本発明の一実施形態に係る液面位置検出装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る液面位置検出装置100は、図1に示すように、容器80内に入れられた液体90の液面91の位置を検出する装置である。液体90の量の増減に伴い、液面91も上下する。
液面位置検出装置100は、伝搬体10と、振動子(振動発生手段)20と、送受信回路(検出手段)30と、制御部(検出手段)40と、を備える。
伝搬体10は、表面波Wが伝搬するものであり、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの合成樹脂から形成されている。伝搬体10は、上下方向に長尺な略柱形状である。伝搬体10の外面は、振動子20に向く上面と、上面とは反対側の底面と、上面と底面を繋ぐとともに互いに表裏の関係となる2つの主面と、上面と底面を繋ぐとともに互いに表裏の関係となる2つの側面と、の6面から主に構成される。
本実施形態では、伝搬体10は、図2、図3に示すように、略柱状で横断面形状が台形状とされ、台形状の長辺(下底)を含む主面の1つ(例えば、表面)を含んで伝搬面部(表面部)11が構成され、伝搬面部11を超音波振動による表面波Wが伝搬する、いわゆる一面発振構造とされている。超音波振動による表面波Wは、伝搬体10を伝搬する際には伝搬体10の表面から表面波Wの波長とほぼ同じ深さまで達する。伝搬面部11は、伝搬体10の主面(表面)だけでなく表面波Wの波長とほぼ同じ深さをも含む部分である。
伝搬体10は、6面として、超音波振動が伝搬される伝搬面部11と、伝搬面部11と表裏の関係にある台形状の短辺(上底)を含む主面を含んだ裏面部12と、伝搬面部11と裏面部12との間を繋ぐ台形状の斜辺を含む2つの側面を含んだ側面部13,14と、振動子(振動発生手段)20が設けられる上面を含む上面部15と、底面を含む底面部16とを有している。なお、裏面部12、側面部13、側面部14、上面部15や底面部16も伝搬面部11と同様に表面だけでなく表面波Wの波長とほぼ同じ深さをも含む部分である。
伝搬面部11は、伝搬体10の一方の端部である台形状の上面部15の下底に連続して垂下する平面で構成される。裏面部12は、上面部15の上底から垂下する平面で構成される。したがって、横断面形状が台形状の伝搬体10は、伝搬面部11の幅が裏面部12の幅より大きく形成されている。
側面部13,14は、図2、図3に示すように、平面視(図3(c))において、表側の伝搬面部11の両側に連続するとともに、裏側の裏面部12の両側にも連続して台形状の斜辺を含む平面で構成されている。2つの側面部13,14は、超音波振動が伝搬する伝搬面部11と両側で連続する隣接面部を構成する。
伝搬体10は、伝搬面部11と、両側に連続する側面部(隣接面部)13,14とのなす角度θが鋭角にしてある。
このような伝搬体10では、側面部13,14は、伝搬面部11の両側にそれぞれなす角度θを鋭角とすることにより、伝搬面部11を伝搬する表面波Wの一部が側面部13,14に向かっても側面部13,14から伝搬面部11に反射させて戻すことができ、伝搬面部11を上下方向に伝搬する表面波Wと合流させることで、検出波の漏洩などを減らしてS/N比を向上することができる。
なお、側面部13,14の伝搬面部11との交わる角度θとなる部分の長さ(裏面部12に向かう方向(斜面に沿う方向)の長さ)cは、少なくとも伝搬面部11と側面部13,14の交点(交差線部)から超音波が伝搬される1波長以上の長さを確保すれば良い。
上面部15は、伝搬体10の一方の端部を構成し、台形状の平面とされている。上面部15には、台形状の下底を跨ぐように振動子(振動発生手段)20が設けられ、伝搬面部11に超音波振動を伝搬する(図2および図3(b)(c)参照)。
底面部16は、上面部15とは反対側において伝搬面部11と裏面部12とを繋ぐとともに、2つの側面部13,14とを繋ぐ平面とされている。
伝搬体10は、図2および図3(b)に示すように、伝搬面部11と、伝搬面部11の他方の端部に連続する底面部(隣接面部)16とのなす角度φが鋭角にしてある。
このような伝搬体10は、伝搬面部11と、伝搬面部11の他方の端部で連続する底面部(隣接面部)16のなす角度φを鋭角とすることにより、伝搬面部11を伝搬する表面波Wの一部が底面部16に向かっても底面部16で反射させて伝搬面部11に戻すことができ、伝搬面部11を上下方向に伝搬する検出波となる表面波Wと合流させることで、S/N比を向上することができる。
なお、底面部16の伝搬面部11とのなす角度φとなる部分の長さ(裏面部12に向かう方向の長さ)c1は、少なくとも伝搬面部11と底面部16の交点(交差線部)から超音波が伝搬される1波長以上の長さを確保すれば良い(図3(b)参照)。
次に、このような伝搬体10の伝搬面部11と隣接面部とのなす角度φ(θ)を鋭角にすることによるS/N比の向上について伝搬面部11に連続する底面部16を隣接面部として、伝搬面部11となす角度φについて、解析を行った。なお、解析には、PPSの伝搬体10を用いた。また、伝搬体10では、伝搬面部11と隣接面部とした底面部16との交差線部は、尖った状態である。
解析では、伝搬面部11に対する底面部16のなす角度φを変化させ、反射率(反射強度:Reflection coefficient)Rcを求めた。解析の結果は、図4に示すように、角度φの変化に対して反射率(反射強度)Rcは、直線的に変化せず、ピークとなる範囲があることが分かっている。これまでの角度φを90度としていた場合の反射率Rcが0.45であるのに比べ反射率Rcが0.45より高くなる範囲の角度φとすることで、S/N比を高めることができ、例えば7つのピークに基づく角度φから所定の角度範囲とすれば反射率Rcを高めることができる。
一方、伝搬体10では、伝搬面部11と底面部16とのなす角度φが小さくなると、先端が尖った状態となり、強度の確保などの問題、すなわち、欠けや割れ等が生じ易くなることが考えられる。このことから、例えば角度φを90度に近いできるだけ大きな角度とすれば良い。40度以上の範囲で反射率Rcが最大となる角度φ=55度から所定の範囲、例えば角度φを49~65度の範囲とすることが好ましい。さらに好ましくは、40度以上の範囲で反射率Rcが最大となる角度φ=55度の±3度、例えば角度φを52~58度とすれば、反射率Rcを0.8(80%)以上とすることができる。
伝搬体10において、伝搬面部11と側面部13,14とのなす角度θについても同様にこれまでのなす角度θを90度とする場合に比べて反射率Rcを高めることができるものと考えられる。また、伝搬面部11と隣接面部となる側面部13,14とのなす角度θについても、上記の伝搬面部11と隣接面部のなす角度φの解析結果を適用し、角度θを49~65度の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは、反射率Rcが最大となる角度θ=55度の±3度、例えば角度θを52~58度とすれば、反射率Rcを0.8(80%)以上とすることができる。
伝搬体10は、伝搬面部11とは反対側の裏面部12の長手方向の途中に裏面部12と直交して切り欠いた凹部17(図3参照)を備え、この凹部17は、内部伝搬波を反射する反射部として機能する。なお、凹部17については、図2では記載が省略してある。凹部17による内部伝搬波を用いる温度補正については、後述する。
伝搬体10は、図1に示すように、側面部13及び側面部14で容器80に設けられた固定部材81,82に挟まれることによって固定されている。なお、伝搬体10は、表面波Wの伝搬を阻害しないように、表面波Wが伝搬する伝搬面部11以外の部分で固定されれば、その固定方法は任意である。
伝搬体10は、底面部16の下端が容器80の底面から距離(長さ)dだけ離間して配置される。伝搬体10における、上面部15の上端から液面91までの上下方向に沿った長さ(伝搬体10が液体90に浸っていない部分である第1部分10aの長さ)L1と、底面部16の下端から液面91までの上下方向に沿った長さ(伝搬体10が液体90に浸っている部分である第2部分10bの長さ)L2とは、液体90の増減によって変化する。すなわち、液体90の液面91の位置(液面位置)に応じて液体90に浸る伝搬体10の境界(第1部分10aと第2部分10bとの境界)が変位する。
振動子20は、超音波を発生する振動発生手段であり、例えば、横波トランスデューサで、回路基板に実装された圧電素子などを含んで構成される。振動子20は、伝搬体10の上面部15に押しつけられ、例えば伝搬体10の伝搬面部11に表面波Wを発生させる一面発振構造としてある。本実施形態では、振動子20が伝搬面部11に発生させる超音波を表面波Wと呼ぶ。
振動子20は、図3に示すように、伝搬体10に表面波Wを発生させるとともに、表面波Wを受ける送受波部21を有する。なお、図3(b)では、振動子20を透視して送受波部21,23を示してある。
送受波部21は、送受信回路30から供給される電気信号によって振動する。送受波部21の振動は、伝搬体10に伝搬され、伝搬面部11の上端(第1箇所の一例)に表面波Wが発生する。発生した表面波Wは、図3に示すように、伝搬面部11の下端へ向かって伝搬し、底面部16で反射した後、伝搬面部11の上端(第2箇所の一例)へ向かって伝搬する(図中の実線参照)。伝搬面部11の上端へ到達した表面波Wは、送受波部21を振動させる。送受波部21は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する(図1参照)。
この実施形態では、表面波Wは、超音波(例えば、20KHz以上の音波であれば良い。)のパルス(超音波パルス)となっている。また、表面波Wは、レイリー波もしくはシュルツ波である。なお、振動子20は、圧電素子と伝搬体10との間に介在され、振動の伝わりを効率良くするための超音波用接触媒質を含んでいても良い。
送受信回路30は、図1に示すように、振動子20に接続される。送受信回路30は、超音波発生回路として、表面波Wとして超音波パルスを発生させる電気信号を振動子20に供給し、振動子20を振動させる。送受信回路30は、超音波受信回路として、振動子20から供給される電気信号を受け取り、受け取った電気信号を増幅、変換する。
具体的には、図1および図3に示すように、送受信回路30は、表面波Wの送波用の電気信号を送受波部21に供給し、送受波部21を振動させる。また、底面部16で反射した表面波W(表面波Wの反射波)の電気信号を受け取り、受け取った電気信号を増幅、変換する。
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマなどから構成されるマイクロコンピュータ、D/A(デジタル/アナログ)変換器、A/D(アナログ/デジタル)変換器などを含んで構成される。制御部40は、送受信回路30に接続される。制御部40は、送受信回路30を制御し、送受信回路30から電気信号を振動子20の送受波部21に供給させる。これにより、表面波Wを伝搬面部11に発生させる。また、制御部40は、送受信回路30で増幅、変換された、振動子20の送受波部21からの電気信号を受け取り、受け取った電気信号に基づいて後述のように液面91の位置を検出する。また、制御部40は、液面位置検出装置100の外部の外部装置60とデータのやり取りが可能になっている(図1参照)。
次に、以上のように構成された液面位置検出装置100の動作を、制御部40が実行する液面位置検出処理(図5参照)を中心に説明する。例えば、制御部40のCPUが、RAMをメインメモリとして、ROMに格納されているプログラムに従って、及びROMに格納されている各種データを用いて、液面位置検出処理を実行する。制御部40は、例えば、外部装置60からの指令に基づいて、液面位置検出処理を開始する。
(液面位置検出処理)
液面位置検出処理を開始すると、図5に示すように、制御部40は、送受信回路30を介して送受波部21を振動させ、伝搬面部11の上端(第1箇所)に表面波Wを発生させる(ステップS1)。
発生した表面波Wは、図3に示すように、伝搬面部11の下端へ向かって伝搬し、底面部16で反射した後、伝搬面部11の上端(第2箇所)へ向かって伝搬する。伝搬面部11の上端へ到達した表面波Wの反射波は、送受波部21を振動させる。送受波部21は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する。送受信回路30は、供給された電気信号を増幅、変換して制御部40に供給する。以下では、この増幅、変換された電気信号(つまり、底面部16への伝搬を経て送受波部21に到達する表面波Wの反射波が、送受波部21に発生させる振動を示す電気信号)を、表面波伝搬信号とする。このように、送受波部21から(第1箇所)送られた表面波Wは、反射して再び送受波部21(第2箇所)に到達する間に、気体に接触する第1部分10aと液体90に接触する第2部分10bとの境界を二回跨いで伝搬する。
続いて、制御部40は、ステップS1の処理を行ってから表面波伝搬信号を受信するまでの期間を計測するために、タイマを初期値の0に設定する(ステップS2)。当該期間は、送受波部21が表面波Wを発生させたタイミングから、再び送受波部21が表面波Wの反射波を受けるタイミングまでの期間であり、要するに、送受波部21から送受波部21に戻るまでの表面波Wの伝搬時間(以下、表面波伝搬時間とする場合もある。)である。
続いて、制御部40は、送受信回路30から表面波伝搬信号を受信したか否かを判別する(ステップS3)。この判別は、適宜の方法で行うことができるが、例えば、制御部40は、送受波部21から供給されて送受信回路30で増幅、変換された電気信号を取得し、取得した電気信号の電圧に基づく値(例えば、電圧値、電圧値の2乗の所定期間における平均値、前記電圧値又は前記平均値の変化度、電気信号の振幅など)が予めROM内に格納された閾値以上となったか否かを判別する。例えば、予め実験によって表面波伝搬信号を測定しておき、測定結果に基づいて閾値を定めておけば良い。そして、制御部40は、電気信号の電圧に基づく値が閾値以上となった場合に、表面波伝搬信号を受信した(ステップS3;Yes)と判別する。一方、制御部40は、電気信号の電圧に基づく値が閾値未満である場合は、表面波伝搬信号を受信していない(ステップS3;No)と判別する。
表面波伝搬信号を未だ受信していない場合(ステップS3;No)、制御部40は、タイマのタイマ値を+1などして更新し(ステップS4)、再度ステップS3の処理を実行する。これにより、制御部40は、表面波伝搬信号を受信するまで計時を行う。
表面波伝搬信号を受信した場合(ステップS3;Yes)、制御部40は、現在のタイマ値を表面波伝搬時間として、例えばRAMに記憶する(ステップS5)。
続いて、制御部40は、ステップS5で記憶した表面波伝搬時間に基づいて、液面91の位置(液面位置)を特定する(ステップS6)。
例えば、表面波伝搬時間と液面91の位置との関係を予め実験などで特定し、特定した関係をテーブル又は演算式としてROMに格納しておく。制御部40は、ROMに格納されたテーブル又は演算式と、表面波伝搬時間に基づいて液面91の位置(液面位置)を特定する。
すなわち、制御部40は、液体90の液面91の位置に応じて液体接触部分(第2部分10b)L2が長くなるほど期間が長くなる表面波伝搬時間を検出し、検出した表面波伝搬時間に基づいて液面91の位置を特定する。液面91の位置は、例えば、伝搬体10が液体90に浸る第2部分10bの長さL2や、容器80の底面から液面91の高さや、長さL2や液面91の高さに応じた値などで表されれば良い。容器80の底面から液面91の高さは、液体90の深さであり、長さL2+長さd(図1参照)で求められる。
続いて、制御部40は、ステップS6で特定した液面91の位置を外部装置60に出力する(ステップS7)。外部装置60は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの画像表示ディスプレイを含み、当該画像表示ディスプレイに、液面91の位置を表示する。こうして液面位置検出処理は完了する。
なお、伝搬体10を合成樹脂で形成した場合は、液体90に接触する第2部分10bを伝搬する表面波Wの伝搬速度(以下、第2音速という。)が、空気に接触する第1部分10aを伝搬する表面波Wの伝搬速度(以下、第1音速という。)よりも遅くなることが知られている。このため、タイマで計測される表面波伝搬時間(第1伝搬時間、第2伝搬時間)は、第2部分10bの長さL2が長いほど、長くなる。つまり、容器80に多く液体90が入っており容器80の底面からの液面91の位置が高いほど、表面波Wの伝搬時間も長くなる。
なお、伝搬体10を形成する合成樹脂としては、表面波Wの伝搬時間を検出することができれば、その組成は限定されるものではないが、PPS(ポリフェニレンサルファイド)の他に、ポリエチレン、ポリスチレンなどを採用することができる。合成樹脂としては、表面波Wの伝搬波を観測しやすいPPSが好適であり、特に自動車のガソリンタンクの液面を検出する場合に好適であると考えられる。
また、液面91の高さ(液面位置)の検出対象は、上記のガソリンなどに限らず、液体90であれば良く、単一の液体90だけでなく、複数の液体90が混合されているものであっても良い。また、液体90と微粒子などが分散されたコロイド溶液であっても良い。
次に、液面位置検出装置100の液面位置検出処理における温度補正について、図3により説明する。
伝搬体10は、温度補正のため側方が開口した溝による内部伝搬波を反射する凹部17が裏面部12から伝搬面部11に向かって中間部まで形成されている。すなわち、凹部17は、裏面部12に開口するとともに、凹部17の両端が側面部13,14に開口し、裏面部12から伝搬面部11に向かっては、底付き(中間部まで)の溝として形成されている。
振動子20は、伝搬体10の上面部15に押しつけられ、伝搬体10の伝搬面部11に表面波Wを発生させるとともに、伝搬体10の内部伝搬波を反射する凹部17に向けて検出波Dを発生させる。検出波Dは、伝搬体10の内部を伝搬し、凹部17で反射した後、再び上面部15の送受波部23を振動させる。この検出波Dに基づく内部伝搬時間で温度補正処理が行われる。すなわち、送受波部23は、伝搬体10に横波からなる検出波Dを発生させ、凹部17で反射した検出波Dを受ける。送受波部23が受ける検出波Dは、液面91の位置に関係なく、伝搬体10の温度に依存して音速が変化する。そこで、検出波Dを用いて、伝搬体10の温度を特定し、特定した温度を、表面波Wを検出する際の温度補正に利用する。
これにより、従来の液面位置検出装置に設けていたサーミスタチップなどからなる温度センサを設けずに、温度補正を行うことができる。
具体的には、制御部40は、前述の液面位置検出処理で説明した手法と同様に、検出波Dの内部伝搬時間を検出する。制御部40は、送受波部23で検出波Dを発生させてから、凹部17で反射後に、送受波部23が検出波Dを受けるまでの時間をタイマ値に基づいて検出する。そして、検出した時間を検出時間(内部伝搬時間)としてRAMに記憶する。制御部40は、こうして得た、検出時間に基づいて、伝搬体10の温度を特定(検出)する。
なお、伝搬体10の温度の特定は、例えば、検出時間と伝搬体10の温度との関係を予め実験などで特定し、特定した関係をテーブル又は演算式としてROMに格納しておく。制御部40は、ROMに格納されたテーブル又は演算式と、検出時間とに基づいて伝搬体10の温度を特定する。
そして、制御部40は、以上のように特定(検出)した伝搬体10の温度に基づいて、表面波伝搬時間の温度補正を行う。つまり、表面波伝搬時間も伝搬体10の温度に応じて変化する。このため、液面位置の検出精度を保つには、温度補正が必要となる。例えば、伝搬体10の温度と、表面波伝搬時間の補正量や補正係数とを対応付けたテーブルを予めROM内に格納しておき、制御部40は、テーブルを参照して、特定した伝搬体10の温度に応じた補正量や補正係数を取得すれば良い。そして、制御部40は、表面波伝搬時間に、取得した補正量を加減する演算や、補正係数を乗算する演算を行うことで、表面波伝搬時間の温度補正を行えば良い。
これにより、従来の液面位置検出装置に設けていたサーミスタチップなどからなる温度センサを設けずに温度補正を行うことができる。
なお、伝搬体10の温度に基づく液面位置の補正は、テーブルに限らず、音速の温度依存性を表す式(近似式であっても良い)をROM内に格納しておき、当該式を用いて、表面波伝搬時間又は液面位置の補正量や補正係数を求めても良い。表面波伝搬時間や液面位置の温度補正手法は、公知のテーブル校正法や演算法を適宜用いることができ、任意である。
なお、以上の温度補正処理は、検出波Dが、表面波Wと干渉しない限りにおいては、前述の液面位置検出処理の中に組み込み、検出波Dの発生タイミングを、表面波Wの発生タイミングと同時にしても良い。また、温度補正処理は、表面波Wによる液面位置検出処理とは独立した処理として実行できるようにしても良い。
液面位置検出装置100では、伝搬体10の伝搬面部11と、伝搬面部11に隣接する隣接面部を構成する側面部13,14とのなす角度θを鋭角に形成してある。これにより、伝搬面部11を伝搬する表面波Wの一部が側面部13,14に向かっても側面部13,14が伝搬面部11と角度θで交わっていることで、直角に交わる場合に比べて反射率(反射強度)Rcが大きく、側面部13,14から表面波Wを反射させて伝搬面部11に戻すことができ、伝搬面部11を上下方向に伝搬する表面波Wに合流させることで、表面波Wの漏洩などを減らしてS/N比を向上することができる。
なお、側面部13,14の伝搬面部11との交わる角度θとなる部分の長さ(裏面部12に向かう方向の長さ)cは、少なくとも伝搬面部11と側面部13,14との交点(交差線部)から超音波が伝搬される1波長以上の長さを確保すれば良く、例えば、表面波周波数を500kHzとした場合、伝搬体10をPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約1.9mmとなる。また、表面波周波数を400kHzとした場合、伝搬体10をPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約2.38mmとなる。
また、液面位置検出装置100では、伝搬体10の伝搬面部11と、伝搬面部11に隣接する隣接面部を構成する底面部16とのなす角度φを鋭角に形成してある。これにより、伝搬面部11を伝搬する表面波Wの一部が底面部16に向かっても底面部16が伝搬面部11と角度φで交わっていることで、直角に交わる場合に比べて反射率Rcが大きく、底面部16で反射した表面波Wを、反射率Rcを高めて伝搬面部11に戻すことができ、伝搬面部11を上下方向に伝搬する表面波Wに合流させることで、表面波Wの漏洩などを減らしてS/N比を向上することができる。
なお、底面部16の伝搬面部11との交わる角度φとなる部分の長さ(裏面部12に向かう方向の長さ)c1は、少なくとも伝搬面部11と底面部16との交点(交差線部)から超音波が伝搬される1波長以上の長さを確保すれば良く、例えば、表面波周波数を500kHzとした場合、伝搬体10をPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約1.9mmとなる。また、表面波周波数を400kHzとした場合、伝搬体10をPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約2.38mmとなる。
次に、側面部13,14が鋭角(θ<90度)で底面部16が直角(φ=90度)の伝搬体10について解析を行った結果を、図8(a)に示した。比較のため、側面部13,14と底面部16が直角(θ=90度、φ=90度)の伝搬体について解析を行った結果を、図8(b)に示した。これらの解析結果から側面部が鋭角の伝搬体では、受信されるエコーの振幅の変化が減衰せずに大きくなっており、S/N比が向上することが分かる。
なお、本実施形態の液面位置検出装置100では、伝搬面部11に隣接する隣接面部として側面部13,14および底面部16とのなす角度θおよびφを鋭角に構成しているが、側面部13,14との角度θだけを鋭角にしたり、底面部との角度φだけを鋭角にすることもでき、いずれか一方だけでも表面波Wの反射率Rcを高めて合流させることでS/N比を向上することができ、両方を組み合わせることで、一層S/N比を向上することができる。
(第2実施形態)
本実施形態に係る液面位置検出装置100Aについて、図6、図7を参照して説明するが、既に説明した上記実施形態の液面位置検出装置100と同様な構成及び機能を有する各部については、同一又は対応する符号を付すとともに、適宜説明を省略する。
なお、図6(b)では、振動子20を透視して送受波部21,22を示し、(a),(c)では、送受波部21,22を省略している。
液面位置検出装置100Aでは、伝搬体10Aの表裏の関係にある2つの主面部が伝搬面部(第1伝搬面部)11A,(第2伝搬面部)12Aとされる二面発振構造とされ、底面部16Aが下方に凸となるU字状の滑らかな曲面状で構成されている。これにより、液面位置検出装置100Aでは、伝搬体10Aの上面部15Aに押し付けられる振動子(振動発生手段)20によってそれぞれの伝搬面部11A,12Aに表面波W(以下、伝搬面部11Aに伝搬される表面波を第1表面波W1とし、伝搬面部12Aに伝搬される表面波を第2表面波W2とする)が伝搬され、伝搬された第1表面波W1、第2表面波W2は、底面部16Aで反射せずに曲面に沿って他方の伝搬面部11A,12A(第1表面波W1は伝搬面部12Aを、第2表面波W2は伝搬面部11A)を伝搬して上面部15Aに戻ることになる(図7参照)。なお、第1表面波W1と第2表面波W2を区別なく、単に表面波Wとする場合もある。このように形成された底面部16Aは、第1表面波W1及び第2表面波W2が底面部16Aに伝搬する際の漏洩による損失を低減する。
伝搬体10Aでは、2つの伝搬面部11A,12Aに隣接して隣接面部を構成する側面部(第1側面部)13A,(第2側面部)14Aを備える。側面部13A,14Aは、図6(c)に示すように、伝搬面部11A側に斜面部13Aa,14Aaを備え、伝搬面部12A側に斜面部13Ab,14Abを備える。これら側面部13A,14Aの斜面部13Aa,13Abの間および斜面部14Aa,14Abの間は、平面部13Ac,14Acとしてある。これら側面部13A,14Aの斜面部13Aa,13Ab,14Aa,14Abは、伝搬面部11A,12Aとなす角度θが鋭角に形成してある。すなわち、伝搬面部11Aと隣接する側面部13Aの斜面部13Aaとなす角度θが鋭角とされ、伝搬面部11Aと隣接する側面部14Aの斜面部14Aaとなす角度θが鋭角とされる。また、伝搬面部12Aと隣接する側面部13Aの斜面部13Abとなす角度θが鋭角とされ、伝搬面部12Aと隣接する側面部14Aの斜面部14Abとなす角度θが鋭角とされる。これにより、伝搬体10Aは、上下方向に長尺な略柱状とされ、横断面形状は、側面部13A,14Aが内側(伝搬体10Aの中心側)に向かって略台形状の凹部が形成された形状(例えるならば、略Vベルト用のプーリーの断面形状)となっている。
なお、伝搬体10Aの他の構成、例えば材質や第1、第2表面波W1,W2が伝搬体10Aを伝搬する際、伝搬体10Aの表面から第1、第2表面波W1,W2の波長とほぼ同じ深さまで達するなどは、既に説明した伝搬体10と同一である。
また、側面部13A,14Aの伝搬面部11A、12Aと斜面部13Aa,13Ab,14Aa,14Abとのなす角度θとなる部分の長さ(斜面部13Aa,13Ab,14Aa,14Abに沿う方向の長さ)cは、少なくとも伝搬面部と斜面部の交点(交差線部)から超音波が伝搬される1波長以上の長さを確保すれば良く、例えば表面波周波数を500kHzとした場合、伝搬体10AをPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約1.9mmとなる。また、表面波周波数を400kHzとした場合、伝搬体10をPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約2.38mmとなる。
伝搬体10Aは、伝搬体10と同様、側面部13A及び側面部14Aで容器80に設けられた固定部材81,82に挟まれることによって固定される。なお、伝搬体10Aは、表面波Wの伝搬を阻害しないように、表面波Wが伝搬する伝搬面部11A及び伝搬面部12A以外の部分で固定されれば、その固定方法は任意である。
振動子20は、超音波を発生する振動発生手段であり、既に説明したように、例えば、横波トランスデューサで、回路基板に実装された圧電素子などを含んで構成される。振動子20は、伝搬体10Aの上面部15Aに押しつけられ、伝搬体10Aの2つの伝搬面部11A及び伝搬面部12Aにそれぞれ表面波Wを発生させる。これにより、液面位置検出装置100Aは、二面発振構造となる。
振動子20は、図7に示すように、伝搬体10Aに第1表面波W1を発生させるとともに、第2表面波W2を受ける第1送受波部21と、伝搬体10Aに第2表面波W2を発生させるとともに、第1表面波W1を受ける第2送受波部22と、を有する。
第1送受波部21は、送受信回路30から供給される電気信号によって振動する。第1送受波部21の振動は伝搬体10Aに伝搬され、伝搬面部11Aの上端(第1箇所の一例)に第1表面波W1が発生する。発生した第1表面波W1は、図7に示すように、伝搬面部11Aの下端へ向かって伝搬し、滑らかな曲面を有する底面部16Aに沿って伝搬した後、伝搬面部12Aの上端(第2箇所の一例)へ向かって伝搬する(図中の実線参照)。伝搬面部12Aの上端へ到達した第1表面波W1は、第2送受波部22を振動させる。第2送受波部22は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する。
第2送受波部22は、送受信回路30から供給される電気信号によって振動する。第2送受波部22の振動は、伝搬体10Aに伝搬され、伝搬面部12Aの上端(第1箇所の一例)に第2表面波W2が発生する。発生した第2表面波W2は、伝搬面部12Aの下端へ向かって伝搬し、滑らかな曲面を有する底面部16Aに沿って伝搬した後、伝搬面部11Aの上端(第2箇所の一例)へ向かって伝搬する(図中の点線参照)。伝搬面部11Aの上端へ到達した第2表面波W2は、第1送受波部21を振動させる。第1送受波部21は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する。
この実施形態では、第1表面波W1及び第2表面波W2は、超音波(例えば、20KHz以上の音波であれば良い。)のパルス(超音波パルス)とされる。また、第1表面波W1及び第2表面波W2は、レイリー波もしくはシュルツ波である。なお、振動子20は、圧電素子と伝搬体10Aとの間に介在され、振動の伝わりを効率良くするための超音波用接触媒質を含んでいても良い。
送受信回路30は、図1、図7に示すように、振動子20に接続される。送受信回路30は、超音波送信回路として超音波パルス(表面波)を発生させる電気信号を振動子20に供給(送信)し、振動子20を振動させる。また、送受信回路30は、超音波受信回路として、振動子20から供給(送信)される電気信号を受け取り、受け取った電気信号を増幅、変換する。
制御部40は、既に説明したように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマなどから構成されるマイクロコンピュータ、D/A(デジタル/アナログ)変換器、A/D(アナログ/デジタル)変換器などを含んで構成される。制御部40は、送受信回路30に接続される(図1参照)。制御部40は、送受信回路30を制御し、送受信回路30から電気信号を振動子20の第1送受波部21と第2送受波部22の各々に供給させる。これにより、第1表面波W1を伝搬面部11Aに発生させ、第2表面波W2を伝搬面部12Aに発生させる。また、制御部40は、送受信回路30で増幅、変換された、振動子20の第1送受波部21と第2送受波部22の各々からの電気信号を受け取り、受け取った電気信号に基づいて液面91の位置を特定する。また、制御部40は、液面位置検出装置100Aの外部の外部装置60とデータのやり取りが可能になっている。
次に、液面位置検出装置100Aの動作を、制御部40が実行する液面位置検出処理(図9参照)を中心に説明する。例えば、制御部40のCPUが、RAMをメインメモリとして、ROMに格納されているプログラムに従って、及びROMに格納されている各種データを用いて、液面位置検出処理を実行する。制御部40は、例えば、外部装置60からの指令に基づいて、液面位置検出処理を開始する。
(液面位置検出処理)
液面位置検出処理を開始すると、図9に示すように、制御部40は、送受信回路30を介して第1送受波部21を振動させ、伝搬面部11の上端(第1箇所)に第1表面波W1を発生させる(ステップS11)。
発生した第1表面波W1は、図7に示すように、伝搬面部11Aの下端へ向かって伝搬し、滑らかな曲面を有する底面部16Aに沿って伝搬した後、伝搬面部12Aの上端(第2箇所)へ向かって伝搬する。伝搬面部12Aの上端へ到達した第1表面波W1は、第2送受波部22を振動させる。第2送受波部22は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する。送受信回路30は、供給された電気信号を増幅、変換して制御部40に供給する。以下では、この増幅、変換された電気信号(つまり、底面部16Aへの伝搬を経て第2送受波部22に到達する第1表面波W1が、第2送受波部22に発生させる振動を示す電気信号)を、第1伝搬波信号とする。このように、第1送受波部21から(第1箇所)送られた第1表面波W1は、第2送受波部22(第2箇所)に到達する間に、気体に接触する第1部分10aと液体90に接触する第2部分10bとの境界を二回跨いで伝搬する(図1,7参照)。
続いて、制御部40は、ステップS11の処理を行ってから第1伝搬波信号を受信するまでの期間を計測するために、タイマを初期値の0に設定する(ステップS12)。当該期間は、第1送受波部21が第1表面波W1を発生させたタイミングから、第2送受波部22が第1表面波W1を受けるタイミングまでの期間であり、要するに、第1送受波部21から第2送受波部22までの第1表面波W1の伝搬時間(以下、第1伝搬時間とする。)である。
続いて、制御部40は、送受信回路30から第1伝搬波信号を受信したか否かを判別する(ステップS13)。この判別は、既に説明したように、適宜の方法で行うことができるが、例えば、制御部40は、第2送受波部22から供給されて送受信回路30で増幅、変換された電気信号を取得し、取得した電気信号の電圧に基づく値(例えば、電圧値、電圧値の2乗の所定期間における平均値、前記電圧値又は前記平均値の変化度、電気信号の振幅など)が予めROM内に格納された閾値以上となったか否かを判別する。例えば、予め実験によって第1伝搬波信号を測定しておき、測定結果に基づいて閾値を定めておけば良い。そして、制御部40は、電気信号の電圧に基づく値が閾値以上となった場合に、第1伝搬波信号を受信した(ステップS13;Yes)と判別する。一方、制御部40は、電気信号の電圧に基づく値が閾値未満である場合は、第1伝搬波信号を受信していない(ステップS13;No)と判別する。
第1伝搬波信号を未だ受信していない場合(ステップS13;No)、制御部40は、タイマのタイマ値を+1などして更新し(ステップS14)、再度ステップS3の処理を実行する。これにより、制御部40は、第1伝搬波信号を受信するまで計時を行う。
第1伝搬波信号を受信した場合(ステップS13;Yes)、制御部40は、現在のタイマ値を第1伝搬時間として、例えばRAMに記憶する(ステップS15)。
続いて、制御部40は、送受信回路30を介して第2送受波部22を振動させ、伝搬面部12Aの上端(第1箇所)に第2表面波W2を発生させる(ステップS16)。
発生した第2表面波W2は、図7に示すように、伝搬面部12Aの下端へ向かって伝搬し、滑らかな曲面を有する底面部16Aに沿って伝搬した後、伝搬面部11Aの上端(第2箇所)へ向かって伝搬する。伝搬面部11Aの上端へ到達した第2表面波W2は、第1送受波部21を振動させる。第1送受波部21は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する。送受信回路30は、供給された電気信号を増幅、変換して制御部40に供給する。以下では、この増幅、変換された電気信号(つまり、底面部16Aへの伝搬を経て第1送受波部21に到達する第2表面波W2が、第1送受波部21に発生させる振動を示す電気信号)を、第2伝搬波信号とする。このように、第2送受波部22(第1箇所)から送られた第2表面波W2は、第1送受波部21(第2箇所)に到達する間に、気体に接触する第1部分10aと液体90に接触する第2部分10bとの境界を二回跨いで伝搬する(図1,7参照)。
続いて、制御部40は、ステップS16の処理を行ってから第2伝搬波信号を受信するまでの期間を計測するために、タイマを初期値の0に設定する(ステップS17)。当該期間は、第2送受波部22が第2表面波W2を発生させたタイミングから、第1送受波部21が第2表面波W2を受けるタイミングまでの期間であり、要するに、第2送受波部22から第1送受波部21までの第2表面波W2の伝搬時間(以下、第2伝搬時間とする。)である。なお、以下では、第1伝搬時間と第2伝搬時間とを区別なく、単に伝搬時間と呼ぶこともある。
続いて、制御部40は、送受信回路30から第2伝搬波信号を受信したか否かを判別する(ステップS18)。この判別は、ステップS13と同様な手法で行われ、第2伝搬波信号を未だ受信していない場合(ステップS18;No)、制御部40は、タイマのタイマ値を+1などして更新し(ステップS19)、再度ステップS18の処理を実行する。これにより、制御部40は、第2伝搬波信号を受信するまで計時を行う。
第2伝搬波信号を受信した場合(ステップS18;Yes)、制御部40は、現在のタイマ値を第2伝搬時間として、例えばRAMに記憶する(ステップS20)。
続いて、制御部40は、ステップS15で記憶した第1伝搬時間と、ステップS20で記憶した第2伝搬時間とに基づいて、液面91の位置(液面位置)を特定する(ステップS21)。
例えば、第1伝搬時間と第2伝搬時間と液面91の位置との関係を予め実験などで特定し、特定した関係をテーブル又は演算式としてROMに格納しておく。制御部40は、ROMに格納されたテーブル又は演算式と、第1伝搬時間及び第2伝搬時間に基づいて液面91の位置(液面位置)を特定する。
なお、制御部40は、第1伝搬時間に基づいて液面91の位置を特定するためのテーブル又は演算式を用いて、第1伝搬時間に基づく液面91の位置(以下、第1液面位置とする。)を特定し、第2伝搬時間に基づいて液面位置を特定するためのテーブル又は演算式を用いて、第2伝搬時間に基づく液面91の位置(以下、第2液面位置とする。)を特定しても良い。つまり、制御部40は、第1液面位置と第2液面位置の各々を特定しても良い。そして、第1液面位置と第2液面位置の平均(単純平均でも加重平均でも良い)を、今回検出すべき液面位置としても良い。なお、加重平均を求める場合は、予め実験などにより、第1液面位置と第2液面位置との各々の重み付け定数を求めておけば良い。また、第1液面位置と第2液面位置のいずれかが、エラー値を示しているか否かを判定し、エラー値と判定した場合は、エラー値を示していない方を、今回特定すべき液面位置としても良い。
続いて、制御部40は、ステップS21で特定した液面91の位置を外部装置60に出力する(ステップS22)。外部装置60は、既に説明したように、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの画像表示ディスプレイを含み、当該画像表示ディスプレイに、液面91の位置を表示する。こうして液面位置検出処理は完了する。
制御部40は、液体90の液面91の位置に応じて液体接触部分(第2部分10b)が長くなるほど期間が長くなる伝搬時間を検出し、検出した伝搬時間に基づいて液面91の位置を特定する。液面91の位置は、例えば、伝搬体10Aが液体90に浸る第2部分10bの長さL2や、容器80の底面から液面91の高さや、長さL2や液面91の高さに応じた値などで表されれば良い。容器80の底面から液面91の高さは、液体90の深さであり、長さL2+長さd(図1参照)で求められる。
液面位置検出装置100Aでは、伝搬体10Aの側面部13A,14Aの両端角部にそれぞれ斜面部13Aa,13Ab及び斜面部14Aa,14Abを形成し、その斜面に沿う長さcを振動発生手段の振動子20の1波長未満としてある。
これにより、伝搬面部11A,12Aを伝搬する第1、第2表面波W1,W2の一部が側面部13A,14Aに向かうことになっても、伝搬面部11A,12Aの両側に隣接する隣接面部を構成する斜面部13Aa,13Ab,14Aa,14Abによって伝搬する表面波Wの一部が反射されて伝搬面部11A,12Aを上下方向に伝搬する第1、第2表面波W1,W2に戻される。このため液面位置の特定に必要な表面波W(第1、第2表面波W1,W2)に合流させることで、信号成分が増大し、S/N比を向上することができる。
なお、斜面部13Aa,13Ab及び斜面部14Aa,14Abの斜面に沿う長さcが、伝搬する第1、第2表面波W1,W2の1波長より大きく(長く)なると、大きい部分に第1、第2表面波W1,W2が伝搬されて漏洩し、反射させて信号成分を増大させることができなくなる。この斜面に沿う長さcの下限値は、伝搬体10の加工性や強度などを考慮して定められる。例えば、表面波周波数を500kHzとした場合、伝搬体10AをPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約1.9mmとなる。また、表面波周波数を400kHzとした場合、伝搬体10をPPSとすれば、室温での音速が約950m/sであることから、1波長は、約2.38mmとなる。これらの値に基づき伝搬体10Aの斜面に沿う長さcを定めれば良い。
また、液面位置検出装置100Aは、底面部16Aを滑らかな曲面としたので、これまでの底面部を平面とした略四角柱形状などで構成される伝搬体では、第1表面波W1及び第2表面波W2が底面部16Aで反射する。このため漏洩が生じ、損失となる。これに対し、伝搬体10Aの底面部16Aを滑らかな曲面にすることで、第1表面波W1、第2表面波W2は底面部16Aで反射せず、漏洩が生じないため、底面部16Aでの損失がなく、振動子20が受ける第1、第2表面波W1,W2の減衰が少なくS/N比を改善することができる。
なお、液面位置検出装置100Aは、伝搬体10Aの底面部16Aを滑らかな曲面とする場合に限らず、平面(伝搬面部11A,12Aとのなす角度φ=90度)としても良く、斜面部13Aa,13Ab,14Aa,14Abにより、伝搬面部11A,12Aを伝搬する第1、第2表面波W1,W2の反射による信号成分の増大だけを図るようにして液面位置検出装置100Aを構成し、S/N比を向上するようにしても良い。この場合、表面波Wは、伝搬面部11A,12Aを伝搬し、底面部16Aで反射して同一の伝搬面部11A,12Aを反射波が戻ることになる。
また、上記実施形態の液面位置検出装置100Aでは、制御部40は、第1表面波W1と第2表面波W2をそれぞれ異なるタイミングで発生させる液面位置検出処理を実行するようにしたが、制御部40によって第1表面波W1と第2表面波W2を同時に発生させる液面位置検出処理を実行するようにしても良い。このとき、第1、第2伝搬波信号は重畳されて伝搬波信号として、2つの伝搬時間(第1伝搬時間、第2伝搬時間)が観測(受信)され、既に説明した液面検出処理と同様にして液面91の位置を特定する。
このように、第1表面波W1と、第2表面波W2を同時に発生させることによって、振動子20が受ける第1、第2表面波W1,W2の振幅が大きくなる。これにより、S/N比を更に改善することができる。
次に、液面位置検出装置100Aの液面位置検出処理における温度補正について、図10により説明するが、既に説明した上記の実施形態と同様な構成及び機能を有する各部については、同一又は対応する符号を付すとともに、適宜説明を省略する。
なお、図10においては、温度補正に関係のない構成である側面部13A,14Aに形成する斜面部13Aa,13Ab及び斜面部14Aa,14Abは、図示省略し、温度補正に必要な凹部18、伝搬体10A、振動子20を主に図示している。また、図10(b)では、振動子20を透視して送受波部21~24を示し、図10(a)では、送受波部21~24を省略し、図10(c)では、振動子20及び送受波部21~24を省略している。
伝搬体10Aは、既に説明したように、伝搬面部11A及び伝搬面部12Aと、側面部13A及び側面部14Aと、上面部15Aと、底面部16Aと、を有する。また、振動子20は、図10に示すように、既に説明した第1送受波部21及び第2送受波部22の他に、第3送受波部23と、第4送受波部24と、を備える。
伝搬体10Aは、上面部15Aから底面部16Aに向かって凹む凹部18を有する。凹部18は、図10(b)に示すように、伝搬面部11Aと伝搬面部12Aとの間に位置する。
凹部18は、上面部15Aから底面部16Aに向かう底付きとされ、例えば直方体状にくり抜かれており、第1~第4内側面部18a~18dと、内底面部18eとを有する。
第1内側面部18aは、伝搬面部11Aの裏側に位置する。第2内側面部18bは、伝搬面部12Aの裏側に位置する。第1内側面部18aと第2内側面部18bとは互いに対向している。第3内側面部18cは、側面部13Aの裏側に位置する。第4内側面部18dは、側面部14Aの裏側に位置する。第3内側面部18cと第4内側面部18dとは互いに対向している。内底面部18eは、凹部18の底に位置する平面とされ、平面視で矩形状をなす。
伝搬体10Aに凹部18を設けることにより、図10(b)に示すように、例えば検出波Dを生じさせ、ここでは、検出波Dは、2つの第1検出波D1、第2検出波D2とする。
以下、送受信回路30及び制御部40(図1参照)による温度補正処理について説明する。
第3送受波部23は、図10(b)に示すように、伝搬体10Aに表面波又は板波からなる第1検出波D1を発生させるとともに、凹部18の内底面部18eで反射した第1検出波D1を受ける。第4送受波部24は、伝搬体10Aに表面波又は板波からなる第2検出波D2を発生させるとともに、凹部18の内底面部18eで反射した第2検出波D2を受ける。
第3送受波部23は、送受信回路30から供給される電気信号によって振動する。第3送受波部23の振動は伝搬体10Aに伝搬され、第1内側面部18aの上端に第1検出波D1が発生する。発生した第1検出波D1は、図10(b)に示すように、第1内側面部18aの下端へ向かって伝搬し、内底面部18eで反射した後、第1内側面部18aの上端へ向かって伝搬する。第1内側面部18aの上端へ到達した第1検出波D1は、第3送受波部23を振動させる。第3送受波部23は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する。
第4送受波部24は、送受信回路30から供給される電気信号によって振動する。第4送受波部24の振動は、伝搬体10Aに伝搬され、第2内側面部18bの上端に第2検出波D2が発生する。発生した第2検出波D2は、図10(b)に示すように、第2内側面部18bの下端へ向かって伝搬し、内底面部18eで反射した後、第2内側面部18bの上端へ向かって伝搬する。第2内側面部18bの上端へ到達した第2検出波D2は、第4送受波部24を振動させる。第4送受波部24は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する。
第3送受波部23が受ける第1検出波D1と、第4送受波部24が受ける第2検出波D2とは、液面91の位置に関係なく、伝搬体10Aの温度に依存して音速が変化する。したがって、第1検出波D1と第2検出波D2との少なくともいずれかを用いて、伝搬体10Aの温度を特定し、特定した温度を、表面波(第1表面波W1及び第2表面波W2)を検出する際の温度補正に利用する。これにより、従来の液面位置検出装置に設けていたサーミスタチップなどからなる温度センサを設けずに温度補正を行うことができる。
送受信回路30は、第1検出波D1の送波用の電気信号を第3送受波部23に供給し、第3送受波部23を振動させる。また、第1検出波D1を受けた第3送受波部23から供給される電気信号を受け取り、受け取った電気信号を増幅、変換する。また、送受信回路30は、第2検出波D2の送波用の電気信号を第4送受波部24に供給し、第4送受波部24を振動させる。また、第2検出波D2を受けた第4送受波部24から供給される電気信号を受け取り、受け取った電気信号を増幅、変換する。
制御部40は、送受信回路30を介して、第3送受波部23及び第4送受波部24の各々を駆動制御する。また、制御部40は、送受信回路30で増幅、変換された、第3送受波部23と第4送受波部24の各々からの電気信号を受け取り、受け取った電気信号に基づいて伝搬体10Aの温度を特定する。
制御部40は、前述の液面位置検出処理で説明した手法と同様な手法で、第1検出波D1と第2検出波D2の各々の伝搬時間を検出する。以下では、第1検出波D1の伝搬時間を第1検出時間、第2検出波D2の伝搬時間を第2検出時間とする。
具体的には、制御部40は、第3送受波部23で第1検出波D1を発生させてから、内底面部18eで反射後に、第3送受波部23が第1検出波D1を受けるまでの時間をタイマ値に基づいて検出する。そして、検出した時間を第1検出時間としてRAMに記憶する。また、第4送受波部24で第2検出波D2を発生させてから、内底面部18eで反射後に、第4送受波部24が第2検出波D2を受けるまでの時間をタイマ値に基づいて検出する。そして、検出した時間を第2検出時間としてRAMに記憶する。制御部40は、このようにして得た、第1検出時間と第2検出時間の少なくともいずれかに基づいて、伝搬体10Aの温度を特定(検出)する。
第1検出波D1と第2検出波D2は、既述のように、液面91の位置に関係なく、伝搬体10Aの温度に依存して音速が変化する。このため、第1検出時間と第2検出時間も、液面91の位置に関係なく、伝搬体10Aの温度に依存して変化する。この特性を利用して、例えば、第1検出時間と第2検出時間と伝搬体10Aの温度との関係を予め実験などで特定し、特定した関係をテーブル又は演算式としてROMに格納しておく。制御部40は、ROMに格納されたテーブル又は演算式と、第1検出時間及び第2検出時間とに基づいて伝搬体10Aの温度を特定する。
なお、制御部40は、第1検出時間に基づいて伝搬体10Aの温度を特定するためのテーブル又は演算式を用いて、第1検出時間に基づく伝搬体10Aの温度(以下、第1温度とする。)を特定し、第2検出時間に基づいて伝搬体10Aの温度を特定するためのテーブル又は演算式を用いて、第2検出時間に基づく伝搬体10Aの温度(以下、第2温度とする。)を特定しても良い。つまり、制御部40は、第1温度と第2温度の各々を特定しても良い。そして、第1温度と第2温度の平均(単純平均でも加重平均でも良い)を、今回特定すべき温度としても良い。なお、加重平均を求める場合は、予め実験などにより、第1温度と第2温度との各々の重み付け定数を求めておけば良い。また、第1温度と第2温度のいずれかが、エラー値を示している否かを判定し、エラーと判定した場合は、エラー値を示していない方を、今回特定すべき温度としても良い。
そして、制御部40は、以上のように特定(検出)した伝搬体10Aの温度に基づいて、第1伝搬時間と第2伝搬時間の温度補正を行う。例えば、伝搬体10Aの温度と、伝搬時間の補正量や補正係数とを対応付けて構成されるテーブルを予めROM内に格納しておき、制御部40は、テーブルを参照して、特定した伝搬体10Aの温度に応じた補正量や補正係数を取得すれば良い。そして、制御部40は、第1伝搬時間と第2伝搬時間との各々に、取得した補正量を加減する演算や、補正係数を乗算する演算を行うことで、第1伝搬時間と第2伝搬時間の温度補正を行えば良い。
なお、制御部40は、テーブルに限らず、音速の温度依存性を表す式(近似式であっても良い)をROM内に格納しておき、当該式を用いて、伝搬時間又は液面位置の補正量や補正係数を求めても良い。伝搬時間や液面位置の温度補正手法は、公知のテーブル構成法や演算法を適宜用いることができ、任意である。
また、以上の温度補正処理は、第1検出波D1や第2検出波D2が、第1表面波W1や第2表面波W2と干渉しない限りにおいては、前述の液面位置検出処理の中に組み込み、第1検出波D1及び第2検出波D2の発生タイミングを、第1表面波W1及び第2表面波W2の発生タイミングと同時にしても良い。また、温度補正処理は、液面位置検出処理とは独立した処理として実行されても良い。
(第3実施形態)
本実施形態に係る液面位置検出装置100Bについて、図11、図12を参照して説明するが、既に説明した上記実施形態の液面位置検出装置100、100Aと同様な構成及び機能を有する各部については、同一又は対応する符号を付すとともに、適宜説明を省略する。
液面位置検出装置100Bは、表面波Wが伝搬する伝搬体10Bの構成が異なり、表面波Wが伝搬する伝搬面部11Bを一面(表面部)だけとし、伝搬面部11Bに隣接して互いのなす角度φを鋭角とする隣接面部を底面部16Bとする一面発振構造とし、伝搬面部11Bと底面部16Bの交差線部19に円弧部Rが形成されて構成されている。
すなわち、既に説明した伝搬体10,10AをPPSなどの合成樹脂による射出成形により成形する場合、主として6面部で構成される2つの面部同士を交差線部19で鋭く尖った状態で交差させて成形することが難しく、わずかな円弧部Rを介して連続された状態となる。なお、2つの面部同士の交差線部19を円弧部Rのない鋭く尖った状態で連続させることは、樹脂成形後に伝搬体10,10Aに機械加工などを施すことや金型の工夫等で出来なくはないが、製作工程の増大や鋭く尖った部分に欠けや割れ等が生じ易く好ましくない。
このため伝搬体10Bでは、一面発振構造とした伝搬面部11Bと、伝搬面部11Bに隣接して互いのなす角度φを鋭角とする隣接面部の底面部16Bの交差線部19に少なくとも円弧部Rが形成されて構成されている。なお、伝搬体10Bでは、6面部で構成されるそれぞれ2つの面部同士の交差線部19にも成形上、互いを連続する円弧部が形成されることになるが、これらの円弧部については、図示省略し、表面波Wが伝搬される円弧部Rのみを図示している(図11,12)。
本実施形態では、図11(a)に示すように、伝搬体10Bは、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの合成樹脂による樹脂成形、例えば射出成形により形成される。伝搬体10Bは、例えば上下方向に長尺な略四角柱形状とされる。伝搬体10Bの外面は、振動子20に向く上面部15Bと、上面部15Bとは反対側の底面部16Bと、上面部15Bと底面部16Bを繋ぐ表面部とする伝搬面部11Bと、伝搬面部11Bと互いに表裏の関係となる裏面部12Bと、上面部15Bと底面部16Bを繋ぐとともに互いに表裏の関係となる2つの側面部13B,14Bと、の6面部から主に構成される。
伝搬体10Bは、表面波Wが伝搬面部11Bの一面だけを伝搬する一面発振構造とされる。伝搬面部11Bに隣接する隣接面部は、底面部16Bとされ、伝搬面部11Bの下端に隣接する底面部16Bとのなす角度がφとされ、鋭角とされている。面部同士のなす角度φが鋭角とされた伝搬面部11Bと底面部16Bとは、交差線部19に円弧部Rが形成されて滑らかに連続している。
なお、伝搬体10Bでは、伝搬面部11Bの両側に隣接する表裏の関係になる2つの側面部13,14は、伝搬面部11Bと直角に形成されている。
このような伝搬体10Bは、一方の端部の上面部15Bから表面波Wが伝搬される伝搬面部11Bと、伝搬面部11Bの他方の端部で連続する底面部(隣接面部)16Bのなす角度φを鋭角とすることにより、既に説明したように、伝搬面部11Bを伝搬する表面波Wの一部を底面部16Bに向かっても底面部16Bで反射させて伝搬面部11Bに戻すことができ、伝搬面部11Bを上下方向に伝搬する検出波となる表面波Wと合流させることで、S/N比を向上することができる。
なお、底面部16Bの伝搬面部11Bとのなす角度φとなる部分の長さ(裏面部12Bに向かう方向の長さ)c1は、少なくとも伝搬面部11Bと底面部16Bの交点(交差線部19)から超音波が伝搬される1波長以上の長さを確保すれば良い(図11(b)参照)。
次に、このような伝搬体10Bの伝搬面部11Bと隣接面部となる底面部16Bとのなす角度φを鋭角にするとともに、交差線部19に円弧部Rを形成ことによるS/N比の変化について解析を行った。解析には、PPSの伝搬体10Bを用いた。解析では、超音波の周波数fを400Hzと500Hzの場合について、円弧部Rの半径rを設定し、伝搬面部11Bに対する底面部16Bのなす角度(Wedge angle)φを変化させたときの反射率(反射強度:Reflection coefficient)Rcを求めた。
円弧部Rの半径r(mm)は、超音波の波長をλ(mm)としたとき、r≒0.084*λ(mm)の関係とされる。
例えば周波数fを400Hzとした場合の半径rは、r≒0.2mmとなり、周波数fを500Hzとした場合の半径rは、r≒0.16mmとなる。
なお、比較のため解析では、円弧部Rを形成しない場合(r=0)(図4の解析結果参照)と、周波数fが400Hzの場合で、半径r≒0.1mmとした場合(図13(a)中の記号■)、周波数fが500Hzの場合で、半径r≒0.08mmとした場合(図13(b)中の記号■)のそれぞれ半径rを上記関係式の1/2にした場合についても解析した。
解析の結果を、図13(a),(b)に示す。伝搬体10Bでは、伝搬面部11Bと底面部16Bとのなす角度φを鋭角とし、交差線部19に円弧部Rを形成することにより、最大の反射率(反射強度)Rcが得られる角度φが円弧部Rのない場合(図13中の記号○の例えば、55度)に比べて小さくなる(例えば、51度)。
また、円弧部Rの半径rが各周波数に対して設定した半径r(r=0.2,0.16:図中の記号▲)より小さく(r=0.1,0.08:図中の記号■)なると最大の反射率(反射強度)Rcが得られる角度φは大きくなることが分かる。
また、伝搬体10Bは、強度の確保などの必要から欠けや割れ等が生じ易くなることを考慮した角度φとして、反射率Rcが高く、90度に近いできるだけ大きな角度φとすることが好ましい。そこで、周波数fを400Hz、この周波数に対して設定した円弧部Rの半径r=0.2mmとした場合、40度以上の範囲で反射率Rcが最大となる角度φ=51度であることが分かった(図13(a)参照)。また、同様に、周波数fを500Hz、この周波数に対して設定した円弧部Rの半径r=0.16mmとした場合、40度以上の範囲で反射率Rcが最大となる角度φ=51度であることが分かった(図13(b)参照)。
このことから、伝搬体10Bの成形誤差などを考えると、得られた角度φ=51度から所定の範囲、例えば±3度の範囲とすることが好ましい。これにより、例えば角度φを48~54度とすれば、反射率Rcをこれまでの底面部16Bとのなす角度φが90度の場合の反射率Rc=0.45(45%)に比べ大きな0.8(80%)以上とすることができる。
次に、この伝搬面部11と隣接面部である底面部16Bとのなす角度φを鋭角とし、交差線部19に円弧部Rを形成した場合の解析結果は、交差線部19に円弧部Rを形成する場合に適用できるものと考えられる。すなわち、既に説明した伝搬体10における伝搬面部11と側面部13,14とのなす角度θを鋭角とした場合で、これに加えて交差線部19を互いに円弧部Rで連続させる場合についても、同様に適用できるものと考えられる。したがって、上記の伝搬面部11Bと隣接面部となる底面部16Bのなす角度φの解析結果を適用して、例えば、使用する超音波の周波数fを400Hz,500Hzとして各周波数に対して円弧部Rの半径rを0.2mm,0.16mmに設定すれば、40度以上の範囲で反射率Rcが最大となる角度θは51度になると考えられる。また、伝搬体10の成形誤差などを考えると、得られた角度θ=51度から所定の範囲、例えば±3度の範囲とすることが好ましい。これにより、例えば角度θを48~54度とすれば、伝搬面部11と側面部13,14とのなす角度θを鋭角とした場合で、これに加えて交差線部19を互いに円弧部Rで連続させる場合についても、反射率Rcをこれまでの角度θが90度の場合の反射率Rc=0.45(45%)に比べ大きな0.8(80%)以上とすることができるものと考えられる。
また、伝搬体10Aにおける2つの伝搬面部11A,12Aに隣接して隣接面部を構成する側面部(第1側面部)13A,側面部(第2側面部)14Aの斜面部13Aa,13Abおよび斜面部14Aa,14Abと伝搬面部11A,12Aとのなす角度θが鋭角とされ、各面部同士の交差線部19に互いに連続する円弧部Rを形成する場合についても、上記の伝搬面部11Bと隣接面部となる底面部16Bのなす角度φの解析結果を適用できるものと考えられる。
したがって、例えば、使用する超音波の周波数fを400Hz,500Hzとして各周波数に対して円弧部Rの半径rを0.2mm,0.16mmに設定すれば、40度以上の範囲で反射率Rcが最大となる角度θは51度になると考えられる。このことから、伝搬体10Aの成形誤差などを考えると、得られた角度θ=51度から所定の範囲、例えば±3度の範囲とすることが好ましい。これにより、例えば角度θを48~54度とすれば、反射率Rcをこれまでの側面部13A,14Aとのなす角度θが90度の場合の反射率Rc=0.45(45%)に比べ大きな0.8(80%)以上とすることができるものと考えられる。
伝搬体10Bは、図1に示すように、側面部13B及び側面部14Bで容器80に設けられた固定部材81、82に挟まれることによって固定される。なお、伝搬体10Bは、表面波Wの伝搬を阻害しないように、表面波Wが伝搬する伝搬面部11B以外の部分で固定されれば、その固定方法は任意である。
伝搬体10Bは、底面部16Bの下端が容器80の底面から距離(長さ)dだけ離間して配置される。伝搬体10Bにおける、上面部15Bの上端から液面91までの上下方向に沿った長さ(伝搬体10Bが液体90に浸っていない部分である第1部分10aの長さ)L1と、底面部16Bの下端から液面91までの上下方向に沿った長さ(伝搬体10Bが液体90に浸っている部分である第2部分10bの長さ)L2とは、液体90の増減によって変化する。すなわち、液体90の液面91の位置(液面位置)に応じて液体90に浸る伝搬体10Bの境界(第1部分10aと第2部分10bとの境界)が変位する。
振動子20は、超音波を発生する振動発生手段であり、例えば、横波トランスデューサで、回路基板に実装された圧電素子などを含んで構成される。振動子20は、伝搬体10Bの上面部15Bに押しつけられ、伝搬体10Bの伝搬面部11Bに表面波Wを発生させる一面発振構造である。振動子20は、伝搬体10Bに表面波Wを発生させるとともに、表面波Wを受ける送受波部21を有する。
送受波部21は、送受信回路30から供給される電気信号によって振動する。送受波部21の振動は、伝搬体10Bに伝搬され、伝搬面部11Bの上端(第1箇所の一例)に表面波Wが発生する。発生した表面波Wは、図12(b)に示すように、伝搬面部11Bの下端へ向かって伝搬し、底面部16Bで反射した後、伝搬面部11Bの上端(第2箇所の一例)へ向かって伝搬する(図中の実線参照)。伝搬面部11Bの上端へ到達した表面波Wは、送受波部21を振動させる。送受波部21は、この振動を電気信号に変換して送受信回路30に供給する(図1参照)。
表面波Wは、超音波(例えば、20KHz以上の音波であれば良い。)のパルス(超音波パルス)としている。また、表面波Wは、レイリー波もしくはシュルツ波である。なお、振動子20は、圧電素子と伝搬体10Bとの間に介在され、振動の伝わりを効率良くするための超音波用接触媒質を含んでいても良い。
送受信回路30は、振動子20に接続される。送受信回路30は、超音波発生回路として、表面波Wとして超音波パルスを発生させる電気信号を振動子20に供給し、振動子20を振動させる。送受信回路30は、超音波受信回路として、振動子20から供給される電気信号を受け取り、受け取った電気信号を増幅、変換する(図1参照)。
具体的には、送受信回路30は、表面波Wの送波用の電気信号を送受波部21に供給し、送受波部21を振動させる。また、底面部16Bで反射した表面波W(表面波Wの反射波)の電気信号を受け取り、受け取った電気信号を増幅、変換する(図1および図12(b)参照)。
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマなどから構成されるマイクロコンピュータ、D/A(デジタル/アナログ)変換器、A/D(アナログ/デジタル)変換器などを含んで構成される。制御部40は、送受信回路30に接続される。制御部40は、送受信回路30を制御し、送受信回路30から電気信号を振動子20の送受波部21に供給させる。これにより、表面波Wを伝搬面部11Bに発生させる。また、制御部40は、既述のように、送受信回路30で増幅、変換された、振動子20の送受波部21からの電気信号を受け取り、受け取った電気信号に基づいて液面91の位置を特定する。また、制御部40は、液面位置検出装置100Bの外部の外部装置60とデータのやり取りが可能になっている(図1参照)。
次に、以上のように構成された液面位置検出装置100Bの動作は、図5に基づき既述したように、制御部40が液面位置検出処理(図5参照)をステップS1~ステップS7にしたがって実行する。この液面位置検出処理の具体的な処理については、重複する説明省略する。
制御部40は、ステップS7で、特定した液面91の位置を外部装置60に出力し、外部装置60、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの画像表示ディスプレイに、液面91の位置を表示して液面位置検出処理は完了する。
また、液面位置検出装置100Bでは、液面位置検出処理とともに、既述の通り、温度補正の処理が行われる。
伝搬体10Bは、図12に示すように、伝搬面部11Bと対向する裏面部12Bに凹部17Bが形成されている。凹部17Bは、裏面部12Bの表面および両側面部13B,14B側が開口して裏面部12Bから伝搬面部(表面部)11Bに向かっては、底付き(中間部まで)の矩形断面の溝として形成される。
振動子20の送受波部23は、温度補正処理のため、伝搬体10Bの上面部15Bに押しつけられ、伝搬体10Bを伝搬する検出波Dを内部伝搬波として凹部17Bに向けて発生させる。検出波Dは、伝搬体10Bの内部を伝搬し、凹部17Bで反射した後、再び上面部15Bの送受波部23を振動させる。この検出波Dに基づく内部伝搬時間で温度補正処理が行われる。すなわち、既述のように、送受波部23は、凹部17Bで反射した検出波Dを受け、検出波Dが液面91の位置に関係なく伝搬体10Bの温度に依存して音速が変化することを利用して伝搬体10Bの温度を特定し、特定した温度を、表面波Wを検出する際の温度補正に利用する。
これにより、従来の液面位置検出装置に設けていたサーミスタチップなどからなる温度センサを設けずに、液面位置検出装置100Bにおいても温度補正を行うことができる。
このように構成した液面位置検出装置100Bによれば、伝搬面部11Bに隣接する隣接面部は、底面部16Bとされ、伝搬面部11Bの下端に隣接する底面部16Bとのなす角度φが鋭角とされ、伝搬面部11Bと底面部16Bとは、交差線部19に円弧部Rが形成されて滑らかに連続している。
この伝搬体10Bでは、一方の端部の上面部15Bから表面波Wが伝搬される伝搬面部11Bと、伝搬面部11Bの他方の端部で連続する底面部(隣接面部)16Bのなす角度φを鋭角とすることにより、伝搬面部11Bを伝搬する表面波Wの一部が底面部16Bに向かっても底面部16Bで反射されて伝搬面部11Bに戻すことができ、伝搬面部11Bを上下方向に伝搬する検出波となる表面波Wと合流させることで、S/N比を向上することができる。
また、なす角度φが鋭角とされた伝搬面部11Bと底面部16Bとを、交差線部19に円弧部Rを形成して滑らかに連続させることで、伝搬体10Bを成形時を考慮した形状にすることができる。これにより、交差線部19を円弧部Rで連続させることで、伝搬体10Bの交差線部19に欠けや割れが生じることを防止できる。
また、交差線部19に円弧部Rで連続させることで、金型設計や成形が容易になるとともに、交差線部19を尖らせるための追加の加工工程の必要もなく、効率よく伝搬体10Bを成形することができる。
また、伝搬面部11Bと底面部16Bとのなす角度φを鋭角にするとともに、面部同士の交差線部19に円弧部Rを形成して滑らかに連続させ、面部同士のなす角度φを伝搬面部11Bを伝搬する表面波Wが底面部16Bで反射する反射率(反射強度)Rcが最大となる角度φとすることで、反射率Rcを最大として精度良く液面の位置を検出することができる。特に、反射率Rcが最大となる角度φを40度以上の角度とすることで、交差線部19のなす角度φを大きくでき、一層伝搬体10Bの欠けや割れ防止して、精度良く液面の位置を検出することができる。
さらに、伝搬体10Bは、角度φを底面部16Bでの反射率Rcが最大となる角度に対して±3度の範囲のなす角度とすることで、成形誤差が生じても反射率Rcを高くすることができ、成形が容易となるとともに、精度良く液面の位置を検出することができる。
また、伝搬体10Bを、円弧部Rの半径をr(mm)、伝搬体10Bを伝搬させる超音波振動の波長をλ(mm)とし、半径r≒0.084*λ(mm)の関係を満たすようにすることで、超音波の波長λに応じた円弧部Rの半径rにすることができる。
また、伝搬体10BをPPS製とし、円弧部Rの半径をr(mm)、伝搬体10Bを伝搬させる超音波振動の波長λを1.9(mm),2.23(mm)とし、反射率(反射硬度)Rcが最大となる面部同士のなす角度φを51度とすることで、超音波の波長λに応じた面部同士の角度を反射率Rcが最大となる最適な角度φにすることができる。これにより、伝搬体10Bは、最大反射率Rcを確保して精度良く液面の位置を検出することができるとともに、なす角度φを51度とすることで成形が容易となる。
本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
(変形例)
液面位置検出対象の液体90の種類は、特に限定されず、水、ガソリン、洗浄液など任意であり、複数の液体が混合されたものであっても良い。また、液体と微粒子によるエマルジョン溶液などであっても良い。また、液面91の上部空間は、空気以外の他の気体であってもよく、真空であっても良い。
例えば、容器80は、車両に搭載される燃料タンクであっても良い。この場合、液体90は、ガソリンなどの燃料になる。このような場合、伝搬体10,10A,10Bは、例えば、燃料タンクに取り付けられる、燃料タンクから燃料を取り出す燃料ポンプを備える燃料圧送ユニットなどに取り付けられても良い。燃料タンクの場合、耐薬品性などの観点から伝搬体10,10A,10Bとして使用される樹脂は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)が用いられることが多いが、これらの中では、検出信号のS/N比が良いPPSを用いることが好ましい。
伝搬体10,10A,10Bに用いるPPSとしては、直鎖型、架橋型、反架橋型などがあり、さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどのフィラー(添加材料)を添加したものなどがあるが、PPSとしては各種のPPSを用いることができる。直鎖型、架橋型、反架橋型などの違い、フィラーの添加の有無やフィラーの種類の違いなどによる、表面波Wや板波の伝搬の状態(例えば、S/N比が良好なこと、表面波W又は板波の音速など)への影響は小さいものと考えられる。
表面波Wは、レイリー波以外のものであっても良い。また、表面波Wは、パルス波でなくてもよく、例えば、バースト波などであっても良い。
また、伝搬体10,10A,10Bは、合成樹脂製に限らず、液面位置を検出することができれば、伝搬体10,10A,10Bを金属で構成しても良い。
液面位置検出は、液面91の位置を検出することのほか、表示の際、液面の位置を何段階かに分けて表示することなども含む。また、液面位置検出後に液面位置に応じた液体90の量を表示するようにしても良い。
また、伝搬面部11Bと隣接面部16Bの交差線部19に互いを連続する円弧部Rは、表面波Wが伝搬したり、反射する伝搬体10Bの隣接面部16Bなどに限らず、表面波Wが伝搬しない2つの面部同士が連続する部分に形成されるものであってもよい。
以上に説明したように液面位置検出装置100,100A,100Bは、液体90に浸り、液体90の液面位置(液面91の位置)に応じて液体90に浸る境界が変位する、超音波振動が伝搬する伝搬体10,10A,10Bと、伝搬体10,10A,10Bの一方の端部に設けられて超音波振動を伝搬体10,10A,10Bに発生させる振動発生手段20と、振動発生手段20によって発生した超音波振動が伝搬体10,10A,10Bの第1箇所から境界を跨いで第2箇所まで伝搬する伝搬時間に基づいて液面位置を検出する検出手段(送受信回路30と制御部40)と、を備え、伝搬体10,10A,10Bは、一方の端部の振動発生手段20により超音波振動が伝搬される伝搬面部11,11A,11B(12,12A,12B)と、伝搬面部11,11A,11B(12,12A,12B)と連続する隣接面部(側面部13,13A,14,14A(底面部16,16A,16B))と、を有し、伝搬面部11,11A,110B(12,12A,12B)と隣接面部13,13A,14,14A(16,16A,16B)とのなす角度θ(φ)が鋭角に構成されている。
かかる構成によれば、伝搬面部11,11A,11B(12,12A,12B)を伝搬する表面波(第1表面波W1、第2表面波W2)の一部が側面部13,13A,14,14A(底面部16,16A,16B)に伝搬されても角度θ(φ)とされた隣接面部(斜面部13a,13Aa,14a,14Aa(13Ab,14Ab))によって反射させて戻すことができ、信号成分を増大してS/N比を向上することができる。したがって、一方の伝搬面部11,11B(12,12B)に表面波Wが伝搬する一面発振構造の場合や両方の伝搬面部11A,12Aに表面波Wが伝搬する二面発振構造の場合や鋭角の底面部16,16A,16BのいずれであってもS/N比を向上して液面位置の検出精度が良い液面位置検出装置100,100A,100Bを提供することができる。
また、液面位置検出装置100Bは、伝搬面部11Bと底面部(隣接面部)16Bとは、交差線部19に互いを連続する円弧部Rを備える。
かかる構成によれば、伝搬体10Bを、成形時を考慮した形状にすることができ、交差線部19を円弧部Rで連続させることで、伝搬体10Bの交差線部19に欠けや割れが生じることを防止できる。また、交差線部19を円弧部Rで連続させることで、金型設計や成形が容易になるとともに、交差線部19を尖らせるための追加の加工工程の必要もなく、効率よく伝搬体10Bを成形することができる。
また、液面位置検出装置100,100A,100Bは、隣接面部(側面部13,13A,14,14A、底面部16,16A,16B)は、伝搬面部11,11A(12,12A)の両側と連続する2つの側面部13,13A,14,14Aと、伝搬面部11,11A(12,12A)の他方の端部と連続する底面部16,16A,16Bとの少なくともいずれかで構成される。
かかる構成によれば、伝搬面部11,11A(12,12A)を伝搬する表面波(第1表面波W1、第2表面はW2)の一部が側面部13,13A,14,14Aに伝搬されても角度θとされた隣接面部(斜面部13a,13Aa,14a,14Aa(13Ab,14Ab))によって反射させて戻すことができ、信号成分を増大してS/N比を向上することができる。また、伝搬面部11,11A(12,12A)を伝搬する表面波(第1表面波W1、第2表面波W2)の一部が底面部16,16A,16Bに伝搬されても角度φとされた隣接面部を構成する底面部16,16A,16Bによって反射させて戻すことができ、信号成分を増大してS/N比を向上することができる。したがって、一方の伝搬面部11に表面波が伝搬する一面発振構造の場合や両方の伝搬面部11A,12Aに表面波が伝搬する二面発振構造の場合の角度θの側面部13,13A,14,14Aや角度φの底面部16,16A,16BのいずれであってもS/N比を向上して液面位置の検出精度が良い液面位置検出装置100、100A,100Bを提供することができる。
また、液面位置検出装置100Aは、伝搬面部は、互いに表裏の関係にある伝搬面部11Aと伝搬面部12Aを有し、隣接面部は、伝搬面部11Aの両側に連続する2つの側面部13Aおよび伝搬面部12Aの両側に連続する2つの側面部14Aを有し、伝搬面部11Aと側面部13Aおよび伝搬面部12Aと側面部14Aとのなす角度θがそれぞれ鋭角に構成してある。
かかる構成によれば、伝搬面部11A,12Aを伝搬する表面波(第1表面波W1、第2表面はW2)の一部が側面部13A,14Aに伝搬されても角度θとされた隣接面部(斜面部13Aa,14Aa(13Ab,14Ab))によって反射させて戻すことができ、信号成分を増大してS/N比を向上することができる。したがって、両方の伝搬面部11A、12Aに表面波が伝搬する二面発振構造の場合の角度θの側面部13A,14AによってS/N比を向上して液面位置の検出精度が良い液面位置検出装置100Aを提供することができる。
液面位置検出装置100Aは、伝搬体10Aが2つの伝搬面部11Aおよび伝搬面部12Aを連続する円弧状の底面部16Aを備えて構成されている。
かかる構成によれば、伝搬面部11A、12Aを伝搬する表面波(第1表面波W1、第2表面はW2)の一部が底面部16Aに伝搬されても角度φとされた隣接面部を構成する底面部16Aによって反射させて戻すことができ、信号成分を増大してS/N比を向上することができる。したがって、角度φの底面部16AによってS/N比を向上して液面位置の検出精度が良い液面位置検出装置100Aを提供することができる。
液面位置検出装置100,100A,100Bは、伝搬面部11,11A,11B,12,12A,12Bと隣接面部を構成する側面部13,13A,14,14Aまたは底面部16,16A,16Bとのなす角度θ,φが49~65度の範囲に構成されている。
かかる構成によれば、伝搬面部11,11A,11B,12,12A,12Bと隣接面部を構成する側面部13,13A,14,14Aまたは底面部16,16A,16Bとのなす角度が90度の場合に比べ、伝搬面部11,11A,11B,12Aを伝搬する表面波(第1表面波W1、第2表面波W2)の一部が側面部13,13A,14,14Aや底面部16,16A,16Bに伝搬されても鋭角とされた隣接面部を構成する側面部13,13A,14,14Aや底面部16,16A,16Bによって反射させて戻すことができ、信号成分を増大してS/N比を向上することができる。したがって、角度θの側面部13,13A,14,14Aや角度φの底面部16,16A,16BによってS/N比を向上して液面位置の検出精度が良い液面位置検出装置100,100A,100Bを提供することができる。
また、液面位置検出装置100Bは、伝搬面部11Bと底面部(隣接面部)16Bとがなす角度φは、40度以上で、円弧部Rの半径rの大きさにより検出手段30に伝搬される超音波振動の反射率(反射強度)Rcが最大となる角度を含む±3度の範囲とされる。
かかる構成によれば、伝搬体10Bは、底面部16Bでの反射率Rcが最大となる角度φの±3度の範囲のなす角度φとすることで、成形誤差が生じても高反射率Rcを確保することができ、成形が容易となるとともに、精度良く液面の位置を検出することができる。
また、液面位置検出装置100Bは、円弧部Rの半径r(mm)は、超音波振動の波長をλ(mm)としたとき、R≒0.084λとされる。
かかる構成によれば、伝搬体10Bは、円弧部Rの半径をr(mm)、伝搬体10Bを伝搬させる超音波振動の波長をλ(mm)とし、半径r≒0.084*λ(mm)の関係を満たすようにすることで、超音波の波長λに応じた円弧部Rの半径rにすることができる。これにより、反射率Rcを高くすることができ、S/N比を向上して液面位置の精度良く液面の位置を検出することができる。
また、液面位置検出装置100Bは、伝搬体10Bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)製とされ、超音波振動の波長λを1.9mmまたは2.38mmとしたときには、反射強度が最大となる角度は51度とされる。
かかる構成によれば、超音波の波長λに応じた面部同士の角度を反射率Rcが最大となる最適な角度にすることができる。これにより、伝搬体10Bは、反射率Rcを高くして精度良く液面の位置を検出することができるとともに、なす角度φを51度と大きくでき、成形が容易となる。
以上の説明では、公知の技術的事項については、説明を適宜省略した。