JP7421608B1 - 金属粒子担持多孔質炭素材料およびその製造方法、金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体、ならびに金属粒子担持多孔質炭素材料を用いた触媒材料および電極材料 - Google Patents

金属粒子担持多孔質炭素材料およびその製造方法、金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体、ならびに金属粒子担持多孔質炭素材料を用いた触媒材料および電極材料 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質炭素材料を得る際に、改めて金属粒子を担持させることなく、金属粒子の担持と担体の多孔質化とを同時に行うことで製造できる金属粒子担持多孔質炭素材料、当該金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体、当該金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法、ならびに当該金属粒子担持多孔質炭素材料を用いた触媒材料および電極材料を提供する。【解決手段】組成に、亜鉛と、1000℃を超える融点および沸点の金属元素と、を含む、炭素元素、亜鉛元素、金属元素、水素元素、酸素元素からなる有機化合物の前駆体を調製し、当該前駆体を900~1000℃の温度で焼成することにより、亜鉛を昇華させて細孔を作るとともに、金属元素を分散および粒子化させ、前駆体を多孔質炭素材料にすると同時に、当該多孔質炭素材料に分散および粒子化させた金属粒子を担持させる金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、金属粒子を担持しながら高い比表面積値を得ることができる金属粒子担持多孔質炭素材料およびその製造方法、その金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体、ならびにその金属粒子担持多孔質炭素材料を用いた触媒材料および電極材料に関するものである。
CO削減対策として燃料電池車(FCV)の開発が行われており、この燃料電池車は、発電時に水を放出するクリーンなエネルギー源として期待されている。
従来より、この燃料電池の空気極の反応を促進する触媒材料としては、白金(Pt)が知られているが、この白金単体では触媒を作用させる面積を稼ぐことができないので、カーボンブラックを担体として、白金粒子を担持させたものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012-038543号公報
しかし、上記従来の触媒材料のように、カーボンブラックを担体として用意しておいてから、後工程で白金粒子を担持させる場合、担体の製造工程と白金粒子の担持工程とが必要となり、これらを同時に行うことができない。また、担体に対して、後工程で白金粒子を担持させるため、白金粒子の分散状態に限界がある。したがって、理想的な分散状態から得られる出力特性からすると、改善の余地があり、本来の性能を発揮させるために幾つかの工夫をすることで、さらに空気極の酸素拡散を促進できることの知見を得て、本発明者等は新たな発明を完成するに至った。
本発明は、多孔質炭素材料を得る際に、改めて金属粒子を担持させることなく、金属粒子の担持と担体の多孔質化とを同時に行うことで製造できる金属粒子担持多孔質炭素材料、当該金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体、当該金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法、ならびに当該金属粒子担持多孔質炭素材料を用いた触媒材料および電極材料を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法は、テレフタル酸と、酢酸亜鉛および/または硝酸亜鉛と、銅、コバルト、ニッケル、鉄、白金の中から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を有する酢酸金属塩とを、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させて混合し、合成反応により、組成に、亜鉛と、1000℃を超える融点および沸点の金属元素と、を含む、炭素元素、亜鉛元素、金属元素、水素元素、酸素元素からなる有機化合物の前駆体を調製し、当該前駆体を、室温から25℃/分で昇温して900~1000℃の温度で焼成することにより、亜鉛を昇華させて細孔を作るとともに、金属元素を分散および粒子化させ、前駆体を多孔質炭素材料にすると同時に、当該多孔質炭素材料に分散および粒子化させた金属粒子を担持させるものである。
上記課題を解決するための本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料は、上記製造方法によって得られる金属粒子担持多孔質炭素材料であって、当該多孔質炭素材料に、分散および粒子化させた金属粒子を担持させてなり、比表面積が1124m /g以上となされ、メソ孔の比表面積が254m /g以上となされたものである。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料は、上記金属粒子担持多孔質炭素材料であって、金属元素がコバルト元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、65%以上となされたものであってもよい。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料は、上記金属粒子担持多孔質炭素材料であって、金属元素がニッケル元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、45%以上となされたものであってもよい。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料は、上記金属粒子担持多孔質炭素材料であって、金属元素が鉄元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、30%以上となされたものであってもよい。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料は、上記金属粒子担持多孔質炭素材料であって、金属元素が白金元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、45%以上となされたものであってもよい。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料は、上記金属粒子担持多孔質炭素材料であって、最大離隔間距離が50nmの金属粒子を形成したものであってもよい。
上記課題を解決するための本発明の触媒材料は、上記の金属粒子担持多孔質炭素材料を含むものである。
上記課題を解決するための本発明の電極材料は、上記の金属粒子担持多孔質炭素材料を含むものである。
上記課題を解決するための本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体は、上記金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体であって、テレフタル酸と、酢酸亜鉛および/または硝酸亜鉛と、銅、コバルト、ニッケル、鉄、白金の中から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を有する金属塩または金属錯体とを、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させて混合し、合成反応により調製されるものである。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法において、前駆体を合成する際のテレフタル酸の使用は、前駆体の合成や、合成された前駆体の元素比率を考慮すると、最も好ましいが、場合によっては、フタル酸、イソフタル酸等の他のベンゼンジカルボン酸、または、安息香酸、または、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、または、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸等を使用することができる。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法において、亜鉛元素は、上記テレフタル酸や金属塩または金属錯体と亜鉛イオンを含む化合物とが配位結合して前駆体に取り込まれた形で合成される。この際、使用される亜鉛イオンを含む化合物としては、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛の錯体、亜鉛を含むその他の塩、の中から選択される1種以上を使用することができる。ここで、酢酸亜鉛は、当該酢酸亜鉛の他に、酢酸亜鉛二水和物、などを含む。酢酸亜鉛を用いた場合、当該酢酸亜鉛は、弱酸性であるため、前駆体を合成する際の反応が比較的遅くなり、粒子の核成長が緩やかに進行する効果がある。また、硝酸亜鉛などの強酸を用いてもよい。ここで、硝酸亜鉛は、当該硝酸亜鉛の他に、硝酸亜鉛六水和物、などを含む。この硝酸亜鉛を用いた場合、前駆体を合成する際の反応速度が速くなり、粒子の核成長が早く、粒子径を小さくすることができる。それに比べて酢酸亜鉛を用いた場合は、大きな粒子径の前駆体が取れる。また、酢酸亜鉛は、その組成に炭素元素が含まれているが、硝酸亜鉛は含まれていない。このように亜鉛元素に対して炭素元素が多いか少ないかによって、後に前駆体を焼成した際に、得られる細孔の量が変わることとなる。亜鉛元素に対して、炭素元素が少ない方が細孔の量が多く、炭素元素の量が多い方が細孔の量が少なくなる。このような理由から、目的とする細孔に応じて酢酸亜鉛と硝酸亜鉛とを使い分ける。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法において、金属塩または金属錯体は、上記亜鉛イオンを含む化合物と同様に、上記テレフタル酸や亜鉛イオンを含む化合物と配位結合して前駆体を合成可能な化合物として用いられる。ここで、金属塩または金属錯体は、当該金属塩または金属錯体の他に、当該金属塩または金属錯体の水和物、などを含む。金属塩または金属錯体に使用される金属としては、1000℃を超える融点および沸点の金属元素を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、銅(融点1084.62℃、沸点2562℃)、コバルト(融点1495℃、沸点2927℃)、ニッケル(融点1455℃、沸点2913℃)、鉄(融点1538℃、沸点2862℃)、白金(融点1768.3℃、沸点3825℃)、などが挙げられる。具体的な酢酸金属塩としては、酢酸銅2水和物、酢酸コバルト4水和物、酢酸ニッケル2水和物、酢酸鉄、塩化テトラアミン白金水和物などが挙げられる。これらは、1種類で使用するものであってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。
上記金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法において、上記したテレフタル酸、亜鉛イオンを含む化合物、金属塩または金属錯体、を溶解する有機溶媒としては、例えば、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、メタノール、エタノール、DMSO(ジメチルスルホキシド:CSO)、DMF(ジメチルホルムアミド:CNO)、DMA(ジメチルアセトアミド:CNO)、DEF(N,N-ジエチルホルムアミド)などを用いることができ、これらは、単独溶媒であってもよいし、複数種類を混合した混合溶媒であってもよい。これらの中でも特に、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)を用いることが好ましい。
上記テレフタル酸と、亜鉛イオンを含む化合物と、金属塩または金属錯体とを有機溶媒に溶解して合成反応を行うことにより、前駆体が調製される。この際、合成に使用する、テレフタル酸、亜鉛イオンを含む化合物、金属塩または金属錯体、これらを溶解する有機溶媒、の各材料としては、合成反応によって得られる前駆体の,透過型電子顕微鏡(TEM)、およびエネルギー分散型X線分光法(EDX)測定より得られた元素分析の結果から酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下となるものを使用する。この値が0.25未満の場合、後述する酸素含有官能基が脱離した跡に、十分な細孔を形成して多孔質化を図ることができなくなる。この値が0.5を超えるものは、物として実質的に確認できないが、あまりこの数値が高すぎると、酸素による賦活の程度が大きくなりすぎ、灰分が少なく回収が困難になる。
また、亜鉛イオンを含む化合物に関しては、EDX測定による元素分析の結果から、亜鉛元素/炭素元素の比率が0.1<Zn/Cとすることで、後述する亜鉛元素が離脱した跡に、十分な細孔を形成して多孔質化を図ることができる。
同様に、前駆体の金属元素、炭素元素、酸素元素、亜鉛元素に関しては、EDX測定による、これら元素分析の結果から、各元素の定性、定量を行うことができる。例えば、図1ないし図4に示すように、各元素の容量比や各元素の比率を得ることができる。ただし、金属元素については、添加量が少なくて、かつ、良好な分散状態が得られているような場合には、前駆体の状態では、検出限界を下回って定量されない場合がある(図4のニッケル元素)。しかし、このような定量されなかった金属元素であっても、元素マッピングした画像には、金属元素の存在が確認できるので、当該金属元素の存在を定性することができる。仮に、元素マッピングした画像からの定性が不明確であるような場合であっても、焼成した後の焼成体の状態であれば、定性、定量を行うことができる場合があるので、このような場合には、焼成後の焼成体の状態で各元素の定性、定量を行うことができる。
上記前駆体は、焼成することによって多孔質炭素材料とされる。この際、焼成は、前駆体を1000℃で焼成した際に、酸化亜鉛元素のX線回折測定(XRD)の回折角度のピークが検出されなくなるまで、当該前駆体を高温で焼成する。すなわち、上記前駆体は、亜鉛イオンを含む化合物を用いて合成しているので、当該前駆体を700℃程度の温度で焼成すると、前駆体の構成要素である亜鉛元素が、焼成中に酸化亜鉛となり、残存してしまい、酸化亜鉛が炭素によって還元される温度907度に達しないため、長時間焼成しても、酸化亜鉛の回折角度のピークが検出される。XRDによって確認されたピークは、31.7°、34.3°、36.2°、47.45°、56.5°(何れのピークも誤差±0.3)である。しかし、亜鉛の沸点である907℃以上の温度で焼成させると、酸化亜鉛を分解し、亜鉛を蒸発させることができるので、前駆体が炭素化された炭素に含まれる酸化亜鉛や亜鉛を消失させ、上記のピークも無くなり、当該酸化亜鉛や亜鉛が入り込んでいた跡に、細孔が形成され多孔質になる。この際、亜鉛の沸点である907℃以上で焼成すれば、確実に細孔を形成して多孔質にすることができる。したがって、1000℃で焼成すれば、前駆体に入り込んでいた酸化亜鉛や亜鉛を消失させることができる。また、1000℃で焼成すれば、前駆体の酸素含有官能基が脱離して、さらに細孔が形成されてより一層多孔質になる。したがって、焼成条件としては、907℃以上1000℃以下で行えば良いが、亜鉛の沸点以上の1000℃の温度であっても、残存している亜鉛が蒸発するためには1000℃到達後、1時間程度の保持時間を設けてもよい。酸化亜鉛や亜鉛の消失と、金属元素の良好な分散とを得ることを考えると、可能な限り昇温速度を上げて昇温し、1000℃に到達したら直ぐに自然冷却するか、1000℃で1時間以下の時間で保持時間を取った後、自然冷却する条件で焼成することが好ましい。
また、上記前駆体は、1000℃を超える融点および沸点の金属元素を有する金属塩または金属錯体を用いているので、上記907℃以上1000℃以下で焼成しても、これらの金属元素は消失せずに残る。例えば、前駆体の焼成後に得られた各多孔質炭素材料には、XRDによるX線回折データを見ると、これら各金属酸化物(酸化亜鉛)(元素のピークを全て含むものが確認できる。また、図5ないし図14に示すように、各多孔質炭素材料は、EDX測定より得られる元素分析による、当該多孔質炭素材料を構成する各元素の元素マッピングの構成を見ても、亜鉛が消失しているが、各金属元素は消失せずに分散して存在していることが確認できた。ただし、図5および図8に示すように、各元素マッピングでは金属元素の存在を確認して定性分析が出来ているが、定量分析では検出限界以下となって表示が「0」になる場合があるが、これは当該金属元素が含まれていないのではなく、単に検出限界以下で検出されなかっただけであるため、このような微量の金属元素が含まれたものであっても、各金属元素が担持された多孔質炭素材料として有効に使用することができる。
焼成は、不活性ガス雰囲気(窒素ガスもしくはアルゴンガス雰囲気)にて行うものであってもよい。この際、不活性ガス雰囲気は、0.1~1.0リットル/分のガス流量で焼成雰囲気を置換しながら行うものであってもよい。また、焼成時に所定の温度から2~25℃/分程度の昇温速度で昇温して所定温度にして焼成を行うものであってもよい。さらに、焼成は、減圧雰囲気下で行うものであってもよい。焼成後は、所定温度に昇温後、直ぐに冷却するものであってもよいし、所定時間維持した後冷却するものであってもよい。冷却は自然冷却するものであってもよいし、送風などによって強制冷却するものであってもよい。焼成する炉は、炉心管タイプ、ボックス炉、ロータリーキルン炉などを用いることができる。この焼成の際、可能な限り昇温速度を上げると、焼成後の多孔質炭素材料に残る金属元素のナノ粒子化を促進することができることとなる。
このようにして構成された多孔質炭素材料は、組成に、亜鉛と、1000℃を超える融点および沸点の金属元素と、を含む、炭素元素、亜鉛元素、金属元素、水素元素、酸素元素からなる有機化合物の前駆体を調製し、当該前駆体を900~1000℃の温度で焼成することにより、亜鉛を昇華させて細孔を作り、金属元素を分散および粒子化させているので、亜鉛や酸素が入り込んでいた跡に、細孔を形成して多孔質化を図ることができる。しかも、酸化亜鉛や亜鉛や酸素を消失させることができる高温で焼成するため、余計な不純物等も同時に消失させることができるので、焼成後の水洗の必要も無くすことができ、焼成工程後に得られた焼成体をそのまま使用することができることとなり、簡単な作業工程で多孔質炭素材料を得ることができる。また、1000℃を超える融点および沸点の金属元素は、焼成中に昇華することなく粒子化し易くなり、これら金属元素が分散した状態の多孔質炭素材料が得られることとなる。この際得られるナノ粒子としては、最大離隔間距離が50nm以下の粒子となるように分散したものが得られることとなる。また、金属元素は、前駆体の所定位置にドープした状態またはイオン化して付着した状態になっており、均等に分散した状態であるので、この前駆体を焼成して金属元素を粒子化して付着させた多孔質炭素材料は、隣接する金属元素の粒子同士の距離も均等に分散した状態となる。したがって、この多孔質炭素材料を燃料電池の触媒として使用を繰り返すうちに、金属粒子が凝集して出力特性が悪くなるといった触媒の劣化が起こり難い多孔質炭素材料とすることができる。
しかも、このようにして構成された多孔質炭素材料は、元々、三次元網目構造で骨格形成された前駆体から、酸化亜鉛や亜鉛や酸素の部分を消失させて、当該酸化亜鉛や亜鉛や酸素が入り込んでいた跡に、細孔を形成し、かつ、電解液に水系電解液を用いた場合は、金属ナノ粒子が電解と酸化還元反応し、疑似容量を発現する高性能な電気二重層キャパシタ電極材料とすることができる。また、このようにして形成される細孔は、上記酸化亜鉛や亜鉛や酸素が抜けた跡に形成されるものが多くなるため、IUPACで定義されるメソ孔(2~50nm)を多く形成できることとなり、全比表面積に占めるメソ孔の比表面積の割合を30%以上にすることができる。さらに、このメソ孔は、多孔質ではない前駆体の状態から、酸化亜鉛、亜鉛、そして酸素の部分を消失させる1000℃の高温で、かつ、上記した長時間の焼成を行うことで、指数関数的またはn次関数(n>1)的に酸化亜鉛や亜鉛や酸素を消失させて、その跡に細孔を形成することができるので、比表面積を1124m/g以上としたり、メソ孔の比表面積を254m/g以上としたり、超高性能な多孔質炭素材料を得ることができる。特に、メソ孔を多く形成できることに加えて当該多孔質化と同時に金属粒子を分散させて担持させているため、金属粒子の分散状態にも優れており、酸素分子と金属粒子との触媒反応とが行われ易い優れた効果が得られることとなる。したがって、電極材料や触媒材料の他にも、例えば、グローブボックスに使用される銅触媒として、メソ孔や連通孔子に、酸素を拡散させ、銅粒子に効率よく酸素を吸着させ、酸化銅にする効果に優れることとなるので、単なるバルクの銅よりも優れた効果を得ることができる。その他にも、ガス吸着と当該ガスとの触媒反応とを行うような各種触媒に好適に使用することができる。
また、このようにして構成された多孔質炭素材料に分散される金属元素は、焼成によって昇華することなく粒子化することで、最大離隔間距離が50nm以下にナノ粒子化した金属元素が分散した状態で付着した多孔質炭素材料となる。したがって、多孔質化とナノ粒子化した金属元素の分散とにより、触媒材料として好適に使用することができることとなる。例えば、白金元素を分散させた多孔質炭素材料は、多孔質化により良好に白金元素を接触ささせる面積を稼ぐことができるとともに、白金元素の良好な分散状態が得られるので、燃料電池の空気極の触媒材料として好適に使用することができることとなる。
以上述べたように、本発明によると、テレフタル酸と、酢酸亜鉛および/または硝酸亜鉛と、銅、コバルト、ニッケル、鉄、白金の中から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を有する酢酸金属塩とを、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させて混合し、合成反応により、組成に、亜鉛と、1000℃を超える融点および沸点の金属元素と、を含む、炭素元素、亜鉛元素、金属元素、水素元素、酸素元素からなる有機化合物の前駆体を調製し、当該前駆体を、室温から25℃/分で昇温して900~1000℃の温度で焼成することにより、酸化亜鉛を還元させ、同時に亜鉛を昇華させて細孔を作るとともに、金属元素を分散および粒子化させ、前駆体を多孔質炭素材料にすると同時に、当該多孔質炭素材料に分散および粒子化させているので、亜鉛や酸素が入り込んでいた跡に、細孔を形成して多孔質化を図ることができると同時に金属元素を粒子化して分散した状態にすることができる。酸化亜鉛や亜鉛や酸素を消失させることができる高温で焼成するため、余計な不純物等も同時に消失させることができるので、焼成後の酸処理、およびそれに伴う二次廃液の処理の必要も無くすことができ、焼成工程後に得られた焼成体をそのまま使用することができることとなり、簡単な作業工程で多孔質炭素材料を得ることができる。また、1000℃を超える融点および沸点の金属元素は、焼成中に昇華することなくナノ粒子化し易くなり、これら金属元素が分散した状態の多孔質炭素材料が得られることとなるため、当該金属元素との接触を効率良く行うことができる高性能な触媒材料とすることができる。また、電極材料としては、金属元素を粒子化して分散させているので、疑似容量を発現する高性能な電気二重層キャパシタ電極材料とすることができる。
(a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例2に係る前駆体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表である。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例8に係る前駆体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表である。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例9に係る前駆体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表である。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例10に係る前駆体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表である。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例1に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例2に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例3に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例5に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例6に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例7に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例8に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例9に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例10に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例11に係る焼成体のEDX測定による各元素マッピングデータ、(b)は当該データからの定量結果を示す表、(c)は同焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例1に係る焼成体のTEM写真の画像データ、(b)は同実施例12に係る焼成体のTEM写真の画像データである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例1に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例2に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例3に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例4に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例5に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例6に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例7に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例8に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例9に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例10に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。 (a)は本発明の金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法の実施例11に係る焼成体の窒素吸脱着等温線を示すグラフ、(b)は同焼成体の平均細孔径分布を示すグラフである。
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
[実施例1~12]
(前駆体の調製)
テレフタル酸を160mlのNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に混合し、60℃で30分撹拌して溶解した。酢酸亜鉛2水和物と、酢酸コバルト4水和物とを、80mlのNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に混合し、60℃で30分撹拌して溶解した。これら二つの溶液を80℃で6時間撹拌した後、上澄み液を除去後、乾燥させて実施例1に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と酢酸コバルト4水和物との比率は、6.2mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例1のテレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と酢酸コバルト4水和物との比率を、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmolに変更して同様に合成反応により実施例2に係る前駆体を得た。
上記実施例2の酢酸亜鉛2水和物を硝酸亜鉛6水和物に変更し、酢酸コバルト4水和物を硝酸コバルト6水和物に変更して同様に合成反応により実施例3に係る前駆体を得た。テレフタル酸と硝酸亜鉛6水和物と硝酸コバルト6水和物との比率は6.4mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例1のテレフタル酸の使用量を160mlから320mlに変更し、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)の使用量を80mlから160mlに変更して同様に合成反応により実施例4に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と酢酸コバルト4水和物との比率は6.2mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例2の酢酸コバルト4水和物を酢酸ニッケル2水和物に変更して同様に合成反応により実施例5に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と酢酸ニッケル2水和物との比率は、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例2の酢酸コバルト4水和物を酢酸鉄に変更して同様に合成反応により実施例6に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と酢酸鉄との比率は、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例2の酢酸コバルト4水和物を塩化テトラアンミン白金水和物に変更して同様に合成反応により実施例7に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と塩化テトラアミン白金との比率は、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例2の酢酸コバルト4水和物を硝酸白金に変更して同様に合成反応により実施例8に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と硝酸白金との比率は、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例2の酢酸コバルト4水和物を酢酸銅4水和物に変更して同様に合成反応により実施例9に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と硝酸白金との比率は、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmolとした。
上記実施例2の酢酸コバルト4水和物を、酢酸コバルト4水和物と酢酸ニッケル2水和物との混合物に変更して同様に合成反応により実施例10に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と酢酸コバルト4水和物と酢酸ニッケル2水和物との比率は、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmol:0.02mmolとした。
上記実施例2の酢酸コバルト4水和物を、酢酸コバルト4水和物と酢酸ニッケル2水和物と酢酸鉄との混合物に変更して同様に合成反応により実施例11に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛2水和物と酢酸コバルト4水和物と酢酸ニッケル2水和物と酢酸鉄との比率は、6.4mmol:3.2mmol:0.02mmol:0.02mmol:0.02mmolとした。
上記実施例1の塩化テトラアミン白金水和物を使用せず、同様に合成反応により実施例12に係る前駆体を得た。テレフタル酸と酢酸亜鉛との比率は、6.4mmol:6.4mmolとした。
(前駆体の分析)
上記した実施例1~実施例12の各前駆体を、下記装置によりEDX測定を行った。その元素分析の結果、各前駆体は、各元素マッピングに元素の存在が確認できた。図1~図4には、その一例として、実施例2,8,9,10の各前駆体の各元素マッピングと定量データを示す。図4のニッケルの元素マッピングに示すように、定性的にはニッケル元素の存在が確認できても、装置の検出限界以下であるため、定量的には定量データに反映されていない場合もあるが、定性で確認できれば、前駆体としては有効である。
測定機種:JEM-2100F(日本電子株式会社製)
測定条件:加速電圧200kV
(前駆体の焼成)
上記の方法で調製した実施例1~実施例12の各前駆体を、それぞれ焼成して金属粒子担持多孔質炭素材料を得た。
上記前駆体の焼成条件は、3種類実施した。
昇温条件(1)は、窒素ガス雰囲気にて、ガス流量0.2リットル/分、室温25℃から昇温速度25℃/分で昇温し、1000℃到達後、その温度で1時間の焼成行い、その後、焼成を停止して自然冷却した。
昇温条件(2)は、窒素ガス雰囲気にて、ガス流量0.2リットル/分、室温25℃から昇温速度25℃/分で昇温し、1000℃到達後、焼成を停止して自然冷却した。
昇温条件(3)は、窒素ガス雰囲気にて、ガス流量0.2リットル/分、室温25℃から昇温速度2℃/分で昇温し、1000℃到達後、焼成を停止して自然冷却した。
実施例1,5,6,7,11に係る前駆体は昇温条件(1)で焼成して同実施例1,5,6,7,11の焼成体とした。実施例2,3,4,8,9,10に係る前駆体は昇温条件(2)で焼成して同実施例2,3,4,8,9,10の焼成体とした。また、実施例1に係る前駆体を昇温条件(3)で焼成したものを実施例12の焼成体とした。
(EDX測定による元素分析およびTEM写真)
上記焼成によって得られた焼成体である各金属粒子担持多孔質炭素材料についてTEM写真を撮影するとともに、EDX測定による元素分析を行った。測定機種、測定条件などは下記の通りである。結果を図5~図14に示す。各図(a)にはEDX測定の元素分析による画像マッピングデータを示し、各図(b)には同定量データを示し、各図(c)にはTEM写真を示す。なお、実施例4については、実施例2と略同じデータであるため省略する。また、昇温速度による金属粒子の違いを確認するため、実施例1に係る焼成体と、実施例12に係る焼成体とでTEM写真を比較した。結果を図15に示す。
測定機種:JEM-2100F(日本電子株式会社製)
測定条件:加速電圧200kV
図5~図14の結果から、焼成によって得られた各金属粒子担持多孔質炭素材料は、亜鉛が昇華して無くなっていることが確認できるとともに、それ以外の炭素、酸素、金属元素の各元素の存在は、各元素マッピングデータから確認できた。ただし、実施例1および実施例5については、金属元素であるコバルトとニッケルとが定量されていないが、これは装置の検出限界以下の微量であるためで、元素マッピングデータには存在が確認されているので、金属粒子担持多孔質炭素材料としては有効である。
また、TEM写真から、銅以外の各金属元素については、合金も含めて、金属粒子担持多孔質炭素材料は、最大離隔間距離が50nm以下の粒子となるように、多孔質炭素材料中に金属粒子が良好に分散したものが得られることが確認できた。
さらに、図15の結果から、焼成によって得られた各金属粒子担持多孔質炭素材料は、同じ前駆体を使用していても、焼成条件の違いによって昇温速度が早いと金属粒子が小さくなり、昇温速度が遅いと金属粒子が大きくなることが確認できた。このことから、昇温速度をコントロールすることで、所望の金属粒子を有する金属粒子担持多孔質炭素材料を得ることができることが確認できた。
(窒素吸脱着測定(比表面積/細孔分布測定))
上記の焼成によって得られた焼成体である各金属粒子担持多孔質炭素材料は、それぞれを300℃で24時間減圧乾燥させ、室温雰囲気中で当該金属粒子担持多孔質炭素材料に吸着した水分を脱着させた後、それぞれの粉末0.02gをサンプル管に入れ、液体窒素雰囲気下で比表面積/細孔分布測定装置(BELSORP-mini II:マイクロトラックベル株式会社製)によって窒素吸脱着等温曲線を測定した。また、同装置の解析プログラム(I型(ISO9277)BET自動解析)により比表面積を算出した。さらに、得られた窒素吸脱着等温線をBJH(Barrett-Joyner-Halenda)法により処理してIUPACで定義されているメソ孔(2~50nm)のサイズの比表面積を算出した。また、全比表面積に占めるメソ孔の比表面積の割合を算出した。結果を図16~図26、表1に示す。
Figure 0007421608000002
以上の結果から、本発明に係る金属粒子担持多孔質炭素材料は、メソ孔の割合が非常に高く、全細孔容積に占めるメソ細孔容積の割合が非常に高い金属粒子担持多孔質炭素材料が得られることとなる。窒素吸脱着等温線の高圧部分の立ち上がりが良いことからも、酸素分子の拡散を容易にして担持させた金属元素との接触を容易に行うことができる金属粒子担持多孔質炭素材料とすることができる。
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。

Claims (10)

  1. テレフタル酸と、酢酸亜鉛および/または硝酸亜鉛と、
    銅、コバルト、ニッケル、鉄、白金の中から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を有する酢酸金属塩とを、
    NMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させて混合し、合成反応により、組成に、亜鉛と、1000℃を超える融点および沸点の金属元素と、を含む、炭素元素、亜鉛元素、金属元素、水素元素、酸素元素からなる有機化合物の前駆体を調製し、当該前駆体を、室温から25℃/分で昇温して900~1000℃の温度で焼成することにより、亜鉛を昇華させて細孔を作るとともに、金属元素を分散および粒子化させ、前駆体を多孔質炭素材料にすると同時に、当該多孔質炭素材料に分散および粒子化させた金属粒子を担持させることを特徴とする金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法によって得られる金属粒子担持多孔質炭素材料であって、
    当該多孔質炭素材料に、分散および粒子化させた金属粒子を担持させてなり、比表面積が1124m /g以上となされ、メソ孔の比表面積が254m /g以上となされた金属粒子担持多孔質炭素材料。
  3. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料であって、
    金属元素がコバルト元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、65%以上となされた金属粒子担持多孔質炭素材料。
  4. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料であって、
    金属元素がニッケル元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、45%以上となされた金属粒子担持多孔質炭素材料。
  5. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料であって、
    金属元素が鉄元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、30%以上となされた金属粒子担持多孔質炭素材料。
  6. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料であって、
    金属元素が白金元素となされ、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、45%以上となされた金属粒子担持多孔質炭素材料。
  7. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料であって、
    最大離隔間距離が50nmの金属粒子を形成した金属粒子担持多孔質炭素材料。
  8. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料を含む触媒材料。
  9. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料を含む電極材料。
  10. 請求項2に記載の金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体であって、
    テレフタル酸と、酢酸亜鉛および/または硝酸亜鉛と、銅、コバルト、ニッケル、鉄、白金の中から選択される少なくとも1種類以上の金属元素を有する酢酸金属塩とを、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させて混合し、合成反応により調製されることを特徴とする金属粒子担持多孔質炭素材料の前駆体。
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