JP2021055056A - 光硬化性樹脂組成物、硬化被膜付き基材およびその製造方法 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物、硬化被膜付き基材およびその製造方法 Download PDF

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大橋 貴子
Takako Ohashi
貴子 大橋
裕美子 阿辻
Yumiko Atsuji
裕美子 阿辻
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Abstract

【課題】可視光透過性、遮熱性、密着性、硬度、耐候性、および耐硬化収縮性に優れる硬化被膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤(A)、2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)、紫外線吸収剤(D)、赤外線吸収剤(E)を含む光硬化性樹脂組成物であって、前記赤外線吸収剤(E)が、一般式:MxWyOz(式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属のうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表わされる複合タングステン酸化物である。【選択図】図1

Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜、該硬化被膜付き基材、および該硬化被膜付き基材の製造方法にも関する。
従来、ディスプレイの表示画面上に、紫外線および近赤外線を吸収できるハードコートフィルムを貼り付けることが行われてきた。例えば、紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤、紫外線吸収剤および無機系近赤外線吸収剤を含有する硬化性組成物を透明基材フィルム上に塗布し、硬化させたハードコートフィルムが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
ところで、赤外線吸収剤を含む塗料を用いたハードコートフィルムは熱線遮蔽効果があるものの、耐候性が不十分であったり、高硬度であっても硬化収縮が強いために基材の種類が限定されてしまったり、基材への密着性が不十分であったりといった課題も存在していた。そのため、従来の赤外線吸収剤を含む塗料を用いたハードコートフィルムを建物や車のウィンドウフィルムに貼り付けた場合、太陽光下では長期的に性能を維持することが困難な場合があった。また、赤外線吸収剤を含む塗料を用いたハードコートフィルムが可視光線波長域においても吸収してしまうと、可視光透過性が劣るという課題も存在していた。
特開2009−053249号公報
本発明者らは、特許文献1に記載のハードコートフィルムは、硬化収縮が強く、さらには耐候性に劣るため、太陽光下では長期的に性能を維持することが困難なことを知見した。
本発明は上記の背景技術および課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、可視光透過性、遮熱性、密着性、硬度、耐候性、および耐硬化収縮性に優れる硬化被膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、光重合開始剤(A)、2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)、紫外線吸収剤(D)、特定の赤外線吸収剤(E)を含む光硬化性樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 光重合開始剤(A)、2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)、紫外線吸収剤(D)、赤外線吸収剤(E)を含む光硬化性樹脂組成物であって、
前記赤外線吸収剤(E)が、一般式:M(式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表わされる複合タングステン酸化物である、光硬化性樹脂組成物。
[2] 前記赤外線吸収剤(E)の含有量が、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として2質量%以上40質量%以下である、[1]に記載の光硬化性樹脂組成物。
[3] 前記2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)の含有量が、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として1質量%以上30質量%以下である、[1]または[2]に記載の光硬化性樹脂組成物。
[4] 前記赤外線吸収剤(E)が、前記一般式中、MはCsである、[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[5] 光安定剤(F)をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[6] 3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(G)をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[7] 無機粒子(H)をさらに含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[8] 塗料として用いられる、[1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜。
[10] 基材表面の少なくとも一部に、[1]〜[8]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜を有する硬化被膜付き基材。
[11] [1]〜[8]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、紫外線照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を含む、硬化被膜付き基材の製造方法。
本発明によれば、可視光透過性、遮熱性、密着性、硬度、耐候性、および耐硬化収縮性に優れる硬化被膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、このような光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜、該硬化被膜付き基材、および該硬化被膜付き基材の製造方法を提供することもできる。
本発明の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜を備えたフィルムを、車および建物のウィンドウフィルムやディスプレイ等の光学部材に貼り付けて、赤外線や紫外線をカットすることで室内や部材の過度な温度上昇や紫外線による劣化を抑制することが可能となり、さらには耐候性を向上することもできる。また、このような硬化被膜を備えたフィルムは、赤外線波長領域において高い光吸収性を発現し、可視光線波長域においては高い透明性を発現するため、ディスプレイ等の光学部材に適用しても高い視認性を得ることが可能となる。
実施例3、比較例4、9、11の透過率のスペクトルを示すグラフである。
以下、本発明をより詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
「固形分」とは、光硬化性樹脂組成物から有機溶剤等の揮発成分を除いたものであり、硬化させたときに硬化被膜を構成する成分を示す。
<光硬化性樹脂組成物>
本発明による光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤(A)、2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)、紫外線吸収剤(D)、特定の赤外線吸収剤(E)を含むものである。本発明においては、光硬化性樹脂組成物が(A)〜(E)成分を含むことで、可視光透過性、遮熱性、密着性、硬度、耐候性、および耐硬化収縮性に優れる硬化被膜を形成することができる。また、本発明による光硬化性樹脂組成物は、光安定剤(F)、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(G)、無機粒子(H)、および酸化防止剤(I)等をさらに含んでもよい。このような光硬化性樹脂組成物は可視光透過性および遮熱性の両方が要求される様々な分野に適用することができ、例えば、車および建物のウィンドウフィルムやディスプレイ等の光学部材に用いることができる。以下、光硬化性樹脂組成物を構成する各成分について詳述する。
(光重合開始剤(A))
光重合開始剤は、特に限定されず、従来公知の紫外線硬化用の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、アセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイルホルメート系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤、ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、およびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
アセトフェノン系重合開始剤としては、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。
ベンゾイルホルメート系重合開始剤としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
チオキサントン系重合開始剤としては、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]およびエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾインアルキルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、および4,4’−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
これらの重合開始剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐硬化収縮性に優れ、370nmより長波長側に開裂波長があるアシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤(A)の含有量は、硬化性および透明性の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上7.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。
(2官能の(メタ)アクリルモノマー(B))
2官能の(メタ)アクリレートモノマーとは、分子内に官能基として2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を意味する。2官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートおよびネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラフルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のハロゲン置換アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート;水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の水添ジシクロペンタジエンまたはトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕等のジオキサングリコールまたはジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物等のビスフェノールAまたはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物等のビスフェノールAまたはビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート;シリコーンジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート;2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン;2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン;2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらの2官能の(メタ)アクリレートモノマーの中でも、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ハロゲン置換アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエンまたはトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールまたはジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートが好ましく、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。これらのモノマーは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)の含有量は、耐硬化収縮性および基材密着性の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上28質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上26質量%以下である。
(3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物(C))
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物とは、分子内に官能基として少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、かつウレタン結合を有する化合物を意味する。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応生成物である3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。
イソシアネート化合物の合成原料であるポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、これらのうちの1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルポリオールとしては、特に製造方法の制約はなく、例えばジオールとジカルボン酸またはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させたり、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化してエステル交換反応させたりする等、公知の方法にて得られるもの等を使用できる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジブロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ジマレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドープロピレンオキシドランダム共重合体等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記成分Aと成分Bを重縮合して得られる反応生成物等が挙げられる。即ち、成分Aとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール類、または、これらジオール類と、蓚酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸との反応生成物などが挙げられる。また、成分Bとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、炭酸エチレン等の芳香族系カーボネートまたは脂肪族系カーボネートなどが挙げられる。
イソシアネート化合物の合成原料であるジイソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、直鎖式、脂環式、または芳香環を有する脂肪族ジイソシアネートが好適である。具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有直鎖状炭化水素、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有分岐鎖状炭化水素、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等のイソシアネート基含有環状炭化水素、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4、4−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート基含有芳香族炭化水素等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、水酸基を少なくとも1個以上、好ましくは1〜5個有する(メタ)アクリレートを用いることができる。また、このような水酸基含有(メタ)アクリレートの炭素数は特に限定されないが、好ましくは炭素数が2〜20の炭化水素部位を有することが望ましい。ここで、炭化水素部位とは、直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基を有する有機基をいい、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよい。なお、当該炭化水素部位の一部には、エーテル結合が含まれていてもよい。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記以外にも、ポリカプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の変性体を用いてもよい。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、上述の反応生成物である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの中で3官能以上のものを適宜選択して利用することができる。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、市販品を用いることもできる。
3官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:UV−55、UV−51、UV−55E、UV−56(大竹明新化学(株)製)、商品名:EBECRYL 4738、EBECRYL 4740、EBECRYL 4513、EBECRYL 8701(ダイセル・オルネクス(株)製)等が挙げられる。
4官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:EBECRYL 8210、EBECRYL 8405、KRM8528(ダイセル・オルネクス(株)製)等が挙げられる。
5官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:DM850(DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)、商品名:ヒタロイド7903−1(日立化成(株)製)等が挙げられる。
6官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:紫光UV−7600B(日本合成化学株式会社製)、商品名:ART RESIN UN−3320HA(根上工業(株)製)、商品名:EBECRYL 1290K、EBECRYL 5129、EBECRYL 220、EBECRYL 8254(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:U−6LPA、UA−1100H(以上、新中村化学工業(株)製)、商品名:CN975(サートマー(株)製)、商品名:DM527、DM528、DM571、DM576、DM776、DM87A、DM88A(以上、DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)、商品名:ヒタロイド7902−1、TA24−195H(以上、日立化成(株)製)等が挙げられる。
9官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:KRM 8531BA、KRM8904(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:ヒタロイド7903−3、ヒタロイド7903−B(以上、日立化成(株)製)等が挙げられる。
10官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:KRM8452(ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:DM588(DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)等が挙げられる。
12官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、商品名:DM5812(DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)、商品名:ヒタロイド7903−4(日立化成(株)製)等が挙げられる。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)の含有量は、硬度の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上58質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以上56質量%以下である。
(紫外線吸収剤(D))
紫外線吸収剤(D)は、特に限定されず、従来公知の紫外線吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1、1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,C7〜9−ブランチ直鎖アルキルエステル、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等が挙げられる。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5,5’−ジスルホベンゾフェノン・2ナトリウム塩等が挙げられる。
紫外線吸収剤(D)の含有量は、耐候性の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは0.5質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以上4質量%以下であり、さらに好ましくは0.7質量%以上3質量%以下である。
(赤外線吸収剤(E))
赤外線吸収剤(E)としては、一般式M(式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表わされる複合タングステン酸化物を用いる。複合タングステン酸化物は、複合タングステン酸化物微粒子であることが好ましい。x/yの値が0.001以上であれば、近赤外線吸収特性を得易くなり、x/yの値が1以下であれば、複合タングステン微粒子に不純物相が生成されるのを回避することができる。また、z/yの値が2.0を超えると、当該複合タングステン酸化物中に目的以外の化合物であるWOの結晶相が現れるのを回避し易くなるとともに、材料としての化学的安定性を得易くなるので、有効な赤外線吸収剤として適用できる。一方、このz/yの値が3.0以下であれば当該タングステン酸化物中に必要とされる量の自由電子が生成され、効率が良い赤外線吸収剤となる。
複合タングステン酸化物は、可視光線を透過し近赤外線を吸収し、遮蔽し易くなるために、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Ba、Cu、Al、Mn、Inが好ましく、Cs、Rbがより好ましく、Csがさらにより好ましい。また、x/yの値については、0.01≦x/y≦0.7がより好ましく、0.1≦x/y≦0.5がより好ましく、0.2≦x/y≦0.4がさらにより好ましく、0.3≦x/y≦0.35が最も好ましい。さらに、z/yの値については2.2≦z/y≦3.0が好ましく、2.6≦z/y≦3.0がより好ましく、2.7≦z/y≦3.0がさらにより好ましい。
赤外線吸収剤(E)の含有量は、可視光透過性、赤外線吸収性、および耐硬化収縮性の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは2質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは4質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下であり、さらにより好ましくは12質量%以上28質量%以下であり、特に好ましくは14質量%以上26質量%以下である。
(光安定剤(F))
光安定剤(F)としては、特に限定されず、従来公知の光安定剤を用いることができ、ヒンダードアミン系光安定剤を用いることが好ましい。光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、Mixed{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等が挙げられる。
光安定剤(F)の含有量は、耐候性の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは0.1質量%以上4質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上3質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以上2質量%以下である。
(3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(G))
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとは、分子内に官能基として3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を意味する。3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3価以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(G)の含有量は、耐候性の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは10質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下である。
(無機粒子(H))
無機粒子(H)としては、特に限定されず、従来公知の無機粒子を用いることができる。無機粒子は、水、有機溶剤等の分散媒にコロイド状態に分散させたものを使用することができる。
無機粒子としては、シリカ、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、得られる硬化被膜の耐傷性の観点からシリカが好ましい。シリカとしては、粉体状またはコロイダル状のシリカ粒子を用いることができる。シリカ粒子の平均粒子径は、0.001〜20μm、好ましくは0.001μm〜2μm、より好ましくは0.001〜0.3μm、特に好ましくは0.005〜0.08μmである。また、その形状は、特に限定されず、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状等のいずれの形状であってもよいが、球状であることが好ましい。シリカ粒子の平均粒子径は、レーザー回折法により測定することができる。
シリカとしては、コロイダル状のシリカ粒子を用いることがより好ましい。コロイダル状のシリカ粒子は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、日産化学株式会社製の商品名:MEK−ST40、MEK−ST−L、MEK−ST−ZL、MEK−ST−UP等が挙げられる。
無機粒子としては、樹脂に無機粒子を化学的に結合させ、複合化した有機無機ハイブリッド樹脂である反応性無機粒子を用いることができる。
樹脂としては、無機粒子と化学的に結合し、有機無機ハイブリッド樹脂を形成できるものであれば、特に限定されない。樹脂としては、光硬化により重合するものが好ましく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート等が好ましい。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機無機ハイブリッド樹脂の製造方法は特に限定されず、無機粒子と樹脂とを化学的に結合し、複合化できる方法であればよい。例えば、樹脂として加水分解性シリル基を有する樹脂を用い、無機粒子としてシリカを用いた場合、樹脂の加水分解性シリル基とシリカが反応して、複合化することができる。以下、無機粒子としてシリカを用いた場合の好ましい実施形態について説明する。
本発明の好ましい実施形態においては、反応性無機粒子(B)としては、反応性(メタ)アクリロイル基を有するシリカ粒子(B)(以下、「反応性シリカ粒子(B)」ともいう)を用いることができる。反応性シリカ粒子(B)としては、例えば、特開平9−100111号公報に記載の反応性シリカ粒子を用いることができる。反応性シリカ粒子(B)は、シリカ粒子と、それと化学的に結合しているシラン化合物とからなり、シラン化合物は、加水分解性シリル基、および(メタ)アクリロイル基を末端に有し、さらに下記式(a)および(b):
Figure 2021055056
Figure 2021055056
(式中、Xは−NH−、−O−および−S−から選ばれ、Yは酸素原子および硫黄原子から選ばれる。但し、Xが−O−のときYは硫黄原子である。)で表わされる基を有している。
加水分解性シリル基は、加水分解および縮合反応によりシリカ粒子の表面に存在するシラノ−ル基と結合し、また、(メタ)アクリロイル基は、活性ラジカル種により付加重合を経て分子間で化学架橋する際に用いられる。また、上記式(a)で表わされる基および(b)で表わされる基は、これら加水分解性シリル基を有する分子と、(メタ)アクリロイル基を有する分子とを直接もしくは他の分子を介して結合する構成単位であると同時に、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化組成物に優れた力学的強度、基材との密着性、耐熱性等の性能を発生せしめる役割を果たすと推定される。
このようなシラン化合物は、特開平9−100111号公報に記載されているように、例えば、末端に活性イソシアネ−ト基を有する、メルカプトアルコキシシランとポリイソシアネ−ト化合物との付加体に対し、ポリアルキレングリコ−ルを加え、片末端ヒドロキシのアルコキシシランとしたのち、これに対し別途合成した、末端に水酸基を有し他方の末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物とポリイソシアネ−ト化合物との付加体を反応させウレタン結合で両者をつなぐ方法、または末端に活性イソシアネ−ト基を有する、メルカプトアルコキシシランとポリシソシアネ−ト化合物との付加体に対し、別途合成した、末端に活性水酸基を有するポリアルキレングリコールポリイソシアネ−ト化合物と末端に水酸基を有し他方の末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物との付加体を反応させウレタン結合で両者をつなぐ方法、等により合成することができる。
反応性シリカ粒子(B)は、このようなシラン化合物とシリカ粒子とを用いて調製することができる。具体的には、
(1)反応性(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物を加水分解させた後、これとシリカ粒子とを混合し、加熱、攪拌操作を行う方法、
(2)反応性(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物の加水分解をシリカ粒子の存在下に行う方法、
などにより製造することができる。
反応性シリカ粒子は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、日産化学株式会社製の商品名:MEK−AC−2140Z、PGM−AC−2140Y、MIBK−AC−2140Z等が挙げられる。
無機粒子(H)の含有量は、耐硬化収縮性および硬度の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上30質量%以下である。
(酸化防止剤(I))
酸化防止剤(I)としては、特に限定されず、従来公知の酸化防止剤を用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、およびチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2’−チオジエチレンビス[3−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル、およびイソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジメチルフェニルホスファイト)、およびサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、および3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス{メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート}メタン、ビス〔メチル−4−{3−n−アルキル(C12o rC14チオプロピオニオジル}−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、およびジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
酸化防止剤(I)の含有量は、耐候性の観点から、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは0.1質量%以上2質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上1.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以上1質量%以下である。
(その他の成分)
本発明による光硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記(A)〜(I)成分以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、帯電防止剤、重合禁止剤、非反応性希釈剤、つや消し剤、消泡剤、分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、熱安定剤、密着性向上剤、光増感剤、抗菌剤、防カビ剤、抗ウイルス剤、シランカップリング剤、可塑剤、溶剤等を必要に応じて配合することができる。
<光硬化性樹脂組成物の調製方法>
本発明による光硬化性樹脂組成物は、上記の各成分を、従来公知の混合機、分散機、撹拌機等の装置を用いて、混合・撹拌することにより得られる。このような装置としては、たとえば混合・分散ミル、ホモディスパー、モルタルミキサー、ロール、ペイントシェーカー、ホモジナイザー等が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物(樹脂溶液)の25℃における粘度は、好ましくは0.5〜500mPa・sであり、より好ましくは1〜250mPa・sであり、さらに好ましくは5〜100mPa・sである。粘度の測定はB型粘度計を用いることができる。粘度が上記数値範囲内であれば、塗料として用い易く、加工適性に優れる。
本発明においては、光硬化性樹脂組成物を塗料組成物として適した粘度に調整する等、必要に応じて溶剤で希釈することができる。溶剤としては、樹脂組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼン)、エステルまたはエーテルエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−またはi−プロパノール、n−、i−、sec−またはt−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコールおよびベンジルアルコール)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、水およびこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。
(硬化被膜)
本発明による光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜は、厚さ3μm〜15μmの場合、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズが、1.00%未満であることが好ましく、0.90%以下であることがより好ましく、0.80%以下であることがさらに好ましい。また、厚さ3μm〜15μmの硬化被膜は、JIS K 7361−1に準拠して測定した全光線透過率が、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。ヘイズおよび全光線透過率が上記範囲内であれば、透明性に優れる。
<硬化被膜付き基材>
本発明による硬化被膜付き基材は、基材表面の少なくとも一部に、上記の光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜を備えるものである。基材としては特に限定されず、各種のプラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリアミド樹脂、 セ ルロース樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂等のフィルムが挙げられる。なお、本発明の光硬化性樹脂組成物は全光線透過率が高く、ヘイズが低い、透明な硬化被膜を形成することが可能なため、透明なプラスチックフィルムを用いることが好ましい。
基材の厚さは、特に限定されるものではないが、通常10μm以上500μm以下であり、好ましくは30〜400μmである。
<塗膜付き基材の製造方法>
本発明による塗膜付き基材は、上記の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
塗布工程の後、紫外線照射により上記の光硬化性脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を含むものである。以下、各工程について、詳細に説明する。
(塗布工程)
塗布工程は、基材の片面に、従来公知の方法により、上記の光硬化性樹脂組成物を塗布する工程である。塗布には、例えば、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(ナチュラルロールコーターおよびリバースロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーターおよびブレードコーター等の塗布機が使用できる。これらの中でも、作業性および生産性の観点からグラビアコーターを用いた塗布方法が好ましい。
塗布膜厚は、特に限定されず、基材の種類によって、適宜選択される。例えば、塗布膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、0.5〜25μmであることが好ましい。乾燥性、硬化性、硬化時の耐カール性の観点から更に好ましい上限は15μmであり、硬度の観点から更に好ましい下限は1μmである。
樹脂組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗布後に乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、好ましくは10〜200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から更に好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から更に好ましい下限は30℃である。
(硬化工程)
硬化工程は、基材の塗布面に紫外線を照射して、塗布された光硬化性樹脂組成物を硬化させて、硬化被膜を形成する工程である。紫外線で硬化させる方法としては、200〜500nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、UV−LED等を用いて、紫外線を照射する方法等が挙げられる。紫外線の照射量は、光硬化性樹脂組成物の硬化性および硬化物の可撓性の観点から、好ましくは100〜3,000mJ/cmであり、より好ましくは200〜1,000mJ/cmである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<シラン化合物の合成>
攪拌器、還流冷却器、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート200.1g、ジラウリン酸ジブチルスズ0.5g、メチルエチルケトン186.8gを入れ、オイルバスにて75℃まで加温した。75℃まで到達したら、メルカプトプロピルトリメトキシシラン98.2gを1時間かけて滴下し、滴下後さらに6時間反応させた。続いて反応液中に4−メトキシフェノール0.2g、ジブチルヒドロキシトルエン0.34gを入れた後に、ビスコート300(大阪有機化学工業製ペンタエリスリトールトリアクリレート)673.5g、ジラウリン酸ジブチルスズ0.9gを75℃で1時間かけて滴下した。滴下後、アロニクスM−402(東亞合成製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)320.6g、メチルエチルケトン69gを投入し、80℃まで加温した。80℃まで到達したら、8時間反応させることでシラン化合物を得た。なお、反応の終点は赤外吸収分析でイソシアネート基に由来したピークの消失により確認した。
<反応性ナノシリカの合成>
攪拌器、還流冷却器、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、MEK−ST−40(日産化学製シリカ)216.2g、イオン交換水0.3gを入れ、オイルバスにて60℃まで加温した。60℃まで到達したら、上記で合成したシラン化合物50.4gを2時間かけて滴下し、滴下後さらに3時間反応させた。続いて反応液中にオルトギ酸メチル1.8gを入れた後に、さらに1時間反応させることで反応性ナノシリカを得た。
また、光硬化性樹脂組成物のために、以下の材料を用いた。
・光重合開始剤1(アセトフェノン系重合開始剤、IGM Resin社製、商品名:Omnirad 184)
・光重合開始剤2(アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、IGM Resin社製、商品名:Omnirad TPO−H)
・光重合開始剤3(アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、IGM Resin社製、商品名:Omnirad 819)
・2官能(メタ)アクリルモノマー1(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、Sartomer Chemicals Ltd社製、商品名:SR238NS(HDDA))
・2官能(メタ)アクリルモノマー2(1,9−ノナンジオールジアクリレート、共栄社化学株式会社製、商品名:ライトアクリレート1.9ND−A)
・2官能(メタ)アクリルモノマー3(トリプロピレングリコールジアクリレート、第一工業製薬株式会社製、商品名:TPGDA)
・単官能(メタ)アクリルモノマー(第一工業製薬株式会社製、商品名:GX−8301S)
・3官能ウレタン(メタ)アクリレート(脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・オルネクス株式会社製、商品名:EBECRYL 8701)
・6官能ウレタン(メタ)アクリレート1(ジシクロヘキシルメタン含有ウレタンアクリレート、大竹明新化学株式会社製、商品名:ウレタンアクリレートFARX13)
・6官能ウレタン(メタ)アクリレート2(イソホロンジイソシアネート含有ウレタンアクリレート、日本合成化学株式会社製、商品名:紫光UV−7600B)
・3官能エポキシ(メタ)アクリレート(ノボラックエポキシアクリレート80%、トリプロピレングリコールジアクリレート20%含有、ダイセル・オルネクス株式会社製、商品名:EBECRYL 3603)
・紫外線吸収剤1(BASF社製、商品名:TINUVIN 479)
・紫外線吸収剤2(BASF社製、商品名:TINUVIN 384−2)
・赤外線吸収剤1(セシウム酸化タングステン(Cs0.33WO)18.5%含有、住友金属鉱山株式会社製、商品名:YMF−02A)
・赤外線吸収剤2(セシウム酸化タングステン(Cs0.33WO)18.5%含有、住友金属鉱山株式会社製、商品名:YMF−01)
・赤外線吸収剤3(アンチモンドープ酸化スズ20%含有、日本触媒株式会社製、商品名:ELECOM NY−1019ATV)
・赤外線吸収剤4(アンチモンドープ酸化スズ25%含有、住友金属鉱山株式会社製、商品名:FMF−3A1)
・赤外線吸収剤5(酸化インジウムスズ15%含有、CIKナノテック株式会社製、商品名:ITRANB 15wt%−G180)
・赤外線吸収剤6(六ホウ化ランタン3.3%含有、住友金属鉱山株式会社製、商品名:KHF−7AH)
・光安定剤(ヒンダードアミン系光安定剤、BASF社製、商品名:TINUVIN 123)
・6官能エステル(メタ)アクリレート(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、MIWON社製、商品名:MIRAMER M600)
・無機粒子1(上記で合成した反応性シリカ、固形分中のシリカ含有量67%)
・無機粒子2(コロイダルシリカ、反応性無し、固形分中のシリカ含有量100%、日産化学株式会社製、商品名:MEK−ST40)
・溶剤1(酢酸ブチル)
・溶剤2(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
[実施例1〜13、比較例1〜11]
[光硬化性樹脂組成物の調製]
表1および2に記載の配合に従って、各成分を混合することにより、光硬化性樹脂組成物を得た。
[硬化被膜付き基材の製造]
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)フィルム基材(厚さ50μm)に、実施例1〜11および比較例1〜11で調製した各光硬化性樹脂組成物を乾燥膜厚が3μmとなるようにワイヤーバーコーターを用いて1回塗布し、80℃で1分間乾燥させた。続いて、該PMMAフィルム基材の塗布面に、高圧水銀ランプにて紫外線を照射することで(照射量:1000mJ/cm)、塗膜を硬化させ、硬化被膜を形成し、硬化被膜付き基材を得た。
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)フィルム基材(厚さ125μm)に、実施例12で調製した光硬化性樹脂組成物を乾燥膜厚が9μmとなるようにワイヤーバーコーターを用いて1回塗布した以外は、実施例1と同様にして、硬化被膜付き基材を得た。
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)フィルム基材(厚さ125μm)に、実施例13で調製した光硬化性樹脂組成物を乾燥膜厚が15μmとなるようにワイヤーバーコーターを用いて1回塗布した以外は、実施例1と同様にして、硬化被膜付き基材を得た。
[硬化被膜付き基材の評価]
(透明性)
上記で製造した硬化被膜付き基材について、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社 製、型番:NDH4000)を用いて、JIS K 7136に準拠してヘイズ(HZ)を測定し、JIS K 7361−1に準拠して全光線透過率(TT)を測定した。測定結果を表3および4に示した。ヘイズ値が1%未満、全光線透過率が75%以上であれば、合格とした。
(基材密着性)
上記で製造した硬化被膜付き基材について、JIS K 5600−5−6に準拠して1mm間隔で塗膜に10マス×10マスの切れ込みを入れ、ニチバン製粘着テープを貼り付け、引き剥がした後の塗膜の状態を目視で観察し、残存している塗膜のマス目を測定した。測定結果を表3および4に示した。結果が100/100(全て残存)であれば、合格とした。
(硬度)
上記で製造した硬化被膜付き基材について、JIS K5600に準拠して、鉛筆硬度(750g荷重)を測定した。測定結果を表3および4に示した。硬度がH以上であれば、合格とした。
(透過性)
上記で製造した硬化被膜付き基材について、分光光度計(島津製作所株式会社製、商品名:島津紫外・可視・近赤外分光光度計 SolidSpec−3700)を用いて、測定波長範囲2000〜250nmで透過率を測定した。370nm、500nm、1000nm、1500nm、2000nmでの透過率の測定結果を表3および4に示した。また、実施例3、比較例4、9、11の透過率のスペクトルを図1に示した。透過率について、370nmで10%以下、500nmで80%以上、1000nmで20%以下を全て満たしていれば、合格とした。
(耐候性)
上記で製造した硬化被膜付き基材について、耐候性試験機(サンシャインカーボンアーク灯式(SWOM)、スガ試験機製、型番:S80)を用いて、促進耐候性試験を行って、耐候性を評価した。
具体的には、JIS B7753に準拠し、放射照度255W/m、120分サイクル(102分間の照射、続いて18分間の照射及び噴霧)、試験時間;500時間の条件にて促進耐候性試験を行った。促進耐候性試験後の硬化被膜の状態を観察した。観察結果を表3および4に示した。硬化被膜の状態がワレや白化、顕著な黄変、および剥離が無い状態(異常無し)であれば、合格とした。
(耐硬化収縮性)
上記で製造した硬化被膜付き基材を10cm×10cmのサイズのサンプルに切り出した。その後、サンプルの中央部分が測定台に接するように置き、サンプルの四隅の測定台(水平面)からの浮き上がりを測定し、合計値を算出した。算出結果を表3および4に示した。合計値が30mm以下であれば、合格とした。
Figure 2021055056
Figure 2021055056
Figure 2021055056
Figure 2021055056
(遮熱性)
上記で調製した実施例1、比較例4、9〜11の各光硬化性樹脂組成物をポリカーボネート板(タキロンシーアイ株式会社製)に乾燥膜厚が4.5μmとなるようにスプレーで塗布し、乾燥させて、試験板を得た。次に、2mmの厚さのPP板にて縦7cm×横20cm×高さ5cmの空間を作製し、7cm×20cmの天面上に、塗膜面が外側となるように試験板を設置した。続いて、白熱電球300W(3A 100V)を塗膜面から上方に垂直距離8cmの位置に設置し、照射前の初期の空間温度と照射後1時間経過後の空間温度を測定した。また、赤外線吸収剤を含まない比較例4を基準として、照射後1時間経過後の温度上昇の差を算出した。測定結果を表5に示した。比較例4との差が大きい程、硬化塗膜による遮熱性が高いと言える。
Figure 2021055056

Claims (11)

  1. 光重合開始剤(A)、2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)、紫外線吸収剤(D)、赤外線吸収剤(E)を含む光硬化性樹脂組成物であって、
    前記赤外線吸収剤(E)が、一般式:M(式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表わされる複合タングステン酸化物である、光硬化性樹脂組成物。
  2. 前記赤外線吸収剤(E)の含有量が、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として2質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記2官能の(メタ)アクリルモノマー(B)の含有量が、光硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として1質量%以上30質量%以下である、請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記赤外線吸収剤(E)が、前記一般式中、MはCsである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 光安定剤(F)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(G)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 無機粒子(H)をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  8. 塗料として用いられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜。
  10. 基材表面の少なくとも一部に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜を有する硬化被膜付き基材。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程の後、紫外線照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
    を含む、硬化被膜付き基材の製造方法。
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