JP7429968B2 - 害虫抵抗性誘導剤及び植物の害虫防除方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (1)ウェブサイトの掲載日:2019年12月19日、ウェブサイトのアドレス:https://www.mdpi.com/1420-3049/25/1/17/htm
本発明は、害虫抵抗性誘導剤及び植物の害虫防除方法に関する。
作物の収量低下を招く病害虫の発生は、農業分野において深刻な問題である。指定有害動植物による被害の半数以上が害虫による被害であり、害虫防除は重要である。作物にかかる害虫の防除方法には様々な技術があるが、主に、殺虫剤等の化学農薬を使用する化学的防除法や、抵抗性品種等を用いる耕種的防除法や天敵を利用する方法等の生物学的防除法が用いられている。中でも、化学農薬は即効性があり、防除効果も高いため、多用されている。しかしながら、化学農薬には、不適切な使用による環境中への残留による生態系への影響や、同一薬剤の連続使用により薬剤抵抗性を持った害虫の出現の問題が懸念されている。また、環境保全や消費者の安全志向の観点からも、化学農薬の使用量の低減が求められている。これらのニーズに呼応して減農薬農業が実施されているが、通常使用量では顕在化しなかった病害虫の発生も問題となっている。
生物学的防除法の場合には、化学農薬によるこれらの問題は生じないが、別の問題がある。例えば、通常の品種にかえて抵抗性品種を栽培した場合には、抵抗性を打破する害虫の出現が問題となっている。このため、近年では抵抗性が崩壊することなく安定的に持続する特性を有する品種が求められている。また、天敵を利用する方法では、十分な効果を示す天敵の常時調達が困難である。
近年、環境保全型病害防除手法として病害抵抗性誘導物質が注目されている。病害抵抗性誘導物質は、化学農薬と異なり、病原体を直接殺すものではなく、植物が本来有する病害抵抗性を誘導及び強化することで病害を防除するものである。広範囲な病原体に効果があり、その効果も長期間持続する特徴がある。植物の病害抵抗性の機構は種を超えて保存されていることから抵抗性誘導物質がその生理活性を示す植物種の範囲は広い。
ナス科植物であるトマトやアブラナ科植物であるシロイヌナズナ等を用いた研究により植物の病害抵抗性経路は、生きた植物細胞から栄養を得るウイルス等の活物寄生性病原体に対して有効なサリチル酸経路と、宿主細胞を殺して栄養にする灰色カビ病菌等の殺生性病原体に対して有効なジャスモン酸-エチレン系との2つに大別できることが示されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、ジャスモン酸やその類縁体は、広範な害虫に対して極めて強い抵抗性誘導能を示す一方、植物体に処理した場合に、顕著な成長抑制や老化促進を起こす(例えば、非特許文献2参照)。そのため、抵抗性誘導剤のリード化合物としての実用利用は難しい。
発明者らは、これまで、ロリオライドがミカンキイロアザミウマ等の害虫に対して植物にジャスモン酸非依存的なシグナル伝達経路を介して抵抗性を誘導することを明らかにしている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6108548号公報
Glazebrook J, Annual Review of Phytopathology, 2005, vol. 43, p.205-227. Erb et al., Trends in Plant Science, 2012, vol. 17(5), p.250-259. Kawazu et. al., Arthropod-Plant Interactions, 2012, vol. 6(2), p.221-230. Murata et al., Plant Physiology, 2019, Vol. 179, p.1822-1833.
ロリオライドは、市販されておらず入手が困難であり、有機合成のコストも高いという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、害虫に対して有効であり、害虫防除剤として有用な新たな抵抗性誘導剤、及び当該抵抗性誘導剤を用いた植物の害虫防除方法を提供する。
発明者らは、害虫に対する抵抗性を誘導する物質を見出すべく、天然資源に焦点を絞り、病虫害抵抗性が誘発された植物を用いて探索を試みた結果、カロテノイドの最終代謝産物であるα-ヨノンが、直接的に殺虫活性を有さないにも関わらず、アザミウマ科昆虫やヤガ科昆虫等の害虫に対する優れた抵抗性能を植物に誘導することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
〔1〕 α-ヨノンを有効成分として含有し、アザミウマ科昆虫に対する抵抗性を植物に誘導する、害虫抵抗性誘導剤。
〔2〕 α-ヨノンを有効成分として含有し、ヤガ科昆虫に対する抵抗性を植物に誘導する、害虫抵抗性誘導剤。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載の害虫抵抗性誘導剤を、植物体に接触又は吸収させる、植物の害虫防除方法。
〔4〕 前記植物体が、双子葉植物である、〔3〕に記載の植物の害虫防除方法。
〔5〕 前記植物体が、ナス科植物、アブラナ科植物又はウリ科植物である、〔3〕又は〔4〕に記載の植物の害虫防除方法。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤は、植物体の害虫に対する抵抗性を誘起させて害虫防除効果を示す。このため、当該害虫抵抗性誘導剤及びこれを用いた植物の害虫防除方法は、抵抗性系統の出現のおそれが非常に小さく、環境保護の点からも好ましい害虫防除方法である。
実施例1において、トマトにおけるミカンキイロアザミウマ生存数に対するα-ヨノンの24時間処理の効果を示した図である。 比較例1において、トマトにおけるミカンキイロアザミウマ生存数に対するβ-ヨノンの24時間処理の効果を示した図である。 実施例2において、ミカンキイロアザミウマ生存率に対するα-ヨノン滴下処理の効果を示した図である。 実施例3において、トマトの各遺伝子の発現誘導に対するα-ヨノン処理の24時間処理の効果を示した図である。 比較例2において、トマトの各遺伝子の発現誘導に対するβ-ヨノン処理の24時間処理の効果を示した図である。 実施例4において、サリチル酸の蓄積に対するα-ヨノン処理の効果を示した図である。 実施例4において、ジャスモン酸の蓄積に対するα-ヨノン処理の効果を示した図である。 実施例5において、シロイヌナズナにおけるミカンキイロアザミウマ産卵数に対するα-ヨノンの48時間処理の効果を示した図である。 実施例6において、トマトにおけるハスモンヨトウ生存数に対するα-ヨノンの48時間処理の効果を示した図である。 実施例6において、トマトにおけるハスモンヨトウ体重に対するα-ヨノンの48時間処理の効果を示した図である。 実施例7において、キュウリにおけるミナミキイロアザミウマ生存数に対するα-ヨノンの24時間処理の効果を示した図である。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤は、α-ヨノン(「α-イオノン」、「(E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エニル)ブタ-3-エン-2-オン」ともいう)を有効成分として含有し、アザミウマ科昆虫又はヤガ科昆虫に対する抵抗性を植物に誘導する。α-ヨノンは、下記式(1-1)及び(1-2)で表される化合物(以下、「化合物(1-1)」及び「化合物(1-2)」とそれぞれ称する場合がある)である。化合物(1-1)は、α-ヨノンの(R)-(+)体であり、化合物(1-2)はα-ヨノンの(S)-(-)体である。本発明において用いられるα-ヨノンは、(R)-(+)体であってもよく、(S)-(-)体であってもよく、それらの混合物であってもよい。以降、本発明及び本願明細書において、「α-ヨノン」には、(R)-(+)体及び(S)-(-)体が包含される。α-ヨノンのCAS No.は、「127-41-3」である。α-ヨノンは、殺虫活性は示さないが、植物の害虫防除活性を高めることができる。
Figure 0007429968000001
本発明において用いられるα-ヨノンは、天然物からの抽出物であってもよい。α-ヨノンは、カロテノイドの代謝産物であり、カロテノイド代謝経路を有する植物や藻類に多く含まれる。
α-ヨノンは、カロテノイド代謝経路を有する植物や藻類のうち、特に、ニンジン、カボチャ、タバコ、チャ、アマノリ、テングサ、スミレ等に多く含まれている。これらの植物や藻類からα-ヨノンを抽出することができる。
植物等からのα-ヨノンの抽出は、有機溶剤を用いて常法により行うことができる。具体的には、例えば、α-ヨノンを含む植物の葉や茎等の生鮮物や乾燥物から、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン等の有機溶媒を用いて抽出する。植物等の乾燥物は、天日乾燥や自然乾燥等の乾燥処理を行ったものであってもよく、液体窒素による急速凍結を行ったものであってもよい。また、有機溶媒を添加する前に、予め細断又は粉砕しておくことも好ましい。得られた抽出物は、減圧蒸留等により濃縮した後、分液ロートを用いて有機溶媒層を分取することにより、α-ヨノンを含む粗抽出物を得ることができる。この粗抽出物は、そのまま、又は必要に応じて濃縮した後、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤の有効成分として使用できる。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤の有効成分としては、前記粗抽出物を、クロマトグラフィー法により精製した精製抽出物を用いることも好ましい。例えば、前記粗抽出物を、順相のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてα-ヨノンを含む画分を分離してもよい。得られた画分を、そのまま、又は必要に応じて濃縮した後、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤の有効成分として使用できる。また、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られたα-ヨノンを含む画分を、さらに逆相クロマトグラフィーにかけることにより、α-ヨノンをより高純度に精製することができる。
本発明において用いられるα-ヨノンは、合成品であってもよい。α-ヨノンは、公知の合成方法により比較的簡便に合成することができる。α-ヨノンは、例えば、プソイドイオノン(シュードイオノン)から合成することができる。具体的には、例えば、プソイドイオノンに希酸を加えて加熱することで環化し、α-ヨノン及びβ-ヨノンの混合物が得られる。このとき、使用する希酸の種類等の反応条件を適宜調整することで、生成するα体とβ体の比率を変更することができる。例えば、希酸としてリン酸を用いて反応を行なうことで、主としてα-ヨノンが得られる。なお、プソイドイオノンは、シトラールにアセトンを、塩基触媒を用いたアルドール反応によって縮合させることで、プソイドイオノンを生成することができる。その他、α-カロテン等のカロテンから酸化還元酵素や光酸化等により合成することができる。また、本発明において用いられるα-ヨノンは、市販品であってもよい。α-ヨノンの市販品としては、例えば、富士フィルム和光純薬株式会社製のα-ヨノン(製品コード:093-00692)等が挙げられる。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤の有効成分とするα-ヨノンは、溶媒和物であってもよく、塩として含有されていてもよい。溶媒和物としては、例えば、水、メタノール、エタノール、酢酸エチル等の溶媒和物が挙げられる。また、塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩等の金属塩;酢酸塩、アンモニウム塩等の無機塩;ジベンジルアミン塩、グルコサミン塩、エチレンジアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ジエタノールアミン塩、テトラメチルアンモニア塩等の有機アミン塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、アスパラギン塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤におけるα-ヨノンの濃度は、植物体の害虫防除活性を誘起するために充分な濃度であればよく、防除対象である害虫の種類、害虫抵抗性誘導剤が使用される対象植物の種類、一度の散布時における散布量、散布頻度等を考慮して適宜決定される。例えば、害虫防除効果と一度の散布量との兼ね合いから、植物体への施用(散布)時における本発明に係る害虫抵抗性誘導剤中のα-ヨノンの濃度は、10μM(mol/L)以上が好ましく、100μM以上がより好ましく、300μM以上がさらに好ましい。α-ヨノンの濃度が、10μM以上であることで、害虫防除効果をより十分に発揮できる。一方で、α-ヨノンは光合成を行う生物種のほとんど全てにおいて生産される物質であり、多くの食品に含まれていることから、環境や人体に与える影響は小さいと推察される。このため、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤中のα-ヨノンの濃度の上限値は、特に規定されないが、費用の点等から2000μMが好ましく、1000μMがより好ましく、700μMがさらに好ましく、500μMが特に好ましい。
なお、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤は、植物体への施用時に希釈して使用する濃縮物であってもよい。例えば、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤のα-ヨノンの濃度を1mM以上1M以下とした場合には、使用時に水やエタノール等の適当な溶媒で100倍以上100000倍以下に希釈して有効成分濃度を所望の濃度(例えば、10μM程度)に調整して使用することができる。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤の剤型としては、特に限定されるものではなく、例えば、粉剤、粒剤、錠剤、水和剤、乳剤、水溶剤、油剤、エアロゾル剤等が挙げられる。本発明に係る害虫抵抗性誘導剤を農業園芸用として用いる場合には、植物体への散布等が容易であることから、水和剤、乳剤、水溶剤、油剤、エアロゾル剤、粉剤等が好ましく、植物体への吸収性の点から、水和剤、乳剤、水溶剤、エアロゾル剤がより好ましい。これらの製剤は、常法に従って製造することができる。例えば、有効成分(α-ヨノン)を、不活性な液体(溶媒)又は固体の担体で希釈し、必要に応じてその他の添加剤をこれに加えて、各種製剤を製造する。当該添加剤としては、例えば、界面活性剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色料、矯臭剤、pH調整剤等が挙げられる。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤が水溶剤や水和剤等の液状の剤型である場合、α-ヨノンを溶解又は分散させる溶媒としては、α-ヨノンに対して不活性であり、かつ対象となる植物体に悪影響を及ぼしにくい溶媒が好ましい。当該溶媒としては、メタノール、エタノール、及び水等が適宜使用される。水溶剤の場合、例えば、α-ヨノンを、メタノールやエタノールに溶解させ、得られた溶液を水で希釈することにより調製できる。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤は、α-ヨノンによる害虫防除活性誘起効果を阻害しない範囲内で、その他の殺虫剤や殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料等を含有していてもよい。
α-ヨノンは、植物体の害虫防除活性、特に、アザミウマ科昆虫又はヤガ科昆虫に対する防除活性を誘起し、これらの害虫に対する抵抗性を増強させることができる。このため、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤により処理された植物体では、アザミウマ科昆虫による吸汁害又はヤガ科昆虫の幼虫による食害が低減する。また、この害虫抵抗性誘導効果から、α-ヨノンは、アザミウマ科昆虫又はヤガ科昆虫に対する抵抗性誘導剤のリード化合物としての利用も期待できる。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤により防除対象となる害虫としては、アザミウマ科(Thripidae)昆虫又はヤガ科(Noctuidae)昆虫に属するものであればよい。
アザミウマ科(Thripidae)昆虫としては、例えば、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)等が挙げられる。中でも、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)又はミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)が好ましい。
ヤガ科(Noctuidae)昆虫としては、多くの属が存在し、例えば、Spodoptera属、Athetis属、Polyphaenis属、Trachea属、Orthogonia属、Actinotia属、Phlogophora属、Apamea属、Sapporia属、Bambusiphila属、Atrachea属、Capsula属、Sesamia属、Dryobotodes属、Xylena属、Lithophane属、Eupsilia属、Rhynchaglaea属、Mesorhynchaglaea属、Sugitania属、Incertobole属、Telorta属、Antivaleria属、Nyctycia属、Cosmia属等が挙げられるが、中でも、Spodoptera属に属するものがより好ましい。Spodoptera属に属するものとしては、例えば、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、シロナヨトウ(Spodoptera mauritia acronyctoides)、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)等が挙げられるが、中でも、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)が特に好ましい。
本発明に係る植物の害虫防除方法は、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤を、植物体に接触又は吸収させることを含む。本発明に係る害虫抵抗性誘導剤を植物体に接触又は吸収させることにより、有効成分たるα-ヨノンが植物体に作用し、当該植物体の病害抵抗性が増強され、アザミウマ科昆虫による吸汁害又はヤガ科昆虫の幼虫による食害を低減させることができる。
本発明に係る植物の害虫防除方法において、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤を、植物体に接触又は吸収させる方法は、特に限定されるものではなく、その他の農薬等を散布する方法と同様にして行うことができる。本発明に係る害虫抵抗性誘導剤が液状の剤型である場合には、そのまま、又は適宜水やエタノール等の適当な溶媒で希釈した後に、植物体の葉や茎等の表面に塗布する方法や、噴霧する方法が好ましい。塗布処理や噴霧処理は、通常の葉面散布と同様の方法で行うことができる。その他、液状の害虫抵抗性誘導剤又はその希釈液を、植物体が植えられている土壌にまいてもよい。害虫抵抗性誘導剤を土壌にまいた場合には、有効成分であるα-ヨノンが根や地際部の茎から植物体へ吸収される。その他、液状の害虫抵抗性誘導剤又はその希釈液を、徐放等により蒸気として植物に接触させることができる。その他、定植前等の苗等を、液状の害虫抵抗性誘導剤又はその希釈液に直接浸漬することにより植物に吸収させることもできる。その他、液状の害虫抵抗性誘導剤又はその希釈液を、養液土耕や水耕栽培の養液に混入することにより根や地際部の茎等から吸収させることもできる。本発明に係る害虫抵抗性誘導剤が粉剤の場合には、そのまま、又は適宜水やエタノール等の適当な溶媒に分散させた分散液を、塗布処理や噴霧処理、蒸気処理、浸漬処理、養液混入処理することができる。本発明に係る害虫抵抗性誘導剤が粒剤等の比較的大きな固形の場合には、植物体が植えられている土壌にまくことができる。
本発明に係る植物の害虫防除方法において、対象植物体に対する本発明に係る害虫抵抗性誘導剤の施用量は、対象植物体の種類、防除対象である害虫の種類、被害の程度、環境条件、害虫抵抗性誘導剤の有効成分含有量や剤型等を考慮して適宜決定される。本発明においては、充分な害虫防除効果が得られやすいため、植物体への施用時におけるα-ヨノンの濃度が、10μM以上、好ましくは100μM以上、より好ましくは300μM以上となるように本発明に係る害虫抵抗性誘導剤を施用することが好ましい。
本発明に係る植物の害虫防除方法において、対象となる植物体としては、アザミウマ科昆虫又はヤガ科昆虫による害が生じ得る植物であれば特に限定されるものではなく、双子葉植物が好ましいが、単子葉植物でもよい。本発明に係る植物の害虫防除方法において害虫防除の対象となる植物体としては、市場で取引される植物であることが好ましく、野菜類、花き類、果樹、チャ等の農作物や観葉植物がより好ましい。中でも、野菜類が好ましく、トマト、ナス、ピーマン、パプリカ、ジャガイモ、トウガラシ等のナス科の植物、キャベツ、ブロッコリー、メキャベツ、カイワレダイコン、カブ、ダイコン、カリフラワー、コマツナ、タアサイ、チンゲンサイ、ナバナ、ハクサイ、ミズナ、ラディッシュ等のアブラナ科の植物、及び、キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、ヒョウタン、ヘチマ、トウガン、ツルレイシ、スイカ、メロン等のウリ科の植物がさらに好ましく、トマトが特に好ましい。
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例等に限定されるものではない。
[実施例1]
<24時間α-ヨノン処理のトマトにおけるミカンキイロアザミウマ生存数に対する防除効果の検定>
α-ヨノンは市販品(富士フィルム和光純薬株式会社製)を用いた。α-ヨノンはエタノールで所定濃度(1μM、10μM、100μM及び300μM(μmol/L))に希釈した。なお、対照区として、エタノールのみからなる溶液(0μM)も調製した。
次いで、ポットで栽培した3週齢以上4週齢以下のトマトを透明樹脂製円柱容器(約1000mL体積;14cm高×10cm直径)に置いた。次いで、100μLの所定濃度のα-ヨノン液及びエタノール(0μM)を予め入れた1.5mLマイクロチューブを当該容器の内壁にテープで固定し、7cm×5cmに切り抜いた箇所にナイロンメッシュを貼付した蓋を載せ、さらに、α-ヨノン蒸気が当該容器から漏れるのを防ぐために食品用ラップフィルムで蓋全体を覆い、24℃±1℃、16時間明期/8時間暗期条件下で制御した恒温室内に置いた。24時間後、α-ヨノン液を入れた1.5mLマイクロチューブを取り出し、ミカンキイロアザミウマの雌成虫をトマト1株あたり20頭放飼し、直ちに蓋をし、上記と同じ条件下で栽培した。14日後に、生存数を計測した。
図1に、トマトにおけるミカンキイロアザミウマ生存数に対するα-ヨノンの24時間処理の効果を示す。なお、図1において、異なるアルファベットは有意差があることを示す(Tukey Kramer HSD test p<0.05;n=11~15)。α-ヨノン処理区では、対照区と比較して、10μM以上の濃度でミカンキイロアザミウマの生存数の低下が見られた。
[比較例1]
<24時間β-ヨノン処理のトマトにおけるミカンキイロアザミウマ生存数に対する防除効果の検定>
α-ヨノンの異性体であるβ-ヨノン処理による防除効果を、実施例1に記載の方法に準じて行った。β-ヨノン(「β-イオノン」、「(E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エニル)ブタ-3-エン-2-オン」)は、下記式(2)で表される化合物である。検定においては、最終濃度1μM、10μM、100μM及び300μMのβ-ヨノン(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含むエタノール溶液及びエタノールのみからなる溶液(0μM)について、実施例1に記載の方法を用いてトマトを処理した後、当該トマトにミカンキイロアザミウマの雌成虫をトマト1株あたり20頭放飼し、生存数を計測した。なお、エタノールのみからなる溶液(0μM)で処理したトマトを対照とした。
Figure 0007429968000002
図2に、トマトにおけるミカンキイロアザミウマ生存数に対するβ-ヨノンの24時間処理の効果を示す。なお、図2において、「n.s.」はNot Significantの略であり、統計学的有意差がないことを示す。以降、同様である。
図2に示すとおり、β-ヨノン処理区ではミカンキイロアザミウマの生存数と対照における生存数との間に有意差がなく、生存数の低下は見られなかった。この結果は、α-ヨノンが有する防除効果にとってα-ヨノンの環構造の二重結合の位置が2位と3位の炭素間に存在することが重要であることを示している。
[実施例2]
<ミカンキイロアザミウマに対するα-ヨノンの毒性の検定>
トマト葉を、ガラス板(7.5cm×2.5cm)上に置いた予め水を含ませた脱脂綿の上に載せ、さらにその上にアクリル製マンジャーセル(7.5cm×2.5cm、セル内径:1.5cm)を載せた。ペトリ皿に0.5μLのα-ヨノン(原液、300μM)を滴下し、その上に1頭のミカンキイロアザミウマ2齢幼虫を置き、面相筆で当該幼虫を液上で5秒間転がし、濾紙で余分な液を吸い取った。その後、マンジャーセル内のトマト葉に載せ、24℃±1℃、16時間明期/8時間暗期条件下で制御した恒温室内に置いた。48時間後、生存率(検定開始時の幼虫数に対する検定後の幼虫の生存数の百分率)を調べた。α-ヨノン液に代えて、0.5μLのエタノールで同様に処理したものを、対照区とした。
図3に、ミカンキイロアザミウマ生存率に対するα-ヨノン滴下処理の効果を示す。α-ヨノン処理区と対照区でミカンキイロアザミウマの生存率に差は認められなかったことから、α-ヨノンは直接のミカンキイロアザミウマに対する毒性(殺ミカンキイロアザミウマ活性)は有さないことが示された。
[実施例3]
<トマト遺伝子の発現誘導に対するα-ヨノン処理の効果の検定>
ポットで栽培した3週齢以上4週齢以下のトマトを透明樹脂製円柱容器(約1000mL体積;14cm高×10cm直径)に置いた。次いで、100μLの所定濃度(1μM、10μM、100μM及び300μM)のα-ヨノン液及びエタノール(0μM)を入れた1.5mLマイクロチューブを当該容器の内壁にテープで固定し、7cm×5cmに切り抜いた箇所にナイロンメッシュを貼付した蓋を載せ、さらに、α-ヨノン蒸気が当該容器から漏れるのを防ぐために食品用ラップフィルムで蓋全体を覆い、24℃±1℃、16時間明期/8時間暗期条件下で制御した恒温室内に置いた。24時間後、トマト葉を採取し、直ちに液体窒素で凍結し、全RNA抽出に用いた。トマト葉からの全RNA抽出、RNAからのcDNA合成、cDNAを用いたSYBR法によるリアルタイムPCRは既報(非特許文献3及び4)に従った。サリチル酸応答性遺伝子であるSlGLuB(トマトのβ-glucanase遺伝子)及びSlPR3a(トマトの酸性キチナーゼIII)、ロリオライド応答性遺伝子であるSlLin5(トマトのinvertase)、並びに、ジャスモン酸応答性遺伝子であるSlPR3b(トマトの塩基性キチナーゼIII)、SlLapA1(トマトのleucine aminopeptidase)及びSlPin2(トマトのproteinase inhibitor II)の発現誘導に対するα-ヨノンの効果を調べた。なお、各遺伝子の発現量は、トマトのアクチン遺伝子(Accession number:BT012695)の発現量で補正した。
図4に、トマトの各遺伝子の発現誘導に対するα-ヨノン処理の24時間処理の効果を示す。α-ヨノンは、100μM以上の濃度でSlGLuB及びSlPR3bの発現を誘導した。一方、SlPR3a、SlLapA1、SlPin2及びSlLin5に対するα-ヨノンの発現誘導効果は見られなかった。
[比較例2]
<トマト遺伝子の発現誘導に対するβ-ヨノン処理の効果の検定>
α-ヨノンの光学異性体であるβ-ヨノン処理によるトマト遺伝子の発現誘導に対する効果を、実施例3に記載の方法に準じて行った。検定においては、最終濃度300μMのβ-ヨノン(富士フィルム和光純薬株式会社製)を含むエタノール溶液及びエタノールのみからなる溶液(0μM)について、実施例3に記載の方法を用いてトマトを24時間処理した後、トマト葉を採取し、トマト葉におけるSlGLuB及びSlPR3bの発現量を調べた。
図5に、トマトの各遺伝子の発現誘導に対するβ-ヨノン処理の24時間処理の効果を示す。300μMのβ-ヨノンは、SlGLuB及びSlPR3bの発現を誘導しなかった。
β-ヨノンは、アザミウマに対する殺虫効果や忌避効果があるといわれている。しかしながら、比較例1及び2の結果から明らかであるように、β-ヨノンはトマトに対してアザミウマ科昆虫に対する抵抗性やSlGLuB及びSlPR3b等のマーカー遺伝子の発現を誘導する効果がないことが示された。
[実施例4]
<植物ホルモンの蓄積に対するα-ヨノン処理の効果の検定>
ポットで栽培した3週齢以上4週齢以下のトマトを透明樹脂製円柱容器(約1000mL体積;14cm高×10cm直径)に置いた。次いで、100μLの所定濃度(1μM、10μM、100μM及び300μM)のα-ヨノン液及びエタノール(0μM)を入れた1.5mLマイクロチューブを当該容器の内壁にテープで固定し、7cm×5cmに切り抜いた箇所にナイロンメッシュを貼付した蓋を載せ、さらに、α-ヨノン蒸気が当該容器から漏れるのを防ぐために食品用ラップフィルムで蓋全体を覆い、24℃±1℃、16時間明期/8時間暗期条件下で制御した恒温室内に置いた。24時間後、トマト葉を採取し、直ちに液体窒素で凍結し、植物ホルモン抽出に用いた。植物ホルモンであるサリチル酸及びジャスモン酸の定量は既報(非特許文献3及び4)に従った。なお、エタノールのみからなる溶液(0μM)で処理したトマトを対照とした。
図6Aにサリチル酸の蓄積に対するα-ヨノン処理の効果を、図6Bにジャスモン酸の蓄積に対するα-ヨノン処理の効果を示す。α-ヨノン処理区と対照区でサリチル酸及びジャスモン酸の内生量に差は認められなかったことから、α-ヨノンはサリチル酸及びジャスモン酸の内生量の増加を起こさないことが示された。
[実施例5]
<48時間α-ヨノン処理のシロイヌナズナにおけるミカンキイロアザミウマ生存数に対する防除効果の検定>
2ヶ月齢のシロイヌナズナの葉から打ち抜いた葉片(1cm直径)を、予め各ウェルあたり0.8mLの300μMのα-ヨノン液を添加した48穴マイクロタイタープレートに置き、24℃±1℃、16時間明期/8時間暗期条件下で制御した恒温室内に置いた。48時間後、ミカンキイロアザミウマの雌成虫を葉片1株あたり1頭放飼し、直ちに蓋をし、上記と同じ条件下で栽培した。3日後に、産卵数を計測した。なお、エタノールのみからなる溶液(0μM)で処理したトマトを対照(コントロール)とした。
図7に、シロイヌナズナにおけるミカンキイロアザミウマ産卵数に対するα-ヨノンの48時間処理の効果を示す。なお、図7において、異なるアルファベットは有意差があることを示す(p<0.01;n=16~18)。α-ヨノン処理区では、対照区と比較して、ミカンキイロアザミウマの産卵数の低下が見られた。
ミカンキイロアザミウマに対してα-ヨノンは直接的な殺虫効果は示さなかった。このことから、α-ヨノン処理を行ったトマトやシロイヌナズナで見られた生存数の低下は、植物の害虫抵抗性が高まったことによるものであると示唆される。α-ヨノンはSlGLuB及びSlPR3bの発現を高める効果を示したが、他のサリチル酸応答性遺伝子やジャスモン酸応答性遺伝子、及びロリオライド応答性遺伝子に対して、発現誘導効果は示さなかった。また、α-ヨノンはサリチル酸及びジャスモン酸の内生量に対しても増量効果は示さなかった。これらのことから、α-ヨノンによる害虫抵抗性の誘導はサリチル酸やジャスモン酸を介さないものであると推測される。
[実施例6]
<48時間α-ヨノン処理のトマトにおけるハスモンヨトウ生存数及び体重に対する防除効果の検定>
3週齢以上4週齢以下のトマトの葉を、予め各濃度のα-ヨノン液を添加したガラス製ペトリ皿(16cm直径)に置き、24℃±1℃、16時間明期/8時間暗期条件下で制御した恒温室内に置いた。48時間後、トマト葉を取り出し、一枚の葉あたり一つの透明樹脂製円柱容器(約1000mL体積;14cm高×10cm直径)内に置き、一葉あたり10頭のハスモンヨトウ幼虫を葉の表面に放飼し、直ちに蓋をし、上記と同じ条件下で栽培した。栽培中に葉が乾燥するのを防ぐために、葉柄を、予め1mLの蒸留水を添加した1.5mLマイクロチューブに突き刺した。5日後に、生存数及び体重を計測した。なお、エタノールのみからなる溶液(0μM)で処理したトマトを対照(コントロール)とした。
図8Aに、トマトにおけるハスモンヨトウ生存数に対するα-ヨノンの48時間処理の効果を示す。図8Bに、トマトにおけるハスモンヨトウ体重に対するα-ヨノンの48時間処理の効果を示す。なお、図8A及び8Bにおいて、異なるアルファベットは有意差があることを示す(p<0.05;n=10)。α-ヨノン処理区では、対照区と比較して、ハスモンヨトウの生存数及び体重の低下が見られた。
以上のことから、α-ヨノンは、アザミウマ科昆虫と異なる摂食様式を示す咀嚼性のハスモンヨトウ(ヤガ科昆虫)の幼虫に対する抵抗性を植物に誘導できることが明らかとなった。
[実施例7]
<24時間α-ヨノン処理のキュウリにおけるミナミキイロアザミウマ生存数に対する防除効果の検定>
ポットで栽培した3週齢のキュウリ株を透明樹脂製円柱容器(約1000mL体積;14cm高×10cm直径)に置き、実施例1に記載の方法に準じて、300μMのα-ヨノン液とエタノール(0μM)を容器内で固定し、各溶液の蒸気にキュウリを24時間曝した。各溶液を入れた1.5mLマイクロチューブを取り出し、ミナミキイロアザミウマの雌成虫をキュウリ1株あたり10頭放飼し、直ちに蓋をし、と同じ条件下で栽培した。14日後に、24℃±1℃、16時間明期/8時間暗期条件下で生存数を計測した。
図9に、キュウリにおけるミナミキイロアザミウマ生存数に対するα-ヨノンの24時間処理の効果を示す。なお、図9において、異なるアルファベットは有意差があることを示す(t-test p<0.05;n=8)。α-ヨノン処理区では、対照区と比較してミナミキイロアザミウマの生存数の低下が見られた。
以上のことから、α-ヨノンは、キュウリ(ウリ科植物)にも、トマト(ナス科植物)及びシロイヌナズナ(アブラナ科植物)と同様に、ミカンキイロアザミウマと同じアザミウマ科昆虫に属するミナミキイロアザミウマに対する抵抗性を誘導できることが明らかとなった。
本発明に係る害虫抵抗性誘導剤及びこれを用いた植物の害虫防除方法は、アザミウマ科昆虫又はヤガ科昆虫による虫害、特に吸汁害又は食害に対して有効であり、かつ抵抗性系統を出現させるおそれが非常に小さく、また、従来の農薬よりも環境や人体への安全性も高い。このため、本発明に係る害虫抵抗性誘導剤及びこれを用いた植物の害虫防除方法は、特に農作物や観葉植物の栽培、中でも、ナス科植物、アブラナ科植物及びウリ科植物の栽培等の分野において好適に使用できる。

Claims (5)

  1. α-ヨノンを有効成分として含有し、アザミウマ科昆虫に対する抵抗性を植物に誘導する、害虫抵抗性誘導剤。
  2. α-ヨノンを有効成分として含有し、ヤガ科昆虫に対する抵抗性を植物に誘導する、害虫抵抗性誘導剤。
  3. 請求項1又は2に記載の害虫抵抗性誘導剤を、植物体に接触又は吸収させる、植物の害虫防除方法。
  4. 前記植物体が、双子葉植物である、請求項3に記載の植物の害虫防除方法。
  5. 前記植物体が、ナス科植物、アブラナ科植物又はウリ科植物である、請求項3又は4に記載の植物の害虫防除方法。
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