JP7320545B2 - 建物 - Google Patents
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Description
また、可搬式の居室用箱体の内部空間を3つの部屋に仕切って、一端側の部屋を医療スタッフ室、他端側の部屋を患者待機室、中間側の部屋を対処室として構成し、患者待機室内が陰圧に維持されるように設計された可搬式感染症対策室装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の装置においては、医療スタッフが待機する医療スタッフ室に対しての対処室内の空気の侵入を防止できるとともに、医療スタッフが出入りして患者の診察や治療等の対処を行う対処室に対しての患者待機室内の空気の侵入を防止できるので、これらの空気に含まれる感染症原因物質による感染を確実に防止することができる。
平常時はデスクワークが可能な寝室として使用され、非常時は療養者が使用する療養エリア32(部屋32)と、
非常時は主に療養者以外の者が使用する生活エリアZ(スペースZ)と、
前記療養エリア32及び前記生活エリアZの双方から行き来が可能な中間エリア32a(中間室32a)と、を備えており、
前記療養エリア32及び前記中間エリア32aは、同一の外壁に沿って設けられており、
前記中間エリア32aには、当該中間エリア32aを換気する局所換気装置38と、前記外壁に形成された自然給気口38aと、トイレ及び洗面台と、が設けられており、
前記中間エリア32aと前記生活エリアZとの間に位置して前記外壁に直交する壁に形成された開口部には、開閉可能な戸32b(引戸32b)が設けられており、
前記療養エリア32には、当該療養エリア32を換気する空調換気装置37が設けられており、
前記生活エリアZには、当該生活エリアZを換気する換気システムが設けられており、
前記換気システムは、前記生活エリアZを陽圧にする陽圧運転モードで運転可能であることを特徴とする。
また、生活エリアZを換気する換気システムは、生活エリアZを陽圧にする陽圧運転モードで運転可能であるので、当該換気システムを陽圧運転モードで稼働させることで、療養エリア32及び中間エリア32aが陰圧室として機能することとなる。すなわち、換気システムのモードを陽圧運転モードに切り替えるだけで、療養エリア32内の空気が、生活エリアZ内に流入することを抑制することができる。したがって、非常時には、特別な設備を導入しなくても、感染症患者を療養エリア32に隔離して、換気システムのモードを陽圧運転モードに切り替えるだけで、家庭内感染の発生を防止することができる。
さらに、中間エリア32aは、療養エリア32から直接行き来が可能であり、当該中間エリア32aには、トイレ及び洗面台が設けられている。したがって、療養エリア32で療養する療養者は、陰圧室として機能する空間から出ることなくトイレ及び洗面台を使用できるので、家庭内感染の発生を防止することができる。
また、中間エリア32aは、療養エリア32及び生活エリアZの双方から直接行き来が可能であるので、療養エリア32を通過しなくても中間エリア32aのトイレ及び洗面台を使用することができる。したがって、平常時には、中間エリア32aのトイレを、住人全員の共用トイレとして使用できるので、使い勝手が良く、快適な居住環境を形成することができる。
また、中間エリア32a(中間室32a)と生活エリアZ(スペースZ)との間に位置する壁に形成された開口部には、開閉可能な戸32b(引戸32b)が設けられているので、当該開口部を閉塞することができる。換気システムが陽圧運転モードで稼働しているときに、中間エリア32aと生活エリアZとを連通する開口部を閉塞することで、生活エリアZの内部と、療養エリア32(部屋32)及び中間エリア32aの内部と、の圧力差が増大する。すなわち、戸32bを閉めることで、生活エリアZ内の陽圧度が高くなるので、家庭内感染の発生を効率よく防止することができる。
前記生活エリアZ(スペースZ)のうち前記療養エリア32(部屋32)と同じフロアには、前記中間エリア32a(中間室32a)との間で行き来が可能であり、非常時に療養者及び療養者以外の者の双方が使用する共用空間29(ホール29)が設けられており、
前記共用空間29には、エレベーター25と、階段26と、が設置されていることを特徴とする。
前記生活エリアZ(スペースZ)のうち前記療養エリア32(部屋32)と同じフロアには、前記中間エリア32a(中間室32a)との間で行き来が可能でなく、非常時に療養者以外の者が使用する専用空間30,31(主寝室30、居室31)が設けられており、
前記生活エリアZのうち前記療養エリア32と異なるフロアには、浴室が設けられていることを特徴とする。
前記生活エリアZ(スペースZ)のうち前記療養エリア32(部屋32)と異なるフロアには、トイレ及び洗面台が設けられていることを特徴とする。
また、中間エリア32aのトイレ及び洗面台と、生活エリアZのトイレ及び洗面台と、は異なるフロアに設けられている。したがって、平常時には、住人は、どちらを使用するか選択できるので、使い勝手が良く、快適な居住環境を形成することができる。
前記生活エリアZ(スペースZ)の容積は、前記療養エリア32(部屋32)の容積と前記中間エリア32a(中間室32a)の容積との和よりも大きく設定されていることを特徴とする。
手摺壁3における西側端部の西側には、横長のルーバー材が上下に連なる格子壁部4が設けられている。また、手摺壁3の下端部には、手摺壁3よりも前方及び側方に張り出す庇5が設けられている。
第一厚型壁体6は、上記の建築用パネル(建築用壁パネル)を四角筒状に組んで構築したものであり、この第一厚型壁体6自体には開口部が形成されていない。
第二厚型壁体7は、上記の建築用パネル(建築用壁パネル)を四角筒状に組んで構築したものである。そして、第二厚型壁体7には、複数の開口部7a,7bが形成されており、これら複数の開口部7a,7bから第二厚型壁体7の内部中空部HPを利用できるようになっている。当該内部中空部HPには、例えばライフライン設備として充電制御装置40や雨水タンク設備41が収納されている(図3参照)。
なお、雨水タンク設備41への雨水の供給は、建物1の屋根から第二厚型壁体7の内部中空部HPに通される配管を通じて行われる。
第三厚型壁体8は、上記の建築用パネル(建築用壁パネル)を四角筒状に組んで構築したものであり、この第三厚型壁体8自体には開口部が形成されていない。
なお、手摺壁3における西側端部は、インナーテラス部9の外壁9aの正面に接続されている。そのため、バルコニー2は、インナーテラス部9を境界に、西側と東側に分割されている。なお、西側のバルコニー2を、以下、第一バルコニー2aと称し、東側のバルコニー2を、以下、第二バルコニー2bと称する。
すなわち、第二厚型壁体7を境にして東側と西側に位置する領域は、この第二厚型壁体7によって概略的に分けられることになる。例えば東側と西側の領域のうち、一方をプライベート性の強い領域とし、他方をパブリック性の強い領域とすれば、第二厚型壁体7による領域分けの特性が際立ち、建物1における外観性を向上できるので好ましい。
第一ポーチ10の奥(北側)には、建物1の玄関21が設けられている。
また、第一ポーチ10の床は、玄関21(北側)から屋外(南側)に向かって下り勾配となるスロープ状に形成されている。そのため、屋外から玄関21に向かうルート上のバリアフリー化が可能となり、人の通行や、車椅子での通行がしやすく、車両も駐車しやすい。
冷却ルーバー装置14は、保水した複数の冷却ルーバー材間を空気が流通したときの気化熱によって周囲の温度を下げるための装置であり、屋外から第一ポーチ10内に空気を取り込むのに合わせて第一ポーチ10内を冷却できるようになっている。
雨水を利用する場合は、建物1の屋根から第二厚型壁体7の内部中空部HPに通され、ポーチ屋根12の内部中空部に通される配管を通じて行われる。すなわち、冷却ルーバー装置14に雨水を供給するための配管は、雨水タンク設備41に雨水を供給するための配管から分岐するものであってもよいし、別々の配管でもよい。また、ポーチ屋根12に降り注いだ雨水も利用することができる。
このように冷却ルーバー装置14への給水に雨水を利用できれば、例えば災害等により水道の断水が発生しても、雨さえ降れば、冷却ルーバー装置14に水を供給することができるので、たとえ断水が発生しても冷却ルーバー装置14に対して給水できるようにしたいという要望に応えることができて災害対応力の向上を図ることができる。
また、建物1の屋根の面積を広くしたり、片流れ式の屋根にしたりすれば、効率よく雨水を収集できるので好ましい。
第二ポーチ11の床面は、床タイルによって仕上げられており、第一ポーチ10の床面よりも高さ位置が高く設定されている。
また、第二ポーチ11の南側縁部には、第二ポーチ11と地面とを繋ぐポーチ階段15と、箱型に形成されて上面が開口した花壇部16と、が設けられている。なお、ポーチ階段15も、第二ポーチ11と同様の床タイルによって仕上げられている。
第二ポーチ11とラウンジ17との間の開口部(出入口)には、扉が設けられている。本実施形態において扉は、自動ドアとされている。
ラウンジ17の奥(北側)には、建物1の玄関21が設けられている。
すなわち、建物1には、当該建物1の1階を東西方向に貫通する連通空間Sが形成されており、この連通空間S内には、西側から、駐車スペースとしての第一ポーチ10、半屋外空間としてのラウンジ17、テナントスペースとしての大空間室18が連続して配置されている。
中央第二開口部17bに設けられたガラス戸は、複数の折戸を備えている。ただし、これに限られるものではなく、引戸や引き違い戸でもよいし、開き戸でもよい。更には、自動開閉式でもよいし、手動開閉式でもよい。中央第二開口部17bにおけるガラス戸は、人の行き来が可能なものであり、ガラス戸を開け放てば、当然、空気の流通や物品の受け渡しも可能となっている。
東側開口部18aは、第一厚型壁体6の北端部から収納室19の東側に位置する外周壁にかけて幅広に形成されている。
そして、このような東側開口部18aと、西側開口部13a、中央第一開口部17a、中央第二開口部17bは、開口幅が等しく設定されている。さらに、西側開口部13a、中央第一開口部17a、中央第二開口部17b、東側開口部18aは、上端部の高さ位置も等しく設定されている。また、下端部の高さ位置については、西側開口部13aは他よりも上方に位置しているが、中央第一開口部17a、中央第二開口部17b、東側開口部18aは、下端部の高さ位置も等しく設定されている。
この収納室19は、天井高が0.8~1.4メートルに設定された低天井収納空間である。この0.8m~1.4mの天井高とは、人が収納室19に入って、何とか作業ができる最低限の高さを確保するための高さ範囲であり、かつ、このように天井高を必要最小限に抑えることで、建物1の高さが高くなることによって隣接する建物に及ぼす日照減少等の影響を極力少なくすることができる高さ範囲である。
サブ空間は、壁によってメイン空間と区切られない空間である。すなわち、大空間室18は、メイン空間と、このメイン空間と連続するサブ空間と、を有して平面視略L字型に形成されている。なお、サブ空間の南側に位置する壁には、複数の掃き出し窓と、これら複数の掃き出し窓の上方に位置する高窓が設けられた大開口部が形成されている。
小部屋20は、壁20a,20bによって大空間室18におけるメイン空間及びサブ空間と区切られており、大空間室18に付属している。一方の壁20aは、平面視においてL字型に形成され、メイン空間に面するとともに第二厚型壁体7に対向して設けられている。他方の壁20bは、第一厚型壁体6に対向して設けられている。
なお、大空間室18のうちメイン空間の天井は、部分的に天井高の高い折り上げ天井とされており、サブ空間や小部屋20の天井高よりも高く設定されている。
なお、テナントスペースとは、従業者が仕事を行う場所を指し、大空間室18のメイン空間だけでなく、サブ空間、収納室19、小部屋20もテナントスペースに含まれるものとする。
また、大空間室18のメイン空間における北側の壁面には、壁付けの複数の家具が設けられているが、これら複数の家具の間に位置する壁面には鏡18bが設けられている。大空間室18の内部の景色を鏡18bに映し出すことにより、大空間室18を更に広い空間に見せることができる。
建物1における1階部分のうち住人用スペースとされた領域には、第一ポーチ10及びラウンジ17の北側に位置する上記の玄関21が設けられている。
第一玄関開口部21aには、引戸又は引き違い戸が設けられ、第二玄関開口部21bには引戸が設けられている。
玄関21の床面は、第一ポーチ10の床面よりも上方に位置するとともに、ラウンジ17の床面と連続し、ラウンジ17の床面と同様の床タイルによって仕上げられている。
宅配ボックス22の北側には、玄関21の北側を回り込むようにしてシューズクローク23が設けられている。
玄関21の北側であって、かつシューズクローク23の東側には、ホール24が設けられ、このホール24は、東側に伸びている。
そして、ホール24の先には、1.5階及び2階に上がるためのエレベーター25と、1.5階及び2階に上がるための階段26と、エレベーター25及び階段26の裏側(東側)に回り込む収納室27と、が設けられている。収納室27は、開口していない壁を介して上記の収納室19と東西に隣接し、当該収納室19と同様、天井高が0.8~1.4メートルに設定されている。
居室31の南側には、上記のバルコニー2及びインナーテラス部9が設けられている。インナーテラス部9は、居室31からバルコニー2側に突出した位置に配置されており、居室31と連続する屋内空間として用いられている。
第一バルコニー2aは、上記の格子壁部4の内側に位置しており、屋外からの空気を取り込みやすくなっている。なお、格子壁部4に替えて、冷却ルーバー装置を設置してもよいものとする。
また、第一バルコニー2aの西側には、上記の第二厚型壁体7が設けられており、更にその西側には、ドローンの発着場となるドローンポートDPが設けられている。
部屋32とホール29との間に位置する中間室32aには、トイレ及び洗面台が設けられている。この中間室32aは、部屋32の前室として用いられている。
すなわち、ポーチ屋根12の上方である屋外空間と吹抜部17Vとの間に設けられた壁33は、排気用壁33とされている。
このような厚型壁体は、外周壁の一部として、開口を有する外壁(例えば東側開口部18aが形成された壁など)よりも外方に位置して設けられている。
また、厚型壁体は、建物から敷地外に向かって突出し、上記の開口を有する外壁よりも開口が少なく、かつ厚さが厚く形成されている。さらに、平面視においては建物の間口方向と直交する方向に長く形成されている。
なお、本実施形態においては、第一厚型壁体6及び第三厚型壁体8を含む、建物1の東西側面に位置する外周壁(東側開口部18aが形成された壁を除く)が、厚みが厚く形成されている。
また、玄関21周りの壁と、小部屋20の一方の壁20aも、平面視において厚みが厚く形成されている。
建物1は、住人用スペースを換気する換気設備として、部屋32を換気する空調換気装置37と、中間室32aを換気する局所換気装置38と、住人用スペースのうち部屋32及び中間室32aを除くスペースZ(以下、単に「スペースZ」ともいう)を換気する図示しないセントラル換気システムと、を備えている。なお、テナントスペースやラウンジ17は、上記のセントラル換気システムで換気するようにしてもよいし、専用の換気システムで換気するようにしてもよい。
さらに、空調換気装置37は、室内から屋外へ排出される室内空気と、屋外から室内へ導入される外気と、を全熱交換させる全熱交換器を備えている。これにより、部屋32を換気することによる部屋32内の温度変化を抑制可能となっている。
中間室32aは、東西方向よりも南北方向に長く形成されている。そして、局所換気装置38が設置されているトイレは、中間室32a内における南側部分に設けられており、自然給気口38aは、中間室32aを形成する壁のうちの北側の壁に設けられている。したがって、局所換気装置38を稼働させると、中間室32a内において、空気が北側から南側へと中間室32aの長尺方向に沿って流れることとなる。
なお、自然給気口38aは設けられていなくてもよい。その場合、局所換気装置38のファンが回転することで、ホール29や部屋32から中間室32aへと空気が移動するとともに、上記の排気用ダクトを介して中間室32a内の空気が屋外へと移動することとなる。
なお、中間室32aとホール29とを連通する開口部を開閉する戸として、引戸32bを設けたが、これに限られるものではなく、引き違い戸でもよいし、開き戸でもよいし、折戸でもよい。
なお、中間室32aと部屋32とを連通する開口部を開閉する戸として、引戸32cを設けたが、これに限られるものではなく、引き違い戸でもよいし、開き戸でもよいし、折戸でもよい。
さらに、このセントラル換気システムは、室外に排出される空気と、室内に供給される空気と、の間で熱交換をする熱交換部を備えている。これにより、スペースZを換気することによるスペースZ内の温度変化を抑制可能となっている。すなわち、室内(スペースZ内)を暖房した状態においては、熱交換部によって、室外に排出される暖かい空気から、室内に吸い込まれる冷たい空気へと熱が移動するので、室内には、室外よりも温度が高い空気が送られることとなり、暖房状態における熱効率の低下を抑えることができる。これとは逆に、室内(スペースZ内)を冷房した状態においては、熱交換部によって、室内に吸い込まれる暖かい空気から、室外に排出される冷たい空気へと熱が移動するので、室内には、室外よりも温度が低い空気が送られることとなり、冷房状態における熱効率の低下を抑えることができる。
また、療養者が中間室32aのトイレを利用する等して、中間室32aに病原体が侵入しても、局所換気装置38によって中間室32aを換気することで、中間室32a内の病原体濃度が下がるので、家庭内での感染リスクを効果的に低減することができる。
また、中間室32aは、居室31や主寝室30と同じフロアに配置されている。したがって、平常時には、中間室32aのトイレを、住人全員の共用トイレとして使用することで、エレベーター25や階段26を使うことなく、居室31からトイレへと行くことが可能となるので、使い勝手が良い。
浴室は陽圧ゾーン(家族の居住ゾーン)の一部であるので、療養者が浴室を使用しているときは、療養者は、陰圧ゾーンに居ない状態となる。例えば、療養者が浴室を使用しているときに、療養者以外の者が浴室に近づかないように気を付けても、浴室が、居室31や主寝室30と同じフロアにある場合には、療養者以外の者が、陰圧ゾーンに居ない状態の療養者と同じフロアに滞在することとなる時間が長くなり、家庭内での感染リスクが高くなる。これに対し、本実施形態のように、浴室が、療養者以外の者が比較的長時間滞在する空間(居室31や主寝室30)と異なるフロアにある場合には、療養者以外の者が、浴室に居る療養者(陰圧ゾーンに居ない状態の療養者)と同じフロアに滞在する状態となることを回避することができるので、家庭内での感染リスクが低減する。
このように、本実施形態では、陰圧ゾーンと同じフロアに配置する共用エリアを必要最低限に抑えることで、家庭内での感染リスクの更なる低減を図っている。
一方、療養者以外の者がお風呂に入る際には、居室31を出てホール29を通って階段26まで移動し、階段26で1.5階に下りて水廻り室28に入って浴室を使用する。そして、お風呂から上がると、水廻り室28を出て階段26まで移動し、階段26で2階に上がってホール29を通って居室31や主寝室30に戻ることができる。
一方、療養者以外の者が外出する際には、居室31を出てホール29を通って階段26まで移動し、階段26で1階に下りてホール29を通って玄関21から出る。そして、療養者以外の者が帰宅した際には、玄関21から入ってホール24を通って階段26まで移動し、階段26で2階に上がってホール29を通って居室31や主寝室30に戻ることができる。
また、生活エリアZを換気する換気システム(セントラル換気システム)は、生活エリアZを陽圧にする陽圧運転モードで運転可能であるので、当該換気システムを陽圧運転モードで稼働させることで、療養エリア32及び中間エリア32aが陰圧室として機能することとなる。すなわち、換気システムのモードを陽圧運転モードに切り替えるだけで、療養エリア32内の空気が、生活エリアZ内に流入することを抑制することができる。したがって、非常時には、特別な設備を導入しなくても、感染症患者を療養エリア32に隔離して、換気システムのモードを陽圧運転モードに切り替えるだけで、家庭内感染の発生を防止することができる。
さらに、中間エリア32aは、療養エリア32から直接行き来が可能であり、当該中間エリア32aには、トイレ及び洗面台が設けられている。したがって、療養エリア32で療養する療養者は、陰圧室として機能する空間から出ることなく(すなわち生活エリアZを通過することなく)トイレ及び洗面台を使用できるので、家庭内感染の発生を防止することができる。
また、中間エリア32aは、療養エリア32及び生活エリアZの双方から直接行き来が可能であるので、療養エリア32を通過しなくても中間エリア32aのトイレ及び洗面台を使用することができる。したがって、平常時には、中間エリア32aのトイレを、住人全員の共用トイレとして使用できるので、使い勝手が良く、快適な居住環境を形成することができる。
なお、浴室は、複数か所に設けられていてもよい。具体的には、例えば、浴室は、水廻り室28と中間室32aとの2か所に設けられていてもよい。この場合、非常時には、中間室32aの浴室を療養者が使用して、生活エリアの浴室(水廻り室28の浴室)を療養者以外の者が使用するといったような使い分けができ、療養者の生活動線と療養者以外の者の生活動線とを分けることが可能となるので、家庭内感染の発生を防止することができる。
また、中間エリア32aのトイレ及び洗面台と、生活エリアZのトイレ及び洗面台(水廻り室28のトイレ及び洗面台)と、は異なるフロアに設けられている。したがって、平常時には、住人は、どちらを使用するか選択できるので、使い勝手が良く、快適な居住環境を形成することができる。
なお、中間室32aと生活エリアZとの間に設けられた戸32bは、引戸に限定されず、引き違い戸でもよいし、開き戸でもよいし、折戸でもよい。
本実施形態では、住人用スペースのうち、療養エリア32と異なるフロアに配置されている空間(1.5階の空間(水廻り室28等)、1階の一部の空間(ホール24、玄関21等))も、生活エリアZ(スペースZ)に含めることとしたが、これに限定されない。すなわち、生活エリアZ(スペースZ)と称する空間は、住人用スペースのうち、療養エリア32及び中間エリア32aを除く空間であって、療養エリア32と同じフロアに配置されている空間(ホール29、主寝室30、居室31)のみであってもよい。
また、壁36の開口部に開閉可能な窓を設ける場合には、当該窓の外(ラウンジ17側)に、例えば螺旋階段や梯子等の昇降手段を設けてもよい。これにより、住人は、当該昇降手段を用いることで、部屋32と住人用スペース外(ラウンジ17)との間を直接行き来できることとなる。さらに、非常時には、療養者は、当該昇降手段を用いることで、生活エリアZ(スペースZ)を通過することなく外出できることとなるので、家庭内感染の発生を効率よく防止することが可能となる。
25 エレベーター
26 階段
29 ホール:共用空間
30 主寝室:専用空間
31 居室:専用空間
32 部屋:療養エリア
32a 中間室:中間エリア
32b 引戸:戸
37 空調換気装置
38 局所換気装置
Z スペース:生活エリア
Claims (5)
- 平常時はデスクワークが可能な寝室として使用され、非常時は療養者が使用する療養エリアと、
非常時は主に療養者以外の者が使用する生活エリアと、
前記療養エリア及び前記生活エリアの双方から行き来が可能な中間エリアと、を備えており、
前記療養エリア及び前記中間エリアは、同一の外壁に沿って設けられており、
前記中間エリアには、当該中間エリアを換気する局所換気装置と、前記外壁に形成された自然給気口と、トイレ及び洗面台と、が設けられており、
前記中間エリアと前記生活エリアとの間に位置して前記外壁に直交する壁に形成された開口部には、開閉可能な戸が設けられており、
前記療養エリアには、当該療養エリアを換気する空調換気装置が設けられており、
前記生活エリアには、当該生活エリアを換気する換気システムが設けられており、
前記換気システムは、前記生活エリアを陽圧にする陽圧運転モードで運転可能であることを特徴とする建物。 - 請求項1に記載の建物において、
前記生活エリアのうち前記療養エリアと同じフロアには、前記中間エリアとの間で行き来が可能であり、非常時に療養者及び療養者以外の者の双方が使用する共用空間が設けられており、
前記共用空間には、エレベーターと、階段と、が設置されていることを特徴とする建物。 - 請求項1又は2に記載の建物において、
前記生活エリアのうち前記療養エリアと同じフロアには、前記中間エリアとの間で行き来が可能でなく、非常時に療養者以外の者が使用する専用空間が設けられており、
前記生活エリアのうち前記療養エリアと異なるフロアには、浴室が設けられていることを特徴とする建物。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の建物において、
前記生活エリアのうち前記療養エリアと異なるフロアには、トイレ及び洗面台が設けられていることを特徴とする建物。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の建物において、
前記生活エリアの容積は、前記療養エリアの容積と前記中間エリアの容積との和よりも大きく設定されていることを特徴とする建物。
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