以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は本発明の実施形態に係る撮像装置の中央断面図であり、図1(b)は撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。
撮像装置は、カメラ本体1(撮像装置本体)と、カメラ本体1に装着された撮影レンズ2(レンズ鏡筒)を有する。ここでは、撮影レンズ2とカメラ本体1とは機械的に着脱可能であり、機械的に結合された状態では、電気接点11において電気的にも接続される。なお、これに限られず、撮影レンズ2はカメラ本体1と一体的に(着脱不可に)構成されていてもよい。
撮影レンズ2は、複数のレンズからなる撮影光学系3と、撮影光学系3を構成するフォーカスレンズやズームレンズ等の各種レンズや不図示の絞りを駆動するレンズ駆動部13と、レンズ駆動部13の動作を制御するレンズシステム制御部12を有する。カメラ本体1は、カメラシステム制御部5、撮像素子6、画像処理部7、記憶部8、表示部9、操作検出部10、ブレ補正ユニット14、ブレ検知部15、シャッタユニット16及びシャッタ駆動部17を有する。表示部9は、背面表示装置9aとEVF9bを含む。
説明の便宜上、図1(a)に示すように、撮像装置に対して互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を規定する。Z軸は、撮影レンズ2の光軸と平行な軸であり、撮像素子6の受光面(撮像面)と略直交する軸である。X軸は、Z軸が水平方向と平行であるときに、水平面内でZ軸と直交する軸である。Y軸は、Z軸が水平方向と平行であるときに、鉛直方向と平行な軸である。
撮影光学系3を通過した光束は撮像素子6に結像し、撮像素子6は光電変換により光学像を電気信号に変換して画像処理部7へ出力する。その際、撮像素子6によりピント評価量と適当な露光量を得ることができ、得られた各量に基づいて適切に撮影光学系3が調整されることで、適切な光量の物体光が撮像素子6に露光される。また、シャッタユニット16がシャッタ幕を走行させることにより、撮像素子6への露光量が制御される。シャッタユニット16の駆動は、カメラシステム制御部5からの命令に従うシャッタ駆動部17により制御される。
画像処理部7は、内部にA/D変換器、ホワイトバランス調整回路、ガンマ補正回路、補間演算回路等を有しており、記憶用画像(映像)のデジタルデータを生成する。なお、画像処理部7は色補間処理回路を有しており、色補間処理回路はベイヤ配列の信号から色補間(デモザイキング)処理を施してカラー画像を生成する。また、画像処理部7は、所定の方法を用いて画像データ、動画データ、音声データの圧縮を行う。記憶部8は、カメラシステム制御部5が実行するプログラム等を格納するEEPROM等の半導体記憶装置や、画像処理部7が生成した各種データを格納するメモリカード等を含む。
操作検出部10は、カメラ本体1に設けられた種々の操作部材に対する操作を検出し、検出結果をカメラシステム制御部5へ通知する。カメラシステム制御部5は、操作検出部10からの通知に対応する処理を実行する。例えば、操作検出部10に含まれるレリーズボタンが押下されると、カメラシステム制御部5は、撮像準備処理、撮像処理、画像処理、記憶処理といった一連の周知の撮像動作が実行される。
背面表示装置9aは、被写体像、撮影画像、撮像装置の設定情報等の各種の情報を表示する。なお、背面表示装置9aはタッチパネルになっており、操作検出部10の1つとしてタッチ操作を検出する機能を有する。撮影者(ユーザ)は、EVF9aを覗くことで、被写体像を確認することができる。
ブレ検知部15は、振動ジャイロ等のセンサを有し、X軸まわり、Y軸まわり及びZ軸まわりの回転を含むカメラ本体1の回転ブレを検知し、ブレ検知結果をカメラシステム制御部5へ送信する。カメラシステム制御部5は、ブレ検知部15からのブレ検知結果に基づいて、検知されたブレが相殺されるようにブレ補正ユニット14の駆動を制御することにより、撮像素子6を光軸(Z軸)と直交する方向(X方向、Y方向)に駆動する。ブレ補正ユニット14は、撮像素子6を光軸と直交する平面内(XY面内)に並進させ、且つ、光軸まわり(Z軸まわり)に回転させることができるように構成されている。
カメラシステム制御部5は、撮像装置を構成する各部の動作を統括的に制御することにより、撮像装置の全体的な制御を行う。また、カメラシステム制御部5は、電気接点11を介してレンズシステム制御部12に指令を送信する。レンズシステム制御部12は、カメラシステム制御部5からの指令に従ってレンズ駆動部13を駆動し、その結果(撮影レンズ2での動作情報等)をカメラシステム制御部5へ送信する。
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係るブレ補正ユニット14について説明する。図2(a)はブレ補正ユニット14の外観斜視図であり、図2(b)はブレ補正ユニット14の分解斜視図である。図3(a)はブレ補正ユニット14の上面図であり、図3(b)は図3(a)に示す矢視A-Aでのブレ補正ユニット14の断面図である。ブレ補正ユニット14は撮像素子6を光軸と直交する平面内で移動させるため、図3及び図3には撮像素子6を併記している。なお、図3及び図3に不図示の撮影レンズ2は、Z軸正方向側に配置されている。
ブレ補正ユニット14は、大略的に、可動部50、上面固定部60及び下面固定部70から構成されている。可動部50は、上面固定部60及び下面固定部70に対して光軸と直交する平面内で移動可能に、上面固定部60と下面固定部70に支持されている。
撮像素子6は可動部50に含まれる。可動部50は、可動枠51、コイル53a,53b,53c、磁気センサ54a,54b,54c、FPC55(フレキシブルプリント基板)及び遮蔽部材56を有する。上面固定部60は、上面ヨーク61と、永久磁石である磁石62a,62b,62c,62d,62e,62fを有する。下面固定部70は、ベース板71、ボール転動面72a,72b,72c、メインスペーサ73a,73b,73c、サブスペーサ74a,74b,74c及び下面ヨーク75を有する。更に下面固定部70は、永久磁石である磁石76a,76b,76c,76d,76e,76fと、転動ボール77a,77b,77cを有する。
上面固定部60の上面ヨーク61及び磁石62a~62fと下面固定部70の下面ヨーク75及び磁石76a~76fとが磁気回路(、所謂、閉磁路)を形成している。磁石62a~62fはそれぞれ、上面ヨーク61に吸着した状態で接着固定されている。同様に、磁石76a~76fはそれぞれ、下面ヨーク75に吸着した状態で接着固定されている。磁石62a~62f,76a~76fはそれぞれ光軸方向(Z軸方向)に着磁されている。具体的には、隣接する磁石同士の各組[磁石62a,磁石62b]、[磁石62c,磁石62d]、[磁石62e,磁石62f]、[磁石76a,磁石76b]、[磁石76c,磁石76d]、[磁石76e,磁石76f]で互いに異なる向きに着磁されている。一例として、図3(b)に示す磁石62e,62f,76e,76fに着磁方向を示す記号S,Nが示されており、隣接する磁石62e,62fで着磁方向が異なる向きとなっており、磁石76e,76fで着磁方向が異なる向きとなっていることがわかる。一方、Z軸方向で対向するように配置される磁石同士は同じ向きに着磁されている。例えば図3(b)に示すように、磁石62e,76eで着磁方向が同じ向きであり、磁石62f,76fで着磁方向が同じ向きとなっていることがわかる。同様のことが、磁石62a,76a、磁石62b,76b、磁石62c,76c、磁石62d,76dの各組み合わせについて言える。このような構成により、上面ヨーク61と下面ヨーク75の間に光軸方向に強い磁束密度が生じる。
上面ヨーク61と下面ヨーク75の間は、これらの間に配置されたメインスペーサ73a,73b,73cとサブスペーサ74a,74b,74cにより、所定の間隔に保たれている。可動部50は、上面ヨーク61と下面ヨーク75の間に所定の隙間を持って配置されている。メインスペーサ73a,73b,73cの円筒側面部にはゴムが設置されており、可動部の機械的端部(ストッパ)を形成している。ベース板71と下面ヨーク75は、不図示のビスによって固定されている。磁石76a~76fは、ベース板71よりも厚み方向(Z軸方向)の寸法が大きい。ベース板71には磁石76a~76fを避けるように穴部が設けられている。磁石76a~76fは、Z軸方向において磁石76a~76fの各面がベース板71に設けられた各穴部を通してベース板71から突出するように、下面ヨーク75に固定されている。
可動部50を構成する可動枠51は、アルミダイカスト等の非磁性金属で形成されている。可動枠51に撮像素子6、FPC55及び遮蔽部材56が搭載されている。コイル53a,53b,53cは、FPC55の下面固定部70側(Z軸の負方向側)の面に実装(固定)されており、不図示のコネクタを介して外部との電気的なやり取りを行う。コイル53a~53cは、巻き線による中空部の軸方向が光軸と略平行になっており、撮像素子6に対して略同一平面に配置されている。
磁気センサ54a,54b,54cはそれぞれ、コイル53a,53b,53cの巻き線の内側である中空部内においてFPC55に実装されており、不図示のコネクタを介して外部との電気的なやり取りを行う。例えば、コイル53cの巻き線による中空部内に磁気センサ54cが実装された状態が図3(b)に示されている。磁気センサ54a~54cは、例えばホール素子等であり、前述の磁気回路を利用して可動部50が光軸と直交する平面内で移動した際の位置を検出する。このように、FPC55は、コイル53a~53c及び磁気センサ54a~54cを保持する保持部材として、且つ、コイル53a~53c及び磁気センサ54a~54cとカメラシステム制御部5とを電気的に接続する接続部材としての役割を担う。
FPC55においてコイル53a~53cが実装されている面の反対側の面(上面固定部60側)には、非磁性金属からなる薄い平板状の遮蔽部材56が接着されている。遮蔽部材56は、FPC55と略同等の形状を有しており、光軸方向で投影して見た際にコイル53a~53cの略全面を覆う形状に設計されている。遮蔽部材56には、透磁率が小さく、且つ、導電率の高い材料が好適に用いられ、ここではアルミニウムが用いられている。遮蔽部材56の厚みは、ブレ補正ユニット14のZ軸方向のサイズを考慮すると、0.1mm~0.5mm程度とすることが望ましい。
仮に遮蔽部材56が透磁率の大きい磁性材で構成されていると、上面固定部60と下面固定部70からなる磁気回路の磁場を乱し、コイル53a~53cへの効率的な磁束の到達が妨げられるおそれがある。また、遮蔽部材56の透磁率が大きいと、可動部50が磁石62a~62f,76a~76fからの磁力に引っ張られることによって可動部50の駆動制御が妨げられるおそれがある。このような問題の発生を回避する観点から、遮蔽部材56には透磁率の小さい材料を用いることが望ましい。なお、遮蔽部材56に導電率の大きい材料を用いることが望ましい理由の詳細については後述する。
カメラシステム制御部5による制御下でコイル53a~53cに電流を流すと、フレミング左手の法則に従った力が発生することにより、可動部50を動かすことができる。その際、磁気センサ54a~54cからの出力信号を用いることにより、フィードバック制御を行うことができる。磁気センサ54a~54cからの出力信号の値を適切に制御し、コイル53a~53cに流す電流を制御することにより、可動部50を光軸と直交する平面内で並進移動させ、また、光軸と略平行な軸まわりに回転移動させることができる。例えば、コイル53cに流す電流を制御することにより、可動部50は示すX軸方向に並進移動する。また、コイル53a,53bに流す電流を制御することにより、可動部50をY軸方向に並進移動させ、或いは、光軸と略平行な軸まわりに回転移動させることができる。フィードバック制御を含む制御方法の詳細については、多くの提案がなされており、そのような公知の技術を用いることができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
ブレ補正ユニット14は、コイル53a~53cと磁気センサ54a~54cの実装にFPC55を用いることにより、薄型化(Z軸方向での小型化)を図っている。しかし、FPC55は柔軟性を有するため、コイル53a~53cに電流を流した際にコイル53a~53cが電磁石として働くことでコイル53a~53cが磁石62a~62f,76a~76fに引き寄せられる力を受けることで、FPC55が撓むおそれがある。そのため、磁気センサ54a~54cはそれぞれコイル53a~53cの中空部内に配置されているが、FPC55が撓むと磁気センサ54a~54cが磁石62a~62f又は磁石76a~76fに近付くおそれがある。この場合、可動部50が光軸と略直交する平面内で移動していなくとも磁気センサ54a~54cの出力信号が変化してしまうことで、可動部50の位置を誤検出されてしまう。このような問題に対処するため、FPC55を金属からなる遮蔽部材56と接着することによってFPC55の撓みを防ぐことにより、磁気センサ54a~54cの移動による誤検出の発生を抑制している。
カメラシステム制御部5は、コイル53a~53cに電流を流す際に、高周波信号のパルス幅(デューティ比)を制御することで駆動電圧を制御する、所謂、PWM制御を行う。PWM制御では、コイル53a~53cには、PWM制御での駆動電圧による低周波の直流電流に重畳して、PWM制御の駆動周波数による高周波で振幅の小さい交流電流が流れる。そのため、コイル53a~53cへ電流を流すことによってコイル53a~53cから磁場が発生し、発生した磁場が撮像素子6に到達することによって撮像素子6の映像信号に磁気ノイズを発生させる。特に、PWM制御の駆動周波数に起因する高周波電流の変化によって発生する磁場が撮像素子6の映像信号に影響を与えることが知られている。
図3(b)に示すように、可動枠51に配置される撮像素子6は、基材部6a、チップ部6b及びガラス部6cを有する。チップ部6bは、シリコン層からなり、撮影光学系3からの光が結像する受光面を有し、受光面に結像した光学像を光電変換により電気信号に変換する受光部を有する。また、チップ部6bは、受光部からの信号のやり取りを行う回路が配置されている。チップ部6bのランド部は、不図示のワイヤーボンディングによって、基材部6aに配置された配線層と接続されており、基材部6aの配線層は更に不図示の基板に接続されている。
図3(b)に示すようにブレ補正ユニット14では、コイル53a~53cと撮像素子6は略同一平面に配置することにより、薄型化を図っている。しかしながら、撮像素子6とコイル53a~53cを可動部50において略同一平面上に配置した構成には次のような課題がある。即ち、撮像素子6のチップ部6bにコイル53a~53cから発生する磁場が到達すると、磁気ノイズとして撮像素子6が取得する画像へ影響が現れる。例えば、撮影レンズにコイルを含むブレ補正装置が装備されている場合には、本実施形態と比べるとコイルが撮像素子から離れているため、コイルから発生する磁場の撮像素子への影響は小さい。しかしながら、ブレ補正ユニット14のようにコイル53a~53cと撮像素子6が近接している構成では、コイル53a~53cから発生する磁場の撮像素子6への影響が大きくなり、撮像素子6からの出力信号への磁気ノイズが混入しやすくなる。
そこで、ブレ補正ユニット14では、遮蔽部材56を配置することにより、ブレ補正ユニット14の薄型化を図る共に、コイル53a~53cから発生する磁場の撮像素子6への影響を軽減させる構成を実現している。続いて、図4を参照して、コイル53a~53cから発生する磁場の遮蔽部材56による遮蔽効果について説明する。特に、ブレ補正ユニット14は、PWM制御の駆動周波数に起因する高周波電流の変化によって発生する高周波磁場の撮像素子6への影響を軽減させる効果を奏する。
図4(a)は、図3(b)に示した断面図の要部(図3(b)の左部)を拡大して、コイル53cから発生する磁場を模式的に表した図である。図4(b)は、ブレ補正ユニット14から遮蔽部材56を除いた参考例に係るブレ補正ユニットでのコイル53cから発生する磁場を模式的に表した図である。
図4(a),(b)中の矢印81,82はそれぞれ、コイル53cから発生した磁場(磁束)の流れ(進行方向)を示している。なお、コイル53cから発生する磁場は矢印81,82で示すよりも大量且つ密に発生しているが、撮像素子6への影響を説明するために模式的に1本ずつ示している。
先ず、参考例の構成を表した図4(b)について説明する。コイル53cの中空部の下面側から発生した磁場は矢印82aで示されるように進み、矢印82b,82c,82d,82e,82f,82gで示すように分岐、合流を行い、コイル53cの中空部の上面側(Z軸正方向側)に到達する。このとき、可動枠51は導電性の高いアルミダイカストで構成され、且つ、一定の厚みを有するため、高周波磁場は表皮効果によって可動枠51内を殆ど通過することなく、矢印82b,82fで示されるように可動枠51を避けて進む。
コイル53cと可動枠51の隙間40を通過する磁場は、矢印82bで表されており、矢印82bのように進む磁場は、その先で矢印82cのようにコイル53cの上面側に進むものと、矢印82d,82gのように撮像素子6側に進むものに分岐する。この場合に、矢印82gのように撮像素子6のチップ部6bに到達する磁場が強いと、撮像素子6の信号が磁気ノイズの影響を受ける。なお、上面ヨーク61と下面ヨーク75は磁性材からなるため、磁場は上面ヨーク61内と下面ヨーク75内を通過し、矢印82eで示す磁場は上面ヨーク61を通過してコイル53c上面側へ到達する。
続いて、本実施形態に係るブレ補正ユニット14の構成を表した図4(a)について説明する。コイル53cの中空部の下面側から発生した磁場は矢印81aで示されるように進み、矢印81b,81c,81d,81e,81f,81g,81hで示すように分岐、合流を行い、コイル53cの中空部の上面側(Z軸正方向側)に到達する。矢印81bの先の矢印81h,81gは、コイル53cと遮蔽部材56の間に位置するFPC55内を通過する磁場を模式的に表している。FPC55は主に樹脂で構成されているため、磁場の多くがFPC55を通過する。
一方、遮蔽部材56はアルミニウムで構成されており、且つ、一定の厚みを有するため、上述したように、表皮効果により高周波磁場の透過を妨げる効果がある。そのため、可動枠51とコイル53cの隙間40を通過する矢印81bで表される磁場は、遮蔽部材56があるために、多くが矢印81hで表される方向へ進み、残りの磁場が矢印81d,81c,81gで表される方向へ進む。図4(a)では矢印81d,81c,81gを、図4(b)に示した矢印82d,82c,82gの線幅よりも細い線幅で描画することにより、矢印81d,81c,81gの磁場が矢印82d,82c,82gの磁場よりも弱いことを模式的に表している。
遮蔽部材56は磁場を完全遮蔽するわけではなく、遮蔽部材56が薄いために一部の磁場は矢印81c,81dで示すように遮蔽部材56を通過する。また、矢印81gに示すように、遮蔽部材56に沿って進んだ後に撮像素子6のチップ部6bに到達する磁場も存在すると考えられる。しかし、矢印81c,81d,81hを比較すると、矢印81hで示される磁場が矢印81c,81dで示される磁場よりも相対的に大きいため、チップ部6bへの到達する磁場を低減させることができる。
なお、図4(a),(b)を参照して、コイル53cの一方向に電流が流れた際の磁場の発生の態様について説明したが、PWM制御による印加電圧には交流成分が含まれるため、ブレ補正ユニット14の実際の駆動時には逆方向の電流の変化もある。その場合にコイル53cから発生する磁場は、逆方向のベクトルとなって発生する。例えば図4(a)の場合、コイル53cから発生する磁場は矢印81a~81hの逆の経路で進むだけであるため、上記説明の通りに遮蔽部材56による効果を同様に得ることができる。
ところで、遮蔽部材56にはコイル53cの磁場を受けることで渦電流が発生し、矢印81aの磁場を打ち消すような反磁界が発生する。そこで次に、遮蔽部材56に発生する渦電流の効果について説明する。図5は、遮蔽部材56に発生する渦電流による磁気ノイズの低減効果を説明する図であり、ここでは、コイル53を例に挙げて説明する。便宜上、図5では遮蔽部材56の一部を長方形で示している。また、磁場はFPC55を透過するため、コイル53cと遮蔽部材56の間に存在するFPC55の図示を図5では省略している。更に、図5ではコイル53cと遮蔽部材56の間隔を広く描画している。
コイル53cに矢印111で示す方向に電流Iを流すと、コイル53cから矢印112で示す磁場が発生する。発生した磁場は、遮蔽部材56においてコイル53cと対面する面に鎖交し、遮蔽部材56の面上に渦電流Ieが発生する。渦電流Ieにより、矢印112の磁場を打ち消すような矢印114で示す磁場Bcが発生する。磁場Bcの打ち消し効果により、コイル53cから発生する磁場が全体として低減される。
なお、矢印111の方向の反対方向に電流Iを流した場合、コイル53cから発生する磁場の向き(矢印112)と、渦電流Ieが流れる向き、渦電流Ieにより発生する磁場の向き(矢印114)はそれぞれ反転する。矢印112は、図4(a)に適用すると、Z軸の正方向を向いている。つまり、図4(a)は、このような反転が生じている状態を表している。図4(a)に示す矢印81aの方向に磁場が発生すると、遮蔽部材56で発生した渦電流により発生する磁場により、コイル53cで発生する矢印81aの磁場の強度が全体的に小さくなる。その結果、撮像素子6に到達する磁場が更に低減される。
ここまで、コイル53cで発生する磁場と遮蔽部材56との関係について説明したが、コイル53a,53bと遮蔽部材56との間でも、同様の効果(撮像素子6への磁場の影響を軽減する効果)が得られる。上記説明の通り、本実施形態に係るコイル53a~53cと撮像素子6を含む可動部50を有するブレ補正ユニット14では、コイル53a~53cの上面に薄い平板状の遮蔽部材56が配置されている。これにより、大型化を回避して薄型化を図りながら、コイル53a~53cから発生した磁場の撮像素子6へ影響を軽減させることができる。その結果として、撮像素子6からの出力信号への電磁ノイズの混入を抑制して、質の高い画像信号(映像信号)を得ることが可能になる。
なお、本実施形態では、遮蔽部材56を、FPC55と略同等の形状として、光軸方向で投影して見た際にコイル53a~53cの略全面を覆う形状とした。しかし、これに限られず、光軸方向で投影して見た際に、遮蔽部材56がコイル53a~53cの少なくとも一部を覆う形状であれば、前述のコイル53a~53cから発生する磁場の撮像素子6への影響の軽減効果を得ることができる。例えば、光軸方向で投影して見た際に、遮蔽部材56がコイル53a~53cの中空部を覆う構成であれば、遮蔽部材56に渦電流を発生させることができ、コイル53a~53cから発生する磁場を全体として低減させることができる。また、可動枠51とコイル53cの隙間40(図4(a)参照)を覆う位置(破線40eの位置)まで遮蔽部材56が延伸されていれば、矢印81hで示す磁場を作ることができることで、撮像素子6への磁場の到達を低減させることができる。なお、遮蔽部材56による磁場の低減効果は、表皮効果によって低減させたい磁場の周波数と遮蔽部材56の導電率によって決まり、遮蔽部材56に例えば銅等の導電性の高い座量を用いれば、より大きな効果が得られる。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係るブレ補正ユニット14A(図7(a)参照)が備える可動部50Aの概略構成を示す斜視図である。ブレ補正ユニット14Aの可動部50Aは、遮蔽部材56の変形例に係る遮蔽部材56Sを有する。第2実施形態に係るブレ補正ユニット14Aと第1実施形態に係るブレ補正ユニット14との違いは、遮蔽部材56Sと遮蔽部材56との構造(形状)の違いである。
なお、第2実施形態に係るブレ補正ユニット14Aの全体的な構成は、遮蔽部材56Sの構造(形状)を除いて、第1実施形態で説明したブレ補正ユニット14と同等である。つまり、ブレ補正ユニット14Aは、可動部50Aと、上面固定部60と、下面固定部70を備える。そのため、以下の説明では、上面固定部60と下面固定部70についての説明を省略する。また、可動部50Aの構成要素のうち第1実施形態で説明した可動部50と共通する構成要素については、可動部50の構成要素をそのまま適用して説明を行う。但し、既説の事項については説明を省略する。
図6に示すように、遮蔽部材56Sは、立ち曲げ面部56b,56cと、切り欠き部56d,56eを有しており、この点で遮蔽部材56と異なる。立ち曲げ面部56b,56cはそれぞれ、遮蔽部材56Sにおける撮像素子6側の辺であって、コイル53a~53cが実装される面の反対側(Z軸の正方向側)へ略垂直に曲げて形成されている。切り欠き部56d,56eはそれぞれ、遮蔽部材56Sにおいて光軸と直交する平面において、立ち曲げ面部56b、56cの根元部に設けられている。つまり、切り欠き部56d,56eは、立ち曲げ面部56b,56cには設けられていない。
図7(a)は、可動部50Aを有するブレ補正ユニット14Aの要部の構成を図4(a)と同様に示す断面図であり、コイル53cから発生する磁場を模式的に表した図である。図7(b)は、遮蔽部材56Sに代えて、切り欠き部56d,56eが設けられていない遮蔽部材56Tを有する可動部を有するブレ補正ユニット14Bの要部の構成を図7(a)と同様に示す断面図であり、コイル53cから発生する磁場を模式的に表した図である。矢印83,矢印84はそれぞれ、図4に示した矢印81,82と同様に、コイル53cから発生した磁場を示しているが、図7(a),(b)には立ち曲げ面部56bと切り欠き部56dに関わる代表的な磁場のみが模式的に表されている。
可動部50Aが表されている図7(a)について説明する。コイル53cの中空部の下面側から発生した磁場は矢印83aで示される方向へ進み、その磁場の一部は、図4(a)と同様に、可動枠51とコイル53cの隙間40を矢印83bで示されるように通過する。矢印83bで示される磁場は、遮蔽部材56Sにより多くが矢印83hの方向へ進み、分岐した残りの磁場が矢印83c,83iの方向へ進む。
矢印83iの方向へ進む磁場は、切り欠き部56dを通過し、立ち曲げ面部56bの磁石62f側の面に沿って矢印83dで示される方向へ進んだ後、矢印83eで示されるように他の磁場と合流する。可動部50Aでは、遮蔽部材56Sに切り欠き部56dと立ち曲げ面部56bが設けられているため、切り欠き部56dを通過して立ち曲げ面部56bよりも右側(つまり、撮像素子6側)へ漏れる磁場の量を低減させることができる。
立ち曲げ面部56bを有するが切り欠き部56dを有さない遮蔽部材56Tを備える可動部が表されている図7(b)について説明する。遮蔽部材56Tは、第1実施形態で説明した遮蔽部材56と比較すると、立ち曲げ面部56bを有するが、切り欠き部56dを有さないため、体積増加によって抵抗値が下がることで、流れる渦電流は大きくなる。こうして、渦電流によって発生する磁場が大きくなることで、コイル53cで発生する磁場を打ち消す作用も大きくなる。その結果、図7(b)に矢印84aで表す磁場の大きさは、図4(a)に矢印81aで示した磁場よりも小さく(Z軸負方向への流れが小さく)なっている。
一方、コイル53cの中空部の下面側から発生した磁場は矢印84aで示されるように進み、その磁場の一部は、図4(a)と同様に、可動枠51とコイル53cの隙間40を矢印84bで示される方向へ進む。矢印84bで示される磁場は、遮蔽部材56Tにより多くが矢印84hの方向へ進み、分岐した残りの磁場が矢印84c、84iの方向へ進む。矢印84iの方向へ進んだ磁場は、立ち曲げ面部56bの根元から矢印84gで示す方向へ進んだ後、矢印84eに示されるように他の磁場と合流する。
矢印84gで示す磁場は、撮像素子6のチップ部6bへ漏れて、撮像素子6の出力信号に磁気ノイズを混入させる原因となる。ここで、前述したように、遮蔽部材56Tでは、図7(b)に矢印84aで表す磁場の大きさは、図4(a)に矢印81aで示した磁場よりも小さくなっている。よって、図7(b)の構成であっても、図4(a)に示した構成と比較すると、チップ部6bへの磁界の漏れを抑制することができる。但し、撮像素子6への磁場の漏れをより低減させるためには、図7(a)に示した遮蔽部材56Sのように切り欠き部56d,56eを更に設けることが望ましい。
次に、切り欠き部を有する遮蔽部材の別の例について説明する。図8(a)は、遮蔽部材56Uを備える可動部50Bの外観斜視図である。図8(b)は、可動部50Bを有するブレ補正ユニット14Cの要部の構成を図4(a)と同様に示す断面図であり、コイル53cから発生する磁場を模式的に表した図である。
遮蔽部材56Uでは、切り欠き部56mが立ち曲げ面部56bに設けられると共に、切り欠き部56nが立ち曲げ面部56cに設けられている。ブレ補正ユニット14Cでは、コイル53cの中空部の下面側から発生した磁場は、矢印85aで示される方向へ進み、その磁場の一部は、図4(a)と同様に、可動枠51とコイル53cの隙間40を矢印85bで示されるように通過する。矢印85bで示される磁場は、遮蔽部材56Uにより多くが矢印85hの方向へ進み、分岐した残りの磁場が矢印85c,85iの方向へ進む。矢印84iの方向へ進んだ磁場は、立ち曲げ面部56bの根元から矢印85g,85jで示す方向へ分岐して進む。
可動部50Bの構成では、矢印85gで示されるように撮像素子6のチップ部6bへ漏れ込む磁場が存在する。しかし、立ち曲げ面部56bに切り欠き部56mが設けられているため、矢印85jで示されるように、撮像素子6へ侵入した磁場の一部が切り欠き部56mを通過して撮像素子6の外部へ抜ける。これにより、ブレ補正ユニット14Cでは、図7(b)のブレ補正ユニット14Bよりも、撮像素子6のチップ部6bへ漏れ込む磁場を減少させることができる。
上述の各構成では、撮像素子6に対する磁界ノイズの低減効果は、ブレ補正ユニット14(図4(a))<ブレ補正ユニット14B(図7(b))<ブレ補正ユニット14C(図8)<ブレ補正ユニット14A(図7(a))、の順に大きくなることがわかる。このことから、撮像素子へ漏れる磁場をより効果的に低減させる条件は、遮蔽部材に立ち曲げ面部を設けること、立ち曲げ面部の近傍に切り欠き部を設けること、切り欠き部は立ち曲げ面部の根元において撮像面と平行な面に設けること、であることがわかる。
続いて、遮蔽部材56Sに形成される立ち曲げ面部56bのより望ましい形状について説明する。図9は、立ち曲げ面部56bの望ましい形状を説明する図である。なお、図9は、図7(a)の断面図から可動部50の部品のみを書き出し、更にその一部を拡大した図である。
図9において、矢印83j,83kで示す磁場は、矢印83dで示す磁場が分岐する様子を模式的に表している。立ち曲げ面部56bは、立ち曲げ面部56bの先端部である立ち曲げ面先端部56fが破線44よりもZ軸の正方向側に位置する形状とすることが望ましい。ここで、破線44は、切り欠き部56dのX軸負方向側の端面である切り欠き端面部56gと、撮像素子6のチップ部6bにおけるX軸負方向側の側壁(上面)の上端部6dとを結ぶ線である。つまり、立ち曲げ面先端部56fが、切り欠き端面部56gと上端部6dを結ぶ面よりも、Z軸正方向側(撮影光学系側)へ延伸した構成とすることが望ましい。
仮に立ち曲げ面先端部56fが破線44よりもZ軸負方向側に位置する構成とした場合に矢印83dで示される磁場が立ち曲げ面先端部56fから撮像素子6側に迂回するように分岐すると、撮像素子6側へ分岐した磁場がチップ部6bに到達しやすくなる。これに対して、立ち曲げ面先端部56fが破線44よりもZ軸正方向側に位置する場合、切り欠き部56dを通過した後の矢印83dで示される磁場が、矢印83kで示す磁場のように立ち曲げ面先端部56fよりも上方で撮像素子6側に迂回することが考えられる。この場合には、チップ部6bに到達する磁場は少なく、よって、撮像素子6からの出力信号への影響を軽減させることができる。
なお、立ち曲げ面部56bのZ軸方向長さが長い(立ち曲げ面先端部56fがZ軸正方向側に長く延伸している)場合、コイル53cから発生する磁場の撮像素子6への漏れを低減させることができるが、ブレ補正ユニット14がZ軸方向で厚くなってしまう。この問題を回避するため、立ち曲げ面先端部56fを必要以上に破線44よりもZ軸正方向側(撮影光学系側)へ延伸させる必要はない。
<第3実施形態>
第3実施形態では、遮蔽部材56Sの切り欠き部56d,56eの別形状について説明する。図10(a)は、切り欠き部56h,56iが形成された遮蔽部材56Uを有する可動部の外観斜視図である。図10(b)は、遮蔽部材56Uを有する可動部の上面図である。
第2実施形態で説明した遮蔽部材56Sでは、遮蔽部材56Sにおいて光軸方向と直交する平面部と立ち曲げ面部56cとは、立ち曲げ面部56cのX軸方向両端で接続されており、その結果、切り欠き部56eはロの字の開口形状で形成されている。これと同様の構造で、立ち曲げ面部56bと切り欠き部56dも形成されている。
遮蔽部材56Uに形成された立ち曲げ面部56b及び切り欠き部56dは、遮蔽部材56Sに形成されているものと同じである。一方、遮蔽部材56Uに形成された立ち曲げ面部56cは、遮蔽部材56Uにおいて光軸方向と直交する平面部に対して、立ち曲げ面部56cのX軸方向中央部に設けられた曲げ部56jによって接続されている。また、立ち曲げ面部56bは撮像素子6の側壁(YZ面)と接触するように配置されているが、立ち曲げ面部56cは撮像素子6の側壁(ZX面)と所定の間隙が形成されるように配置されている。その結果、立ち曲げ面部56cの根元部に形成された切り欠き部56h,56iはつながって、略U字形状をなしている。
曲げ部56jは、コイル53aの中空部とチップ部6bの端部6eを結ぶ破線45上に位置しないように設けられている。同様に、曲げ部56jは、コイル53bの中空部とチップ部6bの端部6eを結ぶ不図示の線上にも位置しないように設けられている。これにより、遮蔽部材56Sの切り欠き部56eと同様に、切り欠き部56h,56iが磁場を導く効果を高めることができる。コイルと撮像素子の配置形態に応じて、切り欠き部56h,56iのように切り欠き部を設けることも有効である。
<第4実施形態>
上述した遮蔽部材56S,56T,56Uでは、撮像素子6においてコイル53a~53cと対向する2つの側壁に沿うように立ち曲げ面部56b,56cを設けた。しかし、立ち曲げ面部56b,56cの両方を設けることが困難な場合があり、その場合には、コイルからの撮像素子6への磁場の漏れ込みの影響が相対的に大きい方向に立ち曲げ面部を設けることが望ましい。
撮像素子6への磁場の漏れ込みの影響が大きい方向は、具体的に以下の通りに、決めることが可能である。例えば、図1(a)の通りに撮像装置について規定したX軸及びZ軸が水平方向と略平行で、Y軸が鉛直方向と略平行となっている姿勢(正姿勢)の場合を考える。撮像装置が正姿勢にあるときにブレ補正ユニット14を駆動させると、可動部50の自重を支えるためにコイル53cよりもコイル53a,53bに大きな電流を流すことが必要となる。その結果、コイル53a、53bから発生する磁場が大きくなり、コイル53a,53bがコイル53cよりも撮像素子6への磁場の漏れ込みの影響も大きくなる。また、撮影者が撮像装置を使用する際には、正姿勢で使用する頻度がもっとも高いと考えられる。よって、撮像装置が正姿勢にあるときに撮像素子6への磁場の漏れの影響が大きい方とは、コイル53a,53b側となるため、コイル53a,53b側の立ち曲げ面部56cをコイル53c側の立ち曲げ面部56bよりも優先して設けることが望ましい。
なお、次のような課題が理由となって、遮蔽部材56S,56T,56Uに立ち曲げ面部56b,56cの両方を設けことが困難となる場合がある。例えば、立ち曲げ面部56b,56cを有する遮蔽部材56Sは、曲げ加工前の平板形状に展開された状態では立ち曲げ面部56b,56cは共に撮像素子6側に展開され、展開状態では立ち曲げ面部56b,56cが互いに干渉しないようにする必要がある。そのため、立ち曲げ面部56b,56cを所望の形状とすることができないことがある。その場合、撮像素子6への磁場の漏れ込みの影響が大きいほうのコイル側にのみ立ち曲げ面部を設けることが望ましい。別の課題としては可動部50の軽量化が挙げられ、この場合にも撮像素子6への磁場の漏れ込みの影響が大きいほうのコイル側にのみ立ち曲げ面部を設ければよい。
また、可動部50Aでは、コイル53a,53bに流す電流の方向を制御することで、光軸と平行な軸まわりの回転方向と並進方向に移動させるための駆動力を発生させる。そこで、コイル53cと撮像素子6の間に設けられる立ち曲げ面部56bよりも、コイル53a,53bと撮像素子6の間に設けられる立ち曲げ面部56cを優先的に設けるようにしてもよい。つまり、2つのコイル53a,53bが近接して配置されて同時に電流が流されることで、コイル53a,53bに流れる電流の向きによってはコイル53a,53bから発生する磁場が合成されて大きな磁場が形成される可能性があるからである。そこで、ブレ補正ユニット14Aのように、コイル53a~53cを備え、且つ、コイル53a,53bが撮像素子6の一辺と対向するように配置されて同時駆動される構成では、少なくともコイル53a,53b側の立ち曲げ面部56cを設けることが望ましい。
更に、複数のコイルを備える構成では、撮像素子6への磁場の漏れ込みの影響が大きい方向を撮像素子6と各コイルの間隔に基づいて決定してもよい。例えば、磁場の影響は距離に反比例するため、撮像素子6からの距離が短いコイルから発生する磁場は、撮像素子6からの距離が長いコイルから発生する磁場に比べて、撮像素子6へ与える影響が大きくなる。よって、相対的に撮像素子6に近付けて配置されているコイル側へ立ち曲げ面部を設けることが望ましい。その他にも、コイルの巻き線のターン数とコイルに流す電流の大きさ等からコイルから発生する磁場の大きさを類推することができるため、これらに基づいて撮像素子6への磁場の漏れ込みの影響が大きい方向を決定してもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。