以下、本願の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本願の第1実施形態に係る通信システム1の制御構成を示している。通信システム1は、PC(Personal Computer)10、複合機100及びルーター32を備えている。以下、複合機100をMFP100という。なお、MFPは、Multifunction Peripheral の略語である。
PC10は、CPU(Central Processing Unit)12、記憶部14、パネル16、マウス18、通信IF(Interface)20を主に備えている。CPU12、記憶部14、パネル16、マウス18及び通信IF20は、入出力ポート22を介して互いに通信可能とされている。
通信IF20は、PC10を通信ネットワークに接続するものである。通信ネットワークは、本実施形態では有線又は無線LAN(Local Area Network)を想定しているので、通信IF20は、LANIF(Local Area Network Interface)又はWLAN IF(Wireless LAN Interface)である。もちろん、有線LANと無線LANが同時に存在する場合もあり、この場合には、通信IF20は、LANIF及びWLAN IFの両方を含んでいる。本実施形態では、PC10は、ルーター32を介してMFP100と相互に接続されている。これにより、PC10は、MFP100と各種データの送受信を行うことが可能である。
パネル16は、表示面を有しており、表示面に各種情報を表示する。マウス18は、パネル16の表示面に表示されるカーソルを移動させるためのものであり、ユーザによるドラッグ操作やクリック操作等を受け付ける。
CPU12は、記憶部14内の制御プログラム26に従って処理を実行する。制御プログラム26は、MFP100にスキャン処理、コピー処理、印刷処理及びFAX処理等を実行させるためのプログラムである。
なお、記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、CPU12が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。また、記憶部14は、データ記憶領域28を備える。データ記憶領域28は、MFP100から取得したスキャンデータ、制御プログラム26の実行に必要なデータなどを記憶する領域である。
MFP100は、CPU101、ROM102、RAM103及びNVRAM(Non-Volatile RAM)104を備えている。
CPU101は、MFP100全体の制御を司るものであるが、本実施形態では、設定情報に従って、エンジンIF(Interface)110を介して印刷エンジン111及び読取エンジン112をそれぞれ制御する。なお、設定情報、エンジンIF110、印刷エンジン111及び読取エンジン112については、後述する。
ROM102は、CPU101が実行する制御プログラムを記憶するメモリである。CPU101は、ROM102に記憶された制御プログラムを読み出して各種処理を実行する。
RAM103は、画像データなどを一時的に記憶するメモリである。また、RAM103は、CPU101が制御プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記憶する記憶領域、あるいはデータ処理の作業領域としても使用される。
NVRAM104は、設定情報等を記憶する不揮発性メモリである。
また、MFP100は、パネル105及びキー106を備えている。
パネル105は、本実施形態ではタッチパネルであり、パネル105には、MFP100の状態に応じて、様々な画面が表示される。ユーザは、画面上の入力ボタン(図示せず)を押下することで、入力操作をすることができる。
キー106は、ハードキー、つまり、ハードウェアにより形成されるキーである。本実施形態では、キー106は、ストップキー(図示せず)を含んでいる。
ストップキーは、各種操作を中止するときや、各種設定を終了するときなどに押下するキーである。
また、キー106に属するものとしては、ストップキー以外にも、電源スイッチやリセットスイッチ(ともに図示せず)などを挙げることができる。
さらにMFP100は、USB(Universal Serial Bus)IF107及び通信IF108を備えている。
USBIF107は、外部のUSB機器を接続するためのIF(Interface)であり、本実施形態では、USBメモリ200が接続される。USBメモリは、USBフラッシュメモリ又はUSBフラッシュドライブと呼称されることもある。
通信IF108は、MFP100を通信ネットワークに接続するものである。上述のように本実施形態では、MFP100とPC10とは、ルーター32を介して相互に接続されている。
また、MFP100は、エンジンIF110を備えている。エンジンIF110には、印刷エンジン111及び読取エンジン112が接続されている。
印刷エンジン111は、シートに画像を印刷するためのエンジンであり、電子写真方式、インクジェット方式、サーマル方式等が採用される。
読取エンジン112は、原稿から画像を読み取るためのエンジンであり、CCD(Charge Coupled Devices)及びCIS(Contact Image Sensor)等を有する。
エンジンIF110は、印刷エンジン111及び読取エンジン112を制御するための制御回路であり、CPU101はエンジンIF110を介して印刷エンジン111及び読取エンジン112を制御する。
エンジンIF110は、印刷エンジン111を制御するための第1エンジンIF(図示せず)と、読取エンジン112を制御するための第2エンジンIF(図示せず)と、を有している。第1エンジンIFは、CPU101からの指令に基づき、印刷エンジン111への制御信号の出力及び印刷エンジン111への画像データの出力等を実行する。第2エンジンIFは、CPU101からの指令に基づき、読取エンジン112への制御信号の出力及び読取エンジン112からの画像データの入力等を実行する。
さらにMFP100は、画像処理回路120を備えている。
画像処理回路120は、第1画像処理回路(図示せず)と、第2画像処理回路(図示せず)とを有する。第1画像処理回路は、印刷ジョブに係る画像データをラスタライズ処理する。ラスタライズ処理された画像データは、RAM103へ一時記憶され、印刷エンジン111へ出力される。第2画像処理回路は、読取エンジン112が原稿から読み取った画像データをデジタルデータへ加工する。デジタルデータへ加工された画像データは、通信IF108を介して外部へ送信されたり、印刷エンジン111へ供給されシートへ出力されたりする。読取エンジン112が原稿から読み取った画像データは、一時RAM103に記憶され、第2画像処理回路へ出力される。ここで、本実施形態において、「読み取る」を「スキャン」と記載する場合もある。
CPU101、ROM102、RAM103、NVRAM104、パネル105、キー106、USBIF107、通信IF108、エンジンIF110及び画像処理回路120は、バス130により相互に接続されている。
本実施形態のMFP100は、設定情報のエクスポートは、USBメモリ200を介して行う。エクスポートは、ユーザが上記ストップキーを押下しながら、USBメモリ200をUSBIF107に接続することを契機として開始する。そして、エクスポートは、CPU101がNVRAM104に記憶された設定情報をUSBメモリ200に格納することで完了する。
図2は、USBメモリ200に記憶される設定情報210の一例を示す図である。図2に示す設定情報210は、例えば、MFP100とは異なる他のMFP(図示せず)のNVRAMに記憶された設定情報をエクスポートしたものである。設定情報210は、USBメモリ200にエクスポートする場合、本実施形態では、実際にはJSON(JavaScript(登録商標) object notation)形式で記憶する。図2では、見易さのために、便宜的にJSON形式とは異なる表記としている。もちろん、設定情報の記憶形式は、これに限らず、例えばCSV(Comma-Separated Values)形式等の他の形式であってもよい。
設定情報210は、USBメモリ200には、例えば“backup.json”というファイル名で記憶される。
図2に示す設定情報210は、MFPの設置場所:Team1、MFPのユーザの連絡先:
[email protected]、MFPのIP(Internet Protocol)アドレス:123.456.123.456、メールサーバのIPアドレス:123.123.123.456、スキャン設定、コピー設定、モデル名、及びシリアル番号を含んでいる。
スキャン設定は、読取エンジン112に関連する処理の設定であり、表示名:ScanToMike、スキャン送信設定:file://server1/share、スキャン解像度:300dpi、両面スキャン:On、及びカラー:Onを含んでいる。
表示名とは、設定名をMFPのパネルに表示するための情報である。
スキャン送信設定は、スキャンした画像に係る画像データを通信IF108から通信ネットワークに送信する際の宛先である。スキャン送信設定として、図2に示すURLに限らず、IPアドレスやメールアドレスを採用してもよい。
「両面スキャン:On」は、原稿の両面から画像をスキャンする設定を有効化することを意味し、「両面スキャン:Off」は、原稿の両面から画像をスキャンする設定を無効化して、原稿の片面のみから画像をスキャンする設定とすることを意味する。
「カラー:On」は、原稿からカラー画像を読取る設定を有効化することを意味し、「カラー:Off」は、原稿からカラー画像を読取る設定を無効化して、原稿からモノクロ画像を読取る設定とすることを意味する。
CPU101は、“表示名:ScanToMike”に基づき、パネル105に、設定名として“ScanToMike”を表示する。ここで、“表示名:ScanToMike”に対応付けられた図2に示す上記設定情報は、ユーザがパネル105上で複数の設定から選択可能な設定に係る設定情報を指す。但し、本発明は上記に関わらず、MFPに固定的に設定される設定に係る設定情報であってもよい。固定的とは、例えば、ユーザが他の設定を選択することが制限される、又は不可とされることを指す。
CPU101は、“スキャン送信設定:file://server1/share”に基づき、読取エンジン112に読み取られた画像に係る画像データを、file://server1/shareへ送信する。CPU101は、“スキャン解像度:300dpi”に基づき、読取エンジン112を制御して、解像度300dpiで画像を読取る。CPU101は、“両面スキャン:On”に基づき、読取エンジン112を制御して、原稿の両面から画像を読取る。CPU101は、“カラー:On”に基づき、読取エンジン112を制御して、原稿の両面からカラー画像を読取る。
コピー設定は、読取エンジン112及び印刷エンジン111に関連する処理の設定であり、表示名:Copy1、スキャン解像度:200dpi、両面スキャン:On、カラー:On、及び両面印刷:Onを含んでいる。
「カラー:On」は、シートにカラー画像を形成する設定を有効化することを意味し、「カラー:Off」は、シートにカラー画像を形成する設定を無効化して、シートにモノクロ画像を形成する設定とすることを意味する。
「両面印刷:On」は、シートの両面に画像を形成する設定を有効化することを意味し、「両面印刷:Off」は、シートの両面に画像を形成する設定を無効化して、シートの片面のみに画像を形成する設定とすることを意味する。
CPU101は、コピー設定の“カラー:On”に基づき、印刷エンジン111を制御して、カラー画像をシートに形成する。CPU101は、コピー設定の“両面印刷:On”に基づき、印刷エンジン111を制御して、画像をシートの両面に形成する。
図3は、PC10側からMFP100を設定するための設定画面16aの一例を示している。PC10にウェブブラウザを起動し、MFP100のIPアドレスを入力すると、ブラウザ上に各種管理機能へのリンクが表示されたウェブページが表示される。管理機能には、例えば、基本設定、アドレス帳設定、ファックス設定、コピー設定、印刷設定、スキャン設定、管理者設定及びネットワーク設定が含まれている。管理者設定とネットワーク設定を行うためには、管理者用パスワードによる認証が必要であり、それ以外の設定を行うためには、一般ユーザ用のパスワードによる認証が必要である。なお、管理者用パスワードによる認証がなされた場合には、全ての設定を行うことができる。図3は、コピー設定を行うためのコピー設定画面16aの一例を示し、ユーザが管理者用パスワードによる認証を行った後、Copyタブ16a4を選択した状態を示している。
コピー設定では、解像度(Quality)、濃度(Density)、コントラスト(Contrast)等、複数の設定を行うことができる。つまり、コピー設定は、コピー機能において設定できる複数の設定からなる設定グループ(Group)を形成し、コピー(Copy)タブ16a4に割り当てられている。他の設定グループ、具体的には、基本設定(General)、アドレス帳設定(Address Book)、ファックス設定(Fax)、印刷設定(Print)、スキャン設定(Scan)、管理者設定(Administrator)及びネットワーク設定(Network)も、それぞれ、Generalタブ16a1、Address Bookタブ16a2、Faxタブ16a3,Printタブ16a5、Scanタブ16a6、Administratorタブ16a7及びNetworkタブ16a8に割り当てられ、いずれかのタブを選択することにより、対応する設定グループの設定画面に遷移することができる。
図4(a)は、設定グループ毎に機密情報の有無と個人情報の有無とを規定したテーブルを示している。管理者設定(Administrator)は、機密情報ありとなっているが、管理者設定に含まれる機密情報としては、例えば、管理者パスワードを挙げることができる。また、ネットワーク設定(Network)も、機密情報ありとなっているが、ネットワーク設定に含まれる機密情報としては、例えば、メールサーバのユーザIDや認証パスワードを挙げることができる。さらに、アドレス帳設定(Address Book)は、個人情報ありとなっているが、アドレス帳設定に含まれる個人情報としては、例えば、メールアドレスや住所、氏名を挙げることができる。
図4(b)及び図4(c)は、図4(a)のテーブルに管理者許可設定を追加したテーブルを示している。そして、図4(b)のテーブルが、例えば工場出荷時の初期状態のものであるのに対して、図4(c)のテーブルは、管理者がアドレス帳設定を「禁止」設定から「許可」設定に変更した状態のものを示している。なお、図4のテーブルの使い方については、図6の第1Export処理を説明するときに併せて説明する。
なお、図4のテーブルの設定グループ内に、ショートカット設定(Short Cut)が含まれている。ショートカットは、複数の設定を1つのショートカットに割り当て、その1つのショートカットを押下するだけで、割り当てた複数の設定を一度に設定するものである。
図5(a)は、パネル105上に表示されたショートカット設定画面105aの一例を示している。図5(a)に示すように、1つのタブ105a1について、最大6個のショートカットを登録することができるように構成されている。そして、タブは8つ設けられているので、本実施形態では、最大48個のショートカットを登録することができる。
図5(b)は、パネル105上に表示された管理者パスワード入力画面105bの一例を示す図である。この管理者パスワード入力画面105bが表示されるタイミングは、図6の第1Export処理を説明するときに併せて説明する。
図6は、MFP100、特にCPU101が実行する第1Export処理の手順を示すフローチャートである。以降、各処理の手順の説明において、ステップを「S」と表記する。
図6において、まず、CPU101は、USBメモリ200を検出したか否かを判断する(S1)。上述のように、設定情報のエクスポートは、ユーザが上記ストップキーを押下しながら、USBメモリ200をUSBIF107に接続したことを検出することを契機にして開始する。したがって、S1の判断は、USBメモリ200がUSBIF107に接続されたことだけではなく、ストップキーが押下されたことも検出することに基づいて行う。
S1の判断において、USBメモリ200を検出しなかったと判断される場合(S1:NO)、CPU101は、処理をS1に戻す。
一方、S1の判断において、USBメモリ200を検出したと判断される場合(S1:YES)、CPU101は、上記図5(b)に示す管理者パスワード入力画面105bを表示する(S2)。
次に、CPU101は、ユーザが入力スキップを行ったか否かを判断する(S3)。入力スキップは、ユーザが管理者パスワード入力画面105b内のSKIPボタン105b1を押下して行う。したがって、S3の判断は、SKIPボタン105b1が押下されたか否かに基づいて行う。
S3の判断において、入力スキップを行ったと判断される場合(S3:YES)、CPU101は、最初の設定グループの設定情報を取得する(S4)。このとき、図4(c)のテーブルを参照して、最初の設定グループを決定する。図4(c)のテーブルでは、最初の設定グループは、基本設定(General)であるので、CPU101は、基本設定に含まれる設定情報を取得する。
次に、CPU101は、取得した設定グループに機密情報が含まれるか否かを判断する(S5)。機密情報が含まれるか否かの判断も、図4(c)のテーブルを参照して行う。基本設定は、機密情報を含んでいないので、S5の判断では、「NO」となる。
S5の判断において、機密情報が含まれていないと判断される場合(S5:NO)、CPU101は、取得した設定グループに個人情報が含まれるか否かを判断する(S6)。個人情報が含まれるか否かの判断も、図4(c)のテーブルを参照して行う。
S6の判断において、個人情報が含まれていないと判断される場合(S6:NO)、CPU101は、取得した設定グループの設定情報をテンポラリ出力する(S7)。ここで「テンポラリ出力」とは、上記RAM103に一時的に設けたテンポラリ領域(図示せず)に記憶することを意味する。
次に、CPU101は、次の設定グループの設定情報を取得した(S8)後、次の設定グループがないか否かを判断する(S9)。次の設定グループは、アドレス帳設定(Address Book)であるので、CPU101は、S8において、アドレス帳設定の設定情報を取得し、S9において、次の設定グループがあると判断する(S9:NO)。
S9の判断において、次の設定グループがあると判断される場合(S9:NO)、CPU101は、処理を上記S5に戻し、S5~S9の処理を繰り返す。
一方、S5の判断において、取得した設定グループに機密情報が含まれていると判断される場合(S5:YES)、CPU101は、エクスポート許可設定がなされているか否かを判断する(S10)。この判断において、エクスポート許可設定がなされていると判断される場合(S10:YES)、CPU101は、処理を上記S7に進め、取得した設定グループの設定情報をテンポラリ出力する。アドレス帳設定についてのエクスポート許可設定、つまり、管理者許可設定は、図4(c)のテーブルでは、「禁止」から「許可」に変更されているので、CPU101は、S10において「YES」と判断する。
一方、S10の判断において、エクスポート許可設定がなされていないと判断される場合(S10:NO)、CPU101は、処理を上記S8に進め、次の設定グループの設定情報を取得する。
一方、S6の判断において、取得した設定グループに個人情報が含まれていると判断される場合(S6:YES)、CPU101は、処理を上記S10に進める。S10の処理については、上述したので、その説明は省略する。
このようにして、S5~S10の処理を、図4(c)のテーブルに含まれる全ての設定グループについて行い、最後の設定グループの設定情報の取得が完了すると、つまり、ショートカット設定(Short Cut)の設定情報の取得が完了すると(S9:YES)、CPU101は、テンポラリ出力情報があるか否かを判断する(S11)。この判断において、テンポラリ出力情報があると判断される場合(S11:YES)、CPU101は、テンポラリ出力情報をエクスポート(Export)情報に編集して、USBメモリ200に記憶させた(S12)後、第1Export処理を終了する。ここで「エクスポート(Export)情報」とは、上記JSON形式に変換した情報である。
このように、管理者パスワードが入力されずにスキップされると、全設定グループの中から、機密情報及び個人情報の少なくとも一方を含む設定グループが除外された設定グループの設定情報をエクスポートすることができる。そして、除外するか否かは、管理者が選択設定することができる。
一方、S11の判断において、テンポラリ出力情報がないと判断される場合(S11:NO)、CPU101は、S12をスキップして、第1Export処理を終了する。
一方、上記S3の判断において、入力スキップを行っていないと判断される場合(S3:NO)、CPU101は、ユーザが上記図5(b)の管理者パスワード入力画面105bから入力した管理者パスワードを、例えばRAM103の所定領域(図示せず)に入力する(S20)。そして、ユーザが上記図5(b)の管理者パスワード入力画面105b内のOKボタン105b2を押下すると、CPU101は、入力した管理者パスワードを照合し(S21)、照合がOKか否かを判断する(S22)。
S22の判断において、照合がOKでないと判断される場合(S22:NO)、CPU101は、処理を上記S20に戻す。
一方、S22の判断において、照合がOKであると判断される場合(S22:YES)、CPU101は、全設定グループの設定情報をテンポラリ出力した(S23)後、処理を上記S11に進める。この場合、S11の判断において、テンポラリ出力情報があると判断される(S11:YES)ので、CPU101は、テンポラリ出力情報をエクスポート(Export)情報に編集して、USBメモリ200に記憶させる(S12)。
このように、管理者パスワードが入力されて、照合がOKであると判断されると、機密情報又は個人情報が含まれるか否かに拘わらず、全ての設定グループの設定情報をエクスポートすることができる。
以上説明したように、本実施形態のMFP100は、第1設定情報を記憶するNVRAM104と、第1設定情報に基づき動作するCPU101と、USBIF107と、を備えている。
そして、CPU101は、USBIF107に接続されたUSBメモリ200に第2設定情報を記憶させることを指示する記憶指示を受け付けた場合、管理者パスワードの入力要求を出力し、管理者パスワードの入力要求に対し、管理者パスワードの入力をスキップするスキップ指示を受け付けた場合、NVRAM104に記憶された第1設定情報から除外情報を除いた情報を第2設定情報として、USBメモリ200に記憶させる。
ここで「管理者パスワードの入力要求を出力」とは、本実施形態では、パネル105上に、上記図5(b)の管理者パスワード入力画面105bを表示させることに相当する。しかし、これに限らず、例えば、PC10や携帯端末(図示せず)等の外部装置に、その外部装置にて認証情報を入力する入力フィールドを表示するための画面情報を送信することも含まれる。そして、送信IFとしては、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、WiFi、無線LAN等の無線IFや、有線LAN等の有線IFを用いることができる。
このように、本実施形態のMFP100では、USBメモリ200に記憶させる設定情報をより適切に管理することが可能となる。
ちなみに、本実施形態において、MFP100は、「情報処理装置」の一例である。NVRAM104は、「記憶部」の一例である。CPU101は、「制御部」の一例である。USBIF107は、「通信インタフェース」の一例である。USBメモリ200は、「外部記憶装置」の一例である。管理者パスワードは、「認証情報」の一例である。
また、除外情報は、機密情報及び個人情報のうち、少なくとも一方を含む。
これにより、書き出すべきでない情報がUSBメモリ200へ書き出されてしまうことを防止することができる。
また、機密情報は、認証情報を含む。
また、個人情報は、アドレス帳情報を含む。
また、除外情報は、第1設定情報の全てをUSBメモリ200に記憶させることができる管理者の権限にて設定可能である。
これにより、USBメモリ200に記憶させる設定情報をさらに適切に管理することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態に係る通信システムを説明する。
本実施形態の通信システムは、上記第1実施形態の通信システム1に対して、制御処理の一部が異なるのみであるので、そのハードウェアとしては、通信システム1のそれ、つまり、図1に記載のハードウェアを用いることにし、その符号も同じ“1”を用いることにする。また、各構成の符号も、図1に記載の符号をそのまま用いることにする。
図7は、上記図3と同様に、PC10側からMFP100を設定するための設定画面16bの一例を示している。そして、図7は、管理者設定を行うための管理者設定画面16bの一例を示し、ユーザが管理者用パスワードによる認証を行った後、Administratorタブ16b7を選択した状態を示している。
上記第1実施形態の通信システム1では、機密情報及び個人情報のうち、少なくとも一方が含まれる設定グループに対して、管理者は、ユーザに拘わらず許可設定を行うことができる。これに対して、本実施形態の通信システム1では、特定の設定グループに対して、ユーザ毎に許可設定を行うことができる点が異なっている。但し、特定の設定グループは、上記第1実施形態の通信システム1のように、機密情報及び個人情報のうち、少なくとも一方が含まれる設定グループに限っていない。
図8は、設定グループ毎に対応制限情報があるか否かを規定するテーブルを示している。図8に示すように、ファックス設定(Fax)、コピー設定(Copy)、印刷設定(Print)及びスキャン設定(Scan)には、それぞれ対応する機能を制限する情報があるので、ユーザ毎にその機能を制限したり、許可したりすることができる。
図7に示すように、ユーザ毎の機能の制限と許可は、ユーザ毎及び機能毎に設けられたチェックボックスに「レ点」を付けたり、消したりすることによって行う。例えば、User1の場合、印刷設定(Print)のチェックボックスは「レ点」が付いていないので、印刷設定の設定情報は、エクスポートが許可される。
なお、USB設定は、図8のテーブル内に設定グループとして定義されていないが、これは便宜上、そのようにしているだけであって、図8のテーブル内に設定グループとして定義するようにしてもよい。ここで「Direct Print」とは、USBメモリ200内のファイルをPC10を介さずに直接MFP100で印刷する機能である。また、「Scan to」とは、スキャン機能により取得したスキャンデータをUSBメモリ200に記憶させる機能である。
図9(a)は、パネル105上に表示されたユーザ選択画面105cの一例を示している。また、図9(b)は、パネル105上に表示されたPIN(Personal Identification Number)入力画面105dの一例を示している。なお、各画面105c,105dの使い方等については、図10及び図11の第2Export処理を説明するときに併せて説明する。
図10及び図11は、本実施形態のMFP100、特にCPU101が実行する第2Export処理の手順を示している。
図10において、まず、CPU101は、ログイン開始操作があったかどうかを判断する(S31)。ここで「ログイン開始操作」には、本実施形態では2種類ある。1つは、上記図5(b)に示す管理者パスワード入力画面105bをパネル105上に表示する操作である。もう1つは、図9(a)に示すユーザ選択画面105cをパネル105上に表示する操作である。
S31の判断において、ログイン開始操作がなかったと判断される場合(S31:NO)、CPU101は、処理をS31に戻す。
一方、S31の判断において、ログイン開始操作があったと判断される場合(S31:YES)、CPU101は、ログインID(Identification)/パスワードを入力する(S32)。但し、管理者パスワード入力画面105bでは、CPU101は、ログインIDの入力要求を行っていない。したがって、この場合、S32の処理では、CPU101は、ユーザが入力した管理者パスワードを、例えばRAM103の所定領域(図示せず)に入力する。一方、ユーザ選択画面105cでは、ユーザ選択ボタン105c1,105c2のいずれかの押下が、ログインIDの入力に相当する。ユーザ選択ボタン105c1,105c2のいずれかの押下に応じて、CPU101は、上記図9(b)に示すPIN入力画面105dをパネル105上に表示する。そして、ユーザがPIN入力画面105dからPINを入力すると、CPU101は、そのPINを上記RAM103の所定領域に入力する。
次に、CPU101は、認証を実行し(S33)、認証がOKか否かを判断する(S34)。なお、S33の処理の契機は、管理者パスワード入力画面105bでは、上述のように、上記OKボタン105b2の押下であり、PIN入力画面105dでは、OKボタン105d1の押下である。
S34の判断において、認証がOKでないと判断される場合(S34:NO)、CPU101は、処理を上記S32に戻す。
一方、S34の判断において、認証がOKであると判断される場合(S34:YES)、CPU101は、上記S1(図6参照)と同様にして、USBメモリ200を検出したか否かを判断する(S35)。S35の判断も、S1の判断と同様にして、USBメモリ200がUSBIF107に接続されたことだけではなく、ストップキーが押下されたことも検出することに基づいて行う。
S35の判断において、USBメモリ200を検出しなかったと判断される場合(S35:NO)、CPU101は、第2Export処理を終了する。
一方、S35の判断において、USBメモリ200を検出したと判断される場合(S35:YES)、CPU101は、管理者がログインを行ったか否かを判断する(S36)。
S36の判断において、管理者がログインを行っていないと判断される場合(S36:NO)、CPU101は、パネル105上に、エクスポート(Export)アクセス認証コード入力画面を表示する(S37)。エクスポートアクセス認証コードとは、管理者パスワードによる認証が行われなくても、全設定グループの設定情報をエクスポートできるようにするための認証コードである。なお、アクセス認証コード入力画面は、上記図5(b)に示す管理者パスワード入力画面105bと同様の画面構成をなしている。つまり、エクスポートアクセス認証コード入力画面には、認証コード入力欄と、キーボードと、SKIPボタンと、OKボタンとが含まれている。
次に、CPU101は、上記S3と同様にして、ユーザが入力スキップを行ったか否かを判断する(S38)。 この判断において、入力スキップを行ったと判断される場合(S38:YES)、CPU101は、ログインユーザの制限情報を取得する(図11のS51)。例えば、ログインユーザが、図7における「User2」である場合、ログインユーザの制限情報は、印刷(Print)機能、スキャン(Scan)機能及びファックス(Fax)機能に係るチェックボックスに「レ点」が付けられていること、つまり、印刷設定(Print)、スキャン設定(Scan)及びファックス設定(Fax)のエクスポートが制限されていることである。
次に、CPU101は、上記S4と同様にして、最初の設定グループの設定情報を取得する(S52)。このとき、図8のテーブルを参照して、最初の設定グループを決定する。図8のテーブルでは、最初の設定グループは、基本設定(General)であるので、CPU101は、基本設定に含まれる設定情報を取得する。
次に、CPU101は、取得した設定グループに関連する機能が制限されているか否かを判断する(S53)。この判断は、上記S51で取得したログインユーザの制限情報に基づいて行う。基本設定に係る機能は、エクスポート制限されていないので、S53の判断では、「NO」となる。
S53の判断において、設定グループに関連する機能が制限されていないと判断される場合(S53:NO)、CPU101は、上記S7と同様にして、取得した設定グループの設定情報をテンポラリ出力した(S54)後、処理をS55に進める。
一方、S53の判断において、設定グループに関連する機能が制限されていると判断される場合(S53:YES)、CPU101は、S54をスキップして、処理をS55に進める。
S55では、CPU101は、上記S8と同様にして、次の設定グループの設定情報を取得する。そして、CPU101は、上記S9と同様にして、次の設定グループがないか否かを判断する(S56)。次の設定グループは、アドレス帳設定(Address Book)であるので、CPU101は、S55において、アドレス帳設定の設定情報を取得し、S56において、次の設定グループがあると判断する(S56:NO)。
S56の判断において、次の設定グループがあると判断される場合(S56:NO)、CPU101は、処理をS53に戻し、上記S53~S56の処理を繰り返す。
処理が進み、CPU101が、S55において、ファックス設定(Fax)を取得すると、ファックス設定に係る機能は、エクスポート制限されているので、S53の判断では、「YES」となって、CPU101は、S54をスキップして、次の設定グループの設定情報、つまり、コピー設定(Copy)の設定情報を取得する。コピー設定に係る機能は、エクスポート制限されていないので、S53の判断では、「NO」となって、CPU101は、S54において、コピー設定の設定情報をテンポラリ出力する。
一方、S56の判断において、次の設定グループがないと判断される場合(S56:YES)、CPU101は、処理をS57に進める。S57とその次のS58の各処理はそれぞれ、上記S11と上記S12の各処理と同様であるので、その説明は省略する。
例えば、User2がログインしたとする。User2の制限情報は、上述のように、印刷(Print)機能、スキャン(Scan)機能及びファックス(Fax)機能に係るチェックボックスに「レ点」が付けられていること、つまり、印刷設定(Print)、スキャン設定(Scan)及びファックス設定(Fax)のエクスポートが制限されていることである。したがって、コピー設定(Copy)のエクスポートは制限されていないので、第2Export処理が終了すると、コピー設定の設定情報はエクスポートされるものの、印刷設定等の他の設定の設定情報はエクスポートされない。具体的には例えば、上記図2に示す設定情報210からスキャン設定が除外された設定情報が、USBメモリ200に記憶されることになる。
一方、上記S36(図10参照)の判断において、管理者がログインを行ったと判断される場合(S36:YES)、CPU101は、上記S23と同様にして、全設定グループの設定情報をテンポラリ出力する(S40)。そして、CPU101は、処理を上記S57(図11参照)に進める。
一方、上記S38の判断において、入力スキップを行っていないと判断される場合(S38:NO)、CPU101は、エクスポートアクセス認証を行い(S41)、認証OKであるか否かを判断する(S42)。この判断において、認証OKであると判断される場合(S42:YES)、CPU101は、処理を上記S40に進める。一方、この判断において、認証OKでないと判断される場合(S42:NO)、CPU101は、処理を上記S37に戻す。
以上説明したように、本実施形態のMFP100のCPU101は、登録ユーザのいずれかを指示するログインIDを受け付けた場合、PIN入力画面105dをパネル105上に表示し、PIN入力画面105dに対し、PINを受け付けた場合、PINに基づき認証が成功するか否かを判断し、認証が成功すると判断すると、MFP100の状態をログアウト状態からログイン状態へ遷移させ、ログイン状態への遷移後に、スキップ指示を受け付けた場合、ログインに係るユーザの権限に基づいて除外情報を選択する。
このように、本実施形態のMFP100では、特定の設定グループに対して、ユーザ毎に設定許可を行うことができる。これにより、USBメモリ200に記憶させる設定情報をさらに適切に管理することが可能となる。
ちなみに、ログインIDは、「ユーザ情報」の一例である。PIN入力画面105dは、「ユーザ用認証情報の入力要求」の一例である。パネル105上に表示は、「出力」の一例である。PINは、「ユーザ用認証情報」の一例である。
また、除外情報は、ログインに係るユーザが使用制限されている機能の設定値を含む。
また、機能は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能及びFAX機能のうち、少なくともいずれか一つである。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
(1)上記各実施形態では、情報処理装置の一例として、MFP100を例に挙げて説明したが、MFP100に限らず、情報処理装置は、単体のプリンタやスキャナ、コピー機であってもよい。
(2)上記各実施形態では、制御部の一例として、CPU101を挙げて説明したが、制御部は、CPUと専用回路とを有していてもよい。専用回路としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
(3)上記各実施形態では、通信インタフェースの一例として、USBIF107を挙げたが、これに限らず、通信インタフェースとして、NFCインタフェース、Bluetoothインタフェース等の無線インタフェースを採用してもよい。また、通信インタフェースとして、SDIO(Secure Digital Input/Output)を採用してもよい。これらの場合、外部記憶装置は、採用される通信インタフェースに対応したインタフェースを有する装置となる。
(4)上記各実施形態では、除外対象の単位を設定グループとしたが、これに限らず、より細かい単位、例えば、1つの設定グループを複数のグループに分割し、その分割単位毎としてもよい。また、これとは逆に、より大まかな単位、例えば、複数の設定グループを1つのグループにまとめ、そのまとめた後のグループ毎としてもよい。