレータ又は保守員が決定した振動条件に基づいて、ブレーキ装置711xの残りの寿命が分かるようなグラフを出力部3に表示するようにしてもよい。また、変更部483は、出力制御部44を介して、振動条件の変更内容を表示するようにしてもよい。具体的には、変更部483は、例えば、変更前の振動条件、及び、変更後の振動条件を出力部3に表示する。また、変更部483は、出力制御部44を介して、変更後の振動条件を複数表示して、オペレータ又は保守員に選択させるようにしてもよい。
また、第2閾値Th2は、1つ設定された場合について説明したがこれに限られない。第2閾値Th2は、2つ以上設定されてもよい。このとき、例えば、図6に示されるグラフにおいて、2つの第2閾値Th21=0.8、及び、Th22=1.0が設定されていて、変更前の振動条件が、図8に示される「主軸1回転当たりの振動回数:2.5回」、「主軸回転速度:4000r/min」、及び「振動周波数:166.7Hz」であるものとする。そして、例えば、変更部483は、出力制御部44を介して、バックラッシの推定値がTh21以上Th22未満である場合に、振動条件を「主軸1回転当たりの振動回数:2.5回」、「主軸回転速度:3333r/min」、及び「振動周波数:142.9Hz」に変更するように促す画面を出力部3に表示する。その後、変更部483は、出力制御部44を介して、バックラッシの推定値がTh22以上Th1未満である場合に、振動条件を「主軸1回転当たりの振動回数:1.5回」、「主軸回転速度:3333r/min」、及び「振動周波数:83.3Hz」に変更するように促す画面を出力部3に表示する。
このとき、変更部483は、1回目の変更で振動周波数を166.7Hzから142.9Hzに変更し、2回目の変更で振動周波数が142.9Hzから83.3Hzにさらに周波数を下げるように変更し、寿命がさらに延びるようにしている。このように閾値を複数設けて1度変更した振動条件をさらに変更する機会を設けることで、途中で運用方針等が変わった場合、例えばブレーキ装置の交換時期が変更された場合等について柔軟に対応することが可能となる。
図5において、推定部482は、推定した摩耗量が第2閾値以上でないと判定した場合(ステップS55のNo)、処理を終了する。
上記実施形態によれば、サーボモータを制御し、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置1が有する制御演算部4は、振動切削に伴う微振動の振動回数に基づいて、例えば、ブレーキ装置711xの劣化を推定する推定部482を有する。

これにより、例えば、オペレータ又は保守員は、推定部482により推定された劣化の推定結果を参照することで、ブレーキ装置711xの交換時期等を予め把握し、不具合の発生又は故障等に至る前に適切に対応することができる。
したがって、本実施形態によれば、サーボモータが備えるブレーキ装置の振動切削に起因する劣化を把握することが可能となる。
なお、図6において、閾値Th1は1.2程度、閾値Th2は1.0程度として説明したがこれに限定されない。例えば、機械構成、具体的には、締結ハブを構成する歯車の形状及び大きさ等によって締結ハブの摩耗の進み方は異なってくる。このため、閾値Th1、及び閾値Th2は、機械構成によって最適なものを設定することが望ましい。
また、図6に示されるグラフの前提となる振動周波数は平均166.7Hzの場合を例として説明したがこれに限定されない。例えば、より小さな振動周波数、例えば、平均30.3Hzを前提とした、振動切削の実行時間と締結ハブにおける摩耗量との関係を示す情報を用いても同様の制御を行うことができ、同様の効果を奏する。
変形例.
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。上記実施形態では、推定部482により推定された劣化の推定結果に基づいて振動条件の変更、又は、オペレータ等への推定結果の出力を行う場合について説明した。変形例では、推定部482により推定された劣化の推定結果に加えて、実際にブレーキテストを行うことにより得られる測定結果に基づいて振動条件の変更、又は、オペレータ等への推定結果の出力を行う場合について説明する。
図11は、変形例に係る数値制御装置1Aの構成例を示す図である。
数値制御装置1Aは、入力操作部2、出力部3、及び制御演算部4Aを有する。また、図11では、例えば、工作機械の構成要素である駆動部7が示されている。なお、駆動部7は工作機械とは独立した要素であってもよい。
変形例に係る制御演算部4Aは、入力制御部41、データ設定部42、記憶部43、出力制御部44、解析処理部45、制御信号処理部46、PLC回路部47、補間処理部48A、加減速処理部49、軸データ入出力部50、及びテスト部51を有する。
入力制御部41、データ設定部42、記憶部43、出力制御部44、解析処理部45、制御信号処理部46、PLC回路部47、加減速処理部49、及び軸データ入出力部50については、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
変形例に係る補間処理部48Aは、計測部481、推定部482A、変更部483、波形生成部484、及び振動移動量生成部485を有する。計測部481、変更部483、波形生成部484、及び振動移動量生成部485については、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
変形例に係る推定部482Aは、上記実施形態に係る推定部482が有する機能に加えて、推定した摩耗量に基づいてブレーキテストを行うか否かを判定する機能を有する。
テスト部51は、ブレーキテストを実行する。テスト部51は、例えば、補間処理部48が有する推定部482からブレーキテストを実施する旨の通知を受信すると、ブレーキテストを実行する。具体的には、テスト部51は、テスト制御部511、及び測定部512を有する。
テスト制御部511は、ブレーキテストを制御する。具体的には、テスト制御部511は、推定部482からブレーキテストを実施する旨の通知を受信すると、例えば、X軸サーボモータ71xが有するブレーキ装置711xのブレーキをOFFの状態からONの状態へ切り替える。このとき、テスト制御部511は、例えば、X軸サーボモータ71xの回転を停止する指令が出されたことを確認した後、ブレーキ装置711xのブレーキをOFFの状態からONの状態へ切り替える。
測定部512は、例えば、ブレーキ装置711xが備える締結ハブのバックラッシを測定する。具体的には、測定部512は、例えば、外歯歯車7111x及び内歯歯車7112xの間に設けられているバックラッシの大きさを測定する。バックラッシは、振動切削の実行時間に応じて大きくなるため、このバックラッシを測定することにより、より正確な劣化度合いについて認識することが可能となる。
測定部512は、テスト制御部511によりブレーキがOFFからONの状態へ切り替えられると、ブレーキがONの指令が出された時点の検出器72xのFB制御におけるFBカウンタの値と、ブレーキがONにされてX軸サーボモータ71xの回転が完全に停止した時点、すなわちカウンタ値が変化しなくなった時点のFBカウンタの値との差を計算する。FBカウンタの値は、例えば、検出器72xから、X軸サーボ制御部73x、軸データ入出力部50、加減速処理部49、及び補間処理部48を経由して、測定部512に送信される。
測定部512は、この計算した差の値を1回転当たりのFBカウンタの値で除算することにより、X軸サーボモータ71xにブレーキがかけられた場合の締結ハブの回転角度を、バックラッシとして算出する。測定部512は、算出したバックラッシの値を、例えば、推定部482Aへ送信する。
なお、算出されるバックラッシの値は、例えば、X軸サーボモータ71xにおけるブレーキがONにされた時点の外歯歯車7111xが有する外歯7119x及び内歯歯車7112xが有する内歯7120xの相対的な位置関係によって異なることがある。このため、テスト部51は、数回のブレーキテストを実行し、テスト毎に算出したバックラッシの値の平均値、又は最大値を新たなバックラッシの値として算出することが好適である。また、モータ軸側のギアとこれと噛み合うブレーキ装置側のギアとの間のギア比が1:1でない場合は、ギア比も考慮して、バックラッシを算出することが好適である。
以上のように構成された数値制御装置1Aによって実行される処理について図12、及び図6を用いて説明する。図12は、変形例に係る数値制御装置1Aが実行する処理の例を示す図である。
図12において、ステップS121、及び、ステップS122は、図5に示されるステップS51、及び、ステップS52と同様である。
図12において、推定部482Aは、ブレーキ装置711xが備える締結ハブの摩耗量を推定すると、推定した摩耗量が第2閾値以上であるか否か判定する(ステップS123)。ここで、第2閾値は、例えば、図6に示されるTh2である。
図12において、推定部482Aは、推定した摩耗量が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS123のYes)、例えば、ブレーキテストを行う旨をテスト部51へ通知する。推定部482Aから通知を受けたテスト部51は、ブレーキテストを実行する(ステップS124)。
具体的には、テスト制御部511は、推定部482からブレーキテストを実施する旨の通知を受信すると、例えば、X軸サーボモータ71xが有するブレーキ装置711xのブレーキをOFFの状態からONの状態へ切り替える。
測定部512は、テスト制御部511によりブレーキがOFFからONの状態へ切り替えられると、ブレーキがONにされた時点の検出器72xのFB制御におけるFBカウンタの値と、ブレーキがONにされてX軸サーボモータ71xの回転が停止した時点のFBカウンタの値との差を計算する。測定部512は、この計算した差の値を1回転当たりのFBカウンタの値で除算することにより、X軸サーボモータ71xにブレーキがかけられた場合の締結ハブの回転角度を、バックラッシとして算出する。測定部512は、算出したバックラッシの値を、ブレーキテストによる測定値として、例えば、推定部482Aへ送信する。
図12において、推定部482Aは、測定部512からブレーキテストによる測定値を受信すると、受信したブレーキテストによる測定値が第1閾値以上であるか否か判定する(ステップS125)。ここで、第1閾値は、例えば、図6に示されるTh1である。
図12において、推定部482Aは、ブレーキテストによる測定値が第1閾値以上であると判定した場合(ステップS125のYes)、出力制御部44を介して、例えば、出力部3に警告画面を出力する(ステップS126)。なお、出力の態様については、上記実施形態と同様である。
推定部482Aは、ブレーキテストによる測定値が第1閾値以上でないと判定した場合(ステップS125のNo)、ブレーキテストによる測定値が第2閾値以上であるか否か判定する(ステップS127)。ここで、第2閾値は、例えば、図6に示されるTh2である。
図12において、推定部482Aは、ブレーキテストによる測定値が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS127のYes)、例えば、変更部483に対して、ブレーキ装置711xの延命条件を計算する旨の通知をする。延命条件を計算する旨の通知を受けた変更部483は、所定の条件に従って、延命条件を計算する(ステップS128)。なお、延命条件の計算方法は、上記実施形態と同様である。
図12において、ステップS129は、図5に示されるステップS57と同様である。
図12において、推定部482Aは、推定した摩耗量が第2閾値以上でないと判定した場合(ステップS123のNo)、処理を終了する。また、図12において、推定部482Aは、ブレーキテストによる測定値が第2閾値以上でないと判定した場合(ステップS127のNo)、処理を終了する。
変形例によれば、ブレーキ装置を有するサーボモータを制御し、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置1Aが有する制御演算部4Aは、振動切削の実行時間に基づいて、例えば、ブレーキ装置711xの劣化を推定する推定部482Aに加えて、ブレーキ装置711xのブレーキテストを行うテスト部51をさらに有する。制御演算部4Aは、振動切削の実行時間に基づいて推定した劣化の推定結果、及び、ブレーキテストの結果に基づいて、ブレーキ装置の劣化を推定する。これにより、ブレーキ装置711xの劣化をより精度高く推定することが可能となる。また、所定の要件が満たされた場合にのみブレーキテストを実施すればよいため、ブレーキテストによる機械の停止時間を最小限に抑えることが可能となる。
他の実施形態.
また、上記実施形態において、推定部482は、振動切削の実行時間に基づいて、ブレーキ装置が備える締結ハブの摩耗量を推定することにより、ブレーキ装置の劣化を推定していたがこれに限定されない。推定部482は、振動切削の実行時間に基づいて劣化するブレーキ装置の構成部品であって、劣化を認識できるものであれば何でもよく、例えば、ブレーキ装置が備える摩擦板の摩耗量を推定することにより、ブレーキ装置の劣化を推定してもよい。
図13は、他の実施形態に係るブレーキ装置の動作を説明するための図である。図13では、上記実施形態における図3に示されるブレーキ装置711xに対応するブレーキ装置911xのX軸方向に平行な模式的な断面構造の一例を参照し、ブレーキON時、及び、ブレーキOFF時の動作について説明する。なお、図3では、説明に必要な構成以外の構成は省略している。
図13に示されるブレーキ装置911xは、図3に示される締結ハブを有するタイプのブレーキ装置とは異なり締結ハブを有さないタイプのブレーキ装置である。ブレーキ装置911xは、摩擦板9111x、押付プレート9112x、電磁コイル9113x、バネ9114x、及びハウジング9115xを備えている。摩擦板9111xは、シャフト713xに固定されており、シャフト713xの回転と合わせて回転する。
図13において、ブレーキOFF時では、電磁コイル9113xが励磁されてれている。すなわち、電磁コイル9113xに電流が流れている。このとき、バネ9114xの弾性力より大きい電磁力が発生し、押付プレート9112xは、電磁コイルに引き寄せられ、モータ本体712xとは反対側に移動する。これにより、摩擦板9111xは、押付プレート9112xから離れた位置に配置される。このとき、摩擦板9111xは、押付プレート9112xとの間の摩擦はなく、回転を制限されない。したがって、摩擦板9111xは、シャフト713xの回転と合わせて回転する。
図13において、ブレーキON時では、電磁コイル9113xに流れる電流が止められて電磁力が消滅し、バネ9114xの弾性力により、押付プレート9112xがモータ本体712xへ近づく方向に移動する。これにより、摩擦板9111xは、押付プレート9112xと当接し、摩擦力により摩擦板9111xの回転が制止される。したがって、摩擦板9111xが固定されているシャフト713xの回転が停止する。
ここで、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置において、ブレーキ装置911xが備える摩擦板9111xは、締結ハブを有するタイプのブレーキ装置711xの締結ハブのように、ブレーキ動作に起因する摩耗よりも、振動切削に起因する摩耗の影響を大きく受ける部品である。このため、締結ハブを有さないタイプのブレーキ装置911xにおいては、振動切削の実行時間に基づいてブレーキ装置911xが備える摩擦板9111xの摩耗量を推定することにより、ブレーキ装置911xの劣化を推定するようにしてもよい。
このとき、推定部482は、X軸サーボモータ71xを用いた振動切削の実行時間とブレーキ装置911xが備える摩擦板9111xにおける摩耗量との関係を示す情報として、振動切削の実行時間とブレーキOFF時の吸引時間との関係を示す情報を用いる。ブレーキOFF時の吸引時間とは、例えば、ブレーキOFF時において、図13に示される電磁コイル9113xに電流が流れはじめてから、押付プレート9112xが電磁コイル9113xに引き付けられるまでに要する時間である。摩擦板9111xの摩耗が進むにつれて、電磁コイル9113xと摩擦板9111xとの間の距離が増大する。電磁コイル9113xと摩擦板9111xとの間の距離が増大すると、ブレーキOFF時に必要な吸引電流は大きくなる。そして、吸引電流を所定の値に上げるためには所定の時間が必要になるが、この所定の値が大きくなるため、ブレーキOFFの指令が出されてからモータの回転速度が目的値に達するまでの時間が長くなる。このため、締結ハブを有さないタイプのブレーキ装置911xにおいては、この摩擦板9111xの劣化がネックとなり、ブレーキ装置911xの交換が必要となる。
振動切削の実行時間とブレーキOFF時の吸引電流との関係を示す情報は、例えば、同様の機械構成を有するブレーキ装置について振動切削時間に対する耐久試験を実施して予め取得した測定値等に基づく情報である。推定部482は、この振動切削の実行時間とブレーキOFF時の摩擦板の吸引時間との関係を示す情報に基づいて、ブレーキ装置911xの劣化を推定する。推定部482は、振動切削の実行時間とブレーキOFF時の吸引時間との関係を示す情報について、例えば、上記実施形態で説明したのと同様に、第1閾値、及び第2閾値を設定してブレーキ装置911xの劣化を推定する。また、推定部482は、上記実施形態の変形例で説明したのと同様に、推定を行った後に、ブレーキテストを行うようにしてもよい。
また、上記実施形態において、数値制御装置1が入力操作部2及び出力部3を含む構成としたがこれに限られない。具体的には、入力操作部2又は出力部3が数値制御装置1に外付けされ、数値制御装置1が入力操作部2又は出力部3を含まない構成であってもよい。
また、上記実施形態において、数値制御装置1は、工具を振動させて振動切削を実行していたがこれに限られない。数値制御装置1は、例えば、ワークを振動させて振動切削を実行するようにしてもよい。
ここで、数値制御装置1が備える制御演算部4、及び、数値制御装置1Aが備える制御演算部4Aのハードウェア構成について説明する。図14は、実施形態及び変形例に係る制御演算部のハードウェア構成例を示す図である。なお、制御演算部4及び4Aは、同様のハードウェア構成を有しているので、ここでは制御演算部4のハードウェア構成について説明する。
制御演算部4は、図14に示される制御回路100、すなわちプロセッサ101、及びメモリ102により実現することができる。プロセッサ101の例は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)又はシステムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ102の例は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などである。
制御演算部4は、プロセッサ101が、メモリ102で記憶されている、制御演算部4の動作を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、このプログラムは、制御演算部4の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。メモリ102は、プロセッサ101が各種処理を実行する際の一時メモリにも使用される。
プロセッサ101が実行するプログラムは、コンピュータで実行可能な、データ処理を行うための複数の命令を含むコンピュータ読取り可能かつ非遷移的な(non-transitory)記録媒体を有するコンピュータプログラムプロダクトであってもよい。プロセッサ101が実行するプログラムは、複数の命令がデータ処理を行うことをコンピュータに実行させる。
また、制御演算部4を専用のハードウェアで実現してもよい。また、制御演算部4の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
本開示によれば、サーボモータにブレーキを掛けるブレーキ装置の振動切削に起因する劣化を把握することが可能な数値制御装置を提供することができる。
1, 1A 数値制御装置、2 入力操作部、3 出力部、4, 4A 制御演算部、41 入力制御部、42 データ設定部、43 記憶部、44 出力制御部、45 解析処理部、46 制御信号処理部、47 PLC回路部、48, 48A 補間処理部、481 計測部、482, 482A 推定部、483 変更部、484 波形生成部、485 振動移動量生成部、49 加減速処理部、50 軸データ入出力部、51 テスト部、511 テスト制御部、512 測定部、7 駆動部、71x X軸サーボモータ、72x 検出器、73x X軸サーボ制御部、711x ブレーキ装置、7111x 外歯歯車、7112x 内歯歯車、7113x, 9111x 摩擦板。

Claims (9)

  1. サーボモータを制御し、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置であって、
    前記振動切削に伴う微振動の振動回数に基づいて、前記サーボモータにブレーキを掛けるブレーキ装置の劣化を推定する推定部を有する数値制御装置。
  2. サーボモータを制御し、工作機械に振動切削を実行させる数値制御装置であって、
    前記振動切削の実行時間、及び、前記振動切削の振動周波数に基づいて、前記サーボモータにブレーキを掛けるブレーキ装置の劣化を推定する推定部を有する数値制御装置。
  3. 前記推定部は、前記振動切削の実行時間とブレーキ装置の劣化の進行との関係を示す劣化進行情報を参照し、前記ブレーキ装置の劣化を推定する請求項1又は2に記載の数値制御装置。
  4. 前記推定部は、前記ブレーキ装置が備える締結ハブの摩耗量を推定する請求項1又は2に記載の数値制御装置。
  5. 前記ブレーキ装置のブレーキテストを行うテスト部をさらに有し、
    前記推定部は、前記劣化の推定結果、及び、前記ブレーキテストの結果に基づいて、前記ブレーキ装置の劣化を推定する、
    請求項1又は2に記載の数値制御装置。
  6. 前記劣化の推定結果に基づいて、前記ブレーキ装置の劣化の進行を遅らせるように前記振動切削の振動条件を変更する変更部をさらに有する請求項1又は2に記載の数値制御装置。
  7. 前記劣化の推定結果に基づいて、前記振動切削の振動周波数が小さくなるように前記振動切削の振動条件を変更する変更部をさらに有する請求項6に記載の数値制御装置。
  8. 前記劣化の推定結果を出力する出力制御部をさらに有する請求項1又は2に記載の数値制御装置。
  9. 前記出力制御部は、前記劣化の推定結果に基づいて、前記ブレーキ装置の寿命を出力する、
    請求項8に記載の数値制御装置。
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