JP7321801B2 - インクジェット装置、有機el素子の形成方法、機能素子の形成方法、表示装置の製造方法 - Google Patents

インクジェット装置、有機el素子の形成方法、機能素子の形成方法、表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機能素子の製造方法および大面積の基体表面にインクを塗布するために用いられるインクジェット装置に関する。特に、例えば有機EL素子のような機能素子を大面積の基体に形成する際に好適に用いられるインクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法に関する。
有機EL素子は、EL発光能をもつ有機低分子又は有機高分子で発光層を形成した素子であり、自発光のため視野角が広く、耐衝撃性に優れるなど、ディスプレイ素子として優れた特徴を有している。有機EL素子には、基板上に積層した発光層の上方に光を取り出すトップエミッション型と、基板を通して光を取り出すボトムエミッション型がある。
有機EL素子の製造方法として、真空蒸着法、インクジェット法、印刷法、ディスペンス法などが広く研究されている。中でも、インクジェット法は、真空蒸着法等に比べて装置が小型化でき、材料利用効率も優れるため、量産に適した技術であると期待されている。一般に、有機EL素子を製造するには、電極、発光層、中間層などの多数の層を積層する必要があるが、量産性を高めるには、なるべく多くの層をインクジェット法により製造するのが望ましいといえる。
例えば、特許文献1には、発光層の他に、正孔注入層などをインクジェット法で形成する方法が提案されている。インクジェット法により表示画素に形成される層の厚さをなるべく均一にするため、表示画素が配置された領域の周囲にダミー塗布領域を設けることが提案されている。
特開2005-259716号公報
インクジェット法を用いて、多数の画素を備える有機EL素子を作成する場合には、基板上に各画素を区画するバンク(隔壁)を予め形成しておき、バンクで囲まれた画素部に向けてインクを付与するのが一般的である。図11(a)は、インクを付与する前の一つの画素部301を模式的に例示した平面図である。画素部301は、高さが例えば2μmから5μmのバンク300で囲まれており、バンク300で囲まれた画素部301を平面視すれば、典型的には20μmから100μmの長さの辺に囲まれた矩形の形状である。
インクジェットヘッドから各画素部に、例えば数plから数十plの容積のインク滴が付与され、図11(b)の模式的断面図に示すように、インク滴が着弾した直後にはバンク300で囲まれた領域にはインク302が貯留された状態になる。インク302の表面張力により、図示のように液面は上に向かって凸の形状となる。乾燥するにしたがってインク302の液面は降下して行くが、各画素部においては、いわゆるコーヒーリング効果(あるいはコーヒーステイン効果)が発生する。すなわち、インク302が乾燥する過程で、画素の中心部よりも周辺部の蒸発速度が速いために、図11(b)に示すように、画素の中心部からバンク300に向かう方向にインクの流れVが発生する。この流れVによりインク302に含まれる固形成分がバンク300に向かって移動するため、乾燥した後に形成される固体層303の厚さは、図11(c)の模式的断面図に示すように、画素の中心部よりもバンク近傍の方が厚くなる傾向がある。コーヒーリング効果は、蒸発速度(乾燥速度)が大きいほど顕著になる性質があり、蒸発速度(乾燥速度)が大きいほど画素の中心部とバンク近傍の固体層303の厚さの差異が大きくなる。
基板上に配置された多数の画素部に短時間内にインクを付与した際には、基板の中央部付近に位置する画素部と、基板の周辺部に位置する画素部では、インクの蒸発速度(乾燥速度)が異なる。このため、基板上の位置によりコーヒーリング効果が生ずる強度に差異が生じる。
すなわち、基板の上空に滞留するインク溶媒の蒸気密度(分圧)は、多数の画素部に囲まれている基板の中央部付近では高くなり、基板外空間に近い基板の周辺部では低くなる。このため、基板の中央部付近では蒸発速度(乾燥速度)が相対的に小さく、基板内の周辺部では蒸発速度(乾燥速度)が相対的に大きくなる。その結果、基板の中央部付近ではコーヒーリング効果が発現する強度は小さく、基板内の周辺部ではコーヒーリング効果が発現する強度が大きくなる。つまり、基板の中央部付近では各画素の中央部における固体層の厚さは比較的大きく、基板内の周辺部では各画素の中央部における固体層の厚さが比較的小さくなる。
たとえ、各画素に付与するインクの液量を極めて高精度に均一化したとしても、コーヒーリング効果の発現する強度差によって、基板の中央部付近の画素と基板内の周辺部の画素の間では画素中央部の固体層の厚さに差異が生じてしまう。このため、製造した表示装置の画面内で輝度ムラや発光色ムラなどが生じ、表示特性上、好ましくない影響が発生していた。
特許文献1には、基板の中央部付近の画素と基板の周辺部の画素におけるインクの蒸発速度(乾燥速度)の差を低減するため、表示画素が配置された領域の周囲にダミー塗布領域を設け、基板の周辺部のインク溶媒の蒸気密度を高める方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、表示画素が配置された領域の周囲にダミー塗布領域を設ける必要があり、表示画面の額縁部分に大きなデッドスペースが生じるため、表示装置が大型化したり重量が増加してしまうという問題があった。
そこで、有機EL素子等の機能素子をインクジェット法を用いて基板上に多数形成する際に、基板の大型化や重量増加をもたらすことなく、各機能素子に形成される固体層の素子中央部における厚さのばらつきを抑制できる方法が求められていた。本発明は、液を適切なタイミングで適切な位置に付与することが可能なインクジェット装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、基体の上に複数の機能素子を形成するインクジェット装置であって、前記基体がセットされるステージと、前記基体の機能素子形成部に第1の液を吐出する第1のインクジェットヘッドと、前記ステージの上で前記第1のインクジェットヘッドを走査する第1の走査機構と、前記機能素子形成部に第2の液を吐出する第2のインクジェットヘッドと、前記ステージの上で前記第2のインクジェットヘッドを走査する第2の走査機構と、を備え、前記第2のインクジェットヘッドを前記第1のインクジェットヘッドから独立して走査可能である、ことを特徴とするインクジェット装置である。
本発明によれば、液を適切なタイミングで適切な位置に付与することが可能なインクジェット装置を提供することが可能である。
実施形態1のインクジェット装置の模式的な側面図。 実施形態1のインクジェット装置の模式的な平面図。 実施形態1のインクジェット装置の制御ブロック図。 (a)~(e)有機EL素子の基体を製造する各工程を示す模式的な断面図。 (a)有機EL素子にインクを付与する工程を示す模式的な断面図。(b)インクが付与された状態を示す模式的な断面図。(c)基体の中央部付近の画素の固体層の形状を示す模式的な断面図。(d)基体内の周辺部付近の画素の固体層の形状を示す模式的な断面図。 (a)溶剤を付与する工程を示す模式的な断面図。(b)溶剤が付与され再溶解した状態を示す模式的な断面図。(c)溶剤が付与された後に乾燥させた画素の固体層の形状を示す模式的な断面図。 インクジェットヘッドの走査方法を例示するための模式的な斜視図。 溶剤を付与する領域を説明するための模式的な平面図。 (a)有機EL素子の構造を説明するための模式的な断面図。(b)有機EL装置における画素の配列を例示した模式的な平面図。 インクジェット装置の他の実施形態を示す模式的な平面図。 (a)有機EL素子を作成するための基体の模式的な平面図。(b)コーヒーリング効果を説明するための模式的な断面図。(c)コーヒーリング効果により、厚さに分布が生じた固体層の形状を例示した模式的な断面図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態にかかるインクジェット装置、および機能素子としての有機EL素子の製造方法について説明する。尚、以下の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の機能を有する部材については同一の参照番号を付して示すものとする。
[実施形態1]
図1は、実施形態1のインクジェット装置1を側面視で見た模式的な側面図であり、11は底板、12は天板、13は4周を囲む側板であり、底板11、天板12、側板13は、インクジェット装置1の外装カバーを構成している。尚、図1においては、紙面手前側の側板13は、装置内部を見やすくするために除外して示している。尚、外装カバーは、基板に塗布したインクの乾燥を安定させるために装置内部を包囲するように設置するのが好ましいが、場合によっては一部が開放された構造にすることも可能である。
図2は、本実施形態のインクジェット装置1を上方向から平面視した模式的な平面図である。図2においては、装置内部を見やすくするために、天板12を除外して示している。
以下、図1及び図2を参照して、インクジェット装置1の構成を説明する。まず、機能素子の原材料となるインクを付与する対象は基体4で、インクを付与すべき面は基体表面5である。図1及び図2では不図示であるが、基体表面5には、後述するバンクが予め形成されている。基体4は、ステージ3の上の所定位置にセットされ、ステージ3は装置の基台9に固定されている。
6はインクジェットヘッドユニットで、インクジェットヘッドユニット6は、基体表面5と対向する向きにノズル7が配置されたインクジェットヘッド61~インクジェットヘッド64を備えている。本実施形態では、図2に示すように各インクジェットヘッドは2個のノズル7を備えているが、ノズル7の数や配置はこれに限られるものではない。
インクジェットヘッド62は赤色発光の有機EL素子形成用インクを、インクジェットヘッド63は緑色発光の有機EL素子形成用インクを、インクジェットヘッド64は青色発光の有機EL層形成用インクを、各々吐出することが可能である。また、インクジェットヘッド61は溶剤を吐出することが可能である。すなわち、第1のインクジェットヘッドとしてのインクジェットヘッド62~インクジェットヘッド64は機能素子の材料を含んだインクを付与することができ、第2のインクジェットヘッドとしてのインクジェットヘッド61は溶剤を付与することができる。
インクジェットヘッド61が吐出する溶剤は、インクジェットヘッド62~インクジェットヘッド64から吐出される有機EL素子形成用インクの溶媒成分のうちの全部または一部の種類の材料を含むのがよい。
インクジェットヘッドユニット6は走査機構により支持されており、基体表面5からZ方向に所定間隔だけ離れた高さで、ノズル7をXY平面と平行な面内で走査できるように構成されている。すなわち、10は主走査方向(X方向)に沿って伸びる主走査ガイドレールであり、主走査ガイドレール10にはX方向に移動自在な主走査器23が載置されている。また、20は副走査方向(Y方向)に沿って伸びる副走査ガイドレールであり、副走査ガイドレール20にはY方向に移動自在な副走査器21が載置されている。インクジェットヘッドユニット6は主走査器23に固定されており、主走査ガイドレール10は副走査器21に固定されているため、インクジェットヘッドユニット6はXY平面と平行な面内を自在に走査することができる。尚、図1では図面を見やすくするため、副走査器21および副走査ガイドレール20の図示を省略している。
図1において、14はインクジェット装置1の各部の動作を制御する制御部である。図3は、インクジェット装置1の制御系の構成を簡易的に示す制御ブロック図であるが、図示の便宜上、制御部14が制御する要素のうち、一部だけを示している。
制御部14は、インクジェット装置1の動作を制御するためのコンピュータで、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えている。
ROMには、インクジェット装置1の基本動作プログラムが記憶されている。機能素子の製造にかかるインクの付与動作や、インクジェットヘッド61を用いた溶剤の追加的付与動作にかかる各種処理を実行するためのプログラムは、他の動作プログラムと同様にROMに記憶させておくことができる。あるいは、ネットワークを介して外部からRAMにロードしてもよい。あるいは、プログラムを記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体を介して、RAMにロードしてもよい。
制御部14のI/Oポートは外部のコンピュータをはじめとする外部機器30やネットワークと接続されている。制御部14は、例えば製造する機能素子の種類、位置、配列、インクの吐出条件等の機能素子の製造に必要なデータの入出力を、I/Oポートを介して外部のコンピュータとの間で行うことができる。
制御部14は、インクジェットヘッドユニット6、主走査器23、副走査器21、等と接続され、電気信号のやりとりを行うことができる。制御部14は、これら各部の動作を制御し、インクジェットヘッドユニット6の走査、インクジェットヘッド61~インクジェットヘッド64の各ノズル7からの吐出、等を含めインクの塗布全般に関する処理を実行する。
次に、本実施形態のインクジェット装置1を用いて基体4に機能素子を製造する方法について述べる。尚、以下の説明では機能素子としてトップエミッション型の有機EL素子を挙げ、その製造方法を説明するが、本発明の実施形態はこの例に限るものではなく、他の型の有機EL素子や、有機EL素子以外の機能素子を製造してもよい。
まず、インクジェット装置1にセットするための基体4を準備する。図4(a)~図4(e)は、基体4を準備する手順を説明するための各工程を模式的に示した図である。各図は、図示の便宜のため、有機EL素子の一素子に相当する領域の断面のみを模式的に示している。
まず、図4(a)に示すように、基板41を準備する。基板41は、ガラス等の無機材料や、樹脂等の有機材料が用いられる。典型的には板状の部材であるが、基体として機能し得るものであれば形態が限られるわけではなく、たとえば変形可能なフィルムであってもよい。
次に、図4(b)に断面構造を示す構造体を基板41の上に形成する。すなわち、基板41上に接続電極46とTFT47を設け、その上に絶縁層42を形成する。そして、絶縁層42の一部にスルーホールをあけて金属材料を充填し、プラグ43を形成する。さらに、CMP等の平坦化処理を行い、絶縁層42およびプラグ43の上面を平坦化させる。
次に、図4(c)に示すように、絶縁層44を形成する。絶縁層44は、有機EL素子のバンク部分を作成するために設けられる層である。絶縁層44は、SiOをはじめとする無機酸化物、あるいは例えばポリイミド、アクリル等の樹脂で形成される。
次に、図4(d)に示すように開口部を有するマスク45を例えばフォトリソグラフィーを用いて絶縁層44の上に配置する。そして、例えばリアクティブイオンエッチング48により、絶縁層44をエッチングしてプラグ43が露出した開口部を形成する。
開口部を形成した後にマスク45を除去することにより、図4(e)に示すように、バンク49が形成された基体4が準備できる。その際、リアクティブイオンエッチングの条件や、マスク45を除去する条件を適宜選択することにより、絶縁層42やプラグ43を侵食することなく絶縁層44をパターニングしてバンク49を形成することができる。パターニング後、材料の残渣を除去するために、UVオゾン処理やOプラズマ処理を行っても良い。
バンク49は、複数の有機EL素子を1次元あるいは2次元に配列する場合に、各有機EL素子を空間的に分離するとともに電気的に絶縁する壁として機能させることができる。各バンクで囲まれた基板上の領域は機能素子を形成するための部分であり、機能素子形成部と呼ぶこともできる。バンク49の開口は、インクジェット装置1のノズル7から有機EL素子の材料を含むインクを吐出する際に、液滴を着弾させるべき目標位置となる。バンク49は、着弾後のインクが溢れたり隣接する有機EL素子に滲出したりしないように、隔壁として機能する。
以上により、バンクに囲まれた機能素子形成部を備えた基体4が準備できたら、基体4をインクジェット装置1のステージ3上の所定位置にセットする。
基体4へのインクの塗布に関しては、例えば図7に示す走査手順により有機EL素子を形成する領域全体をインクジェットヘッドユニット6で走査しながら行う。図7は、走査方法の一例を説明するための模式的な斜視図であり、4は基体、5は基体4の表面のうち機能素子を形成する面である基体表面、102は機能素子(有機EL素子)を形成すべき機能素子形成部である。模式図であるため、8×8個の機能素子形成部102が示されているにすぎないが、実際には非常に多数の表示画素を形成するために、大面積にわたり多数の機能素子形成部が配置され得る。
基体表面5がXY平面と平行になるようセットし、不図示のインクジェットヘッドを、基体表面5からZ方向に所定の距離だけ離間させて、まず主走査方向であるX方向に沿って軌道103上を移動させて、一列分の機能素子形成部102の材料を吐出する。そして、機能素子(有機EL素子)を形成する領域すなわち塗布領域よりも外側まで移動すると、インクジェットヘッドユニットを副走査方向であるY方向に軌道104に沿って所定距離移動させた後、移動方向をX方向マイナス側に変更する。そして、軌道105に沿って移動させながら別の一列分の機能素子形成部102の材料を吐出する。そして、塗布領域よりも外側まで移動すると、インクジェットヘッドの移動方向を再び副走査方向であるY方向に変更して軌道106に沿って所定距離移動させる。ここでは、説明を簡単化するため、インクジェットヘッドユニットがノズルを1個だけ有するとして説明したが、複数のノズルを有する場合には、一回の主走査で複数列分の機能素子形成部に吐出することもできる。
かかる移動を繰返してインクジェットヘッドユニットを主走査方向に往復移動させて走査し、塗布領域の全域にインクを吐出してゆく。
図5(a)~図5(d)、図6(a)~図6(c)は、有機EL素子の積層構造のうちの一層目を、インクジェット装置1によるインクの塗布により形成する手順を説明するための、模式的な断面図である。各図においては、図示の便宜のため、有機EL素子の一素子に相当する領域の断面を模式的に示しており、有機EL素子の機能層のうち最下層を形成する場合を示している。ただし、本発明にかかる固体層の形成方法は、有機EL素子の最下層に限らず、他の機能層の形成に適用してもよい。すなわち、有機EL素子の下部電極層、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、等の機能層のうち、インクジェット法で形成するのに適した任意の層の形成に適用することができる。
各層をインクジェット法で形成する場合に用いるインクについて説明するならば、例えば下部電極層を形成する場合であれば、Ag、Au、Cu、Al、Ni等の導電性微粒子を、溶媒に分散したインクを用いる。
また、発光層を形成する場合であれば、所望の発光色に応じた蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物を、キシレン等の有機系溶媒に溶解させた有機溶媒系インクを用いることができる。発光層用の有機溶媒系インクには、ゲスト材料、ホスト材料などの複数の材料が含まれていてもよい。インクに含まれる発光材料としては、高分子材料、中分子材料または低分子材料などが挙げられ、塗布型に用いられ得る発光材料であれば特に限定されない。例えば、ポリフルオレン、ポリフルオレンの共重合体、ポリフェニレンビニレンなどの高分子材料、オリゴフルオレンなどの中分子材料が挙げられる。また、フルオレン系、ピレン系、フルオランテン系、アントラセン系などの縮合多環化合物、イリジウムを含む金属錯体などの低分子材料も挙げられる。発光層は、好適には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などの高分子系材料を含み得る。赤色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料として赤色燐光発光イリジウム金属錯体を、ホスト材料としてポリフルオレンを含有する赤色発光層用インクを用いる。また、緑色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてフルオランテン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのポリフルオレンを含有する緑色発光層用インクを用いる。また、青色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてピレン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのオリゴフルオレンを含有する青色発光層用インクを用いる。
また、正孔注入層を形成する場合であれば、有機溶媒系インクとして、例えば、正孔注入材料のPEDOT/PSS液を用いる。PEDOT/PSS液は好適に利用できるが、正孔注入層用のインクは特にこれに限定されるわけではなく、例えば、下記の高分子系材料をキシレン等の蒸気密度が空気よりも大きな有機系溶媒で溶解させた液を塗布乾燥させても形成することができる。高分子系材料として、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体などがあげられる。
図5(a)に示すように、バンク49で囲まれた領域(機能素子形成部)に、インクジェット装置1のノズル7から機能層の材料を含んだインク51を吐出する(インク付与処理)。例えば、各画素の発光色に応じた発光層を形成するのであれば、インクジェットヘッド62~インクジェットヘッド64のうち、当該画素の発光色に応じたインクを吐出するヘッドから発光層形成用のインク51を吐出する。同色の画素には、同種のインクを、原則的に同じ液量だけ付与する。
基体4の上面に多数の機能素子(画素)を形成するために、図7を参照して説明した走査法等により、各画素部には短時間のうちにインクが付与される。各画素部のバンク49で囲まれた領域にインクが着弾すると、図5(b)に示すようにインク52は表面張力により中央部が高い凸形状になる。
しかし、すでに説明したように、基体の上空に滞留するインク溶媒の蒸気密度(分圧)は、多数の画素部に囲まれている基体の中央部付近では高くなり、基板外空間に近い基板の周辺部では低くなる。そして、基体の中央部付近に位置する画素部と、基体の周辺部に位置する画素部では、インクの蒸発速度(乾燥速度)が異なるため、コーヒーリング効果が発現する強度に差異が生じる。
図8に基体4の模式的な平面図を示すが、例えば基体の中央部付近4Aに位置する画素部と、基体内の周辺部4Bに位置する画素部では、コーヒーリング効果が生ずる強度に差異が生じる。基体の中央部付近4Aに位置する画素部では、図5(c)に示すように、インクが乾燥した後の固体層70は上面が比較的平坦であり、画素の中央部における厚さが確保されており、バンク49の近傍における厚さとの差が小さい。これに対して、基体内の周辺部4Bに位置する画素部では、図5(d)に示すように、インクが乾燥した後の固体層70は上面が湾曲した凹面であり、画素の中央部において厚さが薄くなっており、バンク49の近傍における厚さとの差が大きい。
本実施形態では、インクの蒸発速度が速かったためコーヒーリング効果が強く作用した機能素子形成部の固体層を整形し、インクの蒸発速度が比較的遅かったためコーヒーリング効果が弱く作用した機能素子形成部の固体層の形状に近づける処理を行う。具体的には、基体内の周辺部4Bに位置する画素部に対してインクジェットヘッド61から溶剤を吐出する。インクジェットヘッド61が吐出する溶剤は、インクジェットヘッド62~インクジェットヘッド64から吐出された有機EL素子形成用インクの溶媒成分のうちの全部または一部の種類の材料を含むのがよい。有機EL素子形成用インクの溶媒成分のうち、蒸気圧が小さくて蒸発速度が遅い溶剤を多く含ませてもよい。あるいは、有機EL素子形成用インクの溶媒成分よりも高沸点な溶剤を用いてもよい。
尚、本実施形態では、インク付与処理で付与したインクを乾燥させてから溶剤を付与する。付与したインクが乾燥するのに要する時間をデータとして予め制御部14に記憶させておき、インクを付与した後の経過時間をタイマーで計測し、乾燥に要する時間経過後に溶剤付与処理を実行すればよい。
基体内の周辺部4Bに位置する画素部(機能素子形成部)に対して、図6(a)に示すように、インクジェットヘッド61のノズル7から溶剤81の液滴を吐出する(溶剤付与処理)。その際、溶剤81の液量は、バンク49で囲まれた領域(槽)から溢れない範囲で、図5(a)を参照して説明したインク51の液量よりも大きくするのが望ましい。溶剤が乾燥する過程で周辺部4Bの上空に滞留する溶剤の蒸気密度(分圧)が、図5(b)のインク52を乾燥させた時の溶媒の蒸気密度(分圧)よりも大きくなるようにして、コーヒーリング効果を弱めるためである。
溶剤81を付与されると、図6(b)に示すように固体層70が液71に再溶解する。その後に液71は乾燥してゆくが、インク52が乾燥した時よりも固体層が再溶解した液71が乾燥する時の乾燥速度を遅くすることにより、インク52が乾燥した時よりもコーヒーリング効果の発現を弱めることができる。その結果、図6(c)に示すように、乾燥後の固体層70の形状は、図5(d)の形状に比べると平坦性が高くなるように整形され、図5(c)に示した基体の中央部付近4Aに位置する画素部の形状に近似したものとすることができる。
尚、基体上のどの領域の画素部に対して溶剤を付与して固体層の形状を整形するかについては、予めインクを付与したサンプルを作成し、固体層の膜厚分布を計測して溶剤を付与する領域を決定し、制御部14に記憶させておけばよい。あるいは、膜厚分布を計測する代わりに有機EL素子の各画素の輝度分布を計測し、輝度の低い領域を溶剤を付与する領域として決定し、制御部14に記憶させてもよい。
また、付与する溶剤の量(液滴のサイズ)は、溶剤量を変えた種々のサンプルを予め作成して再溶解後に乾燥して形成された固体層の膜厚を計測し、最適な膜厚に対応する溶剤量を選んで決定すればよい。そして、決定したサイズの液滴を吐出させるためのインクジェットヘッド61の駆動条件を、制御部14に記憶させておけばよい。
以上説明した方法は、有機EL素子の最下層に限らず、他の機能層の形成に適用してもよい。すなわち、有機EL素子の下部電極層、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、等の機能層のうち、インクジェット法で形成するのに適した層の形成に適用することができる。
図9(a)は、本実施形態により製造した有機EL素子の1素子の断面を模式的に示した図である。107は下部電極、108は発光層、109は正孔輸送層、110は正孔注入層、111は上部透明電極である。このうち、下部電極107、発光層108、正孔輸送層109、正孔注入層110については、インクジェット法で形成し、上述したように基体の周辺部の画素については溶剤を付与することでコーヒーリング効果を弱めて固体層を整形した。正孔注入層110を形成した後、有機EL素子の片極であり、正孔を供給するとともに光取り出し窓として機能する上部透明電極111を形成した。上部透明電極111は、スパッタのような真空成膜か、あるいは塗布により、金属酸化物等の光透過性を備えた導電材料を用いて形成した。
図9(b)は、本実施形態により製造した有機EL素子を多数備えた表示装置の平面図である。基体表面5には、赤色発光有機EL素子(R)、緑色発光有機EL素子(G)、青色発光有機EL素子(B)が、表示画素600として多数配列形成されている。この表示装置は、輝度むらや発光色むらが小さく、表示領域を囲む額縁部分が小さく軽量である。
以上説明したように、本実施形態によれば、インクを付与して乾燥させた後、コーヒーリング効果が強く発現した画素部に対して溶剤を付与して再溶解させ、蒸発速度を遅くして乾燥させることで固体層の形状を整形する。このため、インクジェット法を用いて大面積の基板上に多数の有機EL素子を形成する際に、素子毎の固体層の厚さのばらつきを抑制することが可能である。
また、本実施形態では、特開2005-259716号公報に記載されたダミー塗布領域を表示画素が配置された領域の周囲に設ける必要がないため、図8に示す額縁部分4C(表示画素が設けられていない部分)を極めて小さくすることができる。したがって、基板の大型化や重量増加をもたらすことなく、輝度むらや発光色むらが抑制された表示装置を作成することができる。
[実施形態2]
実施形態1においては、機能素子(画素)を形成するためにインクを付与して乾燥させた後、基体内の周辺部に位置する画素部についてのみ溶剤を付与して固体層を再溶解させ、蒸発速度を遅くして固体層の形状を整形した。図5(c)に示したように、実施形態1では、基体の中央部付近の画素部においては固体層70の平坦性が比較的高かったため、この部分に対しては溶剤の付与は行わなかった。
しかし、基体内の周辺部だけでなく、中央部付近の画素部においてもコーヒーリング効果の影響が顕在化し、固体層70の平坦性が不足する場合には、基体内の全ての画素部に対して溶剤を付与するのがよい。
そこで、実施形態2では、機能素子(画素)を形成するためにインクを付与して乾燥させた後、基体内の全ての画素部に対して溶剤を付与する。実施形態2においても、図5(b)を参照して説明した工程までは実施形態1と同一であるため、実施形態1と共通する部分については、説明を省略する。
インクを付与して乾燥させた後、各画素の固体層にインクジェットヘッド61のノズル7から溶剤を付与してゆくが、溶剤の液量は、バンクで囲まれた領域(槽)から溢れない範囲で、インクを付与した際の液量よりも大きくするのが望ましい。基体の上空に滞留する溶剤の蒸気密度(分圧)が、インクを乾燥させた時の溶媒の蒸気密度(分圧)よりも大きくなるようにして、溶剤を付与して再溶解させた後の乾燥過程におけるコーヒーリング効果を弱めるためである。
また、基体の中央部に位置する画素部よりも周辺部に位置する画素部の方が付与する液量が大きくなるように溶剤の吐出量を制御するのが望ましい。基体の各部の上空に滞留する溶剤の蒸気密度(分圧)の均一性を高め、溶剤を付与して再溶解させた後の乾燥速度のばらつきを抑制するためである。
尚、基体上の各領域の画素部に対して付与する溶剤の液量については、予めインクを付与したサンプルを作成し、固体層の膜厚分布を計測してそれに応じて溶剤の付与量を決定し、制御部14に記憶させておけばよい。あるいは、膜厚分布を計測する代わりに有機EL素子の各画素の輝度分布を計測し、それに応じて溶剤の付与量を決定し、制御部14に記憶させてもよい。
あるいは、予め溶剤量を変えて種々のサンプルを作成し、再溶解後に乾燥して形成された固体層の膜厚を計測し、最適な膜厚に対応する溶剤量を選んで決定すればよい。そして、決定したサイズの液滴を吐出させるためのインクジェットヘッド61の駆動条件を、制御部14に記憶させておけばよい。
本実施形態によれば、インクを付与して乾燥させた後、コーヒーリング効果が発現した強さに応じた量の溶媒を各画素部に追加的に付与して再溶解させ、蒸発速度を遅く、しかも均一にして乾燥させることで、各画素部の固体層の形状を整形する。このため、インクジェット法を用いて基板上に多数の有機EL素子を形成する際に、素子毎の固体層の厚さのばらつきを抑制することが可能である。
また、本実施形態では、特開2005-259716号公報に記載されたダミー塗布領域を表示画素が配置された領域の周囲に設ける必要がないため、図8に示す額縁部分4C(表示画素が設けられていない部分)を極めて小さくすることができる。したがって、基板の大型化や重量増加をもたらすことなく、輝度むらや発光色むらが抑制された表示装置を作成することができる。
[実施形態3]
実施形態1および実施形態2においては、機能素子(画素)を形成するためにインクを付与して乾燥させた後、一部または全部の画素部に溶剤を付与して固体層を再溶解させ、コーヒーリング効果を抑制するように蒸発速度を遅くして固体層の形状を整形した。
これに対して、実施形態3では、機能素子(画素)を形成するためのインクを付与した後、乾燥が完了する前に溶剤を追加的に付与してバンクで囲まれた領域内に溶媒を補充し、乾燥速度を低下させ、コーヒーリング効果の発現を抑制する。
実施形態3においても、図5(b)を参照して説明した工程までは実施形態1と同一であるため、実施形態1と共通する部分については、説明を省略する。
インクを付与した後、乾燥が完了する前に、一部または全部の画素部にインクジェットヘッド61のノズル7から溶剤を付与してゆく。溶剤の液量は、すでに付与されたインクに溶剤を追加してもバンクで囲まれた領域(槽)から溢れない量とする。溶剤を追加的に付与することにより、基体の上空に滞留する溶剤の蒸気密度(分圧)が大きくなるようにして乾燥速度を低下させ、コーヒーリング効果の発現を弱めるためである。
また、基体の中央部に位置する画素部よりも周辺部に位置する画素部の方が付与する液量が大きくなるように溶剤の吐出量を制御するのが望ましい。基体の各部の上空に滞留する溶剤の蒸気密度(分圧)の均一性を高め、溶剤を付与した後の乾燥速度のばらつきを抑制するためである。
本実施形態では、インク付与処理で付与したインクが乾燥する前、すなわち溶媒が完全に蒸発する前に溶剤を付与する。付与したインクが乾燥するのに要する時間をデータとして予め制御部14に記憶させておき、インクを付与した後の経過時間をタイマーで計測し、乾燥してしまう前に溶剤付与処理を実行すればよい。
尚、基体上の各領域の画素部に対して付与する溶剤の液量については、インクを付与した後に溶剤を追加しないサンプルを予め作成し、固体層の膜厚分布を計測してそれに応じて溶剤の付与量を決定し、制御部14に記憶させておけばよい。あるいは、膜厚分布を計測する代わりに有機EL素子の各画素の輝度分布を計測し、それに応じて溶剤の付与量を決定し、制御部14に記憶させてもよい。
あるいは、各領域の画素部毎に追加する溶剤量を変えて種々のサンプルを作成し、乾燥して形成された固体層の膜厚を計測し、最適な膜厚に対応する溶剤量を選んで決定すればよい。そして、決定したサイズの液滴を吐出させるためのインクジェットヘッド61の駆動条件を、制御部14に記憶させておけばよい。
本実施形態によれば、インクを付与した後、乾燥が完了する前に所定量の溶剤を画素部に付与して溶媒を補充し、蒸発速度を遅く、しかも均一にして乾燥させることで各画素部の固体層の形状を均一にする。このため、インクジェット法を用いて基板上に多数の有機EL素子を形成する際に、素子毎の固体層の厚さのばらつきを抑制することが可能である。
また、本実施形態では、特開2005-259716号公報に記載されたダミー塗布領域を表示画素が配置された領域の周囲に設ける必要がないため、図8に示す額縁部分4C(表示画素が設けられていない部分)を極めて小さくすることができる。したがって、基板の大型化や重量増加をもたらすことなく、輝度むらや発光色むらが抑制された表示装置を作成することができる。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、上述した実施形態1~実施形態3に限られるものではなく、本発明の技術的思想内で、適宜変更したり、組み合わせたりすることが可能である。
すでに述べたように、機能素子として有機EL素子を製造する場合には、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層、電極層等をはじめとする機能層の形成において本発明を実施することができる。もちろん、有機EL素子以外の機能素子の製造においても、コーヒーリング効果に起因した固体層の厚みの分布を低減させるために広く適用が可能で、例えば大面積の基板に帯電防止膜や反射防止膜をアレイ状に形成する際にも好適に実施することができる。
また、実施形態1~実施形態3では、基体をステージに固定し、インクジェットヘッドをXY両方向に移動させて走査したが、走査機構はこれに限らない。要は、基体とインクジェットヘッドの相対位置を制御して相対的に走査が可能ならばよいので、例えば主走査方向はインクジェットヘッドを移動させ、副走査方向はステージを移動させて走査する機構であってもよい。
また、走査方法は図7に示した方法には限らず、例えば往路と復路で隣接した列を走査するのではなく、いわゆるインターレースのように隣接列を飛び越して走査してもよい。
また、溶剤を吐出するインクジェットヘッドは、必ずしも機能素子の原材料を付与するためのインクジェットヘッドとユニット化して走査機構を共用しなくてもよい。例えば、実施形態1において図1、図2を参照して説明したインクジェット装置に、独立に走査可能な溶剤用のインクジェットヘッドを追加的に設けてもよい。図10に、かかるインクジェット装置の模式的な平面図を示す。図10においては、実施形態1のインクジェット装置と共通する部分については同一の番号を付しているので、説明を省略する。
本装置では、溶剤を付与するためのインクジェットヘッド206を備え、インクジェットヘッド206には基体表面と対向する向きにノズル207が配置されている。本実施形態では、図10に示すようにインクジェットヘッド206は2個のノズル207を備えているが、ノズル207の数や配置はこれに限られるものではない。
インクジェットヘッド206は、インクジェットヘッドユニット6の走査機構とは独立した別の走査機構により支持されており、基体表面からZ方向に所定間隔だけ離れた高さで、ノズル207をXY平面と平行な面内で走査できる。すなわち、210は主走査方向(X方向)に沿って伸びる主走査ガイドレールであり、主走査ガイドレール210にはX方向に移動自在な主走査器223が載置されている。また、220は副走査方向(Y方向)に沿って伸びる副走査ガイドレールであり、副走査ガイドレール220にはY方向に移動自在な副走査器221が載置されている。インクジェットヘッド206は副走査器221に固定されており、副走査ガイドレール220は主走査器223に固定されているため、インクジェットヘッド206はXY平面と平行な面内を自在に走査することができる。溶剤専用のインクジェットヘッド206を、機能素子の原材料を付与するためのインクジェットヘッドと独立して走査可能な構成とすることにより、溶剤を適切なタイミングで適切な位置に付与することができる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおけるプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
1・・・インクジェット装置/3・・・ステージ/4・・・基体/5・・・基体表面/6・・・インクジェットヘッドユニット/7・・・ノズル/10・・・主走査ガイドレール/20・・・副走査ガイドレール/14・・・制御部/49・・・バンク/51・・・インク/70・・・固体層/71・・・液/81・・・溶剤

Claims (16)

  1. 基体の上に複数の機能素子を形成するインクジェット装置であって、
    前記基体がセットされるステージと、
    前記基体の機能素子形成部に第1の液を吐出する第1のインクジェットヘッドと、
    前記ステージの上で前記第1のインクジェットヘッドを走査する第1の走査機構と、
    前記機能素子形成部に第2の液を吐出する第2のインクジェットヘッドと、
    前記ステージの上で前記第2のインクジェットヘッドを走査する第2の走査機構と、
    を備え、
    前記第2のインクジェットヘッドを前記第1のインクジェットヘッドから独立して走査可能である、
    ことを特徴とするインクジェット装置。
  2. 記機能素子形成部に、前記第1のインクジェットヘッドを用いて前記第1の液を付与する第1の付与処理と、
    前記第1の付与処理により前記第1の液が付与された前記機能素子形成部に、前記第2のインクジェットヘッドを用いて前記第2の液を付与する第2の付与処理と、
    を実行する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット装置。
  3. 前記第1の走査機構は、前記第1のインクジェットヘッドを主走査方向および副走査方向に移動させ、
    前記第2の走査機構は、前記第2のインクジェットヘッドを前記主走査方向および前記副走査方向に移動させる、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット装置。
  4. 前記第1の走査機構は、
    第1の主走査ガイドレールと、
    前記第1の主走査ガイドレールに載置され、前記主走査方向に移動する第1の主走査器と、
    第1の副走査ガイドレールと、
    前記第1の副走査ガイドレールに載置され、前記副走査方向に移動する第1の副走査器と、
    を含み、
    前記第1のインクジェットヘッドは前記第1の主走査器に固定されており、
    前記第1の主走査ガイドレールは前記第1の副走査器に固定されており、
    前記第2の走査機構は、
    第2の主走査ガイドレールと、
    前記第2の主走査ガイドレールに載置され、前記主走査方向に移動する第2の主走査器と、
    第2の副走査ガイドレールと、
    前記第2の副走査ガイドレールに載置され、前記副走査方向に移動する第2の副走査器と、
    を含み、
    前記第2のインクジェットヘッドは前記第2の副走査器に固定されており、
    前記第2の副走査ガイドレールは前記第2の主走査器に固定されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット装置。
  5. 前記ステージに対する平面視において、
    前記第1の副走査ガイドレールと前記第2の副走査ガイドレールとが前記主走査方向に並んでおり、
    前記第1の主走査ガイドレールと前記第2の主走査ガイドレールとが前記副走査方向に並んでいる、
    ことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット装置。
  6. 前記第1の液は、前記機能素子の材料を含み、
    前記第2の液は、前記材料の溶剤を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  7. 前記第1の液に含まれる材料と異なる材料を含む第3の液を吐出する第3のインクジェットヘッドを備え、
    前記第1の走査機構は、前記第1のインクジェットヘッドおよび前記第3のインクジェットヘッドを有するインクジェットユニットを走査する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  8. 前記第1の液に含まれる材料および前記第3の液に含まれる材料と異なる材料を含む第4の液を吐出する第4のインクジェットヘッドを備え、
    前記第1の走査機構は、前記第1のインクジェットヘッド、前記第3のインクジェットヘッドおよび前記第4のインクジェットヘッドを有するインクジェットユニットを走査する、
    ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット装置。
  9. 前記第1の付与処理で付与した前記第1の液が乾燥した後に、前記第2の付与処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット装置。
  10. 前記第1の付与処理で付与した前記第1の液が乾燥する前に、前記第2の付与処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット装置。
  11. 前記第2の付与処理において、前記基体に設けられた複数の機能素子形成部のうち、前記基体の周辺部に配置された機能素子形成部に前記第2の液を付与する、
    ことを特徴とする請求項2または9または10のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  12. 前記第2の付与処理において、前記基体に設けられた複数の機能素子形成部の全てに前記第2の液を付与する、
    ことを特徴とする請求項2または9または10のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  13. 前記第2の液は、前記第1の液の溶媒成分の少なくとも一部の種類を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至12の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット装置を用いた有機EL素子の形成方法であって、
    前記第1の液は、有機EL素子を構成する機能層の材料を含む、
    ことを特徴とする有機EL素子の形成方法。
  15. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット装置を用いた機能素子の形成方法であって、
    各々がバンクで囲まれた複数の機能素子形成部を有する基体を用意し、
    前記複数の機能素子形成部の各々に機能素子を形成する、
    ことを特徴とする機能素子の形成方法。
  16. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット装置を用いた表示装置の製造方法。
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