JP2006226014A - 地盤注入工法 - Google Patents

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俊介 島田
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麗 寺島
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Abstract

【課題】地盤中に注入材を注入しても、地下における浸透水圧下であっても長期に渡り止水性と強度を保持する地盤注入工法を得る。
【解決手段】前記地盤注入工法はシリカコロイドを有効成分とするシリカグラウト、あるいは、シリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトと、微粒子セメントおよび/または微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材との併用物を地盤中に注入し、これにより、前記シリカグラウトや併用物が地下における浸透圧下であっても、長期に渡り止水性と強度を保持することから構成される。
【選択図】なし

Description

本発明は特定のシリカグラウトを地盤中に注入し、あるいは特定のシリカグラウトと、特定の懸濁型地盤注入材とを併用して地盤中に注入し、シリカグラウトあるいは併用物が地下における浸透水圧下であっても長期に渡り止水性と強度を保持する地盤注入工法に関する。
高浸透水圧下におけるトンネル掘削工事、あるいは大深度地下開発等では、グラウト注入に際して、強度と止水効果に優れた地盤注入が求められる。特に、高水圧下における掘削工事や大深度地下開発が長期間にわたる場合、長期の止水性および長期の強度耐久性が要求される。これらの問題が解決されれば、被圧下における掘削工事の安全性のみならず、周辺地盤の地下水位の低下や地盤変異が抑えられ、さらに、本設後の漏水等の補修費が低減される。
これら地盤改良に用いられるグラウトとして、従来、水ガラスを原料とした種々の溶液型シリカグラウトが知られている。例えば、水ガラス系アルカリ性グラウト、酸性シリカゾルを主成分としたグラウト、水ガラスを陽イオン交換樹脂またはイオン交換樹脂膜で処理して得られる活性シリカを主成分としたグラウト、活性シリカを濃縮増粒してPHが9〜10の弱アルカリ性で安定したシリカコロイド等である。
しかし、上述の溶液型シリカグラウトでは、土粒子間のゲル、またはゲルを構成するシリカ成分が水圧で押し出されてしまい、止水性や長期耐久性が低減する。このため、溶液型シリカグラウトに代えて、セメント系の懸濁型注入材が用いられているが、懸濁型注入材では粒子径が大きく、透水性の小さい地盤には不向きであった。したがって、浸透しやすく、ゲル化時間の調整が可能で、かつ、高浸透水圧下においてシリカの溶脱が少なく、長期の止水性と強度が得られる注入技術の開発が課題となっている。
特許第3205900号公報 特開2004−35584号公報
本発明の課題は特定の溶液型シリカグラウトを注入対象地盤に注入し、高水圧下でも確実に、高強度に固結し、かつ優れた止水効果を呈し、上述の公知技術に存する欠点を改良した地盤注入工法を提供することにある。
上述の課題を解決するため、本発明によれば、シリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトを地盤中に注入してなり、これにより、前記シリカグラウトが地下における浸透水圧下であっても、長期に渡り止水性と強度を保持することを特徴とする。
さらに、上述の課題を解決するため、本発明によれば、シリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトと、微粒子セメントおよび/または微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材とを併用して地盤中に注入してなり、これにより、前記併用物が地下における浸透水圧下であっても、長期に渡り止水性と強度を保持することを特徴とする。
本発明はシリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトを地盤中に注入し、あるいはシリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトと、微粒子セメントおよび/または微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材とを併用して地盤に注入するようにしたため、前記シリカグラウトあるいは併用物が地下における浸透水圧下であっても長期に渡り止水性と強度を保持する。
以下、本発明を具体的に詳述する。
本発明に用いられるシリカコロイドは活性シリカを濃縮増粒して弱アルカリ性に安定させてなるコロイドである。さらには、水ガラス、あるいは水ガラスと酸を混合してなる酸性水ガラスをイオン交換樹脂やイオン交換膜で処理して得られる活性シリカの重合体である活性シリカコロイド、この活性シリカコロイドに水ガラス、酸あるいは塩を加えてなるシリカコロイド等である。これらのシリカコロイドは10nm以上の粒径のシリカを含む。あるいは、これらのシリカコロイドは1nm以下から5nmの粒径が分布する活性シリカに、5nm以上、特に10nm以上の大きさの粒径が分布するシリカコロイドである。さらに、本発明に用いられるシリカコロイドは水ガラスや、酸や、塩と混合されたものである。
粒径が大きいシリカコロイドの場合、シリカ濃度の高い割には強度が低く、かつ、強度発現が遅いが、高水圧下でも長期間の耐水圧効果を有する。一方、粒径が小さいシリカコロイドの場合、シリカ濃度が薄くても強度発現と固結性に優れる。また、これらの混合物からなるシリカコロイドでは、特に、高浸透水圧下において、優れた止水性と強固な固結効果を確実に達成する。
さらに、本発明にかかる上述のシリカコロイドは反応性が高く、これをアルカリ性を呈する微粒子の懸濁液が注入された地盤に注入しても、アルカリ性の影響を受けにくく、高水圧下において、大きな固結性と止水性を同時に発現する。特に、本発明にかかるシリカコロイドは高浸透水圧下において、長期耐久性に優れた止水性と強固な固結性を達成し、注入対象地盤を確実に固結する。
本発明はさらに、上述のシリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトと、懸濁型地盤注入材とを併用して地盤中に注入する。この懸濁型地盤注入材は微粒子セメントを有効成分とする注入材、あるいは微粒子スラグおよびアルカリ材を有効成分とする注入材である。この併用物を地盤に注入することにより、地下における浸透水圧下であっても、長期に渡り止水性と強度を保持し、地盤を改良する。
上記において、あらかじめ微粒子セメントおよび/または微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材を地盤中に注入し、次いで、この注入された地盤にシリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトを注入し、地盤中で併用することもできる。また、該シリカグラウトを注入の後、該懸濁型注入材グラウトを注入する。該懸濁型注入材と該シリカグラウトを交互に複数回にわたり注入する、等により両者を地盤中で併用することもできる。
一般に、大深度地下開発は、用地取得費が不要であり、さらに、既存構造物に左右されずに開発できるという経済面・計画面でのメリットが大きいため、シールド技術を活用した様々な構造物の開発が見込まれている。とりわけ、長距離かつ多方向への建設が不可欠となるライフラインには40m〜100m下の大深度地下が最適とみられており、当面、電力・ガス用のライフラインの建設が先行すると予想される。
また、海底トンネルや火山堆積物中のトンネル掘削には100m〜200mの水圧に相当する被圧水下の掘削工事になることもある。これらは掘削工事に長期間かかるのみならず、工事完成後も高い水圧下にあり、高浸透圧水がトンネル内部に漏水する可能性がある。そこで、高被圧水下のトンネル掘削工事や大深度地下開発を目的とした恒久的地盤改良の際、掘削地盤には大きな土圧と水圧がかかり、かつ掘削工事は長期に及ぶため、できるだけ地盤を均一に高強度化してかつ長期にわたって止水効果と固結効果も得られることが必要である。また、耐久性に優れていることは注入後掘削工事までの長期化にも耐えることと工事完成後のメンテナンス、充填周辺地下水の低下を防ぐためにも必要である。
本発明におけるコロイド溶液(シリカコロイド)とは液状のアルカリ金属シリカ塩水溶液(水ガラス)からアルカリ金属イオンのほとんどを除去して得られるものであって、例えば、ゼオライト系陽イオン交換体、アンモニウム系イオン交換体のイオン交換樹脂に水ガラスを通過させ、生成したシリカコロイドを80℃〜90℃の温度でさらに水ガラスに加え、再び前記イオン交換樹脂に通過してイオン交換を行って得られるものであり、比較的純粋な(希薄な)シリカコロイド(活性シリカコロイド)が得られる。
さらに、純粋なシリカコロイドを得るには前述の希薄なシリカコロイドを微アルカリ性に調製し、これにさらに前述のシリカコロイドを加えながら蒸発し、安定化と濃縮を同時に行う方法、あるいはイオン交換後の活性シリカコロイドを適当なアルカリの下に加熱し、これにさらに活性シリカコロイドを加えて安定化する方法が用いられる。
これより、本発明におけるコロイド溶液は、単なる水ガラスグラウトや、水ガラスをイオン交換しただけの活性シリカを主剤とした活性シリカ系グラウト(粒径が5nm以下)に比べて粒径が大きい(粒径が5nmより大きく、通常10nm以上)。
本発明におけるシリカコロイド溶液はNaイオンがほとんど分離除去されているため、通常PHが10以下の弱アルカリ性を示しており、NaOは4%〜0.2%の範囲にある。NaOは4%以上になるとシリカコロイドは溶けてしまい、ケイ酸塩の水溶液となってしまう。一方、NaOが1%以下になるとシリカコロイドは安定して存在し得ず、凝集してしまう。
すなわち、NaOが4%〜0.2%の範囲でNaイオンがシリカコロイドの表面に分布して安定したコロイド状に保ち得る。この場合、シリカコロイドの粒径はほぼ6〜50nmが主となる。シリカコロイドの粒径が50nm以上になると沈殿してしまう。また、これはモル比でほぼ40〜80程度を示す。
このようにして調製されたシリカコロイドはほとんど中性に近く、かつ半永久的に安定しており、これを注入液として用いる場合、工場から現場への搬入ならびに注入操作の際にゲル化する心配がない。このシリカのコロイド溶液をそのまま地盤中に注入してもそれ自体実用時間内にゲル化することはないので実用上の固結効果は得られない。
しかるに、前記シリカのコロイド溶液にあらかじめ酸やNaClやKCl等一価のアルカリ金属塩や、アルカリ土類金属の水酸化物や塩のゲル化材を加えてこれらの混合物として地盤中に注入すると、シリカのコロイド溶液は地盤中で前記ゲル化材により不安定化されたコロイド粒子同士が結合し、強固な固結体を形成して地盤を固結する。また、さらにシリカコロイドに活性シリカや水ガラスを加えたり、さらに酸や塩を加えてもよい。
本発明者は以上の粒径の大きいシリカコロイドを用いて土を固化し、それに高水圧下で長期間透水試験を行ったところ、耐水圧性が長期間継続することを見出し、本発明を完成した。また、このシリカコロイドを2次注入材とし、1次注入材としてアルカリ性を呈する微粒子型懸濁液グラウトを併用すると、1次注入材との相互反応が起こりにくいため、止水性の低下が生ず、かつ大きな空隙を填充するため、その長期的止水性が大幅に向上することを見出した。このとき、2次注入材と1次注入材のアルカリとの反応性が少なく、劣化しにくい理由は、コロイドの粒径が大きく、比表面積が少ないためと思われる。
本発明における微粒子セメントを有効成分とする懸濁型地盤注入材とは、微粒子セメント、または微粒子セメントにベントナイト、微粒子スラグ、フライアッシュ、等の粉体の混合物、あるいはさらに、水ガラス、コロイダルシリカ、活性コロイダルシリカ、等の溶液型シリカを加えた混合液、またこれらに、KCl、NaCl、NHCO、KHCO等のアルカリ金属類、石灰やスラグやアルミニウム塩等の多価金属化合物、あるいは酸や塩等の反応材を組み合わせたものを混入したものをいう。
微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材とは、微粒子スラグにアルカリ材として、水ガラス、アルミン酸塩、消石灰、苛性ソーダ等のアルカリ性化合物あるいは、さらにコロイダルシリカ、活性コロイダルシリカ等を混入したものをいう。
従来、懸濁型地盤注入材(懸濁型グラウト)と水ガラス系地盤注入材(水ガラスグラウト)を併用する地盤注入工法として、スラグやセメントを主成分とする懸濁型グラウトを注入した地盤に、水ガラスを主成分とし、水ガラスのゲル化材として酸類、アルカリ金属塩類、有機アルデヒド、エステル類を用いたアルカリ性の溶液型水ガラスグラウトや、また、水ガラス中のアルカリを酸で中和した酸性水ガラスグラウトを重ね合わせて地盤中に注入する、いわゆる複合注入工法が知られている。
この複合注入工法は懸濁型グラウトが地盤中の粗い部分に浸透し、かつ、溶液型水ガラスグラウトが地盤中の細い部分に浸透し、前者が粗い部分を強固に填充固結するとともに、後者が細い部分に固結し、この結果、地盤全体を均一、高強度に固結せしめるものである。
ところが、微粒子型の懸濁グラウトと、これらの重炭酸ソーダや他の無機反応剤や有機反応剤を用いたアルカリ性の溶液型グラウトとを接触させると、接触面より微粒子型懸濁型グラウトのアルカリにより、アルカリ領域の溶液型シリカグラウトのゲルが短期に溶解してしまうことがわかった。
これはアルカリ領域の溶液型水ガラスグラウトは水ガラスのアルカリとともに未反応水ガラスがゲル中に多く含まれたままゲル化しているため、地盤中で微粒子懸濁液中のアルカリがさらに加わって水ガラスゲル中のシリカ分が溶解してしまうためと思われる。また、水ガラスと酸等を混合して作った酸性領域の水ガラスグラウト(酸性シリカゾル)はセメントグラウトと併用してもシリカは安定しているが、微粒子懸濁液と併用すると強い臭気を出して反応して酸性水ガラスのゲルは溶けてしまい、一方、微粒子懸濁液の固結は不十分となり、両者それぞれが十分な固結性を得られない。
これは微粒子懸濁液の比表面積が大きく反応性に優れているため、酸性シリカゾルの酸と微粒子懸濁液のアルカリとが強く反応し、両者の固結性を劣化せしめるためと思われる。したがって、これらを大深度地下掘削に用いた場合、水圧によってさらに止水性が低下しやすい。
このようにシリカの粒径は微粒子懸濁液と併用する場合、特に高水圧下においてそれぞれの反応性と耐久性に大きな影響をもつことが本発明者の研究で明らかになった。
地盤の高強度化は溶液系に比べてセメント系が優れていることは明らかである。しかるに、通常のポルトランドセメントでは粗い層にのみしか浸透せず、細かい層には浸透し得ない。このため、近年、比表面積が5000cm/g以上、さらに好ましくは8000cm/g以上、20000cm/gまでを有する微粒子セメントが用いられるようになってきたが、これでも細かい土粒子間には浸透し得ず、止水効果は不十分である。特に、高浸透水圧下では止水性は得られない。
本発明者は以上の問題を解決するために、溶液型のシリカグラウトの高浸透水圧下におけるコロイドの粒径の大きさの効果と、さらに、これらの溶液型シリカグラウトと微粒子懸濁液の反応性と固結物同士の相互耐久性と同時に、これらを別々に重ね合わせて注入固結した固結土の高水圧下における長期止水性と固結性について長期にわたる研究を続けることによって、粒径の大きなシリカコロイドの固結土は高浸透水圧下でも止水性が永続し、かつ、シリカコロイドが微粒子懸濁液と地盤中でほとんど反応を起こすことなく、正常に固結し、長期にわたって微粒子懸濁液のアルカリ存在下での耐久性のある地盤改良が可能であることがわかった。
シリカコロイドは粒径が6〜50nm、通常10〜20nmと大きい粒径のシリカコロイドを含むことにより、水圧に対しても押し出されない安定したゲルを形成するものと思われる。このため、微粒子懸濁液がかなり細かい部分まで強固に固結し、さらに細かい部分はシリカコロイドで浸透固結し、その境界面も、重ね合わせて浸透した部分においても化学的に安定しているところから、大深度の掘削工事目的や、高被圧水下のトンネル注入に適用しても長期間耐える固結効果と止水効果を、恒久的に同時に満たす本発明を完成した。
以下、本発明を実施例によって詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実験1
本発明が浸透水圧下にて固結強度の長期耐久性の効果を確かめるために、一例として、シリカコロイドを浸透水圧下にて養生し、この強度変化を観察した。
使用材料
1.砂
豊浦標準砂を使用。砂の密度は(ρs)は2.667g/cm
2.注入材
以下の表1に示した。
3.注入供試体
内径5cm×高さ10cm 透明アクリルモールド使用。
Figure 2006226014
実験方法
水ガラスイオンをイオン交換樹脂で脱アルカリして得られた活性シリカコロイドと、塩化カリウムとを反応させ、透明アクリル円筒モールドに砂の密度が1.5g/cmとなるように砂を入れ、注入方式で作成した。
その後、2日間20℃の室内養生をした。養生後、供試体をアクリルモールドから外し、浸透水養生のできるモールドの中央に置き、その周りにはベントナイトを隙間や空洞がないように詰めた。これによって供試体以外からの浸透水を完全に遮断できた。モールドを組み立てた後、図1に示す養生水槽1aに設置した。この水槽1aは浸透水圧2aがかけられるようになっており、浸透水圧2aは注入供試体3aの下方から作用させた。水圧は動水勾配が10となるようにした。また、同様に作成した供試体を静水圧下にて養生し、比較した。4aはヒータ、5aは水面である。
また、別の実験より55℃、65℃養生強度の促進倍率は標準養生20℃に対し、約30倍、約50倍が得られることがわかっていることから、促進養生を行った。養生温度は20℃、55℃、65℃の3通りであった。
供試体を静水圧下にて養生させたものと、水中にて水圧は動水勾配10をかけ、長期養生させたものの強度変化を測定した。結果を図2に示す。
これより、シリカコロイド系注入材は長期間浸透水圧の影響を受けず、静水圧状態と同じ強度増加を得ることができることがわかった。この測定値より、注入改良範囲が10mの場合、100mの水頭(H)が作用した状態で、少なくとも約2900日(約8年)は浸透水圧の影響を受けず静水圧状態と同じ強度増加を得ることが推測できた。
同様にして、実験2に示す酸性シリカゾル、アルカリ性溶液型水ガラスグラウト、水ガラスをイオン交換処理して得られた活性シリカ系注入材による固結標準砂は1ケ月以内に透水性が未固結標準砂とほぼ同一になり、高浸透水圧下にて止水性も固結性も長期耐久性が得られないことがわかった。
実験2
本発明の有効性を示すために、懸濁型グラウトと溶液型グラウトの相性試験を行った。懸濁型グラウトとして、微粒子セメント、微粒子スラグ、微粒子セメントと微粒子スラグの複合物を主成分とするグラウトを用い、比較としてポルトランドセメントを主成分とするグラウトを用いた。溶液型グラウトとしてはシリカコロイドを用い、比較として酸性シリカコロイド、水ガラスに重曹を加えたものを用いた。
懸濁型グラウト
(1)ポルトランドセメント
(2)微粒子懸濁液
1)微粒子セメントを主成分としたグラウト
2)微粒子スラグを主成分としたグラウト
3)微粒子セメントと微粒子スラグを主成分としたグラウト
溶液型グラウト
(1)コロイダルシリカ
(2)酸性シリカゾル
(3)水ガラス+重曹
1.使用材料
(1)微粒子スラグ/微粒子セメント
ブレーン比表面積6000cm/g、平均粒径10μm以下のものを使用。
(2)セメント
ブレーン比表面積3300cm/gのポルトランドセメント(比重:3.17)を使用。
(3)水ガラス
モル比2.0、シリカ濃度25重量%の低モル比水ガラス
JIS3号水ガラス、JIS5号水ガラスを使用。
(4)コロイダルシリカ
本発明にかかるコロイダルシリカは水ガラスをイオン交換樹脂に通過し、得られる活性シリカ水溶液を加熱等によって数万あるいはそれ以上の分子量に縮合安定化し、20〜30%のSiO濃度に濃縮して平均粒径が10〜20nmにあるものを使用。このコロイダルシリカに一価アルカリ金属塩を加えるとゲル化する。
(5)活性コロイダルシリカ
コロイダルシリカと水ガラスをイオン交換樹脂に通過し、得られる活性珪酸に水ガラスやアルカリを少量加えて重合させ、平均粒径が1〜5nmにあるシリカコロイドの混合物からなり、シリカ濃度が25%で、このうち活性シリカに起因するシリカ分は5%で、他はコロイダルシリカのシリカ分に起因する。このシリカコロイド水溶液に酸や塩を添加することによりゲル化する。
(6)硬化剤
75%リン酸を使用。
2.配合
(1)懸濁型注入材
Figure 2006226014
Figure 2006226014
Figure 2006226014
Figure 2006226014
(2)溶液型注入材
Figure 2006226014
Figure 2006226014
Figure 2006226014
3.相性試験
(1)懸濁型注入材を各配合で調整する。
(2)500mlの密封容器に懸濁型注入材を200mlづつ入れ、硬化させる。
(3)懸濁型注入材は一週間養生後に溶出した水を測定し、一度取り除く。
(4)溶液型注入材を各配合で調整し、200mlづつ各硬化した懸濁型注入材の上部に注ぐ。
(5)溶液型注入材が硬化したら、懸濁型注入材の取り除いた水を加える。
(6)溶出水の量、PH、グラウトの状態等を観察する。
観察結果を表9に示す。
Figure 2006226014
表9より、シリカコロイドと懸濁型の相性を観察した結果、ポルトランドセメント、微粒子スラグを主成分としたグラウト、微粒子セメントを主成分としたグラウト、微粒子セメントと微粒子スラグを主成分としたグラウトのすべてに相性がよく、溶液型、懸濁型グラウト双方とも、ホモゲル単独での養生の状態と変わりない状態を1年後も維持できた。
酸性シリカゾルではポルトランドセメントとは固結維持できたが、体積収縮が見られた。酸性シリカゾルもアルカリ性水ガラスグラウトも微粒子懸濁型グラウトとは相性が悪く、境界付近で溶解が始まり、1ケ月〜1年後にはほとんど溶解してしまった。
実験3
本発明にかかる注入材が高浸透水圧下にて以下の試験によって固結強度の増加が見られることがわかった。図3に示す実験室での注入装置を用いて、表10の6号珪砂中に前述した1次注入材を注入して後、2次注入材を注入し、懸濁型注入材と溶液型注入材の両方が浸透した供試体を作成し、室内にて静置養生したものと、浸透水圧下にて養生したものの強度変化を観察した。
Figure 2006226014
図3は実験室における注入装置の略図である。図3において、1はコンプレッサー、2、3は圧力計である。コンプレッサー1に連結された攪拌器4を備えた水槽5の中に2次注入としてシリカコロイド、酸性シリカゾル、水ガラス+重曹を主成分とするグラウトをそれぞれ充填する。7はアクリルモールドであって、この中に6号珪砂を充填し、1次注入材を注入した。水槽5中に充填された2次注入材6はコンプレッサー1の作動によってアクリルモールド7中の1次注入材を注入した後の6号珪砂8に注入される。なお、温度は約20℃の室温にて行った。
注入材6は砂8に浸透され、やがて透過された注入材6はメスシリダー11に採取され、浸透状態が観察される。9、10は金網である。その後、2日間20℃の室内養生をした。養生後、供試体をアクリルモールドから外し、高浸透水圧下で養生のできるモールドの中央に置き、その周りにはベントナイトを隙間や空洞がないように詰めた。これによって、供試体以外からの浸透水を完全に遮断できた。モールドを組み立てた後、実験1の図1と同様の養生水槽に設置した。この水槽は高浸透水圧がかけられるようになっており、高浸透水圧は注入供試体の下方から作用させた。水圧は動水勾配が10となるようにした。
供試体を水中にて水圧は動水勾配10をかけ、長期養生させたもの強度変化を測定した。結果を図4に示す。実施例1、2、3、4、5、6を注入した供試体では長期間浸透水圧の影響を受けず、強度増加を得ることができることがわかった。比較1、2を注入した供試体では溶解が始まり、強度の弱化が見られた。
また、高浸透水圧下での浸透係数の変化を図5に示す。本発明の実施例1、2、3、4、5、6の供試体は100日経過しても浸透係数が変化しないことにより、長期の止水性を保つことができる。それに対し、比較1、2は浸透水圧を加えると浸透係数が増加し、10日以上では供試体が崩れてしまい、止水性が保てないことがわかった。
なお、止水性において6号珪砂のみの供試体の浸透係数は5×10−2cm/secであった。また、1次注入材が微粒子セメントのみでは固結砂の透水係数は7×10−3cm/secであった。また、シリカ溶液を含む微粒子懸濁型注入材のみによる固結砂の透水係数は8.5×10−4cm/secであった。
以上のとおり、本発明にかかる地盤注入工法はシリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトを併用して注入することにより、以下の効果を奏し得るものである。
1.シリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトは高水圧下においても長期間強度増加を得ることにより、静水圧状態と同様の長期耐久性と止水効果を持つ。
2.シリカコロイドまたはシリカコロイドと活性シリカの混合物、あるいはシリカコロイドに水ガラスと酸や塩を加えた活性シリカコロイド混合物は、粒径が6〜50nmと大きいシリカコロイドを含むため長期耐水圧効果があり、1nm以下〜5nmの粒径の小さいシリカを含むため強度発現と固結性に優れる。
3.微粒子セメントおよび/あるいは微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材のみでは高水圧下では、透水係数はk=10−4cm/secより小さくはならない。
4.微粒子懸濁液を注入した砂中にシリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトを2次注入すると、細い部分に固結し、地盤全体を均一、高強度に固結せしめるのみならず、長期止水性が可能にとなる。
5.微粒子セメントおよび/あるいは微粒子スラグを有効成分とする固結体は、シリカコロイドとの相性がよく、単独で養生した時と変わらず、固結維持できる。
6.シリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトは浸透水圧下においても長期間強度増加を得ることにより、長期耐久性と止水効果を持つ。
7.微粒子セメントおよび/あるいは微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材と、シリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトを併用して注入することで、高浸透水圧下においても長期間強度増加を得ることができ、長期耐久性と止水効果を持つ。
以上のとおり、本願発明のシリカグラウトを使用した地盤注入工法は地盤注入分野において利用可能性が高い。
浸透水圧のかけられる養生水槽の略図である。 供試体の強度変化を表したグラフである。 実験室における注入装置の略図である。 供試体の強度変化を表したグラフである。 浸透係数の変化を表したグラフである。
符号の説明
1a 養生水槽
2a 浸透水圧
3a 注入供試体
4a ヒータ
5a 水面

Claims (3)

  1. シリカコロイドを有効成分とするシリカグラウトを地盤中に注入する地盤注入工法であって、該シリカグラウトが6〜50nmの粒径のシリカコロイドを有効成分として含有してなり、これにより、前記シリカグラウトによる固結地盤が浸透水圧下であっても、長期に渡り止水性と強度を保持することを特徴とする地盤注入工法。
  2. 請求項1において該シリカグラウトが、該シリカコロイドよりも小さなシリカを含有してなるシリカグラウトである地盤注入工法。
  3. 請求項1、2の地盤注入工法において上記シリカグラウトを注入するに際して、あらかじめ微粒子セメントおよび/または微粒子スラグを有効成分とする懸濁型地盤注入材を地盤中に注入してなり、これにより、固結地盤が浸透水圧下であっても、止水性と強度を保持することを特徴とする地盤注入工法。
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