以下に図面を参照して、本発明の実施形態を例示する。ただし、実施形態に記載されている構成部品の寸法や材質や形状やそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。
実施例1に係る画像形成装置Sの画像形成動作について図1を用いて説明する。図1は、実施例1に係る画像形成装置の概略断面図である。
画像形成装置Sは、画像形成装置Sの装置本体100と、画像形成ユニットとしてのプロセスカートリッジCy・Cm・Cc・Ckを有する。つまり、画像形成装置Sは、プロセスカートリッジCを複数有している。プロセスカートリッジは、現像剤としてのトナーを用いて、後述する中間転写ベルトに、現像剤像としてのトナー像を転写する。そして、中間転写ベルトに転写されたトナー像は、記録材Pに転写される。
プロセスカートリッジCyは、イエローのトナー像を形成する。プロセスカートリッジCmは、マゼンダのトナー像を形成する。プロセスカートリッジCcは、シアンのトナー像を形成する。プロセスカートリッジCkは、ブラックのトナー像を形成する。
装置本体100は、プロセスカートリッジが装着され、後述する中間転写体にトナー像を形成するためのステーションを備える。プロセスカートリッジCyが装着されるステーションを第1ステーションとする。プロセスカートリッジCmが装着されるステーションを第2ステーションとする。プロセスカートリッジCcが装着されるステーションを第3ステーションとする。プロセスカートリッジCkが装着されるステーションを第4ステーションとする。
本実施例において、プロセスカートリッジCy〜Ckは、収納されるトナーの色以外は同一の構成である。原則として、以下の記載では、プロセスカートリッジCy〜Ckで同一の部分については、添え字であるy〜kを省略してまとめて説明する。
なお、プロセスカートリッジの構成は、完全に同一である必要はない。例えば、ブラックのプロセスカートリッジの大きさが他のプロセスカートリッジの大きさより大きくてもよい。
また、本実施例では、画像形成ユニットであるプロセスカートリッジが画像形成装置の装置本体100から着脱可能であるが、これに限定されない。
また、本実施例では、プロセスカートリッジが感光ドラムと、後述する現像装置と、クリーニング装置を一体的に備えている。しかし、感光ドラムと、現像装置と、クリーニング装置が、装置本体100に対し個別に着脱可能な構成であってもよい。また、感光ドラムと、現像装置と、クリーニング装置の全部または一部が、装置本体100に固定されている構成であってもよい。さらに、感光ドラムとクリーニング装置を備えた感光体カートリッジと、現像装置を備えた現像カートリッジと、を装置本体100に着脱可能に構成してもよい。
(プロセスカートリッジ)
第1ステーションにおけるプロセスカートリッジCyを用いてプロセスカートリッジについて説明する。以下の説明では、添え字であるyを省略して説明する。例えば、プロセスカートリッジCyを、プロセスカートリッジCと呼ぶ。プロセスカートリッジCの部材や、これに対応する装置本体100側の部材も、同様に添え字yを省略する。
図1に示すように、プロセスカートリッジCは、像担持体としての感光ドラム1と、帯電部材としての帯電ローラ2と、現像装置4と、クリーニング装置6とを有する。感光ドラム1には、静電潜像が形成される。感光ドラム1は、静電潜像を担持する。
感光ドラム1は、図1の矢印R1方向に回転する。感光ドラム1は、感光ドラム1に当接しながら従動回転する帯電ローラ2によって所定の電位に均一に帯電される。
一方、感光ドラム1の表面の残留トナーを回収するクリーニング装置6は、感光ドラム1に接触する清掃部材としてのクリーニングブレード6aを備える。クリーニングブレード6aは、ウレタンゴムで形成された弾性部を備える。クリーニングブレード6aは、弾性部が感光ドラム1y回転方向に対してカウンター方向から感光ドラム1yに当接するように、クリーニング装置6のクリーニング枠体に固定されている。
現像装置4は、現像剤としてのトナーTを収納している。本実施例のトナーは、負帯電性の非磁性一成分トナーである。トナーは、樹脂粒子などからなる母体と、シリカなどの無機微粒子からなる外添剤とから構成されている。
また、現像装置4yは、回転可能な現像剤担持体としての現像ローラ4aを有する。現像ローラ4aは、トナーを担持する。現像ローラ4aは、感光ドラム1に形成された静電潜像に、トナーを供給することにより、静電潜像を可視化し、感光ドラム1にトナー像を形成する。現像装置4は、現像ローラ4aの表面に担持されたトナーに電荷を付与するため、現像ローラ4aに当接している現像ブレード4bを有する。現像ブレード4bは、現像ローラ4aの表面に担持されたトナーの厚みを規制する層厚規制部材である。現像ローラ4aの回転方向において、感光ドラム1にトナー像を形成する部分の下流側に、封止シート4cが備えられている。
本実施例の現像剤は、非磁性一成分トナーであるが、これに限定されない。例えば、現像剤として、磁性一成分現像剤や、トナーとキャリアを混合した二成分現像剤を用いることができる。
また、本実施例では、感光ドラム1(1y〜1k)として直径30mmの負帯電特性のOPC(有機感光体)ドラムが使用されている。画像形成時には、不図示の駆動源により、感光ドラム1の表面は図1の矢印R1方向に向けて100mm/secで回転する。
また、現像ローラ4aの表面の速さ(周速)は、感光ドラム1の表面の速さ(周速)の1.4倍(140%)である。現像ローラ4aによって感光ドラム1の静電潜像が現像される現像部において、現像ローラ4aの表面が回転する方向と感光ドラム1の表面が回転する方向は、同じである。
また、プロセスカートリッジCの使用履歴に関する情報を記憶する記憶装置6b(メモリ)がクリーニング装置6に備え付けられている。画像形成装置の装置本体100に設けられた制御部(CPU)10は、記憶装置6bに情報を書き込み、記憶装置6bに格納されている情報を参照する。
(画像形成装置の装置本体100)
画像形成装置の装置本体100について説明する。
装置本体100は、各プロセスカートリッジの感光ドラム1を露光する露光装置としてのスキャナ3を備える。スキャナ3から発信されたレーザービームLによって、感光ドラム1が露光される。そして、感光ドラム1の表面に静電潜像が形成される。そして、現像ローラ4aが所望のタイミングで感光ドラム1に当接することで、感光ドラム1の表面にトナーが供給される。これにより、感光ドラム1の表面の静電潜像は顕在化され、感光ドラム1yの表面に現像剤像としてのトナー像が形成される。静電潜像の顕在化は、静電潜像の現像、静電潜像の可視化、とも呼ばれる。なお、露光装置として、複数の発光ダイオード(LED)で感光ドラム1を露光する構成を用いてもよい。
装置本体100は、中間転写体としての中間転写ベルト7を備える。中間転写ベルト7は、図1の矢印R2方向に回転可能である。中間転写ベルト7は、一次転写部において感光ドラム1から転写されたトナー像を、二次転写部において記録材Pに転写する。
中間転写ベルト7の内側には、一次転写部材としての一次転写ローラ5(5y〜5k)が配置される。一次転写ローラ5の数は複数である。各感光ドラム1(1y〜1k)一つにつき、一つの一次転写ローラ5(5y〜5k)が設けられる。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して、感光ドラム1に対向する。つまり、一次転写ローラ5と感光ドラム1は、中間転写ベルト7が一次転写ローラ5と感光ドラム1の間に挟まれるように配置されている。感光ドラム1と一次転写ローラ5に挟まれた領域で、感光ドラム1の表面のトナー像は、中間転写ベルト7に転写される。この領域を、一次転写部と呼ぶ。本実施例では、感光ドラムの数が複数なので、一次転写部の数も複数である。
中間転写ベルト7の外側には、二次転写部材としての二次転写ローラ18が配置されている。中間転写ベルト7の内側には、二次転写ローラ18に対向するように、二次転写対向部材としての二次転写対向ローラ8が配置されている。二次転写ローラ18は、中間転写ベルト7を介して、二次転写対向ローラ8に対向する。つまり、二次転写ローラ18と二次転写対向ローラ8は、中間転写ベルト7が二次転写ローラ18と二次転写対向ローラ8の間に挟まれるように配置されている。二次転写ローラ18と二次転写対向ローラ8に挟まれた領域で、中間転写ベルト7の表面のトナー像は、記録材Pに転写される。この領域を、二次転写部と呼ぶ。
装置本体100は、中間転写ベルト7の表面のトナー像に接触可能な接触部材としての中間転写ブラシ11を備える。中間転写ブラシ11は、中間転写ベルト7に接触可能である。中間転写ブラシ11は、中間転写ベルト7の表面のトナーに接触し、トナーの電荷量を変化させる。中間転写ベルト7と、中間転写ブラシ11が接触する部分を、接触部と呼ぶ。中間転写ブラシ11は、回転方向R2において、二次転写部の下流側、かつ一次転写部(最も上流側に位置する一次転写部)の上流側に配置されている。
装置本体100は、電源12を備える。本実施例では、電源12は、一次転写ローラ5、二次転写ローラ18、中間転写ブラシ11、現像ローラ4a、帯電ローラ2に接続される。電源12は、一次転写ローラ5、二次転写ローラ18、中間転写ブラシ11、現像ローラ4a、帯電ローラ2に電圧を印可する。なお、電源12は、上述の部材以外の部材に接続され、電圧を印可してもよい。また、少なくとも一つの部材に接続される電源12と、それ以外の部材に接続される電源12が、異なっていてもよい。つまり、電源12は複数でもよい。
装置本体100は、制御部10を備える。制御部10は、後述する中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介さないトナー供給動作と、中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介したトナー供給動作とを行う。本実施例では、制御部10は、後述する記録材への画像形成動作を行う。制御部10は、プロセスカートリッジに動力を伝える駆動源、上述した各電源、露光装置などの各部材の動作を制御する。なお、制御部10は、上述の部材以外の部材を制御してもよい。また、制御部は一つである必要はない。少なくとも一つの部材を制御する制御部と、それ以外の部材を制御する制御部が、異なっていてもよい。
装置本体100は、記録材Pにトナー像を定着させるための定着ローラ9を備えた、定着装置を有する。
(記録材への画像形成動作)
記録材への画像形成動作について説明する。
感光ドラム1の表面が、負極性の電圧が印加された帯電ローラ2によって負極性に帯電させられる。そして、スキャナ3によって、感光ドラム1の表面がレーザ光によって露光される。本実施例では、帯電ローラ2によって帯電させられた感光ドラム1の表面電位は、およそ−500V(暗部電位)である。そして、スキャナ3によって露光された部分の表面電位は、およそ−100V(明部電位)である。
現像ローラ4aの表面には、負極性に帯電させられ、かつ現像ブレード4bによって厚みの規制されたトナー(トナー層)が担持されている。また、現像ローラ4aに現像電圧(現像バイアス)として、およそ−300Vの直流電圧が印加されている。
上述したように、現像ローラ4aの表面のトナーの電荷量の極性は、負極性である。現像ローラ4aが感光ドラム1と接触することで、現像ローラ4aの表面のトナーは、明部電位を有する部分に移動する。そして、感光ドラム1の表面に、トナー像が形成される。
一次転写ローラ5には、一次転写電圧として、正極性の電圧が印加される。本実施例では+300Vの直流電圧が印可される。そして、感光ドラム1の表面のトナー像は、感光ドラム1から中間転写ベルト7の表面に一次転写される。感光ドラム1から中間転写ベルト7の表面に転写されたトナー像は、一次転写部から矢印R2の方向に搬送される。
一方、一次転写部において、中間転写ベルト7に転写されずに感光ドラム1の表面に残留した残留トナー(一次残留トナー)は、クリーニングブレード6aによって除去される。このとき、一次残留トナーの一部は、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの当接部分にとどまり、後述する潤滑層を形成する。それ以外の一次残留トナーは、クリーニング装置6に備えられた残トナー収納部に回収される。
プロセスカートリッジCm〜Ckも同様にトナー像を形成する。プロセスカートリッジCy〜Ckによって形成されたトナー像は、互いに重なり、中間転写ベルト7の表面に転写される。
中間転写ベルト7に転写されたトナー像が二次転写部に到達する前に、不図示の搬送装置により、二次転写部には記録材Pが搬送される。そして、二次転写ローラ18に、二次転写電圧として、正極性の電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト7の表面に転写されたトナー像は、記録材Pに転写される。
すなわち、中間転写ベルト7は、感光ドラム1に形成されたトナー像を受け取り、受け取ったトナー像を紙などの記録材Pに転写する。中間転写ベルト7に受け取られたトナー像は、二次転写部で記録材Pに転写される。
なお、本実施例では二次転写ローラ18に、正極性の電圧を印可したが、中間転写ベルト7の内側に設けられた二次転写対向ローラ8に、負極性の電圧を印可するものであってもよい。
トナー像が転写された記録材Pは、定着ローラ9によって加熱される。これにより、記録材Pにトナー像が定着する。
本実施例では、一次転写部材として、一次転写ローラを用いていた。しかし、本発明はこれに限定されない。中間転写ベルトに現像剤像を一次転写できるように、二次転写ローラや二次転写対向ローラから中間転写ベルトに電位を付与する構成でもよい。この場合、一次転写ローラを省略できる。なお、この際も、感光ドラム1から中間転写ベルト7にトナー像が転写する部分が、一次転写部である。
(中間転写ベルトの清掃)
中間転写ベルトから記録材Pにトナー像が転写された後、中間転写ベルト7の表面に、残留トナー(二次残留トナー)としてトナーが残る場合がある。中間転写ベルト7の表面の二次残留トナーを清掃する目的で、中間転写体の2次転写部材が当接する箇所の回転方向下流に清掃部材が設けられる。
本実施例では、接触部材として、ブラシ状の部材やローラ状の部材を中間転写ベルトに対し当接して、電圧を印加する(バイアスをかける)。そして、二次残留トナーを除電する、または二次残留トナーの電荷が、所望の電荷となるようにコントロールする。そして、二次残留トナーの一部を、接触部材に一時的に貯留する。その他の二次残留トナーを、感光ドラムへ電気的に回収させる。これにより、中間転写体上の残留トナーが清掃される。
図1に示すように、回転方向R2において、二次転写部の下流側に、中間転写ブラシ11が当接している。中間転写ブラシ11によって、二次残留トナーの電荷をコントロールした後、一次転写部で中間転写ベルト7から感光体ドラム1へ戻す。戻された二次残留トナーは、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの間に供給され、クリーニングブレード6aによってクリーニングされる。
記録材Pへの画像形成中に、中間転写ベルト7を清掃する方法について説明する。二次転写部において、記録材Pに転写されることなく、中間転写ベルトに残留した二次残留トナーは、正極性に帯電したトナーを多く含む。つまり、二次残留トナーの単位質量あたりの電荷量の極性は、正極性である。
一方、中間転写ブラシ11には正極性の電圧が印加されている。こうすると、二次残留トナーのうち、負極性に帯電したトナーは、中間転写ブラシ11と中間転写ベルト7との接触部において中間転写ブラシ11に貯留される。一方、正極性に帯電したトナーは、接触部を通過して、一次転写部に向かう。
画像形成動作中、中間転写ベルト7にトナー像を形成するために、一次転写ローラ5には、正極性の電圧が印加されている。この部分に正極性の電荷を有する二次残留トナーが到達すると、二次残留トナーは中間転写ベルト7から感光ドラム1に移動する。そして、戻された二次残留トナーは、一次残留トナーと共に、クリーニング部材6aで清掃される。
なお、上述の各部材の電圧や電荷の極性は一例にすぎない。トナー像を形成するトナーの極性によって、それぞれの部材に印加される電圧の極性は、適宜設定される。
(クリーニングブレードへのトナー供給)
画像形成動作を行っていないときに、クリーニングブレード6aにトナーを供給する動作について説明する。本実施例では、画像形成動作とは別に、クリーニングブレード6aにトナーを供給する動作をトナー供給動作と呼ぶ。
上述したように、画像形成動作においても、クリーニングブレード6aと感光ドラム1の間には、トナーが供給される。本実施例では、上述した画像形成動作とは別に、画像形成動作を実行しない期間(非画像形成時)にトナー供給動作を実行する。これにより、クリーニングブレード6aと感光ドラム1との摩擦力をさらに低下させることができる。
本実施例では、感光ドラム1の周方向における感光ドラム1表面の移動距離aによって、トナー供給動作を実行するタイミングを決定する。ここで、感光ドラム1表面の移動距離aとは、具体的には、感光ドラム1の外周面における特定の位置が感光ドラム1の周方向に移動した距離である。なお、感光ドラム1の表面の移動距離は走行距離とも呼ばれる。移動距離aの積算値が、所定の閾値(供給動作閾値)に到達したら、トナー供給動作を行う。トナー供給動作が行われたら、移動距離aの積算値をリセットまたは減少させ、再度積算を開始する。
非画像形成時におけるトナー供給動作は、画像形成動作が終了した後の所定の期間内で実行される。画像形成動作が終了した後において、所定の期間、メインモータを継続して駆動させることで感光ドラム1を回転させる(後回転動作)。この期間においてトナー供給動作が実行される。
(中間転写ベルトを介さないトナー供給動作)
中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介さないトナー供給動作について説明する。後述する中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介したトナー供給動作と区別するために、中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介さないトナー供給動作を、第二の供給動作と呼ぶ。後述する中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介したトナー供給動作を、第一の供給動作と呼ぶ。
第二の供給動作では、画像形成動作時と同様に、感光ドラム1の表面にトナー像が形成される。本実施例では、この時のトナー像は、感光ドラム1の表面に一様に形成された画像、いわゆるベタ画像である。そして、ベタ画像が形成されたプロセスカートリッジCのクリーニングブレード6aにこのトナー像を供給する。
第二のトナー供給動作においては、感光ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写されることを防ぐ必要がある。そこで、第二のトナー供給動作を実施する場合、一次転写部を感光ドラムから離間させる。別の方法として、一次転写部と感光ドラム1を当接させた状態で、一次転写部材に負極性の電圧を印可してもよい。つまり、画像形成時に一次転写ローラ(5y〜5k)に印加される電圧と逆極性の電圧を一次転写ローラに印加してもよい。これにより、感光ドラム1の表面に形成されたトナー像が、中間転写ベルト7に転写されずに、クリーニングブレード6aに供給される。
ここでは現像装置4(現像ローラ4a)から、中間転写ベルト7を介さずに、直接感光ドラム1にトナーを供給する方法を説明した。
別のトナー供給方法として、以下のような方法もある。中間転写ベルト7の回転方向R2で、上流側に位置するプロセスカートリッジにおいて、感光ドラム1に現像装置4からトナー(トナー像)を供給する。そして、一次転写部で中間転写ベルト7に転写する。そして、下流側に位置するプロセスカートリッジにおいて、一次転写部に、画像形成動作とは逆の電圧を印可して、感光ドラム1にトナーを供給してもよい。すなわち、二次転写部の上流側で、トナー像が、感光ドラム1に供給されるものであってもよい。
(トナー供給動作と潤滑性)
トナーの潤滑性に関して、図2を用いて説明する。図2(a)は、感光ドラム1とクリーニングブレード6aが当接する部分の概略断面図である。図2(b)は、図2(a)におけるクリーニングブレード6aと感光ドラム1の当接面(破線の部分)を拡大した図である。図2(a)においてクリーニングブレード6aは感光ドラム1の回転方向(矢印)に対しカウンター方向に当接されている。
感光ドラム1上のトナーをクリーニングする際、クリーニングブレード6aの近傍および感光ドラム1とクリーニングブレード6aとで形成される当接面に、トナーや外添剤が掻き取られる。これにより、クリーニングブレード6a近傍にトナーが滞留する。トナーの一部は廃トナーとしてクリーニング装置6の回収容器内へ回収される。その他のトナーは、クリーニングブレード6aと感光ドラム1との界面に滞留する。クリーニングブレード6aと感光ドラム1との界面に滞留したトナーは、クリーニングブレード6aと感光ドラム1の間の潤滑性を向上させる効果(潤滑効果)を発揮している。また、潤滑効果を発揮できている滞留状態を、感光ドラム1の軸線方向に沿って観察した場合、滞留したトナーは図2に示すようなクサビ状になっている場合が多い。本実施例では、クサビ状のように滞留したトナーを潤滑層と呼んでいる。
トナーは、電荷制御剤や顔料などを含む樹脂粒子に、潤滑剤や電荷制御剤などの無機微粒子である外添剤を添加されている。潤滑層203の主要な構成要素は、外添剤成分である。潤滑層203が形成されている場合、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの間の潤滑性が向上する。さらに、潤滑層203は、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの当接面にトナーが侵入することを防ぎ、クリーニング性能を補助している。
潤滑層は画像形成動作での一次転写における一次残留トナーによって形成されやすい。しかし、一次残留トナーが少ない場合や、外添剤が減少する要因が発生した際には、潤滑層が減少する。潤滑層が消失する場合もある。
そこで、一次残留トナーが少ない場合は、上述した第二のトナー供給動作を行うことで、潤滑層を形成するトナーや外添剤を供給し、潤滑層の減少を補うとともに潤滑層の形成を維持する。
(トナーの劣化の影響)
トナーは、電荷制御剤や顔料などを含む樹脂粒子に、潤滑剤や電荷制御剤などの無機微粒子である外添剤を添加されている。現像ブレード4bとトナーとが摺擦することによって外添剤が樹脂粒子に埋め込まれてしまうことがある。この現象は、トナーの劣化と呼ばれる。トナーが劣化していない状態では、トナーの潤滑性が維持される。しかし、トナーが劣化した状態では、トナーの潤滑性は低下してしまう。トナーの潤滑性が低下すると、クリーニングブレード6aと感光ドラム1との間にトナーを供給しても、クリーニングブレード6aと感光ドラム1との間に生じる摩擦を十分に抑えることができない場合がある。
画像形成を行うことで、プロセスカートリッジ内のトナーは変化する。特に、現像ブレード4bと現像ローラ4aの間で、トナーが摺擦されることによる変化が大きい。また、トナーの状態の変化(以下、単にトナーの変化と称する)の主なものとして、外添剤などの微粒子がトナー本体から脱落すること、外添剤などの微粒子がトナー本体に埋没することが挙げられる。このような変化が起きた際の物性変化としては、トナーの帯電量が変化し、大きくなる場合がある。これにより、トナー同士の凝集性の上昇を生じる。
上述したように、現像ブレード4bと現像ローラ4aの間での摺擦が、トナーの変化を生じさせる大きな要因である。したがって、現像ローラ4aの回転数(プロセスカートリッジCの使用が開始されてからの累積回転数)が、トナーの変化の指標の一つとなる。しかし、トナーの変化は、現像装置の現像容器内のトナーの量にも依存する。現像容器内のトナーの量によって、トナーが摺擦される機会が異なるためである。つまり、トナーの変化は現像ローラの4aの累積回転数と、トナーの量の影響を受ける。図6にトナーの変化と現像ローラ4aの回転数(累積回転数)とトナー量との模式図を示す。図6において、領域1は現像ローラ4aの回転数が少なく、トナー量が多い。領域1では、トナーの変化は比較的軽微である。逆に領域4は現像ローラ4aの回転数が多く、トナー量も少ない。したがって、トナーの変化が非常に大きい。領域2と領域3とは現像ローラ4aの回転数やトナー量は異なるもののトナーの変化としては同等の状態である。以上説明した、トナーの変化を一般的にはトナー劣化と呼んでいる。
感光ドラム1とクリーニングブレード6aの間に、現像装置4から直接トナー供給を行う場合、トナー劣化に伴い潤滑層の形成が不安定になる場合があることが分かった。具体的には、トナー劣化によってトナーの帯電性能が変化し、トナーの帯電量の増加やトナーの凝集性の上昇が生じる。トナーの凝集性の上昇やトナーの帯電量が増加することで、感光ドラム1に対する付着力が増加する。その結果、クリーニングする際にトナーが潤滑層の内部まで侵入し易くなる。トナーが潤滑層の内部まで侵入し易くなると、潤滑層が破壊される。そして、クリーニング不良に伴うスジ状の画像が、記録材Pに現れたり、潤滑性が低下することによって異音が発生したりすることが分かった。
また、トナー劣化によって、潤滑層の形成が不安定になると、トナー供給動作の量や頻度を増加させたとしても、潤滑層を維持する効果が得られにくいことが分かった。
なお、本実施例におけるトナーで、感光ドラム1へトナー像を形成するときの現像ローラ4aの表面のトナーの単位質量あたりの電荷量を測定した。新品時の単位質量あたりの電荷量は−30μC/gであった。これに対し、プロセスカートリッジの使用可能量の末期まで使用を重ねた場合、トナーの単位質量あたりの電荷量は−60μC/gとなった。
(中間転写ベルトと中間転写ブラシを介したトナー供給動作)
劣化したトナーであっても、クリーニングブレード6aに供給する際に、電荷量をコントロールすることで、潤滑層を安定して形成できる。
トナーが劣化した際にも潤滑層を維持するため、中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介した第一の供給動作を行う。所定の電圧が印加された中間転写ブラシ11を、中間転写ベルト7の表面のトナー像に接触させることで、トナーの帯電電荷量をコントロールする。そして、帯電電荷量のコントロールを行ったトナーを、感光ドラムとクリーニングブレードとの当接部に供給する。これにより、潤滑層が形成されるとともに、潤滑効果を維持することができる。そして、クリーニング不良によるスジ画像や潤滑性の低下による異音を防止することができる。
以下、本発明の特徴部分である、中間転写ベルト7と中間転写ブラシ11を介した第一の供給動作(供給動作に相当する)について説明する。
以下に述べる第一の供給動作において、トナー像は、感光ドラム1から中間転写ベルト7に転写され、かつ接触部を通過し、中間転写ベルト7から感光ドラム1とクリーニングブレード6aの間に供給される。
第一の供給動作は、制御部10によって実行される。第一の供給動作は、記録材Pにトナー像を転写するための画像形成動作や、画像形成条件の補正動作(たとえば濃度補正、スキャナと感光ドラムの位置関係の補正等)が実行されない時に実行される。
上述したように、画像形成装置は、感光ドラム1の移動距離aの積算値が、所定の閾値に達したときに、トナー供給動作を行う。このとき、第一の供給動作、第二の供給動作のいずれかが実行される。
本実施例では、現像装置4の累積使用量が所定量以上の時に、第一の供給動作が行われるようにした。現像装置4の累積使用量としては、現像ローラ4aの累積回転数、現像装置4の駆動時間(累積駆動時間)、現像装置4を使用して印刷した記録材Pの累積枚数などが含まれる。また、感光ドラム1の累積回転数が、所定量以上の時に第一の供給動作を実行してもよい。
本実施例では、現像装置4を使用して印刷できる記録材の枚数を、A4(210×297mm)換算で30000枚としたときに、累積枚数が10000枚以上となった時に、定期的に、第二の供給動作に替えて第一の供給動作が実行されるようにした。
ただし、第一の供給動作が開始されるタイミングは、これに限られるものではない。感光ドラム1とクリーニングブレード6aの潤滑が不十分となる前に、第一の供給動作が開始されればよい。例えば、第二の供給動作のみで印刷を続けて、いつ潤滑が不十分となるかをあらかじめ確認し、第一の供給動作を開始するタイミングを定めることができる。
なお、第一の供給動作が実行されるタイミングは適宜選択することができる。例えば、現像装置の累積使用量などが所定量を上回った時には、第一の供給動作のみが行われるものであってもよい。また、第一の供給動作と第二の供給動作とが、交互に実行されるものでもよい。第一の供給動作と第二の供給動作とが、所定の割合で実行されるものであってもよい。さらに、第一の供給動作と、第二の供給動作が実行される割合は、現像装置の累積使用量に応じて増減するものであってもよい。つまり、現像装置の累積使用量が多い時の第一の供給動作の実行頻度が、累積使用量が少ない時の第一の供給動作の実行頻度よりも多くなるようにしてもよい。
図9を用いて、第一の供給動作の概略を説明する。図9は、感光ドラム1の軸線1aに直交する方向から見た、中間転写ベルトと中間転写ブラシを介したトナー供給動作の説明図である。図9は、関連する部材を平面上に並べた形で描かれている。
図9は、感光ドラム1(1s)に形成されたトナー像Tzが、中間転写ベルト7でR2方向に搬送され、中間転写ブラシ11を通過し、供給対象の感光ドラム1(1e)とクリーニング部材6aに供給される状態を示している。なお、後述するように、感光ドラム1sと1eは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
まず、現像装置4によって、感光ドラム1(1s)の表面にトナー像Tzを形成する。そして、一次転写部において、感光ドラム1に形成されたトナー像Tzを、中間転写ベルト7に転写する。中間転写ベルト7に転写されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって、図1、9の矢印R2方向に搬送される。搬送されたトナー像Tzが、二次転写部を通過する。二次転写部を通過したトナー像Tzが、電源12から電圧を印可された中間転写ブラシ11と中間転写ベルト7の接触部を通過する。接触部を通過したトナー像Tzが、トナー像Tzを供給する対象であるプロセスカートリッジの感光ドラム1(1e)に一次転写部から供給される。一次転写部から供給されたトナー像Tzは、感光ドラム1(1e)とクリーニングブレード6aの当接部に供給される。
電源12から電圧を印可された中間転写ブラシ11によって、中間転写ベルト7のトナー(トナー像)が摺擦されると、トナーが持つ電荷量を変化させることができる。すなわち、第一の供給動作において、接触部を通過した後のトナー像の単位質量あたりの電荷量を下流側電荷量とし、接触部を通過する前のトナー像の単位質量あたりの電荷量を上流側電荷量とする。このとき、トナー像と中間転写ブラシ11が接触することで、下流側電荷量と上流側電荷量が異なる。
上述したように、トナーが劣化すると、トナー像の帯電量が増加する場合がある。トナー像の帯電量が高すぎると、潤滑層の形成に影響する。この場合には、下流側電荷量の絶対値が、上流側電荷量の絶対値よりも小さくなるように、中間転写ブラシ11に電源12から電圧が印加され、トナー像の電荷量がコントロールされる。
また、トナーの材質や劣化具合によっては、トナーの帯電量が減少する場合がある。トナー像の帯電量が低すぎると、中間転写ベルト7から感光ドラム1にトナーが十分に供給されない。この場合には、下流側電荷量の絶対値が、上流側電荷量の絶対値よりも大きくなるように、中間転写ブラシ11に電源12から電圧が印加され、トナー像の電荷量がコントロールされる。
本実施例において、第一の供給動作において、下流側電荷量の極性と、上流側電荷量の極性は、同極性であり、負極性である。また、下流側電荷量の絶対値が、上流側電荷量の絶対値よりも小さくなるように、中間転写ブラシ11に電源12から電圧が印加され、トナー像の電荷量がコントロールされる。
第一の供給動作において、中間転写ベルト7から感光ドラム1に供給されるトナーの電荷量は、劣化の程度が小さい状態のトナーの電荷量に近いことが望ましい。すなわち、下流側電荷量が、劣化の程度が小さい状態のトナーの電荷量と近くなるように、中間転写ブラシ11で電荷量を変化させることが望ましい。
下流側電荷量として、望ましい電荷量について説明する。現像ローラ4aに担持されたトナーの単位質量あたりの電荷量を、現像電荷量と呼ぶものとする。そして、現像装置4の累積使用量が、第一の供給動作が行われる所定量より少ない第一の累積使用量であるときに、画像形成動作を実行したとする。このときの現像電荷量を、第一の電荷量とする。なお、ここでいう現像ローラ4aに担持されたトナーとは、現像ローラ4aの回転方向において、現像ブレード4bの下流側、かつ封止シート4cの上流側で、現像ローラ4aに担持されたトナーである。
本実施例では、第一の供給動作では、電源12が中間転写ブラシ11に電圧を印可することで、第一の電荷量と下流側電荷量との差が、第一の電荷量と上流側電荷量との差よりも小さくなるようにした。
なお、下流側電荷量の目標は、必ずしも上述のものに限られない。例えば、現像装置4の累積使用量が、第一の累積使用量より少ない第二の累積使用量である時の現像電荷量を第二の電荷量とする。このとき、第一の電荷量と第二の電荷量の平均と下流側電荷量の差が、第一の電荷量と第二の電荷量の平均と上流側電荷量の差よりも小さくなるようにしてもよい。
また、現像装置4の累積使用量が、第一の供給動作が行われる所定量より少ないときに、画像形成動作を複数回行う。さらに、それぞれの画像形成動作における現像電荷量を求める。そして、それぞれの現像剤電荷量の平均を、平均電荷量とする。このとき、平均電荷量と下流側電荷量の差が、平均電荷量と上流側電荷量の差よりも小さくなるようにしてもよい。
なお、第一の電荷量、第二の電荷量、平均電荷量を定めるにあたっては、現像装置4が新しい状態が望ましい。また、現像装置4の使用開始直後は、現像ローラ4aに担持されたトナーの電荷量が安定しない場合がある。この場合は、しばらくの間(たとえば1000枚、または使用可能量の3%程度)画像形成動作を続け、電荷量の変動が小さくなった後に、各電荷量を定めてもよい。
本実施例では、現像装置4が印刷可能な記録材の枚数(A4換算)が30000枚としたときに、1000枚から3000枚以内(使用可能量の10%未満)を、初期状態とした。そして、初期状態で行った画像形成動作で、現像電荷量を測定し、下流側電荷量の目標である上述の第1の電荷量を定めた。同様の手法で、第二の電荷量や、平均電荷量を求めることもできる。
下流側電荷量は、電源12が中間転写ブラシ11に印加する電圧に応じて変わる。したがって、下流側電荷量が所望の値になるように、電源12から中間転写ブラシ11に電圧を印可する。このとき、現像装置4の累積使用量、上流側電荷量、下流側電荷量、電源12が印加する電圧、の間の関係をあらかじめ求め、印可する電圧の大きさ等を決めてもよい。また、装置本体100に、上流側電荷量、下流側電荷量を測定または推測する手段を備え、測定結果または推定結果をもって、電源12が印加する電圧が変化するものであってもよい。
本実施例では、所望の電荷量が得られる電圧の大きさをあらかじめ求めておき、第一の供給動作時に、電源12から中間転写ブラシ11に所定の電圧が印可されるようにした。これにより、プロセスカートトリッジ(特に現像装置)の使用可能量を通じて、下流側電荷量が所望の値になるようにした。
なお、図9に示したように、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの間の潤滑性を改善するために、トナー像は感光ドラム1の軸線方向(クリーニングブレードの長手方向と同じ)の広範囲に亘ることが望ましい。本実施例のトナー像は、感光ドラム1の軸線方向において、感光ドラム1の一端部から、感光ドラム1の中央部を含め、他端部に向けて延びるトナー像とした。ただし、これに限定されるものではない。トナー像は、感光ドラム1の軸線方向と平行である必要はない。また、中間部にわずかに隙間があるようなトナー像であってもよい。回転方向R2にそって、複数あってもよい。また、第一の供給動作を複数回行うものとして、その時々の第一の供給動作のトナー像を重ねたときに、感光ドラム1の一端部から、感光ドラムの中央部を含め、他端部に向けて延びるトナー像が形成されるものでもよい。
(第一の供給動作の流れ)
上述した本実施の構成の動作概要を図3の流れ図を用いて説明する。
(第一の供給動作の開始:301)
潤滑層を形成するための第一の供給動作の実行が要求され動作が開始される。
(感光ドラムの表面へのトナー像形成:302)
現像装置4から感光ドラム1へトナーが供給(現像)される。本実施例では、上述した画像形成動作と同様の動作を行う。すなわち、感光ドラム1を帯電ローラ2で帯電した後、スキャナ3によって感光ドラム1の表面に、潜像(明部電位)を形成する。そして、その部分に現像ローラ4aを接触させることで、感光ドラム1の表面にトナー像を形成する。なお、記録材Pへの画像形成時と、第一の供給動作時の電圧を、異なる電圧にすることもできる。
(中間転写ベルトへの転写:303)
感光ドラム1の表面のトナー像が、一次転写部で中間転写ベルト7に一次転写される。ここでは、画像形成動作と同様の動作が行われる。なお、記録材Pへの画像形成時と、第一の供給動作時の電圧を、異なる電圧にすることもできる。
(下流側ステーション、二次転写部の通過:304)
中間転写ベルト7に一次転写されたトナー像を、下流側にある他のステーションを通過させる。つまり、トナー像が、下流側にある他のステーションの一次転写部で、中間転写ベルト7から感光ドラム1に移動することを抑制する。
例えば、下流側のステーションの感光ドラム1と一次転写部を、離間機構によって離間する。または、下流側の一次転写ローラ51に、トナー像と逆極性(この場合は正極性)の電圧を印可する。これにより、下流側のステーションで、中間転写ベルト7から感光ドラム1にトナー像が供給されることが抑制される。
次に、トナー像に二次転写部を通過させる。つまり、トナー像が、二次転写部において中間転写ベルト7から二次転写ローラ18に移動することを抑制する。
たとえば、二次転写ローラ18と中間転写ベルト7を、離間機構によって離間する。または、二次転写ローラ18に、トナー像と同極性(この場合は負極性)の電圧を印可する。これにより、中間転写ベルト7から二次転写ローラ18にトナー像が移動することが抑制される。なお、電源12を二次転写対向ローラ8に接続し、トナー像と逆極性(この場合は正極性)の電圧を印可してもよい。
(中間転写ブラシによる接触:305)
二次転写部を通過したトナー像に対して、電圧が印可された中間転写ブラシ11を接触させて、トナーの帯電電荷量をコントロールする。
(上流側のステーションの通過:306)
中間転写ベルト7から感光ドラム1にトナー像が供給されるプロセスカートリッジCが装着されたステーションに対して、回転方向R2で上流側に、他のプロセスカートリッジが装着されたステーションがある場合がある。この場合、トナー像は上流側のステーションを通過する必要がある。つまり、上流側のステーションでは、中間転写ベルト7から感光ドラム1に、トナー像が移動しないようにする。
例えば、接触部を通過したトナー像が、上流側のステーションに到達する時には、その上流側の一次転写ローラ5を感光ドラム1から離す。そして、一次転写部と感光ドラム1を離間させる。または、上流側のステーションの一次転写ローラ5に、トナー像の電荷量の極性と逆極性の電圧(この場合は正極性)を印可する。これにより、上流側のステーションでは、可能な限りトナー像が移動しないようにできる。
(感光ドラムへの転写:307)
潤滑層が形成されるステーションの一次転写部で感光ドラム1にトナー像を転写する。潤滑層が形成されるステーションの一次転写部に、電荷コントロールしたトナーが到達した際、中間転写ベルト7から感光ドラム1へトナーが再転写できるようにする。例えば一次転写部に、トナーと同じ極性(この場合は負極性)の電圧を印加する。これにより、中間転写ベルトからのトナー供給を行うことができる。
(クリーニングブレードへの供給:308)
感光ドラム1の回転によって、中間転写ベルト7から転写されたトナーを、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの間に供給する。これにより、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの間に潤滑層の形成を行う。
以上が、第一の供給動作の流れである。なお、中間転写ベルト7にトナー像を供給するステーションと、中間転写ベルト7からトナー像を供給されるステーションが、違っていてもよい。
(第一の供給動作の効果)
図3に示した動作概要をもとに本実施例における第一の供給動作の効果を説明する。具体的には、第一の供給動作を行う構成と、第二の供給動作のみを行う構成(比較例)を比較する。
(使用するトナー)
プロセスカートリッジを使用して印刷を行い、帯電電荷量が上昇しきったトナー、すなわち、非常に劣化の進んだトナーを用いて行う。新品時の帯電電荷量が−30μC/gであったのに対し、使用したトナーは、−60μC/gとなり帯電電荷量としては新品時に比べ約2倍の値を示した。このトナーは、図6に示す領域4のトナーに相当する。
(第一の供給動作の条件)
第一の供給動作時の画像形成条件は、記録材Pへの画像形成時と同じ条件にした。すなわち、感光ドラム1の暗部電位を−500V、明部電位を−100Vとした。そして、感光ドラム1に明部電位を形成し、現像ローラに−300Vを印加することで、感光ドラム1にトナー像を形成した。一次転写ローラ5に+300Vの電圧を印加し、中間転写ベルト7へトナー像を転写した。
下流側のステーションにおいて、感光ドラム1は中間転写ベルト7から離間させた。これにより、トナー像が中間転写ベルト7に保持された状態で、下流側の他のステーションを通過するようにした。なお、ここでは上述のように、下流側のステーションにおいて、一次転写ローラ5に正極性の電圧を印可してもよい。
二次転写ローラ18は、中間転写ベルト7から離間させた。これにより、トナー像が、中間転写ベルト7に保持された状態で、二次転写部を通過するようにした。なお、ここでは上述のように、二次転写ローラ18に負極性の電圧を印可するか、二次転写対向ローラ8に正極性の電圧を印可してもよい。
中間転写ベルト7によって搬送されたトナーが中間転写ブラシ11に到達した際、−200VのDC電圧に±600VのAC電圧を重畳した電圧を印加してトナーの電荷量の調整をおこなった。
接触部を通過したトナー像が、トナーを供給する対象の一次転写部へ来た際に、一次転写部に−300VのDC電圧を印加した。これにより、感光ドラム1へ電気的に移動させ、一次転写部で感光ドラムへトナーを再転写した。
(比較例の条件)
上述した本実施例の構成と比較するため、比較例を用いた。比較例の電圧設定は、以下の通りとした。
実施例と同じく、トナー像を形成するときに、感光ドラム1の暗部電位を−500V、明部電位を−100Vとした。そして、感光ドラム1の長手に明部電位を形成し、現像ローラ4aに−300Vを印加することで、感光ドラム1にトナー像を形成した。
さらに、一次転写ローラ5に−300Vの電圧を印加し、中間転写ベルト7へトナーが転写しないようコントロールした。これにより、中間転写ベルト7を介さず、直接クリーニングブレード6aへトナーを供給した。
(その他の条件)
また、本実施の構成と比較例のトナー供給動作は、A4換算で200枚の印刷を行う毎に実施した。試験を開始してから、2000枚の印刷を行った。
(結果)
クリーニング不良に伴うスジの発生、潤滑性能の低下に伴う異音の発生の有無を確認した。さらに、潤滑層の状態を観察した。
潤滑層の観察結果を図4、潤滑層直前の供給トナーの帯電電荷量やスジや異音の確認結果を図5に示す。
図4は、感光ドラム1の表面を上面から見た図である。403は本実施例の感光ドラム1の表面である。404は、比較例の感光ドラム1の表面である。
クリーニングブレード6aを取り外した際、感光ドラム1の回転方向(矢印方向)において、クリーニングブレード6aの上流に潤滑層402の形成が確認できる。潤滑層の長手幅は、クリーニングブレード6aの幅とほぼ一致する。潤滑層の短手幅は、100um前後である。
本実施例の構成では、長手全域に安定した潤滑層が形成されていた。これは、比較例において劣化が進んでいないトナーを用いた際に形成される潤滑層と同等の状態であった。
それに対し、比較例の構成では、不安定な潤滑層が形成されていた。本実施例の構成における潤滑層と比較して、短手幅が狭かった。潤滑層が形成されていない箇所もあった。
図5において、スジや異音の発生のない場合は○、発生がある場合は×の記号を付した。本実施例の構成では、中間転写ブラシ11を通過した後の帯電電荷量が新品時に近い−35μC/gにコントロールされていた。スジと異音は、2000枚の印刷が行われる間、発生することはなかった。比較例は、感光ドラム1に供給されるトナー像の帯電電荷量が−60μC/gとなった。印刷が開始されてから500枚目くらいから、スジや異音が発生し始めた。2000枚の印刷が終わるまで、スジや異音は常に発生する状態であった。
以上、トナー劣化が進んだトナーにおいても中間転写ベルトの帯電制御部(接触部材としての中間転写ブラシ)を通過させ、トナーの帯電電荷量を調整したトナーを用いることで、潤滑層の形成が可能でスジや異音の発生を抑制できた。
本実施例では、中間転写ブラシ11に印加する電圧を、DCにACを重畳した電圧とした。しかし、中間転写ブラシ11にて電荷コントロールを行う上では、交流電圧のみでもよく、また直流電圧のみでもよい。さらに、トナー劣化度によって帯電電荷量が異なる為、中間転写ブラシに印加する電圧を変化させ、適正な電圧値にて帯電コントロールを実施することも有効な手段である。また、本実施例では、ブラシ11を用いて説明を行ったが、ローラ形状やシート形状であっても同様な効果を得ることが可能となる。
本実施の構成の説明では、潤滑層を形成するカートリッジへトナーを供給する際、同一のプロセスカートリッジ内のトナーを用いて行う手段を前提に説明を行ったがその限りではない。例えば、ある特定のプロセスカートリッジ内のトナーを用いて、中間転写体ブラシ11にて帯電コントロールを行い、適宜、各々のプロセスカートリッジにトナーを供給し潤滑層を形成することでも、同様な効果を得ることが可能となる。また、複数のプロセスカートリッジからトナーを供給し、中間転写体ブラシ11でまとめて電荷コントロールを行った後、各々のプロセスカートリッジに供給し潤滑層を形成することも同様に効果を得ることが可能である。潤滑層形成効果とともに、例えば、トナー残量の少ないステーションからはトナー供給を抑制したりすることで、フルカラーでの印刷がより長くできたりといった、効果も得られる。
以上説明したように、中間転写ベルト7を介した第一の供給動作を行うことにより、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの当接部に、トナーを供給できる。そして、感光ドラム1とクリーニングブレード6aの当接部における潤滑性を維持できる。また、劣化したトナーを使った場合であっても、上記効果を得ることができる。
実施例1では、トナー劣化が非常に進んだ場合においても、中間転写体ブラシで電荷コントロールを行い、再度感光ドラムへ供給することでクリーニングブレードと感光ドラム間で形成される潤滑層を安定して形成できた。そして、スジや異音の発生を抑制することができた。
本実施例では、第一の供給動作が実行される頻度が、トナーの劣化状態に応じて異なることが特徴である。
トナー劣化の進行度に応じて画像形成時に一次転写トナーによる潤滑層の破壊の度合いが異なる。したがって、トナー劣化度に応じて、中間転写ベルトを介し、中間転写体ブラシにて電荷コントロールを行う第一の供給動作の頻度を変化させる。これにより、潤滑層の形成とともにクリーニング性の維持や異音の抑制が図れる。
本実施例において、制御部10は、第一の供給動作を第一の頻度と前記第一の頻度と異なる第二の頻度で実行可能である。頻度とは、複数の第一の供給動作の間の、現像ローラ4aの回転量、感光ドラム1の回転量、画像形成動作を行った記録材の枚数(特定の記録材のサイズ(たとえばA4)に換算した枚数)等を意味する。
制御部10は、トナーの劣化状態が第一の劣化状態である時に、第一の頻度で第一の供給動作を実行する。制御部10は、トナーの劣化状態が第二の劣化状態である時に、第二の頻度で第一の供給動作を実行する。第二の劣化状態は、第一の劣化状態よりもトナーの劣化が進んだ状態である。そして、第二の頻度は、第一の頻度と異なる頻度である。以下の説明中、第二の頻度は、第一の頻度よりも高頻度である。
また、プロセスカートリッジの使用が開始されてからの現像ローラ4aの累積回転量に基づいて、第一の供給動作の頻度を決めてもよい。
この場合、制御部10は、現像ローラ4aの累積回転量が第一の累積回転量である時に、第一の頻度で第一の供給動作を実行する。制御部10は、現像ローラ4aの累積回転量が第二の累積回転量である時に、第二の頻度で第一の供給動作を実行する。第二の累積回転量は、第一の累積回転量よりも多い。そして、第二の頻度は、第一の頻度よりも高頻度である。
なお、現像ローラ4aの累積回転量に替えて、感光ドラム1の累積回転量、記録材Pの累積印刷枚数(特定のサイズに換算したものを含む)を用いることもできる。また、現像装置に残っているトナーの残量の影響を考慮してもよい。さらに、プロセスカートリッジの駆動時間などを用いることもできる。
トナーの劣化状態、上記した累積回転量、累積印刷枚数、プロセスカートリッジの駆動時間等と、第一の供給動作の実行頻度の関係は、装置本体100の記憶装置や、プロセスカートリッジに装着された記憶装置へ、記億しておいてもよい。また、トナーの劣化度を直接測定するものであってもよい。
トナー劣化度ごとの潤滑層の破壊の度合いについて説明する。トナー劣化度の異なるトナーとしては、実施例1で用いた図6の説明の、領域1と領域2と領域4の3種類のトナーを用いる。
実験としては、各々のトナーにて中間転写体ブラシ7で電荷コントロールしたトナーを感光ドラム1とクリーニングブレードと6aの当接部へ供給し、潤滑層を形成した。このとき、中間転写ベルト7を介したトナー供給を行わず、画像形成動作を連続的に実施した。
記録材のサイズはA4とした。そして、潤滑層の破壊の有無と、破壊が起きる場合の印刷枚数を計数した。破壊の判断としては、潤滑層が、図4に示す不安定な状態(404)になるかどうかを、観察して判断した。それと同時に、スジと異音の発生枚数も同時に確認した。
その結果を図7に示す。劣化の進んでいない領域1のトナーを用いた場合、第一の供給動作を行わずに、10000枚程度印刷動作を行っても、潤滑層の破壊はなかった。
領域2のトナーでは、第一の供給動作を行わずに画像形成動作を行うと、潤滑層の破壊が緩やかに進行し、2000枚程で不安定な状態に至った。
領域4のトナーでは、第一の供給動作を行わずに画像形成動作を行うと、潤滑層の破壊が急激に進み、500枚程度不安定な状態に至った。
また、領域2のトナーと領域4のトナーについては、潤滑層が不安定になる前後で、スジの発生や異音の発生も確認された。
図7の結果より、トナー劣化の進み具合で潤滑層の形成に必要な第一の供給動作のタイミングが異なり、トナーの劣化が進むにつれて高頻度に実施することが望ましいと分かった。
そこで、トナー劣化に応じた第一の供給動作の頻度を変えた場合、潤滑層の形成と維持について検証した。
図7の結果より、それぞれのトナー劣化の領域に対する第一の供給動作の頻度を定めた。これを図8に示す。
領域1の範囲のトナーを用いた場合、第一の供給動作を実施しないようにした。すなわち、中間転写ベルトを介した第一の供給動作は行われない。
領域2の範囲のトナーを用いた場合、1000枚に一度、第一の供給動作を行った。
領域4の範囲のトナーを用いた場合、200枚に一度、第一の供給動作を行った。
各頻度で、10000枚印刷を行った。結果、いずれのトナーを用いた場合も、スジや異音の発生は確認されなかった。また、潤滑層を確認すると、概ね安定した潤滑層が形成されていることが確認された。
本実施例で説明したように、中間転写ブラシで電荷コントロールを行ったトナーを再度感光ドラムへ供給する第一の供給動作において、トナー劣化の状態に応じて実施頻度を変えることで、常に潤滑層の形成・維持が可能であることを説明した。これにより、スジや異音等の問題を発生することができる。
また、このようにトナー劣化状態ごとに最適な第一の供給動作を行うことで、適切なタイミングで適切な量を供給することで、動作時間の短縮や不必要なトナーの使用を削減できる。
本実施例では、トナーの劣化状態に応じて、第一の供給動作の頻度を変えることを説明した。一方、トナーの劣化状態に応じて、制御部10が、電源12から中間転写ブラシ11に印加される電圧を可変とするものであってもよい。
この場合、電源12は、少なくとも第一の電圧と、第一の電圧とは異なる第二の電圧を、中間転写ブラシ11に印可可能である。電源12は、トナーの劣化状態が第一の劣化状態である時に、中間転写ブラシ11に第一の電圧を印可する。そして、電源12は、トナーの劣化状態が第二の劣化状態である時に、中間転写ブラシ11に第二の電圧を印可する。
また、電源12は中間転写ブラシ11に、現像ローラ4aの累積回転量が第一の累積回転量である時に、第一の電圧を印可し、トナーの累積回転量が第二の累積回転量である時に、第二の電圧を印可してもよい。第二の累積回転量は、第一の累積回転量よりも多い。
なお、現像ローラの累積回転量に替えて、感光ドラムの累積回転量、記録材Pの累積印刷枚数(特定のサイズに換算したものを含む)を用いることもできる。
印加する電圧の大きさや極性、種類は、目標とする電荷量に応じて、適宜決めることができる。
本実施例にて示した方法によれば、トナー劣化に応じて、最適な第一の供給動作を実施することが可能になる。