JP7351258B2 - 加水分解性オルガノシラン化合物及び室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤 - Google Patents

加水分解性オルガノシラン化合物及び室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤 Download PDF

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本発明は、新規な加水分解性オルガノシラン化合物に関するものであり、特に加水分解によって、脱離基としてアセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を放出する加水分解性オルガノシラン化合物及び室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤に関する。
従来から、縮合硬化型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物については、主として、ベースポリマーである分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合したヒドロキシ基)で封鎖されたオルガノポリシロキサンに対して架橋剤として加水分解性基を有するオルガノシラン化合物を用いて分子鎖末端のシラノール基を加水分解性シリル基で封鎖し、密閉容器に充填した一液タイプの製品と、ベースポリマーと加水分解性基を有する架橋剤とを別々の容器に分けて保管し、使用直前に混合することで、硬化性を向上させた二液タイプの製品が知られている。
大気中の水分又は湿気による加水分解・縮合反応によって室温(23℃±15℃)でエラストマー状に硬化(架橋)する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、加水分解・縮合反応によって架橋剤から脱離して組成物外(系外)に放出される化合物のタイプによって大まかに分類され、種々のものが公知であるが、特に広く使用されているものとしては、加水分解・縮合反応によってメタノール等のアルコール化合物を放出する架橋剤を使用した脱アルコールタイプのものと、2-ブタノンオキシム等のオキシム化合物を放出する架橋剤を使用した脱オキシムタイプのものである。
これらの架橋剤を使用した縮合硬化型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化して得られる硬化物(シリコーンゴム硬化物)は、耐久性やゴム物性、各種の基材に対する接着性などに優れ、すでに建築分野、自動車分野、電気電子分野など幅広い用途にすでに使用されている。
一方で、これらの組成物では、湿気硬化時に放出される脱離基(脱離化合物)が、劇物であるメタノールや、発がん性を疑われる2-ブタノンオキシムなどであり、近年の作業員の安全性確保や環境保護の観点から、より安全性の高い脱離基(脱離化合物)に代替することが求められている。
特表2018-515634号公報では、脱アルコール型、脱オキシム型架橋剤の代替として、乳酸エチル等を代表とするα-ヒドロキシカルボン酸エステル化合物を脱離・放出するシラン化合物を架橋剤として含有する縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物を提案している。こちらの系では脱離基である乳酸エチルは安全性の高い化合物である一方、縮合触媒として有機錫系触媒の使用を必須としているが、該有機錫系触媒は水生生物等に対する有害性が指摘されているため環境保護の観点から好ましくない。
特公昭51-39673号公報では、アセトンを代表とするケトン系化合物を放出する縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物を提案している。アセトンは2-ブタノンオキシムやメタノールと比較して、人体に対して有害性の低い化合物であり、さらに従来の硬化システムよりも速硬化で、かつ耐久性に優れるシリコーンゴム硬化物を与える組成物を提供している。しかし、アセトンの引火点は-20℃と低く、揮発性が高いため、使用環境に制限があるという問題がある。
特公平6-86572号公報では、鎖長延長剤としてアセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を放出する2官能性のシランカップリング剤を使用した縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物を提案しているが、この報告例の組成物では3次元の架橋構造を形成してエラストマー硬化物を得るために、メタノールや2-ブタノンオキシムを放出する既存の3官能性以上の脱アルコール型や脱オキシム型の架橋剤が必要となる。
特表2018-515634号公報 特公昭51-39673号公報 特公平6-86572号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、加水分解・縮合反応の際に、安全性に優れた脱離基(脱離化合物)である、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を放出しながら、良好なゴム物性、速硬化性を与える室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を与えることができる架橋剤として有用な、新規の加水分解性オルガノシラン化合物及び室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、加水分解によって、人体にとって毒性の低い、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を放出する有機ケイ素化合物(加水分解性オルガノシラン化合物)が、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤として適用した場合に、安全性に優れ、従来の硬化タイプ(脱アルコールタイプや脱オキシムタイプ)の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物と同等以上のゴム物性及び速硬化性を発現する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を与えることができることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤(硬化剤)として有用な下記の新規加水分解性オルガノシラン化合物、及び室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤を提供するものである。
[1]
下記一般式(1)で示される加水分解性オルガノシラン化合物。
Figure 0007351258000001
(式中、R1 は独立に炭素数1~6のアルキル基、ビニル基、アリル基又はフェニル基であり、3 は独立にメチル基又はエチル基であり、R2 は独立にメチル基又はエトキシ基あり、nは3である。)
[2]
加水分解によってβ-ケトエステル化合物を脱離するものである[1]に記載の加水分解性オルガノシラン化合物。
[3]
β-ケトエステル化合物が、アセト酢酸エチル又はマロン酸ジエチルである[2]に記載の加水分解性オルガノシラン化合物。
[4]
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤用である[1]~[3]のいずれかに記載の加水分解性オルガノシラン化合物。
[5]
[1]~[3]のいずれかに記載の加水分解性オルガノシラン化合物からなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤。
このような加水分解によって生じる脱離基(脱離化合物)として、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を脱離する有機ケイ素化合物(加水分解性オルガノシラン化合物)を室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤(硬化剤)として用いれば、特に速硬化性を有し、ゴム物性に優れた硬化物を与えるものとすることができる。
なお、前記加水分解性オルガノシラン化合物において、加水分解によって生じる脱離基(脱離化合物)が、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸フェニル、アセト酢酸ベンジル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジペンチル、マロン酸ジアリル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ジベンジル等のβ-ケトエステル化合物であることが好ましい。これらの化合物は、一部食品添加物や香料として使用されていることから、安全性の高い化合物である。
本発明の加水分解性オルガノシラン化合物は、脱離基(脱離化合物)としてより安全性の高い化合物を放出し、特に室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤として使用した場合に、該組成物は、硬化性に優れ、空気中に曝すと速やかに硬化して、優れた物性を示すことから、この加水分解性オルガノシラン化合物を含む組成物は、建築用途、自動車用途、電気電子用接着剤用途として有効に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の加水分解性オルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で示される、加水分解によって生じる脱離基(脱離化合物)として、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を脱離する有機ケイ素化合物(加水分解性オルガノシラン化合物)である。
Figure 0007351258000002
(式中、R1及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~10の1価脂肪族炭化水素基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~10のアラルキル基であり、R2はそれぞれ独立にエーテル結合酸素原子を有していてもよい炭素数1~10の1価脂肪族炭化水素基、エーテル結合酸素原子を有していてもよい炭素数6~10のアリール基又はエーテル結合酸素原子を有していてもよい炭素数7~10のアラルキル基であり、nは3又は4である。)
ここで、上記一般式(1)において、R1は炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6の1価脂肪族炭化水素基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~10のアラルキル基であり、このR1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などを例示することができる。これらの中でも、メチル基、ビニル基、フェニル基が好ましく、メチル基、ビニル基が特に好ましい。
上記一般式(1)において、R2はエーテル結合酸素原子を有していてもよい炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6の炭化水素基、エーテル結合酸素原子を有していてもよい炭素数6~10のアリール基又はエーテル結合酸素原子を有していてもよい炭素数7~10のアラルキル基であり、このR2としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペノキシ基、イソプロペノキシ基等のアルケニルオキシ基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基などを例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基が好ましく、メチル基、エトキシ基が特に好ましい。
上記一般式(1)において、R3は炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6の1価脂肪族炭化水素基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~10のアラルキル基であり、このR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などを例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、アリル基、フェニル基、ベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
また、上述したとおり、nは3又は4である。この数が3未満である場合は架橋反応によるゴム硬化が起こらず、縮合硬化型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤として不適である。
本発明の加水分解性オルガノシラン化合物は、例えば、クロロシランとアセト酢酸エステルもしくはマロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を塩基性物質の存在下に反応(例えば脱塩酸反応)させることで製造できる。この反応式は、例えば下記式[1]で表される。
Figure 0007351258000003
(式中、R1、R2、R3、nは前記の通りである。)
ここで、クロロシランとしては、下記に示すものが例示できる。
Figure 0007351258000004
また、β-ケトエステル化合物としては、下記に示すアセト酢酸エステル、マロン酸エステル等が例示できる。これらの化合物は比較的安価であり、一部食品添加物や香料として使用されていることから、安全性の高い化合物である。
Figure 0007351258000005
Figure 0007351258000006
クロロシランと反応させるアセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物の添加量は、クロロシラン中の塩素原子数1モルに対して、0.95モル~2.0モルが好ましく、0.99~1.5モルが特に好ましく、1.0~1.2モルがさらに好ましい。β-ケトエステル化合物の添加量が少ないと反応が終結しないおそれがあり、β-ケトエステル化合物の添加量が多すぎると精製に時間がかかり、製造時間が増加してしまう。
反応に使用する塩基性物質としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、尿素、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネンなどの求核性の低い塩基性物質が使用できる。この中でもトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好ましい。
塩基性物質の添加量としては、クロロシラン中の塩素原子数1モルに対して0.95モル~2.0モルが好ましく、0.99~1.5モルが特に好ましく、1.0~1.2モルがさらに好ましい。塩基添加量が少ないと反応が終結しないおそれがあり、塩基添加量が多すぎると経済的に不利である。
本発明の加水分解性オルガノシラン化合物の製造には、一般に使用される溶剤を使用してもよく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、パークロロエタン、パークロロエチレン、トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの有機溶剤が挙げられる。
溶剤の使用量としては特に限定されないが、通常、使用するβ-ケトエステル化合物100質量部に対して、10~500質量部、好ましくは30~300質量部、より好ましくは50~200質量部等の範囲で使用される。
クロロシランとβ-ケトエステル化合物との反応条件としては、通常、0~80℃、好ましくは0~60℃でクロロシランにβ-ケトエステル化合物を滴下し、30~80℃、好ましくは40~60℃で1~48時間、好ましくは3~30時間程度反応させることが好ましい。反応時の温度が低すぎると反応が完結しない場合があり、温度が高すぎると生成物の着色が大きくなる場合がある。また、反応時間が短すぎると反応が完結しない場合があり、反応時間が長すぎると生産性に不利に働く。また、反応終了後の精製は減圧環境下で加熱することで、未反応物及び溶剤を留去することで可能であり、減圧度は好ましくは0~3,000Pa、より好ましくは0~2,000Paであり、温度は好ましくは50~150℃、より好ましくは70~120℃である。減圧度が高すぎると未反応物、溶剤の留去が困難となる場合がある。また、精製時の温度が低すぎると、未反応物、溶剤の留去が困難となる場合があり、高すぎると反応物の着色や分解を招くおそれがある。
本発明の加水分解性オルガノシラン化合物の具体例としては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0007351258000007
Figure 0007351258000008
Figure 0007351258000009
Figure 0007351258000010
本発明の加水分解性オルガノシラン化合物は、加水分解によって生じる脱離基(脱離化合物)が、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸フェニル、アセト酢酸ベンジル等のアセト酢酸エステル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジペンチル、マロン酸ジアリル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ジベンジル等のマロン酸エステルなどのβ-ケトエステル化合物であることが好ましく、特に好ましくはアセト酢酸エチル、マロン酸ジエチルである。これらの化合物は、食品添加物や香料として使用されており、安全性の高い化合物である。
本発明の新規加水分解性オルガノシラン化合物は、加水分解によって生じる脱離基(脱離化合物)として、アセト酢酸エステルもしくはマロン酸エステルを有し、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤として使用される。
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤として、このような加水分解性オルガノシラン化合物であれば、より高い安全性、速硬化性を付与することができる。
加水分解によって生じる脱離基(脱離化合物)として、より安全性の高い、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等のβ-ケトエステル化合物を放出する加水分解性オルガノシラン化合物を架橋剤(硬化剤)として使用することによって、ゴム物性に優れた硬化物を与え、速硬化性を有する縮合硬化型室温硬化性オルガノシロキサン組成物が得られる。
以下、実施例、合成参考例、参考例及び比較参考例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の具体例において、「部」は「質量部」を意味する。粘度は回転粘度計による23℃での測定値である。
[実施例1]加水分解性オルガノシラン化合物1の合成
機械攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2,000mLの四つ口セパラブルフラスコに、アセト酢酸エチル390g(3.0mol)、トリエチルアミン304g(3.0mol)、ヘキサン800mLを仕込み、氷浴下でメチルトリクロロシラン148.7g(0.995mol)を約2時間かけて滴下した。その後、40℃で4時間撹拌後、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過して取り除き、ろ液を90℃、300Paの条件でヘキサンと過剰のトリエチルアミン、アセト酢酸エチルを留去することで、加水分解性オルガノシラン化合物1を得た(収量335g、収率78%)。この反応式は、下記式[2]で表される。
Figure 0007351258000011
[実施例2]加水分解性オルガノシラン化合物2の合成
機械攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2,000mLの四つ口セパラブルフラスコに、アセト酢酸エチル390g(3.0mol)、トリエチルアミン304g(3.0mol)、ヘキサン800mLを仕込み、氷浴下でビニルトリクロロシラン160.6g(0.995mol)を約2時間かけて滴下した。その後、40℃で4時間撹拌後、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過して取り除き、ろ液を90℃、300Paの条件でヘキサンと過剰のトリエチルアミン、アセト酢酸エチルを留去することで、加水分解性オルガノシラン化合物2を得た(収量348g、収率78%)。この反応式は、下記式[3]で表される。
Figure 0007351258000012
[実施例3]加水分解性オルガノシラン化合物3の合成
機械攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2,000mLの四つ口セパラブルフラスコに、アセト酢酸エチル390g(3.0mol)、トリエチルアミン304g(3.0mol)、ヘキサン800mLを仕込み、氷浴下でフェニルトリクロロシラン210.4g(0.995mol)を約2時間かけて滴下した。その後、40℃で4時間撹拌後、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過して取り除き、ろ液を90℃、300Paの条件でヘキサンと過剰のトリエチルアミン、アセト酢酸エチルを留去することで、加水分解性オルガノシラン化合物3を得た(収量351g、収率71%)。この反応式は、下記式[4]で表される。
Figure 0007351258000013
合成参考]加水分解性オルガノシラン化合物4の合成
機械攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2,000mLの四つ口セパラブルフラスコに、アセト酢酸エチル390g(3.0mol)、トリエチルアミン304g(3.0mol)、ヘキサン800mLを仕込み、氷浴下でテトラクロロシラン126.7g(0.746mol)を約2時間かけて滴下した。その後、40℃で4時間撹拌後、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過して取り除き、ろ液を90℃、300Paの条件でヘキサンと過剰のトリエチルアミン、アセト酢酸エチルを留去することで、加水分解性オルガノシラン化合物4を得た(収量258g、収率63%)。この反応式は、下記式[5]で表される。
Figure 0007351258000014
[実施例]加水分解性オルガノシラン化合物5の合成
機械攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2,000mLの四つ口セパラブルフラスコに、マロン酸ジエチル480g(3.0mol)、トリエチルアミン304g(3.0mol)、ヘキサン800mLを仕込み、氷浴下でメチルトリクロロシラン148.7g(0.995mol)を約2時間かけて滴下した。その後、40℃で4時間撹拌後、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過して取り除き、ろ液を120℃、300Paの条件でヘキサンと過剰のトリエチルアミン、マロン酸ジエチルを留去することで、加水分解性オルガノシラン化合物5を得た(収量280g、収率54%)。この反応式は、下記式[6]で表される。
Figure 0007351258000015
[実施例]加水分解性オルガノシラン化合物6の合成
機械攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2,000mLの四つ口セパラブルフラスコに、マロン酸ジエチル480g(3.0mol)、トリエチルアミン304g(3.0mol)、ヘキサン800mLを仕込み、氷浴下でビニルトリクロロシラン160.6g(0.995mol)を約2時間かけて滴下した。その後、40℃で4時間撹拌後、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過して取り除き、ろ液を120℃、300Paの条件でヘキサンと過剰のトリエチルアミン、マロン酸ジエチルを留去することで、加水分解性オルガノシラン化合物6を得た(収量271g、収率51%)。この反応式は、下記式[7]で表される。
Figure 0007351258000016
[参考例1]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物1を10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[参考例2]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物2を10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[参考例3]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物3を10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[参考例4]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物4を10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[参考例5]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物5を10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[参考例6]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物6を10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[参考例7]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物1を10部と、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)3部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[参考例8]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、加水分解性オルガノシラン化合物2を10部加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[比較参考例1]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、ビニルトリスケトオキシムシランを10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[比較参考例2]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、ビニルトリメトキシシランを10部と、ジオクチル錫ジラウレート0.1部を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
[比較参考例3]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、ビニルトリメトキシシランを10部加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
上記参考例、比較参考例で調製された組成物を2mmの型枠に流し込み、23℃、50%RHで7日間養生して2mm厚のゴムシートを得た。JIS A 5758に規定する方法に準じてタックフリータイム(指触乾燥時間)を測定し、JIS K 6249に準じて2mm厚シートよりゴム物性(硬さ、切断時伸び、引張り強度)を測定した。
これらの結果を下記表1に示した。
Figure 0007351258000017
Figure 0007351258000018
本発明の加水分解性オルガノシラン化合物は、錫触媒系、チタン触媒系、そして触媒不使用の系でも問題なく硬化し、錫触媒を使用した参考例1~6の組成物では、錫触媒を使用した脱オキシム型である比較参考例1の組成物と同等以上の硬化性を示した。一方で脱アルコールタイプである比較参考例2、3の組成物では、タックフリータイムが遅く、触媒未添加である比較参考例3の組成物では硬化しなかった。また、参考例1~8の組成物では、硬化時に脱離するガスはアセト酢酸エチル、マロン酸ジエチルと安全性の高い化合物であり、発がん性が疑われる2-ブタノンオキシムを放出する比較参考例1の組成物や、劇物であるメタノールを放出する比較参考例2、3の組成物と比べて安全面でも有利である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示される加水分解性オルガノシラン化合物。
    Figure 0007351258000019
    (式中、R1 は独立に炭素数1~6のアルキル基、ビニル基、アリル基又はフェニル基であり、3 は独立にメチル基又はエチル基であり、R2 は独立にメチル基又はエトキシ基あり、nは3である。)
  2. 加水分解によってβ-ケトエステル化合物を脱離するものである請求項1に記載の加水分解性オルガノシラン化合物。
  3. β-ケトエステル化合物が、アセト酢酸エチル又はマロン酸ジエチルである請求項2に記載の加水分解性オルガノシラン化合物。
  4. 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤用である請求項1~3のいずれか1項に記載の加水分解性オルガノシラン化合物。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の加水分解性オルガノシラン化合物からなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤。
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