JP7302140B2 - 同期リラクタンス電動機の駆動装置 - Google Patents

同期リラクタンス電動機の駆動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7302140B2
JP7302140B2 JP2019152386A JP2019152386A JP7302140B2 JP 7302140 B2 JP7302140 B2 JP 7302140B2 JP 2019152386 A JP2019152386 A JP 2019152386A JP 2019152386 A JP2019152386 A JP 2019152386A JP 7302140 B2 JP7302140 B2 JP 7302140B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
phase
coordinate system
reluctance motor
synchronous reluctance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019152386A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021027790A (ja
Inventor
新二 新中
Original Assignee
有限会社シー・アンド・エス国際研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 有限会社シー・アンド・エス国際研究所 filed Critical 有限会社シー・アンド・エス国際研究所
Priority to JP2019152386A priority Critical patent/JP7302140B2/ja
Publication of JP2021027790A publication Critical patent/JP2021027790A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7302140B2 publication Critical patent/JP7302140B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/64Electric machine technologies in electromobility

Landscapes

  • Control Of Electric Motors In General (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

本発明は、回転子の機械的構造により定められる順(「正」とも呼ばれる)機械突極または逆(「負」とも呼ばれる)機械突極の位相を軸位相とするd軸と、d軸に直交するq軸とで構成されるdq同期座標系の上において、d軸とq軸の間で軸間磁束干渉(以下、「dq軸間磁束干渉」と略記)を有する同期リラクタンス電動機のための駆動装置、特に、同電動機を最も簡単かつ合理的に駆動することを可能とした駆動装置に関するものである。なお、「軸間磁束干渉」は、「軸間磁気干渉」、「軸間干渉」とも呼ばれる。これら3用語は同義である。
本発明では、2次元平面を極座標的に捉え、「角度」、空間的「位置」、空間的「位相」の3用語を同義で使用する。これらの単位は「ラジアン(rad)」または「度(degree)」である。本発明における角度、空間的位置、空間的位相の正方向は、左周り(反時計周り)、右周り(時計周り)のいずれに定義してもよい。ただし、本明細書では、説明の簡明性を維持すべく、角度、空間的位置、空間的位相の正方向は左周り(反時計周り)と定義し、本発明を説明する。これにより、本発明の一般性を失うことはない。
同期リラクタンス電動機の固定子電流により発生する磁束の名称として、「固定子磁束」、「固定子鎖交磁束」、「固定子反作用磁束」の3用語が同義で使用されている。本発明では、原則として、簡単な用語である固定子磁束を用いる。
本発明では、固定子電圧、固定子電流等の信号に関し「相当値」なる用語を使用している。相当値は当該信号の真値、近似値、推定値、指令値等の総称である。
同期リラクタンス電動機をして高い制御性能を発揮せしめるには、固定子電流の制御が不可欠であり、従来このための制御法としてベクトル制御法が知られている。従前のベクトル制御法は、回転子の機械的構造により定まる順機械突極の位相、あるいは逆機械突極の位相の情報が必要である。これら回転子の機械的位相は、簡単には「回転子位相」と呼ばれ、回転子に装着したエンコーダなどの位置・速度センサにより容易に検出される。
図1を考える。回転子位相として、同図(a)は順機械突極位相を採用し、同図(b)は逆機械突極位相を採用している。両図には、同期リラクタンス電動機の駆動制御に有用な代表的な2軸直交座標系として、dq同期座標系、αβ固定座標系の2座標系を描画している。dq同期座標系は、主軸たるd軸の位相を、回転子の順機械突極の位相あるいは逆機械突極の位相に位相差なく同期した座標系を意味する。一方、αβ固定座標系は、主軸たるα軸の位相を固定子の基準位置(一般には、三相のu相巻線の中心位置)に合わせた座標系を意味する。各座標系の副軸は、基軸に対して、π/2[rad]の位相進みの位置に配置されている。回転子の順機械突極あるいは逆機械突極に位相差なく同期したdq同期座標系の速度は、回転子の電気速度ω2nと同一である。α軸を基準とした回転子位相は「θα」と表現している。従前の同期リラクタンス電動機のベクトル制御には、基本的に、α軸を基準とした回転子位相「θα」が必要とされる。なお、以下の説明では、説明の簡明性を維持すべく、すべての座標系の基軸と副軸の位相関係は、図1と同様とする。
本発明では、基軸であるγ軸と副軸であるδ軸とからなる新たな2軸直交座標系として、γδ磁気突極座標系を定義している。γδ磁気突極座標系は、回転子の順磁気突極の位相あるいは逆磁気突極の位相を直交2軸の基軸であるγ軸の位相に選定した座標系である。図2を考える。図2は、dq同期座標系とγδ磁気突極座標系の関係を概略的に示したものである。図2(a)は、両座標系とも順突極位相を基軸位相に選定した1例を、図2(b)は、両座標系とも逆突極位相を基軸位相に選定した1例を示している。dq同期座標系に対するγδ磁気突極座標系の位相進み、位相遅れは、固定子電流によって変化することを指摘しておく。図2は、両座標系の関係を示した1例に過ぎない。本発明では、γδ磁気突極座標系への収斂を目指した2軸直交座標系も「γδ磁気突極座標系」と呼称する。
なお、γδ磁気突極座標系上では、γ軸とδ軸の間の軸間磁束干渉は、理論上は消滅する。実際的には、消滅に準じた状態で低減する。なお、γδ磁気突極座標系上における本特性は、本発明が新規に解明したものであり、本明細書の「発明の効果」の欄で、数式(具体的には後掲の(9)式)を用いて疑義のない形で解析し説明する。
dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機では、dq同期座標系とγδ磁気突極座標系とは、図2の例のように、互いに異なる。しかし、dq軸間磁束干渉を有しない(すなわち理想的な)同期リラクタンス電動機では、両座標系は同一となる。本発明が対象としている電動機は、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機である。
同期リラクタンス電動機は、高速回転に適する、頑健で耐環境性に優れる、廉価である、リサイクル性が高いといった特長を備える。一方、概して、強いdq軸間磁束干渉特性をもつといった欠点も有する。同期リラクタンス電動機の特性を活かした所期の性能を得るには、この駆動は、固定子電流制御を中核としたベクトル制御によることになる。従前のベクトル制御法はdq同期座標系上で電流制御を遂行するものであり、この遂行には、回転子位相が不可欠である。同期リラクタンス電動機のベクトル制御法は、位置・速度センサを用い回転子位相を検出的に得る「センサ利用ベクトル制御法」と、位置・速度センサを用いることなく回転子位相を推定的に得る「センサレスベクトル制御法」とに大別される。
センサ利用ベクトル制御法を基準とする場合、センサレスベクトル制御法における最重要技術課題は回転子位相推定である。回転子位相推定法は、駆動用の電圧・電流を利用する方法「駆動用電圧電流利用法」と位相探査用の高周波電圧を印加する方法「高周波電圧印加法」とに大別される。同期リラクタンス電動機のセンサレスベクトル制御において高い回転子位相推定性能を得るには、一般に、同期リラクタンス電動機の欠点であるdq軸間磁束干渉特性への考慮が必要である。本認識に立ち、例えば非特許文献1は、「dq軸間磁束干渉が高周波電圧印加法による位相推定性能に与える影響」を排除した回転子位相推定法を検討・提示している。同文献における推定対象回転子位相は、回転子の機械的位相である。より具体的には、回転子の機械的構造により定められた順機械突極あるいは逆機械突極の位相である。
dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機のための従前のベクトル制御法は、dq同期座標系上で電流制御系を構成するものであり、以下の問題・課題を抱えていた(後掲の(3)式、(4)式を参照)。
(a) 高い電流制御性能を得るには、dq軸間磁束干渉を考慮した特別の制御器を採用する必要がある。標準的なPI形電流制御器を利用する場合、dq軸間磁束干渉の影響により、電流制御性能の低下を招いた。
(b) トルク指令値に応じた、かつ効率駆動をもたらす電流指令値の決定には、dq軸間磁束干渉を考慮した特別な指令変換器を用意する必要がある。特別な指令変換器の構成は、単純な解析的最適解が利用できるdq軸間磁束干渉がない場合に比較し、各段に煩雑となる。
(c) 回転子位相推定において、精度よく機械的な回転子位相(d軸位相)を推定するには、dq軸間磁束干渉を考慮した位相推定器を新たに用意する必要がある。これを無視する場合、dq軸間磁束干渉の強さに応じた位相推定誤差が発生する。
C.Li,G.Wang,G.Zhang,and D.Xu:"Eliminating Position Error Caused by Cross-Coupling Effect in Saliency-Based Sensorless Control of SynRMs",2018 21st International Conference on Electrical Machines and Systems(ICEMS),pp.1600-1605(2018) 新中新二:「詳解・同期モータのベクトル制御技術」、ISBN 978-4-501-11820-4、東京電機大学出版局(2019)
本発明は上記背景の下になされたものであり、その目的は、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機の駆動おける上記の問題・課題を解決した駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転子の機械的構造により定められる順機械突極または逆機械突極の位相を軸位相とするd軸(基軸)と、d軸に直交するq軸(副軸)との2直交軸で構成されるdq同期座標系の上において、d軸とq軸の間で軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機のための駆動装置であって、γ軸(基軸)とδ軸(副軸)の直交2軸からなり、かつγ軸とδ軸の間では軸間磁束干渉が消滅に準じた状態で低減する座標系をγδ磁気突極座標系と定義し、γδ磁気突極座標系の固定子基準位置から評価した位相をθαγとするとき、γδ磁気突極座標系の位相θαγを決定する座標系位相決定手段とγδ磁気突極座標系上で固定子電流制御の少なくとも一部を遂行する固定子電流制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の駆動装置であって、該同期リラクタンス電動機の該dq同期座標系上におけるd軸インダクタンス、q軸インダクタンスを各々Ld、Lqとし、d軸とq軸の間の軸間磁束干渉を示す干渉インダクタンスをLcとし、さらには、γ軸を基準にしたd軸とγ軸との位相差をθγとするとき、位相差θγが次式
Figure 0007302140000001
を実質満足するように、該座標系位相決定手段を構成したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の駆動装置であって、該同期リラクタンス電動機の固定子電圧、固定子電流の少なくともいずれかの相当値を用いて、該γδ磁気突極座標系の位相θαγを推定的に決定するように該座標系位相決定手段を構成したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1記載の駆動装置であって、該同期リラクタンス電動機の該dq同期座標系上におけるd軸インダクタンス、q軸インダクタンスを各々Ld、Lqとし、d軸とq軸の間の軸間磁束干渉を示す干渉インダクタンスをLcとし、さらには、該駆動装置の手段の設計または構成に用いるγ軸インダクタンス、δ軸インダクタンスを各々Lγ、Lδとするとき、次式
Figure 0007302140000002
を実質満足するようにLγ、Lδを定め、定めたLγ、Lδあるいはこの処理値を用いて、該座標系位相決定手段、該γδ磁気突極座標系上の該固定子電流制御手段の少なくともいずれかの手段を設計または構成したことを特徴とする。
なお、(2b)式に定義したインダクタンスはLi、Lmは、各々同相インダクタンス、鏡相インダクタンスと呼ばれる。また、(2c)式の関数sgnは、同式の定義より明白なように、符号関数(シグナム関数)を意味する。
請求項1の発明の効果を説明する。dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機の数学モデルは、次の(3)式(回路方程式)、(4)式(トルク発生式)で記述される。
Figure 0007302140000003
Figure 0007302140000004
(3)式に用いた2×2行列Dは、D因子と呼ばれ、以下のように定義されている。
Figure 0007302140000005
また、(3)、(5)式における記号「s」は微分演算子を意味する。2×1ベクトルv1、i1、φ1は、各々固定子電圧、固定子電流、固定子磁束である。τは発生トルクであり、ω2nは回転子の電気速度である。また、Np、R1は各々極対数、巻線抵抗である。同相インダクタンスLi、鏡相インダクタンスLmの定義は、(2b)式のとおりである。なお、鏡相インダクタンスLmの極性は、(2b)式の定義より自明のように、回転子位相を順機械突極位相とする場合には正、逆機械突極位相とする場合には負となる。(3d)式に用いられたLcが、dq軸間磁束干渉を表現した干渉インダクタンスである。干渉インダクタンスLcは、必ずしも一定ではなく、一般的には、その極性および大きさは固定子電流に応じて変化する。
当業者には、(3)式(回路方程式)、(4)式(トルク発生式)より容易に理解されるように、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機を、dq同期座標系上の電流制御を中心としたベクトル制御系により駆動制御する場合には、「背景技術」の欄で説明した問題・課題(a)~(c)を抱えることになる。
ここで、干渉インダクタンスLcと鏡相インダクタンスLm(この定義は(2b)式を参照)との相対比の逆正接値θcを以下のように定義する。
Figure 0007302140000006
さらには、位相差θγを次式のように選定する。
Figure 0007302140000007
この上で、次の2×2行列であるベクトル回転器Rを次式のように定義する。
Figure 0007302140000008
ベクトル回転器Rを(3a)式の両辺に作用させると、新たな回路方程式を次のように得る。
Figure 0007302140000009
Figure 0007302140000010
また、(4)式に(9c)式の関係を利用すると、新たなトルク発生式として、γ軸電流、δ軸電流を用いた次式を得る。
Figure 0007302140000011
回路方程式を構成する(9d)式は、「γδ磁気突極座標系上では、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機といえども、γ軸とδ軸の間では軸間磁束干渉を発生しない」ことを示している。また、(9)式の回路方程式、(10)式のトルク発生式は、「γδ磁気突極座標系上のdq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機の回路方程式、トルク発生式は、dq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機のdq同期座標系上での回路方程式、トルク発生式と、各々、形式的に同一である」ことを示している。より具体的には、「両数学モデルにおいては、次の固定子インダクタスの形式置換が成立している」ことを示している。
Figure 0007302140000012
なお、同相インダクタンスLiは、(11b)式の第1行に示しているように不変である。すなわち、同相インダクタンスに関しては、次の関係が成立している。
Figure 0007302140000013
請求項1の発明に従えば、軸間磁束干渉が発生しないγδ磁気突極座標系上で固定子電流制御を遂行できるようになる。このとき、γδ磁気突極座標系上では、「dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機といえども、dq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機と同様に扱える」と言う特性が確保できる。本事実は、請求項1の発明に従えば、「dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機に対しても、dq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機に対する場合と同様な電流制御、効率駆動、座標系位相の推定が可能となり、ひいては、背景技術欄で指摘した問題・課題を直ちに解決できる」と言う効果を得ることができるようになる。
つづいて、請求項2の発明の効果を説明する。請求項2の発明に従えば、γ軸を基準にしたd軸とγ軸との位相差をθγとするとき、(1)式を実質満足するように位相差θγを定めることになる。請求項2の発明に用いた(1)式は、(6)式、(7)式を集約したものと同一である。本事実より明らかなように、請求項2の発明に従えば、「dq同期座標系のd軸位相θαが位置・速度センサなどにより正確に把握できる場合には、γδ磁気突極座標系の位相θαγを直ちに決定でき、γδ磁気突極座標系を直ちに構成できるようになる」と言う効果が得られる。ひいては、「請求項1の発明の効果を高めることができる」と言う効果も得られる。なお、上記の位相関係は、次式により記述される(図2参照)。
Figure 0007302140000014
つづいて、請求項3の発明の効果を説明する。ベクトル制御法は、センサ利用ベクトル制御法とセンサレスベクトル制御法に大別される。請求項1の発明より、「γδ磁気突極座標系上のdq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機は、dq同期座標系上のdq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機と同様に扱える」との特性が得られた。請求項3の発明は、請求項1の発明により得られたこの特性を利用して、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機をセンサレス駆動するものである。すなわち、請求項3の発明によれば、「dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機に対し、dq軸間磁束干渉を有しない同期リラクタンス電動機と同様な性能を保証するセンサレス駆動が可能となる」という効果が得られる。ひいては、「請求項1の発明の効果を高めることができる」と言う効果も得られる。
つづいて、請求項4の発明の効果を説明する。請求項1の発明より、「γδ磁気突極座標系上のdq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機は、dq同期座標系上のdq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機と同様に扱える」との特性が得られた。請求項4の発明は、請求項1の発明により得られたこの特性を利用して、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機のための座標系位相決定手段、γδ磁気突極座標系上の固定子電流制御手段を設計・実現しようとするものである。請求項4の発明での「手段の設計または構成に用いるγ軸インダクタンス、δ軸インダクタンス((2a)式参照)」は、解析式である(9e)式が示すように、「γδ磁気突極座標系上の軸間磁束干渉を排したときの実際のγ軸インダクタンス、δ軸インダクタンス」と同一である。この結果、請求項4の発明に従うならば、「dq軸間磁束千渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機のために開発された従前の座標系位相決定手段の設計・実現法、同じく従前の固定子電流制御手段の設計・実現法が、直ちに利用できようになる」と言う効果が得られるようになる。ひいては、「請求項1の発明の効果を高めることができる」と言う効果も得られる。
αβ固定座標系とdq同期座標系(順機械突極位相基準、逆機械突極位相基準)の1関係例を示す図 αβ固定座標系とdq同期座標系(順機械突極位相基準、逆機械突極位相基準)とγδ磁気突極座標系(順磁気突極位相基準、逆磁気突極位相基準)の1関係例を示す図 1実施例にかかわる電動機駆動システムの基本構成を示すブロック図 1実施例における位相決定器の基本構成を示すブロック図 1実施例にかかわる電動機駆動システムの基本構成を示すブロック図 1実施例における位相決定器の基本構成を示すブロック図 1実施例にかかわる電動機駆動システムの基本構成を示すブロック図 1実施例における位相決定器の基本構成を示すブロック図
以下、図面を用いて、本発明の好適な態様を具体的に説明する。
dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機に対し、特に請求項1、請求項2、請求項4の発明を用いた駆動装置による駆動システムの1基本的構造を図3に示す。1は同期リラクタンス電動機を、2は電力変換器を、3は電流検出器を、4a、4bは夫々3相2相変換器、2相3相変換器を、5a、5bは共にベクトル回転器を、6は電流制御器を、7は指令変換器を、8は位置・速度センサを、9は位相決定器を示している。図3では、同期リラクタンス電動機1を除く、2から9までの諸機器が駆動装置を構成している。特に、8、9の2種の機器が座標系位相決定手段を構成し、2、3、4a、4b、5a、5b、6、7の6種の機器が固定子電流制御手段を構成している。本発明では、トルク指令値τ*をγδ磁気突極座標系上の電流指令値i1*へ変換する役割を担う指令変換器7も、固定子電流制御手段の一部と捉えている。なお、本図では、簡明性を確保すべく、2×1ベクトル信号、3×1ベクトル信号を1本の太い信号線で表現している。以下のブロック図表現もこれを踏襲する。
電流検出器3で検出された3相の固定子電流は、3相2相変換器4aでαβ固定座標系上の2軸電流(2相電流)に変換された後、ベクトル回転器5aでγδ磁気突極座標系のγ軸電流、δ軸電流に変換され、電流制御器6へ送られる。電流制御器6は、γδ磁気突極座標系上の2軸電流が、各軸の電流指令値に追随すべくγδ磁気突極座標系上の2軸電圧指令値を生成しベクトル回転器5bへ送る。5bでは、γδ磁気突極座標系上の2軸電圧指令値をαβ固定座標系の2軸電圧指令値に変換し、2相3相変換器4bへ送る。4bでは、2軸電圧指令値(2相電圧指令値)を3相電圧指令値に変換し、電力変換器2への指令値として出力する。電力変換器2は、指令値に応じた電力を発生し、同期リタクタンス電動機1へ印加しこれを駆動する。なお、図3においては、電圧、電流が定義された座標系を明示すべく、これらを示す脚符r(γδ磁気突極座標系)、s(αβ固定座標系)、t(uvw座標系)を付している。
図4は、座標系位相決定手段を構成する主要機器である位相決定器9の内部を示したものである。図4の位相決定器9は、請求項2の発明に従い構成されている。より具体的には、(1)式と(13)式に従い構成されている。(1)式に利用した干渉インダクタンス等のインダクタンスが、固定子電流に応じて変化しうることを考慮し、図3、図4の位相決定器9には、同器に入力される固定子電流の信号線を破線で示した。位相決定器9では、座標系位相θαγは、余弦正弦信号発生器9aによりこの余弦値、正弦値に変換され、出力されている。
図3における指令変換器7、電流制御器6は、請求項4の発明に従い構成すればよい。すなわち、先ず、請求項4の発明に従った(2)式に基づき、これら機器の設計・構成に用いるγ軸インダクタンスLγ、δ軸インダクタンスLδを定める。次に、従前の指令変換器、電流制御器の設計・構成法(dq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機のための設計・構成法)に(11)式の形式置換を適用すれば、指令変換器7、電流制御器6の設計・構成が完了する。dq軸間磁束干渉を有しない同期リラクタンス電動機のための従前の設計・構成法は、非特許文献2に詳しく解説されているので、これ以上の説明は差し控える。
つづいて、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機に対し、特に、請求項1、請求項3、請求項4の発明を用いた駆動装置による駆動システムの1基本的構造を図5に示す。図3に対する図5の大きな違いは、図5では、位置・速度センサ8が撤去されている点にある。図5は、本発明をセンサレスベクトル制御へ適用した例を示している。センサレスベクトル制御法は、「駆動用電圧電流利用法」と「高周波電圧印加法」とに大別されるが、駆動用電圧電流利用法に基づくセンサレスベクトル制御系では、位相決定器は、γδ磁気突極座標系、αβ固定座標系のいずれの座標系上でも構成可能である。図5は駆動用電圧電流利用法に基づき、γδ磁気突極座標系上で位相決定器を構成したセンサレスベクトル制御系を示している。
図5における位相決定器9の内部構造を、図6に示した。本器は、余弦正弦信号発生器9a、位相偏差推定器9b、位相同期器9cから構成されている。図5における位相偏差推定器9b、位相同期器9cは、請求項4の発明に従い構成すればよい。すなわち、先ず、請求項4の発明に従った(2)式に基づき、これら機器の設計・構成に用いるγ軸インダクタンスLγ、δ軸インダクタンスLδを定める。次に、従前の位相偏差推定器、位相同期器の設計・構成法(dq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機のための設計・構成法)に(11)式の形式置換を適用すれば、位相偏差推定器9b、位相同期器9cの設計・構成が完了する。dq軸間磁束干渉を有しない同期リラクタンス電動機のための従前の設計・構成法は、非特許文献2に詳しく解説されているので、これ以上の説明は差し控える。なお、図6におけるωγはγδ磁気突極座標系の速度であり、ω2n^は回転子電気速度の推定値である。請求項2の発明に従い、γδ磁気突極座標系の位相θαγを推定的に決定する場合には、γδ磁気突極座標系の速度が回転子電気速度と等しくなるとは限らない。また、センサレス駆動の場合には、回転子電気速度の真値は未知であるので、同真値ω2nに代わって同推定値ω2n^を利用することになる。
つづいて、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機に対し、特に、請求項1、請求項3、請求項4の発明を用いた駆動装置による駆動システムの1基本的構造を図7に示す。図7は、図5と同様に、駆動用電圧電流利用法に基づき、位相決定器9を構成したセンサレスベクトル制御系を示している。ただし図5と異なり、αβ固定座標系上で位相決定器9を構成している。
図7における位相決定器9の内部構造を、図8に示した。本器は、余弦正弦信号発生器9a、位相推定器9d、速度推定器9eから構成されている。図8における位相推定器9d、速度推定器9eは、請求項4の発明に従い構成すればよい。すなわち、先ず、請求項4の発明に従った(2)式に基づき、これら機器の設計・構成に用いるγ軸インダクタンスLγ、δ軸インダクタンスLδを定める。次に、従前の位相偏差推定器、速度推定器の設計・構成法(dq軸間磁束干渉を有しない(換言するならば、理想的な)同期リラクタンス電動機のための設計・構成法)に(11)式の形式置換を適用すれば、位相推定器9d、速度推定器9eの設計・構成が完了する。dq軸間磁束干渉を有しない同期リラクタンス電動機のための従前の設計・構成法は、非特許文献2に詳しく解説されているので、これ以上の説明は差し控える。
図5~図8を用いて示した実施例は、請求項1、請求項3、請求項4の発明を駆動用電圧電流利用法に基づくセンサレスベクトル制御系に適用した例であった。請求項1、請求項3、請求項4の発明は、高周波電圧印加法に基づくセンサレスベクトル制御系にも適用可能であることを指摘しておく。この場合の位相決定器の設計・構成に関する従前方法の利用手順は、図5~図8を用いて示した実施例における利用手順と同様である。なお、高周波電圧印加法は、固定子インダクタンスの変化に不感なものも少なくない。このような高周波電圧印加法は、特別な改変なく、dq軸間磁束干渉をもつ同期リラクタンス電動機に適用される。この場合、推定的に決定される位相は、γδ磁気突極座標系の位相θαγである。請求項1、請求項3の発明は、このような高周波電圧印加法を利用した実施例を排除するものではない。
請求項1~請求項4の本発明は、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機のための駆動装置に広く適用可能であり、本発明の適用範囲は実施例1~4に限定されるものではないことを指摘しておく。
本発明は、dq軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機のための駆動装置に、特に好適である。
1 同期リラクタンス電動機
2 電力変換器
3 電流検出器
4a 3相2相変換器
4b 2相3相変換器
5a ベクトル回転器
5b ベクトル回転器
6 電流制御器
7 指令変換器
8 位置・速度センサ
9 位相決定器
9a 余弦正弦信号発生器
9b 位相偏差推定器
9c 位相同期器
9d 位相推定器
9e 速度推定器

Claims (4)

  1. 回転子の機械的構造により定められる順機械突極または逆機械突極の位相を軸位相とするd軸(基軸)と、d軸に直交するq軸(副軸)との2直交軸で構成されるdq同期座標系の上において、d軸とq軸の間で軸間磁束干渉を有する同期リラクタンス電動機のための駆動装置であって、
    γ軸(基軸)とδ軸(副軸)の直交2軸からなり、かつγ軸とδ軸の間では軸間磁束干渉が消滅に準じた状態で低減する座標系をγδ磁気突極座標系と定義し、γδ磁気突極座標系の固定子基準位置から評価した位相をθαγとするとき、
    γδ磁気突極座標系の位相θαγを決定する座標系位相決定手段と
    γδ磁気突極座標系上で固定子電流制御の少なくとも一部を遂行する固定子電流制御手段と
    を備えることを特徴とする同期リラクタンス電動機のための駆動装置。
  2. 該同期リラクタンス電動機の該dq同期座標系上におけるd軸インダクタンス、q軸インダクタンスを各々Ld、Lqとし、d軸とq軸の間の軸間磁束干渉を示す干渉インダクタンスをLcとし、さらには、γ軸を基準にしたd軸とγ軸との位相差をθγとするとき、
    位相差θγが次式
    Figure 0007302140000015
    を実質満足するように、該座標系位相決定手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の同期リラクタンス電動機のための駆動装置
  3. 該同期リラクタンス電動機の固定子電圧、固定子電流の少なくともいずれかの相当値を用いて、該γδ磁気突極座標系の位相θαγを推定的に決定するように該座標系位相決定手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の同期リラクタンス電動機のための駆動装置。
  4. 該同期リラクタンス電動機の該dq同期座標系上におけるd軸インダクタンス、q軸インダクタンスを各々Ld、Lqとし、d軸とq軸の間の軸間磁束干渉を示す干渉インダクタンスをLcとし、さらには、該駆動装置の手段の設計または構成に用いるγ軸インダクタンス、δ軸インダクタンスを各々Lγ、Lδとするとき、
    次式
    Figure 0007302140000016
    を実質満足するようにLγ、Lδを定め、定めたLγ、Lδあるいはこの処理値を用いて、該座標系位相決定手段、該γδ磁気突極座標系上の該固定子電流制御手段の少なくともいずれかの手段を設計または構成したことを特徴とする請求項1記載の同期リラクタンス電動機のための駆動装置。
JP2019152386A 2019-08-05 2019-08-05 同期リラクタンス電動機の駆動装置 Active JP7302140B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019152386A JP7302140B2 (ja) 2019-08-05 2019-08-05 同期リラクタンス電動機の駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019152386A JP7302140B2 (ja) 2019-08-05 2019-08-05 同期リラクタンス電動機の駆動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021027790A JP2021027790A (ja) 2021-02-22
JP7302140B2 true JP7302140B2 (ja) 2023-07-04

Family

ID=74665013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019152386A Active JP7302140B2 (ja) 2019-08-05 2019-08-05 同期リラクタンス電動機の駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7302140B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006230174A (ja) 2005-02-14 2006-08-31 C & S Kokusai Kenkyusho:Kk 同期リラクタンス電動機のベクトル制御方法及び同装置
JP2016032364A (ja) 2014-07-29 2016-03-07 株式会社安川電機 電動機制御装置、電動機の磁束推定装置および電動機の磁束推定方法
JP2017184307A (ja) 2016-03-28 2017-10-05 日本リライアンス株式会社 モータ制御装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006230174A (ja) 2005-02-14 2006-08-31 C & S Kokusai Kenkyusho:Kk 同期リラクタンス電動機のベクトル制御方法及び同装置
JP2016032364A (ja) 2014-07-29 2016-03-07 株式会社安川電機 電動機制御装置、電動機の磁束推定装置および電動機の磁束推定方法
JP2017184307A (ja) 2016-03-28 2017-10-05 日本リライアンス株式会社 モータ制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021027790A (ja) 2021-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4674525B2 (ja) 磁極位置推定方法及びモータ制御装置
US7583048B2 (en) Controller for motor
JP5527025B2 (ja) 同期機の位置センサレス制御装置
JP2001268998A (ja) 同期リラクタンス電動機のベクトル制御方法
JPH07245981A (ja) 電動機の磁極位置検出装置
JPWO2016189694A1 (ja) 交流回転機の制御装置および電動パワーステアリングの制御装置
JP4644010B2 (ja) 同期リラクタンス電動機のベクトル制御方法及び同装置
JP4587110B2 (ja) 同期電動機駆動制御のための回転子位相推定方法
JPH08308286A (ja) 同期電動機の回転角速度検出装置、回転角度検出装置ならびに同期電動機の制御装置及び制御方法
JP4670405B2 (ja) 同期電動機のベクトル制御方法
JP2007185080A (ja) 交流電動機の回転子位相推定装置
JP6150211B2 (ja) 交流電動機のデジタル式回転子位相速度推定装置
Semenov et al. Position estimation for sensorless FOC of five-phase PMSM in electric vehicles
JP7302140B2 (ja) 同期リラクタンス電動機の駆動装置
JP3735836B2 (ja) 永久磁石同期電動機のベクトル制御方法
JP6750364B2 (ja) 回転電機の回転角推定装置
JP6150212B2 (ja) 交流電動機のデジタル式回転子位相速度推定装置
CN113659907A (zh) 基于转矩模型预测的六相永磁容错电机直接转矩控制方法
WO2016199444A1 (ja) 誘導機の電力変換装置と二次時定数測定方法及び速度制御方法
JP5423263B2 (ja) 交流電動機の回転子位相速度推定装置
JP2009165333A (ja) 同期電動機の制御装置
JP6286733B2 (ja) 交流電動機のデジタル式回転子位相速度推定装置
JP7190098B2 (ja) 同期リラクタンス電動機用の位相推定装置
JP7450150B2 (ja) リラクタンストルクを発生する同期電動機の数学モデルと同モデルに立脚した模擬・特性解析・制御装置
JP6311105B2 (ja) 交流電動機の駆動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220709

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230524

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230601

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7302140

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150