ところで、車両のフロアパネルに対して、シートレールはシートレッグを介してフロアパネルに取りつけられるが、フロアパネル形状によっては、シートレッグのフロアパネルに対する締結(取付)位置と、シートレールに対する締結(取付)位置とが車幅方向でオフセットすることがある。このように、フロアパネルに対する締結位置とシートレールに対する締結位置が車幅方向にオフセットされたシートレッグは、剛性の点で改善の余地がある。
上記のようなシートレッグがシートレールを支持している場合には、車両の側突時に車両用シート、すなわちシートレールの沈み込み変位を抑制することが困難な場合がある。
本発明は、上記事実を考慮し、車両の側面衝突時に車両用シートの傾きを防止又は抑制するシートフレーム組立体及び車両用シート装置を得ることを目的とする。
第1の態様のシートフレーム組立体は、車両用シートを構成するシートフレームと、前記シートフレームをシート前後方向移動可能に支持し、シート幅方向内側とシート幅方向外側でそれぞれシート前後方向に延在する一対のシートレールと、シート幅方向外側の前記シートレールのシート後方側の下面に取り付けられた第1外側支持部と、前記第1外側支持部のシート幅方向内側で車両のフロアパネルに取り付けられる第2外側支持部と、前記シート幅方向外側のシートレールの下方でシート幅方向に延在し、前記第1外側支持部と前記第2外側支持部とを連結させる連結パイプと、を備える。
このシートフレーム組立体から車両用シートを含む車両用シート装置が製造され、車両用シート装置が車両前方を向いて車両の車室内(フロアパネル上)に設置される。
この結果、車幅方向外側のシートレールの車両後方側が第1外側支持部、連結パイプを介してフロアパネルに取り付けられた第2外側支持部に支持される。以下、第1外側支持部と第2外側支持部とが連結パイプを介して連結された部分を「外側支持部」という。
このように、外側支持部が、シートレールに取り付けられた第1外側支持部とフロアパネルに取り付けられた第2外側支持部に分割され、第1外側支持部と第2外側支持部とが車幅方向に延在する連結パイプを介して連結されている。このため、車幅方向外側のシートレールの後部を支持する外側支持部において、シートレールに対する取付位置とフロアパネルに対する取付位置が車幅方向でオフセットされていても、外側支持部は十分な剛性を確保できる。
したがって、車両の側面衝突時に車両用シートに作用する車幅方向内側から車幅方向外側への慣性力の作用によって車両用シート(シートフレーム)の車幅方向外側が車両下方に変位するが、車両用シート(シートフレーム)を支持する車幅方向外側のシートレールを支持する外側支持部が十分な剛性を有するため、車幅方向外側のシートレールの変位、すなわち、車両用シート(シートフレーム)の傾き(沈み込み変位)が抑制される。
第2の態様のシートフレーム組立体は、第1の態様のシートフレーム組立体において、前記フロアパネルに取り付けられ、シート幅方向内側の前記シートレールのシート後方側を支持する内側支持部をさらに備え、前記連結パイプは、前記第1外側支持部、前記第2外側支持部と前記内側支持部を連結させる。
このシートフレーム組立体では、連結パイプが車幅方向内側のシートレールを支持する内側支持部と、第1外側支持部、第2外側支持部とを連結させている。したがって、シートフレーム組立体の車幅方向剛性が一層向上する。
この結果、このようなシート組立体から製造された車両用シート装置の車両用シートが設置された車両が側面衝突されて、車両用シートに車幅方向内側から外側に向かう慣性力が作用しても、シートフレーム組立体の車幅方向剛性が一層向上しているため、車幅方向外側のシートレールの沈み込み変位が一層抑制される。
すなわち、車両の側面衝突時に車両用シート(シートフレーム)の傾き(沈み込み変位)が防止又は一層抑制される。
第3の態様のシートフレーム組立体は、第2の態様のシートフレーム組立体において、前記連結パイプは、前記シートフレームのシート幅方向内側に隣接する他のシートフレームを支持する他の一対のシートレールを支持する他の内側支持部、他の第1外側支持部、他の第2外側支持部とも連結されている。
シートフレーム組立体の連結パイプは、シートフレームに隣接する他のシートフレームを支持する他の一対のシートレールの他の内側支持部、他の第1外側支持部、他の第2外側支持部にも連結されている。したがって、シートフレーム組立体の車幅方向剛性が一層向上する。
この結果、このようなシート組立体から製造された車両用シート装置の車両用シートが設置された車両が側面衝突されて、車両用シートに車幅方向内側から外側に向かう慣性力が作用しても、シートフレーム組立体の車幅方向剛性が一層向上しているため、車幅方向外側のシートレールの沈み込み変位が一層抑制される。
すなわち、車両の側面衝突時に車両用シート(シートフレーム)の傾き(沈み込み変位)が防止又は一層抑制される。
第4の態様のシートフレーム組立体では、第2の態様又は第3の態様のシートフレーム組立体において、前記第1外側支持部、前記第2外側支持部、前記内側支持部には、それぞれシート上方に開口した連結パイプ収容部が形成されており、前記連結パイプ収容部に収容された連結パイプと前記第1外側支持部、前記第2外側支持部、前記内側支持部とが接合されることにより、前記第1外側支持部、前記第2外側支持部、前記内側支持部が連結されている
このシートフレーム組立体では、内側支持部、第1外側支持部、第2外側支持部には、それぞれシート上方側に開口した連結パイプ収容部が形成されている。この連結パイプ収容部に収容された連結パイプと内側支持部、第1外側支持部、第2外側支持部を接合することにより、内側支持部、第1外側支持部、第2外側支持部を連結パイプで連結している。
すなわち、内側支持部、第1外側支持部、第2外側支持部にそれぞれシート上方に開口した連結パイプ収容部が形成されているため、シートフレーム組立体に内側支持部、第1外側支持部、第2外側支持部を取り付ける際、連結パイプの組付け性に優れる。
第5の態様のシートフレーム組立体は、第3の態様又は第3の態様に従属する第4の態様のシートフレーム組立体において、前記内側支持部と前記他の内側支持部は、一体化されている。
シートフレームにシート幅方向で隣接する他のシートフレームを支持する他の一対のシートレールを支持する他の内側支持部、他の第2外側支持部、他の第1外側支持部まで連結パイプが連結している場合に、内側支持部と他の内側支持部を一体化したものである。これにより、シートフレーム組立体の部品点数を減少させることができる。
第6の態様のシートフレーム組立体では、第1の態様~第5の態様の何れか1つの態様のシートフレーム組立体において、前記シート幅方向外側のシートレールは、前記シートフレームにおいてシート幅方向外側に位置するシートクッションサイドフレームよりもシート幅方向内側に配設されている。
このシートフレーム組立体から車両用シートを含む車両用シート装置が製造され、その車両用シート装置が車両前方を向いて車両の車室内に設置される。
車両用シート装置において、車幅方向外側に位置するシートレールは 車両用シート(シートフレーム)の車幅方向外側に位置するシートクッションサイドフレームよりも車幅方向内側に位置している。このように、車幅方向外側のシートレールが車幅方向外側のシートクッションサイドフレームよりも車幅方向内側に位置(オフセット)している場合には、オフセットしていない場合と比較して、車両の側面衝突時に車両用シート(シートフレーム)が傾きやすくなる。
しかしながら、シートフレーム組立体の外側支持部は、シートレールに取り付けられた第1外側支持部とフロアパネルに取り付けられた第2外側支持部に分割され、第1外側支持部と第2外側支持部とが車幅方向に延在する連結パイプを介して連結されている。このため、車幅方向外側のシートレールの後部を支持する外側支持部において、シートレールに対する取付位置とフロアパネルに対する取付位置が車幅方向でオフセットされていても、外側支持部は十分な剛性を確保できる。
したがって、車両の側面衝突時に車両用シートに作用する慣性力の作用によって車両用シート(シートフレーム)の車幅方向外側が車両下方に沈み込み、車幅方向外側のシートレールが車両下方に変位すること、すなわち、車両用シート(シートフレーム)の傾き(沈み込み変位)を防止又は抑制することができる。
第7の態様のシートフレーム組立体は、第1の態様~第6の態様の何れか1つの態様のシートフレーム組立体において、前記シートフレームには、チャイルドシートのコネクタ取付用の取付部が設けられている。
シートフレーム組立体の取付部にチャイルドシートのコネクタが取り付けられた場合、すなわち、シート組立体から製造された車両用シート装置の車両用シートにチャイルドシートが取り付けられた場合でも、車両の側面衝突時に車幅方向外側のシートレールが上記外側支持部に支持されることによって車両用シート(シートフレーム)の傾き(沈み込み変位)が抑制され、車両用シート(シートフレーム)に取り付けられたチャイルドシートの変位量が抑制される。
第8の態様の車両用シート装置は、第1の態様~第7の態様の何れか1つの態様のシートフレーム組立体と、前記シートフレーム組立体を構成する前記シートフレームに取り付けられるシートパッドと、前記シートパッドの表面を覆う表皮と、を備える。
この車両用シート装置は、シートフレーム組立体を構成するシートフレームにシートパッドと表皮を取り付けることで形成される車両用シートを含んでいる。したがって、この車両用シート装置(車両用シート)を車両前方を向けて車室内に設置することにより、車幅方向外側のシートレールの車両後方側が外側支持部、すなわち、第1外側支持部、連結パイプを介してフロアパネルに取り付けられた第2外側支持部に支持される。
このように、外側支持部が、シートレールに取り付けられた第1外側支持部とフロアパネルに取り付けられた第2外側支持部に分割され、第1外側支持部と第2外側支持部とが車幅方向に延在する連結パイプを介して連結されている。このため、車幅方向外側のシートレールの後部を支持する外側支持部において、シートレールに対する取付位置とフロアパネルに対する取付位置が車幅方向でオフセットされていても、外側支持部は十分な剛性を確保できる。
したがって、車両の側面衝突時に車両用シートに作用する車幅方向内側から車幅方向外側への慣性力の作用によって車両用シートの車幅方向外側が車両下方に変位するが、車両用シートを支持する車幅方向外側のシートレールを支持する外側支持部が十分な剛性を有するため、車幅方向外側のシートレールの変位、すなわち、車両用シートの傾き(沈み込み変位)が抑制される。
以上説明したように、請求項1~6記載のシートフレーム組立体及び請求項8記載の車両用シート装置では、車両の側面衝突時に車両用シートの傾きを防止又は抑制することができる。
請求項7記載のシートフレーム組立体では、車両の側面衝突時に車両用シートに取り付けられたチャイルドシートの変位量が抑制される。
本発明の一実施形態に係るシートレールを含むシートフレーム組立体及び車両用シート装置について図1~図8を参照して説明する。なお、各図は模式的なものであり、本発明と関連性の低いものは図示を省略している。
なお、本実施形態において「シート前方」、「シート幅方向」、「シート上方」は、それぞれ「車両前方」、「車幅方向」、「車両上方」と一致するため、「車両前方」、「車幅方向」、「車両上方」に記載を統一して説明する。
また、各図において矢印FRは車両前方、矢印Wは車幅方向、矢印UPは車両上方、矢印RHは車幅方向右側、矢印LHは車幅方向左側をそれぞれ示す。
(構成)
図1に示すように、本実施形態に係る車両用シート装置10は、車両の後部座席として車室に設置されたものである。
車両用シート装置10は、図1~図4に示すように、車幅方向に隣接して配置された二組の車両用シート12A、12Bと、二組の車両用シート12A、12Bをそれぞれ車両前後方向に変位可能に支持する二対のシートレール14A、16A、14B、16Bと、シートレール14A、16A、14B、16Bの車両前方側端部を支持するフロントレッグ部18と、車両後方側端部を支持するリアレッグ部22と、備える
車両用シート12Aは、図1に示すように、乗員が着座するシートクッション30と、シートクッション30の後端部で乗員の背部を支持するシートバック32と、シートバック32の上端部に配置されて乗員の頭部を支持するヘッドレスト34と、を備えている。
なお、シートクッション30とシートバック32は、それぞれ後述するシートフレーム40Aにシートパッド36を取り付け、表皮38で覆うことにより形成されている。
図2に示すように、車両用シート12Aを構成するシートフレーム40Aは、シートクッション30を構成するシートクッションフレーム42と、シートバック32を構成するシートバックフレーム44と、後述する一対のシートレール間を連結するレール連結部46とを有する。
なお、以下の説明で、シートフレーム40Aについて、車幅方向右側を車幅方向外側、車幅方向左側を車幅方向内側という場合がある。また、後述するシートフレーム40Bについて、車幅方向右側を車幅方向内側、車幅方向左側を車幅方向外側という場合がある。
シートクッションフレーム42は、一対のシートクッションサイドフレーム48A、48Bと、シートクッションフロントフレーム50と、を有する。
一対のシートクッションサイドフレーム48A、48Bは、シートクッション30の車幅方向内側端部と車幅方向外側端部(以下、「車幅方向両端部」という)でそれぞれ車両前後方向に延在している。また、シートクッションサイドフレーム48A、48Bの車両前方側端部は、車幅方向に延在するシートクッションフロントフレーム50で連結されている。なお、シートクッションサイドフレーム48A、48Bのシート後方側端部は、シートバックフレーム44の後述するシートバックサイドフレーム54A、54Bの下端側に連結されている。
シートバックフレーム44は、シートバックアッパーフレーム52と、シートバックサイドフレーム54A、54Bと、シートバックロアフレーム56と、を有する。
シートバックアッパーフレーム52は、車幅方向に延在する上部58と、上部58の車幅方向両端部からそれぞれ車両下方に延在するサイド部60A、60Bとを有する略U字型とされている。
シートバックサイドフレーム54A、54Bは、それぞれ車両上下方向に延在おり、その車両上方側端部でサイド部60A、60Bの下端部に連結されている。
シートバックロアフレーム56は、車幅方向に延在しており、その車幅方向両端部がシートバックサイドフレーム54A、54Bの車両下方側に接合されている。
なお、シートバックサイドフレーム54A、54Bのシートバックロアフレーム56の接合位置の車両前方側には、シートクッションサイドフレーム48A、48Bの車両後方側端部が締結されている。
また、シートバックサイドフレーム54A、54Bとシートバックロアフレーム56とが接合された角には、チャイルドシートのコネクタ取付用のストライカ62A、62Bがそれぞれ設けられている。ストライカ62A、62Bが「取付部」に相当する。
シートレール14A、16Aは、それぞれロアレール70A、70Bと、ロアレール70A、70B上を車両前後方向にスライド可能に設けられたアッパレール72A、72Bと、を有する。
シートレール14Aは、シートレール16Aよりも車幅方向内側に配設されており、シートクッションサイドフレーム48Aの車両下方に位置されている。
一方、シートレール16Aは、シートレール14Aよりも車幅方向外側に位置しているが、シートクッションサイドフレーム48Bの車両下方よりも車幅方向内側にオフセットされている。
各アッパレール72A、72Bの上面の車両後方側には、それぞれレール連結部46を構成するパイプ80を支持する支持部82A、82Bが締結されている。支持部82Aには、パイプ80の車幅方向内側端部が挿通されて接合されている。また、支持部82Bには、パイプ80の途中部分が載置され、接合されている。
また、パイプ80の車幅方向外側端部は、フリーヒンジブラケット84Bに挿通されて接合されている。
フリーヒンジブラケット84Bは、図2及び図4に示すように、その上方側でシートバックサイドフレーム54Bの下端部とヒンジ結合されており、シートバックサイドフレーム54Bを揺動可能に支持している。
なお、パイプ80の車幅方向内側端部には、フリーヒンジブラケット84Bと略同様のフリーヒンジブラケット84A(図4参照)が配置されている。
また、図4に示すように、シートレール14A、16Aの車幅方向の反対側(車幅方向左側)には、車両用シート12Aに隣接する車両用シート12B用のシートレール14B、16Bが配設されている。
なお、図2、図3では、図の煩雑さを回避するために、車両用シート12Bを構成するシートフレーム40Bの図示を省略して、シートレール14B、16Bを構成するロアレール70C、70Dの下方側のみを示している。また、図4に示すシートフレーム40Bでは、シートフレーム40Aと同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略している。
シートレール14A、16A、14B、16B(ロアレール70A~70D)の車両前方側を支持するフロントレッグ部18は、図2、図3に示すように、インナーレッグ86と、アウターレッグ88A、88Bを有する。
インナーレッグ86は、図1及び図3に示すように、車両用シート装置10の車幅方向中央でフロアパネル74に取り付けられ、シートレール14A、14Bの前端部を支持するものである。一方、アウターレッグ88A、88Bは、それぞれ車両用シート装置10の車幅方向両端部でフロアパネル74に取り付けられ、シートレール16A、16Bの前端部を支持するものである。
シートレール14A、16A、14B、16B(ロアレール70A~70D)の車両後方側を支持するリアレッグ部22は、図5~図7に示すように、第1アウターレッグ92A、92Bと、第2アウターレッグ94A、94Bと、インナーレッグ96と、連結パイプ98と、を有する。
なお、第1アウターレッグ92A、92Bがそれぞれ「第1外側支持部」、「他の第1外側支持部」に相当する。第2アウターレッグ94A、94Bがそれぞれ「第2外側支持部」、「他の第2外側支持部」に相当する。インナーレッグ96が「内側支持部」及び「他の内側支持部」に相当する。
第1アウターレッグ92Aは、車両用シート12Aを支持する車幅方向外側のシートレール16A(ロアレール70B)の車両後方端部側に取り付けられるものである。第1アウターレッグ92Aは、車幅方向視で車両上方に開口したU字型の連結パイプ収容部100Aと、連結パイプ収容部100Aの車両前後方向両端部から車両前方及び車両後方に延在するフランジ部102A、104Aと、を有する。フランジ部102A、104Aをロアレール70Bの下面71Bに締結することで、第1アウターレッグ92Aがロアレール70Bの下面71Bに取り付けられるものである。
連結パイプ98が連結パイプ収容部100Aに収容されて接合された際、連結パイプ98がロアレール70Bの下面71Bに干渉(当接)しないようにしつつ、ロアレール70Bの下面71Bに可及的に接近させて配置(例えば、連結パイプ98とロアレール70Bの下面71Bとの隙間D(図8参照)を1mmに設定)可能である。
第1アウターレッグ92Bは、車両用シート12Bを支持する車幅方向外側のシートレール16B(ロアレール70D)の車両後方端部側に取り付けられるものである。第1アウターレッグ92Bは、第1アウターレッグ92Aと同様の構成であり、同様の構成要素には、同一の参照番号にBを付してその詳細な説明を省略する。
第2アウターレッグ94Aは、第1アウターレッグ92Aの車幅方向内側でフロアパネル74に取り付けられる平板状の取付面106Aと、取付面106Aの車幅方向両端部から車両上方に延在する支持面108A、110Aと、を有する。支持面108A、110Aのそれぞれ車両上方側には、車両上方側に向かって開口したU字型の切り欠き112A、114Aが形成されている。この切り欠き112A、114Aが第2アウターレッグ94Aの連結パイプ収容部115Aを構成している。
第2アウターレッグ94Bは、第1アウターレッグ92Bの車幅方向内側でフロアパネル74に取り付けられるものである。第2アウターレッグ94Bは、第2アウターレッグ94Aと同様の構成であり、同様の構成要素には、同一の参照番号にBを付してその詳細な説明を省略する。
インナーレッグ96は、車幅方向中央でシートレール14A、14B(ロアレール70A、70C)の車両後方側を一体的に支持するものである。インナーレッグ96は、車両前後方向視でシートレール14A、14B(ロアレール70A、70C)を支持する支持面116と、支持面116の車幅方向両端部から車両下方に延在する縦壁部118、120と、縦壁部118、120の下端から車幅方向外側に延在するフランジ部122、124と、を有する。
インナーレッグ96は、フランジ部122、124がフロアパネル74に締結されることでフロアパネル74に取り付けられる。また、支持面116にロアレール70A、70Cの下面71A、71Cが締結される。このようにして、インナーレッグ96は、シートレール14A、14Bを支持している。
また、インナーレッグ96の縦壁部118、120には、車幅方向視で車両上方に開口したU字型の切り欠き126、128が形成されると共に、支持面116には切り欠き126、128と同等の幅の開口部130が形成されている。この切り欠き118、120及び開口部130でインナーレッグ96の連結パイプ収容部131を構成している。
連結パイプ98は、車幅方向で第1アウターレッグ92Aから第1アウターレッグ92Bに到る長さよりも若干長い長さとされている。
また、連結パイプ98の径は、第1アウターレッグ92A、92Bの連結パイプ収容部100A、100B及びインナーレッグ96の連結パイプ収容部131に挿入されて溶着された際、ロアレール70B、70D、70A、70Cの下面71B、71D、71A、71Cとの隙間D(図8参照)が可及的に小さく、例えば1mm程度となるように形成されている。
なお、車両用シート装置10にリアレッグ部22が組付けられる場合には、先ず、シート幅方向右端のシートレール16Aの下方からシート幅方向左端のシートレール16Bの下方に到るように連結パイプ98が配置される。
この状態で、第1アウターレッグ92A、92Bの連結パイプ収容部100A、100Bに連結パイプ98を収容するように、シート幅方向外側のシートレール16A、16B(ロアレール70B、70D)の下面71B、71Dに第1アウターレッグ92A、92Bをそれぞれ下側から取り付ける(締結する)。同様に、インナーレッグ96の連結パイプ収容部131に連結パイプ98を収容するように、シート幅方向内側のシートレール14A、14B(ロアレール70A、70C)の下面71A、71Cにインナーレッグ96を下側から取り付ける(締結する)。この状態で、第1アウターレッグ92A、92Bとインナーレッグ96に連結パイプ98を接合する。
続いて、連結パイプ98の所定位置で第2アウターレッグ94A、94Bの連結パイプ収容部115A、115Bに連結パイプ98を収容するように、第2アウターレッグ94A、94Bを連結パイプ98に下側から当接させ、接合する。
このようにして組み立てられた車両用シート装置10は、第2アウターレッグ94A、94Bの取付面106A、106B、インナーレッグ96のフランジ部122、124がそれぞれフロアパネル74に締結されることで、車両前方を向いて車両の車室内(フロアパネル74)に取り付けられる。
なお、シートフレーム40A、40B、シートレール14A、16A、14B、16B、フロントレッグ部18、リアレッグ部22からなる構成を、シートフレーム組立体142という場合がある。
(作用)
車両用シート装置10がリヤシートして適用された場合に、車両が車幅方向右側から側面衝突された場合の作用について説明する。
1.側面衝突時の車両用シートの傾き抑制
上記のように車両が側面衝突された場合、図4に示すように、車両用シート12Aには車幅方向左側から車幅方向右側に向かって慣性力Fが作用し、車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)の車幅方向右側を車両下方に傾ける方向にモーメントMが作用する。
この結果、車両用シート12Aの車幅方向外側(右側)が車両下方に沈みこむ。ここで、車両用シート12A(シートフレーム40A)を支持する車幅方向外側のシートレール16Aは、第1アウターレッグ92A、連結パイプ98を介して第2アウターレッグ94Aに支持されている。この第1アウターレッグ92Aと第2アウターレッグ94Aとが連結パイプ98を介して連結されている部分を「外側支持部140A」(図5、図6参照)という。
すなわち、外側支持部140Aは、シートレール16Aを構成するロアレール70Bの下面71Bに締結された第1アウターレッグ92Aと、フロアパネル74に締結された第2アウターレッグ94Aが車幅方向にオフセットされていても、車幅方向に延在する連結パイプ98で第1アウターレッグ92Aと第2アウターレッグ94Aとが連結されているため、剛性が高い。したがって、シートレール16Aから荷重入力時に外側支持部140A(第1アウターレッグ92A、第2アウターレッグ94A、連結パイプ98)が変形することが防止又は抑制され、シートレール16A、すなわち、車両用シート12A(シートフレーム40A)の車幅方向外側の沈み込み変位(傾き)が防止又は抑制される。
一方、同じモーメントMの作用により、車両用シート12Bには車幅方向外側から車幅方向内側に慣性力Fが作用し、車両用シート12B(シートフレーム40B)の車幅方向外側(左側)を車両上方に持ち上げる方向にモーメントが作用する。
この結果、車両用シート12Bの車幅方向外側(左側)が車両上方に持ち上がる。ここで、車両用シート12Bを支持する車幅方向外側のシートレール16Bは、第1アウターレッグ92B、連結パイプ98を介して第2アウターレッグ94Bに支持されている。この第1アウターレッグ92Bと第2アウターレッグ94Bとが連結パイプ98を介して連結されている部分を「外側支持部140B」(図5、図6参照)という。
すなわち、外側支持部140Bは、シートレール16Bを構成するロアレール70Dの下面71Dに締結された第1アウターレッグ92Bと、フロアパネル74に締結される第2アウターレッグ94Bとが車幅方向にオフセットされていても、車幅方向に延在する連結パイプ98で第1アウターレッグ92Bと第2アウターレッグ94Bとが連結されているため、剛性が高い。したがって、シートレール16Bから荷重入力時に第1アウターレッグ92B、第2アウターレッグ94B、連結パイプ98が変形することが防止又は抑制され、シートレール16B、すなわち、車両用シート12Bの車幅方向外側の持ち上がり変位(傾き)が防止又は抑制される。(シートレール16B(ロアレール70D)に上向き荷重が作用しても、ロアレール70Dの下面71Dに取り付けられた第1アウターレッグ92Bに接合された連結パイプ98によって持ち上がり変位が防止又は抑制される。)
また、連結パイプ98によって、リアレッグ部22を構成する第1アウターレッグ92A、92B、第2アウターレッグ94A、94B、インナーレッグ96が連結されているため、車両用シート装置10の車幅方向剛性が向上し、車両用シート12A(シートフレーム40A)の沈み込み変位及び車両用シート12B(シートフレーム40B)の持ち上がり変位が一層抑制される。
さらに、車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)のように、車幅方向外側に位置するシートレール16Aがシートクッションサイドフレーム48Bの車両下方よりも車幅方向内側にオフセットして設置されている場合には、オフセットされていない場合と比較してシートレール16Aによる車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)の傾き抑制作用が低減される。
この場合でも、シートレール16Aを支持する外側支持部140Aが所定の剛性を有するため、外側支持部140Aの変形が防止又は抑制され、シートレール16Aの沈み込み変位、すなわち、車両用シート12Aの傾きが防止又は抑制される。すなちわ、シートレール16Aがオフセット配置されたことによる車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)の傾き抑制作用の低下を補うことができる。
また、シートレール16Aを構成するロアレール70Bの下面71Bに取り付けられた第1アウターレッグ92Aの車両上方に開口された連結パイプ収容部100Aに収容されて接合された連結パイプ98は、ロアレール70Bの下面71Bに可及的に接近して配置されている。例えば、連結パイプ98と下面71Bとの隙間D(図8参照)が1mmとされている。
したがって、車両の側面衝突によってシートレール16A(ロアレール70B)が車両下方に沈んだ場合には、シートレール16Aが直ちに連結パイプ98に当接し、シートレール16Aから連結パイプ98を介して、第2アウターレッグ94A、インナーレッグ96、第2アウターレッグ94B等に荷重が伝達される。すなわち、シートレール16Aが連結パイプ98に当接することにより、シートレール16A、すなわち、車両用シート12A(シートフレーム40A)の車幅方向外側の車両下方への沈み込みが抑制される。
2.組立容易性
車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)にリアレッグ部22が組付けられる場合には、車幅方向右端のシートレール16Aの下方から車幅方向左端のシートレール16Bの下方に到るように車幅方向に連結パイプ98が配置される。
この状態で、第1アウターレッグ92A、92B、第2アウターレッグ94A、94B、インナーレッグ96を車両下方側から連結パイプ98に接近させるだけで、車両上方側に開口された連結パイプ収容部100A、100B、115A、115B、131に連結パイプ98を収容することができ、連結パイプ98と第1アウターレッグ92A、92B、第2アウターレッグ94A、94B、インナーレッグ96とを接合してリアレッグ部22を構成できる。
このように、連結パイプ98に車両下方から第1アウターレッグ92A、92B、第2アウターレッグ94A、94B、インナーレッグ96を接近させるだけで、車両上方側に開口した連結パイプ収容部100A、100B、115A、115B、131に連結パイプ98を収容できるため、車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)にリアレッグ部22を容易に組付けることができる。
3,部品増によるコスト増加抑制
インナーレッグ96は、隣接する車両用シート12A、12Bをそれぞれ支持する車幅方向内側のシートレール14A、14Bの双方を支持するように一体化したため、リアレッグ部22の部品点数を抑制して、車両用シート装置10の製造コストの増加を抑制することができる。
4.チャイルドシートの変位量抑制
車両用シート12Aにチャイルドシートが取り付けられた状態で車両が側面衝突したとしても、連結パイプ98が車幅方向外側のシートレール16A(ロアレール70B)の車両後方側を支持する外側支持部140Aが所定の剛性を確保している。したがって、シートレール16Aの車両下方への沈み込み変位、すなわち、車両用シート12A(シートフレーム40A
)の傾き(変位)が防止又は抑制される。
この結果、車両用シート装置10(車両用シート12A)にチャイルドシートを取り付けている場合には、車両の側面衝突時にチャイルドシートの変位量を一層抑制することができる。
5.フロアパネル形状に対する対応
フロアパネル74の形状によってシートレール16A、16Bの直下にフロアパネル74に取り付けられたアウターレッグを配置することができない場合でも、本実施形態のように、シートレール16A、16Bの下面71B、71Dに締結される第1アウターレッグ92A、92Bと、第1アウターレッグ92A、92Bの車幅方向内側に配置されフロアパネル74に取り付けられる第2アウターレッグ94A、94Bと、を連結パイプ98で連結することで外側支持部140A、140Bが所定の剛性を確保でき、車幅方向外側のシートレール16A、16Bを安定的に支持することができる。
(その他)
本実施形態では、車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)の連結パイプ98は、隣接する車両用シート12A、12Bを支持する二対のシートレール14A、16A、14B、16B、すなわち第1アウターレッグ92A、92B、第2アウターレッグ94A、94B、インナーレッグ96を連結するものだったが、一つの車両用シートを支持する一対のシートレール、例えば第1アウターレッグ92A、第2アウターレッグ94A、インナーレッグ96のみを連結する連結パイプでも良い。あるいは、外側支持部140A、140Bを構成する部分、すなわち第1アウターレッグ92Aから第2アウターレッグ94Aまで延在する連結パイプ、第1アウターレッグ92Bから第2アウターレッグ94Bまで延在する連結パイプでも良い。
また、本実施形態では、車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)が2個の車両用シート12A、12B(シートフレーム40A、40B)と二対のシートレール14A、16A、14B、16B及びフロントレッグ部18、リアレッグ部22を有する構成としたが、一個の車両用シート(シートフレーム)とこれを支持する一対のシートレール及びフロントレッグ部、リアレッグ部の構成としても良い。
車両用シート装置10は、チャイルドシート取付可能な車両用シート12A、12Bを有するものとして説明したが、これに限定するものではない。すなわち、車両用シート12A、12Bがチャイルドシート取付不可能な車両用シートであっても良い。
また、車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)の車両用シート12A、12Bが後部座席として適用された場合について説明したが、これに限定されるものではない。前部座席や他の位置の車両用シートについて適用しても良い。
なお、本実施形態では、車両が車幅方向右側から側面衝突された場合について説明したが、車両用シート装置10(リアレッグ部22)は車幅方向で左右対称に形成されているので、本実施形態と同様に、車両用シート12Bの車幅方向外側(左側)を支持するシートレール16Bが外側支持部140B(第1アウターレッグ92A、第2アウターレッグ94A、連結パイプ98)で支持されることによって、車両用シート12Bの沈み込み(変位)が抑制される。
また、本実施形態では、車幅方向内側のシートレール14A、14Bの双方を車両前方側のインナーレッグ86、車両後方側のインナーレッグ96でそれぞれ一体的に支持する構成としたが、各シートレールを個別の車両前方側のインナーレッグ、車両後方側のインナーレッグで支持する構成としても良い。
さらに、本実施形態では、車両用シート装置10(シートフレーム組立体142)の車両用シート12A、12Bが後部座席として適用された場合について説明したが、これに限定されるものではない。前部座席や他の位置の車両用シートについて適用しても良い。