添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る目立てプレート及び切削ブレードの目立て方法について説明する。まず、目立てプレートを使用した目立ての対象となる切削ブレードと、該切削ブレードが装着されて使用される切削装置と、切削ブレードにより切削される被加工物と、について説明する。図1は、切削装置2及び被加工物1を模式的に示す斜視図である。
被加工物1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料から形成されるウェーハである。または、LT(タンタル酸リチウム)、若しくは、LN(ニオブ酸リチウム)等の複酸化物から形成されるウェーハである。または、被加工物1は、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。該ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等である。
図1には被加工物1の斜視図が模式的に示されており、図3(A)及び図3(B)には被加工物1の断面図が模式的に示されている。被加工物1の表面1aには、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の複数のデバイス3が形成されている。被加工物1をデバイス3毎に分割すると、個々のデバイスチップを形成できる。
被加工物1の分割には切削装置2が使用される。切削装置2に被加工物1を搬入する際には、予め、金属等により形成された環状フレーム7の開口を塞ぐように貼られた粘着テープ5が被加工物1の裏面側に貼着される。そして、被加工物1と、粘着テープ5と、環状フレーム7と、が一体化されたフレームユニット9の状態で被加工物1が切削装置2に搬入され、切削される。そして、被加工物1が分割されて形成される個々のデバイスチップは粘着テープ5により支持され、その後、粘着テープ5からピックアップされる。
切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方の角部には開口4aが形成されており、この開口4a内には昇降機構(不図示)によって昇降するカセット支持台8が設けられている。カセット支持台8の上面には、複数の被加工物1を収容するカセット10が搭載される。なお、図1では説明の便宜上、カセット10の輪郭のみを示している。
カセット支持台8の側方には、長手方向がX軸方向(前後方向、加工送り方向)に沿うように矩形の開口4bが形成されている。開口4b内には、ボールネジ式のX軸移動機構(不図示)と、X軸移動機構の上部を覆うテーブルカバー14及び防塵防滴カバー16と、が配置されている。X軸移動機構は、テーブルカバー14によって覆われたX軸移動テーブル(不図示)を備えており、このX軸移動テーブルをX軸方向に移動させる。
X軸移動テーブルの上面には、被加工物1を吸引保持するチャックテーブル18がテーブルカバー14から露出するように設けられている。このチャックテーブル18はモータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル18はX軸移動機構によってX軸移動テーブルやテーブルカバー14とともにX軸方向に移動する。
チャックテーブル18の上面は、被加工物1を吸引保持する保持面18aとなっている。保持面18aは、X軸方向及びY軸方向に対して概ね平行に形成されており、チャックテーブル18の内部に設けられた吸引路(不図示)等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。チャックテーブル18の周囲には、被加工物1を支持する環状フレーム7を四方から固定するための4個のクランプ18bが設けられている。
また、開口4bに隣接する領域には、被加工物1をチャックテーブル18等へと搬送する搬送ユニット(不図示)が配置されている。カセット支持台8の側方に近接する位置には、被加工物1を仮置きするための仮置き機構が設けられている。仮置き機構は、例えば、Y軸方向(割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール12を含む。一対のガイドレール12は、搬送ユニットによりカセット10から引き出された被加工物1をX軸方向に挟み込んで所定の位置に合わせる。
所定の位置に合わされた被加工物1は、搬送ユニットにより引き上げられチャックテーブル18へと搬送される。このとき、一対のガイドレール12を互いに離隔させ、一対のガイドレール12の間に被加工物1を通す。
チャックテーブル18の上方には、環状の切削ブレードによって被加工物1を切削する第1の切削ユニット24aと、第2の切削ユニット24bと、が設けられている。また、基台4の上面には、第1の切削ユニット24a,第2の切削ユニット24bと、を支持するための門型の支持構造20が、開口4bを跨ぐように配置されている。
支持構造20の前面上部には、第1の切削ユニット24aをY軸方向及びZ軸方向に移動させる第1の移動ユニット22aと、第2の切削ユニット24bをY軸方向及びZ軸方向に移動させる第2の移動ユニット22bとが設けられている。
第1の移動ユニット22aはY軸移動プレート28aを、第2の移動ユニット22bはY軸移動プレート28bをそれぞれ備える。Y軸移動プレート28a及びY軸移動プレート28bは、支持構造20の前面にY軸方向に沿って配置された一対のY軸ガイドレール26にスライド可能に装着されている。
Y軸移動プレート28aの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはY軸ガイドレール26に対して概ね平行なY軸ボールネジ30aが螺合されている。また、Y軸移動プレート28bの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはY軸ガイドレール26に対して概ね平行なY軸ボールネジ30bが螺合されている。
Y軸ボールネジ30aの一端部には、Y軸パルスモータ32aが連結されている。Y軸パルスモータ32aによってY軸ボールネジ30aを回転させることにより、Y軸移動プレート28aがY軸ガイドレール26に沿ってY軸方向に移動する。また、Y軸ボールネジ30bの一端部には、Y軸パルスモータ(不図示)が連結されている。該Y軸パルスモータによってY軸ボールネジ30bを回転させることにより、Y軸移動プレート28bがY軸ガイドレール26に沿ってY軸方向に移動する。
Y軸移動プレート28aの表面(前面)側には、一対のZ軸ガイドレール34aがZ軸方向に沿って設けられており、Y軸移動プレート28bの表面(前面)側には、Z軸方向に沿って一対のZ軸ガイドレール34bが設けられている。また、一対のZ軸ガイドレール34aにはZ軸移動プレート36aがスライド可能に取り付けられ、一対のZ軸ガイドレール34bにはZ軸移動プレート36bがスライド可能に取り付けられている。
Z軸移動プレート36aの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはZ軸ガイドレール34aに対して概ね平行な方向に沿うように設けられたZ軸ボールネジ38aが螺合されている。Z軸ボールネジ38aの一端部にはZ軸パルスモータ40aが連結されており、このZ軸パルスモータ40aによってZ軸ボールネジ38aを回転させることにより、Z軸移動プレート36aがZ軸ガイドレール34aに沿ってZ軸方向に移動する。
Z軸移動プレート36bの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはZ軸ガイドレール34bに対して概ね平行な方向に沿うように設けられたZ軸ボールネジ38bが螺合されている。Z軸ボールネジ38bの一端部にはZ軸パルスモータ40bが連結されており、このZ軸パルスモータ40bによってZ軸ボールネジ38bを回転させることにより、Z軸移動プレート36bがZ軸ガイドレール34bに沿ってZ軸方向に移動する。
Z軸移動プレート36aの下部には第1の切削ユニット24aが設けられている。第1の切削ユニット24aに隣接する位置には、チャックテーブル18によって吸引保持された被加工物1を撮像するためのカメラユニット46aが設けられている。また、Z軸移動プレート36bの下部には第2の切削ユニット24bが設けられている。第2の切削ユニット24bに隣接する位置には、チャックテーブル18によって吸引保持された被加工物1を撮像するためのカメラユニット46bが設けられている。
第1の移動ユニット22aによって第1の切削ユニット24a及びカメラユニット46aのY軸方向及びZ軸方向の位置が制御され、第2の移動ユニット22bによって第2の切削ユニット24b及びカメラユニット46bのY軸方向及びZ軸方向の位置が制御される。すなわち、第1の切削ユニット24aの位置と、第2の切削ユニット24bの位置と、はそれぞれ独立に制御される。
開口4bに対して開口4aと反対側の位置には、開口4cが形成されている。開口4c内には被加工物1を洗浄するための洗浄ユニット48が配置されており、チャックテーブル18上で所定の加工が施された被加工物1は、洗浄ユニット48によって洗浄される。
図3(B)に示す通り、第1の切削ユニット24aは、チャックテーブル18の保持面18aに対して概ね平行な方向に軸心をとるスピンドル42aと、該スピンドル42aの先端に装着された切削ブレード44aと、を備える。また、第2の切削ユニット24bは、チャックテーブル18の保持面18aに対して概ね平行な方向に軸心をとるスピンドル42bと、該スピンドル42bの先端に装着された切削ブレード44bと、を備える。
切削ブレード44a,44bは、ダイヤモンド等で構成された砥粒を樹脂またはニッケル等の金属で構成されたボンドで分散固定した砥石を外周部に備える。該砥石は、例えば、金属からなる環状基台の外周部に形成される。この環状基台を備える切削ブレードはハブタイプと呼ばれる。また、切削ブレード44a,44bは、環状基台を有していなくてもよい。この環状基台を有さない切削ブレードは、ワッシャータイプと呼ばれる。
切削ブレードには、複数の種別が存在する。例えば、砥石に含まれる砥粒の形状、大きさ、及び量が異なる複数の種別の切削ブレードが存在し、また、ボンドの材質、ブレードの刃厚、径等が異なる複数の種別の切削ブレードが存在する。被加工物1を切削する際、被加工物1の材質、大きさ、及び形状や、切削加工の内容により、切削加工に適した種別の切削ブレードが選択されてスピンドル42a,42bの先端に装着される。
砥石の表面では、ボンドから砥粒が適度に露出している。切削ブレード44a,44bを回転させ、チャックテーブル18で保持された被加工物1に切り込ませると、砥粒が被加工物1に当たり、被加工物1が切削される。切削に伴い被加工物1から生じた切削屑は、チップポケットとして機能する砥石表面の凹凸形状に一時的に収容され、該凹凸形状から脱離することで効率的に排除される。
被加工物1を切削すると、切削ブレード44a,44bが次第に消耗するため、切削ブレード44a,44bは、定期的に交換される。ここで、未使用の切削ブレード44a,44bは、砥粒がボンドから適度に露出しておらず、砥石の外周面にチップポケットとして機能できる大きさの凹凸形状が形成されていない。そのため、そのままでは被加工物1を適切に切削できず、十分な性能を発揮できない。
そこで、未使用の切削ブレード44a,44bをスピンドル42a,42bに装着した際、被加工物1を切削する前に、目立て(プリカット)と呼ばれる処理が切削ブレード44a,44bに実施される。目立てを実施する際には、本実施形態に係る目立てプレート11を切削ブレード44a,44bに切削させる。目立てを実施すると、切削ブレード44a,44bのボンドが適度に消耗し、砥粒が適度に露出するとともにチップポケットとして機能できる大きさの凹凸形状が砥石の外周面に形成される。
従来、被加工物1と同質の材料のダミーウェーハを準備し、チャックテーブル18で該ダミーウェーハを保持し、該ダミーウェーハを未使用の切削ブレード44a,44bで切削することで目立てを実施していた。例えば、被加工物1がシリコンウェーハである場合、ダミーウェーハにもシリコンが用いられる。
デバイスチップの製造に使用されるシリコンウェーハは、純度が極めて高く、結晶性も極めて高い。シリコンウェーハは、例えば、既知の方法で形成されたシリコンインゴットから切り出されて製造される。ただし、シリコンインゴットが形成される際の結晶成長の初期の段階では、製造されるシリコンが所定の品質に達していない。ダミーウェーハには、例えば、シリコンインゴットのうちデバイスチップの製造に使用されないこのような部分が利用された。または、何らかの原因によりデバイスチップの製造に使用できなくなったシリコンウェーハがダミーウェーハとして利用される場合もあった。
ここで、切削ブレード44a,44bの目立てを十分に実施するためには、被加工物1の材料と同質の材料で形成された数枚のダミーウェーハを準備し、これを切削ブレード44a,44bに切削させなければならない。そのため、ダミーウェーハに要する金銭的コストと、数枚のダミーウェーハを切削する時間的コストと、が大きな問題となっていた。そこで、ダミーウェーハに代えて、砥粒と、該砥粒を分散固定するボンド(結合材)と、有するドレッシングボードが使用された。
切削装置2は、図1に示す通り、ドレッシングボード13を保持できる矩形状のサブチャックテーブル50a,50bをチャックテーブル18に隣接した位置に備える。図3(A)及び図3(B)には、サブチャックテーブル50bの側面図が示されている。サブチャックテーブル50a,50bの上面は保持面52a,52bとなっており、サブチャックテーブル50a,50bの内部には、一端が保持面52a,52bに連通した吸引路と、該吸引路の他端に接続された吸引源と、を備える。
サブチャックテーブル50a,50bの上にドレッシングボード13を載せ、該吸引源を作動させると、ドレッシングボード13がサブチャックテーブル50a,50bで保持される。未使用の切削ブレード44a,44bにドレッシングボード13を切削させると、切削ブレード44a,44bを積極的に消耗でき、目立てを効率的に進行できる。
ただし、特にサイズの小さい砥粒を含む切削ブレード44a,44bにおいては、ドレッシングボード13を使用しても砥石表面にチップポケットとして機能する凹凸形状を十分に形成できない場合があった。そのため、ドレッシングボード13を使用する場合でも、被加工物1を切削ブレード44a,44bで切削する前に、やはり、被加工物1と同様の材質のダミーウェーハを切削する必要があった。そして、ダミーウェーハを使用する際の問題が再び生じることとなった。
そこで、未使用の切削ブレード44a,44bの目立てに、ダミーウェーハに代えて本実施形態に係る目立てプレート11(図2(B)参照)を使用する。次に、目立てプレート11について説明する。目立てプレート11は、被加工物1の材料と同質の材料で形成される。ただし、目立てプレート11を構成する材料は、被加工物1を構成する材料と構成材料や組成、構造等が完全に一致している必要はない。
すなわち、被加工物1の材料と同質の材料とは、例えば、切削されることで切削ブレード44a,44bを消耗させる性質が同程度である材料をいう。例えば、被加工物1を構成する材料と構成材料や組成、構造の一部が一致している材料でもよい。被加工物1が結晶性の材料である場合、目立てプレート11の材料は被加工物1の材料よりも結晶性が低くてもよい。
より具体的には、被加工物1がシリコン単結晶ウェーハである場合、目立てプレート11には、結晶性の低いシリコン基板や、不純物が含まれるシリコン基板、表面にパターンが形成されたシリコン基板でもよい。
目立てプレート11は、図2(A)に示す通り、例えば、従来使用されていたダミーウェーハ15を予め設定された分割予定ライン15aに沿って分割することで形成できる。例えば、切削装置2において、分割予定ライン15aに沿ってダミーウェーハ15を切削してダミーウェーハ15を分割すると目立てプレート11を製造できる。または、分割予定ライン15aに沿ってダミーウェーハ15をレーザ加工して、ダミーウェーハ15を分割してもよい。
ここで、ダミーウェーハ15から形成される目立てプレート11は、保持されるサブチャックテーブル50a,50bの保持面52a,52bの形状に整形されることが好ましい。すなわち、分割予定ライン15aは、保持面52a,52bの形状に合わせて設定されるとよい。目立てプレート11がサブチャックテーブル50a,50bの保持面52a,52bの形状に整形されていると、サブチャックテーブル50a,50bで目立てプレート11を保持できる。
目立てプレート11をサブチャックテーブル50a,50bで保持できると、チャックテーブル18を使用して目立てプレート11を保持する必要がない。この場合、サブチャックテーブル50a,50bで目立てプレート11を保持する間にチャックテーブル18で被加工物1を次々に加工でき、必要に応じて目立てプレート11を使用できる。そのため、チャックテーブル18でダミーウェーハ15を固定して目立てを実施する場合と比較して、搬出入のために切削装置2の稼働を停止する回数を低減できる。
ところで、目立てプレート11の原料となるダミーウェーハ15は、厚さが統一されていない。そのため、ダミーウェーハ15から形成された目立てプレート11を使用して切削ブレード44a,44bの目立てを実施する際、個々の目立てプレート11の厚さを測定し、切削装置2の制御ユニットに該厚さを入力する必要がある。これは、目立てプレート11の厚さにより、切削ブレード44a,44bの目立てを実施する際の適切な切削条件が変わるためである。
また、例えば、規格に従った厚さのシリコンウェーハをダミーウェーハ15に使用する場合においても、規格化されたシリコンウェーハの厚さは、該シリコンウェーハの径により異なる。そして、ダミーウェーハ15から目立てプレート11を切り出した後は、目立てプレート11から元のダミーウェーハ15の径を知ることはできない。したがって、この場合においても目立てプレート11の厚さが不明となるため、切削ブレード44a,44bの目立てを実施する際に、個々の目立てプレート11の厚さを測定する必要がある。
しかしながら、サブチャックテーブル50a,50bに目立てプレート11を搬入する際、すべての目立てプレート11の厚さを測定し、測定値を切削装置2の制御ユニットに入力するのは、大変な手間がかかる。サブチャックテーブル50a,50bに保持されるドレッシングボード13は、規格化された所定の厚さで製造されるため、厚さの測定に関するこのような問題は目立てプレート11に特有な問題である。
そこで、本実施形態に係る目立てプレート11の表面11aには、厚さに関する情報が格納された識別コード17が付与される。例えば、ダミーウェーハ15を分割する前にダミーウェーハ15の厚さを測定し、厚さに関する情報が格納される識別コード17を生成する。そして、ダミーウェーハ15を分割して個々の目立てプレート11を形成した後、インクジェット等の方法で該識別コード17を目立てプレート11の表面11aに付与する。
例えば、識別コード17は、二次元コードやバーコードである。なお、識別コード17には、厚さに関する情報以外の情報が該厚さに関する情報とともに格納されていてもよい。例えば、識別コード17には、目立てプレート11の材質に関する情報、原料となったダミーウェーハ15に関する情報、製造番号に関する情報、または、目立ての対象となる切削ブレードの種別に関する情報等が格納されていてもよい。または、識別コード17は、目立てプレート11の厚さを表す数字や文字、記号でもよい。
切削装置2は、例えば、切削ユニット24a,24bに隣接して設けられたカメラユニット46a,46bで目立てプレート11の表面11aを撮像して識別コード17を読み取る。なお、図3(A)に示す通り、カメラユニット46a,46bは、サブチャックテーブル50a,50bの上方に移動可能であり、サブチャックテーブル50a,50bに固定された目立てプレート11を撮像できる。
そして、切削装置2は、識別コード17から目立てプレート11の厚さに関する情報を抽出する。該厚さに関する情報は、自動的に切削装置2に入力される。そして、切削装置2では、切削ブレード44a,44bの目立てを実施する際に、目立てプレート11の厚さに基づいて該目立てプレート11を切削する条件が選定される。
その後、選定された条件にて目立てプレート11を切削ブレード44a,44bで切削し、目立てを完了させる。なお、切削ブレード44a,44bで目立てプレート11を切削する前に、切削ブレード44a,44bでドレッシングボード13を切削してもよい。この場合、ドレッシングボード13により切削ブレード44a,44bを大きく消耗させることができるため、目立てプレート11の消費量を抑制できる。
未使用の切削ブレード44a,44bを切削装置2に装着した後、切削ブレード44a,44bでドレッシングボード13及び目立てプレート11を切削して目立てを実施する。その後、チャックテーブル18の保持面18a上に被加工物1を搬入し、カメラユニット46a,46bで被加工物1を撮像して切削予定箇所を確認し、切削ブレード44a,44bを回転させて被加工物1に切り込ませて被加工物1を切削する。図4は、切削ブレード44a,44bで被加工物1を切削する様子を模式的に示す断面図である。
目立てプレート11を使用して切削ブレード44a,44bの目立てを実施すると、目立てプレート11の厚さを測定して切削装置2に入力する必要がない。厚さは自動的に切削装置2に入力されるため、入力ミスが生じるおそれもない。目立てプレート11は、サブチャックテーブル50a,50bに保管できるため、被加工物1の切削に伴って目立てプレート11を搬出入する必要もない。したがって、本実施形態に係る目立てプレート11によると、切削ブレード44a,44bの目立てを効率的かつ確実に実施できる。
次に、目立てプレート11を使用して切削装置2において切削ブレード44a,44bの目立てを実施する本実施形態に係る切削ブレードの目立て方法について説明する。該切削ブレードの目立て方法は、切削装置2において実施される。図5(A)は、該切削ブレードの目立て方法の各ステップの流れを示すフローチャートである。
該切削ブレードの目立て方法では、まず、目立てプレート11をサブチャックテーブル50a,50bで固定する目立てプレート固定ステップS10を実施する。目立てプレート固定ステップS10では、サブチャックテーブル50a,50bの一方または両方に目立てプレート11を載せる。このとき、目立てプレート11の識別コード17が付与されている表面11aを上方に向け、裏面11bを下方に向ける。そして、サブチャックテーブル50a,50bで目立てプレート11を吸引して固定する。
目立てプレート固定ステップS10を実施した後、目立てプレート11の識別コード17をカメラユニット46a,46bで読み取り、該目立てプレート11の厚さに関する情報を識別コード17から抽出する厚さ情報抽出ステップS20を実施する。図3(A)には、厚さ情報抽出ステップS20を実施する際のカメラユニット46a,46bの位置が模式的に示されている。厚さ情報抽出ステップS20では、カメラユニット46a,46bをサブチャックテーブル50a,50bの上方に移動させる。
そして、カメラユニット46a,46bを使用して、サブチャックテーブル50a,50bに固定された目立てプレート11の表面11aを撮像し、識別コード17が写る撮像画像を得る。そして、該撮像画像に写る識別コード17を読み取り、厚さに関する情報を識別コード17から抽出する。なお、識別コード17に厚さに関する情報以外の情報が含まれる場合、各情報を同時に抽出してもよい。
例えば、識別コード17から抽出された情報を基に、サブチャックテーブル50a,50bに固定された目立てプレート11が目立ての対象となる切削ブレード44a,44bの目立てに適した種別であるか否かを判定する判定ステップがさらに実施されてもよい。そして、目立てプレート11の種別が適切でない場合、切削装置2が備える警報ユニット等により切削装置2の使用者等にその旨を警告し、目立てプレート11の変更を促してもよい。
厚さ情報抽出ステップS20を実施した後、後述の目立てステップS40において切削ブレード44a,44bで目立てプレート11を切削する条件を該厚さに関する情報に基づいて選定する目立て条件選定ステップS30を実施する。後述の目立てステップS40では、切削ブレード44a,44bの種別に応じて適切な条件で目立てが実施される必要があるが、目立てを適切に実施するための切削の条件は目立てプレート11の厚さによって変化する。
そこで、目立て条件選定ステップS30では、目立てプレート11の厚さに基づいて切削ブレード44a,44bで目立てプレート11を切削する条件を選定する。例えば、切削を実施する際の目立てプレート11の上面からの切り込み深さや、切削ブレード44a,44bの回転速度、サブチャックテーブル50a,50bの加工送り速度等が選定される。
なお、目立てを実施する際の切削条件の選定は、例えば、切削装置2の図示しない制御ユニットにより実施されてもよい。ここで、制御ユニットは、例えば、マイクロプロセッサまたはCPU等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成される。そして、記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
または、切削装置2が備える表示ユニット(不図示)等に厚さ情報抽出ステップS20で抽出された目立てプレート11の厚さに関する情報を表示させ、表示ユニットを視認する切削装置2の使用者等が切削条件を選定してもよい。
目立て条件選定ステップS30を実施した後、サブチャックテーブル50a,50bで固定された目立てプレート11を切削ブレード44a,44bで切削することで切削ブレード44a,44bの目立てを実施する目立てステップS40を実施する。図3(B)は、目立てステップS40を模式的に示す断面図である。目立てステップS40では、まず、移動ユニット22a,22b及びX軸移動機構を作動させて、切削ユニット24a,24bをサブチャックテーブル50a,50bの近傍に位置付ける。
そして、目立て条件選定ステップS30により選定された切削の条件に従って切削ブレード44a,44bを所定の高さに位置付けるとともに所定の回転速度で回転させる。そして、選定された切削の条件に従ってX軸移動機構を作動させて所定の加工送り速度でサブチャックテーブル50a,50bを加工送りして切削ブレード44a,44bに目立てプレート11を切削させる。さらに、切削ブレード44a,44bを割り出し送りし、その後、再び切削ブレード44a,44bに目立てプレート11を切削させる。
そして、切削ブレード44a,44bに目立てプレート11を所定の回数だけ切削させて切削ブレード44a,44bの目立てを実施する。実施形態に係る切削ブレードの目立て方法によると、目立てプレート11の厚さに基づいて目立てにおける切削の条件を選定し、該切削の条件に従って切削ブレード44a,44bに該目立てプレート11を切削させる。そのため、切削ブレード44a,44bの目立てを迅速かつ適切に実施できる。
目立てステップS40を実施した後、チャックテーブル18に保持された被加工物1を切削ブレード44a,44bで切削する加工ステップS50を実施する。図4は、加工ステップを模式的に示す断面図である。加工ステップS50では、目立てが実施された切削ブレード44a,44bを使用して被加工物1を切削する。
まず、被加工物1の表面1aをカメラユニット46a,46bで撮像し、被加工物1の加工予定ラインの位置を確認する。図3(A)には、このときのカメラユニット46a,46bの位置が破線で示されている。加工予定ラインの向きを加工送り方向(X軸方向)に合わせるため、チャックテーブル18を保持面18aに垂直な方向に沿った軸の周りに回転させる。そして、移動ユニット22a,22b及びX軸移動機構を作動させて被加工物1の該加工予定ラインの延長線上に切削ブレード44a,44bを位置付ける。
その後、切削ブレード44a,44bを回転させるとともに所定の高さ位置に位置付け、X軸移動機構を作動させてチャックテーブル18を加工送りし、切削ブレード44a,44bを被加工物1に切り込ませる。すると、被加工物1が該加工予定ラインに沿って切削される。さらに、切削ブレード44a,44bを割り出し送り方向(Y軸方向)に割り出し送りし、該加工予定ラインに平行な他の加工予定ラインに沿って被加工物1を切削する。
また、チャックテーブル18を回転させ、他の方向に沿って同様に被加工物1を切削する。そして、すべての加工予定ラインに沿って被加工物1の切削を実施すると、加工ステップS50が完了する。目立てステップS40において、切削ブレード44a,44bに対して適切に目立てが実施されるため、加工ステップS50では切削ブレード44a,44bは被加工物1を高品質に切削できる。
本実施形態に係る切削ブレードの目立て方法では、サブチャックテーブル50a,50bで目立てプレート11を固定させるため、チャックテーブル18において被加工物1の切削を実施する際、目立てプレート11を切削装置2から搬出する必要がない。また、目立てを実施する都度、切削装置2に目立てプレート11を搬入する必要がない。換言すると、切削装置2を停止させる時間を短期化できるため、被加工物1の切削効率を高められる。
なお、加工ステップS50では、第1の切削ブレード44aと、第2の切削ブレード44bと、を同時に使用し、互いに平行な2つの加工予定ラインに沿って被加工物1を同時に切削してもよい。この場合、第1の切削ブレード44aの種別と、第2の切削ブレード44bの種別と、が一致していることが好ましい。
また、2つの切削ブレード44a,44bに対して目立てステップS40を同時に実施することもできる。例えば、目立てプレート固定ステップS10では、2つのサブチャックテーブル50a,50bにそれぞれ目立てプレート11を固定し、厚さ情報抽出ステップS20では、それぞれの目立てプレート11の厚さに関する情報を抽出する。
その後、目立て条件選定ステップS30ではそれぞれの目立てプレート11の厚さに基づいて切削の条件を選定する。目立てステップS40では、サブチャックテーブル50aに固定された目立てプレート11を第1の切削ブレード44aで切削するとともに、サブチャックテーブル50bに固定された目立てプレート11を第2の切削ブレード44bで切削する。この場合、2つの切削ブレード44a,44bに同時に目立てを実施できる。
さらに、目立てステップS40では、2つのサブチャックテーブル50a,50bの一方に固定された目立てプレート11を使用して2つの切削ブレード44a,44bの目立てを実施してもよい。この場合、2つの切削ブレード44a,44bに対して同時に目立てステップS40を実施してもよく、2つの切削ブレード44a,44bに対して目立てステップS40を順次実施してもよい。
2つのサブチャックテーブル50a,50bの一方に目立てプレート11を固定する場合、他方のサブチャックテーブル50a,50bには、例えば、ドレッシングボード13を固定できる。図1には、サブチャックテーブル50aの保持面52aで目立てプレート11を固定し、サブチャックテーブル50bの保持面52bでドレッシングボード13を固定する場合が示されている。
この場合、切削ブレード44a,44bに目立てプレート11を切削させて目立てを実施する前に、切削ブレード44a,44bにドレッシングボード13を切削させることもできる。次に、本実施形態に係る切削ブレードの目立て方法の変形例について説明する。図5(B)は、該変形例に係る切削ブレードの目立て方法の各ステップの流れを模式的に示すフローチャートである。該変形例では、目立てステップS40の前に、ドレッシングボード切削ステップS60を実施する。
ドレッシングボード13は、切削ブレード44a,44bが含む砥粒と種別が異なる又は種別が一致する第2の砥粒を含み、切削ブレード44a,44bが含むボンドと種別が異なる又は種別が一致する第2のボンドを含む。そして、該第2の砥粒が該第2のボンドで固定されている。ドレッシングボード切削ステップS60では、ドレッシングボード13を切削ブレード44a,44bに切削させて、切削ブレード44a,44bを積極的に消耗させる。
例えば、変形例に係る切削ブレードの目立て方法では、サブチャックテーブル50bに固定されたドレッシングボード13を切削ブレード44a,44bに切削させる(S60)。その後、サブチャックテーブル50bに固定された目立てプレート11を切削ブレード44a,44bに切削させる(S40)。
ドレッシングボード切削ステップS60を実施すると、目立てステップS40における切削ブレード44a,44bの消耗量を大きく低減できる。そのため、目立てプレート11の交換頻度を低減できる。目立てプレート11の交換頻度を低減できると切削装置2を停止させる時間を低減できるため、被加工物1の切削効率も高められる。
なお、本発明は、上記実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、サブチャックテーブル50a,50bに目立てプレート11を固定させる場合について説明した。しかし、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、目立てプレート11は、被加工物1を切削する際に被加工物1が固定されるチャックテーブル18に固定されて使用されてもよい。
この場合においても、目立てプレート11の表面11aに目立てプレート11の厚さに関する情報が格納された識別コード17が付与されていると、カメラユニット46a,46bを使用して該識別コード17を読み取り該厚さに関する情報を抽出できる。そのため、目立てプレート11の厚さに基づいて目立てにおける切削の条件を迅速に選定でき、切削ブレード44a,44bの目立てを適切に実施できる。
なお、目立てプレート11をチャックテーブル18に固定して切削ブレード44a,44bの目立てを実施する場合、切削装置2において被加工物1と同様に目立てプレート11を取り扱うことができ、被加工物1と同様に切削装置2に搬出入できる。すなわち、目立てプレート11は、粘着テープ5と、環状フレーム7と、と一体化され、フレームユニットの形態で取り扱われるとよい。
目立てを実施する際には、フレームユニットの態様の目立てプレート11を収容するカセット10をカセット支持台8に載せる。そして、搬送ユニット(不図示)を使用してカセット10から該目立てプレート11を一対のガイドレール12上に引き出し、その後、チャックテーブル18へ搬送する。チャックテーブル18で目立てプレート11を吸引保持した後、カメラユニット46a,46bを使用して該識別コード17を読み取り該厚さに関する情報を抽出し、目立ての条件を設定する。
その後、被加工物1を切削させる際と同様の手順で目立ての対象となる切削ブレード44a,44bに目立てプレート11を切削させる。そして、フレームユニットの態様の目立てプレート11を洗浄ユニット48に搬送して、洗浄ユニット48で洗浄した後、再び搬送ユニット等を使用して目立てプレート11をカセット10に収容させる。
このように、目立てプレート11をフレームユニットの態様で取り扱うと、被加工物1を切削するときと同様に、切削装置2への目立てプレート11の搬入から目立てプレート11を搬出するまでの一連の工程を自動で実施できる。この場合、切削装置2は目立てプレート11を取り扱うための特別な構成が不要である上、切削ブレード44a,44bの目立てと、被加工物1の切削と、を連続して自動的に実施できる。したがって、切削ブレード44a,44bの目立てと、被加工物1の切削と、を極めて効率的に実施できる。
その他、上記実施形態及び変形例に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。