以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適応される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施例に限定する主旨のものではない。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置100の装置本体100Aに接続された画像読取装置、又は装置本体100Aに通信可能に接続されたパーンナルコンピュータなどのホスト機器から、装置本体100Aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1~第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。なお、本実施例では、第1~第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して、総括的に説明する。
画像形成装置100は、トナー像を担持する像担持体として、回転可能なドラム型(円筒形)の感光体である感光ドラム1を有する。4個の感光ドラム1Y、1M、1C、1Kは、鉛直方向と交差する方向に並設されている。感光ドラム1は、駆動手段(駆動源)としてのドラム駆動モータ61(図3)によって図中矢印A方向(時計回り方向)に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(スキャナユニット)3によって走査露光され、感光ドラム1上に画像情報に応じた静電像(静電潜像)が形成される。露光装置3は、画像情報に応じて変調されたレーザー光を感光ドラム1上に照射する。本実施例では、露光装置3は、各感光ドラム1を露光する1つのユニットとして構成されている。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置(現像ユニット)4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。本実施例では、現像装置4は、現像剤として非磁性一成分現像剤であるトナー(非磁性トナー)を用いる。また、本実施例では、現像装置4は、後述する現像剤担持体としての現像ローラ17(図2)を感光ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである(接触現像方式)。すなわち、本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した露光部(画像部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
4個の感光ドラム1に対向して、中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5が配置されている。中間転写ベルト5は、4個の感光ドラム1に当接して回転可能なように設けられている。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(張架ローラ)としての駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、テンションローラ53に掛け渡されて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト5は、図示しない駆動手段(駆動源)としてのベルト駆動モータによって駆動ローラ51が回転駆動されることで駆動力が伝達されて、図中矢印B方向(反時計回り方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、一次転写手段としてのローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を介して感光ドラム1に向けて押圧され、中間転写ベルト5と感光ドラム1とが当接する一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ8の作用によって、回転している被転写体としての中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。一次転写工程時に、一次転写ローラ8には、印加手段としての一次転写電源(高圧電源)42(図3)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の一次転写バイアス(一次転写電圧)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1Y、1M、1C、1K上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト5上に重ね合わされるようにして順次転写される。
中間転写ベルト5の外周面側において、二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としてのローラ型の二次転写部材である二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に向けて押圧され、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成する。上述のように中間転写ベルト5上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とに挟持されて搬送されている被転写体としての記録材P上に転写(二次転写)される。二次転写工程時に、二次転写ローラ9には、印加手段としての二次転写電源(高圧電源)43(図3)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の二次転写バイアス(二次転写電圧)が印加される。記録材Pは、給送装置12によって、中間転写ベルト5上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部N2に供給される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置10へと搬送される。定着装置10は、未定着のトナー像を担持した記録材Pに熱及び圧力を加えることで、記録材P上にトナー像を定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された記録材Pは、装置本体100Aの外部に排出(出力)される。
また、一次転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置11によって中間転写ベルト5上から除去されて回収される。
なお、本実施例では、画像形成装置100は、所望の1つの画像形成部のみを用いて、又は、幾つか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
また、本実施例では、各画像形成部Sにおいて、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーニング装置6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、装置本体100Aに対して着脱可能となっている。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は、全て略同一の形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブランク(K)の各色のトナーが収容されている。
2.プロセスカートリッジ
次に、プロセスカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」ともいう。)7について更に説明する。図2は、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た本実施例のカートリッジ7の概略断面(主断面)図である。なお、本実施例では、収容している現像剤の種類(色)を除いて、各色用のカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
カートリッジ7は、感光ドラム1などを備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17などを備えた現像ユニット(現像装置)4と、が一体化されて構成されている。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光ドラム1は、駆動手段(駆動源)としてのドラム駆動モータ61(図3)からの駆動力が伝達されることで、画像形成動作に応じて図中矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。本実施例では、感光ドラム1は、アルミニウム製のシリンダの外周面に、機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層をこの順番でコーティングした有機感光ドラムである。
また、クリーニング枠体14には、帯電ローラ2が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。帯電ローラ2は、感光ドラム1の外周面(表面)に接触するように配置されている。本実施例では、帯電ローラ2は、導電性の芯金と、この芯金の周囲に導電性のゴムで形成された弾性層(ゴム層)と、を有して構成され、ゴム層が感光ドラム1に加圧接触させられることで、感光ドラム1の回転に伴って従動して回転する。帯電工程時に、帯電ローラ2の芯金には、印加手段としての帯電電源(高圧電源)41(図3)から、所定の直流電圧である帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。これにより、感光ドラム1の表面には、一様な暗部電位(Vd)が形成される。露光装置3から画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、帯電処理された感光ドラム1上を露光する。感光ドラム1上の露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位の絶対値が低下する。これにより、感光ドラム1の表面の露光された部位には、所定の明部電位(Vl)が形成される。その結果、感光ドラム1上に、未露光部位(非露光部、非画像部)は所定の暗部電位(Vd)、露光部位(露光部、画像部)は明部電位(Vl)の静電潜像が形成される。本実施例では、画像形成時(静電像形成時)には、暗部電位Vd=-400V、明部電位Vl=-100Vとした。
また、クリーニング枠体14には、クリーニング部材としてのクリーニングブレード6aが取り付けられている。クリーニングブレード6aは、感光ドラム1の外周面(表面)に接触するように配置されている。クリーニングブレード6aは、回転する感光ドラム1の表面から一次転写残トナーを掻き取る。クリーニングブレード6aによって感光ドラム1の表面から除去された一次転写残トナーは、クリーニング枠体14の内部に形成された回収トナー室6bに落下して収容される。回収トナー室6bを構成するクリーニング枠体14と、クリーニングブレード6aと、によって、ドラムクリーニング装置6が構成される。
現像ユニット(現像装置)4は、現像室18aと、現像剤収納室18bと、が内部に形成され、現像装置4の各種要素を支持する枠体としての現像枠体(現像容器)18を有する。現像室18aには、トナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ17と、現像ローラ17にトナーを供給する供給部材としての供給ローラ20と、現像ローラ17上のトナーの量を規制する規制部材としての現像ブレード21と、が配置されている。供給ローラ20は、感光ドラム1と対向(接触)する現像部で現像に供されずに現像ローラ17上に残留したトナーを、現像ローラ17上から剥ぎ取る(掻き取る)機能も有する。現像剤収納室18bの内部には、トナーTが収納されている。本実施例では、現像剤収納室18bは供給ローラ20よりも重力方向下方に配置され、現像開口部18cを介して現像室18aと連通されている。また、現像剤収納室18bの内部には、攪拌搬送部材22が設けられている。攪拌搬送部材22は、現像剤収納室18bの内部に収納されたトナーTを攪拌すると共に、供給ローラ20の上部に向けて図中矢印G方向にトナーTを搬送するためのものでもある。本実施例では、攪拌搬送部材は30rpmで図中矢印F方向(時計回り方向)に回転駆動される。また、本実施例では、現像剤収納室18bには、初期状態(新品時)で100gのトナーTが収容されている。
現像ローラ17は、感光ドラム1と接触して図中矢印D方向(反時計回り)に回転する。つまり、現像ローラ17と感光ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同方向(本実施例では下から上に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。現像ローラ17は、導電性の芯金17aと、この芯金17aの周囲に半導電性のゴムで形成された弾性層(ゴム層)17bと、を有して構成される。また、本実施例では、現像ローラ17は、概略、画像形成時(現像時)にのみ所定のタイミングで感光ドラム1に当接し、待機状態などでは感光ドラム1から離間されている。画像形成装置100は、現像ローラ17を感光ドラム1に対して当接及び離間させるための離接手段としての離接機構71(図3)を有する。離接機構71は、概略、回動軸線を中心として回動可能なように感光体ユニット13に取り付けられている現像ユニット(現像装置)4を回動させることで、現像ローラ17を感光ドラム1に対して当接及び離間させる。なお、現像ローラ17は、感光ドラム1に対して所定間隔を開けて常に近接配置される構成とされていてもよい。
現像工程時に、現像ローラ17の芯金17aには、印加手段としての現像電源32から、所定の直流電圧である現像バイアス(現像電圧)が印加される。後述する現像ブレード21との摺擦による摩擦帯電により負極性に帯電したトナーが、感光ドラム1に対向(接触)する現像部において、感光ドラム1上の明部電位と現像バイアスVdrとの間の電位差によって、感光ドラム1上の明部電位部にのみ転移する。画像形成時の現像バイアスは、トナーの正規の帯電極性と同極性で、その絶対値が暗部電位の絶対値よりも小さく、明部電位の絶対値よりも大きい電圧値に設定される。本実施例では、画像形成時には、現像バイアスVdr=-300Vとすることにより、明部電位と現像ローラ17との間の電位差ΔV=200Vとした。ここで、感光ドラム1上の電位と現像ローラ17との間の電位差は、感光ドラム1上の電位と現像バイアスとの間の電位差で代表される。
供給ローラ20は、現像ローラ17と接触して供給部(供給ニップ部)Nを形成し、現像ローラ17に対して周速差を持って図中矢印E方向(時計周り方向)に回転する。つまり、供給ローラ20と現像ローラ17とは、当接部(接触部)において互いの表面が同方向(本実施例では上から下に向かう方向)に周速差を持って移動するようにそれぞれ回転する。供給ローラ20は、導電性の芯金20aと、この芯金20aの外周に発泡体で形成された弾性層(発泡層)20bと、を有して構成された弾性スポンジローラである。供給ローラ20は、現像ローラ17に対して所定の侵入量を持って接触させられている。ここで、本実施例では、供給ローラ20の現像ローラ17に対する侵入量は、図2に示すように供給ローラ20が現像ローラ17により凹状とされるその凹み量ΔEのことを言う。供給ローラ20は、現像ローラ17へのトナーの供給を行う。また、供給ローラ20は、現像部を通過した後に現像ローラ17上に残留しているトナーの剥ぎ取りを行う。その際に、供給ローラ20の芯金20aには、印加手段としての供給電源33から、所定の直流電圧である供給バイアス(供給電圧)が印加される。これにより、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差を調整し、現像ローラ17へのトナーの供給量を制御することができる。画像形成時の供給バイアスは、トナーの正規の帯電極性と同極性で、その絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きい電圧に設定される。本実施例では、供給ローラ20は、現像ローラ17に対して150%の周速差を持って回転する。また、本実施例では、画像形成時には、供給バイアスVrs=-400Vとした。
現像ブレード21は、本実施例では現像ローラ17の下方に配置され、現像ローラ17の回転方向に対してカウンター方向(自由端側の先端が現像ローラ17の回転方向の上流側を向く方向)で現像ローラ17の表面に当接している。現像ブレード21は、供給ローラ20によって現像ローラ17上に供給されたトナーのコート量の規制及び摩擦帯電によるトナーへの電荷付与を行う。本実施例では、現像ブレード21として、導電性の部材である厚さ0.1mmの板バネ状のSUS製の薄板を用い、薄板のバネ弾性を利用して所定の当接圧力を生成した。また、本実施例では、現像ブレード21は、現像ローラ17(より詳細には現像ローラ17上のトナー層)に面で当接させられている。本実施例では、現像ブレード21の現像ローラ17に対する当接圧は、中心設定で30gf/cmであるが、現像ブレード21の単品や組立時のバラつきによって、15~45gf/cmの範囲で変化することがある。なお、現像ブレード21は、本実施例のものに限定されず、例えばリン青銅やアルミニウムなどの金属薄板を用いてもよい。また、現像ブレード21の表面にポリアミドエラストマーやウレタンゴムやウレタン樹脂などの薄膜を被覆したものを用いてもよい。トナーは、現像ブレード21と現像ローラ17(より詳細には現像ローラ17上のトナー層)との摺擦により摩擦帯電されて電荷を付与されると同時に、層厚が規制される。また、本実施例では、その際に、現像ブレード21には、印加手段としての規制電源31から、所定の直流電圧である規制バイアス(規制電圧)が印加される。これにより、現像ローラ17上へのトナーコートの安定化が図られている。画像形成時の規制バイアスは、トナーの正規の帯電極性と同極性で、その絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きい電圧に設定される。本実施例では、画像形成時には、規制バイアスVbl=-400Vとした。なお、画像形成時の現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差は、500V以下であることが好ましい。この電位差が500Vより大きい場合には、現像ブレード21と現像ローラ17との間で放電が生じ、現像ローラ17上のトナー層やトナーの電荷量が不安定になる可能性がある。
現像ローラ17、供給ローラ20及び攪拌搬送部材22は、駆動手段(駆動源)としての現像駆動モータ62(図3)からの駆動力が伝達されることで、画像形成動作に応じてそれぞれ上述の方向に回転駆動される。
3.現像ローラ及び供給ローラ
次に、本実施例における現像ローラ17について更に説明する。本実施例では、現像ローラ17は、導電性支持体17aと、この導電性支持体17aの周囲に導電剤が配合された半導電性のゴムで形成された弾性層(ゴム層)17bと、を有して構成される。本実施例では、導電性支持体17aとしての外径6mmの芯金電極の周囲に、ゴム層17bとしての導電剤が配合された半導電性のシリコーンゴム層が設けられている。本実施例では、更に、上記シリコーンゴム層の表層には、厚さが20μm程度のアクリル・ウレタン系ゴム層がコーティングされており、現像ローラ17の全体の外径は12mmである。また、本実施例では、現像ローラ17の電気抵抗は1×106(Ω)である。
ここで、現像ローラ17の電気抵抗の測定方法を説明する。現像ローラ17を、直径30mmのアルミスリーブに対し、当接荷重9.8Nで当接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、現像ローラ17を60rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。次に、現像ローラ17に、-50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、現像ローラ17の電気抵抗を算出する。
なお、現像ローラ17の体積抵抗が1×109(Ω)よりも大きいと、現像ローラ17の表面での現像バイアスの電圧値が下がり、現像領域の直流電界が減少することで現像効率が低下して、画像濃度が低下する可能性がある。したがって、現像ローラ17の電気抵抗は1×109(Ω)以下であることが好ましい。
また、現像ローラ17の表面形状としては、その表面粗度を制御することが高画質及び高耐久性を両立するために好ましい。現像ローラ17の表面粗度として、例えばRa(μm)「JIS B 0601」を3.0以下となるように設定することが、安定したトナー搬送量が得られる点で好ましい。現像ローラ17の表面粗度Ra(μm)が3.0を超えると、現像ローラ17上のトナー搬送量が増大し、現像ブレード21との摩擦によるトナーへの帯電付与が不十分になり、白地部への「かぶり」が発生する可能性がある。
次に、本実施例における供給ローラ20について更に説明する。本実施例では、供給ローラ20は、導電性支持体20aと、この導電性支持体20aの周囲に発泡体で形成された弾性層(発泡層)20bと、を有して構成される。本実施例では、導電性支持体20aとしての外径5mmの芯金電極の周囲に、発泡層20bとしての気泡同士がつながっている連続気泡体(連泡)で構成された発泡ウレタン層が設けられている。表層のウレタンを連続気泡体とすることで、供給ローラ20の内部にトナーが比較的多量に進入可能となる。また、本実施例では、供給ローラ20の電気抵抗は1×108(Ω)である。
ここで、供給ローラ20の電気抵抗の測定方法を説明する。供給ローラ20を、直径30mmのアルミスリーブに対し、侵入量が1.5mmとなるように当接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、供給ローラ20を30rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。次に、供給ローラ20に、-50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、供給ローラ20の電気抵抗を算出する。
なお、供給ローラ20の電気抵抗は1×108(Ω)以下であることが好ましい。供給ローラ20の電気抵抗が1×108(Ω)よりも大きいと、後述する供給ローラ20に流れる電流の検知精度が低下する可能性がある。ここで、供給ローラ20の電気抵抗は、機械的な特性の確保や製造上の理由などから、通常、1×103(Ω)以上である。
また、本実施例では、供給ローラ20の表面のセル径を50μm~1000μmとした。ここで、セル径とは、任意断面の発泡セルの平均径をいう。つまり、まず任意断面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。そして、上記平均径は、この最大セル径の1/2以下である発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均値のことを指す。
また、本実施例では、供給ローラ20の現像ローラ17に対する侵入量(供給ローラ20が現像ローラ17により凹状とされるその凹み量ΔE)は1.0mmに設定した。
4.制御態様
図3は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。画像形成装置100は、制御手段としての制御部(コントローラ)101を有する。制御部101は、演算処理を行う中心的素子であるCPU(中央演算処理ユニット)111、記憶手段であるROM112、RAM113などのメモリ、周辺機器との情報の入出力を行う入出力I/F114などを有している。RAM113には、センサの検知結果、演算結果などが格納され、ROM112には制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。
制御部101は、画像形成装置100の各部の動作を統括的に制御する。制御部101には、画像形成装置100における各制御対象が、入出力I/F114を介して接続されている。例えば、制御部101には、帯電電源41、規制電源31、現像電源32、供給電源33、一次転写電源42、二次転写電源43などの各種高圧電源が接続されている。また、制御部101には、ドラム駆動モータ61、現像駆動モータ62、露光装置3のポリゴンスキャナの駆動モータ(図示せず)、ベルト駆動モータ(図示せず)などの各種モータ(動力源)が接続されている。また、制御部101には、現像ローラ17の感光ドラム1に対する当接及び離間を切り替える離接機構71が接続されている。また、制御部101には、感光ドラム1に対するレーザー光の照射のタイミングや露光時間(レーザー点灯時間)を指示する信号を露光装置3へ伝達する露光制御部72が接続されている。また、制御部101には、画像形成装置100に設けられた操作部(オペレーションパネル)80が接続されている。操作部80は、制御部101の制御により情報を表示する表示手段としての表示部と、ユーザーやサービス担当者などの操作者が画像形成動作の各種設定などの情報を制御部101に入力するための入力手段としての入力部(キーなど)と、を有する。また、制御部101には、供給ローラ20に流れる電流を検知して、その検知結果に関する情報(信号)を制御部101に伝達する電流検知手段としての電流検知部(電流計)34が接続されている。これら例示のものを含め、画像形成装置100の各制御対象は、制御部101からの制御信号に基づき動作する。
5.カートリッジの寿命の報知
<カートリッジの寿命の報知の原理>
本実施例では、制御部101は、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて、カートリッジ7(現像装置4)の寿命に関する情報を報知する処理を実行する。つまり、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流を検知し、その検知結果に基づいて現像ローラ17上にコートされたトナー層の表面電位(トナーの劣化度)を推測し、カートリッジ7の寿命に関する情報の報知を行う。
図4は、カートリッジ7を用いて画像比率0.5%の画像を連続的に出力した場合に現像ローラ17上にコートされたトナー層の表面電位(ここでは、単に「トナー層の表面電位」ともいう。)を測定した結果の一例を示すグラフ図である。画像形成枚数(カートリッジ7の使用量)が増加するにつれて、トナー層の表面電位がマイナス方向に大きくなることがわかる。つまり、本実施例では負極性であるトナー層の表面電位の絶対値が大きくなる。これは、画像形成動作によりトナーの劣化が進むことで、現像ローラ17にコートされたトナーの単位面積当たりの電荷量(Q/S)の絶対値が大きくなることに起因する。このようにトナー層の表面電位の絶対値が大きくなると、トナー層の表面電位と感光ドラム1上の暗部電位(本実施例ではVd=-400V)との間の電位差が小さくなる。なお、現像ローラ17上にコートされたトナー層の表面電位(換言すれば、トナーがコートされた現像ローラ17の表面電位)は、当業者には周知の種々の測定器(電位計)を用いて測定することができる。
本実施例の構成では、現像ローラ17と感光ドラム1上の暗部電位との間の電位差と、記録材P上での「かぶり」の濃度との間には、図5に示すような関係がある。本実施例では、現像ローラ17と感光ドラム1上の暗部電位との間の電位差は100Vに設定されている。しかし、例えば、トナー層の表面電位の絶対値が35V大きくなると、現像ローラ17と感光ドラム1上の暗部電位との間の電位差が見かけ上65Vとなり、記録材P上の白字部への「かぶり」の濃度が5%程度まで大きくなる。
なお、記録材P上での「かぶり」の濃度は、所定の記録材(紙)Pに所定の画像(ベタ白など)を形成して白地部の反射濃度を測定した結果と、同一種類の記録材Pの反射濃度を測定した結果との差(濃度差(%))で表すことができる。
図6は、供給ローラ20と現像ローラ17とをそれぞれアース(接地電位)に繋いで略同電位とした状態で回転させて測定した、供給ローラ20に流れる電流とトナー層の表面電位との関係の一例を示すグラフ図である。トナー層の表面電位の絶対値が大きくなると、供給ローラ20に流れる電流がマイナス方向に大きくなることがわかる。なお、ここでは、マイナスの荷電粒子としてのトナーが現像ローラ17から供給ローラ20側に移動することで供給ローラ20に流れる電流を負極性の電流として表す。これは、次のような理由によるものである。つまり、トナー層の表面電位の絶対値が大きくなる、すなわち、現像ローラ17にコートされたトナーの電荷量の絶対値が大きくなると、供給ローラ20によって現像ローラ17から剥ぎ取られたトナーの持つ電荷量の絶対値が大きくなる。それに起因して、供給ローラ20によって現像ローラ17からトナーが剥ぎ取られることで生じる電流が大きくなるためである。
したがって、供給ローラ20に流れる電流を検知することで、トナー層の表面電位を推定し、トナーの劣化度(劣化状態)を推定して、「かぶり」のレベルが許容値を超えているか否かを判断することができる。本実施例では、記録材P上での「かぶり」の濃度の許容レベルを5%とした。そして、本実施例では、この「かぶり」の濃度の許容レベルに対応して、トナー層の表面電位の許容値を-35V、供給ローラ20に流れる電流の許容値を-1.38μAに設定した。つまり、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流の絶対値が閾値である1.38μA以上である場合に、カートリッジ7が寿命に達したと判断する。
ここで、本実施例のように現像ローラ17と供給ローラ20とが当接部において互いの表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する構成を「同方向剥ぎ取り構成」とする。これに対して、現像ローラ17と供給ローラ20とが当接部において互いの表面が逆方向に移動するようにそれぞれ回転する構成を「逆方向剥ぎ取り構成」とする。「同方向剥ぎ取り構成」は、「逆方向剥ぎ取り構成」と比較して、供給ローラ20による現像ローラ17からのトナーの剥ぎ取り能力が低い。そのため、「同方向剥ぎ取り構成」では、供給ローラ20によって剥ぎ取られずに現像ローラ17上に残留したトナーが現像ブレード21により繰り返し摺擦されやすい。そして、トナーの劣化が進み、トナーの流動性が低下して、現像ローラ17上にトナーが滞留しやすくなると、現像ローラ17上の同じトナーが現像ブレード21により繰り返し摺擦される傾向が助長され、現像ローラ17上のトナーのチャージアップが進む。これに対し、「逆方向剥ぎ取り構成」では、「同方向剥ぎ取り構成」と比較して供給ローラ20によるトナーの剥ぎ取り能力が高く、典型的には現像ローラ17上のトナーは供給ローラ20との接触部を1回通過する際にほぼ全て剥ぎ取られる。そのため、「逆方向剥ぎ取り構成」では、トナーの劣化度に拘わらず、現像ローラ17上のトナー層の表面電位は略一定になりやすい。このように、「同方向剥ぎ取り構成」は、「逆方向剥ぎ取り構成」と比較して、トナーの劣化度とトナー層の表面電位との相関性が高くなり、トナーの劣化度と供給ローラ20に流れる電流との相関性が高くなる傾向がある。つまり、「同方向剥ぎ取り構成」は、「逆方向剥ぎ取り構成」よりも、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまでの間の供給ローラ20に流れる電流の変化が大きく、この電流の検知結果に基づいてトナーの劣化度を推定するのに適した構成と言える。
なお、供給ローラ20の現像ローラ17に対する周速差は、120~230%の範囲に設定することが好ましい。この周速差が120%よりも小さい場合には、供給ローラ20により現像ローラ17から剥ぎ取られるトナーの量が少なくなり、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまでの間の供給ローラ20に流れる電流の変化が小さくなる。その結果、該電流の検知結果に基づくトナー層の表面電位(トナーの劣化度)の推定精度が低下する可能性がある。逆に、この周速差が230%よりも大きい場合には、トナーの劣化度にかかわらず、供給ローラ20により現像ローラ17上のトナーがほぼ全て剥ぎ取られることがある。そのため、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまでの間の供給ローラ20に流れる電流の変化が小さくなる。その結果、やはり該電流の検知結果に基づくトナー層の表面電位(トナーの劣化度)の推定精度が低下する可能性がある。本実施例では、前述のように、供給ローラ20の現像ローラ17に対する周速差は150%に設定した。
<供給ローラに流れる電流の検知方法>
次に、供給ローラ20に流れる電流の検知方法について説明する。
図2に示すように、本実施例では、供給ローラ20には電流検知部(電流計)34が直列に接続されている。電流検知部34によって供給ローラ20に流れる電流を検知する際には、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差を所定値以下とすることが好ましい。具体的には、該電流の検知を、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差が所定値以下となるような電圧を現像ローラ17、供給ローラ20、又はこれらの両方に印加した状態で実行する。あるいは、該電流の検知を、現像ローラ17及び供給ローラ20の両方に電圧を印加しない状態で実行する。典型的には、供給ローラ20に流れる電流を検知する際には、現像ローラ17と供給ローラ20とを略同電位とする。具体的には、該電流の検知を、現像ローラ17と供給ローラ20とが略同電位となるように、現像ローラ17及び供給ローラ20の両方に電圧を印加しない状態(すなわち、現像ローラ17及び供給ローラ20の両方がアースに接続された状態)で実行する。あるいは、現像ローラ17と供給ローラ10とが略同電位となるような電圧を、現像ローラ17、供給ローラ20、又はこれらの両方に印加した状態で実行してもよい。
図7は、現像ローラ17と供給ローラ20とに関わる部分の模式的な回路図である。現像ローラ17と供給ローラ20とが回転していない状態では(図7の上図)、トナー層が絶縁体として働き、現像ローラ17と供給ローラ20との間に電位差を設けても電流は流れない。一方、現像ローラ17と供給ローラ20とが回転し、現像ローラ17と供給ローラ20との間で電荷を持ったトナーが動くと、トナーが電流源として働き、電流が流れる(図7の下図)。この電流値を検知することで、トナー層の表面電位を推定することができる。しかし、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差が大きいと、現像ローラ17の電気抵抗値と供給ローラ20の電気抵抗値とにより、現像ローラ17と供給ローラ20との間で流れる電流が影響を受けてしまう。つまり、トナーの劣化度(トナー層の表面電位)の違いによって電流値が変化したのか、現像ローラ17や供給ローラ20の電気抵抗値の変動によって電流値が変化したのかがわからなくなりやすい。そのため、供給ローラ20に流れる電流を検知する際には、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差をできる限り小さくした方がよい。本発明者の検討によれば、この供給ローラ20に流れる電流を検知する際の現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差は、50V以下であることが好ましく、略0V(同電位)であることがより好ましい。ここで、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差は、現像バイアスと供給バイアスとの間の電位差で代表される。
なお、図7の下図において、現像ローラ17及び供給ローラ20の両方に電圧を印加しない状態は、現像ローラ17が電池Vdrを介さずにアースに接続され、供給ローラ20が電池Vrsを介さずに電流検知部34を介してアースに接続された状態に対応する。また、現像ローラ17又は供給ローラ20の少なくとも一方に電圧を印加する場合には、その印加電圧と現像ローラ17及び供給ローラ20の電気抵抗とに応じて流れる電流に、トナーの移動による電流が重畳された電流が、電流検知部34によって検知される。また、現像電源32や供給電源33の回路構成などによって、現像ローラ17及び供給ローラ20の両方に電圧を印加しない状態でも、現像ローラ17と供給ローラ20との間に電位差が形成される場合が考えられる。その場合、例えば現像ローラ17と供給ローラ20とが略同電位となるように現像ローラ17や供給ローラ20に電圧を印加してもよいし、その電位差が50V以下であれば電圧を印加しない状態でもよい。
また、電流検知部34によって供給ローラ20に流れる電流を検知する際には、現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差を画像形成時と略同一の電位差とすることが好ましい。具体的には、該電流の検知を、現像ブレード21と供給ローラ20との間の電位差が画像形成時と略同一となるような電圧を現像ブレード21に印加した状態で実行することが好ましい。これは、現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差によって現像ローラ17にコートされるトナーの電荷量が変化するためである。本実施例では、供給ローラ20に流れる電流を検知する際には、現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差を画像形成時と略同一の100Vとするために、規制バイアスVbl=-100Vとした。なお、画像形成時と同様、現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差は500V以下であることが好ましい。これは、前述のように、電位差を大きくし過ぎると現像ブレード21と現像ローラ17との間で放電が生じるためである。ここで、現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差は、規制バイアスと現像バイアスとの間の電位差で代表される。
なお、電位や電位差について略同一とは、完全に同一である場合の他、許容される誤差範囲程度(例えば±5%程度)に異なっている場合も含まれる。
<カートリッジの寿命の判断方法>
次に、図8を参照して、本実施例におけるカートリッジ7の寿命の判断方法について説明する。図8は、本実施例におけるカートリッジ7の寿命を判断する寿命判断動作の手順の概略を示すフローチャート図である。
まず、制御部101は、カートリッジ7の寿命判断動作の実行タイミングが到来すると、該動作を開始させる(S101)。なお、寿命判断動作の実行タイミングについては後述する。次に、制御部101は、電流検知部34による供給ローラ20に流れる電流の検知結果を取得する(S102)。このとき、制御部101は、現像電源32、供給電源33を制御し、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差を電流検知用電位差とする。本実施例では、現像電源32、供給電源33から現像ローラ17、供給ローラ20へのバイアスの印加をそれぞれOFF(すなわち、現像ローラ17及び供給ローラ20をそれぞれアースに接続)して、現像ローラ17と供給ローラ20とを略同電位とする。つまり、本実施例では上記電流検知用電位差は略0Vである。次に、制御部101は、取得した供給ローラ20に流れる電流の絶対値が閾値以上であるか否かを判断する(S103)。そして、制御部101は、S103で閾値以上であると判断した場合には、カートリッジ7が寿命に達したことを操作部80に表示させる(S104)。一方、制御部101は、S103で閾値未満であると判断した場合には、動作を終了させ、スタンバイ状態となる(S105)。
なお、カートリッジ7の寿命に関する情報の報知は、画像形成装置100に設けられた操作部80における表示によって行うことに限定されるものではない。例えば、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器の表示部で該表示を行ってもよい。この場合、制御部101は、カートリッジ7の寿命に関する情報を報知するための情報(信号)を該外部機器に送信する。また、カートリッジ7の寿命に関する情報としては、カートリッジ7が寿命に達したことを示す情報や、カートリッジ7の交換を促す情報を報知することができる。また、報知は、表示による報知に限定されず、上記表示内容と同様の内容のメッセージや警報などの音声による報知、ランプの点灯や点滅などの光による報知などの任意の方法による報知であってよい。また、供給ローラ20に流れる電流に対して複数の閾値を設定し、例えば該電流値が第1の閾値以上(第1の閾値より大きい第2の閾値未満)になった場合に、交換用のカートリッジ7の準備を促すための情報を報知することができる。そして、該電流値が第2の閾値以上となった場合に、カートリッジ7の交換を促すための情報を報知することができる。
また、現像装置4は、現像装置4内のトナーが寿命に達した場合に、新品のトナーに交換する構成とされていてもよい。
また、カートリッジ7が寿命に達した場合は、その旨を報知することに加えて、カートリッジ7の交換などの処置がとられるまで画像形成動作を禁止するようにしてもよい。
<動作シーケンス>
次に、図9を参照して、画像形成動作時と、非画像形成動作時に実行するカートリッジ7の寿命判断動作時の動作シーケンスについて説明する。図9(a)は、画像形成動作時の各部の動作タイミングを示すタイミングチャート図であり、図9(b)は、画像形成動作時及び寿命判断動作時の各部の動作タイミングを示すタイミングチャート図である。
まず、図9(a)を参照して、画像形成動作時の動作シーケンスについて説明する。制御部101は、画像形成動作の開始指示が入力されると、帯電ローラ2への帯電バイアスの印加、及び感光ドラム1の駆動を略同時に開始させる(t1)。その後、制御部101は、現像ブレード21への規制バイアスの印加、現像ローラ17への現像バイアスの印加、供給ローラ20への供給バイアスの印加、現像ローラ17及び供給ローラ20の駆動を略同時に開始させる(t2)。その後、制御部101は、感光ドラム1、現像ローラ17の周速が所定の周速(プロセススピード)まで立ち上がったタイミングで、感光ドラム1に現像ローラ17を当接させ、画像形成動作を開始する(t3)。
制御部101は、画像形成動作が終了すると、現像ローラ17を感光ドラム1から離間させる(t4)。その後、制御部101は、現像ローラ17への現像バイアスの印加、供給ローラ20への供給バイアスの印加、現像ブレード21への規制バイアスの印加、現像ローラ17及び供給ローラ20の駆動、帯電ローラ2への帯電バイアスの印加、及び感光ドラム1の駆動を略同時に停止させる(t5)。
次に、図9(b)を参照して、カートリッジ7の寿命判断動作時の動作シーケンスについて説明する。本実施例では、寿命判断動作は、非画像形成時として画像形成動作後に行われる。図9(b)において、t1~t4における画像形成動作時の各部の動作は上記図9(a)の場合と同じである。t4では、前述のように、現像ローラ17が感光ドラム1から離間させられる。その後、制御部101は、現像ローラ17への現像バイアスの印加、供給ローラ20への供給バイアスの印加、帯電ローラ2への帯電バイアスの印加、及び感光ドラム1の駆動を停止させる(t7)。ここで、制御部101は、t7において、現像ローラ17及び供給ローラ20の駆動を継続したまま、現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差が画像形成時と略同一(略100V)となるように現像ブレード21に印加する規制バイアスの調整も行う。ここでは、規制バイアスを-400Vから-100Vに変更する。そして、制御部101は、その状態で、電流検知部34による供給ローラ20に流れる電流の検知結果を取得する(t7~t8)。なお、供給ローラ20に流れる電流の検知結果は、所定の期間に検知された電流の平均値で代表することができる。その後、制御部101は、電流検知部34による供給ローラ20に流れる電流の検知が終了すると、現像ローラ17及び供給ローラ20の駆動を停止させる(t8)。その後、制御部101は、現像ブレード21への規制バイアスの印加を停止させる(t9)。
<比較例>
次に、本実施例の効果を示す後述する実験において本実施例の比較対照として用いた比較例について説明する。この比較例は、カートリッジ7の寿命をトナーの残量と現像動作の実行状況とからトナーの劣化度を算出し、カートリッジ7の寿命を報知するものである。つまり、トナーの劣化度は、現像動作の実行状況としての現像ローラ17の回転数の増加に伴って、画像比率(印字率)から算出したトナー残量に応じたトナー劣化量を積算することで算出した。また、カートリッジ7の寿命を報知するタイミングは、現像ブレード21の当接圧が中心設定(当接圧30gf/cm)である場合に記録材P上での「かぶり」の濃度が5%を超えるトナーの劣化度に基づいて設定した。この比較例の画像形成装置100のその他の構成及び動作は、本実施例のものと実質的に同じである。
<実験>
本実施例の効果を検証するため、表1に示すように現像ブレード21の当接圧が異なる3つのカートリッジ7(カートリッジ(1)~(3))を準備し、評価を行った。
表1に示した3つのカートリッジ7(カートリッジ(1)~(3))を用いて、低温低湿環境(10℃/10%)でそれぞれ画像比率0.5%の画像を連続的に出力した場合の、カートリッジ7の寿命が報知されたタイミングを本実施例と比較例とで比較した。
表2は、本実施例と比較例とでの、カートリッジ7の寿命が報知されたタイミングと、その時点での記録材P上での「かぶり」の濃度とを示す。
比較例では、全てのカートリッジ(1)~(3)において12500枚で寿命が報知された。これに対して、本実施例では、カートリッジ(1)~(3)ごとに異なるタイミングで寿命が報知された。そして、比較例では、寿命が報知された際の記録材P上での「かぶり」の濃度は、カートリッジ(1)~(3)ごとに異なっていた。これに対して、本実施例では、寿命が報知された際の記録材P上での「かぶり」の濃度は、全てのカートリッジ(1)~(3)で5%であった。
比較例においてカートリッジ7の寿命が報知されるタイミングが同じになったのは、次のような理由によるものである。比較例では、形成した画像の画像比率から算出されるトナーの残量と、現像ローラ17の回転数と、からトナーの劣化度を算出し、カートリッジ7の寿命の報知を行う。そのため、本実験のように同じ画像を連続的に出力した場合には、全てのカートリッジ(1)~(3)で算出されるトナーの劣化度が同じになるためである。ここで、比較例では、寿命を報知するタイミングを、カートリッジ(1)における現像ブレード21の当接圧(30gf/cm)の場合で設定している。しかし、カートリッジ(2)では、カートリッジ(1)よりも現像ブレード21の当接圧が高いため、トナーの劣化が想定よりも大きく、寿命が報知されるタイミングでは記録材P上での「かぶり」の濃度が10%と大きな値となってしまった。逆に、カートリッジ(3)では、カートリッジ(1)よりも現像ブレード21の当接圧が低いため、トナーの劣化が想定よりも小さく、記録材P上での「かぶり」の濃度が3%と低いにもかかわらず、寿命が報知されてしまった。
このように、比較例では、現像ブレード21の当接圧が異なるなどして、トナーの劣化速度が変わった場合に、実際に画像不良が生じるようになるタイミングと、寿命が報知されるタイミングと、にズレが生じてしまう。これに対して、本実施例では、トナー層の表面電位(トナーの劣化度)に相関のある供給ローラ20に流れる電流を検知してカートリッジ7の寿命を判断する。そのため、実際に画像不良が発生するタイミングに可及的に近いタイミングで、カートリッジ7の寿命の報知を行うことができる。
以上説明したように、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流を検知し、その検知結果に基づいてトナー層の表面電位(トナーの劣化度)を推測し、カートリッジ7の寿命の報知を行う。そのため、本実施例によれば、現像ブレード21の当接圧のバラつきなどによりトナーに対する負荷が変化した場合においても、精度よくカートリッジ7の寿命を報知することができる。つまり、本実施例によれば、トナーの残量と現像動作の実行状況とからトナーの劣化度を算出する従来の方法に比べて、カートリッジ7の寿命報知の精度を向上させることが可能である。
なお、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいてカートリッジ7の寿命を判断する寿命判断動作を、画像形成動作が終了した後に、画像形成装置の動作が停止(待機状態になる)前に実行したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成動作の開始指示が入力された後に、画像形成動作を開始する前に実行したり、画像形成動作中の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間(いわゆる紙間)で実行したりしてもよい。また、画像形成装置の電源投入後の準備動作時や、画像形成装置がスリープ状態から復帰した後の準備動作時などに実行してもよい。また、寿命判断動作は、毎回の画像形成動作の終了後などの上記各タイミングで実行することに限定されるものではない。寿命判断動作は、予め設定された所定の頻度で定期的に実行したり、予め設定された所定の条件を満たした場合に実行したりしてもよい。上記所定の頻度は、例えば、画像形成枚数、現像ローラ40などの回転部材の回転時間や回転回数などの現像装置4の使用量と相関する情報に基づいて設定することができる。また、上記所定の条件は、例えば、トナーの劣化度が進みやすい条件、例えば所定枚数以上の連続画像形成を実行した場合などとして設定することができる。
また、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流の検知結果からトナー層の表面電位をより精度よく推定できるように、該電流の検知時には現像バイアス及び供給バイアスの設定を画像形成動作時とは異なる設定とした。ただし、画像形成動作時の設定において所望の精度で該電流を検知できる場合などには、画像形成動作時に該電流の検知を行ってもよい。その場合、現像ローラ17は感光ドラム1に当接させられていてよい。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
<本実施例の概要>
本実施例では、制御部101は、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて、装置の動作設定としての画像形成動作のプロセス条件を変更する処理を実行する。つまり、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流を検知し、その検知結果に基づいてトナー層の表面電位(トナーの劣化度)を推測し、画像形成動作のプロセス条件として転写バイアス(一次転写バイアス、二次転写バイアス)の条件を変更する。
図10は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。本実施例の画像形成装置100の制御態様は、図3に示した実施例1の画像形成装置100のものと同様である。ただし、本実施例では、画像形成装置100は、装置本体100Aの内部又は外部の少なくとも一方の温度又は湿度の少なくとも一方を検知する環境検知手段を有する。本実施例では、画像形成装置100は、環境検知手段として、装置本体100Aの内部、より詳細には現像装置4の周囲の環境の相対湿度を検知することが可能な環境センサ73を有する。環境センサ73は、現像装置4の周囲の相対湿度の検知結果に関する情報(信号)を制御部101に伝達する。
そして、本実施例では、制御部101は、電流検知部34による供給ローラ20に流れる電流の検知結果と、環境センサ73による現像装置4の周囲の相対湿度の検知結果と、に基づいて、低湿度状態においてトナーの劣化度(劣化状態)を判断する。そして、制御部101は、その判断結果を画像形成動作のプロセス条件としての転写バイアス(一次転写バイアス、二次転写バイアス)の条件にフィードバックさせる。これにより、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで、安定した画像を形成すること可能となる。
図11は、現像装置4の周囲の相対湿度と、現像ローラ17上にコートされたトナー層の表面電位との関係を、劣化度の異なるトナーを用いて測定した結果の一例を示すグラフ図である。相対湿度が低い状態では、トナーの劣化度が変わることで、トナー層の表面電位が大きく変化していることがわかる。例えば、相対湿度10%の状態で新品のトナーがコートされた現像ローラ17上のトナー層の表面電位は-12.5Vである。これに対して、同じ相対湿度10%の状態で劣化した寿命末期のトナーがコートされた現像ローラ17上のトナー層の表面電位は-35V程度までその絶対値が大きくなっている。これは、相対湿度が低いほど、トナーが電荷を持ちやすいため、トナーの劣化度の変化に対するトナーの帯電量の変化も大きくなるためである。
トナーの劣化が進むと、トナーの帯電量が大きくなるだけでなく、感光ドラム1などに対する非静電的な付着力が増加する。その結果、カートリッジ7の寿命後半において、相対湿度の条件によっては、移動先(中間転写ベルト5や記録材P)に転写できずに移動元(感光ドラム1や中間転写ベルト5)へ残留するトナーの量が増加することがある。トナーと感光ドラム1や中間転写ベルト5との付着力が大きくなるためである。
そこで、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流の検知結果と、現像装置4の周囲の相対湿度の検知結果と、に基づいて、トナーの劣化度に応じた転写性を判断し、転写バイアス(一次転写バイアス、二次転写バイアス)を変更する。これにより、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで、安定した画像を形成することが可能となる。特に、本実施例では、環境センサ73によって検知された湿度が所定の湿度以下の場合に、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて転写バイアス(一次転写バイアス、二次転写バイアス)の設定を変更する。
<転写バイアスの設定方法>
次に、図12を参照して、本実施例における転写バイアスの設定方法について説明する。図12は、本実施例における転写バイアスを設定するバイアス設定動作の手順の概略を示すフローチャート図である。
まず、制御部101は、バイアス設定動作の実行タイミングが到来すると、該動作を開始させる(S201)。なお、バイアス設定動作の実行タイミングについては後述する。次に、制御部101は、環境センサ73による装置本体100Aの内部(現像装置4の周囲)の相対湿度の検知結果を取得する(S202)。次に、制御部101は、取得した相対湿度が閾値である60%以下であるか否かを判断する(S203)。
そして、制御部101は、S203で相対湿度が60%以下であると判断した場合には、供給ローラ20に流れる電流の検知動作を実行させ、電流検知部34による供給ローラ20に流れる電流の検知結果を取得する(S204)。このとき、制御部101は、現像電源32、供給電源33を制御し、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差を電流検知用電位差(本実施例では略0V)とする。なお、この供給ローラ20に流れる電流の検知動作は、実施例1で説明したものと同様である。つまり、図9におけるt7~t8までの動作と同様の動作により、供給ローラ20に流れる電流を検知する。次に、制御部101は、S204で取得した電流値と、予め求められた該電流値とトナーの劣化度との関係を示す情報と、に基づいて、トナーの劣化度を判断する(S205)。次に、制御部101は、S205で判断したトナーの劣化度と、予め設定されたトナーの劣化度と一次転写バイアス及び二次転写バイアスの設定との関係を示す情報と、に基づいて、一次転写バイアス及び二次転写バイアスを決定する(S206)。
本実施例では、S205、S206で用いる上記情報は、表3に示すような、供給ローラ20に流れる電流の所定の区分ごとにトナーの劣化度と転写バイアス値とが関係付けられたテーブルデータとして予め設定されてROM112に記憶されている。なお、予め設定された供給ローラ20に流れる電流と転写バイアス値との関係を示す情報を用いることで、トナーの劣化度を求めることを省略して、供給ローラ20に流れる電流の検知結果から直接転写バイアスを決定してもよい。
一方、制御部101は、S203で相対湿度が60%より高いと判断した場合には、動作を終了させる(S207)。
ここで、上述のバイアス設定動作は、例えば、画像形成動作の開始指示が入力された後に、画像形成動作を開始する前に実行したり、画像形成動作中の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間(いわゆる紙間)で実行したりすることができる。また、画像形成装置の電源投入後の準備動作時や、画像形成装置がスリープ状態から復帰した後の準備動作時などに実行してもよい。これらのタイミングで実行した場合は、典型的には、その直後の画像形成動作からバイアス設定動作の結果を反映させることができるが、これに限定されず後続の任意の画像形成動作から反映させることができる。また、バイアス設定動作は、画像形成動作が終了した後に、画像形成装置の動作が停止する(待機状態になる)前に実行してもよく、この場合は次回以降の画像形成動作からバイアス設定動作の結果を反映させるようにすればよい。また、バイアス設定動作は、毎回の画像形成動作の前などの上記各タイミングで実行することに限定されるものではない。バイアス設定動作は、実施例1に関して説明したのと同様、予め設定された所定の頻度で定期的に実行したり、予め設定された所定の条件を満たした場合に実行したりしてもよい。
<比較例>
次に、本実施例の効果を示す後述する実験において本実施例の比較対照として用いた比較例について説明する。この比較例では、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで転写バイアスを一定値(一次転写バイアス:+1000V、二次転写バイアス:+1500V)とした。比較例の画像形成装置100のその他の構成及び動作は、本実施例のものと実質的に同じである。
<実験>
本実施例の効果を検証するため、本実施例と比較例とについて、低温低湿環境(10℃/10%)でそれぞれ画像比率0.5%の画像を連続的に出力し、1000枚ごとにベタ画像を出力し、ベタ画像の濃度(光学濃度)の変化を比較した。ここでは、代表して1つの画像形成部(ブラック用の画像形成部SK)を用いて画像を形成して比較を行った。
図13は、本実施例と比較例とにおけるベタ画像の濃度の推移の一例を示すグラフ図である。比較例では、画像形成枚数(カートリッジ7の使用量)が増加するにつれて、画像濃度が下がっていくことがわかる。これは、画像形成枚数(カートリッジ7の使用量)が増加するにつれて、トナーが劣化し、トナーと感光ドラム1や中間転写ベルト5との付着力が増加することで、転写できるトナー量が減少するためである。これに対して、本実施例では、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで、画像濃度は1.3以上を維持しており、安定している。これは、トナーの劣化度に応じて転写バイアスを設定しており、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで転写できるトナー量の変化が少ないためである。このように、本実施例によれば、トナーの劣化度を判断し、その劣化度に応じて転写バイアスを設定することで、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで安定した画像を形成することができる。
以上説明したように、本実施例では、低湿度環境においてトナーの劣化度に応じて転写バイアスを設定する。そのため、本実施例によれば、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで安定した画像を形成することができる。
なお、本実施例では、相対湿度が所定の閾値以下の場合に、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて転写バイアスの設定を変更したが、これに限定されるものではない。例えば、予め設定された相対湿度と転写バイアスの設定との関係を示すテーブルデータなどの情報に基づいて、検知された相対湿度に応じて転写バイアスを変更する構成としてもよい。
また、本実施例では、トナーの劣化度に応じて、画像形成動作のプロセス条件として転写バイアスを変更したが、これに限定されるものではない。画像形成動作のプロセス条件として、上記転写バイアス、帯電バイアス、現像バイアス、規制バイアス、供給バイアスなどの各種バイアスのうち少なくとも1つを変更することができる。本実施例では、供給ローラ20に流れる電流の絶対値(又はトナーの劣化度)が第1の値の場合よりも、第1の値より大きい第2の値の場合に、転写バイアス(一次転写バイアス、二次転写バイアス)の絶対値を大きくした。同様に、帯電バイアス、現像バイアス、規制バイアス、供給バイアスについても、典型的には、供給ローラ20に流れる電流の絶対値(又はトナーの劣化度)が第1の値の場合よりも、第1の値より大きい第2の値の場合の絶対値を大きくすることができる。これは、本実施例で説明した転写の場合と同様に、トナーの劣化度が進むにつれて、トナーの移動元(又は付着させたくない側)から移動先(又は付着させたい側)へのトナーの移動がしにくくなるため、電気的な付勢力を高めるなどの理由による。
また、本実施例では、装置の動作設定として、画像形成動作のプロセス条件の設定を変更したが、これに限定されるものではない。例えば、現像装置へのトナーの補給に関する設定を変更してもよい。例えば、トナーを補給する形態の現像装置においては、トナーの劣化度に応じてトナーを補給するタイミングを決定してもよい。例えば、新品のトナーを補給することで、劣化したトナーを徐々に排出して新品のトナーに入れ替えていく構成が考えられる。このような構成において、例えばトナーの劣化度が進むにつれて、新品のトナーを補給するタイミングを早める(あるいは補給間隔を短くする)などすることができる。
また、実施例1の場合と同様、画像形成動作時の設定において所望の精度で該電流を検知できる場合などには、画像形成動作時に該電流の検知を行ってもよい。この場合には、現像ローラ17は感光ドラム1に当接させられていてよい。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
<本実施例の概要>
本実施例では、制御部101は、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて、現像装置内のトナーの量を求めるために取得された指標値を補正する処理を実行する。本実施例では、該指標値は、画像形成動作において形成する画像の画像情報に基づく値である。特に、本実施例では、該指標値は、画像情報に応じて感光ドラム1を露光して感光ドラム1に静電像を形成する露光装置3による露光時間に対応する値である。つまり、本実施例では、画像情報に基づいてカートリッジ7内のトナー量の検知を行う構成において、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて重み付けを行うことで、カートリッジ7内のトナー残量の算出精度を向上させる。
本実施例の画像形成装置100の制御態様は、図3に示した実施例1の画像形成装置100のものと同様である。ただし、本実施例では、制御部101は、露光装置3の露光時間(レーザー点灯時間)から見積もられるトナーの使用量に基づいて、カートリッジ7内のトナー残量を求める、トナー残量検知手段としての機能を有する。
図14は、画像比率5%の画像を連続的に出力した場合の単位画像形成枚数当たりのトナーの使用量の推移の一例を示すグラフ図である。画像形成枚数(カートリッジ7の使用量)が増加するにつれて、トナーの使用量が多くなっていることがわかる。これは、次のような理由によるものと考えられる。
感光ドラム1上の静電潜像の現像は、感光ドラム1上に形成された明部電位Vlと暗部電位Vdとの差分である「潜像コントラスト」をトナーの電荷で埋めるように、トナーが明部電位Vlの部分に付着することで行われる。このとき、現像装置4の静電潜像に対するトナー供給能力が高い構成では、潜像コントラスを十分に埋める分のトナーが現像装置4から静電潜像に供給さる。一方、現像装置4の静電潜像に対するトナー供給能力が低い構成では、潜像コントラストを埋めきらない量のトナーしか現像装置4から静電潜像に供給されない。後者の構成は、現像装置4の現像剤担持体上のトナーが全て現像に供されたとしても潜像コントラストを埋めきれない構成であることから「100%現像」などと呼ばれることがある。例えば、トナーとキャリアとを備えた二成分現像剤を用いる構成などでは、現像装置4のトナー供給能力が比較的高いのに対して、本実施例のように接触現像方式を採用した構成では、「100%現像」の状態となることが多い。
100%現像となる構成でも、静電コントラストや現像装置4のトナー供給能力の設定などにより、画質的に問題のない画像を形成することができるようになっている。しかし、前述のように、トナーの劣化が進み、トナーの流動性が低下して、現像ローラ17上にトナーが滞留しやすくなると、現像ローラ17上のトナー量が多くなる。そして、そのトナーは現像ブレード21を持ち上げるようにして現像ブレード21との接触部を通過して、感光ドラム1と対向(接触)する現像部に搬送されるようになる。すると、当初100%現像となる構成では、潜像コントラストを埋めきるようになるまで、現像部に搬送されるトナーの量が増えれば増えるほど、現像装置4から静電潜像に供給されるトナーが増える。したがって、カートリッジ7の使用量が増加してトナーの劣化が進むにつれて、トナーの使用量が増加する傾向となる。
そこで、本実施例では、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいてトナーの劣化度を推定し、その結果に基づいて露光時間からトナーの使用量を見積もる際に重み付けを行う。これにより、カートリッジ7内のトナー残量の算出精度を向上させる。
<トナー残量の報知方法>
次に、図15を参照して、本実施例におけるトナー残量の報知方法について説明する。図15は、本実施例におけるトナー残量の報知動作の手順の概略を示すフローチャート図である。
まず、制御部101は、トナー残量の検知のための重み付け係数を決定する動作の実行タイミングが到来すると、該動作を開始させる(S301)。本実施例では、この動作は、画像形成動作の開始指示が入力された後に、画像形成動作を開始する前に実行する。次に、制御部101は、電流検知部34による供給ローラ20に流れる電流の検知結果を取得する(S302)。このとき、制御部101は、現像電源32、供給電源33を制御し、現像ローラ17と供給ローラ20との間の電位差を電流検知用電位差(本実施例では略0V)とする。なお、この供給ローラ20に流れる電流の検知動作は、実施例1で説明したものと同様である。つまり、図9におけるt7~t8までの動作と同様の動作により、供給ローラ20に流れる電流を検知する。その後、制御部101は、S302で取得した電流値と、予め設定された該電流値と露光時間の重み付け係数との関係を示す情報と、に基づいて、重み付け係数を決定する。本実施例では、この情報は、表4に示すような、供給ローラ20に流れる電流の所定の区分ごとに露光時間の重み付け係数が関係付けられたテーブルデータとして予め設定されてROM112に記憶されている。
次に、制御部101は、画像形成動作を開始して、露光時間(レーザー点灯時間)を積算し、積算値をRAM113に保存する(S304)。次に、制御部101は、S304でRAM113に保存された露光時間の積算値にS303で決定した重み付け係数を乗じる(S305)。本実施例では、画像形成動作において1枚の画像を出力するごとに露光時間の積算値に重み付け係数を乗じる。ただし、これに限定されるものではなく、任意の頻度(タイミング)で露光時間の積算値の重み付け係数を乗じることができる。次に、制御部101は、これまでにRAM113に保存されている総露光時間にS305で求めた値を加算し、総露光時間を更新してRAM113に保存する(S306)。次に、制御部101は、S306で求めた総露光時間が閾値以上であるか否かを判断する(S307)。そして、制御部101は、S307で閾値以上であると判断した場合には、カートリッジ7内のトナーが無くなったことを操作部80に表示させる(S308)。一方、制御部101は、S307で閾値未満であると判断した場合には、動作を終了させる(S309)。なお、複数の画像を出力する画像形成動作の場合は、S304~S308の処理を全ての画像の出力が終了するまで繰り返す。
なお、トナー残量に関する情報の報知は、画像形成装置100に設けられた操作部80における表示で行うことに限定されるものではない。例えば、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器の表示部で該表示を行ってもよい。この場合、制御部101は、トナー残量に関する情報を報知するための情報(信号)を該外部機器に送信する。また、トナー残量に関する情報としては、トナーが無くなったことを表示したり、カートリッジ7の交換を促す表示を行ったりすることができる。また、報知は、表示による報知に限定されず、上記表示内容と同様の内容のメッセージや警報などの音声による報知、ランプの点灯や点滅などの光による報知などの任意の方法による報知であってよい。また、総露光時間に対して複数の閾値を設定し、例えば該時間が第1の閾値以上(第1の閾値より大きい第2の閾値未満)になった場合に、トナー無しに近付いたことを示す情報を報知することができる。そして、該時間が第2の閾値以上となった場合に、トナーが無くなったことを知らせるため、あるいはカートリッジ7の交換を促すための情報を報知することができる。
また、本実施例では、総露光時間を閾値と比較して、トナーの無しを報知したが、総露光時間からトナー残量を算出し、トナー残量(残量%など)を報知したり、トナー無しを報知したりしてもよい。この場合、例えば、予め設定された総露光時間とトナー残量との関係を示すテーブルデータなどの情報に基づいて、逐次求められる総露光時間に応じてトナー残量を逐次報知することができる。
また、本実施例では、画像情報に応じた露光時間の情報を用いてトナー残量を求めたが、画像情報に基づいて取得される画素数の積算値や画素ごとの濃度情報の積算値の情報などを用いてトナー残量を求めてもよい。この場合も、本実施例と同様に、画素数や濃度情報の積算値を、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて重み付けして積算して、トナー残量を求めることができる。
<比較例>
次に、本実施例の効果を示す後述する実験において本実施例の比較対象として用いた比較例について説明する。この比較例では、カートリッジ7の使用開始から寿命に至るまで、補正(重み付け)を行わずに、レーザーの露光時間から見積もられるトナーの消費量に基づいてトナー残量の検知を行った。トナー無しを報知するタイミングは、画像比率5%の画像を連続的に出力した際に、トナーが不足して静電像にトナーが供給されずに白く抜ける「白抜け」が発生した総露光時間に基づいて設定した。
<実験>
本実施例の効果を検証するため、本実施例と比較例とについて、常温常湿環境(23℃/50%)でそれぞれ画像比率1%、5%、10%の画像を出力し、トナー無しが報知されるタイミングを比較した。
表5は、本実施例と比較例とにおけるトナー無しが報知されたタイミングと、トナー無しが報知されるタイミングから「白抜け」が発生するまでの間の画像形成枚数と、の関係を示す。表5において、画像形成枚数がマイナスの値の場合は、トナー無しが報知されるよりも前に「白抜け」が発生したことを意味し、プラスの値の場合は、トナー無しが報知された後も「白抜け」のない画像を形成できたことを意味する。
比較例では、画像比率5%の画像を出力した場合は、トナー無しが報知されるタイミングと、実際に「白抜け」が発生するタイミングと、が略同じタイミングであったが、その他の画像比率の場合はタイミングにズレが生じてしまった。これは、次のような理由による。比較例では、画像比率5%での総露光時間に基づいてトナーの消費量を算出している。そのため、5%よりも低い画像比率の画像を出力した場合には、想定よりもトナー層の表面電位の上昇が大きくなり、「白抜け」が発生するようになるタイミングが想定よりも早くなる。また、5%より高い画像比率の画像を出力した場合には、想定よりもトナー層の表面電位の上昇が小さくなり、「白抜け」が発生するようになるタイミングが想定よりも遅くなる。これに対して、本実施例では、画像比率によらず、トナー無しが報知されるタイミングと、実際に「白抜け」が発生するタイミングと、が略同じタイミングであった。これは、供給ローラ20に流れる電流に基づいてトナー層の表面電位を推定し、トナー残量を求めるためのトナーの使用量に対応する指標値を補正しているからである。このように、本実施例によれば、トナーの劣化度を判断し、その劣化度に応じて該指標値としての露光時間を補正することで、トナー残量の検知精度を向上させることができる。
以上説明したように、供給ローラ20に流れる電流の検知結果に基づいて、現像装置4内のトナーの量を求めるために取得された露光時間を補正して、トナー残量を求める。そのため、本実施例によれば、トナー残量の検知精度を向上させることができる。
なお、実施例1の場合と同様、画像形成動作時の設定において所望の精度で該電流を検知できる場合などには、画像形成動作時に該電流の検知を行ってもよい。この場合には、現像ローラ17は感光ドラム1に当接させられていてよい。また、この場合には、該電流の検知と並行して露光時間の積算を行うことができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、現像装置はプロセスカートリッジとして画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とされたが、現像装置が実質的に単体で画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とされていてもよい。
また、上述の実施例では、カラー画像形成装置を例示したが、本発明はモノクロ画像形成装置に適用してもよい。また、上述の実施例では中間転写方式を採用した画像形成装置を例示したが、記録材担持体に担持された記録材に各色のトナー像を順次重ね合わせるようにして転写する直接転写方式を採用した画像形成装置に本発明を適用してもよい。
また、上述の実施例では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、複写機、ファクシミリ装置、又はプリンタ、複写機、ファクシミリ装置などのうち複数の機能を有する複合機などの他の画像形成装置に適用してもよい。