JP7390081B1 - 地盤注入工法 - Google Patents

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Abstract

【課題】軟弱地盤などにおける複雑な地盤状況に応じて、全体的に一体化された、均質で、止水の完全な、しかも高強度な固結地盤を形成する地盤注入工法を提供する。【解決手段】地盤中にシリカグラウトを注入するにあたり、A液とB液の合流液を地盤に注入する地盤注入工法である。A液は水ガラス溶液であって、B液は反応剤であって、A液とB液をそれぞれA液ポンプとB液ポンプで送液する複数の駆動装置とインバータと複数の駆動装置を一括管理する制御装置とを用いて、インバータを制御して、地盤状況に応じてA液とB液の合流液の流量と合流比率を連続的に可変制御することによって、A液とB液の合流液の反応生成物または組成分の濃度を連続的に変化させて、地盤改良領域における反応生成物または組成分の濃度を所定の濃度内にして地盤を固結させる。【選択図】なし

Description

本発明はシリカグラウトを用いた軟弱地盤の環境保全型注入固結法に関し、詳細には、地盤状況に合わせて連続的にゲルタイムと環境影響イオン濃度を可変として、軟弱あるいは漏水地盤を均質かつ強固に固結あるいは止水するとともに、注入地盤中に生成される環境影響イオンの濃度の管理を行う地盤注入工法に関する。
軟弱地盤は通常、粗粒土層と細粒土層とが相互になって形成された軟弱な地盤であるが、これは、地盤内に固結剤を注入して、均質にかつ低い環境負荷で固結することが必要である。
近年の地震の多発化や掘削工事の大規模化に伴う工事の長期化や複雑な地盤条件における安全施工が要求される工事が増大するにつれ、薬液注入において、長期耐久性に優れ、地下水面下における浸透固結性に優れ、かつ、地盤構造物や水質に対して安全な地盤改良注入技術が要求されるようになってきた。
この要望に応えるため、本出願人は既に非アルカリシリカグラウト(図1)を開発し、実用化している。非アルカリシリカグラウトには、図2に示すように、水ガラスのアルカリを酸で中和したpHが1~8付近の中・酸性系シリカグラウト(シリカゾルグラウト)や水ガラスのアルカリをイオン交換法で除去して増粒して弱アルカリ性で安定したコロイドと水ガラスと酸からなるpHが1~10を示すシリカグラウト(活性複合シリカグラウト)がある。また、非アルカリシリカグラウトの地中における反応生成物の低減に関して、特許文献1に記載された技術を開発している。非アルカリシリカグラウトは、いずれもゲルタイムを数秒から数十時間に設定できるので、大量の注入液を作って置いてもゲル化の心配がないのみならず、大量の注入液を長時間かけて送液でき、かつ、地盤中に注入した後、確実にゲル化し、さらに、粘性が小さく、浸透性が良い利点がある(図1参照)。
本発明において、酸性溶液に用いる酸としては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸、スルファミン酸等の無機酸、クエン酸などの有機酸および、これらの混酸やこれらの塩を用いることができ、pHを調整できる酸であれば限定されない。また、酸として作用する塩(例えば塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等)を用いることができる。また、任意の塩やアルカリやpH調整剤を添加剤としてゲルタイムを調整したり、強度を調整することができる。
シリカ溶液としては、水ガラスや活性シリカ、コロイダルシリカ、金属シリカ、地熱水由来のシリカやこれらの一種または複数種を用いることが可能である。
本発明において、使用する水ガラスの種類や濃度、モル比も限定されない。
しかし、非アルカリシリカグラウトは、図1、図2から判るように、pHが中性付近ではゲルタイムが短く、pHが2付近ではゲルタイムが大幅に長く、その領域では安定したゲルタイムを示すが、その中間であるpH領域ではゲルタイムが急激に変化するため、所定のpHに対応したゲルタイムを有するグラウトを注入することが不可能であった。このため、実際の注入においては、瞬結グラウトを注入するか、極めて長いゲルタイムの注入液を注入するか、または、これを組み合わせた複合注入を多用する他なかった。また、軟弱地盤の注入工法としては、従来の次の方法が公知である。
(1)ロッド注入方法
この方法は、固結材として反応剤の水溶液あるいはセメント物質を含む懸濁液(A液)と、水ガラス水溶液(B液)とを用い、これらをY字管を用いて合流させながら地盤中に圧入する方法であるが、ボーリングロッドと地盤との間に隙間が生じ、この隙間から固結材が地表に噴出したり、また粗い層を通して注入液が逸脱してしまうため、細粒土層部分への固結や所定固結範囲の固結が困難である。
(2)二重管注入工法
この方法は、A液として水ガラスを、B液としてゲル化反応剤を用いて、地盤中に設置された二重管の先端部で合流して、短いゲルタイムでも固結する配合のグラウトを注入する方法である。この工法によれば、ゲルタイムが短いためロッド周辺に沿ってグラウトが地上部に噴出することは防止できるが、ゲルタイムが短いため粗い層を脈状にしか固結し得ず、土粒子間に浸透させることはできない。このため掘削にあたって、湧水土砂の崩壊が生じやすい。
(3)二重管複合注入工法
上記問題を解決するために、従来より、まずゲルタイムの短い方の注入材で注入管と地盤との隙間を充填することによりパッカー効果のあるシールを形成するとともに、粗い層や層の境界面を填充した脈状の主体とする固結層を形成し、その後、ゲルタイムの長い方の注入材を上記シールを破ってゲルタイムの短い方の注入材が既に注入してある領域に注入する地盤注入工法が開発されている。この工法は、ゲルタイムの長い方の注入材は注入管周囲や粗い層から逸脱することがないので、注入対象を確実に浸透して固結することを目的としたものである(特許文献2、図3)。
特許文献2記載の発明は、注入材を形成するために主剤配合液に反応剤を合流するもので、A液として主剤配合液としての水ガラス配合液または水ガラスと反応剤の混合配合液を用い、それにB液として水ガラス溶液や急結剤を加えた反応剤溶液を合流する。
具体的には、水ガラスと反応剤を合流した瞬結グラウトを注入した後、アルカリ性浸透グラウトからなる浸透性グラウトを注入する。または、酸性水ガラスに反応剤を合流して瞬結性グラウトを注入後、酸性水ガラスのみを注入する。主剤に対する反応剤の合流をオン、オフしながら瞬結グラウトを一次注入してから浸透性グラウトに切り替えて二次注入する(図3参照)。この場合、1次注入と2次注入のシリカ濃度が変わり、一定の強度が得られない。
また、水ガラス配合液はpHがアルカリ側になるとゲル化が不安定になり、或いはゲルタイムが無限大になり、ゲル化しなくなるという問題があった(図1)。また、酸性水ガラスにアルカリ反応剤水溶液を合流して得られた瞬結グラウトは、シリカ濃度が低くなり酸性水ガラスグラウトよりも強度が低下する。そこで、酸性水ガラスに水ガラスを合流して瞬結グラウトを注入した後、酸性水ガラスのみ或いは酸性水ガラスに緩結性反応剤を加えて注入する過程をオン、オフしながら切り替えて注入すると、瞬結グラウトが緩結グラウトよりもシリカ濃度が高く、従って強度が高くなり、一定の強度が得られない(図3)。
このようにアルカリ系グラウトでも、硬化剤の量を多くすると瞬結グラウトになるが、緩結グラウトを得るために硬化剤の量を少なくすると瞬結グラウトに比べて緩結グラウトの強度が低くなり、また、ゲル化が長引き不安定になり強度にばらつきが生じて均質な地盤改良が難しい。また、ゲルタイムを長くすると未反応生成物が生ずることになり、注入中にゲル化するのか確認ができないのみならず、環境に影響のある反応生成物の濃度が不明であるという問題があった。
また、溶液型のシリカグラウトはゲル化の安定領域はpHが2前後の領域とpHが7~8付近の領域であり、その中間はpHがわずかの違いで大幅にゲルタイムが変動するため、pHが7~8付近を瞬結領域とpHが2~3付近の非常に長いゲルタイムのいずれかを用い、地盤状況や注入状況に応じてその中間のpHのゲルタイムを用いることは困難であった(図1参照)。したがって、安定した領域のpH値を得るために過剰の酸を必要としその結果、その地盤中に生成される反応生成物の地盤に対する影響を考慮する必要がある。
このように、耐久性と浸透性に優れた注入材は非アルカリ領域のシリカグラウトであるが、非アルカリシリカグラウトは、瞬結領域(pHが8付近)から超長結領域(pH3付近)の中間領域のゲルタイムを緩結グラウトとして最適のゲルタイムを設定して適用することが困難であった点と、ゲルタイムの瞬結グラウトと緩結グラウトの変換においてシリカ濃度が変わって、強度が大幅に変わるため地盤状況や注入状況に応じてゲルタイムや強度の変換を連続的に行うことが困難であった。また、シリカ濃度を変えることなく(強度を変えることなく)ゲルタイムを地盤状況や注入状況に合わせて連続的に可変することが困難であった。もちろんアルカリ領域においてはさらにこれらが困難であった。また、特許文献3には、地盤中に多量の硫酸根を持ち込まない地盤硬化法が記載されているが、使用する硬化剤は硫酸と硫酸アルミニウムであり、薬液の配合をpHで調整する考えである。しかし、硫酸根を含むグラウトの影響はpHでなくて硫酸根の濃度である。しかし、この特許文献3には硫酸根を含む注入材が地盤状況や地下水状況でどのように挙動して硫酸根の濃度が地盤改良領域で変動するか、その濃度が環境に影響しない範囲に低減するかの記載はないし、また、硫酸イオン濃度が環境に影響しない範囲内に管理する手法は示していない。
特許文献1には、本出願人による注入地盤中に生成する反応生成物である硫酸イオン濃度を低減する技術が記載されている。しかし、注入中に注入地盤中の硫酸イオンの濃度の挙動や地盤状況に応じてリアルタイムで把握したり、注入地盤中に生成する環境に影響する成分を水質規準または環境規準の所定濃度まで低減する発明にまでは至っていない。
このように、従来の特許文献1では硫酸イオンの生成を低減した注入液の配合組成については述べているが、その改良地盤中における硫酸イオン挙動から注入地盤における硫酸イオンの濃度を注入作業中に環境に影響を生じない濃度までリアルタイムで制御するものではなかった。これに対して、本発明者らは、特許文献1の発明において、地盤状況や地下水の流動状況や注入設計に対応して、注入作業中に注入地盤における硫酸イオンの濃度が環境に影響がないと考えられる値以下になるようにリアルタイムで行うことのできる地盤注入工法を開発した。さらに、本発明者らは、同様の原理で本発明者らによる特許文献1の技術をさらに発展させて、地盤中における反応生成物の濃度が、硫酸イオン濃度のみならず地盤注入において水質や土壌などの環境に影響する成分が水質規準や土壌環境規準の範囲内に収まるものとなるよう管理可能な地盤注入工法を開発したものである。
特許第7146202号公報 特公昭61-017970号公報 特開2000-328056号公報 特許第7072818号公報
水ガラスグラウトはわずかのpHの違いや反応剤の量によってゲル化が不安定であって緩結領域ではゲル化しなかったり、また、ゲル化剤を少なくしてゲルタイムを長くするとゲル化が不完全で強度が得られなくなる問題があった。同様に、施工中に環境に影響する反応生成物の濃度や組成分を管理して注入することが不可能であった。
そこで本出願人は上記課題を解決したものであって、シリカグラウトにおいて以下に反応生成物や組成分の注入地盤中の濃度を現場においてリアルタイムで管理できる注入システムと注入工法を開発したものである。
従来、注入領域において中性領域となる配合処方の注入液を注入する方法はすでに知られている。しかし、地盤改良領域で地盤状況や地下水状況や注入設計に応じて変化する注入液の反応生成物の濃度を環境に影響がない範囲に制御する技術は存在していなかった。注入液を注入中に所定の範囲内に管理すること、すなわち、実質的に注入中に反応生成物の濃度を見える化して管理することは不可能であった。
本発明は、本出願人の特許文献1の発明をさらに発展させて、シリカグラウトの場合を例として、ゲルタイムと反応生成物の濃度を現場で連続的に可変させて地盤状況ならびに注入状況に応じて地盤中に生成される反応生成物の濃度を所定の範囲内に管理できる環境保全性に優れた注入システムならびに地盤注入工法を可能にしたものである。
注入地盤は、一般に異なった土層が堆積した軟弱地盤からなるため、土質別、目的別、工法別による注入材の注入率が適用される(表1参照)。本発明は、このような複雑な粗粒土層および細粒土層をくまなく固結して、環境保全性に優れ、全体的に一体化された、止水性および固結性と共に環境に影響する反応生成物または組成分の改良地盤中における濃度を注入作業中にリアルタイムで所定範囲内に管理できる、環境負荷を低減した注入管理システムと、それを用いた地盤注入工法を提供することを目的とし、従来用いられてきた上記方法の問題を解決したものである。
Figure 0007390081000001
すなわち、本発明の地盤注入工法は、地盤中に挿入した注入管を通してシリカグラウトを注入する地盤注入工法において、A液とB液を該注入管を通して地上合流または地中合流させた合流液を地盤に注入する地盤注入工法であって、
前記A液は水ガラス溶液であって、前記B液は反応剤と水とからなる溶液であって、該A液とB液をそれぞれA液ポンプとB液ポンプで送液する複数の駆動装置とインバータと該複数の駆動装置を一括管理する制御装置とを用いて、前記インバータを制御して、地盤状況に応じて前記A液と前記B液の流量と合流比率を瞬結配合から緩結配合に連続的に可変制御することによって、ゲルタイムおよび前記A液と前記B液の合流液の反応生成物の濃度を連続的に変化させて、前記反応剤を過大な量で処方することなく、ゲルタイムの設定に必要な量となる合流比率で注入することによって、地盤改良領域における該反応生成物の濃度をゲルタイムの設定に必要な所定の濃度内にして地盤を固結させることを特徴とするものである。
本発明においては、ゲルタイムおよび前記A液と前記B液の合流液の反応生成物のイオン濃度を連続的に変化させて、ゲルタイムおよび反応生成物のイオン濃度をリアルタイムで可視化し、前記反応剤を過大な量で処方することなく、該反応生成物のイオン濃度をゲルタイムの設定に必要な所定の濃度内にして地盤を固結させることが好ましい。
また、本発明においては、A液とB液との合流液であって、シリカ濃度が1~40w/vol%、pHが1~10である非アルカリシリカグラウトを地盤に注入する地盤注入工法であって、前記B液が酸を含む溶液であって、前記A液とB液の流量と合流比率を瞬結配合から緩結配合に連続的にゲルタイムに対応したpHおよびシリカ濃度にして、ゲルタイムおよび前記A液と前記B液の合流液の反応生成物のイオン濃度を連続的に変化させて、ゲルタイムおよび反応生成物のイオン濃度をリアルタイムで可視化し、前記反応剤を過大な量で処方することなく、ゲルタイムの設定に必要な所定の限度内となる合流比率で注入することによって、地盤を固結させることが好ましい。
本発明においては、あらかじめ前記A液と前記B液の合流比率の連続的変化に対するゲルタイムおよび前記反応生成物のイオン濃度の変化の関係を把握しておくことにより、地盤改良領域における該反応生成物のイオン濃度をゲルタイムの設定に必要な所定の濃度内に管理して地盤を固結することができる。
また、本発明においては、あらかじめ前記A液と前記B液の流量と合流比率をインバータにより制御して、該A液と該B液の流量と合流比率の連続的変化に対するゲルタイムおよび前記反応生成物の濃度を把握しておくことにより、改良地盤中における該反応生成物の濃度が所定の濃度内におさまっているか否かをリアルタイムで把握して地盤中に注入することができる。
さらに、本発明においては、地盤中における前記反応生成物の濃度として、地盤改良領域の地盤状況および地下水状況から、地盤中の該反応生成物の残存イオン濃度が所定の濃度となるように該A液と該B液の流量と合流比率を設定して、改良地盤中における該反応生成物の濃度を所定の濃度内にして地盤を固結させることができる。
さらにまた、本発明においては、シリカ濃度が1~40w/vol%、pHが1~10である非アルカリシリカグラウトを地盤注入材として注入して地盤改良領域を形成するにあたり、
前記地盤改良領域の地盤状況および地下水状況から、地盤内に溶出した硫酸イオンの該地盤中における挙動に基づき、注入地盤を下記の(1)開放系、(2)停滞系または(3)濃縮系のいずれかに分類し、
(1)開放系:地下水が前記コンクリート構造物よりも外方向に流れており、硫酸イオン濃度が低減していく地盤
(2)停滞系:地下水流が停滞しており、硫酸イオン濃度がほとんど変化しない地盤
(3)濃縮系:硫酸イオンが前記コンクリート構造物の表面から浸透して濃縮され、硫酸イオン濃度が増大していく地盤
前記分類された注入地盤のタイプに応じ、該注入地盤における硫酸イオンの低減要因(Y)として、下記△1~△7のうちから選ばれるいずれかまたは複数を設定し、
△1:前記地盤改良領域内に非注入部分を設け、非注入部分の比率を硫酸イオンの溶出率αとしたときの、改良地盤中における硫酸イオンの残存率 △1=1-α
△2:地下水中に硫酸イオンが溶出する溶出率をαとしたときの、前記地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △2=1-α
△3:前記地盤改良領域内における硫酸イオンの固定率を溶出率αとしたときの、該地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △3=1-α
△4:前記地盤改良領域内における非硫酸系注入材、または、低硫酸系注入材による硫酸系注入材の硫酸イオンの置換率を溶出率αとしたとき、該地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △4=1-α
△5:前記地盤注入材中のシリカ成分のコロイドによる置換率を溶出率αとしたとき、前記地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △5=1-α
△6:前記地盤注入材中において硫酸イオンの一部または全部を捕捉し、その捕捉率を溶出率αとしたとき、前記地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △6=1-α
△7:前記地盤改良領域内の前記地盤注入材の注入率を低減し、該注入率の低減率を溶出率αとしたとき、該地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △7=1-α
前記注入地盤に応じて設定された前記低減要因(Y)に基づき、
前記地盤注入材として、前記非アルカリシリカグラウト由来の硫酸イオンが、前記地盤改良領域に残存する硫酸イオン濃度の平均値(X)の値で8,000ppm以下になるような反応剤配合処方からなるものを選択することができる。
さらにまた、本発明においては、前記A液と前記B液の合流比率を連続的に変化させることにより、ゲルタイムおよび改良地盤中における前記反応生成物の濃度が、地盤状況、地下水状況および注入設計に応じて所定の値となるように注入液を注入することができる。
さらにまた、本発明においては、前記シリカグラウトとして、相対的にゲルタイムの短いグラウトと相対的にゲルタイムの長いグラウトを連続して地盤に注入するものとし、前記ゲルタイムの短いグラウトは地盤に粗結注入する一次注入材として注入し、前記ゲルタイムの長いグラウトは2次注入材として浸透注入することができる。
さらにまた、本発明においては、連続的にゲルタイムを変化させながら、同一シリカ濃度の前記シリカグラウトを用いることができる。
さらにまた、本発明においては、連続的にゲルタイムを変化させながら、地盤状況に対応したゲルタイムとシリカ濃度が得られる前記シリカグラウトを注入することができる。
さらにまた、本発明においては、以下の1)~8)のいずれかの注入方法により、前記A液と前記B液の合流液を地盤に注入することができる。
1)ロッド注入工法
2)ダブルパッカ工法
3)点注入工法
4)多点同時注入工法
5)柱状注入工法
6)瞬結・緩結複合注入工法
7)多ステージ同時注入工法
8)多注入孔同時注入工法
本発明は、地盤中にシリカグラウトを注入する地盤注入工法において、A液とB液の合流液を地盤に注入する地盤改良工法であって、A・B合流液における反応生成物の濃度または組成分の濃度は地盤改良領域において地盤条件、地盤改良領域における地盤状況、地下水状況、注入設計に応じて変動、或いは低減するものと考え、その結果、注入地盤中に残存する反応生成物の濃度または組成分の濃度が環境に影響しないと考えられる濃度以下となるβ=A/Bの範囲内にA液、B液のインバータを制御することにより、ゲルタイムと反応生成物の濃度または組成分の濃度を注入作業中にリアルタイムで管理して環境負荷を低減した地盤注入工法を可能にした。
非アルカリシリカグラウトのpHとゲルタイムとシリカ濃度と強度の関係を示す図である。 非アルカリシリカグラウトのpHとゲルタイムとシリカ濃度と強度の関係を示す図である。 非アルカリシリカグラウトのpHとゲルタイムとシリカ濃度と強度の関係を示す図である。 非アルカリシリカグラウトのシリカ溶液のpHとゲルタイムの関係を示すグラフである。 従来の注入システムの概要を示す図である。 本発明の一実施形態における注入システムの詳細を示すブロック図である。 本発明の一実施形態における注入システムの詳細を概念的に示した図である。 本発明の一実施形態における注入システムの詳細を概念的に示した図である。 本発明の一実施形態における注入システムの詳細を概念的に示した図である。 一次注入の後、浸透性グラウトを二次注入した注入モデルである。 A液・B液の比率とゲルタイムとシリカ濃度の関係を示すグラフの一例である。 A液・B液の比率とゲルタイムとシリカ濃度の関係を示すグラフの他の例である。 A液・B液の比率とゲルタイムとシリカ濃度の関係を示すグラフのさらに他の例である。 A液・B液の比率とゲルタイムとシリカ濃度の関係を示すグラフのさらに他の例である。 A液・B液の比率とゲルタイムとシリカ濃度の関係を示すグラフのさらに他の例である。 A液・B液の比率とゲルタイムとシリカ濃度の関係を示すグラフのさらに他の例である。 ゲルからの硫酸イオンの溶出率と残存率を示すグラフである。 ゲル中の硫酸イオン濃度の経時変化を示すグラフである。 ホモゲルおよびサンドゲルの養生方法を示す図である。 モルタル供試体の養生状況を示す写真図である。 金属イオン含有非アルカリシリカグラウトに長期養生後のモルタル供試体の状況を示す写真図である。 養生条件の違いによるモルタルの強度と養生後のpHの経時的変化を示すグラフである。 反応剤中の硫酸混入率が養生媒体のpHに与える影響を示すグラフである。 モルタル供試体と同体積の金属イオン封鎖剤を含むシリカゾル中に3年間養生した後の不溶性被覆を形成したモルタル表面の状態の図である。 金属イオン封鎖剤を含むモルタル供試体と同体積のホモゲル中で16年半養生後のモルタル供試体の状況と金属イオン封鎖剤による不溶性被覆(マスキングシリカ)の形成を示す写真図である。 ホモゲルに浸漬養生したモルタル表面の被膜のX線チャートである。 ヘキサメタリン酸ソーダと金属イオン封鎖剤の機能を示す図である。 金属シリカグラウトの効果を示す試験状況を示す図である。 マスキングシリカによるコンクリート保護効果とマスキングセパレート法を示す図である。 注入領域における異なる注入液の注入部分の区分を示す図である。 シリカ溶液を用いた注入液の希釈による導電率の変化を示す図である。 土中CaまたはCBの一次注入の影響を示す図である。 非アルカリシリカグラウトにおける酸の種類とゲルタイムの関係の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の地盤注入工法は、地盤中に注入管を挿入し、シリカグラウトを注入するに際し、A液とB液を合流して注入管より地盤に注入するものである。
本発明において、A液は水ガラス溶液、B液は反応剤とすることができる。本発明においては、A液とB液をそれぞれA液ポンプとB液ポンプで送液する複数の駆動装置とインバータと複数の駆動装置を一括管理する制御装置とを用いて、インバータを制御して、地盤状況に応じてA液とB液の合流液の流量と合流比率を連続的に可変制御することによって、A液とB液の合流液の反応生成物または組成分の濃度を連続的に変化させて、地盤改良領域における反応生成物または組成分の濃度を所定の濃度内にして地盤を固結させる。
本発明においては、あらかじめA液とB液の合流液の流量と合流比率の連続的変化に対する反応生成物または組成分の濃度の変化の関係を把握しておくことで、地盤改良領域における反応生成物または組成分の濃度が所定の濃度内になるように、注入時にインバータ制御によりA液流量・B液流量と合流液の流量と合流比率を設定して地盤に注入することができ、あらかじめA液とB液の合流液の流量と合流比率をインバータにより制御して、A液とB液の流量と合流液の流量と合流比率の連続的変化に対する反応生成物または組成分の濃度の変化を把握しておくことで、改良地盤中における反応生成物または組成分の濃度が所定の濃度内におさまっているか否かをリアルタイムで把握して地盤中に注入することもできる。
本発明においては、地盤改良領域の地盤状況および地下水状況から、地盤中に溶出した反応生成物または組成分の残存濃度が所定の濃度となるように合流液と合流比率を設定して、注入を行うこともできる。また、A液とB液の合流比率を連続的に変化させることにより、改良地盤中における反応生成物または組成分の濃度が、地盤状況、地下水状況および注入設計に応じて環境負荷を低減する値となるように注入液を注入することもできる。
本発明においては、シリカグラウトとして、相対的にゲルタイムの短いグラウトと相対的にゲルタイムの長いグラウトを連続して地盤に注入するにあたり、ゲルタイムの短いグラウトを地盤に粗結注入する一次注入材として注入し、ゲルタイムの長いグラウトを2次注入材として浸透注入することもできる。また、連続的にゲルタイムを変化させながら、同一シリカ濃度の前記シリカグラウトを用いることもでき、地盤状況に対応したゲルタイムとシリカ濃度が得られる前記シリカグラウトを注入することもできる。
本発明においては、A液およびB液の流量をインバータ制御により連続的に変化させることで、改良地盤中で生成する環境に影響のある反応生成物または組成分の濃度が、環境負荷を低減する値となるように注入液を注入することもできる。
ここで、非アルカリシリカグラウトにおける例を用いて、本発明を説明する。非アルカリシリカグラウトのゲルタイムはpHによって急激に変動するため、酸性領域でゲルタイムを設定することが不可能に近い。この問題を解決するために、図4~図7に示すような注入システムを用いて、pHやゲルタイムを連続して可変させるとともに反応生成物の濃度を可変することを可能にし、非アルカリシリカグラウトを地盤状況、注入状況に応じてpHやこれらを管理しながら注入することができる。
特に軟弱な土層において、土層ごとに最適なゲルタイムと強度を設定できる地盤改良を可能にし、また同一土層においても、あるいは1ステージにおいて瞬結グラウトまたは懸濁グラウトを一次注入してのち、ゲルタイムを最適に管理した緩結配合を2次注入することを連続して変化させ、しかも最適の強度を一定に保持し、あるいは最適な強度を連続的に変化させる地盤改良を可能にし同時に改良地盤中に生成する反応生成物の濃度または組成分の濃度を所定の範囲内に注入作業中に実質的に「見える化」して注入管理することができるものである。
なお、ここでpHが中性領域とはpHがほぼ10以下をいう(図1参照)。
本発明注入システムの例を以下に示す(図4~図7参照)。材料配合部から注入液配合部へ、さらに注入液送液部から圧力計・流量計を通して送液管から注入管部へ注入される。注入液送液部、圧力計・流量計、送液管から制御部へリアルタイムでデータが入力され、記録部にて記録され、地盤状況や注入状況に応じて材料配合部で配合などが調整される。
次に、図4~図7の注入システムにおいて、材料配合部には使用する材料を地盤状況や注入状況に応じて調整し、注入配合部でA液とB液に分けられる。材料配合部では反応剤を含む酸性シリカ液からなる主剤配合部のA液とシリカ溶液のB液が配置されている。添加剤は、A液、B液のいずれか或いは酸に添加されてもよい。
注入液送液部では、インバータ、ポンプ、PQ(流量・圧力検出器)をそれぞれに配置し、コントローラにて調整され、注入液注入部にて地上合流または地中合流される。制御部のコントローラは材料配合部、注入送液部、インバータを制御し、記録部にデータを送信する。
A液、B液は図5、図6に示すように注入管の地上部で合流してもよいし、二重管先端部で合流してもよいし、また、注入外管内の複数の管路から合流して注入してもよい(図7、図8)。また、単管ロッド注入も、以下の1)~8)の注入方法並びに表2に示すような各種注入方式も適用できる。なお、地上合流は、図5、図6の注入液送液部において混合槽中にA・B合流液を調整して注入管に送液してもよい。
1)ロッド注入工法
2)ダブルパッカ工法
3)点注入工法
4)多点同時注入工法
5)柱状注入工法
6)瞬結・緩結複合注入工法
7)多ステージ同時注入工法
8)多注入孔同時注入工法
Figure 0007390081000002
図7は、本発明を実施する注入システムの概略図の例を示すものであって、ダイヤフラム式二連グラウトポンプを用いた注入システムの例を示す(東陽商事株式会社製)。この注入システムを用いることで、地盤状況や注入状況により、制御部(コントローラ)によって、A液ポンプならびにB液ポンプのそれぞれのインバータを連動して制御して、A液とB液の合流液の吐出量とそれぞれのポンプの流量比率を可変管理することにより、AB合流液の吐出量やA液・B液の吐出量の比率を連続的に変化させることができる。
また、材料配合部のA液、B液のシリカ濃度や反応剤の濃度を調整することができる。また同時に反応生成物の濃度を管理することができる。
すなわち、図6において(A液をアルカリシリカ溶液(水ガラス+或いはシリカ溶液+反応剤)、B液を酸性溶液(酸或いはpH調整剤)とする。図7で説明すれば)、コントローラから材料配合部に指示してシリカ量を地盤状況に応じて可変とし、A液・B液の吐出量の比率を変えることにより、A・B液合流液のゲルタイムを連続的に変動させることができる。また、同時に、反応生成物の濃度を連続的に可変することができる。あるいはあらかじめA液、B液の合流液の吐出量並びにA液、B液の比率の変動に対する反応生成物の濃度の変化をあらかじめ実験によって把握しておき(表3~表14、図9~14)、現場において注入前にインバータに対応して事前にキャリブレーションしておけば、注入中におけるインバータの制御に対応して反応生成物の濃度をリアルタイムで把握できる。すなわち、実質的に注入作業中に見える化管理を図5~図7のシステムを用いて行うことができる。
Figure 0007390081000003
Figure 0007390081000004
Figure 0007390081000005
Figure 0007390081000006
Figure 0007390081000007
Figure 0007390081000008
Figure 0007390081000009
Figure 0007390081000010
Figure 0007390081000011
Figure 0007390081000012
Figure 0007390081000013
Figure 0007390081000014
A液、B液の比率を変えれば、ゲルタイムは変動しながらシリカ濃度を所定の濃度を管理して反応生成物の濃度を管理することができる。例えば、A液、B液の流量比率と合流吐出量をA液、B液のそれぞれインバータで制御することにより、ゲルタイムと反応生成物の濃度を連続的に可変とすることができる。
なお、本発明の実施に用いる注入システムは、ダイヤフラムポンプ以外にもプランジャーポンプやピストンポンプ、モノポンプを用いてもよく、少なくともA液、B液を送液する多連式注入システムであって、A液、B液の合計流量とA液、B液の送液比率を連続的にインバータによって可変とする制御システムを有する注入システムを用いることができる。
このように、Aポンプ、Bポンプのそれぞれのインバータを制御して、β=A/Bの比率を連続的に可変とすることにより、ゲルタイム並びに反応生成物の濃度を連続的に制御することができる。このようにして、非アルカリシリカグラウトはpHのわずかの違いによりゲルタイムが変動するため、所定のゲルタイムからなる配合液の調製が困難であった問題と同時に、反応生成物の濃度を現場でリアルタイムに容易に解決することができる。
このように、本発明はA液、B液の合計量と、A液とB液から比率(β=A/B)をインバータ制御によって瞬結配合と緩結配合に連続的に可変とすることができ、緩結配合のゲルタイムと反応生成物の濃度を制御することができるため、設定した比率に対応したゲルタイムと反応生成物の濃度を設定することができる。
図5ではB液をA液の作液に用いていることにより、材料配合部の素材の配合槽が少なくて済む。
本出願人は上記手法によって、A・B合流液における反応生成物の濃度αは地盤改良領域において地盤条件、地盤改良領域における地盤状況、地下水状況、注入設計に応じて変動、或いは低減する(低減率=残存率=△)ものと考え(表15)、その結果、注入地盤中に残存する反応生成物の濃度(X)が環境に影響しないと考えられる濃度(W)以下となるβ=A/Bの範囲内にA液、B液のインバータを制御することにより、ゲルタイムと反応生成物の濃度を注入作業中にリアルタイムで管理できることを見出して、本発明を完成させたものである。
Figure 0007390081000015
以下に、具体例を説明する。
実施例1~12(表3~14、図9~14)
表3(a)から表14(b)には、A液、B液の配合とA液B液合流液の反応生成物である硫酸イオン濃度とリン酸イオン濃度とβ=A/Bに対応したゲルタイムとpHとシリカ濃度を示す。
また、図9~14には、β=A/Bに対応したゲルタイムとシリカ濃度(すなわちA液B液合流比率)の関係が示されている。
以上より、β=A/Bを連続的に可変することによりゲルタイムもシリカ濃度(強度)と反応生成物(硫酸イオン、リン酸イオン)の濃度を連続的に可変することがわかる。
一方、この注入液の反応生成物の注入による地盤改良領域における濃度(X)は、注入地盤の地盤条件、地下水条件、注入設計条件が大きく影響することが、本出願人によって解明されている(特許文献1)。
硫酸イオン濃度についていえば、改良地盤中の硫酸イオンの濃度をX、改良地盤中のゲルからの硫酸イオンの溶出率をαとすると、地盤中の硫酸イオンの残存率は△=1-αとなる硫酸イオン残存率△の濃度がコンクリートに影響を与えない濃度X以下となる注入液の処方(反応剤濃度=a)をXがW以内になるようにβ=A/Bが得られるようにA液、B液の吐出量をA液・B液のインバータを制御して注入することにより、地盤中の反応生成物の濃度を所定の値(W)内におさめることができる。一方、室内実験によるシリカ配合液のゲル化物から硫酸イオンの溶出率をαとし図15,図16に示し硫酸ナトリウムの濃度がコンクリート供試体に及ぼす濃度を表16に示す。表16より、コンクリートに影響を及ばさない最小限の濃度をWとする。以上より、図10~15のβ=A/Bに対応した硫酸イオン濃度が地盤条件、地下水条件、注入設計条件に対応した硫酸イオンの残存率が表16より8000ppm(=W)以下になる注入液の配合処方を設定してA液、B液のインバータを制御すればいいことがわかる。
Figure 0007390081000016
上記のような地盤注入材を用いて地盤改良領域を形成するにあたり、本発明者らは、地盤注入材に含まれる成分と注入地盤との関係について、以下のような検討を行った。
[硫酸イオンのコンクリートに対する影響]
[実験]
地下水が停滞(または滞留)したまま地下水の流動がほとんどない場合を想定して、水溶性反応生成物である硫酸ナトリウム水溶液の濃度が1年間変化することなくコンクリート(モルタル)に作用すると仮定して、硫酸イオン濃度が10,000ppm、8,000ppm、5,000ppm、3,000ppm、0ppmの硫酸ソーダ水溶液に表17(a)のモルタル供試体を1年間養生して、一軸圧縮強度試験を行い、コンクリートに対する影響を調べた。
Figure 0007390081000017
地下水による希釈がない場合、実験では、SO --でコンクリートに外見上の変化が生ずるのは、10,000ppmでは6ヶ月以内であり、8,000ppmでは1年でわずかではあるが変化が出る。
表16の硫酸ナトリウム水溶液にコンクリート供試体を浸漬し、硫酸イオンの濃度によるコンクリートの影響を観察した結果を示す。これより、地下水による希釈がない場合、1年以内でコンクリート構造物に影響を与える硫酸イオン濃度は10,000ppm以上であって、5,000ppm以下は1年以上でも影響はほとんどなかった。表16において、硫酸ナトリウムの濃度が8,000ppmの場合は、1年でわずかに影響を生ずる濃度であるが、実際には地下水による硫酸イオンの希釈が生ずるので、注入地盤の硫酸イオン濃度が8,000ppm以下ならば、モルタル供試体に問題を生じないとみなしてよいと考えられる。
[実験1]
シリカゾルグラウト(水ガラス+硫酸系の非アルカリシリカグラウト)のゲルからのSO --の溶出試験
(1)溶出方法
試験に用いたシリカゾル配合液を表18に示す。また、表18のシリカゾルによる固結豊浦砂を表19に示す。φ6.8cm、L12.7cm(容積430cm)のポリプロピレン容器に約φ5×h10cmの表18、表19によるホモゲルまたはサンドゲルを入れ、それに水200mLを注水して、ゲル中の硫酸イオンが地下水に拡散あるいは地下水が流動している場合を想定して、定期的に水交換して、1,3,7,28,60日経過時に水のSO --を測定した。水交換は、1日目、3日目、7日目、28日目とし、SO --濃度測定後に行った。
(2)試験結果
シリカゾルグラウトは、地盤中に注入した場合、ゲル中のNaイオンとSO --は地下水中に短期間のうちに溶出してしまい、不溶性のシリカ分のみでゲルとして残る。
地下水中に溶出したSO --は、地下水中に拡散されて短期間のうちに消滅するとみなしてよい(図15、表20)。
実験によれば、ほぼ1日で40%のSO --が溶出し(ゲル中残存率ほぼ60%)、1ヶ月で85%が溶出し(ゲル中残存率ほぼ15%)、2ケ月でほぼ100%が溶出する(ゲル中残存率ほぼ0%)。以上において、注入地盤中において注入液中に含有する硫酸イオン濃度よりも注入した地盤中における硫酸イオンが低減する要因を(Y)とすると、(Y)は硫酸イオンのゲルからの溶出率(α)とゲル中の硫酸イオンの残存率(=△)にかかわることが判る(△=1-α)。
Figure 0007390081000018
Figure 0007390081000019
Figure 0007390081000020
[注入地盤における非アルカリシリカグラウトのコンクリートに対する影響]
水ガラスグラウトの劣化要因となるアルカリを酸性中和剤で除去した非アルカリシリカグラウトには、酸性中和剤として、(1)硫酸、(2)リン酸、(3)硫酸とリン酸の混酸、(4)非硫酸系酸、(5)非硫酸系酸性塩、(6)上記(1)~(5)のいずれかの併用、が用いられる(表21~表23)。
上述したように、硫酸イオンは、数か月内に養生水中に溶出して、ほぼ一定値になると思われる(図16)。実際の現場では、固結物に対して地下水が極めて多く、地下水が流動して希釈される場合は、溶出と拡散の速度は早くなると思われるが、その希釈速度やSO --のゲル中残存率は、地盤条件や地下水条件や注入領域の大きさ等が影響することを考慮する必要がある。従って、希釈を伴わない場合でも、モルタル供試体にほとんど影響を生じないシリカグラウトの検討が有効となる。それが、金属イオン封鎖剤を含有する非アルカリシリカグラウトの適用である。
Figure 0007390081000021
Figure 0007390081000022
Figure 0007390081000023
表17(a)のモルタル供試体を同体積の金属イオン封鎖剤を含有する非アルカリシリカのゲル中に養生して(図17)、コンクリート表面に析出した被膜に関して、外観観察を行った結果、いずれの注入材においてもモルタル表面に白色の被膜が形成されていることを確認した(図18、図19)。そこで、比較のために、同様の条件でII(非硫酸系・リン酸系、表21、No.2)、IIα(硫酸・リン酸系、表21、No.3)およびIIδ(硫酸系、表21、No.1)の非アルカリシリカに養生したモルタル供試体の被膜を採取し、その成分を蛍光X線法にて、結晶構造をX線回折法にて測定を行った(図24、表24)。
表24に被膜成分を、図24にX線回折チャートを示す。これらの測定結果より、モルタル表面の被膜は、IIでハイドロキシアパタイト、IIαではハイドロキシアパタイトやリン酸カルシウム、IIδではカルサイトやヴァテライトであると思われる。
Figure 0007390081000024
なお、これらのII、IIαの被覆は、被膜形成は金属イオン封鎖剤によってなされるものであり、特に、リン酸、リン酸ソーダやヘキサメタリン酸ソーダ、リン酸塩が顕著である。また、クエン酸やコハク酸等の有機酸や有機酸塩も効果的である。図26に、ヘキサメタリン酸ソーダの例として、金属イオン封鎖剤の機能を示す。金属イオン封鎖剤を含む非アルカリシリカグラウトは、モルタル表面に存在するカルシウムやマグネシウムのイオンとキレート結合することにより不動態化するとともに、注入材に含まれるシリカと反応し、モルタル内からのCaイオンの溶出を抑え、外部からの硫酸イオンの侵入を抑える難溶性の被膜を形成するものと考えられる(図27)。
(金属イオン封鎖剤を含む非アルカリシリカグラウトのゲル中のモルタル供試体の強度試験)
表26のモルタルを、表23に示す金属イオン封鎖剤を含む非アルカリシリカグラウトを図18の養生方法で16年養生した養生試験の状況を図18、図19に、その間の養生水のpHと強度比を図20に、それぞれ示した。モルタル供試体を養生した蒸留水のpHは12付近であるが、硫酸塩水溶液中で崩壊する場合のpHは13以上となり、モルタル中のアルカリが溶出していることが判る。それに対して、金属イオン封鎖剤を含む非アルカリシリカにより被覆されている場合、pHはほぼ中性値を保っている。この結果より、上記シリカはモルタル中のアルカリの溶出を遮断(中性化を抑制)するとともに、モルタル内部への硫酸イオンの侵入を防いでいると考えられる。以上より、金属イオン封鎖剤の機能が確認された(図17~図20、図21~図25)。
(モルタル供試体を金属イオン封鎖剤含有シリカグラウトの同体積のサンドゲル中に包み硫酸系シリカグラウトのサンドゲル中に養生した場合の金属イオン封鎖剤の効果)
図26(a)に示すように、表17(a)のモルタルを表27の△印の金属イオン封鎖剤を含む表25(a)のシリカグラウトのサンドゲルで包み、それを表27の〇印の硫酸系シリカグラウトのホモゲル内で養生した(図26(b))。6ヶ月後にホモゲル、サンドゲルを解体して(図26(c))、モルタルを観察したところ、変化はなく、表面には、上記金属イオン封鎖剤を含むシリカ(マスキングシリカ)による白色被覆が形成されて(図26(d))、モルタルに変状は見られなかった。モルタル表面にフェノールフタレインを噴霧しても赤色反応を生じず、さらにモルタルに傷を付けて(図26(d))フェノールフタレインを噴霧したところ、傷部のみがコンクリート内部のアルカリを示す赤色反応を呈した。また、取り出したモルタル供試体を水に浸漬したところ、養生水のpHは中性付近を呈した。このことから、マスキングシリカ層が硫酸イオンのモルタル内部への侵入を防ぐとともに、モルタル供試体内部からのアルカリの溶出を防いでいることが判った。
Figure 0007390081000025
Figure 0007390081000026
Figure 0007390081000027
以下に、地盤条件、地下水条件、注入設計による硫酸イオンの挙動について説明する。
(A)開放系:注入地盤中のゲル化物から注入範囲外へ容易に溶出する場合、地下水がコンクリート構造物よりも外方向に流れている場合。例えば、海岸や河川が近く、その方向に流れている場合、潮の干満で地下水位が変動している場合、動水勾配が外側方向である場合、または、砂礫等、透水性の大きい地盤の場合には、硫酸イオンは比較的短期間、1~2ヶ月以内に低減する。本発明者らの室内実験によれば、1~2ヶ月以内に硫酸イオンはほとんど全量拡散する(図15、表21の1、図16、表15)。最終的には、自然界の硫酸イオン濃度に収斂するとみてよい。従って、表1の硫酸系を用いても、注入地盤中のSOイオンは短期間に低減しやすい。しかし、実際の現場では、硫酸イオンの溶出速度は地盤条件、地下水要件、固結範囲の大きさが影響すると思われるため、これらの条件等が不明確な場合、表21の2、3、または1、2、3と4、5の併用を用いるのが望ましい。また、後述するように、表1の注入率のうちの懸濁型カルシウム含有一次注入材の注入率を増やして、硫酸イオン含有シリカグラウトの二次注入率を低減すると同時にカルシウムによる硫酸イオンの固定を図ることができる。なお、薬液注入地盤において、注入領域から10m離れた位置の検査孔における水質変化は通常1~2ヶ月でほぼ一定になるところから、注入地盤におけるゲルからの反応生成物の濃度は、通常1~2ヶ月で拡散によってほぼ一定になるとみなしてよい。従って、図15、図16より1/10以下になるとみなしてよい。
(B)停滞系(滞留系):地下水流がほとんどなく、停滞している場合、この領域のSOイオンは遅かれ早かれ、イオン濃度の勾配が低い方向、すなわち、注入範囲外への方向に移動して、希釈され、最終的には影響のない濃度まで低減するものの、その溶出速度は不明である。この場合、表21の2、3か表21の1、2、3と表24のE、Fの併用系を用いるのが好ましい。これによって、コンクリートに影響のない濃度まで希釈するまでの間、または、その後もコンクリートを保護することができる。または、硫酸イオンが希釈されなくても、そのままコンクリートを保護することができる。
(C)濃縮系:硫酸イオンの低減が生じず、むしろ濃縮する可能性が高い場合は、コンクリートの表面から浸透した硫酸イオンが乾燥濃縮を繰り返して濃縮される場合である。この場合は、表21の2または3や、表24のE、FやGの併用を用いることが好ましい。
また、コンクリートが高品質の場合、硫酸イオンは侵入せず問題を生じない(表17(b))。
(D)注入範囲内に非注入部分を設け、未固結部を残しておいて、硫酸イオンがその部分に拡散して全体の硫酸イオン濃度を低減する(図28)。
(E)注入範囲内地盤のカルシウム含有量または地盤にあらかじめ注入したカルシウム含有注入材によるカルシウム含有量によって、注入材中の硫酸イオンを硫酸カルシウムとして不動態化する。注入範囲内にカルシウム含有アルカリ注入領域を設けて、注入材中の硫酸イオンを硫酸カルシウムとして不動態化する。または、地盤中に含有するカルシウムと注入材中の硫酸イオンが硫酸カルシウムとなって不動態化することによって、硫酸イオン濃度を低減する。注入材の気中pH0は、地盤中に注入した場合、土のpHによってpHが中性方向に移行して、土中ゲルタイムGTSは短縮するが(図1、図2)、その他に土の成分、特に、注入対象地盤のCa含有量が大きく影響する。図30は、非アルカリシリカグラウトを注入した現場における実際の例を示す。このデータより、地盤中の硫酸イオンは施工完了後、最終的には硫酸イオンが低減し、その硫酸イオンの低減率は、例えば、表27と図31のSO --イオン20,000ppmの配合処方を用いる場合、シリカグラウトでCaイオンが10,000ppmの場合、ほぼ硫酸イオン濃度は半減、または1/3に減るとみなすことができる。
(F)コンクリート構造物の周辺に表21の2、3、4、5を注入して、コンクリートへの侵入を防ぎ、硫酸イオンを不動態化する(図28)。
また、金属イオン封鎖剤のうち、特に、ヘキサメタリン酸ソーダを含む非アルカリシリカでは、ゲル化物からの硫酸イオンの溶出量が初期において極めて少なく、用いた硫酸イオン濃度の30%である。このため、コンクリートの保護機能が極めて高い。この理由は、コンクリート表面に形成されたカルシウムと結合したハイドロキシアパタイトの強固な構造の中に、SO --イオンが取り込まれたものと推察される。
なお、上記における地下水状況は、以下のようにして把握することができる。注入地盤に設けた注入孔と注入領域や注入領域より離れた位置に設けた観測井戸から注入液或いは検出液を採取して、地下水中の注入液の成分やpHを分析して、溶出の有無、溶出速度や希釈の程度を推定できる。例えば、注入孔から染料や電解質等の検出液を注入して、注入領域から離れた観測井戸から地下水を採取して、導電率や濃度を測定して検出したり、また、潮の干満による、地盤中の地下水位の変動で判断できる。また、コンクリート構造物内部に漏出した漏出水を分析することによっても判断できる。このように拡散速度や希釈速度や希釈度を知るために、電気伝導度の測定やpH測定をセンサーとして使用できる。図29は、シリカ溶液の濃度と導電率の関係を示す。注入孔からシリカ溶液を注入して、観測井の採取液から導電率を測定して、地下水状況や希釈状況を把握できる。もちろん、過去の実績からも判断することができる。
また、上記において地盤改良領域の硫酸イオン濃度は、硫酸イオン含有注入液の注入率が減少することによって低減するのみならず、硫酸イオンがカルシウムによって硫酸カルシウムとして捕捉(固定)されることによっても低減する。
さらに、同様に一次注入においてカルシウム含有グラウトとして懸濁型グラウトを用いる場合も、地盤改良領域の硫酸イオン濃度は、全注入率から一次注入材の注入率を除いた硫酸イオン含有注入材による二次注入材の注入率が低減したことによる硫酸イオンの低減の他に、二次注入材の硫酸イオンが一次注入材のカルシウムによって捕捉(固定)されることによっても低減される(表15、△3,4,6,7)。
以下に具体例を示す。
注入目的に対応できるシリカグラウトとして、SiO濃度6w/vol%の配合を用いるとする。W≧X=A×a×Y(=△)とし、地盤条件、地下水条件を考慮して、W=5,000ppmとなる注入材の配合設計を行ったうえで、実施例1~10において、表3~14、図9~図14から、地盤中における硫酸イオンの濃度がコンクリートに影響を生じない濃度の範囲になるようにA液B液のインバータを制御して注入前に作液したA液B液の比率(=β)を連続的に可変してゲルタイムと硫酸イオン濃度とインバータによるβ=A/Bの値の変化とそれに対応した地盤中において生成する硫酸イオン濃度を確認しておくことにより、実際の注入時においてリアルタイムで地盤中のゲルタイムと硫酸イオンの濃度を把握することができ、従って地盤中に生成される硫酸イオン濃度(X)がコンクリートに対して問題を生ずるW以内に収まるように注入管理することができる。
硫酸イオンの低減要因Y(=△)とし、図15、図16より、硫酸イオン濃度は1年以内に10倍に希釈されるとみなせば、硫酸イオンの90%溶出することになり(溶出率=α=0.9)、硫酸イオンの残存率△2=1-0.9=0.1となる。図31の1の曲線で、表27の〇印の配合、硫酸イオン濃度21,000~28,000ppmを用いて、地盤中の硫酸イオンはX=a×0.4×0.1=872~1,120ppmとなり、W≧X=872~1,120ppmとなり、問題ない。また、粘性土がある地盤で安全をみて△2=0.3とすると、
X=A×a×Y(=△2(=0.3))=0.4×(21,000~28,000ppm)×0.3=2,520~3,360ppmとなる。(aは注入液中の硫酸イオン濃度)
従って、図31の曲線1の範囲、および、表27の〇印の配合を用いればよいことがわかる。また、適用条件が表24のBまたはCの場合、すなわち、注入地盤が停滞状態または濃縮状態の場合は、図31の曲線3の配合(表27×印)を用いるか、安全を考慮して、曲線4の配合(表27△印)の配合を用いてβ=A/Bのインバータ管理を行って所定のゲルタイムと反応生成物(硫酸イオン)濃度を管理することができる。
上述したように、注入目的および施工法、地盤条件から注入設計に用いようとする配合処方がコンクリートに対して安全である設計が可能になり、定量的注入設計により環境負荷を低減した地盤注入が可能になる。
次に、X=5,000ppmとなる硫酸イオン濃度aのシリカグラウトを算出する。通常、水ガラスのシリカ濃度が1~50w/wt%の場合、硫酸単独で非アルカリ領域にする場合、硫酸イオン濃度が50,000~5,000ppm必要である。従って、50,000~5,000ppmで注入地盤の硫酸イオン濃度Xは、地下水が停滞下では、注入率t=0.4とすれば、20,000~2,000ppmとなる。この値を5,000ppm以下にするためには、水ガラスのシリカ濃度の半分をコロイドで置き換えれば、注入液の硫酸イオン濃度は半分(△5=0.5)となり、注入地盤の硫酸イオン濃度(X)は10,000~1,000ppmとなる。また、注入液の硫酸イオン濃度の半分をリン酸やクエン酸、コハク酸、AlCl、FeCl等の非硫酸系で置き換えれば(△4=0.5)、注入地盤の硫酸イオンは10,000~1,000ppmとなる。上記を併用すれば(△4=0.5、△5=0.5)注入地盤の硫酸イオンは5,000~500ppm≦Wとなる。なお、さらに上記において地下水で1/10に希釈されるとすれば、注入率A=0.4とすれば硫酸イオン濃度は2,000~200ppm<Wとなる。
このように、硫酸の一部をリン酸等の無機酸や有機酸、AlCl、FeCl等の無機塩または有機物の酸性を呈する塩で置換えればよいことが判る。また、金属イオン封鎖剤を用いれば、前述したように、硫酸イオンを低減しなくてもコンクリートを保護できる。
また、一例として、地盤条件が開放系で注入率45%とし、そのうち10%を懸濁系のセメントベントナイト(CB)を一次注入の注入率として、二次注入としての、硫酸系シリカグラウトの注入率を低減した。同現場でCBが脈状に正常に固結していた。この場合、注入率A(=0.45)のうち0.1を一次注入材(CB)、0.35を二次注入材(シリカゾルグラウト)とした。使用したシリカゾルグラウトの反応剤は、硫酸イオン単独で(表1のNo.1)注入液の配合は、表27の〇印、図31の1ライン、ゲルタイム約1,000分、硫酸イオン含有量25,000ppmのシリカグラウトの注入である。注入率A=45%とし、CB:シリカゾルグラウトの注入率をそれぞれ10%、35%とした。一次注入(CB)の注入率0.1、二次注入(シリカゾルグラウト)の注入率を0.35とすれば、地盤中の硫酸イオン濃度X=25,000×0.35=8,750ppmとなる。地下水で10倍に希釈されて硫酸イオンの溶出率α=0.9となり、従って、地盤中の硫酸イオンの残存率は△=1-0.9=0.1となる。従って、注入地盤の硫酸イオン濃度X=8,750×0.1=875<W、となる。または、一次注入材の注入により透水性が低下して硫酸イオンの溶出率α=0.5となり、従って、注入地盤の硫酸イオンの残存率を△=1-0.5=0.5とすれば、X=8,750×0.5=4,375<Wとなる。以上より、一次注入材を注入して硫酸系シリカグラウトを地盤に注入して硫酸イオンの地盤中の濃度がW=5,000ppm以内になるように地盤状況に対応して溶出率を想定して、一次注入材の注入率を設定すればよいことが判る。同様のことを、カルシウムシリケート系やスラグ系等の懸濁型グラウトやカルシウム系グラウトまたはカルシウム含有の溶液型注入材を一次注入材として用いて行うことができる。また、一次注入でセメントグラウトや石灰やスラグ等のカルシウム含有材を注入すれば、注入液の注入率0.4のうち、0.1(α=0.1、表15)を一次注入材として注入すると、シリカグラウトの注入率は0.3となる。さらに、セメントや石灰やスラグのCa分と硫酸イオンが反応して、注入率0.4のうちの0.1の硫酸イオンがCaSOとして固定される(α=0.1、表15)と想定すると、地盤中の硫酸イオン濃度の残存率△3=0.2となる。従って、X=25,000×0.2=5,000ppmである。従って、25,000ppmのシリカグラウトを注入すると、地盤の硫酸イオンはX=5,000≦Wとなる。なお、Caを含有する地盤に注入する場合のCaイオンによる硫酸イオンの固定率は、硫酸系注入液をCaイオン含有土と混合して予測することができる。以上の値からβ=A/BをWの範囲内になるようにゲルタイムと硫酸イオンの生成濃度になるようにA液B液のインバータを管理すれば、注入目的と環境負荷の少ない地盤注入工法が可能になる。
また、図28に示すように、地盤改良領域2を、例えば、未改良部分3と改良部分4とが等しくなるように区切ることで、硫酸イオンを未改良部分に拡散させ、5000ppm以下とすることもできる(△1=0.5)。また、図28の未改良部分3に非硫酸系シリカ溶液を注入してもよい(△4)。例えば、水ガラス-重ソー系のアルカリ系水ガラスグラウトやその他の水ガラス-無機塩、無機酸、有機系反応剤等を未改良領域に注入してもよい(図28(a)(b)(c)(d))。この場合、アルカリ系水ガラスグラウトは、アルカリ領域で未反応水ガラスやアルカリが残存しているため耐久性はないが、周辺部の過剰の酸がゲル中に侵入してアルカリを中和して、耐久性を向上することができる。この場合、非硫酸系注入材の注入部分に注入されるアルカリ系水ガラスグラウトのアルカリ分の量が、注入部分周辺の酸性シリカグラウトの酸分の量と同じかまたは少ないことが好ましい。なぜならば、アルカリ分が多ければ、酸性シリカのゲルを劣化する恐れがあるからである。これを確認するにはアルカリ系水ガラスグラウトのゲルを同体積の酸性シリカグラウトのサンドゲルで包んだ後、アルカリ系水ガラスグラウトのサンドゲルの強度が増加することを確認すればよい。
すなわち、例えば、地盤改良領域を、硫酸系注入材とともにアルカリ系グラウト、カルシウム含有グラウトまたは懸濁型グラウトのいずれかまたは複数の非硫酸系注入材を併用して注入するものとし、アルカリ系グラウト、カルシウム含有グラウトまたは懸濁型グラウトの注入率をA1とし、酸性シリカグラウトの注入率をA2とする。アルカリ系グラウトを用いる場合は、アルカリが酸性シリカグラウトの酸により中和されることによって、アルカリ系グラウトの耐久性が得られるものとし、酸性シリカグラウトの注入率A2において硫酸イオンが構造物に影響を生じないと想定される注入率になるように設定する。また、非硫酸系注入材として、カルシウム含有グラウトまたは懸濁型グラウトを用いる場合は、注入率A1を、酸性シリカグラウトの注入率A2において硫酸イオンが構造物に影響を生じないと想定される注入率となるように設定する。これにより、地盤改良領域の耐久性が得られるものとすることができる。
また、上記において地盤改良領域の硫酸イオン濃度は、硫酸イオン含有注入液の注入率が減少することによって低減するのみならず、硫酸イオンがカルシウムによって硫酸カルシウムとして捕捉(固定)されることによっても低減する。
さらに、同様に一次注入においてカルシウム含有グラウトとして懸濁型グラウトを用いる場合も、地盤改良領域の硫酸イオン濃度は、全注入率から一次注入材の注入率を除いた硫酸イオン含有注入材による二次注入材の注入率が低減したことによる硫酸イオンの低減の他に、二次注入材の硫酸イオンが一次注入材のカルシウムによって捕捉(固定)されることによっても低減される(表15、△3,4,6,7)。
以上より、本発明においては、コンクリートに影響を与えない地盤改良領域全体の硫酸イオン濃度の平均Xの値をW以下であるとすると、Wは8,000ppm以下または5,000ppm以下とし、或いは、このWの値は地盤条件、地下水条件、コンクリート構造物の構造と位置関係、水質条件、土質条件または実績等によって定めることができる。また、地盤改良領域の硫酸系非アルカリシリカ注入材が注入されていない領域に、アルカリ性シリカ注入材またはリン酸系注入材のように金属イオン封鎖材を含む注入材やカルシウムやセメント、スラグを含むアルカリ性懸濁液を注入することもでき、さらに、硫酸系非アルカリ性シリカ注入材はリン酸化合物または金属封鎖剤を含んでもよく、さらにまた、硫酸系非アルカリ性シリカ注入材に用いられるシリカ化合物は、水ガラスおよび/またはシリカコロイドを有効成分とするpHが1~10のシリカグラウトからなるものとする。また、地盤改良領域内のコンクリート構造物の周辺部について、下記(1)~(5)のうちのいずれかまたは複数を併用することにより、地盤改良領域内の硫酸系の地盤注入材の硫酸イオン濃度を、コンクリート構造物に影響を及ぼさないと想定される濃度まで低減することもできる。これに対して前述のようにβ=A/Bの比率をインバータ管理すればよいことがわかる。
(1)水ガラス系注入材
(2)懸濁系注入材
(3)低硫酸化合物系注入材
(4)硫酸化合物系注入材および非硫酸化合物系注入材の併用
(5)リン酸化合物、金属イオン封鎖剤およびキレート剤のうちのいずれかまたは複数を含む注入材
本発明においては、シリカ濃度が1~40w/vol%、pHが1~10である非アルカリシリカグラウトを地盤注入材として注入して地盤改良領域を形成するにあたり、以下のような手順を用いることができる。すなわち、まず、地盤改良領域の地盤状況および地下水状況から、地盤内に溶出した硫酸イオンの地盤中における挙動に基づき、注入地盤を下記の(1)開放系、(2)停滞系または(3)濃縮系のいずれかに分類する。
(1)開放系:地下水が前記コンクリート構造物よりも外方向に流れており、硫酸イオン濃度が低減していく地盤
(2)停滞系:地下水流が停滞しており、硫酸イオン濃度がほとんど変化しない地盤
(3)濃縮系:硫酸イオンが前記コンクリート構造物の表面から浸透して濃縮され、硫酸イオン濃度が増大していく地盤
次に、分類された注入地盤のタイプに応じ、注入地盤における硫酸イオンの低減要因(Y)として、下記△1~△7のうちから選ばれるいずれかまたは複数を設定する。
△1:地盤改良領域内に非注入部分を設け、非注入部分の比率を硫酸イオンの溶出率αとしたときの、改良地盤中における硫酸イオンの残存率 △1=1-α
△2:地下水中に硫酸イオンが溶出する溶出率をαとしたときの、地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △2=1-α
△3:地盤改良領域内における硫酸イオンの固定率を溶出率αとしたときの、地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △3=1-α
△4:地盤改良領域内における非硫酸系注入材、または、低硫酸系注入材による硫酸系注入材の硫酸イオンの置換率を溶出率αとしたとき、地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △4=1-α
△5:地盤注入材中のシリカ成分のコロイドによる置換率を溶出率αとしたとき、地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △5=1-α
△6:地盤注入材中において硫酸イオンの一部または全部を捕捉し、その捕捉率を溶出率αとしたとき、地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △6=1-α
△7:地盤改良領域内の前記地盤注入材の注入率を低減し、注入率の低減率を溶出率αとしたとき、地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △7=1-α
次に、注入地盤に応じて設定された上記低減要因(Y)に基づき、地盤注入材として、地盤注入材由来の硫酸イオンの濃度が、地盤改良領域内で環境に影響を及ぼさない程度の硫酸イオンの濃度である、地盤改良領域に残存する硫酸イオン濃度の平均値(X)の値が8,000ppm以下になるような濃度とされ、かつ、地盤状況に対して注入目的を満たすシリカ濃度および適用する施工法に適合した配合処方からなるものを選択する。
以上は、反応生成物として硫酸イオンの例を示した。環境保全性の影響からリン酸イオン濃度の許容範囲を設定する場合も同様である。また、上記において硫酸イオン濃度W=8000ppmとしたが、状況に応じてもっとシビアにしても同様にβ=A/Bを管理することができるのはもちろんである。また、本発明において、図5のシステムを用いてA液の水ガラス量とB液の水ガラス量を同量にすれば、A液・B液の比率を可変してもA液・B液の合流液の水ガラス量は変わらないので、ゲルタイムを可変としながら、強度は一定に保つことができる。また、B液の水ガラス量をA液の水ガラス量と異なる量にすれば、ゲルタイムを可変としながら強度も地盤状況と注入目的に合わせて変動することができる。このように本発明はインバータ制御によって、ゲルタイムや強度を連続的に可変して、かつ改良地盤中に環境負荷の少ない反応生成物の濃度、または組成分の濃度になるように管理することができる発明である。
また、その他の水質基準或いは組成分濃度が土壌環境基準の場合も同様に可能である。例えば、A液として環境基準値よりも多い重金属や反応生成物やBODやCODを過大に生ずる有機物などの組成分の濃度が問題の場合、水質基準に影響するそのイオン濃度や組成分濃度が問題の場合は、B液として水または不溶化材を用いればよい。B液として水の場合はA液を薄めることによって、A・B合流液の問題イオン濃度を許容範囲に管理することができる。また、本出願人による特許発明(特許文献4)において、地熱水由来のシリカ等A液に重金属等の組成分が含有されている場合、B液として不溶化材を用いることにより、A液B液の比率の制御することにより、環境基準内におさめることができる。また、水ガラスを以下の有機反応剤を用いてゲル化させる場合、それぞれの有機反応剤はアルカリの存在のもとにグリコール酸、酢酸、炭酸を生じ、それが水ガラスのアルカリと反応してケイ酸ゲルを生成する。
この場合、水質規準、環境基準において、COD、BODの基準値がある場合は、A液として水ガラス、B液として有機反応剤を組成分として用いる場合、A・B合流液のBOD、CODが改良地盤内において基準内におさまるようにA液・B液の流量をインバータ制御によって管理することができる。
1,1’,1” 配合液配合装置
2,2’,2” 注入ポンプ
3 多重管外管
3’ 多重管内管
4,4’,4” 送液管
5,5’,5” 圧力測定器
6,6’,6” 流量測定器
7 昇降機
7’ 注入管深度計
8 コントローラ
9 内管から注入管先端部への流入部
9’ 注入管先端部
10,10’,10” 圧力計からコントローラへの情報通知回路
11,11’,11” 流量計からコントローラへの情報通知回路
12 注入深度計からコントローラへの情報通知回路
13,13’,13” コントローラから注入ポンプへの指示回路
14 注入材組み合わせ調整装置
15 コントローラから注入材組み合わせ調整装置への指示回路
16 コントローラから昇降機への指示回路
17,17’,17” コントローラから配合液配合装置への指示回路
A 急結用反応配合液
B 主材配合液
C 反応剤配合液

Claims (12)

  1. 地盤中に挿入した注入管を通してシリカグラウトを注入する地盤注入工法において、A液とB液を該注入管を通して地上合流または地中合流させた合流液を地盤に注入する地盤注入工法であって、
    前記A液は水ガラス溶液であって、前記B液は反応剤と水とからなる溶液であって、該A液とB液をそれぞれA液ポンプとB液ポンプで送液する複数の駆動装置とインバータと該複数の駆動装置を一括管理する制御装置とを用いて、前記インバータを制御して、地盤状況に応じて前記A液と前記B液の流量と合流比率を瞬結配合から緩結配合に連続的に可変制御することによって、ゲルタイムおよび前記A液と前記B液の合流液の反応生成物の濃度を連続的に変化させて、前記反応剤を過大な量で処方することなく、ゲルタイムの設定に必要な量となる合流比率で注入することによって、地盤改良領域における該反応生成物の濃度をゲルタイムの設定に必要な所定の濃度内にして地盤を固結させることを特徴とする地盤注入工法。
  2. ゲルタイムおよび前記A液と前記B液の合流液の反応生成物のイオン濃度を連続的に変化させて、ゲルタイムおよび反応生成物のイオン濃度をリアルタイムで可視化し、前記反応剤を過大な量で処方することなく、該反応生成物のイオン濃度をゲルタイムの設定に必要な所定の濃度内にして地盤を固結させる請求項1記載の地盤注入工法。
  3. A液とB液との合流液であって、シリカ濃度が1~40w/vol%、pHが1~10である非アルカリシリカグラウトを地盤に注入する地盤注入工法であって、
    前記B液が酸を含む溶液であって、前記A液とB液の流量と合流比率を瞬結配合から緩結配合に連続的にゲルタイムに対応したpHおよびシリカ濃度にして、
    ゲルタイムおよび前記A液と前記B液の合流液の反応生成物のイオン濃度を連続的に変化させて、ゲルタイムおよび反応生成物のイオン濃度をリアルタイムで可視化し、前記反応剤を過大な量で処方することなく、ゲルタイムの設定に必要な所定の限度内となる合流比率で注入することによって、地盤を固結させる請求項1記載の地盤注入工法。
  4. あらかじめ前記A液と前記B液の合流比率の連続的変化に対するゲルタイムおよび前記反応生成物のイオン濃度の変化の関係を把握しておくことにより、地盤改良領域における該反応生成物のイオン濃度をゲルタイムの設定に必要な所定の濃度内に管理して地盤を固結する請求項1記載の地盤注入工法。
  5. あらかじめ前記A液と前記B液の流量と合流比率をインバータにより制御して、該A液と該B液の流量と合流比率の連続的変化に対するゲルタイムおよび前記反応生成物の濃度を把握しておくことにより、改良地盤中における該反応生成物の濃度が所定の濃度内におさまっているか否かをリアルタイムで把握して地盤中に注入する請求項1記載の地盤注入工法。
  6. 地盤中における前記反応生成物の濃度として、地盤改良領域の地盤状況および地下水状況から、地盤中の該反応生成物の残存イオン濃度が所定の濃度となるように該A液と該B液の流量と合流比率を設定して、改良地盤中における該反応生成物の濃度を所定の濃度内にして地盤を固結させる請求項1記載の地盤注入工法。
  7. シリカ濃度が1~40w/vol%、pHが1~10である非アルカリシリカグラウトを地盤注入材として注入して地盤改良領域を形成するにあたり、
    前記地盤改良領域の地盤状況および地下水状況から、地盤内に溶出した硫酸イオンの該地盤中における挙動に基づき、注入地盤を下記の(1)開放系、(2)停滞系または(3)濃縮系のいずれかに分類し、
    (1)開放系:地下水が前記コンクリート構造物よりも外方向に流れており、硫酸イオン濃度が低減していく地盤
    (2)停滞系:地下水流が停滞しており、硫酸イオン濃度がほとんど変化しない地盤
    (3)濃縮系:硫酸イオンが前記コンクリート構造物の表面から浸透して濃縮され、硫酸イオン濃度が増大していく地盤
    前記分類された注入地盤のタイプに応じ、該注入地盤における硫酸イオンの低減要因(Y)として、下記△1~△7のうちから選ばれるいずれかまたは複数を設定し、
    △1:前記地盤改良領域内に非注入部分を設け、非注入部分の比率を硫酸イオンの溶出率αとしたときの、改良地盤中における硫酸イオンの残存率 △1=1-α
    △2:地下水中に硫酸イオンが溶出する溶出率をαとしたときの、前記地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △2=1-α
    △3:前記地盤改良領域内における硫酸イオンの固定率を溶出率αとしたときの、該地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △3=1-α
    △4:前記地盤改良領域内における非硫酸系注入材、または、低硫酸系注入材による硫酸系注入材の硫酸イオンの置換率を溶出率αとしたとき、該地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △4=1-α
    △5:前記地盤注入材中のシリカ成分のコロイドによる置換率を溶出率αとしたとき、前記地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △5=1-α
    △6:前記地盤注入材中において硫酸イオンの一部または全部を捕捉し、その捕捉率を溶出率αとしたとき、前記地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △6=1-α
    △7:前記地盤改良領域内の前記地盤注入材の注入率を低減し、該注入率の低減率を溶出率αとしたとき、該地盤改良領域内における硫酸イオンの残存率 △7=1-α
    前記注入地盤に応じて設定された前記低減要因(Y)に基づき、
    前記地盤注入材として、前記非アルカリシリカグラウト由来の硫酸イオンが、前記地盤改良領域に残存する硫酸イオン濃度の平均値(X)の値で8,000ppm以下になるような反応剤配合処方からなるものを選択する請求項1記載の地盤注入工法。
  8. 前記A液と前記B液の合流比率を連続的に変化させることにより、ゲルタイムおよび改
    良地盤中における前記反応生成物の濃度が、地盤状況、地下水状況および注入設計に応じて所定の値となるように注入液を注入する請求項1記載の地盤注入工法。
  9. 前記シリカグラウトとして、相対的にゲルタイムの短いグラウトと相対的にゲルタイムの長いグラウトを連続して地盤に注入するものとし、前記ゲルタイムの短いグラウトは地盤に粗結注入する一次注入材として注入し、前記ゲルタイムの長いグラウトは2次注入材として浸透注入する請求項1記載の地盤注入工法。
  10. 連続的にゲルタイムを変化させながら、同一シリカ濃度の前記シリカグラウトを用いる請求項1記載の地盤注入工法。
  11. 連続的にゲルタイムを変化させながら、地盤状況に対応したゲルタイムとシリカ濃度が得られる前記シリカグラウトを注入する請求項1記載の地盤注入工法。
  12. 以下の1)~8)のいずれかの注入方法により、前記A液と前記B液の合流液を地盤に注入する請求項1記載の地盤注入工法。
    1)ロッド注入工法
    2)ダブルパッカ工法
    3)点注入工法
    4)多点同時注入工法
    5)柱状注入工法
    6)瞬結・緩結複合注入工法
    7)多ステージ同時注入工法
    8)多注入孔同時注入工法
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