JP7329446B2 - 可逆熱変色性水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 - Google Patents
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Description
特許文献3には、分子量300万~500万の架橋型アクリル酸重合体を用いたアルミニウム顔料インキ組成物が掲載されている。このインキも長期保管中のアルミニウムの沈降が抑制されたものである。
特許文献4には、多糖類やポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂を粘度調整剤に用いた光輝性顔料インキ組成物が掲載されている。このインキも長期保管中の顔料の沈降が抑制されたものである。
(a)電子供与性呈色性有機化合物と、(b)電子受容性化合物と、(c)前記(a)成分および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
水と、90~185の原子量を有する6族元素の酸素酸およびその塩からなる群から選択される比重調整剤とを含んでなるビヒクルと
を含んでなるものである。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
水と、90~185の原子量を有する6族元素の酸素酸またはその塩からなる群から選択される比重調整剤とを含んでなるビヒクルと
を含んでなるものである。
以下、本発明によるインキ組成物を構成する各成分について説明する。
本発明に用いられる着色剤は(a)電子供与性呈色性有機化合物と、(b)電子受容性化合物と、(c)前記(a)および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体との必須三成分を含んでなる、加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させた、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、場合により「マイクロカプセル顔料」と表すことがある)である。
マイクロカプセル顔料としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を内包してなるマイクロカプセル顔料を適用できる(図1参照)。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域はt1とt4間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるt2とt3の間の温度域が実質二相保持温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅と称し、ΔHで表わす)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体が挙げられる。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3’,6’-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2’-エチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2’,4’-ジエチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4’-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4’-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群およびその誘導体、偽酸性化合物群(酸ではないが、インキ組成物中で酸として作用して(a)成分を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物があり、これらの中でも活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
活性プロトンを有する化合物およびその誘導体としては、例えばフェノール性水酸基を有する化合物およびその金属塩、カルボン酸およびその金属塩、好ましくは、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸およびそれらの金属塩、酸性リン酸エステルおよびその金属塩、並びにアゾ-ル系化合物およびその誘導体、1、2、3-トリアゾールおよびその誘導体が挙げられ、これらの中でも、有効な熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物はモノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、更にビス型、トリス型フェノール等およびフェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、少なくともベンゼン環を2以上有するものが好ましい。また、これら化合物は置換基を有していてもよく、置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基およびそのエステルまたはアミド基、ハロゲン基等が挙げられる。
活性プロトンを有する化合物の金属塩が含む金属としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛およびモリブデン等が挙げられる。
フェノール、o-クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン等がある。
フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸および炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステルおよびそれらの金属塩、1、2、3-トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
(c)成分としては、色濃度-温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコールまたはフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールまたはエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコールまたは分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデシル、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にR1が水素原子であり、かつ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
前記化合物として具体的には、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
前記化合物としては、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとパルミチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸カルボン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸プロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
前記化合物としては、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
前記化合物としては、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
ここで、マイクロカプセル顔料中、或いは、インキ中に非熱変色性の染料、顔料等の着色剤を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈することもできる。
カプセルの材質としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
また、可逆熱変色性組成物とマイクロカプセル壁膜の質量比率は、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1~1:1(質量比)、好ましくは6:1~1:1の範囲を満たすことが好ましい。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径が5.0μmを越えると筆記具に用いた際に滑らかな筆記感が得られ難く、最大外径の平均値が0.1μm未満では高濃度の発色性を示し難くなる。
平均粒子径が前記範囲、特には0.5~3.0μmの範囲にあるマイクロカプセル顔料は高濃度の発色性を示すとともに筆記具に用いた際には良好な吐出性が得られやすい。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度および鮮明性の低下を生じ易くなる。
なお、平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
なお、マイクロカプセル顔料の比重は以下の測定方法に従って確認された数値である。
1.スクリューびんにグリセリン水溶液30mlと完全発色状態のマイクロカプセル顔料1gを投入、混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得る。
2.マイクロカプセル顔料分散液30mlを1000rpm、30秒間の遠心条件で遠心分離機にかける。なお、遠心分離機は、商品名:冷却・卓上遠心機H103N、株式会社コクサン製の試験機を使用し、マイクロカプセル分散液は20℃に調整したものを用いる。
3.マイクロカプセル顔料の分散液を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半がビーカー底部に沈殿している場合、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を上げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半が液面で浮遊した状態を確認した場合は、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を下げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
上記の一連の操作は、マイクロカプセル顔料の大半が液面に浮上している、あるいは沈殿している状態ではなく、グリセリン水溶液の液面やスクリューびん底部付近以外の部分が均一に着色している状態が目視で確認されるまで繰り返す。この状態が観察された際のグリセリン水溶液の比重を測定し、マイクロカプセル顔料の比重とする。なお、グリセリン水溶液の比重測定はJIS K0061 7.1項記載の浮ひょう法に従い測定する。この際、20℃に調温された試料を用いる。
5質量%未満では発色濃度が不十分であり、40質量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性能が阻害される傾向にある。
本発明によるインキ組成物に用いられるビヒクルは、水と比重調整剤とを含んでなる。本発明において比重調整剤は水に溶解するものであり、ビヒクルの粘度が低粘度においても、インキ組成物が外部から振動等の刺激を受けた際にインキ中でマイクロカプセル顔料が沈降、浮上して、局在化することを抑制するものである。
上記の中では、メタタングステン酸、パラタングステン酸、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム、タングストリン酸、タングストケイ酸、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウムが好ましく、特には、イソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウムがより好ましい。
上記のイソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、およびパラタングステン酸ナトリウムは安全性が高いだけでなくそれ自体が高比重のため添加量に応じて高比重の液体を調整することが容易であり、本発明のビヒクルの粘度調整剤として好適である。
また、マイクロカプセル顔料の質量に対する、比重調整剤の質量の比は、好ましくは、0.05~4.0、より好ましくは、0.075~2.0であり、さらに好ましくは0.1~1.5である。
ビヒクルの比重が上記数値範囲内であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重が上記数値範囲内であると、ビヒクルを低粘度としながらも輸送等によって外部から振動を受けた際にインキ中でマイクロカプセル顔料が沈降、浮上して、局在化することを抑制し、優れた分散安定性を奏するため、ビヒクルの比重を上記数値範囲以内とすることが重要である。
なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、ガラスプレートを用いて、垂直平板法によって測定して求められる。
本発明によるインキ組成物はさらに上記の表面張力を有するものとすることによって、紙面への濡れ性、耐滲み性および耐裏抜け性に対しても優れたインキ組成物とすることができるので、筆記具用インキとしてより好ましいインキ組成物とすることが可能である。
本発明による組成物はビヒクルに高分子凝集剤を含むことが好ましい。高分子凝集剤によってマイクロカプセル顔料は凝集剤を介してゆるやかな凝集体を形成し、マイクロカプセル顔料同士が接触して凝集することが抑制されるため、マイクロカプセル顔料の分散安定性をより一層向上させることが可能である。
高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられ、好ましくは水溶性多糖類である。水溶性多糖類としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、シクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等が挙げられ、好ましくは水溶性セルロース誘導体である。水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、好ましく用いられる。分散安定性を考慮すると、より好ましい高分子凝集剤は、ヒドロキシエチルセルロースである。
本発明における高分子凝集剤の含有量はインキ組成物全量に対して0.1~1.0質量%であることが好ましく、0.3~0.5質量%であることがより好ましい。
本発明によるインキ組成物は分散剤を含むことが好ましい。分散剤がビヒクルに含まれることによってマイクロカプセル顔料の分散性を高めることが可能である。
本発明によるインキ組成物は分散剤と高分子凝集剤とを含むことが好ましいが、分散剤のみを用いても良く、また、両者を併用することも可能である。両者を併用した場合、マイクロカプセル顔料の分散性が向上するだけでなく、高分子凝集剤によって形成されたゆるやかな凝集体の分散性も高まるため、マイクロカプセル顔料の分散安定性をさらに向上させることができる。
分散剤としては既知の分散剤を用いることが可能であり、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン-マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン-アクリル酸共重合体等の合成樹脂、オレフィン-マレイン酸共重合体およびそのアルカリ中和物、アクリル系高分子化合物やPO・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等を挙げることができ、好ましくは、オレフィン-マレイン酸共重合体およびそのアルカリ中和物、ならびにアクリル系高分子化合物である。マイクロカプセル顔料の分散性をより考慮すると、本発明によるインキ組成物に好ましい分散剤はアクリル系高分子化合物であり、アクリル系高分子化合物としては、ポリアクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体、アクリルウレタン共重合体、およびこれらのアルカリ中和物等の物質を用いることが可能であるが、より好ましくはカルボキシル基を有するアクリル系高分子化合物であり、さらには側鎖にカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子化合物である。本発明に特に好ましい分散剤としては、側鎖に複数のカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子化合物であり、その具体例として製品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製を挙げることができる。
本発明の組成物はビヒクルに分散向上剤を含めることによって分散剤の安定性を高め、分散性を持続させることが可能である。
分散向上剤としては水溶性樹脂、特には水溶性のアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が好ましく用いられ、より好ましくは、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールである。分散剤の安定性をより考慮すると、より好ましい分散向上剤はポリビニルアルコールであり、部分けん化型のポリビニルアルコールであることがさらに好ましく、70~89mol%のけん化度を有する部分けん化型のポリビニルアルコールであることがより一層好ましい。
本発明によるインキ組成物は水溶性有機溶剤を含むことが可能である。水溶性有機溶剤が含まれることで水分蒸発を抑制し、ビヒクルの比重変動を防いでマイクロカプセル顔料の良好な分散安定性を維持すること、および高分子凝集剤または高分子凝集剤と分散剤とが形成するゆるやかな凝集体の構造を安定化することが容易となる。
水溶性有機溶剤の具体例としてはエタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
本発明によるインキ組成物においてマイクロカプセル顔料は比重が1より高く、ビヒクルの比重を調整する際は水より比重が高い水溶性有機溶剤を用いると調整を容易としやすいため、グリセリン等の比重が1.1を超える水溶性有機溶剤が好ましく用いられる。
本発明によるインキ組成物は、必要に応じて酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応染料、バット染料、硫化染料、含金染料、カチオン染料、分散染料などの染料、防腐剤、フッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤などの濡れ剤、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、アルキッド樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢ビ樹脂、塩ビ-酢ビ樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレン-アクリロニトリル樹脂、シアネート変性ポリアルキレングリコール、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、尿素アルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ロジンフェノール樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、シクロヘキサノン系樹脂などの定着剤として用いる樹脂において水溶性を有する樹脂、pH調整剤、消泡剤、剪断減粘性付与剤、粘度調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、およびサポニンなどの防錆剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元または非還元デンプン加水分解物、トレハロース等の二糖類、オリゴ糖、ショ糖、シクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、およびピロリン酸ナトリウムなどの湿潤剤、消泡剤、を使用してもよい。
更に、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールおよび/またはその塩等の硫黄系極圧添加剤を含有させることにより、インキのpHが酸性或いはアルカリ領域であっても、一度凍結したインキが再度解凍された後に生じるマイクロカプセル顔料の分散不良や凝集を抑制でき、インキ粘度の上昇やそれに伴う筆跡カスレや淡色化を防止することができると共に、ボールの腐食を防止することもできる。
本発明によるインキ組成物は、20℃下のpHを3~7、好ましくは4~7、より好ましくは5~7に調整することによって、含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集、沈降をいっそう抑制可能とし、さらに、高分子凝集剤または高分子凝集剤と分散剤によって形成されるゆるやかな凝集体の形成性を向上させることが容易となる。
なお、無機顔料、有機顔料、および光輝性顔料は、顔料表面が酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、および酸化ジルコニウムなどの金属酸化物、二酸化ケイ素などの無機酸化物、脂肪酸、およびマイクロカプセル顔料の壁膜物質などで被覆処理されたものであってもよい。
これらビヒクルに不溶性の物質は分散安定性を考慮してビヒクルの比重と近しい比重を有するものが好ましい。
本発明によるインキ組成物は上記の染料、顔料を含むことによって多彩な色変化を表現することが可能である。
インキ組成物は、マーキングペンチップやボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンの他、筆ペン、万年筆、およびカリグラフィーペン等の筆記具に充填して用いられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、インキ流量調節部材とチップが連結されてなる構造を備えるボールペン、軸筒内にインキを充填したインキ収容管を有し、インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属またはプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3~3.0mm、好ましくは0.4~1.5mm、より好ましくは0.5~1.0mm径程度のものが適用できる。
インキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、インキ収容管はレフィルの形態として、レフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填してもよい。
インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体または難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種または二種以上を併用することもできる。
不揮発性液体および/または難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、増粘剤としては表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を挙げることができる。
更に、液状のインキ逆流防止体と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
チップは、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材、または軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成型体であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
また、弁体は、従来より汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
また、インキ収容管内に、インキを含浸させたインキ吸蔵体を収容し、ペン体を筆記先端部に装着してレフィルを調製し、レフィルを軸筒内に収容して出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造の出没式筆記具とすることもできる。
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な摩擦部材や摩擦体が用いられる。
摩擦部材や摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような摩擦部材が用いられる。
摩擦部材や摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、SEPS樹脂(スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)が好適に用いられるが、シリコーン樹脂は摩擦により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれる傾向にあるため、SEBS樹脂がより好適に用いられる。
摩擦部材は筆記具と別体の任意形状の部材(摩擦体)であってもよいが、筆記具に固着させることにより、携帯性に優れる。
摩擦部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)が挙げられる。
冷熱具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
また、筆記具と、摩擦体とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできる。
なお、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1
マイクロカプセル顔料の調製
(a)成分として3’,6’‐ビス[フェニル(3‐メチルフェニル)アミノ]‐スピロ[イソベンゾフラン‐1(3H),9’‐[9H]キサンテン]‐3‐オンを3.00部、(b)成分として4‐4’‐[2,2,2‐トリフルオロ‐1‐(トリフルオロメチル)エチリデン]ジフェニルを5.00部、4‐4’‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノールを3.00部、(c)成分としてシクロヘキシルメチル‐4‐ビフェニルアセテートを50.00部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は1.9μm、完全消色温度は61~62℃、完全発色温度は-20℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水62.80部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)13.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.128であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は0.99~1.00倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計(製品名:TVB-M型粘度計、L型ローター、東機産業株式会社製)を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて9.10mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては7.44mPa・sであり、30rpmにおいては6.23mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、35.27mN/mでありpH値は6.33であった。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体2内にインキ組成物を含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、ホルダー5を介して軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工ペン体3(チゼル型)と接続状態に組み立て、キャップを装着して中詰式筆記具1(マーキングペン)を得た。
軸筒後端部には摩擦部材7としてSEBS樹脂を装着してなる。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
(a)成分として3’,6’‐ビス[フェニル(3‐メチルフェニル)アミノ]‐スピロ[イソベンゾフラン‐1(3H),9’‐[9H]キサンテン]‐3‐オンを3.00部、(b)成分として4‐4’‐[2,2,2‐トリフルオロ‐1‐(トリフルオロメチル)エチリデン]ジフェノールを5.00部、4‐4’‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノールを3.00部、(c)成分として2‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]エチルデカノエートを50.00部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は1.9μm、完全消色温度は60℃、完全発色温度は-20℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水65.80部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)10.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.094であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.08~1.09であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.00~1.01倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて8.20mPa・sであり、回転速度12rpmにおいて6.68mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては5.55mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、33.43mN/mでありpH値は6.55であった。
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
(a)成分として6’‐(ジフェニルアミノ)‐2’‐[(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐(ジペンチルアミノ)‐2’‐[(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ]‐スピロ[イソベンゾフラン‐1(3H),9’‐(9H)キサンテン]‐3‐オンを6.00部、(b)成分として4‐4’‐[2,2,2‐トリフルオロ‐1‐(トリフルオロメチル)エチリデン]ジフェノールを6.00部、4‐4’‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノールを4.00部、(c)成分としてシクロヘキシルメチル‐4‐ビフェニルアセテートを50.00部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は1.9μm、完全消色温度は61~62℃℃、完全発色温度は-20℃であり、温度変化により緑色から無色に変色する。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水60.80部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)15.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.138であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.00~1.01倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて9.20mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては7.54mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては6.36mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、38.01mN/mでありpH値は6.12であった。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体2内にインキ組成物を含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、ホルダー5を介して軸筒先端部にポリエステル繊維からなるマーキングペンチップ3(砲弾型)を接続状態に組み立て、キャップ6を装着して筆記具1(マーキングペン)を得た。
キャップには頂部に摩擦部材7としてSEBS樹脂を装着してなる。
筆跡は、室温(20℃)で緑色を呈しており、キャップに装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の緑色に復色し、変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例1のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水63.20部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)13.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.128であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は0.99~1.00倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて9.30mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては7.55mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては6.14mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、35.84mN/mでありpH値は6.31であった。
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例1のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.20部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水51.00部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)13.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.263であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.11~1.12倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて4.80mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては3.79mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては3.39mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、28.70mN/mでありpH値は6.51であった。
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例2のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.80部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水73.40部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)13.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.019であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.08~1.09であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は0.93~0.94倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて16.50mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては13.60mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては11.36mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、33.09mN/mでありpH値は6.53であった。
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例2のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.05部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水66.15部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)13.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.094であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.08~1.09であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.00~1.01倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて10.10mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては7.97mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては6.37mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、30.25mN/mでありpH値は6.36であった。
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例2のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)1.00部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水50.20部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)13.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.263であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.08~1.09であり、マイクロカプセル顔料の比重に対して該ビヒクルの比重は1.16~1.17倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて7.80mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては6.40mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては5.48mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、32.00mN/mでありpH値は6.74であった。
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例1のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、グリセリン10.00部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水55.80部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)10.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.170であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.03~1.04倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて12.40mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては10.05mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては8.51mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、34.68mN/mでありpH値は6.70であった。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体2内に前記インキ組成物を含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒4内に収容し、ホルダー5を介して軸筒先端部に、軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有するポリアセタール樹脂の押出成型体からなるペン体3(砲弾型)と接続状態に組み立て、キャップを装着して中詰式筆記具1(マーキングペン)を得た。
キャップ先端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、キャップ先端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例1のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、グリセリン20.00部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水49.30部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)6.50部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.159であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.02~1.03倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて15.50mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては12.76mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては11.00mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、35.69mN/mでありpH値は6.93であった。
実施例9と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、キャップ先端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例1のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、グリセリン22.00部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤 シリコーン系消泡剤(商品名:FSアンチフォーム013A、東レダウコーニング株式会社製)0.20部、リン酸0.05部、水53.55部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)6.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料17.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.148であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.01~1.02倍であった。
水性インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて11.60mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては9.66mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては8.65mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、35.04mN/mでありpH値は6.99であった。
実施例9と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、キャップ先端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例1のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
高分子凝集剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名CELLOSIZE EP-09、ダウケミカル日本株式会社製)0.40部、アクリル系高分子分散剤(商品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製)0.40部、グリセリン18.00部、防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤 シリコーン系消泡剤(商品名:FSアンチフォーム013A、東レダウコーニング株式会社製)0.20部、リン酸0.05部、水53.55部を混合した後、比重調整剤としてポリタングステン酸ナトリウム(商品名:SPT-1、SOMETU社)7.00部を加えビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料20.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.152であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.01~1.02倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて12.20mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては10.06mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては8.73mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、35.61mN/mでありpH値は6.92であった。
実施例9と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、キャップ先端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
マイクロカプセル顔料の調製
実施例1のマイクロカプセル顔料の調製に従い、マイクロカプセル顔料を調整、単離した。
防腐剤 ピリジン‐2‐チオール1‐オキシド,ナトリウム塩(商品名:ソジウムオマジン40%、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤 3‐ヨード‐2‐プロピニルブチルカーバメート(商品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、水76.60部を混合し、ビヒクルを得た。
完全発色状態のマイクロカプセル顔料23.00部とビヒクルとを混合しインキ組成物を得た。
なお、水を基準物質とし、20℃においてビヒクルの比重を測定した結果、比重は1.000であった。
また、20℃においてマイクロカプセル顔料の比重を測定した結果、比重は1.13~1.14であり、マイクロカプセル顔料の比重に対してビヒクルの比重は1.13~1.14倍であった。
インキ組成物の粘度をBL型粘度計を用いて測定した結果、20℃下、回転速度6rpmにおいて5.70mPa・sであり、回転速度12rpmにおいては2.88mPa・sであり、回転速度30rpmにおいては2.06mPa・sであった。
また、20℃において、インキ組成物の表面張力は、42.05mN/mでありpH値は6.11であった。
実施例1と同様の手順で中詰式筆記具(マーキングペン)を得た。
筆跡は、室温(20℃)で青色を呈しており、軸筒後端部に装着した摩擦体を用いて摩擦すると、筆跡は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、-20℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、この変色挙動は繰り返し再現された。
実施例1乃至8および比較例1で作製したインキ組成物を室温で24時間静置し、静置後のマイクロカプセル顔料の分散状態を目視で観察した。
A:インキ組成物は均一に着色している。マイクロカプセル顔料の沈殿や液面での浮遊は極めて少ない。
B:マイクロカプセル顔料の一部が沈殿またはインキ組成物の液面で浮遊している。インキ組成物において色の濃淡の存在が確認されるが、実用上問題ないもの。
C:マイクロカプセル顔料の多くが沈殿またはインキ組成物の液面で浮遊している。インキ組成物における色の濃淡差の存在が明瞭であり、実用上懸念がある。
実施例1乃至8および比較例1で作製した筆記具を用いてレポート用紙(コクヨ株式会社製、商品名:キャンパスレポート箋A4A罫)に直線を筆記する。
筆記した筆記具にキャップを嵌めて震盪機(株式会社タイテック製、レシプロシェイカー)に正立状態(筆記先端部上向き)でセットして284rpmで5時間縦方向に振動を加えた後、レポート用紙に直線を筆記して試験前後の筆跡の発色性、筆記性、について比較した。
A:試験前と比較して筆跡に濃度差がないもの。
B:試験前と比較して筆跡にやや濃度差があるが、実用上問題のないもの。
C:試験前と比較して筆跡に濃度差がある。実用上懸念があるもの。
A:試験前と比較してかすれ、途切れの発生が同等である。
B:試験前と比較してかすれ、途切れが若干発生しやすいが実用上問題がないもの。
C:試験前と比較してかすれ、途切れが発生しやすい。実用上懸念があるもの。
上記中詰式筆記具により筆記試験媒体に筆記を行い、その際の書き味を官能評価した。なお、筆記試験用の媒体として上記レポート用紙を用いた。
A:滑らかな書き味だった。
B:やや重い書き味を感じたが、実用上問題のないレベルだった。
C:重く、滑りが悪い書き味だった。
t2 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の発色開始温度
t3 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の消色開始温度
t4 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の完全消色温度
T1 加熱発色型のマイクロカプセル顔料の完全消色温度
T2 加熱発色型のマイクロカプセル顔料の消色開始温度
T3 加熱発色型のマイクロカプセル顔料の発色開始温度
T4 加熱発色型のマイクロカプセル顔料の完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 筆記具
2 インキ吸蔵体
3 ペン体
4 軸筒
5 ホルダー
6 キャップ
7 摩擦部材
Claims (13)
- (a)電子供与性呈色性有機化合物と、(b)電子受容性化合物と、(c)前記(a)成分および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
水と、90~185の原子量を有する6族元素の酸素酸およびその塩からなる群から選択される比重調整剤と、高分子凝集剤と、分散剤とを含んでなるビヒクルと
を含んでなる、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物であって、
20℃において、水を基準物質とした場合の前記マイクロカプセル顔料の比重が1.05~1.20であり、前記ビヒクルの比重が1.05~1.20であり、かつ前記ビヒクルの比重が前記マイクロカプセル顔料の比重に対して0.90~1.20であり、
前記比重調整剤が、ポリタングステン酸ナトリウムであり、
前記比重調整剤の含有量が、前記インキ組成物全量に対して2~20質量%であり、
前記高分子凝集剤が、水溶性セルロース誘導体であり、
前記分散剤が、側鎖にカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子である、筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。 - 20℃において、水を基準物質とした場合の前記ビヒクルの比重が1.08~1.15であり、かつ前記ビヒクルの比重が前記マイクロカプセル顔料の比重に対して0.95~1.10である、請求項1に記載のインキ組成物。
- 20℃において、水を基準物質とした場合の前記ビヒクルの比重が1.08~1.15であり、かつ前記ビヒクルの比重が前記マイクロカプセル顔料の比重に対して0.97~1.05である、請求項1または2に記載のインキ組成物。
- 前記比重調整剤の含有量が、前記インキ組成物全量に対して5~15質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のインキ組成物。
- 前記マイクロカプセル顔料の質量に対する、前記比重調整剤の質量の比が、0.05~4.0である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記ビヒクルが、水溶性有機溶剤をさらに含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のインキ組成物。
- 前記水溶性有機溶剤がグリセリンである、請求項6に記載のインキ組成物。
- 前記ビヒクルが、分散向上剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のインキ組成物。
- pH値が3~7である、請求項1~8のいずれか一項に記載のインキ組成物。
- 20℃において、BL型粘度計による回転速度6rpmでの粘度が3~25mPa・sの粘度であり、回転速度12rpmでの粘度が2~20mPa・sであり、回転速度30rpmでの粘度が1~20mPa・sである、請求項1~9のいずれか一項に記載のインキ組成物。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容してなる筆記具。
- 前記筆記具がマーキングペンである、請求項11に記載の筆記具。
- 摩擦部材をさらに具備してなる、請求項11または12に記載の筆記具。
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