JP7431398B1 - 活性エネルギー線硬化性組成物、および積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光線域(波長380nm~780nm)における光透過性と近赤外線域(波長800nm~2,500nm)における光遮断性、かつ表面の耐擦傷性に優れ、さらにカールが生じにくい樹脂層層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を提供すること。【解決手段】上記課題は、活性エネルギー線硬化性化合物(A)、複合タングステン酸化物粒子(B)および光重合開始剤(C)を含み、下記(1)と(2)を同時に満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物により解決される。(1)活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中の複合タングステン酸化物粒子(B)の含有率が、30~70質量%である。(2)膜厚50μmの光透過性基材(α)上に、活性エネルギー線硬化性組成物からなる膜厚1μmの硬化層である樹脂層を有する試験片において、ヘイズが1.0%以下であり、全光線透過率が65%以上であり、波長500nmにおける光透過率が75%以上であり、波長1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率が20%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物と、その硬化物である樹脂層と光透過性基材を備えた積層体に関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のプラスチックからなる基材は、透明性や耐衝撃性に優れ、軽量であり加工が容易であるため、ガラス基材に変えて種々の用途に用いられている。
しかし、プラスチック基材はガラス基材と比較して硬度および耐擦傷性等の表面特性に劣ることがある。このため、活性エネルギー線硬化性組成物をプラスチック基材表面に塗装して硬化層を形成し、プラスチック基材の表面特性を改良することが一般的である。
一方、昨今の気候変動に対する具体的な対策の1つとして、太陽光線中に含まれ強い熱作用を持つことから「熱線」と呼ばれる近赤外線域(波長800~2500nm)の光を遮断し、住環境の温度上昇を抑えることで省エネルギー化を図ることに注目が集まっている。
そこで、近年、熱線を遮蔽しながらも可視光線(波長380~780nm)を十分に取り入れて明るさを維持するための各種手段が検討されており、例えば、近赤外線域における光遮断性に優れる無機系赤外線吸収剤であるアンチモンドープ酸化錫(ATO)や錫ドープ酸化インジウム(ITO)、複合タングステン酸化物粒子を含有させた活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる樹脂層を備えた熱線遮蔽フィルムを窓に貼付する方法(特許文献1)などが開示されている。
しかしながら、特許文献1は、複合タングステン酸化物粒子の含有量が少ないため、赤外線域における光遮断性が不十分だった。また、赤外線域における光遮断性を高めるため(複合タングステン酸化物粒子の絶対量を多くするため)に樹脂層を4μmの厚みで塗工する必要があり活性エネルギー線硬化性組成物の硬化収縮によりカールが発生するという課題があった。また、特許文献1の発明において、複合タングステン酸化物粒子の含有量を単純に上げても、耐擦性低下やヘイズが上昇してしまい、可視光透過性、近赤カット性、耐擦性、カール性を満足できるものはなかった。
特開2008-200983号公報
本発明は、可視光線域(波長380nm~780nm)における光透過性と近赤外線域(波長800nm~2,500nm)における光遮断性、表面の耐擦傷性に優れ、さらにカールが生じにくい樹脂層層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の発明に至った。 本発明は、以下の活性エネルギー線硬化性組成物、樹脂層、および積層体を提供する。
[1]:(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物(A)、複合タングステン酸化物粒子(B)および光重合開始剤(C)を含み、下記(1)と(2)を同時に満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
(1)活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中の複合タングステン酸化物粒子(B)の含有率が、30~70質量%である。
(2)膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である膜厚1μmの樹脂層を有する試験片において、ヘイズが1.0%以下であり、全光線透過率が65%以上であり、波長500nmにおける光透過率が75%以上であり、波長1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率が20%以下である。
[2]:前記複合タングステン酸化物粒子(B)が、セシウム含有複合タングステン酸化物粒子であることを特徴とする前記活性エネルギー線硬化性組成物。
[3]:前記化合物(A)が、(メタ)アクリロイル基を6個以上有する化合物を含むことを特徴とする前記活性エネルギー線硬化性組成物。
[4]:前記活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中に(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有する化合物(a1)を30~69質量%含むことを特徴とする前記活性エネルギー線硬化性組成物。
[5]:光透過性基材(α)と、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である樹脂層(β)を有する積層体。
本発明により、可視光線域における光透過性を有し、薄膜でも近赤外線域における高い光遮断性、表面の耐擦傷性に優れ、さらにカールが生じにくい樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物の提供が可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。なお、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含む。また、本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
初めに本明細書で用いられる用語について説明する。
本明細書では、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリロイル」、および「(メタ)アクリレート」、と表記した場合には、特に断りがない限り、それぞれ「アクリルまたはメタクリル」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」、および「アクリレートまたはメタクリレート」を表すものとする。
また、「活性エネルギー線硬化性組成物」を「組成物」、「(メタ)アクリロイル基を3個以上有する活性エネルギー線硬化性化合物(A)」を「化合物(A)」、「(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有する化合物(a1)」を「化合物(a1)」、「(a1)を除く(メタ)アクリロイル基を6個以上有する化合物(a2)」を「化合物(a2)」、「(メタ)アクリロイル基を3~5個有する化合物(a3)」を「化合物(a3)」とそれぞれ称することがある。
≪活性エネルギー線硬化性組成物≫
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、複合タングステン酸化物粒子(B)と、光重合開始剤(C)とを含む。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である膜厚1μmの樹脂層を有する試験片において、ヘイズが1.0%以下であり、全光線透過率が65%以上であり、波長500nmにおける光透過率が75%以上であり、波長1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率が20%以下である。
なお、熱線遮断の観点から、好ましくは、波長1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率が15%以下であり、さらに好ましくは、波長1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率が10%以下である。
このような活性エネルギー線硬化性組成物であることで、可視光線域における光透過性と近赤外線域における光遮断性、かつ活性エネルギー線硬化性組成物の硬化層である樹脂層表面の耐擦傷性に優れ、さらに積層体とした際のカールが生じにくい樹脂層を形成することが可能となる。試験片の作成方法およびヘイズ、全光線透過率、および各波長における光透過率の測定方法については、実施例の欄に詳細を記載する。
<化合物(A)>
化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物であればよく、低分子化合物、高分子化合物等、分子量を問わずに選定することができる。
活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である樹脂層(β)の表面硬度を高める観点からは、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中に、化合物(A)を20~69質量%用いることが好ましく、30~69質量%用いることが好ましく、40~69質量%用いることが更に好ましい。
化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有する化合物(a1)、(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有さない化合物(a2)、(メタ)アクリロイル基を3~5個有する化合物(a3)に大別される。
樹脂層(β)表面の耐擦傷性に優れる観点からは、化合物(A)は(メタ)アクリロイル基を6個以上有する化合物を含むことが好ましい。すなわち、(a1)と(a2)の少なくとも一方を含むことが好ましい。なかでも、積層体とした際のカールが生じにくい樹脂層を形成させる観点から、(a1)を含むことがより好ましい。
また、本願発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて(a3)を配合することもできる。
(化合物(a1))
化合物(a1)は、(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有する。
環状構造としては、例えば、芳香族環構造、芳香族性を有しない飽和または不飽和の炭素環からなる脂環構造や、窒素原子を有するイソシアネート化合物の三量体であり、六員環構造であるヌレート環構造等が挙げられ、紫外線や熱などによる芳香族環の変色を避けるためにも脂環構造やヌレート環構造が好ましい。(メタ)アクリロイル基を6個以上有することで、架橋密度が増大し、樹脂層(β)表面の耐擦傷性に優れかつ樹脂層(β)のカールを抑えることができる。
カール性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中に、化合物(a1)を30~69質量%用いることが好ましく、40~69質量%用いることがより好ましく、50~69質量%用いることが更に好ましい。
化合物(a1)として具体的には、脂環族ジイソシアネートあるいは芳香族ジイソシアネートと水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート化合物との反応物や、ジイソシアネートのイソシアヌレート(三量体)と水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート化合物との反応物、脂環族ポリイソシアネートや芳香族ポリイソシアネートあるいはポリイソシアネートのイソシアヌレート(三量体)とポリオールおよび水酸基を有するポリ又はモノ(メタ)アクリレート化合物との反応物等が挙げられる。
なかでも、樹脂層(β)表面の耐擦傷性に優れる観点から、脂環族ジイソシアネートと水酸基を1個および(メタ)アクリロイル基を3個以上有するポリ(メタ)アクリレート化合物との反応物、あるいはジイソシアネート(ただし、脂環族ジイソシアネートを除く)のイソシアヌレート(三量体)化合物と、水酸基を1個および(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリ(メタ)アクリレート化合物との反応物が好ましい。
脂環族ジイソシアネートとしては例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、およびダイマー酸のカルボキシ基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
芳香族ジイソシアネートとしては例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、および2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド等が挙げられるが、これらに限定されない。
ジイソシアネート(ただし、脂環族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートを除く)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアヌレ―トが挙げられるが、これらに限定されない。
水酸基を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート, 2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、および4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
水酸基を有するポリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸エチル-α-(ヒドロキシメチル)、単官能(メタ)アクリル酸グリセロール、あるいはこれらの(メタ)アクリレートと、ε-カプロラクトンラクトンの開環付加により末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、上記水酸基含有(メタ)アクリレートに対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを繰り返し付加したアルキレンオキサイド付加(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられるが、これらに限定されない。
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール等の脂肪族又は脂環式ジオール類を挙げることができるが、これらに限定されない。
(化合物(a2))
化合物(a2)は(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有さない化合物である。(a2)は、オリゴマーまたはポリマーであってもよい。なお、本明細書においてオリゴマーおよびポリマーとは有限個のモノマーが結合した重合体であり、オリゴマーは重量平均分子量が10,000以下である化合物をいい、ポリマーとは重量平均分子量が10,000超である化合物をいう。オリゴマー、ポリマーは単独重合体でも共重合体でもよい。尚、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、重量平均分子量が既知のポリスチレンを標準物質として測定した値である。
耐擦傷性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中に、化合物(a2)を30~69質量%用いることが好ましく、40~69質量%用いることが好ましく、50~69質量%用いることが更に好ましい。
化合物(a2)の具体例として、例えば、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などの6官能の(メタ)アクリレート化合物や、
(メタ)アクリロイル基を6個以上有するポリウレタン系(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基を6個以上有するポリエステル系(メタ)アクリレート化合物および(メタ)アクリロイル基を6個以上有するエポキシ系(メタ)アクリレート化合物等のうち、環状構造を含まないものが例示できる。
ポリウレタン系(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ジイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレート類とを反応させて得られるもの、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得られるもの等がある。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
上記ポリイソシアネートとしては公知のものを使用でき、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、およびリジンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、上記と同様のものが挙げられ、なかでもトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を含むものが好ましい。
ポリエステル系(メタ)アクリレート化合物は、例えば、多塩基酸およびポリアルコールを重縮合して得られるポリエステルポリカルボン酸と、水酸基含有(メタ)アクリレート等とを反応させて得ることができる。
上記、多塩基酸としては、脂肪族系が挙げられ、それぞれ特に制限が無く使用できる。例えば脂肪族系多塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、スベリン酸、マレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ピメリン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらの脂肪族ジカルボン酸およびその無水物が利用できる。又、酸無水物の誘導体も利用できる。
前記ポリオールとしては、上記と同様のものが挙げられる。
また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3つ以上の水酸基を含有するポリオールを一部使用しても良い。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、上記と同様のものが挙げられ、中でもトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を含むものが好ましい。
エポキシ系(メタ)アクリレート化合物は、例えばエポキシ樹脂のグリシジル基を(メタ)アクリル酸でエステル化して、官能基を(メタ)アクリレート基としたものが挙げられる。
(化合物(a3))
化合物(a3)は(メタ)アクリロイル基を3~5個有する化合物であり、以下の化合物が例示できるが、これらに限定されるものではない。
耐擦傷性の観点から、化合物(a3)の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中に、69質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
5官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4官能の(メタ)アクリレートとしては、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロレンオキサイド変性ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能のトリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、εカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、および、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
<複合タングステン酸化物粒子(B)>
複合タングステン酸化物粒子は、一般式(1)で表される複合タングステン酸化物の粒子を挙げることができる。
WO…(1)
(式中、MはH、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素を示し、mおよびnは、0.001≦m≦1.0および2.2≦n≦3.0を満たす数である。)
前記一般式(1)で表される複合タングステン酸化物は、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、該六方晶、正方晶、立方晶から選ばれる1つ以上の結晶構造を含むことが好ましい。これらの中で、六方晶が可視光線域の吸収が最も少ないため、特に好ましい。例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物としては、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物が挙げられる。
当該複合タングステン酸化物におけるM元素の添加量mは、0.001以上1.0以下が好ましく、更に好ましくは0.33程度である。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出されるmの値が0.33であり、この前後の添加量で赤外線吸収剤としての好ましい光学特性が得られるからである。一方、酸素の存在量nは、2.2以上3.0以下が好ましい。典型的な例としてはCs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができるが、m、nが上記の範囲に収まるものであれば、有用な近赤外線遮断性能を得ることができる。
本発明においては、可視光線域における光透過性および近赤外線域における光遮断性などの観点からセシウム含有複合タングステン酸化物が、好適である。セシウム含有複合タングステン酸化物としては、式(2)
Cs0.2~0.4WO2.5~3.0 …(2)
で表される化合物を挙げることができる。
当該複合タングステン酸化物粒子の1次粒子径は、分散性および光学特性などの観点から、10~500nmが好ましく、10~200nmがより好ましく、10~100nmがさらに好ましい。平均粒子径(メジアン径)は10~1000nmが好ましく、10~500nmがより好ましく、10~100nmがさらに好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置、なかでも動的光散乱式を用いた粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製「NANOTRAC WAVE II EX150」等)により測定できる。本発明においては、溶媒にメチルエチルケトン/メトキシブタノール=1/1混合溶剤を用い、ローディングインデックスが1.0±0.2の範囲となる濃度で60秒間の測定を3会行った際の平均値を使用した。
本発明においては、前記複合タングステン酸化物粒子を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
複合タングステン酸化物粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中30~70質量%であり、好ましくは30~60質量%である。当該含有量であることで、可視光線域における光透過性、近赤外線域における光遮断性、分散性および活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である樹脂層(β)の表面硬度のバランスが優れたものとすることができる。
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)としては、例えば、モノカルボニル系光重合開始剤、ジカルボニル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、アミノカルボニル系光重合開始剤等が使用できる。光重合開始剤(C)は、増感剤と併用してもよい。
光重合開始剤(C)の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2-/4-イソ-プロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、および1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等のモノカルボニル系光重合開始剤;
2-エチルアントラキノン、9,10-フェナントレンキノン、およびメチル-α-オキソベンゼンアセテート等のジカルボニル系光重合開始剤;
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,2-ジエトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、および1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系光重合開始剤;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイゾブチルエーテル、およびベンゾインノルマルブチルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;
2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、および4-n-プロピルフェニル-ジ(2,6-ジクロロベンゾイル)ホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤;
並びに、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、イソアミル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、4,4’-ビス-4-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス-4-ジエチルアミノベンゾフェノン、および2,5’-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン等のアミノカルボニル系光重合開始剤;
等が挙げられる。
光重合開始剤(C)の市販品としては、IGM-Resins B.V.社製のOmnirad184、651、500、907、127、369、784、2959、エサキュアワン、BASF(株)社製ルシリンTPO等が挙げられる。特に、活性エネルギー線硬化後の耐黄変の観点で、Omnirad184やエサキュアワンが好ましい。
光重合開始剤(C)の含有率は、樹脂層が紫外線により所定の物性になるように硬化できる量さえ含まれていれば制限されないが、硬化速度、並びに、硬化物である樹脂層の硬度および耐擦傷性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中、1~15質量%含むことが好ましく、3~10質量%含むことがより好ましい。
(有機溶剤)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、有機溶剤を含んでもよい。
有機溶剤としては、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、などのアルコール系有機溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコエーテル系有機溶剤など公知の有機溶剤を使用できる。
有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有率は、塗工性および成膜性の観点から、本発明の活性エネルギー硬化性組成物の不揮発分濃度が1~70質量%となる範囲であることが好ましい。
(その他成分)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、添加剤および(メタ)アクリロイル基を1~2個有する活性エネルギー線硬化性化合物、ビニル基、アリル基等の(メタ)アクリロイル基以外のラジカル重合性基を有する活性エネルギー線硬化性化合物、(メタ)アクリロイル基を有さない樹脂成分等を含有してもよい。
添加剤としては、熱硬化性樹脂、重合禁止剤、レベリング剤、スリップ剤、消泡剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、導電剤、無機粒子、顔料、染料等が挙げられる。
≪積層体≫
本発明の積層体は、光透過性基材(α)と、樹脂層(β)とを有する。
光透過性基材(α)上に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、活性エネルギー線により硬化させた樹脂層(β)を形成することで積層体を得ることができる。光透過性基材(α)の表面(基材が例えばフィルム状のものであれば片面又は両面)に活性エネルギー線硬化性組成物を塗布する条件は、特に限定されず、塗布手段としては、例えば、スプレー、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーターおよびドットコーター等が挙げられる。ハードコート層の厚みは特に限定されないが、1~10μmが好ましく、1~5μmがより好ましく、1~3μmがさらに好ましい。
<光透過性基材(α)>
光透過性基材(α)は、樹脂層(β)の支持層として機能する。ここで光透過性とは、積層体における光透過性基材(α)の厚みで測定したときに、必要な波長の光の透過率が80%以上であることをいう。より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90%以上である。必要な波長の光とは、透明性が必要な用途に積層体を用いる場合には可視光線域(波長380~780nm)の光が該当する。
光透過性基材(支持体とも言う)としては、特に限定はなく、ガラス、合成樹脂成型物、フィルムなどが挙げられる。
合成樹脂成型物としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレートを主成分とする共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-メチルメタクリレート共重合体樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリアリルジグリコールカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂の成型物が挙げられる。
また、フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファンフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテルフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等が挙げられる。
<樹脂層(β)>
樹脂層(β)は本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を活性エネルギー線により硬化させて得ることができる。活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線が挙げられる。紫外線の供給源としては例えば高圧水銀灯やメタルハライドランプ等が挙げられ、その照射エネルギーは通常100~2,000mJ/cm程度である。電子線の供給方式としては例えばスキャン式電子線照射、カーテン式電子線照射法等が挙げられ、その照射エネルギーは通常10~200kGy程度である。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例で「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
また、表中の配合量は、質量部であり、溶剤以外は、不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
合成例、実施例、および比較例で使用する原料について表1に記載する。
[合成例]
(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有する化合物(a1)として、ウレタンアクリレート化合物(a1-1)~(a1-7)を、
(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有さない化合物(a2)として、ウレタンアクリレート化合物(a2-2)、および(a2-3)を、
(メタ)アクリロイル基を3~5個有する化合物(a3)として、ウレタンアクレート化合物(a3-1)を合成した。(ウレタンアクリレート化合物はウレタンアクリレートまたは化合物と略記する。)
<ウレタンアクリレート(a1-1)の合成>
(合成例1)ウレタンアクリレート混合液(A1): 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコに、PE-3A(Thermo F.S社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート(a3-2))596.5質量部と、ネオスタンU-810(日東化成社製、錫触媒)0.1質量部を入れ、液温を50℃にした後、VESTANAT IPDI(EVONIK社製、イソホロンジイソシアネート)223.2質量部を滴下漏斗から30分間かけて滴下した。
昇温が治まった後、80℃ に昇温し3時間反応させ、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)においてイソシアネート基のピークが無くなったことを確認後、室温まで温度を下げ、重量平均分子量819のアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート(a1-1)99.9質量%とポリイソシアネート縮合物0.1質量%を含む、ウレタンアクリレート混合液(A1)を得た。
なお、ポリイソシアネート縮合物の量は式(3)より求めた(式中、J:ポリイソシアネート1分子当たりのポリイソシアネート縮合物含有量、K:ポリイソシアネートの分子量、L:ポリイソシアネート原料組成物(不揮発分)中のNCO含有率(質量%)、M:NCOの分子量、N:ポリイソシアネート1分子当たりのNCO個数)
J=(M×N/L)-K …(3)
(合成例2)~(合成例17):合成例(1)と同様に、表2記載に記載する配合で、ウレタンアクリレート(a1-2)~(a1-7)、(a2-1)~(a2-3)、(a3-1)、および(a3-5)を含むウレタンアクリレート混合液(A2)~(A17)を得た。
<セシウム複合タングステン酸化物(b1)粒子分散液(B1)の製造>
セシウム複合タングステン酸化物粒子(b1)(Keeling&Walker社製、IRASORB CTO)40.0部と、分散剤(社製、DISPERBYK142)4.0部と、メチルエチルケトン(D1)/メトキシブタノール(D2)=1/1混合溶剤56.0部とを混合し、前分散(ジルコニアビーズ(0.5mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散)を行った後にメチルエチルケトン(D1)/メトキシブタノール(D2)=1/1混合溶剤60.0部を加え、続けて本分散(ジルコニアビーズ(0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)製分散機UAM-015で分散)を行い、セシウム複合タングステン酸化物粒子(b1)分散液(B1)(セシウム複合タングステン酸化物粒子(b1)濃度25.0質量%、分散剤濃度2.5質量%、平均粒子径19nm)を得た。
<アンチモンドープ酸化錫(ATO)(b2)粒子分散液(B2)の製造>
セシウム複合タングステン酸化物粒子(b1)(Keeling&Walker社製、IRASORB CTO)をアンチモンドープ酸化錫(ATO)(b2)(三菱マテリアル電子化成社製、導電性粉末T-1)に変更した以外は、セシウム複合タングステン酸化物(b1)粒子分散液(B1)の製造と同等の方法で、アンチモンドープ酸化錫(ATO)(b2)粒子分散液(B2)(アンチモンドープ酸化錫(ATO)(b2)濃度25.0質量%、分散剤濃度2.5質量%、平均粒子径85nm)を得た。
<錫ドープ酸化インジウム(ITO)(b3)粒子分散液(B3)の製造>
セシウム複合タングステン酸化物粒子(b1)(Keeling&Walker社製、IRASORB CTO)を錫ドープ酸化インジウム(ITO)(b3)(Keeling&Walker社製、IRASORB B-ITO)に変更した以外は、セシウム複合タングステン酸化物(b1)粒子分散液(B1)の製造と同等の方法で、錫ドープ酸化インジウム(ITO)(b3)粒子分散液(B3)(錫ドープ酸化インジウム(ITO)(b3)濃度25.0質量%、分散剤濃度2.5質量%、平均粒子径65nm)を得た。
(実施例1):活性エネルギー線硬化性組成物の調製
攪拌機付きフラスコに、ウレタンアクリレート混合液(A1)63.0質量部、セシウム複合タングステン酸化物(b1)分散液(B1)120.0部、光重合開始剤IRGACURE184(C1)4.0部、およびメチルエチルケトン(D1)213.0部を加え、攪拌混合して、下記の化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
・ウレタンアクリレート(a1-1):62.9部
・ポリイソシアネート縮合物:0.1質量部
・セシウム複合タングステン酸化物粒子(b1):30.0部
・分散剤:3.0部
・光重合開始剤(C1):4.0部
以上ハードコート層形成用組成物(不揮発分):100部
・メチルエチルケトン(D1):256.5部
・メトキシブタノール(D2):43.5部
以上活性エネルギー線硬化用組成物:計400部
(実施例2~30、および比較例1~6):活性エネルギー線硬化性組成物の調製
(実施例1)と同様にして、表3-1~3-4に記載する配合に従って活性エネルギー線硬化性組成物を調整した。
ただし、実施例1~4、6~10、12、14~30は参考例である。
実施例および比較例で使用する材料について、下記に記載する。
<(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有する化合物(a1)>
・a1-1:IPDIとPE-3Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量819、アクリロイル基数6個
・a1-2:IPDIヌレートとPE-3Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量1562、アクリロイル基数9個
・a1-3:IPDIとPE-5Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量1271、アクリロイル基数10個
・a1-4:IPDIヌレートとDPE-5Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量2240、アクリロイル基数15個
・a1-5:水素化MDIとPE-3Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量859、アクリロイル基数6個
・a1-6:HDIヌレートとPE-3Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量1399、アクリロイル基数9個
・a1-7:MDIとPE-3Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量847、アクリロイル基数6個
<(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつ環状構造を有さない化合物(a2)>
・a2-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、分子量579、アクリロイル基数6個
・a2-2:HDIとPE-3Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量765、アクリロイル基数6個
・a2-3:HDIとDPE-5Aの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量1217、アクリロイル基数10個
<(メタ)アクリロイル基を3~5個有する化合物(a3)>
・a3-1:IPDIヌレートと4HBAの反応生成物であるウレタンアクリレート化合物、分子量1099、アクリロイル基数3個
・a3-2:ペンタエリスリトールトリアクリレート(PE-3A):分子量298、アクリロイル基数3個
・a3-3:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PE-4A):分子量352、アクリロイル基数4個
・a3-4:イソシアヌルEO変性トリアクリレート:分子量432、アクリロイル基数3個
・a3-5:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPE-5):分子量524、アクリロイル基数5個
<その他成分:(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物(a4)>
・ジアクリレート化合物(a4-1):大阪有機化学工業社製、ビスコート#230、HDDA(HD-2A):1,6-ヘキサンジオールジアクリレート:分子量226.3、アクリロイル基数2個
・イソシアヌレートEO変性ジアクリレート(a4-2):分子量369、アクリロイル基数2個
<複合タングステン酸化物粒子(B)>
・セシウム複合タングステン酸化物粒子(b-1)(Keeling&Walker社製、IRASORB CTO)
<その他金属酸化物粒子>
・アンチモンドープ酸化錫(ATO)(b’-1)(三菱マテリアル電子化成社製、導電性粉末T-1)
・錫ドープ酸化インジウム(ITO)(b’-2)(Keeling&Walker社製、IRASORB B-ITO)
・分散剤(BYK社製、DISPERBYK142)
<光重合開始剤(C)>
・Irgacure 184(C1):B.A.S.F社製
<溶剤(D)>
・(D1)メチルエチルケトン(丸善石油化学社製)
・(D2)メトキシブタノール(富士フイルム和光純薬社製)
[実施例1]:樹脂層(β)および積層体の作製
上記で得られた活性エネルギー硬化性組成物を、50μm厚のフィルム上に、バーコーターを用いて、乾燥後の膜厚が1μmになるように塗工した後、高圧水銀ランプで400mJ/cmの紫外線を照射し、樹脂層(β)を形成し、積層体を作製した。
[実施例2~30、および比較例1~6]:樹脂層(β)および積層体の作製
実施例1と同様にして、積層体を作製した。
ただし、実施例1~4、6~10、12、14~30は参考例である。
≪ヘイズ(HZ)≫
上記作製した積層体について、日本電色工業社製「ヘイズメーターSH7000」によりJIS K 7136に準じてヘイズ(HZ)を測定した。測定は樹脂層(β)側から行った。
[評価基準]
・0.8%以下:良好
・0.8%超1.0%以下:実用上問題なし
・1.0%超:実用不可
≪全光線透過率≫
作製した積層体について、日本電色工業社製「ヘイズメーターSH7000」によりJIS K 7375に準じて全光線透過率を測定した。測定は樹脂層(β)側から行った。65%以上であれば実用上問題はない。
≪分光透過率≫
作製した積層体について、日立ハイテックサイエンス社製「紫外可視近赤外分光光度計UH4150」により、500nm、1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率を測定した。測定は樹脂層(β)側から行った。500nmにおける光透過率が75%以上、1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率が20%以下であれば実用上問題はない。
≪耐擦傷性≫
作製した積層体について、テスター産業社製「学振型摩擦堅牢度試験機」により耐擦傷性を評価した。荷重1000gを取り付けた摩擦子(表面積1cm)にスチールウール#0000を取り付け、ハードコート層の表面(1cm×15cm)を10往復させた。その後、ハードコート層の表面のキズの本数を数え、下記基準で評価した。傷の数は少ないほうが良好であり、10本以下であれば実用上問題なく使用できる。
[評価基準]
・5:傷なし(0本):非常に良好
・4:傷1本以上5本以下:良好
・3:傷6本以上10本以下:やや良好
・2:傷11本以上20本以下:実用上問題なし
・1:傷21本以上:実用不可
≪カール性≫
作製した積層体について、以下に記載する方法によりカール性を評価した。積層体を10cm×10cmに切り出し、4隅の浮き具合の平均高さを算出した。
[評価基準]
・5:4mm未満:非常に良好
・4:4mm以上6mm未満:良好
・3:6mm以上8mm未満:やや良好
・2:8mm以上10mm未満:実用上問題なし
・1:10mm以上:実用不可
表4-1、4-2に示す通り、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いることで、形成した樹脂層と光透過性基材を備えた積層体の耐擦傷性およびカール性の両立が可能であり、さらに可視光線域における光透過性および近赤外線域における光遮断性にも優れていることが確認できた。これにより、得られる積層体は、可視光線域における光透過性、近赤外線域における光遮断性、透明性、耐擦傷性、およびカール性にも優れたものであることがわかる。

Claims (3)

  1. (メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物(A)、複合タングステン酸化物粒子(B)および光重合開始剤(C)を含み、
    活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中に(メタ)アクリロイル基を6個以上有し、かつヌレート環構造を有する化合物を30~69質量%含み、
    下記(1)と(2)を同時に満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
    (1)活性エネルギー線硬化性組成物の不揮発成分100質量%中の複合タングステン酸化物粒子(B)の含有率が、30~70質量%である。
    (2)膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である膜厚1μmの樹脂層を有する試験片において、ヘイズが1.0%以下であり、全光線透過率が65%以上であり、波長500nmにおける光透過率が75%以上であり、波長1,000nmおよび2,000nmにおける光透過率が20%以下である。
  2. 前記複合タングステン酸化物粒子(B)が、セシウム含有複合タングステン酸化物粒子であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 光透過性基材(α)と、請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である樹脂層(β)を有する積層体。
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