JP7352526B2 - ステアバイワイヤ式のステアリング装置 - Google Patents
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Description
例えば、シフト位置がドライブレンジD(前進状態)であったとしても、クリープトルクに勝る登り傾斜の場合、車両のずり下がり、つまり、後進が発生する場合がある。
また、坂道で不意な加速を防ぐために、シフト位置をニュートラルレンジNとした状態で車両を前進または後進させる場合があるが、この場合、ニュートラルレンジNは前進及び後進のいずれでもないため、車両の進行方向に応じた適切なステアリングギヤ比を設定できない。
また、本発明によれば、その1つの態様において、ステアリングギヤ比変更部は、車両の停止状態で前記車両のシフトレバーの位置がニュートラルあるいはリバースであるときに、前記ステアリングギヤ比を、前記車両が後進するときの前記ステアリングギヤ比とする。
図1は、自動車などの車両100に取り付けられるステアバイワイヤ式のステアリング装置200の一態様を示すシステム構成図である。
そして、ステアリング装置200は、ステアリングホイール310を備える操舵入力装置300と、操舵アクチュエータ装置400とで構成される。
操舵制御装置420は、MPU(Microprocessor Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むマイクロコンピュータを主体とする電子制御装置であって、ステアリングホイール310の操作角δの情報などを操舵入力装置300から取得する。
車輪速センサ503-506は、車輪101-104の回転方向(正転/逆転)の検知機能を備えたセンサであり、車輪101-104の回転方向の情報を含む車輪速の情報をそれぞれ出力する。
そして、操舵制御装置420は、取得した各種情報に基づき目標操舵角θtgを求め、前輪101,102の操舵角θが目標操舵角θtgに近づくように、操舵アクチュエータ410が発生する操舵力を制御する。
ステアリングシャフト320は、ステアリングホイール310の回転に伴って回転するが、前輪101,102とは機械的に分離されている。
ステアバイワイヤ式のステアリング装置200では、上記の反力アクチュエータ330を備えることで、車両100の運転者がステアリングホイール310を操舵操作することで発生する操作トルクと、反力アクチュエータ330が発生する操作反力との差分によって、ステアリングホイール310が回される。
反力制御装置350は、MPU(Microprocessor Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むマイクロコンピュータを主体とする電子制御装置であって、CAN(Controller Area Network)などによって操舵制御装置420と通信可能に構成されている。
そして、反力制御装置350は、操舵アクチュエータ410の位置情報などに基づき目標操作反力、換言すれば、目標操作負荷を演算し、演算した目標操作反力に基づき反力アクチュエータ330が発生する反力トルクを制御する。
操舵制御装置420は、ステアリングホイール310の操作角δの検出値及びステアリングギヤ比RSの設定値に基づき目標操舵角θtgを算出し、前輪101,102の操舵角θが目標操舵角θtgに近づくように操舵アクチュエータ410を制御する。
したがって、ステアリングギヤ比RSが小さいほど操作角δに対する操舵角θが大きくなり、ステアリングホイール310を少し回すことで前輪101,102の切れ角が大きく変化する。
一方、ステアリングギヤ比RSが大きいほど操作角δに対する操舵角θが小さくなり、ステアリングホイール310を大きく回さないと前輪101,102の切れ角が変化しないことになる。
しかし、前輪101,102とステアリングホイール310とが機械的に分離したステアバイワイヤ式のステアリング装置200の場合、ステアリングギヤボックスは存在しないため、ステアリングギヤ比RSは、ギヤボックスの減速比を表すものではなく、操舵制御装置420における目標操舵角θtgの演算に用いる係数であって、任意に設定可能なデータである。
詳細には、操舵制御装置420は、車速が小さくなるほどステアリングギヤ比RSを小さくするステアリングギヤ比可変部421と、ステアリングギヤ比可変部421により車速に応じて生成されたステアリングギヤ比RSを、車両100の進行方向に関する車両挙動に基づいて変更するステアリングギヤ比変更部422とを備える。
そして、ステアリングギヤ比変更部422は、車両100の進行方向に関する車両挙動に基づき、車両100が後進しているか否かを判別し、ステアリングギヤ比RSを、前進用のステアリングギヤ比RSFと、前進用のステアリングギヤ比RSFよりも大きい後進用のステアリングギヤ比RSRとに切り替える。
なお、操舵制御装置420は、図2のフローチャートに示すルーチンを時間割り込みで一定時間毎に実行する。
次いで、操舵制御装置420は、ステップS802で、車速が小さくなるほどステアリングギヤ比RSを小さく設定する。
ここで、操舵制御装置420は、車速を、車輪速センサ503-506が検出する各車輪速から求めることができ、また、車速センサから車速の情報を取得することもできる。
操舵制御装置420は、例えば、車輪速センサ503-506が備える車輪101-104の回転方向の検知機能を用いて、車輪101-104が逆転方向に回転しているときに車両100の後進を判断する。
更に、操舵制御装置420は、車輪速の情報、及び/または、ステレオカメラ507が撮影した画像の解析結果とともに、前後加速度及び/またはシフト位置の情報を総合的に判断して、換言すれば、車両100の進行方向に関する車両挙動の情報を複数組み合わせて、車両100が後進しているか否かを判別することができる。
ここで、車両100が後退していない状態は、車両100が前進するとき及び車両100が停止しているときを含むので、前進用のステアリングギヤ比RSFは、車両100の前進状態及び停止状態で適用されることになる。
つまり、操舵制御装置420(ステアリングギヤ比変更部422)は、車両100が前進するとき、ステアリングギヤ比RSを、車両100が停止しているとき(換言すれば、車両挙動が変化する前)のステアリングギヤ比RS以下に変更する。
但し、操舵制御装置420は、ステップS804で、例えば、ステップS802において設定したステアリングギヤ比RSに係数を乗算して、あるいは、ステップS802において設定したステアリングギヤ比RSから所定値を加算又は減算して、前進用のステアリングギヤ比RSFを求めることができる。
つまり、操舵制御装置420(ステアリングギヤ比変更部422)は、車両100が後進するときは、ステアリングギヤ比RSを、車両100が前進または停止しているとき(換言すれば、車両挙動が変化する前)のステアリングギヤ比RSよりも大きく変更する。
また、操舵制御装置420は、ステップS804で、ステップS802において設定したステアリングギヤ比RSを前進用のステアリングギヤ比RSFに変換する演算を行う場合、ステップS805で、前進用のステアリングギヤ比RSFよりも所定値だけ大きくなるように、ステップS802において設定したステアリングギヤ比RSを補正する演算を行なうことができる。
次いで、操舵制御装置420は、ステップS807で、前輪101,102の操舵角θが目標操舵角θtgに近づくように操舵アクチュエータ410を制御する。
図3の時刻t1から車両100が後進し始めると、ステアリングギヤ比RSは、前進用のステアリングギヤ比RSFから、前進用のステアリングギヤ比RSFよりも大きな(換言すれば、スローな)後進用のステアリングギヤ比RSRに切り換えられる。
また、操舵制御装置420は、進行方向に関する車両挙動に基づき車両100の進行方向を判別するから、シフト位置に基づきステアリングギヤ比RSを切り替える場合に比べて、車両100の進行方向に応じた適切なステアリングギヤ比RSを安定して設定することができる。
このときに、シフト位置に基づき前進用のステアリングギヤ比RSFが操舵角制御に用いられると、実際には車両100は後進しているため、ステアリングホイール310の操作に対する操舵角θの変化が過敏になって、運転者が意図するラインに操縦することが難しくなる。
このため、操舵制御装置420は、シフト位置がドライブレンジDであっても車両100が後進するときには、後進用のステアリングギヤ比RSRを用いて操舵角制御を行なうことができ、車両100が後進するときに運転者が意図するラインに操縦することが容易になる。
しかし、操舵制御装置420は、シフト位置をニュートラルレンジNであっても、車両100が後進するときには後進用のステアリングギヤ比RSRに基づき操舵角θを制御でき、運転者が意図するラインに操縦することが容易になる。
なお、操舵制御装置420は、図4のフローチャートに示すルーチンを時間割り込みで一定時間毎に実行する。
つまり、操舵制御装置420は、ステップS901で、操作角δの情報、シフト位置、車輪速情報などの車両100の進行方向に関する車両挙動の情報を取得し、次のステップS902で、車速が小さくなるほどステアリングギヤ比RSを小さく設定する。
操舵制御装置420は、ステップS903で車両100が後進していると判断すると、ステップS904に進み、ステアリングギヤ比RSとして、前進用のステアリングギヤ比RSFよりも大きい後進用のステアリングギヤ比RSRを選択する。
操舵制御装置420は、ステップS905で車両100が前進していると判断すると、ステップS906に進み、ステアリングギヤ比RSとして、後進用のステアリングギヤ比RSRよりも小さい前進用のステアリングギヤ比RSFを選択する。
ここで、操舵制御装置420は、ステップS903で車両100が後進していないと判断し、更に、ステップS905で車両100が前進していないと判断しているので、車両100が停止しているとき、換言すれば、車速(車輪速)が零であるときに、ステップS907に進むことになる。
そして、シフト位置がリバースレンジRまたはニュートラルレンジNであるとき、操舵制御装置420は、ステップS908に進み、ステアリングギヤ比RSとして、前進用のステアリングギヤ比RSFよりも大きい後進用のステアリングギヤ比RSRを選択する。
つまり、シフト位置がリバースレンジRまたはニュートラルレンジNの状態で停止している場合、操舵制御装置420は、次に車両100が後進することに備えて、予め後進用のステアリングギヤ比RSRを選択しておく。
一方、シフト位置がリバースレンジRまたはニュートラルレンジNではない場合は、係るシフト位置のまま車両100が後進するようになることは稀であるため、操舵制御装置420は、前進用のステアリングギヤ比RSFを選択することで、次に車両100が前進し始めたときに、当初から前進状態に適合するステアリングギヤ比RSFに基づき操舵制御を実施できる。
次いで、操舵制御装置420は、ステップS911で、前輪101,102の操舵角θが目標操舵角θtgに近づくように操舵アクチュエータ410を制御する。
なお、シフト位置は、ドライブレンジD、ニュートラルレンジN、リバースレンジRの順であり、ドライブレンジDとリバースレンジRとの間での切り替えが、ニュートラルレンジNを経て行われる。
そして、リバースレンジRで車両100を後進させてから停止させ、停止状態の時刻t3でリバースレンジRからニュートラルレンジNに切り替えられ、続けて時刻t4でニュートラルレンジNからドライブレンジDへの切り換えが実施され、その後、車両100をドライブレンジDで前進させる。
そして、車両100をリバースレンジRで後進させるときの操舵制御において、操舵制御装置420は、後進用のステアリングギヤ比RSRに基づき目標操舵角θtgの演算を行なうことで、ステアリングホイール310の操舵操作に対して実操舵角がスローに動く状態として、運転者が意図するラインに操縦できるようにする。
そして、車両100をドライブレンジDで前進させるときの操舵制御において、操舵制御装置420は、前進用のステアリングギヤ比RSFに基づき目標操舵角θtgの演算を行なうことで、車両100が前進するときの操縦性を確保する。
このとき、車両100が停止状態でなく動いていると(換言すれば、車両100が前進または後進していると)、車両100の進行方向が運転者の操舵操作とは無関係に急に変わることになってしまう。
つまり、操舵速度変更部423は、ステアリングギヤ比RSの切り替えに伴って目標操舵角θtgが急変したときに、操舵角θが目標操舵角θtgに追従して変化するときの変化速度を、そのときの車速が大きいほど遅くする。
そこで、操舵速度変更部423は、操舵角θが目標操舵角θtgに追従して変化するときの変化速度を、そのときの車速が大きいほど遅くすることで、車両100の向きが急変することを抑止しつつ操舵角θを目標操舵角θtgに追従させる。
また、操舵制御装置420(操舵速度変更部423)は、ステアリングギヤ比RSの切り替えに伴って急変する目標操舵角θtgに対して遅れて変化する目標操舵角θtgRを設定し、この目標操舵角θtgRに基づき操舵角θを制御することで、操舵角θの変化速度を遅くすることができ、目標操舵角θtgRの過渡応答速度を可変とすることで車速に応じた変化速度に制御できる。
係る操舵速度変更部423によれば、ステアリングギヤ比変更部422によるステアリングギヤ比RSの切り替えに伴って目標操舵角θtgが急変しても、車両100の進行方向が運転者の操舵操作とは無関係に急変することを抑止でき、運転者による操縦性を改善できる。
図6の例では、第1車速(例えば、第1車速=5km/h)を下回る低車速域で、車速の低下に伴って変化速度RCを漸増させ、第1車速よりも低い第2車速(例えば、第2車速=2km/h)で変化速度RCを最大値RCmaxとし、第2車速以下で変化速度RCを最大値RCmaxに保持させる。
図7に示す運転パターンでは、車両100の進行方向を前進から後進に切り替えるため、シフト位置が、ドライブレンジDからニュートラルレンジNを経てリバースレンジRに切り替えられ、係るシフト操作に伴ってステアリングギヤ比RSが、前進用のステアリングギヤ比RSFから後進用のステアリングギヤ比RSRに切り替えられる。
ここで、操舵速度変更部423は、操舵角θが目標操舵角θtgに追従して変化するときの変化速度を、そのときの車速が大きいほど遅くする。
車速が極端に遅い場合は所謂据え切り状態であり、操舵角θの応答速度が速くても、車両100の進行方向が急変することは抑止される。
一方、車速が増した状態で、ステアリングギヤ比RSの切り替えに伴う目標操舵角θtgが急変に操舵角θを応答よく追従させると、車両100の進行方向が急変する場合があるので、操舵速度変更部423は、応答速度を小さくすることで車両100の進行方向が急変することを抑止する。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
また、ステアリングギヤ比変更部は、車両の進行方向に関する車両挙動として車両100の位置情報を用い、車両100の前進、後進を判断することができる。
また、ステアバイワイヤ式のステアリング装置200は、レーダを備えることができ、ステアリングギヤ比変更部は、レーダの検出情報を車両の進行方向に関する車両挙動の情報として用いて、車両100の前進、後進を判断することができる。
また、ステアリングギヤ比変更部は、スポーツモードなどのモード選択に応じてステアリングギヤ比RS(前進用のステアリングギヤ比RSF及び/または後進用のステアリングギヤ比RSR)を変更することができる。
Claims (4)
- 車両に取り付けられるステアバイワイヤ式のステアリング装置であって、
操舵操作入力部材を備える操舵入力装置と、
制御装置であって、
前記車両の車速が小さくなるほど前記車両のタイヤの操舵角に対する前記操舵操作入力部材の操作角の比であるステアリングギヤ比を小さくするステアリングギヤ比可変部と、
前記ステアリングギヤ比可変部によって生成された前記ステアリングギヤ比を、前記車両の進行方向に関する車両挙動に基づいて変更するステアリングギヤ比変更部と、
を有する前記制御装置と、
を備え、
前記ステアリングギヤ比変更部は、
前記車両が前進するとき、前記ステアリングギヤ比を、前記車両挙動が変化する前の前記ステアリングギヤ比以下に変更し、
前記車両が後進するとき、前記ステアリングギヤ比を、前記車両挙動が変化する前の前記ステアリングギヤ比よりも大きく変更する、
ステアバイワイヤ式のステアリング装置。 - 請求項1に記載のステアバイワイヤ式のステアリング装置であって、
前記ステアリングギヤ比変更部は、
前記車両の車輪の回転方向の情報を含む車輪速の検出情報を取得し、取得した車輪速の検出情報に基づいて前記車両が前進するか後進するかを判別する、
ステアバイワイヤ式のステアリング装置。 - 請求項1記載のステアバイワイヤ式のステアリング装置であって、
前記制御装置は、
前記ステアリングギヤ比変更部が前記ステアリングギヤ比を変更するときに、前記車両の車速が大きくなるほど前記車両のタイヤの操舵角の変化速度を遅くする操舵速度変更部を更に有する、
ステアバイワイヤ式のステアリング装置。 - 車両に取り付けられるステアバイワイヤ式のステアリング装置であって、
操舵操作入力部材を備える操舵入力装置と、
制御装置であって、
前記車両の車速が小さくなるほど前記車両のタイヤの操舵角に対する前記操舵操作入力部材の操作角の比であるステアリングギヤ比を小さくするステアリングギヤ比可変部と、
前記ステアリングギヤ比可変部によって生成された前記ステアリングギヤ比を、前記車両の進行方向に関する車両挙動に基づいて変更するステアリングギヤ比変更部と、
を有する前記制御装置と、
を備え、
前記ステアリングギヤ比変更部は、
前記車両の停止状態で前記車両のシフトレバーの位置がニュートラルあるいはリバースであるときに、前記ステアリングギヤ比を、前記車両が後進するときの前記ステアリングギヤ比とする、
ステアバイワイヤ式のステアリング装置。
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