JP7328541B2 - 溶融めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融めっき鋼板に関する。
溶融めっき鋼板は、耐食性に優れており、その中でもZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板は、特に優れた耐食性を備えている。このような溶融めっき鋼板は、建材、家電、自動車分野等種々の製造業において広く使用されており、近年、その使用量が増加している。
ところで、溶融めっき鋼板の溶融めっき層の表面に、文字、模様、デザイン画などを現すことを目的として、溶融めっき層に印刷や塗装などの工程を施すことにより、文字、模様、デザイン画などを溶融めっき層の表面に現す場合がある。
しかし、溶融めっき層に印刷や塗装などの工程を行うと、文字やデザイン等を施すためのコストや時間が増大する問題がある。更に、印刷や塗装によって文字やデザイン等をめっき層の表面に現す場合は、需要者から高い支持を得ている金属光沢外観が失われるだけでなく、塗膜自体の経時劣化や塗膜の密着性の経時劣化の問題から、耐久性が劣り、時間とともに文字やデザイン等が消失してしまう恐れがある。また、インクをスタンプすることで文字やデザイン等をめっき層の表面に現す場合は、コストや時間は比較的抑えられるものの、インクによって、溶融めっき層の耐食性が低下する懸念がある。
下記特許文献に示されるように、Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板に対する様々な技術開発がなされているが、めっき層の表面に文字やデザイン等を現した場合にその耐久性を向上させる技術は知られていない。
Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板に関し、Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板にみられる梨地状のめっき外観をより美麗とすることを目的とする従来技術は存在する。
例えば、特許文献1は、キメが細かく、かつ平滑な光沢部が多い梨地状の外観を有するZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板、すなわち、単位面積当たりの白色部の個数が多く、そして、光沢部の面積の割合が大きいという良好な梨地状の外観を有するZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板が記載されている。また、特許文献1においては、好ましくない梨地の状態を、不定形な白色部と円形状の光沢部とが混在して表面に点在した表面外観を呈している状態であることが記載されている。
また、特許文献4は、Al/MgZn/Znの三元共晶組織を微細化させることで、全体的にめっき層の光沢度が増し、外観均一性が向上した高耐食性溶融亜鉛めっき鋼板が記載されている。
しかしながら、めっき層の表面に文字等を現した場合に、その耐久性を向上させ、かつ、耐食性を低下させないようにする技術は、従来から知られていなかった。
特許第5043234号公報 特許第5141899号公報 特許第3600804号公報 国際公開第2013/002358号
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、めっき層の表面に文字やデザイン等を現すことができ、それらの耐久性に優れ、また、耐食性にも優れた溶融めっき鋼板を提供することを課題とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:0~90質量%、Mg:0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
前記溶融めっき層に、所定の形状となるように配置されたパターン部と、非パターン部とが形成され、
前記パターン部が、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号、模様若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた意図的な形状となるように配置され、
前記パターン部及び前記非パターン部は、それぞれ、下記の測定方法Iで得られる第1領域、第2領域のうちの1種または2種を含み、
前記パターン部における前記第1領域の面積率と、前記非パターン部における前記第1領域の面積率との差の絶対値が、30%以上であることを特徴とする、溶融めっき鋼板。
[測定方法I]
前記溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、前記仮想格子線によって区画される複数の領域においてそれぞれ、各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円内を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定する。得られたL値の中から任意の50点を選定し、得られたL値の50点平均を基準L値としたとき、L値が基準L値以上になる領域を第1領域、基準L値未満となる領域を第2領域とする。
[2] 前記測定方法Iに代えて、下記測定方法IIによって前記第1領域及び前記第2領域を規定することを特徴とする[1]に記載の溶融めっき鋼板。
[測定方法II]
前記溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、前記仮想格子線によって区画される複数の領域においてそれぞれ、各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円内を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定し、L値が45以上になる領域を第1領域、L値が45未満となる領域を第2領域とする。
[3] 前記溶融めっき層が、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の溶融めっき鋼板。
[4] 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Si:0.0001~2質量%を含有することを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の溶融めっき鋼板。
[5] 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を、合計で0.001~2質量%含有することを特徴とする[1]乃至[4]の何れか一項に記載の溶融めっき鋼板
] 前記溶融めっき層の付着量が前記鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする[1]乃至[]のいずれか一項に記載の溶融めっき鋼板。
本発明によれば、パターン部における第1領域の面積率と、非パターン部における第1領域の面積率との差の絶対値を30%以上とすることで、パターン部と非パターン部とを識別できるようになる。これにより、溶融めっき層の表面に文字やデザイン等を現した場合に、それらの耐久性に優れ、また、耐食性にも優れた溶融めっき鋼板を提供できる。
図1は、実施例のNo.1の第1領域の走査型電子顕微鏡による拡大写真である。 図2は、実施例のNo.1の第2領域の走査型電子顕微鏡による拡大写真である。 図3は、本実施形態の一例である溶融めっき鋼板の表面を示す拡大平面図。
以下、本発明の実施形態である溶融めっき鋼板について説明する。
本実施形態の溶融めっき鋼板は、鋼板と、鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、溶融めっき層は、平均組成で、Al:0~90質量%、Mg:0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、溶融めっき層に、所定の形状となるように配置されたパターン部と、非パターン部とが形成され、パターン部及び非パターン部は、それぞれ、第1領域、第2領域のうちの1種または2種を含み、パターン部における第1領域の面積率と、非パターン部における第1領域の面積率との差が絶対値で30%以上であり、第1領域は、下記の測定方法Iで得られるL値が基準L値以上の領域であり、第2領域は、下記の測定方法Iで得られるL値が基準L値未満の領域である溶融めっき鋼板である。
測定方法Iは、次の通りである。溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、仮想格子線によって区画される複数の領域においてそれぞれ、各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円内を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定する。また、得られたL値の中から任意の50点を選定し、50点平均を基準L値とする。
また、本実施形態では、測定方法Iに代えて、後述する測定方法IIによって求めた基準によって、第1領域及び第2領域を規定してもよい。
本実施形態の溶融めっき鋼板では、溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描いた場合、仮想格子線によって区画される複数の領域はそれぞれ、L値に応じて、第1領域、第2領域のいずれかに区分される。
第1領域は、L値が基準L値以上になる領域である。第1領域はL値が大きいため、溶融めっき層において第1領域が多く含まれる箇所は、肉眼または顕微鏡下で観察した際に、白色もしくは白色に近い色に見える。一方、第2領域は、L値が基準L値未満になる領域である。第2領域はL値が小さいため、溶融めっき層において第2領域が多く含まれて第1領域が少なくなる箇所は、金属光沢があるか、若しくは暗く見える。更に、第1領域と第2領域とが混在し、第1領域の面積率が30~70%である箇所は、外観が梨地状に見える。
このように、第1領域の面積率によって、溶融めっき層の表面は、白色もしくは白色に近い色、金属光沢若しくは低明度または梨地状のいずれかに見える。ここで、溶融めっき層の表面に、文字、図形、線、ドット、模様などを視認できるようにするためには、これらの文字等を構成するパターン部と、それ以外の非パターン部とが、識別できるようになればよい。そのためには、パターン部における第1領域の面積割合と、非パターン部における第1領域の面積割合とが、異なっていればよい。
具体的には、パターン部における第1領域の面積率と、非パターン部における第1領域の面積率との差が、絶対値で30%以上であるとよい。これにより、パターン部と非パターン部とが識別可能になる。
例えば、パターン部の第1領域の面積割合が75%である場合、パターン部は白色若しくは白色に近い色に見える。また、非パターン部における第1領域の面積割合が45%以下である場合、梨地状、金属光沢あるいは低明度の色に見える。そして、パターン部、非パターン部のおける第1領域の面積率の差が30%以上の場合に、このような外観の違いにより、パターン部と非パターン部を識別可能になる。
また、パターン部の第1領域の面積割合が65%程度であり、非パターン部の第1領域の面積割合が35%程度である場合、パターン部及び非パターン部はともに梨地状に見えるが、パターン部における第1領域の面積割合が大きいため、パターン部は非パターン部に対してより白い外観を呈する。そして、パターン部、非パターン部のおける第1領域の面積率の差が30%以上の場合に、このような外観の違いにより、パターン部と非パターン部を識別可能になる。
更に、パターン部の第1領域が50%である場合、パターン部は梨地状に見える。また、非パターン部における第1領域の面積割合が20%以下である場合、金属光沢あるいは低明度の色に見える。そして、パターン部、非パターン部のおける第1領域の面積率の差が30%以上の場合に、このような外観の違いにより、パターン部と非パターン部を識別可能になる。
このように、パターン部における第1領域の面積率と非パターン部における第1領域の面積率との差が絶対値で30%以上になると、パターン部と非パターン部の外観が異なるようになるため、パターン部を明確に識別できるようになる。すなわち、めっき層表面の可視光像において、パターン部及び非パターン部の色相、明度、彩度等の差が大きくなるため、パターン部と非パターン部が識別可能になる。
一方、パターン部における第1領域の面積率と非パターン部における第1領域の面積率との差が絶対値で30%未満になると、パターン部と非パターン部の外観の差がなくなり、パターン部を明確に識別できなくなる。すなわち、めっき層表面の可視光像において、パターン部及び非パターン部の色相、明度、彩度等の差が小さくなるため、パターン部と非パターン部を識別できなくなる。
以上のように、パターン部及び非パターン部における第1領域の存在割合の一例を示したが、パターン部における第1領域の面積率と非パターン部における第1領域の面積率との差が絶対値で30%以上であればよく、パターン部及び非パターン部のそれぞれにおける第1領域の存在割合を限定する必要はない。
以下、本発明の実施形態の溶融めっき鋼板について説明する。
溶融めっき層の下地となる鋼板は、材質に特に制限はない。詳細は後述するが、材質として、一般鋼などを特に制限はなく用いることができ、Alキルド鋼や一部の高合金鋼も適用することも可能であり、形状にも特に制限はない。鋼板に対して後述する溶融めっき法を適用することで、本実施形態に係る溶融めっき層が形成される。
次に、溶融めっき層の化学成分について説明する。
溶融めっき層は、平均組成で、Al:0~90質量%、Mg:0~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含む。より好ましくは、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含む。更に好ましくは、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物からなる。また、溶融めっき層は、平均組成で、Si:0.0001~2質量%を含有していてもよい。更に、溶融めっき層は、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を合計で、0.001~2質量%含有していてもよい。
Alの含有量は、平均組成で0~90質量%、好ましくは4~22質量%の範囲である。Alは、耐食性を確保するために含有させるとよい。溶融めっき層中のAlの含有量が4質量%以上であれば、耐食性を向上させる効果がより高まる。90%を超えると意匠付与に長時間を要し、現実的に製造が困難である。22質量%を超えると耐食性を向上させる効果が飽和する。耐食性の観点から、好ましくは5~18質量%とする。より好ましくは6~16質量%とする。
Mgの含有量は、平均組成で0~10質量%、好ましくは1~10質量%の範囲である。Mgは、耐食性を向上させるために含有させるとよい。溶融めっき層中のMgの含有量が1質量%以上であれば、耐食性を向上させる効果がより高まる。10質量%を超えるとめっき浴でのドロス発生が著しくなり、安定的に溶融めっき鋼板を製造するのが困難となる。耐食性とドロス発生のバランスの観点から、好ましくは1.5~6質量%とする。より好ましくは2~5質量%の範囲とする。
Al及びMgはそれぞれ0%であってもよい。すなわち、本実施形態の溶融めっき鋼板の溶融めっき層は、Zn-Al-Mg系溶融めっき層に限定されるものではなく、Zn-Al系溶融めっき層であってもよく、溶融亜鉛めっき層であってもよく、合金化溶融亜鉛めっき層であってもよい。
また、溶融めっき層は、Siを0.0001~2質量%の範囲で含有していてもよい。
Siは、溶融めっき層の密着性を向上させる場合があるので、含有させてもよい。Siを0.0001質量%以上含有させることで密着性を向上させる効果が発現するため、Siを0.0001質量%以上含有させることが好ましい。一方、2質量%を超えて含有させてもめっき密着性を向上させる効果が飽和するため、Siの含有量は2質量%以下とする。めっき密着性の観点からは、0.0010~1質量%の範囲としてもよく、0.0100~0.8質量%の範囲としてもよい。
溶融めっき層中には、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cの1種又は2種以上を合計で0.001~2質量%を含有していてもよい。これらの元素を含有することで、さらに耐食性を改善することができる。REMは、周期律表における原子番号57~71の希土類元素の1種または2種以上である。
溶融めっき層の化学成分の残部は、亜鉛及び不純物である。不純物には、亜鉛ほかの地金中に不可避的に含まれるもの、めっき浴中で、鋼が溶解することによって含まれるものがある。
なお、溶融めっき層の平均組成は、次のような方法で測定できる。まず、めっきを浸食しない塗膜剥離剤(例えば、三彩化工社製ネオリバーSP-751)で表層塗膜を除去した後に、インヒビター(例えば、スギムラ化学工業社製ヒビロン)入りの塩酸で溶融めっき層を溶解し、得られた溶液を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析に供することで求めることができる。また、表層塗膜を有しない場合は、表層塗膜の除去作業を省略できる。
次に、溶融めっき層の組織について説明する。以下に説明する組織は、溶融めっき層が平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1~10質量%、Siを0~2質量%を含有する場合の組織である。
Al、Mg及びZnを含有する溶融めっき層は、〔Al相〕と、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕とを含んでいる。〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔Al相〕が包含された形態を有している。更に、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔MgZn相〕や〔Zn相〕が含まれていてもよい。また、Siを添加した場合には、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔MgSi相〕が含まれていても良い。
ここで、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕とは、Al相と、Zn相と金属間化合物MgZn相との三元共晶組織であり、この三元共晶組織を形成しているAl相は例えばAl-Zn-Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Znを固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離して現れる。また、該三元共晶組織中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によってはさらに少量のMgを固溶したZn固溶体である。該三元共晶組織中のMgZn相は、Zn-Mgの二元系平衡状態図のZn:約84質量%の付近に存在する金属間化合物相である。状態図で見る限りそれぞれの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるがその量は通常の分析では明確に区別できないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明細書では〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕と表す。
また、〔Al相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、これは例えばAl-Zn-Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Znを固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相はめっき浴のAlやMg濃度に応じて固溶するZn量やMg量が相違する。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離するが、常温で見られる島状の形状は高温でのAl″相の形骸を留めたものであると見てよい。状態図で見る限りこの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるが通常の分析では明確に区別できないため、この高温でのAl″相に由来し且つ形状的にはAl″相の形骸を留めている相を本明細書では〔Al相〕と呼ぶ。この〔Al相〕は前記の三元共晶組織を形成しているAl相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
また、〔Zn相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlさらには少量のMgを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Zn相〕は前記の三元共晶組織を形成しているZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。本発明のめっき層には、製造条件により〔Zn相〕が含まれる場合も有るが、実験では加工部耐食性向上に与える影響はほとんど見られなかったため、めっき層に〔Zn相〕が含まれても特に問題はない。
また、〔MgZn相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔MgZn相〕は前記の三元共晶組織を形成しているMgZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。本発明のめっき層には、製造条件により〔MgZn相〕が含まれない場合も有るが、ほとんどの製造条件ではめっき層中に含まれる。
また、〔MgSi相〕とは、Siを添加した場合のめっき層の凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相である。状態図で見る限りZn、Al、その他の添加元素は固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔MgSi相〕はめっき中では顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
次に、溶融めっき層の表面におけるパターン部、非パターン部、第1領域及び第2領域について説明する。
本実施形態の溶融めっき層の表面には、所定の形状となるように配置されたパターン部と、非パターン部とが形成される。パターン部は、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号、模様若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるように配置されていることが好ましい。また、非パターン部は、パターン部以外の領域である。また、パターン部の形状は、ドット抜けのように一部が欠けていても、全体として認識できれば許容される。また、非パターン部は、パターン部の境界を縁取るような形状であってもよい。
溶融めっき層表面に、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号、模様若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状が配置されている場合に、これらの領域をパターン部とし、それ以外の領域を非パターン部とすることができる。パターン部と非パターン部の境界は、肉眼で把握することができる。パターン部と非パターン部の境界は、光学顕微鏡や拡大鏡などによる拡大像から把握してもよい。
パターン部は、肉眼、拡大鏡下または顕微鏡下でパターン部の存在を判別可能な程度の大きさに形成されるとよい。また、非パターン部は、溶融めっき層(溶融めっき層の表面)の大部分を占める領域であり、非パターン部内にパターン部が配置される場合がある。パターン部は、非パターン部内において所定の形状に配置されている。具体的には、パターン部は、非パターン部内おいて、直線部、曲線部、図形、ドット部、図形、数字、記号、模様若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるように配置されている。パターン部の形状を調整することによって、溶融めっき層の表面に、直線部、曲線部、図形、ドット部、図形、数字、記号、模様若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状が現される。例えば、溶融めっき層の表面には、パターン部からなる文字列、数字列、記号、マーク、線図、デザイン画あるいはこれらの組合せ等が現される。この形状は、後述する製造方法によって意図的若しくは人工的に形成された形状であり、自然に形成されたものではない。
このように、パターン部及び非パターン部は、溶融めっき層の表面に形成された領域であり、また、パターン部及び非パターン部には、それぞれ、第1領域、第2領域のうちの1種または2種が含まれる。
第1領域は、下記の測定方法Iによって得られるL値が基準L値以上の測定領域Aを含む領域である。また、第2領域は、測定方法Iで得られるL値が基準L値未満の測定領域Aを含む領域である。
溶融めっき層において第1領域が多い箇所は、白色もしくは白色に近い色に見える。一方、溶融めっき層において第2領域が多い箇所は、金属光沢があるか、または暗く見える。また、第1領域と第2領域がそれぞれ分散して集まり、第1領域の面積率が30~70%である箇所は、外観が梨地状に見える。
なお、第1領域及び第2領域は、後述する測定方法IIによって得られた比率Aによって特定されていてもよい。
次に、比率Aの測定方法I、IIについて説明する。
測定方法Iでは、溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、仮想格子線によって区画される複数の領域においてそれぞれ、各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円内を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定する。
測定方法Iでは、溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、この仮想格子線によって区画される複数の領域を設定する。各領域の形状は、1辺が0.5mmの正方形である。ここで設定した領域が、第1領域または第2領域のいずれかになる。仮想格子線によって区画された各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定する。
次に、基準L値を求める。基準L値は、仮想格子線によって区画された複数の領域の中から任意に選択された50個の領域のL値の平均値である。基準L値の測定用の任意の測定点50点は、例えば次のようにして選定する。まず、前記の仮想格子線によって区画される複数の領域のうち1つの領域を選択する。次に、この1つの領域を起点として、10ずつの間隔をあけて、縦10領域×横5領域(50mm×25mm)の合計50点を選択する。このようにして選択した計50点の領域を、基準L値の測定用の任意の測定点50点とする。
そして、仮想格子線によって区画された領域において、L値が基準L値以上になる測定領域Aを含む領域を第1領域とし、L値が基準L値未満になる測定領域Aを含む領域を第2領域とする。
次に、測定方法IIは、基準L値の代わりに、L=45を用いることで、第1領域及び第2領域を特定する。すなわち、溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、仮想格子線によって区画される複数の領域を設定する。各領域の形状は、1辺が0.5mmの正方形である。ここで設定した領域が、第1領域または第2領域になる。仮想格子線によって区画された重心点を選定する。そして、重心点を中心とする直径0.5mmの円を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定する。
そして、前記領域において、L値が45以上になる測定領域Aを含む領域を第1領域とし、L値が45未満になる測定領域Aを含む領域を第2領域とする。
上記の測定方法I及びIIにおいて、L値の測定は、JIS K 5600-4-5に準じて行う。本実施形態では、L表色系で表される色空間を示すパラメータのうち、明度を示すL値を用いる。L値の測定は、ハロゲンランプを光源とする照射光を、溶融めっき層の表面の鉛直方向(90°の方向)に対して45°の角度から照射し、溶融めっき層の表面の鉛直方向(90°の方向)に反射する反射光を受光器によって受光することで測定する。L値の測定装置は微小面分光色差計(日本電色工業株式会社製、VSS 7700)を用いることができる。測定波長範囲は380nm~780nmとし、この波長範囲内での強度を5nm間隔で測定し、L値に換算すればよい。
パターン部には、仮想格子線によって区画された複数の領域が含まれており、各領域は、第1領域、第2領域の何れかに分類される。また、非パターン部にも、仮想格子線によって区画された複数の領域が含まれており、各領域は、第1領域、第2領域のいずれかに分類される。すなわち、パターン部は、第1領域、第2領域のいずれかのみを含んでいてもよく、第1領域、第2領域の2種を含んでいてもよい。同様に、非パターン部は、第1領域、第2領域のいずれかのみを含んでいてもよく、第1領域、第2領域の2種を含んでいてもよい。
ここで、パターン部においては、第1領域及び第2領域のそれぞれの面積割合を求めることができる。そして、第1領域の面積分率が70%を超える場合は、パターン部が白色もしくは白色に近い色に見える。第1領域の面積分率が30%以上70%以下である場合は、パターン部が梨地状に見える。また、第1領域の面積分率が30%未満である場合、パターン部は金属光沢があるか、または暗く見える。このように、パターン部の外観は、第1領域の面積分率に依存する。
一方、非パターン部においても、第1領域及び第2領域のそれぞれの面積割合を求めることができる。パターン部と同様、非パターン部の外観は、第1領域の面積分率に依存する。
そして、パターン部における第1領域の面積割合と、非パターン部における第1領域の面積割合との差が、絶対値で30%以上の場合に、パターン部と非パターン部とを識別できるようになる。面積割合の差が30%未満では、パターン部における第1領域の面積割合と、非パターン部における第1領域の面積割合との差が小さく、パターン部及び非パターン部の外観が似たような外観になり、パターン部を識別することが困難になる。面積割合の差は、大きければ大きいほどよく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。
パターン部及び非パターン部は、肉眼で識別可能であってもよく、拡大鏡下または顕微鏡下で識別可能であってもよい。拡大鏡下または顕微鏡下で識別可能とは、例えば、パターン部で構成される形状が50倍以下の視野で識別可能であればよい。50倍以下の視野であれば、パターン部と非パターン部は、その外観の違いにより、識別可能である。パターン部と非パターン部は、好ましくは20倍以下、さらに好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下で識別可能である。
本実施形態に係る溶融めっき鋼板は、溶融めっき層の表面に化成処理皮膜層や塗膜層を有してもよい。ここで、化成処理皮膜層や塗膜層の種類は特に限定されず、公知の化成処理皮膜層や塗膜層を用いることができる。
次に、本実施形態の溶融めっき鋼板の製造方法を説明する。
本実施形態の溶融めっき鋼板は、製鋼、鋳造、熱間圧延を経て製造された鋼板に対して、溶融めっきを行う。鋼板を製造する際には、更に、酸洗、熱延板焼鈍、冷間圧延、冷延板焼鈍を行ってもよい。溶融めっきは、鋼板を溶融めっき浴に連続通板させる連続式溶融めっき法でもよく、鋼板を所定の形状に加工した鋼材または鋼板自体を、溶融めっき浴に浸漬してから引き上げるどぶ付け式めっき法でもよい。
溶融めっき浴は、Al:0~90質量%、Mg:0~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含むことが好ましい。また、溶融めっき浴は、Al:4~22質量%、Mg:1~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含むものでもよい。更に、溶融めっき浴は、Si:0.0001~2質量%を含有してもよい。更にまた、溶融めっき浴は、Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を、合計で0.001~2質量%含有してもよい。なお、本実施形態の溶融めっき層の平均組成は、溶融めっき浴の組成とほぼ同じである。
溶融めっき浴の温度は、組成によって異なるが、例えば、400~500℃の範囲が好ましい。溶融めっき浴の温度がこの範囲であれば、所望の溶融めっき層を形成できるためである。
また、溶融めっき層の付着量は、溶融めっき浴から引き上げられた鋼板に対してガスワイピング等の手段で調整すればよい。溶融めっき層の付着量は、鋼板両面の合計の付着量が30~600g/mの範囲になるように調整することが好ましい。付着量が30g/m未満の場合、溶融めっき鋼板の耐食性が低下するので好ましくない。付着量が600g/m超の場合、鋼板に付着した溶融金属の垂れが発生して、溶融めっき層の表面を平滑にすることができなくなるため好ましくない。
溶融めっき層の付着量を調整した後、鋼板を冷却する。冷却条件は特に限定する必要はない。
溶融めっき層の形成後に、パターン部及び非パターン部の形成を行う。パターン部及び非パターン部の形成は、60~200℃の溶融めっき鋼板の溶融めっき層の表面に酸性溶液を付着させることによって行う。より具体的には、酸性溶液を用意し、これを印刷手段によって溶融めっき層の表面に付着させるとよい。印刷手段としては、各種の版を用いた印刷法(グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、シルク印刷等)、インクジェット法など、一般的な印刷法を適用できる。
版を用いた印刷方法の一例として、印刷パターンを周面に形成したゴムロールまたはゴムスタンプに、酸性溶液を付着させつつ、ゴムロールまたはゴムスタンプを溶融めっき層表面に押し付けて酸性溶液を転写させることにより、酸性溶液を付着させることができる。この方法であれば、連続して通板する鋼板に対して、効率よく酸性溶液を付着させることができる。
酸性溶液が付着した箇所では、溶融めっき層のごく表面が溶解して、溶融めっき層の表面が、めっきままの状態から変化する。これにより、酸性溶液が付着しなかった箇所との比較で、酸性溶液が付着した箇所の外観が変化する。このようにして、パターン部における第一領域の面積率と、非パターン部における第一領域の面積率との差が大きくなり、パターン部と非パターン部とを識別できるようになると推測される。
酸性溶液の付着範囲は、パターン部に対応する領域としてもよく、非パターン部に対応する領域としてもよい。
酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸を用いることが好ましい。また、酸性溶液における酸の濃度は、0.1~10質量%であることが望ましい。酸性溶液の付着時の鋼板温度は60~200℃、望ましくは50~80℃がよい。酸性溶液の種類や濃度を調整することで、酸性溶液を付着させた箇所おいて、溶融めっき層表面における第1領域、第2領域の面積分率を調整することができるようになる。
酸性溶液を付着させる際の溶融めっき層の表面温度が60℃未満では、パターン部または非パターン部の形成に時間を要するため好ましくなく、溶融めっき層の表面温度が200℃を超えると、酸性溶液がすぐに揮発してしまい、パターン部または非パターン部を形成できなくなるため好ましくない。
酸性溶液の付着後は、1~10秒以内に水洗を行う必要がある。
溶融めっき層の表面に化成処理層を形成する場合には、溶融めっき層を形成した後の溶融めっき鋼板に対して、化成処理を行う。化成処理の種類は特に限定されず、公知の化成処理を用いることができる。
また、溶融めっき層の表面や化成処理層の表面に塗膜層を形成する場合には、溶融めっき層を形成した後、又は、化成処理層を形成した後の溶融めっき鋼板に対して、塗装処理を行う。塗装処理の種類は特に限定されず、公知の塗装処理を用いることができる。
本実施形態の溶融めっき鋼板は、第1領域及び第2領域のうち、パターン部における第1領域の面積率と、非パターン部における第1領域の面積率との差の絶対値を30%以上とすることで、パターン部と非パターン部とを識別できるようになる。形成されたパターン部及び非パターン部は、印刷や塗装によって形成されたものではないため、耐久性が高くなっている。また、パターン部及び非パターン部が印刷や塗装によって形成されたものではないため、溶融めっき層の耐食性への影響もない。よって、本実施形態の溶融めっき鋼板は、耐食性に優れたものとなる。
本実施形態によれば、所定の形状に成形したパターン部の耐久性が高く、耐食性等の好適なめっき特性を有する溶融めっき鋼板を提供できる。特に本実施形態では、溶融めっき層の表面に酸性溶液を任意のパターンになるように付着させることで、パターン部または非パターン部の範囲を意図的若しくは人工的な形状にすることができ、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号、模様若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるようにパターン部を配置できる。これにより、溶融めっき層の表面に、印刷や塗装を行うことなく、様々な意匠、商標、その他の識別マークを表すことができ、鋼板の出所の識別性やデザイン性等を高めることができる。また、パターン部によって、工程管理や在庫管理などに必要な情報や需要者が求める任意の情報を、溶融めっき鋼板に付与することもできる。これにより、溶融めっき鋼板の生産性の向上にも寄与することができる。
次に、本発明の実施例を説明する。鋼板を脱脂、水洗した後に、還元焼鈍、めっき浴浸漬、付着量制御、冷却を行うことで、表2に示すNo.1~34の溶融めっき鋼板を製造した。次いで、一辺が50mmの正方形パターンの凸部または凹部を有するゴム版に、表1に示す成分を含む酸性溶液を付着させ、このゴム版を溶融めっき層の表面に押し付けることで、酸性溶液を鋼板に付着させ、正方形状のパターン部を形成した。酸性溶液付着時の溶融めっき鋼板の溶融めっき層の表面温度は60~200℃の範囲とした。また、正方形状のパターン部以外の箇所を非パターン部とした。ただし、No.30は、溶融めっき層の表面温度が200℃超のときに酸性溶液を付着させた。
また、上記と同様にしてZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板を製造した。その後、溶融めっき層の表面に、インクジェット法により、一辺が50mmの正方形パターンを印刷した。この結果をNo.33として表2に示す。
また、溶融めっき層の表面に、インクをスタンプすることにより、一辺が50mmの正方形パターンを作製した。この結果をNo.34として表2に示す。
得られた溶融めっき鋼板について、パターン部及び非パターン部に含まれる第1領域、第2領域の面積率を求めた。まず、パターン部及び非パターン部の境界は、溶融めっき層の表面を肉眼で観察することにより特定した。肉眼での境界の特定が難しい場合は、拡大鏡や光学顕微鏡の拡大像を利用した。境界の判別が難しい例では、酸性溶液の付着範囲に基づきパターン部及び非パターン部を決定して、第1領域及び第2領域の面積率を評価した。
次に、パターン部及び非パターン部に含まれる第1領域の面積率は、No.7以外の溶融めっき鋼板は測定方法Iにより求めた。すなわち、溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、仮想格子線によって区画される複数の領域においてそれぞれ、各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円内を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定した。また、得られたL値の中から任意の50点を選定し、50点平均を基準L値とした。
基準L値の測定用の任意の測定点50点の具体的な選定は、次のようにして選定した。まず、仮想格子線によって区画される複数の領域のうち1つの領域を選定した。次に、この1つの領域を起点として、10ずつの間隔をあけて、縦10領域×横5領域(50mm×25mm)の合計50点を選定した。この合計50点を、基準L値の測定用の任意の測定点50点とした。
そして、測定領域Aを含む前記領域において、L値が基準L値以上になる領域を第1領域と判別し、L値が基準L値未満になる領域を第2領域と判別した。
そして、パターン部及び非パターン部における第1領域の面積率をそれぞれ求めた。また、パターン部における第1領域の面積率と、非パターン部における第2領域の面積率との差を求めた。
なお、No.7の溶融めっき鋼板における、パターン部及び非パターン部に含まれる第1領域の面積率は、測定方法IIによって求め、その結果からパターン部及び非パターン部の第1領域の面積率の差を求めた。
値の測定は、ハロゲンランプ(12V、20W)を光源とする照射光を、溶融めっき層の表面の鉛直方向(90°の方向)に対して45°の角度から照射し、溶融めっき層の表面の鉛直方向(90°の方向)に反射する反射光を受光器によって受光することで測定した。L*値の測定装置は微小面分光色差計(日本電色工業株式会社製、VSS7700)とし、測定波長範囲は380nm~780nmとし、この波長範囲内での強度を5nm間隔で測定し、L値に換算した。
[識別性]
正方形状のパターン部を施した試験板の、製造した直後の初期状態のものと、6ヶ月間屋外暴露した経時状態のものを対象に、下記の判定基準に基づいて目視評価した。初期状態、経時状態とも、◎~△を合格とした。
◎:5m先からでもパターン部を視認できる。
○:5m先からはパターン部を視認できないが、3m先からの視認性は高い。
△:3m先からはパターン部を視認できないが、1m先からの視認性は高い。
×:1m先からパターン部を視認できない。
[耐食性]
試験板を150×70mmに切断し、JASO-M609に準拠した腐食促進試験CCTを30サイクル試験した後、錆発生状況を調査し、下記の判定基準に基づいて評価した。◎~△を合格とした。
◎:錆発生がなく、パターン部と非パターン部ともに美麗な意匠外観を維持している。
○:錆発生はないが、パターン部と非パターン部にごくわずかな意匠外観変化が認められる。
△:意匠外観がやや損なわれているが、パターン部と非パターン部が目視で区別できる。
×:パターン部と非パターン部の外観品位が著しく低下しており、目視で区別できない。
表2に示すように、No.1~No.29の本発明例の溶融めっき鋼板は、識別性及び耐食性の両方に優れていた。図1に、No.1のパターン部を主に構成する第1領域の走査型電子顕微鏡による観察結果を示し、図2に、No.1の非パターン部を構成する第2領域の走査型電子顕微鏡による観察結果を示す。パターン部は非パターン部に比べて、金属光沢の領域が多くなっており、パターン部と非パターン部との識別が可能であることがわかる。
No.30は、酸性溶液付着時の溶融めっき層の温度が高すぎたため、パターン部における第一領域の面積率と、非パターン部における第一領域の面積率との差が30%未満になり、パターン部の識別性が低下した。
また、No.31及びNo.32は、溶融めっき層の組成が本発明の範囲から外れており、6ヶ月間屋外暴露した後の識別性が低下した。
一方、インクジェット法で正方形状のパターン部を印刷したNo.33は、6ヶ月間の屋外暴露によってパターン部が薄くなり、識別性が低下した。また、インクのスタンプによって正方形状のパターン部を作成したNo.34は耐食性が著しく低下しており、目視でパターン部と非パターン部の区別が困難であった。
なお、No.1~No.6、No.10~No.34の溶融めっき層には、〔Al相〕と、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕とを含んでいた。
図3には、Zn-Al-Mg系溶融めっき層に酸性溶液を付着させることにより、文字列(アルファベット)をパターン部で表した溶融めっき鋼板の表面を示す。
本発明によれば、溶融めっき鋼板の表面に、文字やマーク等からなるパターン部を意図的に表すことができるようになる。
Figure 0007328541000001
Figure 0007328541000002

Claims (6)

  1. 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
    前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:0~90質量%、Mg:0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
    前記溶融めっき層に、所定の形状となるように配置されたパターン部と、非パターン部とが形成され、
    前記パターン部及び前記非パターン部は、それぞれ、下記の測定方法Iで得られる第1領域、第2領域のうちの1種または2種を含み、
    前記パターン部が、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号、模様若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた意図的な形状となるように配置され、
    前記パターン部における前記第1領域の面積率と、前記非パターン部における前記第1領域の面積率との差の絶対値が、30%以上であることを特徴とする、溶融めっき鋼板。
    [測定方法I]
    前記溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、前記仮想格子線によって区画される複数の領域においてそれぞれ、各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円内を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定する。得られたL値の中から任意の50点を選定し、得られたL値の50点平均を基準L値としたとき、L値が基準L値以上になる領域を第1領域、基準L値未満となる領域を第2領域とする。
  2. 前記測定方法Iに代えて、下記測定方法IIによって前記第1領域及び前記第2領域を規定することを特徴とする請求項1に記載の溶融めっき鋼板。
    [測定方法II]
    前記溶融めっき層の表面に0.5mm間隔で仮想格子線を描き、前記仮想格子線によって区画される複数の領域においてそれぞれ、各領域の重心点を中心とする直径0.5mmの円内を測定領域Aとし、各測定領域AにおけるL値を測定し、L値が45以上になる領域を第1領域、L値が45未満となる領域を第2領域とする。
  3. 前記溶融めっき層が、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶融めっき鋼板。
  4. 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Si:0.0001~2質量%を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の溶融めっき鋼板。
  5. 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を、合計で0.001~2質量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の溶融めっき鋼板。
  6. 前記溶融めっき層の付着量が前記鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の溶融めっき鋼板。
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