JP7328527B2 - タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム - Google Patents

タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7328527B2
JP7328527B2 JP2019164559A JP2019164559A JP7328527B2 JP 7328527 B2 JP7328527 B2 JP 7328527B2 JP 2019164559 A JP2019164559 A JP 2019164559A JP 2019164559 A JP2019164559 A JP 2019164559A JP 7328527 B2 JP7328527 B2 JP 7328527B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
tire model
model
displacement vector
displacement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019164559A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021041792A (ja
Inventor
弘行 宮島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2019164559A priority Critical patent/JP7328527B2/ja
Publication of JP2021041792A publication Critical patent/JP2021041792A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7328527B2 publication Critical patent/JP7328527B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T90/00Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Description

本発明は、コンピュータにて数値解析可能な要素でモデル化されたタイヤを用いたタイヤモデル作成方法およびタイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置およびタイヤ形状最適化装置、ならびにプログラムに関し、特に、目的特性に対する効果の影響を考慮した変位ベクトルを効率よく選定するタイヤモデル作成方法、およびタイヤモデル作成装置、取得したタイヤ断面形状に基づくタイヤ形状最適化方法およびタイヤ形状最適化装置、ならびにプログラムに関する。
現在、コンピュータが解析可能なタイヤモデル等を作成し、タイヤ等の性能をシミュレーションする方法が提案されている。性能シミュレーションでは、タイヤを有限個の要素に分割して得られたタイヤモデルを作成する。有限要素で構成されたタイヤモデルを用いて最適化計算を行うことにより、タイヤの最適形状を求めることがなされている。
例えば、特許文献1には、タイヤ断面形状を少ない設計変数で広い設計範囲を規定して、タイヤ性能に応じた最適設計を効率よく行うタイヤ断面形状の設計方法が記載されている。特許文献1では、基底形状としてタイヤ断面方向の複数の固有モードの変形形状を使用し、タイヤの形状最適化を行っている。
特許第4723057号公報
特許文献1では、上述のように基底形状としてタイヤ断面方向の複数の固有モードの変形形状を使用して、タイヤの形状最適化を行っている。固有モードの変形形状の中には、タイヤの各部における形状および厚さの変化等の種々の変数が含まれている。しかし、特許文献1は、固有値解析結果における固有モード形状を用いているため、基底形状における変数の変化が、得られる特性値へどの程度影響を及ぼしているかは評価できるが、どの部分の形状変化がどの程度特性値へ影響するかを幾何学的に評価することはできない。このことから、タイヤの形状最適化において、どのようにタイヤ断面形状を変化させると、どの目的特性に影響を及ぼしているかを特定しにくく、かつ目的特性に影響する形状因子を特定するのに時間がかかる。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、目的特性に対する効果の影響を考慮した形状因子を効率よく選定することができるタイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、およびタイヤモデル作成方法を実行するプログラムを提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、タイヤを表す、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルの節点情報を得る工程と、タイヤモデルの節点のそれぞれに、複数の変位ベクトルを設定する工程と、設定した複数の変位ベクトルそれぞれについて、変位ベクトルに従いタイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得る工程と、複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める工程と、複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、変位ベクトルの目的特性の影響度を評価する工程と、影響度に基づき変位ベクトルを選定する工程と、選定した変位ベクトルに基づき、タイヤモデルを作成する工程とを有することを特徴とするタイヤモデル作成方法を提供するものである。
本発明の第2の態様は、タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルを取得する工程と、タイヤモデルの外形線上における節点情報を得る工程と、タイヤモデルの外形線上における節点のそれぞれに、タイヤモデルに対して形状変化を与える複数の変位ベクトルを設定する工程と、設定した複数の変位ベクトルそれぞれについて、外形線上における節点に強制変位として変位ベクトルを与えてタイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得る工程と、複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める工程と、複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価する工程と、影響度に基づき変位ベクトルを選定する工程と、選定した変位ベクトルに基づき、タイヤモデルを作成する工程とを有することを特徴とするタイヤモデル作成方法を提供するものである。
タイヤモデルの外形線の節点情報を得る工程の後に、タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割する工程を有し、複数の変位ベクトルを設定する工程は、複数の領域のうち、少なくとも1つの領域に複数の変位ベクトルを設定することが好ましく、変位ベクトルを設定しない領域があってもよい。
また、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価する工程は、複数の領域のうち、複数の変位ベクトルを設定した領域において、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価し、変位ベクトルを選定する工程は、影響度に基づき、設定した領域における変位ベクトルを選定する、ことが好ましい。
タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割する工程は、タイヤモデルの少なくともトレッド部とサイドウォール部とに分割することが好ましい。
変位ベクトルを選定する工程は、目的特性に対する寄与度が大きい変位ベクトルを選定することが好ましい。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様および本発明の第2の態様のタイヤモデル作成方法において、変位ベクトルを選定する工程の後に、変位ベクトルを選定する工程で選定した変位ベクトルを設計変数とし、設定変数の重み係数をパラメーターとしてタイヤ物理量を目的関数として最適化計算を実施する工程とを有することを特徴とするタイヤ形状最適化方法を提供するものである。
本発明の第4の態様は、タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルを取得する条件設定部と、タイヤモデルの外形線の節点情報を取得し、タイヤモデルの外形線上における節点のそれぞれに、タイヤモデルに対して形状変化を与える複数の変位ベクトルを設定するモデル設定部と、設定した複数の変位ベクトルそれぞれについて、変位ベクトル毎に、前記外形線上における節点に強制変位として変位ベクトルを与えてタイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得るモデル作成部と、複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める演算部と、複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価し、影響度に基づき変位ベクトルを選定する評価部とを有し、モデル作成部は、選定した変位ベクトルに基づき、タイヤモデルを作成することを特徴とするタイヤモデル作成装置を提供するものである。
モデル設定部は、タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割し、複数の領域のうち、少なくとも1つの領域に複数の変位ベクトルを設定することが好ましい。
評価部は、複数の領域のうち、モデル設定部で複数の変位ベクトルを設定した領域において、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価し、影響度に基づき、変位ベクトルを選定することが好ましい。
モデル設定部は、タイヤモデルの外形線を、タイヤモデルの少なくともトレッド部とサイドウォール部とに分割することが好ましい。
評価部は、目的特性に対する寄与度が大きい変位ベクトルを選定することが好ましい。
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様のタイヤ作成装置を有するタイヤ形状最適化装置であって、モデル設定部で、タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、演算部は、設定変数の重み係数をパラメーターとしてタイヤ物理量を目的関数として最適化計算を実施することを特徴とするタイヤ形状最適化装置を提供するものである。
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様のタイヤ形成方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラムを提供するものである。
本発明の第7の態様は、本発明の第3の態様のタイヤ形状最適化方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラムを提供するものである。
本発明によれば、的特性に対する効果の影響を考慮した変位ベクトルを効率よく選定することができ、目的特性を満足するタイヤモデルを作成することができる。
本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法に利用されるタイヤモデル作成装置を示す模式図である。 本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法の第1の例を工程順に示すフローチャートである。 本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法に用いられるタイヤモデルの一例を示す模式図である。 (a)は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法に用いられるタイヤモデルのサイドウォール部における変位ベクトルの第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法に用いられるタイヤモデルのサイドウォール部における変位ベクトルの第2の例を示す模式図であり、(c)は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法に用いられるタイヤモデルのサイドウォール部における変位ベクトルの第3の例を示す模式図であり、(d)は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法に用いられるタイヤモデルのサイドウォール部における変位ベクトルの第4の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法の第2の例を工程順に示すフローチャートである。 本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法の新規タイヤモデルの取得方法を説明するための模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のタイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびタイヤ形成方法またはタイヤ形状最適化方法の各工程を手順としてコンピュータ等で実行するためのプログラムを詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法に利用されるタイヤモデル作成装置を示す模式図である。
本実施形態のタイヤモデル作成方法の実行には、図1に示すタイヤモデル作成装置10が用いられる。以下、タイヤモデル作成装置10のことを、単に作成装置10ともいう。
作成装置10は、コンピュータ等のハードウェアを用いて構成される。上述のように本発明のタイヤモデル作成方法には、図1に示す作成装置10が用いられるが、タイヤモデル作成方法をコンピュータ等のハードウェアおよびソフトウェアを用いて実行することができれば作成装置10に限定されるものではなく、タイヤモデル作成方法の各工程を手順としてコンピュータ等に実行させるためのプログラムでもよい。また、作成装置10は図1に示す構成に限定されるものではない。
作成装置10は、処理部12と、入力部14と、表示部16とを有する。処理部12は、条件設定部20、モデル設定部22、モデル作成部24、演算部26、評価部27、メモリ28、表示制御部30および制御部32を有する。この他に図示はしないがROM等を有する。
処理部12は、制御部32により制御される。また、処理部12において条件設定部20、モデル設定部22、モデル作成部24、演算部26、評価部27はメモリ28に接続されており、条件設定部20、モデル設定部22、モデル作成部24、演算部26、および評価部27のデータがメモリ28に記憶される。
以下に説明するタイヤモデル作成方法において、処理部12の各部で種々の処理がなされる。以下の説明では制御部32により処理部12の各部で種々の処理がなされることの説明を省略しているが、各部の一連の処理は制御部32により制御される。メモリ28には、後述する評価部27による影響度の各種の評価条件も記憶されている。
入力部14は、マウスおよびキーボード等の各種情報をオペレータの指示により入力するための各種の入力デバイスである。表示部16は、例えば、タイヤモデル作成方法で得られた結果等を表示するものであり、公知の各種のディスプレイが用いられる。また、表示部16には各種情報を出力媒体に表示するためのプリンタ等のデバイスも含まれる。
作成装置10は、ROM等に記憶されたプログラム(コンピュータソフトウェア)を、制御部32で実行することにより、条件設定部20、モデル設定部22、モデル作成部24、演算部26、および評価部27の各部を機能的に形成する。作成装置10は、上述のように、プログラムが実行されることで各部位が機能するコンピュータによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
本実施形態のタイヤモデル作成方法およびタイヤモデル作成装置では、目的特性に対する効果の影響を考慮した変位ベクトルを効率よく選定することを目的とするものであり、コンピュータを用いたタイヤモデル作成方法、およびタイヤモデル作成装置に関する。
タイヤモデル作成方法およびタイヤモデル作成装置では、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルに対して、複数の変位ベクトルを設定して、変位ベクトル毎に変形タイヤモデルを得て、各変形タイヤモデルについて目的特性を求め、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価して、変位ベクトルを選定する。これにより、タイヤサイズおよびタイヤの構造に因らず、目的特性に対する効果の大小等の影響度を考慮した変位ベクトルを効率良く選定することが可能であり、タイヤの特性値を改善する形状を、コンピュータを用いて効率良く探索することができる。
作成装置10の条件設定部20は、タイヤを表す、コンピュータで数値解析可能な要素でモデル化されたタイヤモデルを作成するものである。タイヤモデルは、変形させる基準となるものである。基準となるタイヤの形状は、特に限定されるものではなく、線で表された図形データであってもよく、有限個の要素にメッシュ分割された有限要素モデルでもよい。
タイヤモデルの作成には公知の作成方法を用いることができる。例えば、タイヤを複数の節点で構成される有限個の要素に分割して、タイヤモデルを作成する。図形データの場合、コンピュータにて数値解析可能な要素によりモデル化されたデータに変換する。コンピュータで数値解析可能な要素でモデル化されたタイヤモデルとは、数値計算可能な離散化モデルであればよく、例えば、FEM等の数値シミュレーションに利用されるメッシュデータ、およびCADデータ等の設計データでもよい。
タイヤモデルを構成する要素は、例えば、2次元平面では四辺形要素、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等のコンピュータで解析可能な要素とする。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元モデルでは3次元座標を用いて、2次元モデルでは2次元座標を用いて逐一特定される。
なお、タイヤモデルは、少なくとも、このタイヤモデルを転動させる対象である路面モデルも併せて生成する。また、タイヤが装着されるリム、ホイール、およびタイヤ回転軸を再現するものをタイヤモデルとしてもよい。また、必要に応じて、タイヤが装着される車両を再現するモデルをタイヤモデルに組み込んでもよい。この際、タイヤモデル、リムモデル(ホイールモデル)、およびタイヤ回転軸モデルを、予め設定された境界条件に基づいて一体化したモデルを作成することもできる。
また、解析に用いるタイヤモデルの形態は、特に限定されるものではなく、溝のないスムースタイヤでも主溝のみのものでもパターン付きであってもよい。
タイヤモデルを用いて、例えば、タイヤウエット性能を初めとするタイヤ性能を最適化するタイヤ設計案を求める場合等、路面モデルとタイヤモデルの他に、路面上に存在する介在物を再現するモデルを生成しておけばよい。例えば、介在物モデルとして、路面上の水、雪、泥、砂、砂利および氷等を再現する各種モデルを、数値計算可能な離散化モデルで生成しておけばよい。なお、路面モデルも、表面が平坦な路面を再現するモデルに限らず、必要に応じて、表面に凹凸を有する路面形状を再現するモデルであってもよい。
タイヤモデルは、例えば、入力部14を介して条件設定部20に入力され、メモリ28に記憶される。また、条件設定部20では、メモリ28にタイヤモデルとなるタイヤ断面形状のデータを予め記憶させておき、メモリ28からタイヤ断面形状のデータを呼び出し、タイヤモデルを設定するようにしてもよい。
また、条件設定部20は、目的特性、タイヤモデルの最適化計算に必要な設計変数、目的関数および制約条件を設定する。また、その他、目的特性、タイヤモデルの最適化計算に必要な各種の条件、情報が入力され、設定する。目的特性、設計変数、目的関数および制約条件、各種の条件、情報は、入力部14を介して入力される。条件設定部20で設定する目的特性、設計変数、目的特性、目的関数および制約条件、各種の条件、情報はメモリ28に記憶される。
条件設定部20には、タイヤおよびタイヤを構成する材料を規定するパラメーターのうち設計変数として定めた複数のパラメーターが設定される。なお、設計変数のパラメーターには、荷重および境界条件等のばらつき因子、ならびに製品の場合には、大きさおよび質量等の制約条件を設定してもよい。
また、タイヤ物理量に加えて、タイヤおよびタイヤを構成する材料を規定するパラメーターのうち特性値(目的特性、目的関数)として定めた複数のパラメーターが設定される。特性値には、コスト等の物理的および化学的な特性値以外の、タイヤおよびタイヤを構成する材料を評価する指標を用いてもよい。
タイヤおよびタイヤを構成する材料は、タイヤ単体ではなく、タイヤを構成するパーツ、タイヤのアッセンブリ形態等のタイヤを含むシステム全体、またはその一部を対象としてもよい。
条件設定部20に設定される複数種の特性値(目的特性、目的関数)は、評価しようとする物理量、すなわち、目的特性、または目的関数である。目的特性および目的関数は、性能として好ましい方向があり、値が大きくなる、小さくなる、または所定の値に近づく等がある。また、目的特性および目的関数については、上述の好ましい方向以外に、好ましい方向とは反対の好ましくない方向もある。
なお、目的特性および目的関数は1つでもよく、すなわち、単目的でもよい。目的関数は、複数であってもよいことはもちろんである。
目的特性および目的関数はタイヤの特性値(タイヤ物理量)である。この場合、特性値としては、タイヤ性能として評価しようとする物理量であり、例えば、操縦安定性の指標となるスリップ角ゼロ近傍における横力であるCP(コーナリングパワー)、乗心地性の指標となるタイヤの1次固有振動数、転動抵抗の指標となる転がり抵抗、操縦安定性の指標となる横ばね定数、耐摩耗性の指標となるタイヤトレッド部材の摩耗エネルギー、燃費性能等が挙げられる。これ以外に、タイヤの物理量の例として、形状および寸法値がある。形状としては、例えば、断面形状である。寸法値としては、例えば、タイヤの幅、タイヤの外径等である。その他タイヤの物理量の例として、形状または寸法値に加えて、たわみ量、接地圧分布、転がり抵抗およびコーナリング特性等がある。
設計変数(設計パラメータ)は、タイヤの形状、タイヤの内部構造および材料特性等を規定するものである。設計変数は、タイヤの材料挙動、タイヤの形状、タイヤの断面形状、タイヤの固有振動モードおよびタイヤの構造のうち、複数のパラメーターである。設計変数としては、例えば、タイヤのトレッド部におけるクラウン形状を規定する曲率半径、タイヤ内部構造を規定するタイヤのベルト幅寸法等が挙げられる。これ以外にも、例えば、トレッド部における材料特性を規定するフィラー分散形状、およびフィラー体積率等が挙げられる。金型形状データを得る場合、設計変数は、タイヤの形状に関するものであることが好ましい。
制約条件は、目的関数の値を所定の範囲に制約する、もしくは、設計変数の値を所定の範囲に制約するための条件である。
また、タイヤの負荷荷重、タイヤの転動速度を初めとする走行条件、タイヤが走行する路面条件、例えば、凹凸形状、摩擦係数等、車両の走行シミュレーションに用いるための車両諸元の情報等が設定される。
また、条件設定部20に、複数種の設計変数と複数種の特性値との間の非線形応答関係を定めるための情報が設定される。この非線形応答関係には、例えば、FEM(有限要素法)等の数値シミュレーション、理論式等が含まれる。
条件設定部20では、非線形応答関係により生成するモデル、そのモデルの境界条件、FEM等の数値シミュレーションする場合には、そのシミュレーション条件、シミュレーションにおける制約条件を設定する。
また、条件設定部20では、FEM、理論式以外に、入出力の関係が定義された計算式を設定してもよい。入出力の関係が定義された計算式としては、例えば、応答曲面のようなメタモデルを用いること、形状変化後の断面積を周方向へ展開し体積を算出すること、経験式に形状変化後の情報をパラメーターとして用いて目的とする特性を算出することである。
更には、パレート解を得るための最適化条件、例えば、パレート解探索のための条件等を設定してもよい。パレート解探索のための条件は、パレート解を探索するための手法、パレート解探索における各種条件である。本実施形態では、例えば、パレート解を探索するための手法として、進化計算手法の一つである遺伝的アルゴリズム(GA)を用いることができる。
これ以外に、条件設定部20に設計変数の定義域を設定する。設計変数の定義域は、離散的な水準値でも、定数であってもよい。なお、複数種の設計変数があるため、全ての設計変数に対して、それぞれに離散的な水準値を設定し、残りの設計変数については定義域を定数として、設計変数の組合せをコンピュータが変更しながら特性値を算出し、後述するパレート解の抽出を行ってもよい。
最適化計算に関しては、モンテカルロ法のような逐次的に探索する手法および進化計算手法のような最適化アルゴリズムに従い入力変数を変化させながら出力値を算出して探索する手法のどちらを用いてもよい。
モデル設定部22は、タイヤモデルの外形線の節点情報を取得し、タイヤモデルの外形線上における節点のそれぞれに、タイヤモデルに対して形状変化を与える複数の変位ベクトルを設定するものである。外形線上における節点情報を得るタイヤモデルは、上述のように条件設定部20で、コンピュータで数値解析可能な要素でモデル化されたタイヤモデルである。タイヤモデルは、基準となるタイヤの断面形状を有するものであり、例えば、図3に示すタイヤモデル40である。タイヤモデル40は、トレッド部41を有する有限要素モデルである。タイヤモデル40の断面形状において、タイヤモデル40の外側の輪郭を構成する外形線42の複数の節点を抽出し、タイヤモデルの外形線上における節点情報を得る。
ここで、外形線とは、タイヤ赤道面と直交するタイヤ断面において、一方のビードトウからトレッド部を通過して反対側のビードトウ迄の外側の線のことである。
外形線42を構成する複数の節点のそれぞれに、複数の変位ベクトルを設定する。すなわち、全ての節点に対して、1つの節点毎に複数の変位ベクトルを設定する。
変位ベクトルは、タイヤモデルの形状を変化させる形状変化ベクトルである。そのため、各節点における変位ベクトルは、それらが組合せられてひとつの形状変化を与えるように定めることが好ましい。すなわち、1つの節点毎に複数の変位ベクトルを設定することにより、モデルにおいて複数の形状変化を与えることが可能になる。
複数の変位ベクトルは、互いに異なるベクトルである。異なるベクトルとは、大きさおよび向きのうち、少なくとも一方が異なっていればよい。例えば、図3に示すように、節点43に、第1の変位ベクトル43aと、第2の変位ベクトル43bを設定する。第1の変位ベクトル43aおよび第2の変位ベクトル43bは、タイヤモデルを幅が広くなるように変形させる変位ベクトルである。変位ベクトルとしては、これに限定されるものではなく、タイヤモデルの幅を狭くする第3の変位ベクトル43cでもよい。
なお、変位ベクトルについては、全ての節点に設定せずに対象となる一部の領域内の節点に設定してもよく、変位ベクトルを設定しない領域、もしくは見かけ上変位がないが、設定上は零ベクトルが与えられている領域があってもよい。
また、モデル設定部22は、タイヤモデルの全ての節点情報を取得し、タイヤモデルの全ての節点のそれぞれに、タイヤモデルに対して形状変化を与える複数の変位ベクトルを設定する機能を有してもよい。
なお、設定する複数の変位ベクトルによるタイヤモデルの形状変化に対する変化量を統一するために、変位ベクトルはタイヤモデル(基準形状)に対して予め正規化した変位量(変位ベクトルの大きさ)を用いることが望ましい。
モデル作成部24は、複数の変位ベクトルのうち、変位ベクトル毎に、全ての節点に強制変位として変位ベクトルを与えてタイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得る機能を有してもよい。この場合、例えば、図3の第1の変位ベクトル43aを全ての節点に与えて強制変位させる。このとき、変位後のタイヤモデルの形状を、FEM(有限要素法)を用いて計算する。これにより、第1の変位ベクトル43aに基づく、変形タイヤモデルが得られる。このようにして、変位ベクトルに従いタイヤモデルを変形させた、変形タイヤモデルを得る。
また、モデル作成部24は、複数の変位ベクトルのうち、変位ベクトル毎に、形状変化の対象となる領域における外形線上の節点に強制変位として変位ベクトルを与えてタイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得る機能を有してもよい。この場合、例えば、図3の第1の変位ベクトル43aを、形状変化の対象となる領域を断面全体として与える場合、外形線上における全ての節点に与えて強制変位させる。上述のように変位後のタイヤモデルの形状を、FEM(有限要素法)を用いて計算する。これにより、第1の変位ベクトル43aに基づく、変形タイヤモデルが得られる。このようにして、変位ベクトルに従いタイヤモデルを変形させた、変形タイヤモデルを得る。
また、モデル作成部24は、タイヤモデルの断面形状の情報から、形状最適化計算により得られたタイヤの外形線を得て、形状最適化計算により得られたタイヤの外形線を金型形状データとして出力することもできる。
タイヤモデル40(図3参照)において、リムフランジ(図示せず)と接触するビードリング部40c(図3参照)は、形状変化をさせるとメッシュの破綻またはリムフランジとの接触不良による計算の破綻が発生しやすい。このため、ビードリング部40cに対して、拘束する節点(図示せず)を設け、ビードリング部40cを、形状を変化させないようにすることにより、上述のメッシュの破綻および接触不良による計算の破綻を解決することができる。
なお、拘束する節点とは、例えば、座標点が、外力を受けた場合でも変わらない点のことである。ただし、ここで拘束するというのは形状を変化させる際においてのことであり、例えば、リムフランジとの接触計算のような、変化させた形状を取得し特性値を算出する際にはこの拘束条件を除いて計算してもよい。
また、タイヤ断面において対となるビード間の距離を変化させるような形状変化を与えたい場合、断面幅方向のみ拘束を除くことにより、ビードリング部40cの形状を維持したままビード間の距離を設計変数として組み込むことができる。同様に、タイヤモデルのリム径を変化させる場合、断面高さ方向の拘束を除くことにより、ビードリング部40cの形状を維持したまま適用リム径の異なるタイヤ形状の探索が可能となる。例えば、前記手法を用いて径方向変位を複数の離散的な水準値として設定し、水準値毎に同様の形状探索を行うことにより、サイズ展開を想定したタイヤ製品形状の探索を効率的に実施することができる。
演算部26は、複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求めるものである。
目的特性は、上述のように例示した、タイヤ質量、転がり抵抗、横剛性、または縦剛性等のタイヤ物理量であり、特に限定されるものではない。
演算部26は、モデル作成部24で作成された、複数の変形タイヤモデルの各変位ベクトルを設計変数とする設計パラメータとして用いて、FEM等の数値シミュレーションにより目的特性を求める。これにより、複数の変形タイヤモデルそれぞれに目的特性が得られる。得られた目的特性(出力値)は、メモリ28に記憶される。演算部26は、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能するものである。
演算部26では、非線形応答関係を用いて、複数種の設計変数(設計パラメータ)の値と特性値(目的特性)で構成される入出力の関係を求めるためのサンプリング計算を行う。また、演算部26は、サンプリング計算結果を用い、出力値である特性値を目的関数として、近似モデル(メタモデル)を作成する。
上述の近似モデル(メタモデル)は、入出力の関係を近似する数学的モデルのことであり、パラメーターを調整することにより、様々な入出力関係を近似できるものである。上述の近似モデルには、例えば、多項式モデル、クリギング、ニューラルネットワークおよび動径基底関数等を用いることができる。
演算部26は、近似モデルを用いて最適化計算を実行するものでもある。この場合、タイヤモデル作成装置10は、タイヤ形状最適化装置を兼ねる。
最適化計算結果から評価部27にて抽出した解(パレート解を含んでもよい)を用いて、規定した非線形関係を用いて実計算を実行させるものでもある。これ以外にも、演算部26は、近似モデルを用いることなく、有限要素法を用いて、最適化計算手法によって設定された設計変数の組合せから表現されるタイヤモデルに境界条件を与え、直接特性値を算出するものでもある。最適化計算手法としては、例えば、進化計算手法の一つである遺伝的アルゴリズム(GA)を用いる。遺伝的アルゴリズムとしては、例えば、解集合を目的関数に沿って複数の領域に分割し、この分割した解集合毎に多目的GAを行うDRMOGA(Divided Range Multi-Objective GA)、NCGA(Neighborhood Cultivation GA),DCMOGA(Distributed Cooperation model of MOGA and SOGA)、NSGA(Non-dominated Sorting GA)、NSGA2(Non-dominated Sorting GA-II)、SPEAII(Strength Pareto Evolutionary Algorithm-II)法等の公知の方法を用いることができる。
演算部26は、条件設定部20で設定されたパレート解探索の条件に応じて、演算部26で得られた近似モデルを用いた最適化計算結果から、パレート解を探索し、パレート解を抽出するものでもある。得られたパレート解は、メモリ28に記憶される。
ここで、パレート解は、トレードオフの関係にある複数の特性値(目的関数)において、他の任意の解よりも優位にあるとはいえないが、より優れた解が他に存在しない解をいう。一般にパレート解は集合として複数個存在する。パレート解の探索には、例えば、パレートランキング法を用いる。
演算部26では、例えば、ベクトル評価遺伝的アルゴリズム(Vector Evaluated Generic Algorithms:VEGA)、パレートランキング法、またはトーナメント法を用いた選択が行われる。遺伝的アルゴリズム(GA)以外も、同じ進化計算手法として、例えば、焼きなまし法(Simulated Annealing:SA)または粒子群最適化(Particle Swarm Optimization:PSO)を用いてもよい。
演算部26は、目的関数についても設計変数を設定して、目的特性と同様の方法で得ることができる。
なお、演算部26は、設計変数(設計パラメータ)と特性値(目的特性、目的関数)との間で定める非線形応答関係、すなわち、設計変数(設計パラメータ)を用いて特性値(目的特性、目的関数)を求める場合に利用されるものは、FEM等のシミュレーションに限定されるものではなく、FEM等の数値シミュレーション以外に、理論式等を用いることもできる。理論式等の場合には、複数の変形タイヤモデル(設計パラメータ)、および目的特性(目的関数)に応じた理論式等が作成される。
評価部27は、複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価し、影響度に基づき変位ベクトルを選定するものである。
評価部27がメモリ28から評価条件を読み出して、演算部26で得られた複数の変形タイヤモデルの目的特性を比較し、影響度を評価し、影響度に基づき変位ベクトルを選定する。
変位ベクトルの目的特性への影響度の評価手法は特に限定されるものではないが、例えば、以下の手法が挙げられる。以下に示す影響度の評価手法による評価条件がメモリ28に記憶されている。
定義域の各水準値における特性値を求め、所定の閾値を定め有意差の有無を判定する。
分散分析を用いて誤差分散を閾値として有意要因を抽出する。
分散分析を行い、得られた交互作用と主効果に基づいて特性値を評価する。
予め設計変数間に交互作用がないことが分かっている、もしくは交互作用を考慮しない場合、単因子実験または直交実験を利用し、変位ベクトルを因子として変動させた場合の特性値の変化量から判定する。
評価部27では、目的特性として、例えば、タイヤ質量、転がり抵抗、横剛性、または縦剛性等が設定されていれば、これらの設定した目的特性に対して、上述のように、影響度を評価し、変位ベクトルを選定する。
評価部27における変位ベクトルの選定は、1つの変位ベクトルを選定することに限定されるものではなく、複数の変位ベクトルを選定してもよい。例えば、影響度の順位に対して閾値を設定しておき、閾値よりも影響度が上位の変位ベクトルを選定してもよい。
タイヤ形状最適化装置を兼ねる作成装置10では、評価部27で、変位ベクトルを選定した後、演算部26は、変位ベクトルを設計変数とし、設定変数の重み係数をパラメーターとしてタイヤ物理量を目的関数として最適化計算を実施することができる。
なお、モデル作成部24は、選定した変位ベクトルに基づき、タイヤモデルを作成するものでもある。
表示制御部30は、条件設定部20に設定される設計変数、特性値等の各種のパラメーター、条件設定部20で得られたタイヤモデル、モデル設定部22で設定した変位ベクトルの情報、モデル作成部24で作成した変形タイヤモデル、演算部26で得られた目的特性、評価部27で得られた目的特性の影響度、タイヤモデルを表示部16に表示させるものである。例えば、変形タイヤモデル、目的特性、目的特性の影響度、タイヤモデルの結果をメモリ28から読み出し、表示部16に表示させる。
また、表示制御部30は、入力部14を介して入力される各種の情報等も表示部16に表示させることもできる。
制御部32は、上述のように、処理部12を制御するものであり、以下に示すタイヤモデル作成方法でなされる各種の工程を処理部12の条件設定部20、モデル設定部22、モデル作成部24、演算部26、および評価部27に行わせるものである。
作成装置10では、形状または構造を変化させる際の入力ファイルにおいて、境界条件および解析ステップ等の共通した部分と節点座標値、補強材の配置角度および初期張力などの個々の形状によって異なる部分を分割し、共通部分に取り込むようなファイル形式を用いて自動化すること、すなわち、個別の情報をインクルードファイル化することにより、多数のタイヤ形状について検討を行う場合であっても容易にタイヤ形状の検討が可能である。
変形タイヤモデルを評価する場合、基準となるタイヤモデルからの変形過程において発生した残留応力および残留ひずみ等はリセットされることが好ましい。すなわち、変形タイヤモデルにおいて、残留応力および残留ひずみがない初期形状としての状態であることが好ましい。これにより、目的特性に対する残留応力および残留ひずみの影響を排除することができる。
外形線上における節点に強制変位を与えて計算する変形タイヤモデルの取得時と、目的特性への影響度を評価するときとでは、材料物性の与え方が異なることが好ましい。
例えば、変形タイヤモデルの各要素のポアソン比を0.1以下の一定値にし、かつ弾性定数および質量密度に一定の値を付与することが好ましい。一般的に、ゴムに対応する要素のポアソン比は、ゴムの非圧縮性を考慮して例えば0.4999が用いられるが、タイヤモデル40の変形計算では、変形結果が適切に得られるように、タイヤモデル40の各要素(全要素)を圧縮要素とし、ポアソン比を例えば0.01とする。また、各要素(全要素)のヤング率、およびせん断剛性を含む弾性定数を、タイヤ性能のシミュレーション計算時に用いる値に対して例えば10分の1以下、好ましくは100分の1以下に設定する。同様に、質量密度も、例えば、100分の1以下、好ましくは1000分の1以下に設定する。このように、変形タイヤモデルを、タイヤ性能のシミュレーション計算に用いるときの弾性定数に比べて軟らかい弾性定数を用いかつ圧縮性を有する仮想の物性値を用いて、変形計算を行うことにより、変形タイヤモデルの内部におけるメッシュ分割に悪影響を与えることなくタイヤ外周表面のタイヤ断面形状が、変形タイヤモデルのタイヤ断面形状に修正形状差分の分布が付加されたタイヤ外周表面の形状を有する。ここで、メッシュ分割に及ぼす悪影響とは、要素の縦横比、またはゆがみが大きくなり、計算が破綻しやすくなること、または計算精度が低下することを示す。
変形タイヤモデルの各要素(全要素)を同一の物性値に統一する。具体的には、圧縮性を有し、非常に軟らかく、質量密度の非常に小さい仮想物性値としてポアソン比を0.01とし、ヤング率やせん断剛性を含む弾性定数を、タイヤ性能のシミュレーション計算時に用いる値(実際のゴム部材の値)の100分の1の値に設定し、質量密度を、タイヤ性能のシミュレーション計算時に用いる値(実際のゴム、スチール等のタイヤ構成部材の値)の100000分の1の値に設定する。この場合、変形タイヤモデルの変形計算後の結果では、変形タイヤモデル内部の節点が乱れることなく整然と配置される。タイヤモデルの変形計算によって生成される変形タイヤモデルが適切なタイヤモデルとして得られる点で、変形タイヤモデルの各要素(全要素)のポアソン比を0.1以下の一定値にし、かつ各要素の弾性定数および質量密度に一定の値を付与することが好ましい。
評価部27は、変位ベクトルを選定する際、目的特性に対する寄与度が大きい変位ベクトルを選定することが好ましい。このように、各領域において、定めた特性値への寄与が大きな変位ベクトルを選定することにより、最適化計算時における解空間(改善幅)を大きくすることが可能となる。
なお、寄与度とは、定義域全域での出力値への影響量のことであり、感度とは異なる指標である。感度が大きい形状変化を取得することは公知であるが、タイヤの場合、サイズ毎に寸法の規格値(例えば、JATMA、TRA、ETRTO等)が定められており、製品形状を探索する際には形状を変化させる部分によってその振り幅(定義域)は制限されてしまう。そのため、上記規格を満たしつつ形状を変化させた中において特性値への影響度を判断するためには、与えられる定義域において特性値が、どの程度変化するかを判断する寄与度を用いて評価することが好ましい。
また、評価部27で、選定される変位ベクトルの数は、1つでもよく複数でもよい。また、選定される変位ベクトルとしては、複数の変位ベクトルが合成された合成ベクトルであってもよい。なお、合成ベクトルを選定した場合、実質的に複数の変位ベクトルを選定したことになる。
モデル設定部22は、タイヤモデル40の外形線42を複数の領域に分割し、複数の領域のうち、少なくとも1つの領域に複数の変位ベクトルを設定するようにしてもよい。
具体的には、モデル設定部22は、図4(a)~(d)に示すように、タイヤモデル40の外形線42を、タイヤモデル40の少なくともトレッド部45とサイドウォール部46とに分割することが好ましい。これにより、路面、または介在物(水、雪、泥等)と接触する部分を分割して形状の探索が可能になる。このため、目的特性が複数であり、かつトレードオフにある関係であっても、より高次元でバランスの取れた特性を有する形状を取得することができる。
タイヤモデル40の外形線42を複数の領域に分割することにより、領域毎に形状の探索が可能になり、効率よく形状の探索をすることができる。
なお、トレッド部45とサイドウォール部46との境界47は、図4(a)~(d)に示す位置に限定されるものではなく、タイヤモデル40の形状等により適宜決定されるものである。
図4(a)は、タイヤモデル40のサイドウォール部46における変位ベクトルの第1の例を示す。変位ベクトル48aによりサイドウォール部46が変形され、変形後のタイヤモデル40のサイドウォール部49aは、タイヤモデル40の直径方向における中心部が外側に張り出している。
図4(b)は、タイヤモデルのサイドウォール部46における変位ベクトルの第2の例を示す。変位ベクトル48bによりサイドウォール部46が変形され、変形後のタイヤモデル40のサイドウォール部49bは、境界47の近傍領域が外側に張り出している。
図4(c)は、タイヤモデルのサイドウォール部46における変位ベクトルの第3の例を示す。変位ベクトル48cによりサイドウォール部46が変形され、変形後のタイヤモデル40のサイドウォール部49cは、タイヤモデル40直径方向において中心部よりもビードリング部40c側の領域が外側に張り出している。
図4(d)は、タイヤモデルのサイドウォール部46における変位ベクトルの第4の例を示す。変位ベクトル48dによりサイドウォール部46が変形され、変形後のタイヤモデル40のサイドウォール部49dは、全体的に内側に移動し、タイヤモデルの幅が狭くなっている。
なお、図4(a)~(d)では、例示における視認性を考慮し、変位ベクトルを離散的に示している。
また、分割した複数の領域のトレッド部45とサイドウォール部46のうち、サイドウォール部46にだけ複数の変位ベクトルを設定してもよい、最終的に得ようとするタイヤが形状の制約を受ける場合には、変位ベクトルを設定する領域を、例えば、サイドウォール部46等に限定してもよい。
評価部27は、複数の領域のうち、モデル設定部22で複数の変位ベクトルを設定した領域において、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価し、影響度に基づき、変位ベクトルを選定するようにしてもよい。
上述のように、タイヤモデル40の外形線42を複数の領域に分割した場合、選定される変位ベクトルは全て同じでもよく、領域毎に異なっていてもよい。さらには、複数の領域のうち、1つにだけ、複数の変位ベクトルを設定して、影響度に基づき、変位ベクトルを選定するようにしてもよい。
[タイヤモデル作成方法の第1の例]
次に、本実施形態のタイヤモデル作成方法の第1の例について説明する。
図2は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法の第1の例を工程順に示すフローチャートである。
例えば、図3に示す、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデル40を作成する(ステップS10)。タイヤモデル40は、タイヤを表すものであり、変形させるための基準形状となるものである。タイヤモデル40は、任意のタイヤ形状とすることができ、市販品のタイヤでも、設計中のタイヤでもよく、特に限定されるものではない。コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルとは、例えば、FEM等の数値シミュレーションに利用されるメッシュデータ、CADデータ等の設計データである。
タイヤモデル40は、例えば、入力部14を介して条件設定部20に入力され、メモリ28に記憶される。また、メモリ28にタイヤモデルとなるタイヤ断面形状のデータが予め記憶されていれば、メモリ28からタイヤ断面形状のデータを呼び出す。事前にタイヤモデルが用意されており、このタイヤモデルを呼び出すことも、ステップS10のタイヤモデルの作成に含まれる。
次に、タイヤモデル40の全ての節点に、それぞれ複数の変位ベクトルを設定する(ステップS12)。複数の変位ベクトルは、タイヤモデル40の全ての節点に対して、モデル設定部22で設定される。ステップS12で設定する複数の変位ベクトルは、条件設定部20に設定されており、例えば、メモリ28に記憶されている。
次に、複数の変位ベクトルのうち、変位ベクトル毎に、モデル作成部24において節点に強制変位として変位ベクトルを与えて、FEM(有限要素法)を用いて計算し、変位ベクトルに従いタイヤモデルを変形させて、変形タイヤモデルを作成する(ステップS14)。
設定した複数の変位ベクトルのそれぞれについて、変形タイヤモデルを得る(ステップS16)まで繰り返し、変形タイヤモデルの作成を実施する。
次に、複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める(ステップS18)。目的特性は、上述のように、例えば、転がり抵抗、横剛性、または縦剛性等である。
ステップS18では、演算部26において、例えば、以下のようにして変形タイヤモデル毎に目的特性を求める。
演算部26で、目的特性を求める際、変形タイヤモデルの変位ベクトルを設計パラメータとし、縦剛性、転がり抵抗等のタイヤ物理量を表す目的特性として設定する。そして、例えば、FEM(有限要素法)を用いて数値シミュレーションする場合には、そのシミュレーション条件、シミュレーションにおける制約条件を設定する。変形タイヤモデルに対して、FEMの数値シミュレーションを実施する。これにより、変形タイヤモデルについて、縦剛性、転がり抵抗等の目的特性を得る。
なお、目的特性を設定するタイミングは、特に限定されるものではなく、タイヤモデルの作成を実施するときに設定してもよく、メモリ28に記憶させておいてもよい。
次に、複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価する(ステップS20)。ステップS20は、評価部27において、変位ベクトルの目的特性への影響度は、上述の例示した手法を用いて評価する。これにより、目的特性に対する効果の影響を考慮した、変位ベクトルを選定することができる。
次に、選定した変位ベクトルに基づき、新規タイヤモデルを作成する(ステップS22)。ステップS22では、モデル作成部24で、選定した変位ベクトルを組み合わせて、基準形状となるタイヤモデルを変形させて、新規タイヤモデルが得られる。タイヤモデル作成方法の第1の例では、目的特性に対する効果の影響を考慮した変位ベクトルを効率よく選定することができる。
ステップS22で得られた、新規のタイヤモデルの断面形状の情報から、形状最適化計算により得られたタイヤの外形線を得て、形状最適化計算により得られたタイヤの外形線を金型形状データとして出力することもできる。タイヤ外側の輪郭線が影響する物理量を考慮したタイヤ断面形状を得ることができ、そのタイヤ断面形状を金型形状データとして効率よく算出することもできる。
金型形状データとは、外形線を構成する直線の長さ、曲線の曲率、直線の位置座標、曲線の位置座標を示す寸法データのことである。具体的には、例えば、NC加工機を用いて金型を作製する際に必要な寸法データのことである。金型形状データとしては、寸法データ以外に、タイヤモデルの形状で示したものであってもよく、この場合、タイヤモデルは、例えば、数値解析可能な要素でモデル化されたものでもよい。
[タイヤモデル作成方法の第2の例]
次に、本実施形態のタイヤモデル作成方法の第2の例について説明する。
図5は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法の第2の例を工程順に示すフローチャートである。
タイヤモデル作成方法の第2の例においては、上述のタイヤモデル作成方法の第1の例と同じ工程については、その詳細な説明は省略する。以下、タイヤモデル作成方法の第2の例を単に第2の例という。
第2の例は、まず、例えば、図3に示す、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルを作成する(ステップS30)。上述のように、タイヤモデルは、基準形状となるものであり、タイヤモデルには、タイヤモデル作成方法の第1の例と同じものを用いることができる。ステップS30において作成されるタイヤモデルは、例えば、図形データ、または有限要素モデルが用いられる。ステップS30は、タイヤモデル作成方法の第1の例のステップS10と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、タイヤモデルに対して、外形線の節点情報を得る(ステップS32)。ステップS32の外形線の節点情報は、モデル設定部22において、タイヤモデル40の断面形状の外側の輪郭を構成する外形線42上の複数の節点を抽出することにより得られる。
次に、タイヤモデルの外形線上における節点のそれぞれに、複数の変位ベクトルを設定する(ステップS34)。ステップS34では、複数の変位ベクトルは、タイヤモデル40の外形線42の全ての節点に対して、モデル設定部22で設定される。ステップS12で設定する複数の変位ベクトルは、条件設定部20に設定されており、例えば、メモリ28に記憶されている。
次に、複数の変位ベクトルのうち、変位ベクトル毎に、モデル作成部24において節点に強制変位として変位ベクトルを与えた後、FEM(有限要素法)を用いて計算し、変位ベクトルに従いタイヤモデルを変形させる(ステップS36)。ステップS36により、変形タイヤモデルを得る(ステップS38)。
設定した複数の変位ベクトルのそれぞれについて、変形タイヤモデルを得る(ステップS40)。
設定した複数の変位ベクトルにおいて、全ての変位ベクトルのそれぞれについて、変形タイヤモデルを得るまで、節点に強制変位として変位ベクトルを与えた後、FEM(有限要素法)を用いて計算し、タイヤモデルを変形させ(ステップS36)、変形タイヤモデルを得る(ステップS38)ことを繰り返し実行する。
全ての変位ベクトルについて、変位ベクトル毎に変形タイヤモデルを得た後、複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める(ステップS42)。ステップS42は、タイヤモデル作成方法の第1の例のステップS18と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、変位ベクトルの目的特性への影響度を評価する(ステップS44)。ステップS44は、タイヤモデル作成方法の第1の例のステップS20と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、目的特性に対する効果の影響を考慮して選定した変位ベクトルに基づき、新規タイヤモデルを作成する(ステップS46)。ステップS46の新規タイヤモデルを作成する工程は、タイヤモデル作成方法の第1の例のステップS22と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
タイヤモデル作成方法の第2の例でも、タイヤモデル作成方法の第1の例と同様に、選定した変位ベクトルに基づき、新規タイヤモデルを作成することができる。しかも、タイヤモデル作成方法の第2の例においても、目的特性に対する効果の影響を考慮した変位ベクトルを効率よく選定することができる。
変位ベクトルを選定する工程は、目的特性に対する寄与度が大きい変位ベクトルを選定することが好ましい。これにより、各領域において、定めた特性値への寄与が大きな変位ベクトルを選定することにより、最適化計算時における解空間(改善幅)を大きくすることが可能となる。なお、寄与度とは、上述の通りである。
タイヤモデルの外形線の節点情報を得る工程の後に、タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割する工程を有し、複数の変位ベクトルを設定する工程は、複数の領域のうち、少なくとも1つの領域に複数の変位ベクトルを設定することが好ましい。
タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割する工程は、上述のようにタイヤモデルの少なくともトレッド部とサイドウォール部とに分割することが好ましい。
タイヤモデル作成方法の第1の例およびタイヤモデル作成方法の第2の例のいずれにおいても、変位ベクトルを選定する工程の後に、変位ベクトルを選定する工程で選定した変位ベクトルを設計変数とし、設定変数の重み係数をパラメーターとしてタイヤ物理量を目的関数として最適化計算を実施する工程、すなわち、タイヤの初期形状を設計するための探索工程とを有してもよい。これにより、任意のタイヤ物理特性に対し、目的特性への影響を考慮した形状モードを選抜することにより、特性値の改善幅が大きい形状の探索と自由度を下げたことによる探索の効率化を両立したタイヤ形状の最適化が可能となる。
この場合、目的特性とタイヤ物理量とは同じでもよく、異なっていてもよい。
タイヤモデル作成方法の第1の例およびタイヤモデル作成方法の第2の例のいずれにおいても、さらに、上述の最適化計算を実施する工程を実施することにより、タイヤ形状最適化方法が実施される。
なお、重みを変え、線形足し合わせにより、タイヤモデルの試行形状を変えることができる。
図6は本発明の実施形態のタイヤモデル作成方法の新規タイヤモデルの取得方法を説明するための模式図である。
具体的には、図6に示す第1の形状変化のタイヤモデル50に重み係数として、重み1を掛ける。また、第2の形状変化のタイヤモデル52に重み係数として、重み2を掛ける。変位ベクトルの数の分、形状変化のタイヤモデルに重み係数を掛ける。これらの線形和を求める。これにより、第2のタイヤモデルを取得することができる。
なお、図6の符号51は変位ベクトルを示し、符号53は変位ベクトルを示す。
タイヤモデルを作成する際、上述のように、変位ベクトルに対して重み係数の値が与えられる。
重み係数の値は、条件設定部20で設定される。重み係数の値は、例えば、公知の実験計画手法、具体的には、ラテンハイパーキューブまたは直交表といった計画行列を用いて設定することができる。
重み係数の値は、上述の計画行列に従って設定されても、定められた範囲の中で逐次変更されてもよく、重み係数の値が変更される度に、第2のタイヤモデルが作成される。いずれも設定された範囲内全体を満遍なくカバーするように重み係数の値を変更して第2のタイヤモデルを作成する。重み係数の値は、例えば、一定の大きさずつ大きく、または小さくなるように離散的に変更されるが、この他に重み係数の値はランダムに変更されてもよい。
なお、以上、説明したタイヤモデル作成方法の第1の例は、タイヤモデル作成方法の第1の例を実行するプログラムにより、上述のタイヤモデル作成方法の第1の例の各工程を手順としてコンピュータに実行させることができる。
タイヤモデル作成方法の第2の例は、タイヤモデル作成方法の第2の例を実行するプログラムにより、上述のタイヤモデル作成方法の第2の例の各工程を手順としてコンピュータに実行させることができる。
なお、上述のように本発明のタイヤ形状最適化法にも、図1に示す作成装置10が用いられるが、タイヤ形状最適化方法をコンピュータ等のハードウェアおよびソフトウェアを用いて実行することができれば作成装置10に限定されるものではなく、タイヤ形状最適化方法の各工程を手順としてコンピュータ等に実行させるためのプログラムでもよい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のタイヤモデル作成方法およびタイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置およびタイヤ形状最適化装置、ならびにプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明のタイヤモデル作成方法およびタイヤ形状最適化方法の実施例について具体的に説明する。
本実施例では、以下に示す実施例1、2および比較例1、2を用いて、本発明のタイヤモデル作成方法の効果について確認した。
本実施例では、タイヤサイズ215/55R17のタイヤモデルを基準として、予め設定した20の形状変化を表す変位ベクトルを設定した。この変位ベクトルを設計パラメータとした。目的特性としては、転がり抵抗の軽減と、横剛性の向上とした。上述の目的特性を満たす変位ベクトルを選定した。
目的特性は、進化計算を用いた500ケース(50個体,10世代)のFEM最適化シミュレーションを実施して求めた。
実施例1、2および比較例1、2において、基準となるタイヤモデルに対して、最終的に得られた新規タイヤモデルの転がり抵抗が軽減した割合と、横剛性が向上した割合を求めた。その結果を下記表1に示す。なお、基準となるタイヤモデルについて、転がり抵抗と横剛性を求めた。
以下、実施例1、2および比較例1、2について説明する。
実施例1は、タイヤモデルの外形線上における全ての節点に対して変位ベクトルを付与して変形タイヤモデルを得た。また、20の変位ベクトルのうち、寄与度上位10の変位ベクトルを選定した。
実施例2は、タイヤモデルの外形線上における全ての節点に対して変位ベクトルを付与して変形タイヤモデルを得た。また、20の変位ベクトルのうち、寄与度上位15の変位ベクトルを選定した。
比較例1は、タイヤモデルの外形線上における全ての節点に対して変位ベクトルを付与して変形タイヤモデルを得た。また、変位ベクトルの選定を実施しなかった。
比較例2は、タイヤモデルの全ての節点に変位ベクトルを付与して変形タイヤモデルを得た。また、変位ベクトルの選定を実施しなかった。
上記表1に示すように、実施例1および実施例2は、比較例1および比較例2に比して、目的特性(特性値)の改善幅が同等でありながら、所要時間を短くでき、時間コストを短縮し、タイヤ最適形状探索の効率化を図ることができた。このように、目的特性に対する効果の影響を考慮した変位ベクトルを効率よく選定することができた。
次に、第2の実施例について説明する。
第2の実施例では、以下に示す実施例10、11および比較例10、11を用いて、本発明のタイヤモデル作成方法の効果について確認した。
第2の実施例は、第1の実施例に比して、タイヤモデルを、トレッド部とサイドウォール部とに分割し、トレッド部のみ変化させる変位ベクトル、およびサイドウォール部のみ変化させる変位ベクトルを各10ずつ、計20を設定した点が異なり、変位ベクトルの選定手法や目的特性の望ましい方向等は、第1の実施例と同じとした。
実施例10、11および比較例10、11において、基準となるタイヤモデルに対して、最終的に得られた新規タイヤモデルの転がり抵抗が軽減した割合と、横剛性が向上した割合を求めた。その結果を下記表2に示す。なお、基準となるタイヤモデルについて、転がり抵抗と横剛性を求めた。
以下、実施例10、11および比較例10、11について説明する。
実施例10は、実施例1に比して、タイヤモデルを、トレッド部とサイドウォール部とに分割し、トレッド部のみ、およびサイドウォール部のみ変化させる変位ベクトルを設定した点が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
実施例11は、実施例2に比して、タイヤモデルを、トレッド部とサイドウォール部とに分割し、トレッド部のみ、およびサイドウォール部のみ変化させる変位ベクトルを設定した点が異なり、それ以外は実施例2と同じとした。
比較例10は、比較例1に比して、タイヤモデルを、トレッド部とサイドウォール部とに分割し、トレッド部のみ、およびサイドウォール部のみ変化させる変位ベクトルを設定した点が異なり、それ以外は比較例1と同じとした。
比較例11は、比較例2に比して、タイヤモデルを、トレッド部とサイドウォール部とに分割し、トレッド部のみ、およびサイドウォール部のみ変化させる変位ベクトルを設定した点が異なり、それ以外は比較例2と同じとした。
上記表2に示すように、実施例10および実施例11は、比較例10および比較例11に比して、目的特性(特性値)の改善幅を維持しつつも、所要時間を短くでき、時間コストを短縮し、タイヤ最適形状探索の効率化を図ることができた。このように、変位ベクトルをトレッド部のみ変化させるものと、サイドウォール部のみ変化させるものを組み合わせて探索した結果、第1の実施例よりも目的特性に対する効果の影響を考慮した変位ベクトルを効率よく選定することができた。
10 タイヤモデル作成装置(作成装置)
12 処理部
14 入力部
16 表示部
20 条件設定部
22 モデル設定部
24 モデル作成部
26 演算部
27 評価部
28 メモリ
30 表示制御部
32 制御部
40 タイヤモデル
40c ビードリング部
41 トレッド部
42 外形線
43 節点
43a 第1の変位ベクトル
43b 第2の変位ベクトル
43c 第3の変位ベクトル
45 トレッド部
46 サイドウォール部
47 境界
50 第1の形状変化のタイヤモデル
52 第2の形状変化のタイヤモデル

Claims (15)

  1. タイヤを表す、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルの節点情報を得る工程と、
    前記タイヤモデルの節点のそれぞれに、複数の変位ベクトルを設定する工程と、
    設定した前記複数の変位ベクトルそれぞれについて、変位ベクトルに従い前記タイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得る工程と、
    前記複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める工程と、
    前記複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、前記変位ベクトルの前記目的特性の影響度を評価する工程と、
    前記影響度に基づき変位ベクトルを選定する工程と、
    選定した前記変位ベクトルに基づき、タイヤモデルを作成する工程とを有することを特徴とするタイヤモデル作成方法。
  2. タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルを取得する工程と、
    前記タイヤモデルの外形線上における節点情報を得る工程と、
    前記タイヤモデルの前記外形線上における節点のそれぞれに、前記タイヤモデルに対して形状変化を与える複数の変位ベクトルを設定する工程と、
    設定した前記複数の変位ベクトルそれぞれについて、前記外形線上における前記節点に強制変位として変位ベクトルを与えて前記タイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得る工程と、
    前記複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める工程と、
    前記複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、前記変位ベクトルの前記目的特性への影響度を評価する工程と、
    前記影響度に基づき変位ベクトルを選定する工程と、
    選定した前記変位ベクトルに基づき、タイヤモデルを作成する工程とを有することを特徴とするタイヤモデル作成方法。
  3. 前記タイヤモデルの外形線の節点情報を得る工程の後に、前記タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割する工程を有し、
    前記複数の変位ベクトルを設定する工程は、複数の前記領域のうち、少なくとも1つの領域に前記複数の変位ベクトルを設定する、請求項2に記載のタイヤモデル作成方法。
  4. 前記変位ベクトルの前記目的特性への影響度を評価する工程は、前記複数の前記領域のうち、前記複数の変位ベクトルを設定した前記領域において、前記変位ベクトルの前記目的特性への影響度を評価し、
    前記変位ベクトルを選定する工程は、前記影響度に基づき、設定した前記領域における前記変位ベクトルを選定する、請求項3に記載のタイヤモデル作成方法。
  5. 前記タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割する工程は、前記タイヤモデルの少なくともトレッド部とサイドウォール部とに分割する請求項3または4に記載のタイヤモデル作成方法。
  6. 前記変位ベクトルを選定する工程は、前記目的特性に対する寄与度が大きい変位ベクトルを選定する請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成方法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成方法において、
    前記変位ベクトルを選定する工程の後に、前記変位ベクトルを選定する工程で選定した前記変位ベクトルを設計変数とし、設定変数の重み係数をパラメーターとしてタイヤ物理量を目的関数として最適化計算を実施する工程を有することを特徴とするタイヤ形状最適化方法。
  8. タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素で構成されたタイヤモデルを取得する条件設定部と、
    前記タイヤモデルの外形線の節点情報を取得し、タイヤモデルの前記外形線上における節点のそれぞれに、前記タイヤモデルに対して形状変化を与える複数の変位ベクトルを設定するモデル設定部と、
    設定した前記複数の変位ベクトルそれぞれについて、変位ベクトル毎に、前記外形線上における前記節点に強制変位として変位ベクトルを与えて前記タイヤモデルを変形させた、複数の変形タイヤモデルを得るモデル作成部と、
    前記複数の変形タイヤモデルのそれぞれについて、予め設定されたタイヤ物理量を表す目的特性を求める演算部と、
    前記複数の変形タイヤモデルのそれぞれの目的特性に基づき、前記変位ベクトルの前記目的特性への影響度を評価し、前記影響度に基づき変位ベクトルを選定する評価部とを有し、
    前記モデル作成部は、選定した前記変位ベクトルに基づき、タイヤモデルを作成することを特徴とするタイヤモデル作成装置。
  9. 前記モデル設定部は、前記タイヤモデルの外形線を複数の領域に分割し、複数の前記領域のうち、少なくとも1つの領域に前記複数の変位ベクトルを設定する請求項8に記載のタイヤモデル作成装置。
  10. 前記評価部は、前記複数の前記領域のうち、前記モデル設定部で前記複数の変位ベクトルを設定した前記領域において、前記変位ベクトルの前記目的特性への影響度を評価し、前記影響度に基づき、前記変位ベクトルを選定する請求項9に記載のタイヤモデル作成装置。
  11. 前記モデル設定部は、前記タイヤモデルの外形線を、前記タイヤモデルの少なくともトレッド部とサイドウォール部とに分割する請求項9または10に記載のタイヤモデル作成装置。
  12. 前記評価部は、前記目的特性に対する寄与度が大きい変位ベクトルを選定する請求項8~11のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成装置。
  13. 請求項8~12のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成装置を有するタイヤ形状最適化装置であって、
    前記評価部で、前記変位ベクトルを選定した後、前記演算部は、前記変位ベクトルを設計変数とし、設定変数の重み係数をパラメーターとしてタイヤ物理量を目的関数として最適化計算を実施することを特徴とするタイヤ形状最適化装置。
  14. 請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤモデル作成方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラム。
  15. 請求項8に記載のタイヤ形状最適化方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラム。
JP2019164559A 2019-09-10 2019-09-10 タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム Active JP7328527B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019164559A JP7328527B2 (ja) 2019-09-10 2019-09-10 タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019164559A JP7328527B2 (ja) 2019-09-10 2019-09-10 タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021041792A JP2021041792A (ja) 2021-03-18
JP7328527B2 true JP7328527B2 (ja) 2023-08-17

Family

ID=74861992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019164559A Active JP7328527B2 (ja) 2019-09-10 2019-09-10 タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7328527B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA3241053A1 (en) * 2022-03-01 2023-09-07 Rei Honma Core design apparatus, core design method, and program
JP2024039497A (ja) * 2022-09-09 2024-03-22 株式会社ブリヂストン タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラム

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013184636A (ja) 2012-03-09 2013-09-19 Yokohama Rubber Co Ltd:The 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム
JP2013189160A (ja) 2012-03-15 2013-09-26 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤ断面形状決定方法、タイヤ製造方法、タイヤ断面形状決定装置、及びプログラム
WO2016031811A1 (ja) 2014-08-25 2016-03-03 横浜ゴム株式会社 タイヤモデルの作成方法、タイヤモデルの作成装置、タイヤのシミュレーション方法、及び非一時的なコンピュータが読み取り可能な媒体

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6676928B2 (ja) * 2015-11-04 2020-04-08 横浜ゴム株式会社 タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013184636A (ja) 2012-03-09 2013-09-19 Yokohama Rubber Co Ltd:The 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム
JP2013189160A (ja) 2012-03-15 2013-09-26 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤ断面形状決定方法、タイヤ製造方法、タイヤ断面形状決定装置、及びプログラム
WO2016031811A1 (ja) 2014-08-25 2016-03-03 横浜ゴム株式会社 タイヤモデルの作成方法、タイヤモデルの作成装置、タイヤのシミュレーション方法、及び非一時的なコンピュータが読み取り可能な媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021041792A (ja) 2021-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7205160B2 (ja) タイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびプログラム
JP6561455B2 (ja) データの分析方法およびデータの表示方法
JP4339808B2 (ja) 構造体の設計方法
JP4888227B2 (ja) データ解析プログラム、データ解析装置、構造体の設計プログラム、および構造体の設計装置
JP5160147B2 (ja) タイヤの設計方法
JP6586820B2 (ja) タイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびプログラム
JP5160146B2 (ja) タイヤの設計方法
JP6263883B2 (ja) データ処理方法および構造体の設計方法
JP5018116B2 (ja) タイヤの設計方法およびタイヤの設計装置
JP6589285B2 (ja) データの分析方法およびデータの表示方法
JP7328527B2 (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム
JP6544005B2 (ja) 構造体の近似モデル作成方法、構造体の近似モデル作成装置、およびプログラム
JP6349723B2 (ja) シミュレーション方法、その装置およびプログラム
JP6544006B2 (ja) 構造体の近似モデル作成方法、構造体の近似モデル作成装置、およびプログラム
JP6065472B2 (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤ断面形状決定方法、タイヤモデル作成装置、及びプログラム
JP2008276469A (ja) タイヤの設計方法
JP6676928B2 (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム
JP6248402B2 (ja) データの表示方法
JP7315824B2 (ja) タイヤの初期形状設計方法、タイヤの初期形状設計装置、およびプログラム
JP2008280029A (ja) タイヤの設計方法
JP6565285B2 (ja) 構造体の近似モデル作成方法、構造体の近似モデル作成装置、およびプログラム
JP6601401B2 (ja) タイヤモデルの作成方法、タイヤモデルの作成装置、タイヤのシミュレーション方法、及び非一時的なコンピュータが読み取り可能な媒体
JP4800581B2 (ja) タイヤの設計方法
JP7225797B2 (ja) トレッド部の設計方法
JP6299089B2 (ja) データの可視化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220809

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7328527

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150