まず、図1乃至図13により、一実施の形態について説明する。図1乃至図13は本実施の形態を示す図である。
以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
また、以下の実施の形態において、「X方向」とは、画像表示装置の一辺に対して平行な方向である。「Y方向」とは、X方向に垂直かつ画像表示装置の他の一辺に対して平行な方向である。「Z方向」とは、X方向及びY方向の両方に垂直かつ画像表示装置の厚み方向に平行な方向である。また、「表面」とは、Z方向プラス側の面であって、画像表示装置の発光面側であり、観察者側を向く面をいう。「裏面」とは、Z方向マイナス側の面であって、画像表示装置の発光面及び観察者側を向く面と反対側の面をいう。
[画像表示装置の構成]
図1乃至図8を参照して、本実施の形態による画像表示装置の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、画像表示装置(表示装置)60は、筐体62内に収容された自発光型表示装置(ディスプレイ)61と、自発光型表示装置61の発光面64側に位置する配線基板10と、自発光型表示装置61の発光面64の反対側に位置する通信アンテナモジュール63と、を備えている。このうち配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置された無給電型メッシュ配線層20とを有する。
図1に示すように、通信アンテナモジュール63は、平面視で自発光型表示装置61の周縁に位置している。また配線基板10は、自発光型表示装置61内であって発光面64側に配置されている。配線基板10の無給電型メッシュ配線層20は、平面視で少なくとも一部が通信アンテナモジュール63に重なる位置に設けられている。この画像表示装置60において、通信アンテナモジュール63を介して、所定の周波数の電波を送受信することができ、通信を行うことができる。通信アンテナモジュール63は、電話用アンテナ、WiFi用アンテナ、3G用アンテナ、4G用アンテナ、5G用アンテナ、LTE用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC用アンテナ等のいずれかを含んでいても良い。
一般に、通信アンテナモジュール63が例えば5Gアンテナ(特にミリ波用アンテナ)である場合、通信アンテナモジュール63の帯域幅が狭く、指向性も強い傾向がある。これに対して本実施の形態においては、基板11上であって通信アンテナモジュール63に重なる位置に、無給電型メッシュ配線層20が設けられている。これにより、基板11が誘電体としての役割を果たし、無給電型メッシュ配線層20によって二重共振を生じさせ、通信アンテナモジュール63の帯域幅を広げることができる。
このような画像表示装置60としては、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器を挙げることができる。なお、配線基板10の詳細については後述する。
次に、図3を参照して、画像表示装置60の断面構成について更に説明する。
図3に示すように、画像表示装置60は、自発光型表示装置61と、自発光型表示装置61の発光面64側(Z方向プラス側)に位置する配線基板10と、自発光型表示装置61の発光面64の反対側(Z方向マイナス側)に位置する通信アンテナモジュール63と、を備えている。なお、図3においては、主に配線基板10、自発光型表示装置61及び通信アンテナモジュール63の断面について示しており、筐体62等の表示を省略している。
本実施の形態において、自発光型表示装置61のうち、通信アンテナモジュール63に対応する領域であるアンテナ領域Raの金属の密度が、アンテナ領域Ra以外の領域(他の領域ともいう)Rxの金属の密度よりも低くなっている。すなわち、アンテナ領域Raは、他の領域Rxよりも単位面積あたりの金属の量が少なくなっている。具体的には、後述するように、(i)自発光型表示装置61の金属層66のうち、通信アンテナモジュール63に対応するアンテナ領域Raに、開口77又は切欠き78が設けられている。(ii)また、自発光型表示装置61のうち、アンテナ領域Raに位置する有機発光層(発光体)86の画素密度が、他の領域Rxに位置する有機発光層(発光体)86の画素密度よりも低くなっている。(iii)さらに、自発光型表示装置61のうち、少なくともアンテナ領域Raに位置する第2電極(透明電極)87がパターニングされている。
このように、アンテナ領域Raにおける単位面積あたりの金属の量(密度)を、他の領域Rxにおける単位面積あたりの金属の量(密度)よりも少なくすることにより、自発光型表示装置61の厚み方向(Z方向)に沿って電波の透過が妨げられることを抑えることができる。これにより、無給電型メッシュ配線層20に二重共振を生じさせやすくすることができ、通信アンテナモジュール63の帯域幅を広げることができる。
ここで、通信アンテナモジュール63に対応するアンテナ領域Raとは、平面方向(Z方向プラス側)から見て、自発光型表示装置61のうち通信アンテナモジュール63と少なくとも部分的に重なる領域をいう(図1乃至図3参照)。なお、アンテナ領域Raは、必ずしも平面方向から見て通信アンテナモジュール63の全域と重なっていなくても良く、通信アンテナモジュール63の少なくとも一部と重なる領域であっても良い。また、アンテナ領域Raは、平面方向から見て通信アンテナモジュール63よりも広い領域であっても良い。アンテナ領域Raの面積は、自発光型表示装置61の全表示領域の面積の10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることが更に好ましい。
自発光型表示装置61は、例えば有機EL(Electro Luminescence)表示装置からなる。自発光型表示装置61は、発光面64の反対側(Z方向マイナス側)から順に、グラファイト層65と、金属層66と、支持基材67と、樹脂基材68と、薄膜トランジスタ(TFT)69と、有機EL層71と、偏光板72と、タッチセンサ73と、加飾フィルム74と、カバーガラス75とを含んでいる。
グラファイト層65及び金属層66は、互いに積層されて放熱層76を構成する。放熱層76は、有機EL層71の有機発光層(発光体)86よりも発光面64の反対側(Z方向マイナス側)に位置する。この放熱層76は、自発光型表示装置61よりも発光面64の反対側に位置する図示しない他の電子機器からの熱を有機EL層71側に伝達しにくくする役割を果たす。なお、放熱層76は、必ずしもグラファイト層65を有していなくても良く、金属層66のみから構成されても良い。金属層66は、例えば銅等の熱伝導性が良好な金属からなっても良い。
本実施の形態において、放熱層76(グラファイト層65及び金属層66)のうち、通信アンテナモジュール63に対応するアンテナ領域Raに、開口77が設けられている。すなわち図3に示すように、放熱層76には、通信アンテナモジュール63の周囲を取り囲むように開口77が形成されている。この開口77は、放熱層76を厚み方向に貫通している。また通信アンテナモジュール63は、開口77の内部に収容されている。この場合、通信アンテナモジュール63は、開口77内で支持基材67に接着されている。このように、アンテナ領域Raに開口77を設けたことにより、通信アンテナモジュール63と無給電型メッシュ配線層20との間に存在する導電体によって電波の透過が妨げられることを抑え、無給電型メッシュ配線層20に二重共振を生じさせやすくすることができる。また、通信アンテナモジュール63が開口77の内部に収容されていることにより、自発光型表示装置61を薄型に構成することができる。
図4(a)(b)は、自発光型表示装置61及び通信アンテナモジュール63を裏面側から見た図である。図4(a)は、図3のIV方向矢視図である。図4(a)に示すように、放熱層76(グラファイト層65及び金属層66)には平面視矩形状の開口77が形成され、開口77内に通信アンテナモジュール63が収容されている。この場合、放熱層76は、開口77の周囲を全周にわたって取り囲むように設けられている。
図4(b)は、自発光型表示装置61の変形例を示している。図4(b)に示すように、放熱層76(グラファイト層65及び金属層66)のうち、通信アンテナモジュール63に対応するアンテナ領域Raに、切欠き78が設けられている。この切欠き78は、放熱層76の周縁に向けて切り欠かれており、放熱層76は、切欠き78の周囲を取り囲むようにコ字状に設けられている。この場合、通信アンテナモジュール63は、切欠き78の内部に収容されている。
また、図5に示すように、放熱層76(グラファイト層65及び金属層66)の開口77又は切欠き78内に樹脂等の絶縁体79を埋め込み、この絶縁体79上(Z方向マイナス側の面上)に通信アンテナモジュール63を配置しても良い。
再度図3を参照すると、支持基材67は、金属層66上に配置されている。支持基材67は、自発光型表示装置61の全体を支持するものであり、例えば可撓性を有するフィルムからなっていても良い。支持基材67の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートを用いることができる。
樹脂基材68は、支持基材67上に配置されている。樹脂基材68は、薄膜トランジスタ69及び有機EL層71等を支持するものであり、可撓性を有する平坦な層からなる。樹脂基材68は、ダイコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プラズマCVD法又は熱CVD法、キャピラリーコート法、スリット及びスピン法、又は、中央滴下法等の手法により塗布形成されたものであっても良い。樹脂基材68としては、例えば、有色のポリイミドを用いることができる。
薄膜トランジスタ(TFT)69は、樹脂基材68上に配置されている。薄膜トランジスタ69は、有機EL層71を駆動するためのものであり、有機EL層71の後述する第1電極85及び第2電極87に印加される電圧を制御するようになっている。
薄膜トランジスタ69は、絶縁層81と、絶縁層81内に埋設されたゲート電極82、ソース電極83及びドレイン電極84と、を有している。絶縁層81は、例えば、電気絶縁性を有する材料を積層することによって構成されたものであり、公知の有機材料や無機材料のいずれも用いることができる。例えば、絶縁層81の材料としては、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)、酸窒化シリコン(SiON)、窒化シリコン(SiN)、又は酸化アルミニウム(AlOx)を用いても良い。ゲート電極82としては、例えば、モリブデンータングステン合金、チタンとアルミニウムとの積層体等を採用することができる。ソース電極83及びドレイン電極84としては、例えば、チタンとアルミニウムとの積層体、銅マンガンと銅とモリブデンとの積層体等を用いることができる。
有機EL層71は、薄膜トランジスタ69上に配置されており、薄膜トランジスタ69に電気的に接続されている。有機EL層71は、樹脂基材68上に配置された第1電極(反射電極、アノード電極)85と、第1電極85上に配置された有機発光層(発光体)86と、有機発光層86上に配置された第2電極(透明電極、カソード電極)87とを有している。また薄膜トランジスタ69上には、第1電極85の端縁を被覆するようにバンク88が形成されている。このバンク88に取り囲まれることにより、各画素に対応する開口が形成され、この開口内に上述した有機発光層86が配置されている。さらに、第1電極85、有機発光層86、第2電極87及びバンク88は、封止樹脂89によって封止されている。なお、ここでは第1電極85がアノード電極を構成し、第2電極87がカソード電極を構成する。しかしながら、第1電極85及び第2電極87の極性が特に限られることはない。
第1電極85は、樹脂基材68上にスパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法等の手法により形成されたものである。第1電極85の材質としては、効率良く正孔を注入できる材質を用いることが好ましく、例えば、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀又は金、及びそれらの合金等の金属材料を挙げることができる。
有機発光層(発光体)86は、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成されて発光する機能を有する。有機発光層86は、第1電極85上に蒸着法、ノズルから塗布液を塗布するノズル塗布法、インクジェット等の印刷法により形成されたものである。有機発光層86としては、所定の電圧を印加することにより発光するよう構成された蛍光性有機物質を含有するものが好ましく、例えば、キノリノール錯体、オキサゾール錯体、各種レーザー色素、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。なお、複数の有機発光層86は、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層のいずれかであり、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層が、繰り返して並んで形成されている。
本実施の形態において、上述したように、自発光型表示装置61のうち、アンテナ領域Raに位置する有機発光層(発光体)86の画素密度が、他の領域Rxに位置する有機発光層(発光体)86の画素密度よりも低くなっている。
例えば、図6に示すように、有機発光層86は、他の領域Rxよりもアンテナ領域Raの方が低密度で配置されている。すなわち、アンテナ領域Raにおける有機発光層86同士の間隔d1aは、他の領域Rxにおける有機発光層86同士の間隔d1xよりも広くなっている(d1a>d1x)。
このため、図7に示すように、有機発光層86にそれぞれ対応して配置される第1電極85についても同様に、アンテナ領域Raの方が他の領域Rxよりも低密度で配置される。すなわち、アンテナ領域Raにおける第1電極85同士の間隔d2aは、他の領域Rxにおける第1電極85同士の間隔d2xよりも広くなっている(d2a>d2x)。なお、薄膜トランジスタ69の各電極(ゲート電極82、キャパシタ電極(図示せず)及びデータ配線(図示せず))についても、アンテナ領域Raの方が、他の領域Rxよりも低密度で配置されてもよい。
ここで画素密度とは、解像度ともいい、自発光型表示装置61が表示する画像を表現する格子の細かさである。画素密度は、一般に1インチあたりのピクセルの数(ppi)で表現される。ピクセルの数(ppi)で表現した場合、アンテナ領域Raにおける有機発光層86の画素密度は、他の領域Rxにおける有機発光層86の画素密度の20%以上50%以下とすることが好ましい。アンテナ領域Raにおける有機発光層86の画素密度を、他の領域Rxにおける画素密度の20%以上とすることにより、アンテナ領域Raと他の領域Rxとの間で画像の粗さの違いを目立たなくすることができる。またアンテナ領域Raにおける有機発光層86の画素密度を、他の領域Rxにおける画素密度の50%以下とすることにより、通信アンテナモジュール63と無給電型メッシュ配線層20との間に存在する導電体によって電波の透過が妨げられることを抑えることができる。
このように、アンテナ領域Raにおける有機発光層86の画素密度を、他の領域Rxよりも低くすることにより、アンテナ領域Raにおける導電体(第1電極85等)の密度を他の領域Rxよりも低くすることができる。これにより、通信アンテナモジュール63と無給電型メッシュ配線層20との間に存在する導電体によって電波の透過が妨げられることを抑え、無給電型メッシュ配線層20に二重共振を生じさせやすくすることができる。
図3を参照すると、第2電極(透明電極)87は、有機発光層86上に形成されている。第2電極87は、例えばスパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法等の手法により形成されても良い。第2電極87の材質としては、電子を注入しやすく、かつ光透過性の良好な材質を用いることが好ましい。具体的には、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化リチウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
本実施の形態において、上述したように、少なくともアンテナ領域Raに位置する第2電極87(透明電極)がパターニングされている。すなわち、図8に示すように、第2電極87は、各有機発光層86(画素部)に対応する画素対応部91と、画素対応部91同士を互いに連結する連結部92とを有している。画素対応部91及び連結部92の周囲には、電極開口部93が形成されている。電極開口部93は、第2電極87を構成する導電体が存在しない部分であり、第2電極87の厚み方向(Z方向)に貫通している。なお、図8において、有機発光層86を二点鎖線で示している。第2電極87をパターニングする方法は問わないが、例えばメタルマスクを用いた蒸着法、フォトリソグラフィ法、リフトオフ法等を挙げることができる。
このように、少なくともアンテナ領域Raにおける第2電極87をパターニングすることにより、アンテナ領域Raにおける導電体(第2電極87)の密度を、第2電極87をパターニングしない場合と比較して低くすることができる。これにより、通信アンテナモジュール63と無給電型メッシュ配線層20との間に存在する導電体によって電波の透過が妨げられることを抑え、無給電型メッシュ配線層20に二重共振を生じさせやすくすることができる。
なお、少なくともアンテナ領域Raにおいて、単位面積あたりの電極開口部93の割合は、50%以上80%以下とすることが好ましい。ここで、「単位面積あたりの電極開口部93の割合」は、{(少なくともアンテナ領域Ra内の所定領域に存在する電極開口部93の合計面積)/(上記所定領域の面積)}×100(%)によって算出することができる。単位面積あたりの電極開口部93の割合を50%以上とすることにより、通信アンテナモジュール63と無給電型メッシュ配線層20との間に存在する導電体によって電波の透過が妨げられることを抑えることができる。また単位面積あたりの電極開口部93の割合を80%以下とすることにより、第2電極87から各有機発光層86に対して確実に電気を供給することができる。
なお、第2電極87(透明電極)がパターニングされている領域は、アンテナ領域Raに限られるものではない。アンテナ領域Raに加えて、他の領域Rxに位置する第2電極87がパターニングされていても良い。また、自発光型表示装置61の全域(アンテナ領域Ra及び他の領域Rxの全体)にわたって第2電極87がパターニングされていても良い。
図3を参照すると、バンク88は、樹脂等の絶縁性をもつ有機材料を用いて形成されている。バンク88の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
封止樹脂89は、バンク88上及び第2電極87上に配置されている。この封止樹脂89は、有機発光層86を保護するものである。封止樹脂89としては、例えば、シリコーン樹脂やアクリル系樹脂を用いることができる。
なお、有機EL層71において発光した光は、発光面64から取り出される。すなわち、有機EL層71からの光は、封止樹脂89の上方から取り出される。このように本実施の形態における自発光型表示装置61は、いわゆるトップエミッション型の表示装置となっている。
偏光板72は、有機EL層71上に配置されている。この偏光板72は、有機EL層71からの光をフィルタリングするものである。偏光板72は、偏光子と、偏光子の両面に貼り合わされた透光性を有する一対の保護フィルムとを有していても良い。
タッチセンサ73は、偏光板72上に配置されている。このタッチセンサ73は、自発光型表示装置61に指等を接触させたときに、接触位置データを検出して出力するものである。
図3に示すように、配線基板10は、上述したように、自発光型表示装置61内であって有機発光層(発光体)86よりも発光面64側に配置されている。この場合、配線基板10は、自発光型表示装置61のタッチセンサ73と加飾フィルム74との間に配置されている。なお、配線基板10の詳細については後述する。
加飾フィルム74は、配線基板10上に配置されている。この加飾フィルム74は、例えば、観察者側から見て自発光型表示装置61の表示領域と重なる部分が開口しており、表示領域以外の部分を遮光する。すなわち、加飾フィルム74は、観察者側から見て自発光型表示装置61の端部を覆うように配置される。
カバーガラス75は、加飾フィルム74上に配置されている。このカバーガラス75は、光を透過するガラス製の部材である。カバーガラス75は、板状であり、平面視で矩形状であってもよい。
なお、上述した自発光型表示装置61は、それ自体が発光する機能を持つ表示装置であれば良く、有機EL表示装置に限られるものではない。例えばマイクロLED素子(発光体)を含むマイクロLED表示装置であっても良い。
[配線基板の構成]
次に、図9乃至図12を参照して、配線基板の構成について説明する。図9乃至図12は、本実施の形態による配線基板を示す図である。
図9に示すように、本実施の形態による配線基板10は、画像表示装置60に用いられるものであり、上述したように、画像表示装置60の自発光型表示装置61内であって有機発光層(発光体)86よりも発光面64側に配置されるものである。このような配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置された無給電型メッシュ配線層20と、を備えている。
このうち基板11は、平面視で略長方形状であり、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向がX方向に平行となっている。基板11は、透明性を有するとともに略平板状であり、その厚みは全体として略均一となっている。基板11の長手方向(Y方向)の長さL1は、例えば100mm以上200mm以下の範囲で選択することができ、基板11の短手方向(X方向)の長さL2は、例えば50mm以上100mm以下の範囲で選択することができる。
基板11の材料は、可視光線領域での透明性及び電気絶縁性を有する材料であればよい。本実施の形態において基板11の材料はポリエチレンテレフタレートであるが、これに限定されない。基板11の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂材料等の有機絶縁性材料を用いることが好ましい。また、基板11の材料としては、用途に応じてガラス、セラミックス等を適宜選択することもできる。なお、基板11は、単一の層によって構成された例を図示したが、これに限定されず、複数の基材又は層が積層された構造であってもよい。また、基板11はフィルム状であっても、板状であってもよい。このため、基板11の厚さは特に制限はなく、用途に応じて適宜選択できるが、一例として、基板11の厚み(Z方向)T1(図11参照)は、例えば10μm以上200μm以下の範囲とすることができる。
図9において、無給電型メッシュ配線層20は、基板11上に形成されている。この無給電型メッシュ配線層20は、上述した画像表示装置60の通信アンテナモジュール63(図1及び図2参照)の帯域幅を広げる役割を果たす。無給電型メッシュ配線層20は、その少なくとも一部が平面視で画像表示装置60の通信アンテナモジュール63と重なる位置に設けられている(図1参照)。このため、無給電型メッシュ配線層20は、基板11の外縁近傍に設けられる。無給電型メッシュ配線層20は、基板11の外縁から間隔Paだけ離れた位置にあり、この間隔Paは、例えば1mm以上10mm以下としても良い。
無給電型メッシュ配線層20の大きさは、画像表示装置60の通信アンテナモジュール63に使用される周波数に対応している。すなわち、無給電型メッシュ配線層20は、平面視で略正方形状であり、その一辺がX方向に平行であり、他の一辺がY方向に平行となっている。無給電型メッシュ配線層20の一辺の長さ(X方向及びY方向の長さ)Laは、通信アンテナモジュール63に使用される周波数の波長の半分に対応した長さ(La=λ/2)となっている。具体的には、無給電型メッシュ配線層20の一辺の長さLaは、例えば4mm以上50mm以下の範囲で選択することができる。また、基板11上に複数の無給電型メッシュ配線層20が配置されていても良い。
図10に示すように、無給電型メッシュ配線層20は、それぞれ金属線が格子形状又は網目形状に形成され、X方向及びY方向に繰り返しパターンを有している。すなわち無給電型メッシュ配線層20は、X方向に延びる部分(後述する第1連結配線22の一部)とY方向に延びる部分(後述する第1配線21の一部)とから構成されるL字状の単位パターン形状20aの繰り返しから構成されている。
図10に示すように、無給電型メッシュ配線層20は、互いに平行に配置された複数の第1配線21と、複数の第1配線21を連結する複数の第1連結配線22とを含んでいる。具体的には、複数の第1配線21と複数の第1連結配線22とは、全体として一体となって格子形状又は網目形状を形成している。各第1配線21は、無給電型メッシュ配線層20の一辺に平行な方向(Y方向)に延びており、各第1連結配線22は、第1配線21に直交する方向(X方向)に延びている。第1配線21及び第1連結配線22は、それぞれ所定の周波数の波長の半分(λ/2)に対応する長さLa(上述した無給電型メッシュ配線層20の辺の長さ、図9参照)を有する。これにより、無給電型メッシュ配線層20は、無給電素子として通信アンテナモジュール63の帯域幅を広げる機能を発揮する。また、第1配線21及び第1連結配線22は、互いに連結されることにより、第1配線21及び第1連結配線22の断線を抑える役割を果たす。
複数の第1配線21は、X方向に互いに等間隔に配置されている。第1配線21のピッチP1は、例えば0.05mm以上1mm以下の範囲とすることができる。また、複数の第1連結配線22は、Y方向に互いに等間隔に配置されている。複数の第1連結配線22のピッチP2は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。
無給電型メッシュ配線層20においては、互いに隣接する第1配線21と、互いに隣接する第1連結配線22とに取り囲まれることにより、複数の開口部23が形成されている。各開口部23は、それぞれ平面視略正方形形状となっている。また、各開口部23からは透明性を有する基板11が露出している。このため、各開口部23の面積を広くすることにより、配線基板10全体としての透明性を高めることができる。なお、各第1配線21と各第1連結配線22とは、互いに直交しているが、これに限らず、互いに鋭角又は鈍角に交差していてもよい。また、第1配線21のピッチP1及び第1連結配線22のピッチP2は、無給電型メッシュ配線層20内で均一であるが、これに限らず無給電型メッシュ配線層20内で不均一としても良い。
図11に示すように、各第1配線21は、その長手方向に垂直な断面(X方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。この場合、第1配線21の断面形状は、第1配線21の長手方向(Y方向)に沿って略均一となっている。また、図12に示すように、各第1連結配線22の長手方向に垂直な断面(Y方向断面)の形状は、略長方形形状又は略正方形形状であり、上述した第1配線21の断面(X方向断面)形状と略同一である。この場合、第1連結配線22の断面形状は、第1連結配線22の長手方向(X方向)に沿って略均一となっている。第1配線21と第1連結配線22の断面形状は、必ずしも略長方形形状又は略正方形形状でなくても良く、例えば表面側(Z方向プラス側)が裏面側(Z方向マイナス側)よりも狭い略台形形状、あるいは、長手方向両側に位置する側面が湾曲した形状であっても良い。
本実施の形態において、第1配線21の線幅W1(X方向の長さ、図11参照)及び第1連結配線22の線幅W2(Y方向の長さ、図12参照)は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、第1配線21の線幅W1は0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができ、第1連結配線22の線幅W2は、0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。また、第1配線21の高さH1(Z方向の長さ、図11参照)及び第1連結配線22の高さH2(Z方向の長さ、図12参照)は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができ、例えば0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができる。
第1配線21及び第1連結配線22の材料は、導電性を有する金属材料であればよい。本実施の形態において第1配線21及び第1連結配線22の材料は銅であるが、これに限定されない。第1配線21及び第1連結配線22の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。
本実施の形態において、無給電型メッシュ配線層20の開口率Atは、例えば87%以上100%未満の範囲とすることができる。無給電型メッシュ配線層20の開口率Atをこの範囲とすることにより、配線基板10の導電性と透明性を確保することができる。なお、開口率とは、所定の領域(例えば無給電型メッシュ配線層20)の単位面積に占める、開口領域(第1配線21、第1連結配線22等の金属部分が存在せず、基板11が露出する領域)の面積の割合(%)をいう。
本実施の形態において、無給電型メッシュ配線層20は、無給電型であり、給電部に電気的に接続されることはない。すなわち無給電型メッシュ配線層20の外周縁は、全周にわたって他の金属部分と接続されることがなく、平面視で全周にわたって基板11に取り囲まれている。
さらに、図11及び図12に示すように、基板11の表面上であって、無給電型メッシュ配線層20を覆うように保護層17が形成されている。保護層17は、無給電型メッシュ配線層20を保護するものであり、基板11の表面の略全域に形成されている。保護層17の材料としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂とそれらの変性樹脂と共重合体、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニル樹脂とそれらの共重合体、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアミド、塩素化ポリオレフィン等の無色透明の絶縁性樹脂を用いることができる。また、保護層17の厚みT2は、0.3μm以上100μm以下の範囲で選択することができる。なお、保護層17は、基板11のうち少なくとも無給電型メッシュ配線層20を覆うように形成されていれば良い。
[配線基板の製造方法]
次に、図13(a)-(i)を参照して、本実施の形態による配線基板の製造方法について説明する。図13(a)-(i)は、本実施の形態による配線基板の製造方法を示す断面図である。
まず、図13(a)に示すように、基板11を準備し、この基板11の表面の略全域に導電層51を形成する。本実施の形態において導電層51の厚さは、200nmである。しかしながらこれに限定されず、導電層51の厚さは10nm以上1000nm以下の範囲で適宜選択することができる。本実施の形態において導電層51は、銅を用いてスパッタリング法によって形成する。導電層51を形成する方法としては、プラズマCVD法を用いても良い。
次に、図13(b)に示すように、基板11の表面の略全域に光硬化性絶縁レジスト52を供給する。この光硬化性絶縁レジスト52としては、例えばエポキシ系樹脂等の有機樹脂を挙げることができる。
続いて、凸部53aを有する透明なインプリント用のモールド53を準備し(図13(c))、このモールド53と基板11とを近接させて、モールド53と基板11との間に光硬化性絶縁レジスト52を展開する。次いで、モールド53側から光照射を行い、光硬化性絶縁レジスト52を硬化させることにより、絶縁層54を形成する。これにより、絶縁層54の表面に、凸部53aが転写された形状をもつトレンチ54aが形成される。トレンチ54aは、第1配線21、第1連結配線22、第2配線31及び第2連結配線32に対応する平面形状パターンを有する。
その後、モールド53を絶縁層54から剥離することにより、図13(d)に示す断面構造の絶縁層54を得る。
このように、絶縁層54の表面に、インプリント法によってトレンチ54aを形成することにより、トレンチ54aの形状を微細なものとすることができる。なお、これに限らず、絶縁層54をフォトリソグラフィ法により形成しても良い。この場合、フォトリソグラフィ法により、第1配線21、第1連結配線22、第2配線31及び第2連結配線32に対応する導電層51を露出するようにレジストパターンを形成する。
図13(d)に示すように、絶縁層54のトレンチ54aの底部には、絶縁材料の残渣が残ることがある。このため過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、絶縁材料の残渣を除去する。このように、絶縁材料の残渣を除去することによって、図13(e)に示すように導電層51を露出したトレンチ54aを形成することができる。
次に、図13(f)に示すように、絶縁層54のトレンチ54aを、導電体55で充填する。本実施の形態において、導電層51をシード層として、電解メッキ法を用いて絶縁層54のトレンチ54aを銅で充填する。
続いて、図13(g)に示すように、絶縁層54を除去する。この場合、過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドンを用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、基板11上の絶縁層54を除去する。
次いで、図13(h)に示すように、基板11の表面上の導電層51を除去する。この際、過酸化水素水を用いたウェット処理を行うことによって、基板11の表面が露出するように導電層51をエッチングする。このようにして、基板11と、基板11上に配置された無給電型メッシュ配線層20と、を有する配線基板10が得られる。この場合、無給電型メッシュ配線層20は、第1配線21及び第1連結配線22を含む。
その後、図13(i)に示すように、基板11上の無給電型メッシュ配線層20を覆うように保護層17を形成する。保護層17を形成する方法としては、ロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、マイクログラビアコート、スロットダイコート、ダイコート、ナイフコート、インクジェットコート、ディスペンサーコート、キスコート、スプレーコート、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷を用いても良い。
[本実施の形態の作用]
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
図1乃至図3に示すように、配線基板10は、自発光型表示装置61を有する画像表示装置(表示装置)60に組み込まれる。このような画像表示装置60において、配線基板10の無給電型メッシュ配線層20は、平面視で少なくとも一部が通信アンテナモジュール63に重なる位置に設けられている。このため、画像表示装置60において、通信アンテナモジュール63を介して、所定の周波数の電波を送受信することができ、通信を行うことができる。
ところで、一般に、通信アンテナモジュール63が例えば5Gアンテナ(特にミリ波用アンテナ)である場合、通信アンテナモジュール63の帯域幅が狭く、指向性も強い傾向がある。これに対して本実施の形態においては、基板11上であって通信アンテナモジュール63に重なる位置に、無給電型メッシュ配線層20が設けられている。これにより、基板11が誘電体としての役割を果たし、無給電型メッシュ配線層20が二重共振を生じさせ、通信アンテナモジュール63の帯域幅を広げることができる。
また、本実施の形態において、自発光型表示装置61のうちアンテナ領域Raにおける金属の密度が、他の領域Rxにおける金属の密度よりも低くなっている(図3参照)。具体的には、上述したように、(i)放熱層76(グラファイト層65及び金属層66)のうち、アンテナ領域Raに、開口77又は切欠き78が設けられている。(ii)また、アンテナ領域Raに位置する有機発光層(発光体)86の画素密度が、他の領域Rxに位置する有機発光層(発光体)86の画素密度よりも低くなっている。(iii)さらに、少なくともアンテナ領域Raに位置する第2電極87(透明電極)がパターニングされている。
このように、アンテナ領域Raにおける単位面積あたりの金属の量(密度)を、他の領域Rxにおける単位面積あたりの金属の量(密度)よりも少なくすることにより、アンテナ領域Raに存在する導電体によって電波の透過が妨げられることを抑えることができる。これにより、無給電型メッシュ配線層20と通信アンテナモジュール63との間で円滑に二重共振を生じさせることができ、通信アンテナモジュール63の帯域幅を広げることができる。
なお、本実施の形態において、アンテナ領域Raにおける金属の密度を低減する手法として、(i)放熱層76に開口77又は切欠き78を設けること、(ii)有機発光層(発光体)86の画素密度を低くすること、及び、(iii)第2電極87をパターニングすること、の全てを実施する場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、上記(i)、(ii)及び(iii)のうち、いずれか1つ又は複数を実施しても良い。
また、本実施の形態によれば、配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置され、無給電型メッシュ配線層20とを備えている。この無給電型メッシュ配線層20は、不透明な導電体層の形成部としての導体部と多数の開口部とによるメッシュ状のパターンを有しているので、配線基板10の透明性が確保されている。これにより、配線基板10が自発光型表示装置61上に配置されたとき、無給電型メッシュ配線層20の開口部23から自発光型表示装置61を視認することができ、自発光型表示装置61の視認性が妨げられることがない。
(変形例)
次に、画像表示装置の変形例について説明する。
図14及び図15は、画像表示装置の一変形例を示している。図14及び図15に示す変形例は、無給電型メッシュ配線層20の周囲にアレー型メッシュ配線層30が配置されている点が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図13に示す実施の形態と略同一である。図14において、図1乃至図13に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図14に示す画像表示装置60において、配線基板10の基板11上であって、無給電型メッシュ配線層20の周囲に、アレー型メッシュ配線層30が配置されている。具体的には、アレー型メッシュ配線層30は、無給電型メッシュ配線層20のX方向両側にそれぞれ配置されている。これら一対のアレー型メッシュ配線層30は、互いに同一の形状からなり、無給電型メッシュ配線層20からそれぞれ離間して配置されている。
アレー型メッシュ配線層30の長さLbは、それぞれ上述した無給電型メッシュ配線層20の辺の長さLaと同一、又は若干異なる長さを有する。また、アレー型メッシュ配線層30の短手方向(X方向)の長さLcは、例えば1mm以上10mm以下の範囲で選択することができる。アレー型メッシュ配線層30と無給電型メッシュ配線層20との間隔Pbは、通信アンテナモジュール63の帯域幅に応じて適宜選択することができ、例えば0.3mm以上5mm以下の範囲とすることができる。この場合、一方のアレー型メッシュ配線層30と無給電型メッシュ配線層20との間隔と、他方のアレー型メッシュ配線層30と無給電型メッシュ配線層20との間隔は互いに同一となっているが、異なっていても良い。
図15に示すように、アレー型メッシュ配線層30は、それぞれ金属線が格子形状又は網目形状に形成され、X方向及びY方向に繰り返しパターンを有している。すなわちアレー型メッシュ配線層30は、X方向に延びる部分(後述する第2連結配線32の一部)とY方向に延びる部分(後述する第2配線31の一部)とから構成されるL字状の単位パターン形状30aの繰り返しから構成されている。
アレー型メッシュ配線層30は、互いに平行に配置された複数の第2配線31と、複数の第2配線31を連結する複数の第2連結配線32とを含んでいる。具体的には、複数の第2配線31と複数の第2連結配線32とは、全体として一体となって格子形状又は網目形状を形成している。各第2配線31は、アレー型メッシュ配線層30の長手方向に平行な方向(Y方向)に延びており、各第2連結配線32は、アレー型メッシュ配線層30の幅方向に平行な方向(X方向)に延びている。
第2配線31の長さ(すなわちアレー型メッシュ配線層30の長さ)Lb(図14参照)は、それぞれ無給電型メッシュ配線層20の辺の長さLa(通信アンテナモジュール63の周波数の波長の半分(λ/2)に対応する長さ)と同一、又は若干異なる長さを有する。具体的には、第2配線31の長さLbは、無給電型メッシュ配線層20の辺の長さLaの80%以上120%以下の長さを有する(0.8La≦Lb≦1.2La)。アレー型メッシュ配線層30が設けられていることにより、通信アンテナモジュール63の帯域幅をさらに広げ、かつ通信アンテナモジュール63の放射パターンを広げることができる。とりわけ、第2配線31の長さLbが無給電型メッシュ配線層20の辺の長さLaと若干異なることにより、通信アンテナモジュール63の共振周波数のピークを調整することができ、通信アンテナモジュール63の帯域幅を広げることができる。一方、第2連結配線32は、第2配線31同士を連結することにより、第2配線31の断線を抑える役割を果たす。
複数の第2配線31は、アレー型メッシュ配線層30の幅方向(X方向)に互いに等間隔に配置されている。第2配線31のピッチP3は、上述した第1配線21のピッチP1と同一とすることができる。複数の第2連結配線32は、アレー型メッシュ配線層30の長手方向(Y方向)に互いに等間隔に配置されている。複数の第2連結配線32のピッチP4は、上述した第1連結配線22のピッチP2と同一とすることができる。
アレー型メッシュ配線層30においては、互いに隣接する第2配線31と、互いに隣接する第2連結配線32とに取り囲まれることにより、複数の開口部33が形成されている。各開口部33は、それぞれ平面視略正方形形状となっている。また、各開口部33からは、透明性を有する基板11が露出している。このため、各開口部33の面積を広くすることにより、配線基板10全体としての透明性を高めることができる。なお、各第2配線31と各第2連結配線32とは、互いに直交しているが、これに限らず、互いに鋭角または鈍角に交差していてもよい。また、第2配線31のピッチP3及び第2連結配線32のピッチP4は、アレー型メッシュ配線層30内で均一であるが、これに限らずアレー型メッシュ配線層30内で不均一としても良い。
各第2配線31の長手方向に垂直な断面(X方向断面)の形状は、上述した第1配線21の断面形状と同一とすることができる。また、各第2連結配線32の長手方向に垂直な断面(Y方向断面)の形状は、上述した第1連結配線22の断面形状と同一とすることができる。また、第2配線31の線幅(X方向の長さ)及び第2連結配線32の線幅(Y方向の長さ)は、それぞれ上述した第1配線21の線幅W1及び第1連結配線22の線幅W2と同一とすることができる。さらに、第2配線31の高さ(Z方向の長さ)及び第2連結配線32の高さ(Z方向の長さ)は、上述した第1配線21の高さH1及び第1連結配線22の高さH2と同一とすることができる。
第2配線31及び第2連結配線32の材料についても、上述した第1配線21及び第1連結配線22の材料と同一とすることができる。
本変形例によれば、基板11上であって、無給電型メッシュ配線層20の周囲に、アレー型メッシュ配線層30が配置されている。これにより、通信アンテナモジュール63の帯域幅をより広げることができるとともに、通信アンテナモジュール63の指向性を広げることができる。この場合、アレー型メッシュ配線層30の長さ(Y方向距離)を調整することにより、さらに通信アンテナモジュール63の帯域幅を広げることができる。
上記実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。