JP7378212B2 - 細胞接着用組成物及び細胞接着用基材 - Google Patents

細胞接着用組成物及び細胞接着用基材 Download PDF

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Description

本発明は、細胞接着用組成物及び細胞接着用基材に関する。
光により基材の細胞接着性をコントロールする手法としては、特許文献1~3に記載されるような種々の技術が知られている。これらの技術によれば、基材に光を照射することで基材に細胞接着能を付与することができる。
特開2015-73460 特開2009-65945 特開2006-8975
特許文献1~3に記載される技術では、基材に細胞接着能を付与するために用いられる光が、紫外線(UV)等、特定の波長を有する光に限定されていた。UVは細胞にダメージを与えるため好ましくない。また、基材に接着された細胞はしばしば蛍光色素を用いて観察されるため、細胞接着能を基材に付与するために用いる光が特定の波長に限定されていると、細胞の観察に用いることのできる蛍光色素の選択肢が狭まる。
そこで、本発明は、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングで基材に細胞接着能を付与することを目的とする。
本発明の一形態に係る細胞接着用組成物は、両親媒性化合物と、DNA及び親水性分子のコンジュゲートと、を含む。両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、親水性基と、を有する。コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きい。
親水性基は、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン、多糖、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリルアミドからなる群より選択される親水性分子の残基であってよい。疎水性基は、炭素数7~22の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数7~22の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質の残基であってよい。好ましくは、親水性基はポリエチレングリコールの残基である。好ましくは、疎水性基は、炭素数10~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質の残基である。コンジュゲートの親水性分子は、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン、多糖、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリルアミドからなる群より選択される親水性分子であってよい。細胞接着用組成物は、1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲートを1以上含んでよい。コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量の1倍超であってよい。
本発明の一形態に係る細胞接着用基材は、基材と、1以上の両親媒性化合物と、1以上の、DNA及び親水性分子のコンジュゲートと、を備える。各両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、親水性基と、を有する。各両親媒性化合物の親水性基と各コンジュゲートのDNAは、基材と結合している。コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きい。
細胞接着用基材は、1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲートを1以上備えてよい。
本発明の他の形態に係る細胞接着用基材は、基材と、1以上の、両親媒性化合物及びDNAのコンジュゲートと、を備える。各両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、DNAと結合した親水性基と、を有する。DNAは基材と結合している。
細胞接着用基材は、光反応性物質であって、光照射により活性酸素を生成する光反応性物質をさらに備えてよい。
本発明の一形態に係るマイクロ流路デバイスは、内部の少なくとも一部が上記細胞接着用組成物でコーティングされた流路を備える。
マイクロ流路デバイスは、第一の流路と、上記第一の流路に隣接する第二の流路と、上記第一の流路と上記第二の流路とをつなぐ連絡部であって、上記第一の流路側に細胞を捕捉可能な開口部を有する連絡部と、を備えてよく、上記第一の流路の内部が上記細胞接着用組成物でコーティングされていてよい。
本発明の一形態に係る細胞を基材上に接着する方法は、基材を上記細胞接着用組成物でコーティングする工程と、基材に、光反応性物質であって、光照射により活性酸素を生成する光反応性物質を接触させる工程と、基材に光を照射して光反応性物質を励起させる工程と、基材に細胞を接触させる工程と、を備える。
本発明によれば、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングで基材に細胞接着能を付与することができ、また、基材に細胞接着能を付与するために必要な光の照射時間が短い。より具体的には、本発明によれば、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングで、任意の細胞を接着することができる基材及び該基材を備えるマイクロ流路デバイス、並びにこれらを製造するために使用することのできる組成物が提供される。また、本発明によれば、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングで基材に任意の細胞を接着することが可能な方法が提供される。さらに、本発明によれば、任意の形状の細胞パターンを簡便に得ることができる。
マイクロ流路デバイスの一例を示す模式図である。 細胞を基材上に接着する方法の概略を示す模式図である。
本発明の一実施形態に係る細胞接着用組成物は、両親媒性化合物と、DNA及び親水性分子のコンジュゲートと、を含む。両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、親水性基と、を有する。基材に細胞接着用組成物を接触させると、両親媒性化合物の親水性基及びコンジュゲートのDNAが基材と結合し、基材を両親媒性化合物とDNA及び親水性分子のコンジュゲートとでコーティングすることができる。基材との結合性を上げる観点から、両親媒性化合物の親水性基とコンジュゲートのDNAには、結合性物質が結合されていてもよい。両親媒性化合物が細胞接着能を有するのに対し、DNAと親水性分子とのコンジュゲートは、両親媒性化合物の細胞接着能をマスキングする作用を有する。したがって、細胞接着用組成物でコーティングされた基材は、潜在的な細胞接着能を有する。後述するように、基材に光を照射してコンジュゲートを分解することで、両親媒性化合物による細胞接着能が発現し、基材は細胞を接着することが可能となる。
親水性基は、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン、多糖、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリルアミドからなる群より選択される1種以上の親水性分子の残基であってよい。より具体的には、親水性基は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、及びオクタグリセリンからなる群より選択される1種以上の親水性分子の残基であってよい。好ましくは、親水性基はポリエチレングリコールの残基である。
基材又は結合性物質との結合性を上げる観点から、親水性基は、反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基は、公知の反応性官能基であれば特に限定されず、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基又はマレイミド基であってよい。
親水性基は、200以上、400以上、600以上、1000以上、2000以上、3000以上、5000以上、又は8000以上の重量平均分子量を有する親水性分子の残基であってよい。親水性基は、20000以下、10000以下、8000以下、5000以下、3000以下、2000以下、1000以下又は600以下の重量平均分子量を有する親水性分子の残基であってよい。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めることができる。
疎水性基は、細胞膜に非共有結合することが可能であれば特に限定されず、例えば、炭素数7~22の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数7~22の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質の残基であってよい。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であってよく、直鎖又は分岐鎖であってよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、10~20又は11~18であってもよい。脂肪族炭化水素基は、例えば、オクチル基(C8)、デシル基(C10)、ドデシル基(C12)、テトラデシル基(C14)、ヘキサデシル基(C16)、オクタデシル基(C18)、イソステアリル基(C18)、エイコシル基(C20)、ドコシル基(C22)等の飽和脂肪族炭化水素基であってよく、ミリストレイル基(C14)、パルミトレイル基(C16)、オレイル基(C18)、リノレイル基(C18)、アラキドニル基(C20)、エルカイル基(C22)等の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。リン脂質中の脂肪族炭化水素基の数は、1以上又は2以上であってよく、好ましくは1又は2である。リン脂質としては、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジルセリンが挙げられる。リン脂質は例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)であってよい。非共有結合は、疎水性相互作用であってよい。
DNAは、活性酸素によって分解され得るDNAであれば特に限定されず、いかなる長さ及び配列のDNAも用いることができる。例えば、17量体~30量体、18量体~25量体、又は20~22量体のDNAであれば入手しやすい。DNAは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。DNAは、親水性分子及び基材若しくは結合性分子との結合性を上げる観点から、反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基は、特に限定されず、例えば、カルボキシ基、チオール基、アミノ基等公知の反応性官能基から、親水性分子及び基材若しくは結合性分子の種類に応じて適宜選択できる。例えば、結合性分子がウシ血清アルブミン(BSA)であり、親水性分子がマレイミド基を有するPEGである場合、DNAは、BSAのアミノ基と架橋剤により反応するカルボキシ基と、PEGのマレイミド基と反応するチオール基と、を有することができる。
コンジュゲートの親水性分子は、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン、多糖、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリルアミドからなる群より選択される1種以上の親水性分子であってよい。より具体的には、コンジュゲートの親水性分子は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、及びオクタグリセリンからなる群より選択される1種以上の親水性分子であってよい。好ましくは、コンジュゲートの親水性分子はポリエチレングリコールである。
DNAとの結合性を上げる観点から、コンジュゲートの親水性分子は、反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基は、特に限定されず、例えば、NHS基、マレイミド基等公知の反応性官能基であってよい。
両親媒性化合物の細胞接着能をマスキングする観点から、親水性分子の重量平均分子量は、例えば、2000以上、5000以上、又は10000以上であってよく、80000以下、60000以下、40000以下、30000以下、20000以下、10000以下、又は5000以下であってよい。
基材との結合性を上げる観点から、両親媒性化合物の親水性基とコンジュゲートのDNAには、結合性物質がコンジュゲートされていてもよい。結合性物質は、基材、両親媒性化合物の親水性基、及びコンジュゲートの親水性分子と結合することができる官能基を有する物質であれば特に限定されず、例えば、BSA、卵白アルブミン、コラーゲン等のタンパク質又はポリリジン等のポリペプチドであってよい。
細胞接着用組成物は、光反応性物質であって、光照射により活性酸素を生成する光反応性物質を1種以上、さらに含むことができる。光反応性物質は、光照射により活性酸素を生成する物質であれば特に限定されず、所望の波長を有する光で励起可能な任意の光反応性物質を選択することができる。光反応性物質は、例えば、蛍光色素、光増感剤、及び光触媒からなる群より選択される1種以上の光反応性物質であってよい。光反応性物質は、好ましくは、DNAに結合することができるDNA結合性光反応性物質であり、より好ましくはDNA結合性蛍光色素である。蛍光色素は、例えば、YOYO(登録商標)-1、YO-PRO(登録商標)-1、TOTO(登録商標)-1、TO-PRO(登録商標)-1、BOBO(登録商標)-1、及びBO-PRO(登録商標)-1からなる群より選択されるDNA結合性の蛍光色素であってよい。光増感剤としては、例えば、ポルフィマーナトリウム、タラポルフィリンナトリウム等のポルフィリン誘導体が挙げられる。光触媒としては、例えば、酸化チタン(IV)が挙げられる。細胞へのダメージを防ぐ観点から、光反応性物質は、380nm超の光で励起される物質であることが好ましい。例えば、光反応性物質は、430 nm以上、450 nm以上、又は480 nm以上の光で励起される物質であってもよい。
細胞接着用組成物は、1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲートを1以上、5以上、10以上、15以上、又は20以上含んでよい。コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量の1倍超、5倍以上、10倍以上、又は20倍以上であってよい。両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量と、コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量との組み合わせは、例えば、200~600と2000~5000、1000~5000と10000~60000、又は8000~20000と10000~80000であってよい。
本発明の一実施形態に係る細胞接着用基材は、基材と、1以上、好ましくは複数の両親媒性化合物と、1以上、好ましくは複数の、DNA及び親水性分子のコンジュゲートと、を備える。基材表面の少なくとも一部は、両親媒性化合物及びコンジュゲートに覆われており、各両親媒性化合物の親水性基と各コンジュゲートのDNAは、基材と結合している。すなわち、基材と両親媒性化合物とは、基材-親水性基-疎水性基の順番で各要素が並ぶように結合しており、基材とコンジュゲートとは、基材-DNA-親水性分子の順番で各要素が並ぶように結合している。本実施形態に係る細胞接着用基材は、基材を上述の細胞接着用組成物でコーティングすることにより得ることができる。両親媒性化合物の詳細、並びに、DNA及び親水性分子のコンジュゲートの詳細は、上述のとおりである。
基材の素材及び形状は、細胞を接着するのに適していることが好ましいが、特に限定されない。基材の素材は、例えば、ガラス、セラミック、金属、又は合成樹脂であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はエポキシ樹脂であってよい。基材は、例えば、平板、フィルム、粒子、棒又は多孔質体の形状を有していてもよく、基材の表面は平面であっても曲面であってもよい。
両親媒性化合物の親水性基及びコンジュゲートのDNAとの結合性を上げる観点から、基材は、表面が結合性物質でコーティングされた基材であってもよい。結合性物質の詳細は、上述のとおりである。
細胞接着用基材は、光反応性物質であって、光照射により活性酸素を生成する光反応性物質をさらに備えていてよい。具体的には、コンジュゲートのDNAには光反応性物質が結合していてもよい。光反応性物質の詳細は上述のとおりである。
細胞接着用基材は、1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲートを1以上、5以上、10以上、15以上、又は20以上備えていてよい。
基材表面において、両親媒性化合物は、親水性基が基材表面から近い側に位置し、かつ疎水性基が基材表面から遠い側に位置するように配向しており、コンジュゲートは、DNAが基材表面から近い側に位置し、かつ親水性分子が基材表面から遠い側に位置するように、配向している。上述のとおり、コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きい。したがって、本実施形態に係る細胞接着用基材の最外部には、コンジュゲートの親水性分子が露出しており、両親媒性化合物の細胞接着能を有する疎水性基は、コンジュゲートの親水性分子の下に隠れている。後述するように、基材に光反応性物質を付与し、次いでこれを光により励起させることにより、コンジュゲートのDNAが切断されて親水性分子が解離し、よって、両親媒性化合物の疎水性基が最外部に露出する。したがって、本実施形態に係る細胞接着用基材によれば、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングで、任意の細胞を接着することができる。さらに、本実施形態に係る細胞接着用基材によれば、任意の細胞パターンを簡便に得ることができる。
本発明の他の実施形態に係る細胞接着用基材は、基材と、1以上、好ましくは複数の両親媒性化合物及びDNAのコンジュゲートと、を備える。各両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、DNAと結合した親水性基と、を有し、DNAは基材と結合している。すなわち、基材とコンジュゲートとは、基材-DNA-親水性基-疎水性基の順番で各要素が並ぶように結合している。
両親媒性化合物、DNA、及び基材の詳細は上述のとおりである。ただし、本実施形態においては、両親媒性化合物は基材又は結合性物質とは結合しておらず、DNAと結合している。また、本実施形態においては、DNAは上記親水性分子とは結合しておらず、親水性基と結合している。
DNAと両親媒性化合物とは、反応性官能基を介して結合していてもよい。反応性官能基は、特に限定されず、例えば、カルボキシ基、チオール基、アミノ基、NHS基、マレイミド基等公知の反応性官能基であってよい。
細胞接着用基材は、光反応性物質であって、光照射により活性酸素を生成する光反応性物質をさらに備えていてよい。具体的には、コンジュゲートのDNAには光反応性物質が結合していてもよい。光反応性物質の詳細は上述のとおりである。
基材表面において、両親媒性化合物とDNAとのコンジュゲートは、DNAが基材表面から近い側に位置し、かつ疎水性基が基材表面から遠い側に位置するように配向している。したがって、本実施形態に係る細胞接着用基材の最外部には、細胞接着能を有する疎水性基が露出しており、これにより細胞が接着される。基材に上述の光反応性物質を付与し、次いでこれを光により励起させることにより、DNAが切断されて、接着された細胞がコンジュゲートとともに基材から解放される。したがって、本実施形態に係る細胞接着用基材によれば、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングで基材に接着された任意の細胞を解放及び回収することができる。さらに、本実施形態に係る細胞接着用基材によれば、任意の細胞パターンを簡便に得ることができる。
一実施形態において、本発明は、内部の少なくとも一部が上述の細胞接着用組成物でコーティングされた流路を備える、マイクロ流路デバイスを提供する。マイクロ流路デバイスは、一般的に、1以上のマイクロ流路を備えるデバイスであり、細胞を捕捉及び解析する手段として利用することができる。
図1に本実施形態に係るマイクロ流路デバイスの一例を示す。図1の(A)に示すマイクロ流路デバイス40は、流路23と、流路23に隣接する流路24と、流路23と流路24とをつなぐ連絡部30とを備える。流路23、流路24、及び連絡部30は、いずれも基板22に設けられた溝であり、基板22の溝が形成された側の主面にはカバーガラス21が積層されている。基板22は、特に限定されないが、例えば、シリコンゴム(例えば、ジメチルポリシロキサン)等の樹脂製であってよい。基板22が樹脂製である場合、流路23、流路24、及び連絡部30は、フォトリソグラフィーにより容易に形成することができる。
流路23には液体の注入口25及び26、並びに注出口28が設けられており、流路24には液体の注入口27及び注出口29が設けられている。注入口25~27には、例えば、細胞懸濁液、試料、標準試料、バッファー等の液体が注入される。注入口25及び26から流路23に導入された液体は、注出口28からマイクロ流路デバイス40の外に排出され、注入口27から流路24に導入された液体は、注出口29からマイクロ流路デバイス40の外に排出される。液体は、例えばシリンジを用いて注入口に注入することができる。注入口は、使用する液体の数だけあってもよいが、一つの流路に対して少なくとも1つの注入口があれば足りる。したがって、注入口26はなくてもよいし、流路23及び/又は流路24に1以上の注入口を追加してもよい。同様に、流路23及び/又は流路24に1以上の注出口を追加してもよい。
図1の(B)に連絡部30の拡大図を示す。この図では、流路23に細胞懸濁液が導入されている。連絡部30は、流路23と流路24とをつなぐ孔32と、細胞Cを捕捉可能な開口部(開口端)31と、を有する。ここで、細胞Cを捕捉可能とは、流路23内の圧力が流路24内の圧力よりも高い条件下において、流路23内に存在する細胞Cを流路23側の開口部31に保持することができることを意味する。図1では、開口部31が窪みを形成しているが、開口部31の形状は、細胞Cを捕捉可能であれば特に限定されず、平坦であってもよい。ない。連絡部30は、細胞Cが通り抜けることができない形状である必要がある。したがって、孔32の孔径は、細胞Cの直径よりも十分に小さいことが好ましい。また、図1では、連絡部30は孔32を介して流路23と流路24とをつないでいるが、孔32をスリットに置き換えてもよい。開口部31は、細胞Cが存在する流路側に設けられてさえいればよい。図1では、流路23に細胞懸濁液が導入されているため、開口部31は流路23側に設けられてさえいればよい。流路24に細胞懸濁液を導入する場合、開口部31は流路24側に設けられてさえいればよい。
図2の(A)に連絡部30をさらに拡大した図を示す。この図では、細胞Cが、流路23から流路24の方向(図中、矢印Pによって示す方向)にはたらく力によって、開口部31に捕捉されている。矢印Pの方向に働く力は、流路23と流路24との圧力差により生じている。図2の(A)では、細胞Cは流路23を構成する内壁に接着しておらず、もし流路23と流路24との圧力差が解消されれば、細胞Cは開口部31から解放される。
流路23の内部は、上述の細胞接着用組成物でコーティングされている。この図では、両親媒性化合物4は、結合性物質1と、親水性基2と、疎水性基3と、を備え、コンジュゲート7は、結合性物質1と、DNA5aと、親水性分子6と、を備える。各両親媒性化合物4の親水性基2と各コンジュゲート7のDNA5aは、流路23を構成する内壁、すなわち、流路23の内表面と結合している。なお、上述のとおり、結合性物質1は必須ではない。また、流路23の内部はその全体に渡ってコーティングされている必要はなく、流路23の内部の少なくとも一部、具体的には、少なくとも開口部31がコーティングさえていれば十分である。
図2の(B)及び(C)は、開口部31に細胞を接着するまでの過程を示す。図2の(A)の状態にある細胞を開口部31に接着させるためには、まず、開口部31に上述の光反応性物質(図示せず)を付与する。光反応性物質は、開口部31にあらかじめ付与されていてもよい。あるいは、流路23に光反応性物質を導入することにより、開口部31に光反応性物質を付与してもよい。光反応性物質は、DNA5aに結合させることが好ましい。その後、図2の(B)に示すように、開口部31に光を照射して光反応性物質を励起させる。光反応性物質の励起により生じた活性酸素は、DNA5aを切断し、疎水性基3と細胞Cの細胞膜との非共有結合を妨げていた親水性分子6が流路23の内壁から解離する。残されたDNA断片5bは、疎水性基3と細胞Cとの結合を妨げるには小さいため、疎水性基3と細胞Cの細胞膜とが非共有結合して、細胞Cが開口部31に接着する。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス40において、開口部31の細胞接着能は、任意のタイミングで発現させることができる。したがって、開口部31に目的の細胞C以外の細胞又は夾雑物が捕捉された場合には、流路23と流路24の圧力差を逆転させてそれらを開口部31から解放することができる。一方、開口部31に目的の細胞Cが捕捉された場合には、開口部31に光を照射することで、細胞Cを開口部31に接着することができる。一度細胞Cが開口部31に接着されれば、流路23と流路24との圧力差を維持しておく必要がない。すなわち、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス40によれば、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングで、細胞を選択的にかつ簡便に捕捉及び解析することができる。
次に上述の細胞接着用組成物を用いて細胞を基材上に接着する方法を説明する。本発明の一実施形態に係る細胞を基材上に接着する方法は、(a)基材を上述の細胞接着用組成物でコーティングする工程と、(b)基材に上述の光反応性物質を接触させる工程と、(c)基材に光を照射して光反応性物質を励起させる工程と、(d)基材に細胞を接触させる工程と、を備える。
工程aでは、基材を上述の細胞接着用組成物でコーティングすることにより、上述の細胞接着用基材を得る。
工程aでコーティングされる基材は、特に限定されず、基材の素材及び形状の例は上述のとおりである。基材の具体的な例としては、例えば、スライドガラス、培養皿、マルチウェルプレート、マイクロ流路デバイスのマイクロ流路の内壁等が挙げられる。
コーティングの仕方は特に限定されず、例えば、液体状の細胞接着用組成物を基材上に接触させることで基材をコーティングすることができる。細胞接着用組成物を基材上に接触させる方法は特に限定されず、細胞接着用組成物を基材に滴下してもよく、基材を細胞接着用組成物に浸してもよい。
工程bでは、基材に光反応性物質を接触させる。この工程により、基材に光反応性物質が付与される。好ましくは、光反応性物質は、基材に結合したコンジュゲートのDNAに結合する。光反応性物質の詳細は上述のとおりである。工程bは工程aの後に行ってもよく、工程aと同時に行ってもよい。いいかえれば、細胞接着用組成物でコーティングされた基材に光反応性物質を接触させてもよく、細胞接着用組成物と光反応性物質を基材に同時に接触させてもよい。細胞接着用組成物と光反応性物質を基材に同時に接触させる場合、細胞接着用組成物に光反応性物質が含まれていてもよい。
工程cでは、基材に光を照射して光反応性物質を励起させる。励起された光反応性物質は活性酸素を生じ、活性酸素によってコンジュゲートのDNAが切断される。したがって、この工程により、細胞の接着を妨げていた親水性分子がコンジュゲートから解離し、親水性分子の下に隠れていた細胞接着能を有する両親媒性化合物の疎水性基が基材表面の最外部に露出する。
光の波長、照射強度、及び照射時間は、光反応性物質を励起させることができれば特に限定されない。細胞へのダメージを防ぐ観点から、光の波長は、380nm超であることが好ましい。例えば、光の波長は、430 nm以上、450 nm以上、又は480 nm以上であってもよい。照射時間は、例えば、1秒以上、10秒以上、又は60秒以上であってよい。
工程cは工程bの後に行うことができる。
工程dでは、基材に細胞を接触させる。この工程により、両親媒性化合物の疎水性基が細胞膜と非共有結合し、細胞が基材に接着する。基材に細胞を接触させる方法は特に限定されず、例えば、細胞懸濁液を基材に滴下してもよく、基材を細胞懸濁液に浸してもよい。工程dは、工程aの後の任意の段階で行うことができる。工程dを工程bの前に行う場合、工程b(光反応性物質の接触)及び光の照射(工程c)は、基材に細胞を接触させた状態を維持したまま行うことが好ましい。工程dを工程bと同時に、又は工程bの後かつ工程cの前に行う場合、光の照射(工程c)は、基材に細胞を接触させた状態を維持したまま行うことが好ましい。
本実施形態に係る細胞を基材上に接着する方法によれば、任意の波長を有する光を用いて、任意のタイミングかつ短い照射時間で、基材に細胞を接着することができる。
(準備)
1.PEG-DNA-BSAの調製
5’末端にカルボキシ基を、3’末端にチオール基を有する20量体のDNA(配列:TCTATCTGCAGGCGCTCTCC)を合成した。このDNAとBSAをpH7.0の10mM MOPS-KOHにそれぞれ溶解し、DNA溶液とBSA溶液を得た。BSA溶液とDNA溶液を1:5のモル比で混合した。この混合液に1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)を最終濃度が10mMとなるように混合し、DNAの5’末端のカルボキシ基とBSAのアミノ基を結合させた。スピンカラムを用いて余剰DNAを取り除いた後、PEG-マレイミド(PEGの重量平均分子量:20000)を、BSAとPEGのモル比が1:10となるようにpH7.0の10mM MOPS-KOHとともに加え、混合した。混合液を30分インキュベーションすることでDNA-BSAとPEGを結合させ、DTTを最終濃度1 mMで混合することで反応を停止させた。
2.PEG脂質-BSAの調製
BSAとPEG脂質-NHSをpH7.0の10mM MOPS-KOHにそれぞれ溶解し、BSA溶液とPEG脂質溶液を得た。PEG脂質-NHSとしては、オレイル-O-ポリエチレングリコール-スクシニル-N-ヒドロキシ-スクシンイミジルエステル(PEGの重量平均分子量:2000、日油株式会社製「SUNBRIGHT OE-020CS」)を使用した。BSA溶液とPEG脂質溶液を1:10のモル比で混合し、30分室温にてインキュベーションした。pH6.8のTris-HClを加え、反応を停止させた。
3.PEGリン脂質-DNA-BSAの調製
PEG-マレイミドのかわりにPEGリン脂質-マレイミドを用いて、PEG-DNA-BSAの調製と同様にしてPEGリン脂質-DNA-BSAを調製した。PEGリン脂質-マレイミドとしては、N-[N’-(3’-マレイミド-1’-オキソプロピル)アミノプロピルポリオキシエチレンオキソカルボニル]-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(PEGの重量平均分子量:2000、日油株式会社製「SUNBRIGHT DSPE-020MA」)を使用した。
(実施例1)
BSA濃度が全体で0.5mg/mLとなるようにPEG-DNA-BSAとPEG脂質-BSAを1:5の割合で混合した。この混合溶液を洗浄済みのカバーガラス(24 mmx36 mm,t0.17mm)に滴下し、表面がPEG-DNA-BSAとPEG脂質-BSAでコーティングされた基板を得た。
YOYO-1(最大吸収波長491nm、最大蛍光波長509 nm)を最終濃度が10 μMとなるようにバッファーに加え、基板上に滴下した。その後、絞りを用いて、所定の円形領域に励起光を10秒間照射し、円形領域に細胞接着性を付与した。励起後、遊離したPEG、蛍光色素、分解されたDNA等をバッファーにより洗い流した。
1x10細胞/mLの濃度となるように、血清を含まない培地に細胞を懸濁した。上記基板に細胞懸濁液を接触させ、10分後に、血清を含む培地で余剰の細胞を洗い流した。基板上の細胞を培養し、一日後、位相差顕微鏡を用いて基板上の細胞を観察した。細胞は上記円形領域内で接着及び伸展し、円形パターンを形成していた。
(実施例2)
BSA濃度が全体で0.5mg/mLとなるようにPEG-DNA-BSAとPEG脂質-BSAを1:5の割合で混合した。この混合溶液を図1に示すようなマイクロ流路デバイスの流路23に導入し、流路23の内側をPEG-DNA-BSAとPEG脂質-BSAでコーティングした。
1x10細胞/mLの濃度となるように、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に細胞を懸濁した。流路23に細胞懸濁液を導入し、流路24にPBSを導入した。流路23内の圧力が流路24内の圧力よりも高くなるように流速を調整し、所望の細胞を開口部31に保持した。開口部31に所望の細胞以外の細胞又は細胞の破砕物が捕捉された場合は、圧力差を逆転させて、それらを開口部31から解放した。
開口部31に所望の細胞が捕捉された後、YOYO-1を含むPBSを流路23に導入した。開口部31に励起光を10秒間照射した。照射後、流路23内にPBSを導入し、遊離したPEG、蛍光色素、分解されたDNA等を洗い流した。開口部31には所望の細胞が接着していた。
(実施例3)
BSA濃度が0.5mg/mLとなるようにPEGリン脂質-DNA-BSAをバッファーに懸濁した。この懸濁液を洗浄済みのカバーガラス(24 mmx36 mm,t0.17 mm)に滴下し、表面がPEGリン脂質-DNA-BSAでコーティングされた基板を得た。
1x10細胞/mLの濃度となるように、血清を含まない培地に細胞を懸濁した。上記基板に細胞懸濁液を接触させた。細胞の基板への接着を確認後、血清入り培地で基板を洗浄し、コンフルエントになるまで細胞を培養した。
YOYO-1を最終濃度が10μMとなるように培地に加え、基板上に滴下した。その後、絞りを用いて、所定の円形領域に励起光を10秒間照射した。円形領域の細胞は基板から剥離し、培地中に浮遊した。培地中に浮遊した細胞は回収した。
1・・・結合性物質、2・・・親水性基、3・・・疎水性基、4・・・両親媒性化合物、5a・・・DNA、5b・・・DNA断片、6・・・親水性分子、7・・・コンジュゲート、21・・・カバーガラス、22・・・基板、23,24・・・流路、25,26,27・・・注入口、28,29・・・注出口、40・・・マイクロ流路デバイス、30・・・連絡部、31・・・開口部、32・・・孔、C・・・細胞。

Claims (9)

  1. 基材と、1以上の両親媒性化合物と、1以上の、DNA及び親水性分子のコンジュゲートと、を備え、
    各両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、親水性基と、を有し、
    各両親媒性化合物の親水性基と各コンジュゲートのDNAは、基材と結合しており、
    コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きい、細胞接着用基材であって、
    コンジュゲートの親水性分子は、ポリアルキレングリコール又はポリアクリルアミドであり、疎水性基と細胞膜との非共有結合を妨げるように、細胞接着用基材の表面に露出している、細胞接着用基材
  2. 親水性基が、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン、多糖、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリルアミドからなる群より選択される親水性分子の残基であり、
    疎水性基が、炭素数7~22の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数7~22の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質の残基である、請求項1に記載の細胞接着用基材。
  3. 親水性基がポリエチレングリコールの残基であり、疎水性基が炭素数10~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数10~20の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質の残基である、請求項1又は2に記載の細胞接着用基材。
  4. 1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲートを1以上備える、請求項1~のいずれか一項に記載の細胞接着用基材。
  5. コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量が、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量の1倍超である、請求項1~のいずれか一項に記載の細胞接着用基材。
  6. 光反応性物質であって、光照射により活性酸素を生成する光反応性物質をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の細胞接着用基材。
  7. 内部の少なくとも一部が細胞接着用組成物でコーティングされた流路を備える、マイクロ流路デバイスであって、
    細胞接着用組成物は、両親媒性化合物と、DNA及び親水性分子のコンジュゲートと、を含み、
    両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、親水性基と、を有し、
    コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きく、
    各両親媒性化合物の親水性基と各コンジュゲートのDNAは、前記流路の内部と結合しており、
    コンジュゲートの親水性分子は、ポリアルキレングリコール又はポリアクリルアミドであり、疎水性基と細胞膜との非共有結合を妨げるように、コーティングされた流路の内表面に露出している、マイクロ流路デバイス。
  8. 第一の流路と、
    前記第一の流路に隣接する第二の流路と、
    前記第一の流路と前記第二の流路とをつなぐ連絡部であって、前記第一の流路側に細胞を捕捉可能な開口部を有する連絡部と、を備え、
    前記第一の流路の内部が前記細胞接着用組成物でコーティングされている、請求項に記載のマイクロ流路デバイス。
  9. 基材を細胞接着用組成物でコーティングする工程と、
    基材に、光反応性物質であって、光照射により活性酸素を生成する光反応性物質を接触させる工程と、
    基材に光を照射して光反応性物質を励起させる工程と、
    基材に細胞を接触させる工程と、を備え、
    細胞接着用組成物は、両親媒性化合物と、DNA及び親水性分子のコンジュゲートと、を含み、
    両親媒性化合物は、細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、親水性基と、を有し、
    コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きく、
    コンジュゲートの親水性分子は、ポリアルキレングリコール又はポリアクリルアミドであり、前記コーティングする工程において、疎水性基と細胞膜との非共有結合を妨げるように、コーティングされた基材の表面に露出する、細胞を基材上に接着する方法。
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