JP7363649B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた成形体 - Google Patents
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[1]下記の条件(A-1)を満足するプロピレン系樹脂(A)と、下記の条件(B-1)を満足する難燃剤(B)と、下記の条件(C-1)を満足する難燃助剤(C)と、下記の条件(D-1)を満足する耐光剤(D)と、下記の条件(E-1)を満足する中和剤(E)とを含有し、かつ下記条件(ア)を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(A-1)
プロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体及びプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン系樹脂である。
条件(B-1)
難燃剤(B)は、臭素化アルキルイソシアヌレート化合物である。
条件(C-1)
難燃助剤(C)は、アンチモン化合物である。
条件(D-1)
耐光剤(D)は、下記式(I)で表されるヒンダードアミン化合物である。
式(I)
(式中、R1は、水素原子または直鎖の炭素原子数1~30のアルキル基を表し、R2は炭素原子数1~30のアルキル基、または炭素原子数2~30のアルケニル基を表す。)
条件(E-1)
中和剤(E)は、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、ケイ酸アルミニウムカルシウム、周期律表第II族の金属の酸化物及び水酸化物、及びリチウムアルミニウム複合水酸化物塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である。
条件(ア)
各成分の含有量が、プロピレン系樹脂(A)80~99.4重量%、難燃剤(B)0.5~15重量%、難燃助剤(C)0.1~5重量%(但し、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計は100重量%である)であり、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して耐光剤(D)が0.1~5重量部であり、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して中和剤(E)が0.05~3重量部である。
[2]中和剤(E)が、下記条件(E-2)を更に満足する[1]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(E-2)
中和剤(E)がハイドロタルサイト類である。
[3]下記条件(F-1)を満足するエチレン-α-オレフィン共重合体(F)を更に含有し、かつ下記条件(イ)を満足する[1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(F-1)
エチレン-α-オレフィン共重合体(F)に含まれるα-オレフィンは、炭素数3~8のα-オレフィンである。
条件(イ)
エチレン-α-オレフィン共重合体(F)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対してエチレン-α-オレフィン共重合体(F)0.1~15重量部である。
[4]下記条件(G-1)を満足するポリエステル樹脂(G)を更に含有し、かつ下記条件(ウ)を満足する[1]乃至[3]の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(G-1)
ポリエステル樹脂(G)は、数平均分子量が1,000~500,000の脂肪族ポリエステル化合物である。
条件(ウ)
ポリエステル樹脂(G)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対してポリエステル樹脂(G)0.5~10重量部である。
[5][1]乃至[4]のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体。
を提供するものである。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と記載することもある。)は、下記の条件(A-1)を満足するプロピレン系樹脂(A)と、下記の条件(B-1)を満足する難燃剤(B)と、下記の条件(C-1)を満足する難燃助剤(C)と、下記の条件(D-1)を満足する耐光剤(D)と、下記の条件(E-1)を満足する中和剤(E)とを含有し、かつ下記条件(ア)を満足することを特徴とする。
以下で、成分(A)、(B)、(C)、(D)、及び(E)等が満たすべき特性などについて、項目毎に、詳細に述べる。
以下に、本発明に用いられるプロピレン系樹脂(A)の詳細について説明する。本発明に用いられるプロピレン系樹脂(A)は、条件(A-1)を満足
するものである。
本発明に用いられるプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体及びプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン系樹脂である。
このようなプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体を用いることにより、家電製品、建材、自動車部品等に使用されるポリプロピレン系樹脂組成物に求められる一般的な物性、即ち機械強度(剛性や耐衝撃性等)や手触り肌触り感(手触りでの粘着感)や耐傷付き特性等を特に良好なものとすることができる。また、このようなプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体は製造が比較的容易で市販製品の種類も多く、入手が容易であるので、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、本発明によって達成される特徴以外の一般物性を所望の範囲に調整するのが容易であり、成形性等の観点からも、特に好ましい。
プロピレン-α-オレフィン共重合体としては、具体的に、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-ペンテン-1共重合体、プロピレン-ヘキセン-1共重合体、プロピレン-オクテン-1共重合体のような二元共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ヘキセン共重合体のような三元共重合体などが挙げられ、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1ブロック共重合体などが好ましい。
以下に、プロピレン系樹脂(A)のその他の物性等について説明する。
成形性の観点から、プロピレン系樹脂(A)は、融点が通常は100℃以上200℃未満であり、好ましくは130~170℃であり、160~165℃であることが更に好ましい。プロピレン系樹脂(A)の融点をこの様な範囲とすることにより、良好な成形性や難燃性を保つと共に、プロピレン系樹脂や後述する有機系難燃剤の劣化に伴う変色を防止し、一般的な用途において必要とされる良好な外観を得ることが可能となる。即ち、融点が100℃未満では成形体とした時に比較的低温で軟化してしまうため、難燃剤を添加し難燃性を付与する用途には適さない場合がある。一方、融点が200℃以上では成形温度が高くなってしまうため、プロピレン系重合体や難燃剤が成形時の熱により劣化し、変色等の原因となると共に、難燃剤やその他の添加剤がポリプロピレン系樹脂組成物中に十分に拡散せず、外観にむらを起こしたり、十分な難燃性が得られない場合がある。また、プロピレン系樹脂の融点は、主として、原料として用いられるプロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンの種類、共重合比率、MFR等により、適宜制御することができる。なお、本明細書でいう「融点」とは、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter)により、測定された融解ピーク温度である。
なお、上記アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、13C-NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値であり、同位体炭素による核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR)を使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。すなわち、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレンモノマー単位が5個連続してアイソタクチック結合したプロピレン単位の分率である。具体的には、13C-NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中mmmmピークの強度分率をもってアイソタクチックペンタッド単位を測定し、測定には、例えば日本電子社製FT-NMRの270MHzの装置やその他同等の性能を有する測定装置が用いられる。
例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、バッチ重合法や連続重合法のいずれも用いることができ、所望により、二段及び三段等の複数段の連続重合法を用いてもよい。また、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に溶融混練することによっても、製造することができる。
また、プロピレン系樹脂(A)として使用可能なプロピレン系重合体は、種々の製品が多くの会社から市販されており、例えば日本ポリプロ社製のノバテックシリーズ等を挙げることができる。これら市販の製品から所望の物性を有する製品を購入し、使用することも可能である。
2-1.条件(B-1)
本発明に用いられる難燃剤(B)は、臭素化アルキルイソシアヌレート化合物である。本発明で難燃剤(B)として用いられる臭素化アルキルイソシアヌレート化合物は、親水性が高い構造を有している。
有機ハロゲン系難燃剤は、耐光剤と併用すると難燃剤と耐光剤が反応し、難燃剤の微量分解物によって耐光剤が失活する為に、耐光性が著しく損なわれることが知られているが、本発明では、難燃剤(B)として芳香族環に直接臭素が置換していない、親水性が高い構造を有する臭素化アルキルイソシアヌレートを用いることによって、難燃剤と耐光剤の反応が抑制され、耐光性の阻害効果が抑えられるという非常に優れた効果が得られる。
また、臭素化アルキルイソシアヌレート化合物と共に、その他のハロゲン系難燃剤や、リン系難燃剤などのハロゲン系難燃剤他の有機系難燃剤を本発明の効果を阻害しない範囲で使用することもできる。
3-1:条件(C-1)
本発明に用いられる難燃助剤(C)は、アンチモン化合物である。
アンチモン化合物は難燃剤(B)の臭素化アルキルイソシアヌレート化合物と反応し、難燃剤(B)の使用量が少ない場合でも、より高い難燃効果を発現することが可能となる、という理由で好ましい。
本発明で用いるアンチモン化合物としては、有機系難燃剤と併用することによって、より高い難燃性の相乗効果が得られるという理由から、三酸化アンチモンが好ましい。
これらのアンチモン化合物は、種々の市販品の中から所望の製品を入手し、使用することができる。
また、これらの難燃助剤(C)は単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
5-1.条件(E-1)
本発明に用いられる中和剤(E)は、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、ケイ酸アルミニウムカルシウム、周期律表第II族の金属の酸化物及び水酸化物、及びリチウムアルミニウム複合水酸化物塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である。これらの中では、金属石鹸及び/又はハイドロタルサイト類化合物の使用が好ましく、ハイドロタルサイト類化合物が特に好ましい。これは、高いイオン交換能を有するハイドロタルサイトが、難燃剤が分解して発生する酸性物質を中和するためであると考えられる。
[LiAl2(OH)6]2X・mH2O
(式中において、X は、CO3、SO4またはHPO4であり、m は0~3の数である。)
で示される化合物である。好適に使用されるリチウムとアルミニウムとの複合水酸化物塩を例示すると、例えば
[LiAl2(OH)6]2CO3・1.6H2O
[LiAl2(OH)6]2SO4・1.2H2O
[LiAl2(OH)6]2HPO4・1 .4H2O
などを挙げることができる。
また、これらの中和剤(E)は、種々の市販品が入手可能であるので、これらの中から所望の製品を入手し、使用することができる。
本発明に用いられる中和剤(E)がハイドロタルサイト類である。
上記した本発明に用いられる中和剤(E)の中でもハイドロタルサイト類を用いると、難燃剤が分解して発生する酸性物質を中和するため、さらに優れた耐光性を有する成形品を得ることができ特に好ましい。
条件(ア):
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、各成分の含有量は、プロピレン系樹脂(A)80~99.4重量%、難燃剤(B)0.5~15重量%、難燃助剤(C)0.1~5重量%(但し、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計は100重量%である)であり、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して耐光剤(D)が0.1~5重量部であり、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して中和剤(E)が0.05~3重量部であることを必須とする。各成分の配合量をこの様な範囲とすることにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体において、非常に高い難燃性と耐光性を発現し、かつ、成形加工時の難燃剤のブリード性を良好に保つのみならず、高温条件下での耐熱ブリード性を良好に保ち、良好な製品外観を得ることが可能となる。即ち、このような種々の特徴を同時に良好に保つことが可能であることが、本願発明の特徴である。
難燃材(B)の含有量を上記の範囲とすることにより、良好な難燃性を維持すると共に、成形時の難燃剤のブリード性を良好に保つのみならず、高温条件下での耐熱ブリード性を良好に保ち、成形体の外観を良好にするという効果が得られる。即ち、難燃剤(B)の配合量が本願規定の範囲を下まわると、十分な難燃性が得られない傾向となり、一方、本願規定の範囲を上まわると、成形時や成形体を高温条件下に保持した際のブリード物による成形体外観の悪化を生じる場合がある。
難燃助剤(C)の含有量を上記の範囲とすることにより、良好な難燃性を維持すると共に、良好な成形体を得ることが可能となる。即ち、難燃助剤(C)の配合量が本願規定の範囲を下まわると、十分な難燃性が得られない場合が有り、一方、本願規定の範囲を上まわると、難燃助剤(C)の凝集による成形不良を生じる場合がある。
耐光剤(D)の含有量を上記の範囲とすることにより、耐光性の改良効果が得られると共に、ブリ-ドアウトなどの問題を生じにくく、成形品の機械的性質などの物性に悪影響を及ぼすことがない。
中和剤(E)の含有量を上記の範囲とすることにより、耐光性が良好であると共に、成形加工時に金型表面に移行して汚染したりすることがない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、特に耐熱ブリード性を改良する目的で、下記条件(F-1)を満足するエチレン-α-オレフィン共重合体(F)を更に配合することができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体(F)に含まれるα-オレフィンは、炭素数3~8のα-オレフィンである。
本発明において用いられる、エチレン-α-オレフィン共重合体(F)は、炭素数3~8のα-オレフィンを、10~50重量%、好ましくは15~48重量%、特に好ましくは20~48重量%含有するものである。α-オレフィンの含有量が上記範囲であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂組成物として一般に求められる機械強度の中でも、衝撃強度と剛性に優れたものとなる。すなわち、α-オレフィンの含有量が上記範囲未満であると、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の衝撃強度が劣る場合があり、一方、上記範囲を超えるとポリプロピレン系樹脂組成物の合成が低下する傾向があるため、各々不適である。
ジエンとの3元共重合体の場合は、共重合するジエンとしては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン等を挙げることが出来る。具体的なエチレン-α-オレフィン共重合体の例は、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-ヘプテン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、例えば、エチレン-プロピレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-シクロペンタジエン共重合体のような、α-オレフィンの各種又は外の共単量体を10~50重量%を任意に組み合わせた、二元または三元の各種共重合体が挙げられる。上記エチレン-α-オレフィン共重合体は、各モノマーを触媒の存在下重合することにより製造される。触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウム-マグネシウム錯体、のような有機アルミニウム-マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒を使用することができる。重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。市販品を例示すれば、ジェイエスアール社製EDシリーズ、三井化学社製タフマーPシリーズ及びタフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズ、などを挙げることができ、これらはいずれも本発明において使用することができる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で用いるエチレン-α-オレフィン共重合体のMFR(230℃、2.16kg荷重で測定)は、0.1~40g/10分が好ましく、より好ましくは0.2~20g/20分である。MFRが上記の範囲にあると、成形性や塗装性が良好であり、耐衝撃性に優れる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、下記条件(イ)を満足することが好ましい。
条件(イ):
エチレン-α-オレフィン共重合体(F)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して0.1~15重量部である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、下記条件(G-1)を満足するポリエステル樹脂(G)を更に配合することができる。
ポリエステル樹脂(G)は、数平均分子量が1,000~500,000の脂肪族ポリエステル化合物である。
また、これらのポリエステル樹脂は、種々の市販品が入手可能であるので、これらの中から所望の製品を入手し、使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、下記条件(ウ)を満足することが好ましい。
条件(ウ):
ポリエステル樹脂(G)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して0.5~5重量部である。
本発明においては、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)、難燃助剤(C)、耐光剤(D)、中和剤(E)、エチレン-α-オレフィン共重合体(F)及びポリエステル樹脂(G)の他に、必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、例えば、発明効果を一層向上させ、他の効果を付与するなどのため、通常用いられる任意添加成分(H)を配合することができる。
具体的には、核剤、過酸化物などの分子量降下剤、顔料などの着色剤、フェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、非イオン系などの帯電防止剤、有機金属塩系などの分散剤、窒素化合物などの金属不活性化剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、可塑剤、滑剤、エラストマー(ゴム成分)、難燃助剤(C)に該当しない難燃助剤、プロピレン系樹脂(A)以外のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂、ガラス繊維、炭素繊維などのフィラー、難燃剤(B)以外の水和金属化合物などの無機系の難燃剤などを挙げることができる。
本発明で使用することができる核剤としては、タルク、ミョウバン、シリカ、カーボンブラック、粘土鉱物などの充填剤としても使用される無機化合物や、ソルビトール系などの一般によく使用される造核剤を使用することができる。
これらの核剤は単独でも使用してもよく2種類以上を併用してもよい。
具体例として、有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、t-ブチルパーアセテート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチル-ジ-パーアジペート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、メチル-エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルキュミルパーオキサイド、1,1-ビス-(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス-t-ブチルパーオキシブタン、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジ-イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、p-サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラ-メチルブチルハイドロパーオキサイド及び2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(ハイドロパーオキシ)ヘキサンのグループから選ばれる1種または2種以上からなるものを挙げることができる。なお、これらに限定されるものではない。
具体例として、無機系顔料としては、ファーネスカーボン、ケッチェンカーボンなどのカーボンブラック;クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物などが挙げられ、有機系顔料としては、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレート;その他のアゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレン;チオインジゴなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などが挙げられる。また、メタリック調やパール調にするには、アルミフレーク;パール顔料を含有させることができる。また、染料を含有させることもできる。
具体例としては、ベンゾトリアゾール系としては、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、ベンゾフェノン系としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、サリシレート系としては、4-t-ブチルフェニルサリシレート;2,4-ジ-t-ブチルフェニル3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
ここで、前記耐光剤(D)と紫外線吸収剤とを併用すると、耐光性、耐久性などの向上効果が大きく好ましい。
本発明で使用することができる帯電防止剤として、例えば、非イオン系やカチオン系などの帯電防止剤は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体の帯電防止性の付与、向上に有効である。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などがあり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。好ましくは無水マレイン酸である。
該酸変性ポリオレフィンの酸変性量(グラフト率という場合がある。)は、特に限定されないが、好ましくは酸変性量が無水マレイン酸換算で、0.05~10重量%、より好ましくは0.07~5重量%である。
好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
ヒドロキシ変性ポリオレフィンを構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4-メチルペンテン-1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα-オレフィンの単独または共重合体、前記α-オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。
なお、これらの変性ポリオレフィンは2種以上併用してもよい。
これらの任意成分は、種々の製品が多くの会社から市販されているので、所望の製品を入手し、使用することが可能である。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、各成分を前記配合割合で、従来公知の方法で配合し、溶融混練する混練工程を経ることにより製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー、撹拌造粒器などの混練機器を用いて(半)溶融混練し造粒する。(半)溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練してもよく、また必要に応じて各成分を分割して混練する。すなわち、例えば、先ずプロピレン系樹脂(A)及び難燃剤(B)、難燃助剤(C)の一部または全部とを混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
本発明の成形体は、上記した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体である。本発明の成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、例えば、射出成形(ガス射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、シート成形及び中空成形などの周知の成形方法にて成形することによって得ることができる。この内、射出成形または射出圧縮成形にて得ることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体は、自動車部品、電機部品、容器包装部材、建築用部材、大型部材等に好適に利用できる。
電気部品分野においては、炊飯ジャー、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、扇風機、エアコン等の家電部品、建築用部材においては化粧台、換気扇、便座、便蓋、及び付属品として使用される機器のハウジング類等の住宅設備用機器部品等の用途として使用することができる。中でも自動車用部部品としては、インストルメントパネル、ピラー等の内装部品や、バンパー等の外装部品に好適に用いることができる。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は以下の通りである。
(1)耐光性:射出成型機(株式会社東芝社製、EC20)にて200℃、金型温度40℃で成形した80×60×2mmの成形品から縦20mm横20mmに試験片を切り出し、メタルハライド式耐光性試験機(岩崎電気社製、アイスーパーUVテスター「型式:SUV-W13、照度950W/cm2」)を用いて紫外線(UV光)を50時間、100時間それぞれ照射した。その後、試験片の照射表面の50倍の顕微鏡による観察、および分光測色計(コニカミノルタ社製CM-700d)による照射前の試験片と照射後の試験片とのE値の変化(ΔE)の測定から、下記の基準で評価した。
◎:100時間照射後にクラックが発生せず、かつ100時間照射後のΔE≦3である
○:100時間照射後にクラックが発生せず、かつ100時間照射後のΔE>3である
△:100時間照射後にクラックが発生したが、50時間照射後にはクラックが発生していなかったので、実用可能
×:50時間照射後にクラックが発生し、実用不可
なお、50時間照射後にクラックが発生している場合は評価をその段階で中止した。
(2)耐熱ブリード性:射出成型機(株式会社東芝社製、EC20)にて200℃、金型温度40℃で成形した80×60×2mmの試験片を80℃に調整したオーブン中に400時間暴露した後、ブリード物の有無を試験片表面を垂直方向から目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:ブリードが全く発生しなかった
○:わずかに粉状のブリード物が析出しているものの、試験片表面の全体に光沢の低下がみられなかった
△:粉状のブリード物が析出し、試験片表面の一部に光沢の低下がみられたが、実用可能
×:ブリード物の結晶が前面に析出し、実用不可
(3)垂直燃焼速度:射出成型機(株式会社東芝社製、IS100GN)にて200℃、金型温度40℃で成形した125×13×2mmの試験片を、ドラフトフリー環境の箱内で上端をクランプで掴み垂直方向に固定した。JIS-C60695-11-4に規定された公称50W標準試験炎を試験片の下端に15秒間接炎し、試験片を着火した。炎が試験片の下端から20mmの位置に到達した時点から100mmの位置に到達した時点までの時間を計測し以下の式(1)に従って垂直燃焼速度を求めた。
垂直燃焼速度(mm/min)=80×60/炎が試験片の下端から20mmの位置に到達した時点から100mmの位置に到達した時点までの時間(s)・・・式(1)
炎が試験片の下端から100mmの位置に到達する前に消火した場合、および着火しなかった場合は自消とした。
上記の結果に基づき、以下の評価を行った。
○:自消、または垂直燃焼速度が50mm/min以下
△:垂直燃焼速度が50mm/minを超え、100mm/min以下
×:垂直燃焼速度が100mm/minを超える
(4)総合判定:(1)耐光性、(2)耐熱ブリード性、(3)垂直燃焼速度の評価結果をもとに、以下の基準で判定した。
◎:各評価に×及び△が無く、かつ◎が2項目以上
○:各評価に×及び△が無く、かつ◎が2項目未満
△:各評価に×が無く、かつ△が1項目以上
×:各評価の何れか1項目以上に×が有る
(5)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠し、測定温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
(A):プロピレン系樹脂
A-1:プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体(日本ポリプロ製、ニューコンNBC03HRA、MFR=30g/10min)
A-2:プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体(日本ポリプロ製、ノバテックBC03C、MFR=30g/10min)
A-3:プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体(日本ポリプロ製、ノバテックBC10HRF、MFR=100g/10min)
A-4:プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体(燕山石化製、K9829H、MFR=29g/10min)
A-5:プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体(燕山石化製、K7726H、MFR=26g/10min)
A-6:プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体(燕山石化製、K7100、MFR=100g/10min)
A-7:プロピレン単独重合体(SABO社製、SABOSTAB UV91 50PP(耐光剤のマスターバッチ)中のベース樹脂成分、MFR=10g/10min)
(B):難燃剤
B-1:トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート (鈴裕化学社製 ファイアカットP-660)
B-2:ビス[3,5-ジブロモ-4-(2、3-ジブロモプロピオキシ)フェニル]スルホン (丸菱油化工業社製 ノンネン52)
B-3:2,2-ビス[3,5-ジブロモ-4-(2,3-ジブロモプロピオキシ)フェニル]プロパン (鈴裕化学社製 ファイアカットP-680)
B-4:1,2-ビス(2,3,4,5,6-ペンタブロモフェニル)エタン (アルベマール社製 Saytex8010)
なお、B-2,B-3及びB-4は本願既定の範囲外の難燃剤である。
(C):難燃助剤
C-1:三酸化アンチモン(鈴裕化学社製、ファイアカットAT3)
(D):耐光剤
D-1:2.2.6.6-テトラメチル-4-ピペリジニルステアレート(SABO社製、SABOSTAB UV91 50PP中の耐光剤成分)
D-2:ビス(2.2.6.6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(BASF社製、TINUVIN770DF)
D-3:テトラキス(1.2.2.6.6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1.2.3.4-ブタンテトラカルボキシラート(ADEKA社製、アデカスタブLA-52)
D-4:デカン二酸ビス(2.2.6.6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル(BASF社製、TINUVIN123)
なお、D-2,D-3及びD-4は本願既定の範囲外の難燃剤である。
(E):中和剤
E-1:ステアリン酸カルシウム(日油製、カルシウムステアレート)
E-2:ハイドロタルサイト(共和化学製、DHT-4A)
(F):エチレン-α-オレフィン共重合体
F-1:エチレン-1-オクテン共重合物(DOW社製、エンゲージ8200)
(G):ポリエステル樹脂
G-1:ポリカプロラクトン(鈴裕化学社製、ヒロマスターBC-7A、数平均分子量70,000(但し数平均分子量は、カタログ値))
(H):任意添加成分
H-1:ペンタエリスリトール=テトラキス[3-(3‘.5’-ジ-tert-ブチル-4‘-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASF社製、Irganox1010)(酸化防止剤)
H-2:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト(BASF社製、Irgafos168)(酸化防止剤)
H-3:2-(2‘-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5‘-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(BASF社製、TINUVIN326)(紫外線吸収剤)
H-4:リン酸=2,2‘-メチレンビス(4.6-ジ-tert-ブチルフェニル)ナトリウム(ADEKA社製、アデカスタブNA-11)(核剤)
表1及び表2に示す成分を、表1及び表2に示す割合にて、スーパーミキサーにてドライブレンドした後、押し出し温度200℃、吐出量20kg/hの条件で二軸押出し機(日本製鋼所製、TEX30)を用いて溶融混練した。溶融混練後、前記の方法にて試験片を作成し、各評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
(1)実施例1~3
表1及び表2から明らかなように、実施例1~3は本願発明の請求項1の各要件を満たしており、難燃剤、難燃助剤、耐光剤、中和剤の組み合わせにより特異的に耐光性、耐熱ブリード性、垂直燃焼速度のバランスに優れた良好な成形品が得られた。
(2)実施例4~12
実施例4~12では中和剤としてハイドロタルサイトを添加することで、実施例1~3と比較してさらに優れた耐光性を有する成形品が得られた。これは、高いイオン交換能を有するハイドロタルサイトが、耐光試験時に難燃剤が分解して発生する酸性物質を中和するためであると考えられる。
(3)実施例6、10
実施例6、10ではエチレン-α-オレフィン共重合体を添加することで、実施例1~5、9と比較してさらに優れた耐熱ブリード性を有する成形品が得られた。これは、非晶性のエチレン-α-オレフィン共重合体が難燃剤を相溶することで難燃剤がブリードアウトすることを抑制しているものと考えられる。
(4)実施例7、8、11、12
実施例7、8、11、12ではポリエステル樹脂を添加することで、実施例1~6、9、10と比較してさらに優れた耐熱ブリード性を有する成形品が得られた。これは、親水性のポリエステル樹脂が難燃剤をさらに良く相溶することで、難燃剤がブリードアウトすることを抑制している為と考えられる。
(5)比較例1
比較例1では実施例1と比較して、難燃剤と難燃助剤を添加していないことで、垂直燃焼速度が100mm/min以上となり難燃性が悪化した。
(6)比較例2~7
比較例2~4では実施例1と比較して、本発明の要件と異なる種類の難燃剤を添加したことで、耐光性が著しく悪化した。また比較例5~7では実施例1と比較して、本発明の要件と異なる種類の耐光剤を添加したことで、耐光性が著しく悪化した。耐光試験時に難燃剤が微量分解することで発生する酸性物質が、塩基性の耐光剤との間に塩を形成して失活させることは一般的に知られており、本発明の難燃剤および耐光剤の組み合わせは、それぞれの親水性、疎水性の特異的なバランスのために、不均一系であるポリプロピレン系樹脂組成物中で異なる領域に存在することで耐光剤の失活を防ぐことができると考えられる。特に比較例5,6では実施例1と比較して耐ブリード性が悪化した。これは本発明の耐光剤が室温付近に融点を持っているため、成形品の表面で難燃剤のブリード白化を抑制すると考えられる。
(7)比較例8
比較例8では、耐光剤の添加量が本発明の要件より少ないことで、耐候性が悪化した。
Claims (5)
- 下記の条件(A-1)を満足するプロピレン系樹脂(A)と、下記の条件(B-1)を満足する難燃剤(B)と、下記の条件(C-1)を満足する難燃助剤(C)と、下記の条件(D-1)を満足する耐光剤(D)と、下記の条件(E-1)を満足する中和剤(E)とを含有し、かつ下記条件(ア)を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(A-1)
プロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体及びプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン系樹脂である。
条件(B-1)
難燃剤(B)は、臭素化アルキルイソシアヌレート化合物である。
条件(C-1)
難燃助剤(C)は、アンチモン化合物である。
条件(D-1)
耐光剤(D)は、下記式(I)で表されるヒンダードアミン化合物である。
式(I)
(式中、R1は、水素原子または直鎖の炭素原子数1~30のアルキル基を表し、R2は炭素原子数1~30のアルキル基、または炭素原子数2~30のアルケニル基を表す。)
条件(E-1)
中和剤(E)は、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、ケイ酸アルミニウムカルシウム、周期律表第II族の金属の酸化物及び水酸化物、及びリチウムアルミニウム複合水酸化物塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である。
条件(ア)
各成分の含有量が、プロピレン系樹脂(A)80~99.4重量%、難燃剤(B)0.5~15重量%、難燃助剤(C)0.1~5重量%(但し、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計は100重量%である)であり、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して耐光剤(D)が0.1~5重量部であり、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対して中和剤(E)が0.05~3重量部である。 - 中和剤(E)が、下記条件(E-2)を更に満足する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(E-2)
中和剤(E)がハイドロタルサイト類である。 - 下記条件(F-1)を満足するエチレン-α-オレフィン共重合体(F)を更に含有し、かつ下記条件(イ)を満足する請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(F-1)
エチレン-α-オレフィン共重合体(F)に含まれるα-オレフィンは、炭素数3~8のα-オレフィンである。
条件(イ)
エチレン-α-オレフィン共重合体(F)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対してエチレン-α-オレフィン共重合体(F)0.1~15重量部である。 - 下記条件(G-1)を満足するポリエステル樹脂(G)を更に含有し、かつ下記条件(ウ)を満足する請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
条件(G-1)
ポリエステル樹脂(G)は、数平均分子量が1,000~500,000の脂肪族ポリエステル化合物である。
条件(ウ)
ポリエステル樹脂(G)の含有量が、プロピレン系樹脂(A)、難燃剤(B)及び難燃助剤(C)の合計100重量部に対してポリエステル樹脂(G)0.5~10重量部である。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体。
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