JP4670405B2 - 同期電動機のベクトル制御方法 - Google Patents

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本発明は、同期電動機のベクトル制御方法であって、特に、ベクトル制御のために必要な回転子の位相と速度の確保に、回転子に装着される回転子位相速度検出器(位置速度検出器と同義)に代わって位相決定器(位相推定器と同義)を利用したセンサレスベクトル制御方法に関するものである。本発明が対象とする位相決定器は、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを少なくとも入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバを、少なくとも利用して構成されるものである。
同期電動機をして高い制御性能を発揮せしめるには、固定子電流の制御が不可欠であり、従来よりこのための制御法としてベクトル制御方法が知られている。ベクトル制御方法は、トルク発生に寄与する固定子電流を、互いに直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程を有する。
採用すべき回転dq座標系としては、回転子位相に対し理想的には空間的位相差ゼロで同期するような座標系を目指すのが一般的である。すなわち、採用すべき、直交のd軸とq軸からなる回転dq座標系としては、理想的にはd軸位相が回転子位相に一致するような座標系を目指すが一般的である。なお、回転dq座標系の位相と回転子位相を空間的位相差ゼロで理想的に同期させるべく同期手段を構じても、実際的には両者の間には少量の位相誤差が発生する。本発明に関する以降の説明では、少量の空間的位相誤差を有する「準同期」の状態も、実際性を重視し「同期」として扱う。
回転子位相としては、回転子自体が発生する磁束を有する同期電動機(永久磁石形同期電動機、界磁巻線形同期電動機、永久磁石と界磁巻線を有するハイブリッド界磁形同期電動機、永久磁石内蔵形同期リラクタンス電動機等)においては、回転子磁束の位相を選定するのが一般的である。また、回転子自体が発生する磁束を有しない同期リラクタンス電動機のような同期電動機においては、回転子の正突極または負突極の位相を回転子位相として選定するのが一般的である。
回転dq座標系の位相を回転子位相と同期状態に構成維持するには、一般に回転子位相を知る必要がある。位相情報は回転子に位相速度検出器を装着することにより得ることができるが、本装着は信頼性、コスト等の諸点において好ましいものではない。本認識に基づき、推定位相を利用した駆動制御を目指したセンサレスベクトル制御方法の研究開発が、長年にわたり展開されてきた。センサレスベクトル制御方法においては、回転子位相の検出を行う位相速度検出器に代わって、回転子位相を推定する位相決定器が構成される。位相決定器の構成方法としては従来より種々報告されいる。その代表的な構成方法の1つが、固定座標系上で評価された固定子の電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバを利用したものである。
固定座標系上で評価された固定子電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバに関する先行発明としては、次のものがある。
(1)楊耕、富岡真知子、中野求、金東海:「適応オブザーバによるブラシレスDCモータの位置センサレス制御」、電気学会論文誌D、113,5,pp.579−586(1993−5)
(2)山本康弘:「同期電動機の制御装置」、特開2004−32905(2002−6−26出願)
(3)山本康弘、吉田康宏、足利正:「同一次元磁束オブザーバによるPMモータのセンサレス制御」、電気学会論文誌D、114,8,pp.743−749(2004−8)
(4)陳志謙、冨田睦雄、道木慎二、大熊繁:「適応スライデイングオブザーバによるブラシレスDCモータの位置・速度センサレス制御の実現」、平成9年電気学会産業応用部門大会講演論文集、2、pp.235−238(1997−8)
(5)陳志謙、冨田睦雄、道木慎二、大熊繁:「ブラシレスDCモータのセンサレス制御のための適応スライディングオブザーバの極配置法」、平成10年電気学会全国大会講演論文集、4、pp.286−287(1998−8)
(6)陳志謙、冨田睦雄、道木慎二、大熊繁:「適応スライデイングオブザーバを用いた埋め込み磁石型同期モータのセンサレス制御」、平成13年電気学会産業応用部門大会講演論文集、pp.691−694(2001−8)
(7)花本剛士、原英博、田中良明、辻輝生:「拡張誘起電圧オブザーバを用いたBLDCMのセンサレス制御」、電気学会論文誌D、118、9、pp.1089−19090(1998−9)
(8)花本剛士、H.Zidan、小黒龍一、田中良明、辻輝生:「磁束鎖交数の推定値を用いた円筒型PMSMのセンサレス速度制御」、平成11年電気学会産業応用部門大会講演論文集、pp.547−552(1999−8)
(9)T.Hanamoto,T.Tsuji and Y.Tanaka:“Sensorless Speed Control of Cylindrical Type PMSM Using Modified Flux Observer”,Proceedings of International Power Electronics Conference(IPEC−Tokyo 2000),pp.2104−2108(2000−4)
(10)花本剛士、辻輝生、田中良明:「拡張磁束オブザーバを用いた同期リラクタンスモータのセンサレス制御」、平成12年電気学会産業応用部門大会講演論文集、pp.981−984(2000−8)
回転子自体が発生する磁束を有する代表的な同期電動機が永久磁石形同期電動機である。文献(1)〜文献(5)は、非突極(円筒)特性の永久磁石形同期電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、固定子電流と回転子磁束を推定対象とする4次状態オブザーバを構成するものである。これらの先行発明では、回転子速度は、固定子電流真値と状態オブザーバで推定した固定電流推定値の差(電流偏差)と、同じく状態オブザーバで得た回転子磁束推定値との外積的信号を入力とする速度適応同定アルゴリズムを用いて、推定されている。
文献(6)は、突極特性の永久磁石形同期電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、固定子電流と拡張誘起電圧とを推定対象とする4次状態オブザーバを構成するものである。本先行発明では、回転子速度は、固定子電流真値と状態オブザーバで推定した固定電流推定値の差(電流偏差)をローパスフィルタ処理し、フィルタリング処理された電流偏差と同じく状態オブザーバで得た拡張誘起電圧推定値との外積的信号を入力とする速度適応同定アルゴリズムを用いて、推定されている。
文献(7)は、非突極(円筒)特性の永久磁石形同期電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、固定子電流と拡張誘起電圧とを推定対象とする8次状態オブザーバを構成するものである。本先行発明では、回転子速度は、速度制御による一定速度が達成されていることを仮定して、速度指令より算定推定するものとしている。具体的な推定法は、説明がなく不明である。
文献(8)は、非突極(円筒)特性の永久磁石形同期電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、固定子電流と拡張誘起電圧とを推定対象とする8次状態オブザーバを構成するものである。本先行発明は、文献(7)の速度推定の問題点を改良するものであり、状態オブザーバで得た誘起電圧推定値を積分することで回転子磁束推定値を得、誘起電圧推定値と回転子磁束推定値との外積的処理を行なって、誘起電圧に含まれる速度情報を抽出し、これを速度推定値としている。
文献(9)は、非突極(円筒)特性の永久磁石形同期電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、固定子電流、回転子磁束、誘起電圧とを推定対象とする6次状態オブザーバを構成するものである。本先行発明における回転子速度推定の原理は、文献(8)と同一である。すなわち、回転子速度は、誘起電圧推定値と回転子磁束推定値との外積的処理を行なって、誘起電圧に含まれる速度情報を抽出している。実際的な違いは、文献(8)では誘起電圧推定値を積分することにより、回転子磁束推定を得ていたが、文献(9)では状態オブザーバの推定対象の1つに回転子磁束を選定し、状態オブザーバより直接的に回転子磁束推定値を得ている。
文献(10)は、回転子自体が発生する磁束を有しない同期電動機である同期リラクタンス電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、固定子電流、回転子磁束、拡張誘起電圧を推定対象とする8次状態オブザーバを構成するものである。速度推定の原理は、文献(8)と同一である。すなわち、誘起電圧推定値と回転子磁束推定値との外積的処理を行なって誘起電圧に含まれる速度情報を抽出し、これを速度推定値としている。
固定座標系上で評価された固定子電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする2次以上の外乱オブザーバに関する先行発明としては、以下のものがある。
(11)陳志謙、冨田睦雄、千住智信、道木慎二、大熊繁:「外乱オブザーバと速度適応同定による円筒型ブラシレスDCモータの位置・速度センサレス制御」、電気学会論文誌D、118、7/8,pp.828−835(1998−7/8)
(12)井村彰宏、金貞成、陳志謙、道木慎二、石田宗秋、大熊繁:「汎用位置・速度センサレスベクトル制御の検討」、平成14年電気学会全国大会講演論文集、4,pp.191−192(2002−3)
(13)陳志謙、冨田睦雄、道木慎二、大熊繁:「シンクロナスリラクタンスモータのセンサレス制御のための外乱オブザーバ」、平成12年電気学会産業応用部門大会講演論文集、pp.1107−1110(2000−8)
回転子自体が発生する磁束を有する代表的な同期電動機が永久磁石形同期電動機である。文献(11)は、非突極(円筒)特性の永久磁石形同期電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、2次の外乱オブザーバを構成してこの誘起電圧を推定するものである。速度推定は、誘起電圧推定値に含まれる回転子速度情報を、適応同定アルゴリズムで同定することにより行なっている。
文献(12)は、文献(11)の2次の外乱オブザーバを突極特性の永久磁石形同期電動機に適用できるように、外乱オブザーバによる推定対象を誘起電圧から拡張誘起電圧に変更したものである。速度推定は、拡張誘起電圧推定値に含まれる回転子速度情報を、適応同定アルゴリズムで同定することにより行なっている。推定原理は、文献(11)と同一である。
文献(13)は、回転子自体が発生する磁束を有しない同期電動機である同期リラクタンス電動機に対して、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて2次の外乱オブザーバを構成し、この拡張誘起電圧を推定するものである。速度推定は、拡張誘起電圧推定値に含まれる回転子速度情報を、適応同定アルゴリズムで同定することにより行なっている。対象とする同期電動機の違いを除けば、速度推定法は文献(12)と同一である。
下記に示す文献(14)では、誘導電動機を対象として、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流情報等を用いて、固定子電流と回転子磁束を推定対象とする状態オブザーバの構成法、更にはこれに関連して適応的な速度推定法が示されている。これは、同期電動機にも適用できるとする主張がなされているが、主張の根拠になる具体的な説明がなく、主張の正当性・有効性は不明である。
(14)ハジュンイク、井出耕三:「交流電動機のセンサレス制御装置及び制御方法」、特開2003−299381(2002−4−2 出願)
以上の文献説明より既に明らかなように、突極特性を有する永久磁石形同期電動機、あるいはこれと同様な突極特性を有する永久磁石内蔵形同期リラクタンス電動機のための位相決定器に関して、固定子の電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを少なくとも入力信号として電磁気的物理量を推定対象状態変数とする4次状態オブザーバを構成した報告は、いまだない。文献(1)〜(5)は、固定子の電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを入力信号として電磁気的物理量を推定対象状態変数とする4次状態オブザーバの構成を示しているが、対象とする同期電動機は、非突極(円筒)特性の永久磁石形同期電動機のみに限定されている。また、これらは、直ちに突極特性を有する永久磁石形同期電動機へ展開できるものではない。未報告の事実が、非突極特性の同期電動機のための4次状態オブザーバから突極特性の同期電動機のための4次状態オブザーバへの変更の難しさを示している。
本発明と関連する位相決定器において、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする2次以上の外乱オブザーバを採用した重要な先行発明は、上に列挙した文献(11)〜(13)である。これらの外乱オブザーバにおいては、推定対象たる外乱に対するフィルタリング処理は、状態方程式形の外乱オブザーバの中で、外乱推定と一体的に行なわれている。すなわち、従来の外乱オブザーバにおいては、推定対象たる外乱のフィルタリング処理のためのフィルタは個別的あるいは独立的には存在しない、と言う構造的制約をもっていた。フィルタリング処理における本構造的制約のために、従来の外乱オブザーバにおいては、性能の高いフィルタを自由に設計し、また実現することができなかった。
以上、本発明に関連した同期電動機のセンサレスベクトル制御に必須の位相決定器について、従来技術を詳しく説明した。これらは以下のように整理される。固定座標系上で評価された固定子電圧、電流等を入力とし、電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバを用いて構成された位相決定器においては、オブザーバの構成に必要な回転子速度情報としては、速度を適応的に同定することにより得た速度推定値を利用するのが一般的であった。例外的に、回転子磁束推定値と誘起電圧推定値の外積的処理を通じて回転子速度を推定する方法が利用されていた。すなわち、これら従来の主たる速度推定法は、オブザーバよる回転子の位相推定とは独立的に、適応同定アルゴリズムにより回転子速度推定を遂行するものであった。ひいては、同一回転子に対する位相と速度の推定独立性のために必要以上に複雑なものになっていた。また、適応同定による速度推定では、適応同定アルゴリズムの収束レイト以上の高速な速度推定は不可能であり、従来の速度推定法は、急速な可変速運転には利用できなかった。すなわち、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流等を入力とするオブザーバを用いて構成された従来の位相決定器においては、必要以上に複雑な上に、高い性能を発揮することができなっかた。
特に、突極特性をもつ永久磁石形同期電動機、永久磁石内蔵形同期リラクタンス電動機のための、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流等を入力とする位相決定器に関しては、速度推定法の課題が未解決な点もあり、電磁気的物理量を推定対象状態変数とする4次状態オブザーバを構成することができなかった。換言すれば、オブザーバの中でもより優れた推定を可能とする4次状態オブザーバを構成することがでず、ひいては、高性能な位相決定器を構成することができなかった。なお、突極特性をもつ永久磁石形同期電動機は、その効率の良さから、最近特に注目を集めている同期電動機である。
また、同期電動機の位相決定器のための、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流等を入力とする従来の外乱オブザーバにおいては、推定対象たる外乱のフィルタリング処理のためのフィルタは個別的あるいは独立的には存在しない、と言う構造的制約をもっていた。フィルタリング処理における本構造的制約のために、従来の外乱オブザーバにおいては、性能の高いフィルタを自由に設計し、また実現することができなかった。ひいては、高性能な位相決定器を構成することができなかった。
発明が解決しようとする課題
本発明は上記背景の下になされたものであり、その目的は、同期電動機のための、固定座標系上で評価された固定子電圧、電流等を入力とする位相決定器に関し、簡単あるいは高性能な位相決定器を新規に提供し、ひいては、同期電動機のためのより簡単で、可変速運転に利用し易いセンサレスベクトル制御方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トルク発生に寄与する固定子電流を直交2軸で構成される回転座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程と、回転座標系の位相を決定する位相決定工程とを有し、該位相決定工程において、固定座標系上で評価された固定子の電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを少なくとも入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバを構成し、該回転座標系の位相を決定するようにした同期電動機のベクトル制御方法であって、該位相決定工程における該状態オブザーバまたは該外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値を近似微分して、該回転子速度推定値を生成するようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、該位相決定工程における該状態オブザーバまたは該外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値に対する近似微分を、安定な近似微分フィルタを介して遂行するようにしたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、安定な該近似微分フィルタを、該回転子位相推定値に対する近似微分値を積分した上でフィードバックする形で、実現するようにしたことを特徴とする。
請求項4の発明は、トルク発生に寄与する固定子電流を直交2軸で構成される回転座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程と、回転座標系の位相を決定する位相決定工程とを有し、該位相決定工程において、固定座標系上で評価された固定子の電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを少なくとも入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバを構成し、該回転座標系の位相を決定するようにした同期電動機のベクトル制御方法であって、該位相決定工程における該状態オブザーバを、固定子電流またはこれによって生起された磁束と回転子磁束との2物理量を推定対象の状態変数とし、かつ次の形の2x2直交行列
Figure 0004670405
を少なくとも1個用いて構成した4次状態オブザーバとすることを特徴とする。
請求項5の発明は、トルク発生に寄与する固定子電流を直交2軸で構成される回転座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程と、回転座標系の位相を決定する位相決定工程とを有し、該位相決定工程において、固定座標系上で評価された固定子の電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを少なくとも入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバを構成し、該回転座標系の位相を決定するようにした同期電動機のベクトル制御方法であって、該位相決定工程における該外乱オブザーバを、該回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ安定フィルタを外乱オブザーバ内後段部分に独立的に配置する形で、構成したことを特徴とする。
次に本発明の作用について説明する。請求項1の発明によれば、状態オブザーバまたは外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値を近似微分して、回転子速度推定値を生成するようになる。同期電動機の回転子にあっては、その位相と速度は積分と微分の関係にある。請求項1の発明は、本物理関係を直接的に利用するものである。この結果、本発明によれば、位相と速度の簡潔一体的な、しかも高速な推定が可能となると言う作用が得られる。
続いて、本発明の請求項2の作用について説明する。請求項2の発明によれば、状態オブザーバまたは外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値に対する近似微分を、安定な近似微分フィルタを介して遂行するようになる。すなわち、本発明によれば、状態オブザーバまたは外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値を、安定な近似微分フィルタを介して処理し、回転子速度推定値を得ることになる。フィルタはダイナミックスを有し、しかも本ダイナミックスはフィルタ設計を通じ簡単かつ自在に設計付与することができる。この結果、請求項2の発明によれば、状態オブザーバまたは外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値に対して、簡単な処理により、適切なダイナミックスを付与した状態で、回転子速度推定値を得ることができるようなると言う作用が得られる。
状態オブザーバまたは外乱オブザーバの構成には、入力信号の1つに、回転子速度推定値が必要である。状態オブザーバまたは外乱オブザーバより得られた回転子位相推定値に対して何らかの処理をして、入力信号用の回転子速度推定値を生成する場合には、適切なダイナミックスの付与が不可欠であることを指摘しておく。従来技術は、速度の適応同定を介して、速度推定値に本ダイナミックスを付与してきたと、解釈することができる。
続いて、本発明の請求項3の作用について説明する。請求項3の本発明によれば、請求項2の発明における安定な近似微分用フィルタを、回転子位相推定値に対する近似微分値を積分した上でフィードバックする形で、実現するようになる。近似微分値は速度推定値であるので、フィードバックされる積分信号は位相推定値(以降では、最終位相推定値と略記)となる。安定フィルタへの入力信号が、状態オブザーバまたは外乱オブザーバより得られた回転子位相推定値(以降では、初期位相推定値と略記)であり、また同時に、フィードバック信号も回転子位相推定値である。この結果、請求項3の発明によれば、近似微分用安定フィルタが大変構成し易くなるという作用が得られる。ひいては、請求項2、請求項1の発明の作用を、より平易に得ることができるようになると言う作用が得られる。
続いて、本発明の請求項4の作用について説明する。突極特性をもつ永久磁石形同期電動機、あるいは永久磁石内蔵形同期リラクタンス電動機においては、固定座標系上の固定子インダクタンスは空間的に変動する。このためか、従来よりこの種の同期電動機に対しては、固定座標系上の4次以上の状態オブザーバは構成不可能と考えられてきた。しかし、請求項4の本発明によれば、位相決定工程における4次状態オブザーバの構成に該2x2直交行列を活用することになる。後述の数学モデルに関し詳しく説明するように、該2x2直交行列を利用することにより、固定座標系上の固定子インダクタンスは定数として扱うことが可能となる。この結果、請求項4の発明によれば、従来より構成不可能と考えられていた、突極特性をもつ永久磁石形同期電動機、あるいは永久磁石内蔵形同期リラクタンス電動機のための高性能な4次状態オブザーバが構成できるようになると言う作用が得られる。
続いて、本発明の請求項5の作用について説明する。請求項5の発明によれば、推定対象たる外乱に対するフィルタ(以下、外乱フィルタと略記)を外乱オブザーバ内の後段部分に独立的に配置することなる。外乱フィルタの本独立配置により、外乱フィルタに対して、設計と実現の高い自由度を付与できるようになると言う作用が得られる。設計と実現の本自由度の活用により、本外乱フィルタに、回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ種々のフィルタを採用することが可能となる。可変バンドパス特性をもつ外乱フィルタの採用により、高速運転あるいは可変速運転においても、位相遅れの生じにくい、またノイズの影響を受けにくい状態で外乱(誘起電圧、拡張誘起電圧)を推定できるようになると言う作用が得られる。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を詳細に説明する。同期電動機に対し本発明のベクトル制御方法を適用したベクトル制御装置の1実施形態例の基本的構造を図1に示す。1は同期電動機を、2は電力変換器を、3は電流検出器を、4a、4bは夫々3相2相変換器、2相3相変換器を、5a、5bは共にベクトル回転器を、6は余弦正弦信号発生器を、7は電流制御器を、8は指令変換器を、9は速度制御器を、10は位相決定器を示している。図1では、3から10までの諸機器がベクトル制御装置を構成している。本図では、簡明性を確保すべく、本発明と関係の深い2x1のベクトル信号を1本の太い信号線で表現している。以下のブロック図表現もこれを踏襲する。
3、4a、4b、5a、5b、6、7の5種の機器は、トルク発生に寄与する固定子電流を、d軸q軸の直交2軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ、d軸及びq軸の各成分を各軸電流指令に追随するように制御する電流制御工程を実行する手段を構成している。また、位相決定器10は、回転dq座標系の位相決定工程を実行する手段である。位相決定器の出力信号である回転子位相推定値は、余弦正弦信号発生器6で余弦・正弦信号に変換された後、回転dq座標系を決定づけるベクトル回転器6a,6bへ渡される。
電流検出器3で検出された3相の固定子電流は、3相2相変換器4aで固定αβ座標系上の2相電流に変換された後、ベクトル回転器5aで回転dq座標系の2相電流に変換され、電流制御器7へ送られる。電流制御器7は、回転dq座標系上の2相電流が、各相の電流指令に追随すべく回転dq座標系上の2相電圧指令を生成しベクトル回転器5bへ送る。5bでは、回転dq座標系上の2相電圧指令を固定αβ座標系の2相電圧指令に変換し、2相3相変換器4bへ送る。4bでは、2相信号を3相電圧指令に変換し、電力変換器2への指令として出力する。電力変換器2は、指令に応じた電力を発生し、同期電動機1へ印加しこれを駆動する。このときの回転dq座標系上の2相電流指令は、トルク指令を指令変換器8に通じ変換することにより得ている。本指令変換器は、当業者には周知のように、簡単には、電流指令のd軸成分を一定に保ち、電流指令のq軸成分をトルク指令に比例して変化させるように構成すればよい。
速度制御器9には、位相決定器10からの出力信号の1つである回転子速度推定値(電気角速度推定値)が、極対数Nで除されて機械角速度推定値に変換された後、送られている。図1の本例では、速度制御系を構成した例を示しているので、速度制御器9の出力としてトルク指令を得ている。当業者には周知のように、制御目的が発生トルクにあり速度制御系を構成しない場合には、速度制御器9は不要である。この場合には、トルク指令が外部から直接印加される。
本発明の核心は位相決定器10にある。速度制御、トルク制御の何れにおいても、位相決定器10には何らの変更を要しない。以下では、速度制御、トルク制御等の制御モードに関し一般性を失うことなく、位相決定器10の実施形態例について説明する。本位相決定器は、直交2軸の固定αβ座標系上で評価された固定子の電圧の推定値である固定子電圧指令と固定子電流とを入力信号として受け取り、回転子の最終位相推定値と速度推定値(電気角速度推定値)を出力している。
位相決定器は、後述するように、4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバと、速度推定器とから構成される。状態オブザーバ、外乱オブザーバは、同期電動機の数学モデル(回路方程式)に立脚して設計・実現される。この点を踏まえ、位相決定器の説明に先立って、代表的な同期電動機の固定αβ座標系上の数学モデル(回路方程式)を与えておく。これは、α軸からみた回転子位相をθαとすると、以下の(1)〜(7)式で記述することができる。
Figure 0004670405
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ここに、ν,i,φ,φ,φは固定αβ座標系上で定義された電動機内部の電磁気的物理量を示す2x1のベクトルであり、それぞれ固定子電圧、固定子電流、固定子鎖交磁束、固定子電流によって生起された磁束(以下、固定子電流磁束と略記)、回転子磁束を意味している。Rは固定子巻線抵抗である。h,Lは、d、qインダクタンスと次の関係を有する固定子の同相、鏡相インダクタンスである。これらは、基本的には一定である。
Figure 0004670405
また、sは微分演算子である。
(1)〜(7)式の数学モデル(回路方程式)は、Φ≠0、L=0と選定する場合には、非突極(円筒)特性の永久磁石形同期電動機の数学モデルとなる。また、Φ≠0、L≠0と選定する場合には、本回路方程式は突極特性の永久磁石形同期電動機、永久磁石内蔵形同期リラクタンス電動機の数学モデルとなる。また、Φ=0、L≠0と選定する場合には、同期リラクタンス電動機の数学モデルとなる。界磁巻線形同期電動機、ハイブリッド界磁形同期電動機においては、回転子側に界磁回路が存在するため、これらの数学モデルは界磁回路を考慮したものでなくてはならない。しかし、本発明は、後述の説明で明らかになるように、同期電動機の界磁回路の有無に依存しない。以降では、(1)〜(7)式の数学モデルに用いてオブザーバを構成し、本発明を具体的に説明する。
図2は、(1)〜(7)式の数学モデルにおいてΦ≠0、L≠0の条件で記述される同期電動機を対象とした場合の位相決定器10の構成の1例を示したものである。本位相決定器10は、請求項4の発明による4次状態オブザーバ10aと、請求項1〜3の発明による速度推定器10bとから構成されている。
(1)〜(7)式の数学モデルは、固定子電流磁束と回転子磁束を状態変数に選択すると次の状態方程式(9)、(10)式に変換される。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
推定対象状態変数を固定子電流磁束と回転子磁束とすると、請求項4の発明に従えば、4次状態オブザーバとして次のものを新規に構築することができる。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
Figure 0004670405
ここに、2x2行列G,Gは、設計者に設計が委ねられたオブザーバゲインである。なお、記号∧は対応物理量の推定値を意味する。(13)式には、請求項4の発明に従い、2x2直交行列が利用されている点には、注意されたい。(13)式が明示しているように、固定子電流推定値と固定子電流磁束推定値とは、空間依存の関係にあるが、2x2直交行列を利用しているので、インダクタンスL,Lは一定である。
上記4次状態オブザーバにより2x1ベクトル信号である回転子磁束の推定値が得られたならば、回転子の初期位相推定値は、例えば次の(14)式に従い、生成し出力すればよい。
Figure 0004670405
(11)〜(13)式に従った4次状態オブザーバ10aは、図3のように図示される。本4次状態オブザーバは、図より明らかなように、固定座標系上で評価された固定子電流、固定子電圧の推定値としての固定子電流指令、回転子速度推定値とを入力信号として構成されている。突極特性をもつ同期電動機を対象とした本状態オブザーバには、これに加えて、最終位相推定値が入力され2x2直交行列において使用されている。図3の10aにおいては、4次状態オブザーバの2x2直交行列における最終位相推定値の利用は、貫徹矢印で表現している。
続いて、速度推定器10bについて説明する。請求項1〜3の発明に従った速度推定器は次の(15)、(16)式として記述される。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
(15)式におけるF(s)は次の(17)式で定義された安定ローパスフィルタであり、C(s)の定義は(18)式の通りである。
Figure 0004670405
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(15)、(16)式より明白なように、回転子の最終位相推定値と速度推定値は、積分と微分の関係を正確に維持した形で、しかも一体的に決定されている。また、F(s)が安定なローパスフィルタであることを考慮するならば、(15)式第1式に用いたsF(s)は、安定な近似微分フィルタとなっていることがわかる。安定な近似微分フィルタの実現方法は種々存在する。その中で、(15)式第2式と(16)式の組合せは、請求項3の発明に基づき、安定な近似微分フィルタを、回転子の初期位相推定値の近似微分値を積分して得た最終位相推定値をフィードバックする形で、実現していることを示している。図4は、本実現による速度推定器を図示したものである。同図より、初期位相推定値に対する近似微分値が、積分フィードバックされている様子が明暸に確認される。なお、安定フィルタは、一般には、1〜3次程度の低次のものでよい。
請求項3の発明に基づく(15)式第2式と(16)式の組合せには、初期位相推定値と最終位相推定値との位相偏差が入手できれば可能である。本位相偏差は、次の手順で生成することも可能である。
Figure 0004670405
ただし、
Figure 0004670405
(19)式のような位相偏差の生成も、実用性の高い平易な生成法の1つであることを指摘しておく。これは、請求項3の発明の作用による。
次に、図1、図2、図3、図4に示した実施形態例に従って実施した実機実験による結果の1例を示す。供試同期電動機としては、回転子に回転子磁束発生源を有する同期電動機の中でも近年利用が特に進んでいる突極特性を有する永久磁石形同期電動機とした。供試電動機の仕様概要を表1に示す。
Figure 0004670405
(11)〜(13)式および図3に示した4次状態オブザーバのオブザーバゲインを次の(21)式の値に選定し、
Figure 0004670405
速度推定器を構成する安定フィルタF(s)を次の(22)式に選定し、
Figure 0004670405
この上で、電流制御系、速度制御系の帯域を各々2000、50(rad/s)と設計した場合の速度指令(±209(rad/s)台形波)と応答の1例を図5に示す。ただし、d軸電流指令はゼロ一定とし、速度制御器の出力であるトルク指令に比例した形でq軸電流指令を決定するようにした。図5より、正常かつ良好な可変速運転が行なわれていることが確認される。
続いて、本発明による別の実施形態例として、請求項5の発明に基づく外乱オブザーバを利用した位相決定器の構成例を示す。図6は、(1)〜(7)式で記述される同期電動機を対象とした場合の位相決定器10の構成の1例を示したものである。本位相決定器10は、請求項5の発明に基づく外乱オブザーバ10cと、請求項1〜3に基づく速度推定器10bから構成されている。
外乱オブザーバの説明に先立って、これに必要な数学モデルを示す。(1)〜(7)式の数学モデルは、次の(23)、(24)式に書き改めることができる。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
(24)式に示した拡張誘起電圧eに、回転子位相情報が含まれている。拡張誘起電圧は、(23)、(24)式を理論的根拠とする請求項5の発明に基づく次の外乱オブザーバにより推定することができる。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
ここに、F(s)は外乱フィルタであり、また、記号∧は対応物理量の推定値を意味する。
本外乱フィルタは、可変特性の2次バンドパスフィルタを1個あるいは複数個結合して構成しており、全体として回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ安定フィルタとなっている。当然のことであるが、本外乱フィルタは、(25)式右辺角括弧内の2x1ベクトルの源外乱のα成分、β成分各々に対してフィルタリングを行なうことになる。なお、i番目の2次可変フィルタのバンドパス選択性を定めるQ(クオリティファクター)は、フィルタ係数と次の関係を有する。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
回転子の初期位相推定値は、例えば次の(28)式に従い、生成し出力すればよい。
Figure 0004670405
(25)式に従った外乱オブザーバ10cは、図7のように図示される。外乱オブザーバは、図より明らかなように、固定座標系上で評価された固定子電流、固定子電圧の推定値としての固定子電圧指令、回転子速度推定値とを入力信号として構成されている。外乱オブザーバは、前段部である源外乱抽出部10c1とこれに後段部である外乱フィルタ10c2とから構成されている。源外乱抽出部10c1は、(25)式右辺括弧内の2x1ベクトルの源外乱を抽出する役割を担っている。これには、固定子電流、固定子電圧指令、回転子速度推定値が入力として利用されている。後段部である外乱フィルタ10c2は、例えば(26)式に示した、回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ安定なフィルタが構成されている。同図では、外乱フィルタの可変特性は、回転子速度推定値による貫徹矢印で表現している。
回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ安定な外乱フィルタとしては、(26)式に代わって、2入力2出力D因子フィルタを利用してもよいことを指摘しておく。1入力1出力の安定なローパスフィルタを次の(29)式とすると、
Figure 0004670405
回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ安定な2入力2出力D因子フィルタは、次式で与えられる。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
D因子フィルタの設計法、実現法、更には特性解析に関しては、既に、次の文献(15)、(16)に詳しく説明されているので、これ以上の説明は省略する。
(15)新中新二:「三相信号処理のための可変特性多変数フィルタの提案、−ベクトル回転器同伴フィルタ効果の簡易発生−」,電気学会論文誌D、121、2,pp.253−260(2001−2)
(16)新中新二:「可変特性D因子システム、−その存在性、実現性、安定性−」、電気学会論文誌D、122、6、pp.591−600(2002−6)
本外乱オブザーバは、回転子磁束Φ、鏡相インダクタンスLのゼロ、非ゼロの如何に拘わらず利用可能である点を指摘しておく。本事実は外乱オブザーバの汎用性の高さを示す1例に過ぎない。外乱オブザーバは、全ての同期電動機の位相決定器に適用可能な、最も汎用性の高いオブザーバである。外乱オブザーバに後続して利用する速度推定器10bは(図6参照)、4次状態オブザーバで利用したものと同一のものが利用される。請求項1〜3の発明に基づく本速度推定器に関しては、既に詳しく説明した通りである。
なお、外乱オブザーバの利用にあっても、(19)式に対応した位相偏差の算定が可能である。これは、次式となる。
Figure 0004670405
(32)式のような位相偏差の生成も、実用性の高い平易な生成法の1つであることを指摘しておく。これは、請求項3の発明の作用による。
次に、図1、図6、図7、図4に示した実施形態例に従って実施した実機実験による結果の1例を紹介する。供試同期電動機としては、回転子に回転子磁束発生源を有しない同期電動機である同期リラクタンス電動機とした。供試電動機の仕様概要を表2に示す。
Figure 0004670405
外乱フィルタとしては(26)式のものを採用し、これと速度推定器用フィルタF(s)を各々、以下のように設計した。
Figure 0004670405
Figure 0004670405
この上で、電流制御系、速度制御系の帯域を各々2000、40(rad/s)と設計した場合の速度指令と応答の1例を図8に示す。ただし、d軸電流指令は一定−8.6(A)とし、q軸電流指令は、速度制御器の出力であるトルク指令に比例した形で決定した。同図より、速度真値との差が視認できないほど良好な速度推定が達成され、ひいては良好な可変速運転が行なわれていることが確認される。
図1〜図8を利用して説明した実施形態例では、状態オブザーバあるいは外乱オブザーバを駆動するための固定αβ座標系上で定義された固定子電流、固定子電圧の信号として、固定子電流の実測値、固定子電圧の指令を利用した。これに代わって、固定αβ座標系上で定義された固定子電流の指令、固定子電圧の実測値など、固定子電流、固定子電圧に関する他の信号を利用して差し支えないことを指摘しておく。
また、状態オブザーバ、外乱オブザーバへの固定子電圧、固定子電流の信号として、αβの直交2軸からなる固定αβ座標系上で定義されたものを使用したが、これと完全等価な120度3軸(U相軸、V相軸、W相軸)の固定座標系上で評価された信号を利用して差し支えないことを指摘しておく。当業者には周知のように、U相、V相、W相成分からなる3軸上の信号は、ベクトル制御で一般に利用されている3相2相変換器を通じ、固定αβ座標系上の信号へ一意かつ容易に変換される。
本発明による位相決定器は、アナログ的に実現可能であるが、最近のディジタル技術の著しい進歩を考えるとディジタル的に構成することが好ましい。ディジタル構成はハードウェア的構成とソフトウェア的構成があるが、当業者にとっては既に自明のように本発明はいずれでも構成できる。以上、本発明に関し、各種の図を利用しつつ複数の実施形態例を用いて具体的かつ詳しく説明した。
発明の効果
以上の説明より明白なように、本発明は以下の効果を奏する。請求項1の発明は、回転子の位相と速度の物理的関係である積分微分の関係を直接的に利用するものであり、本発明によれば、位相と速度の簡潔一体的な、しかも高速な推定が可能となると言う作用が得られた。本作用の結果、請求項1の本発明のよれば、より簡単でしかも急速な可変速運転に利用可能な、4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバに基づく位相決定器を利用したセンサレスベクトル制御装置が構成できるようになると言う効果が得られる。
次に、請求項2の本発明による効果を説明する。4次以上の状態オブザーバ、2次以上の外乱オブザーバとも、その出力から生成された速度推定値を入力信号として必要とするため、これらオブザーバが安定に動作するためには、速度推定値に適切なダイナミックスの付与が不可欠である。請求項2の本発明によれば、状態オブザーバまたは外乱オブザーバにより得られた回転子の初期位相推定値に対して、簡単な処理により、適切なダイナミックスを付与した状態で、回転子速度推定値を得ることができるようなると言う作用が得られた。しかも、本ダイナミックスはフィルタ設計を通じ簡単かつ自在に設計付与することができるものであった。従って、請求項2の発明によれば、状態オブザーバあるいは外乱オブザーバが安定に動作できるようになると言う効果が、ひいては、これらに基づく位相決定器が安定に動作できるようになると言う効果が得られる。この結果、請求項2の発明によれば、安定性の高い、4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバに基づく位相決定器を利用したセンサレスベクトル制御装置が構成できるようになると言う効果が得られる。
続いて、請求項3の本発明の効果を説明する。請求項3の発明によれば、近似微分用安定フィルタが大変構成し易くなるという作用が得られた。ひいては、請求項2、請求項1の発明の作用を、より平易に得ることができるようになると言う作用が得られた。この作用の結果、請求項3の発明によれば、請求項2、請求項1による発明によるセンサレスベクトル制御の効果及び有用性を更に高めることができると言う効果が得られる。
続いて、請求項4の発明の効果を説明する。請求項4の発明によれば、従来より構成不可能と考えられていた、突極特性をもつ永久磁石形同期電動機、あるいは永久磁石内蔵形同期リラクタンス電動機のための、電磁気的物理量を推定対象状態変数とする4次状態オブザーバが構成できるようになると言う作用が得られた。本作用の結果、請求項4の発明によれば、効率の良さから最近特に注目を集めている、突極特性をもつ永久磁石形同期電動機に対しても、固定座標系上での高性能な位相推定を行う位相決定器の構成が可能となり、更には請求項1〜請求項3の発明と併用することにより、簡単でしかも急速な可変速運転に利用可能なセンサレスベクトル制御装置が構成できるようになると言う効果が得られる。
続いて、請求項5の発明の効果を説明する。請求項5の発明によれば、外乱フィルタの独立配置により、外乱フィルタに対して、設計と実現の高い自由度を付与できるようになると言う作用が得られた。設計と実現の本自由度の活用により、本外乱フィルタに、回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ種々のフィルタを採用することが可能となった。可変バンドパス特性をもつ外乱フィルタの採用により、高速運転あるいは可変速運転においても、位相遅れの生じにくい、またノイズの影響を受けにくい状態で外乱(誘起電圧、拡張誘起電圧)を推定できるようになると言う作用が得られた。本作用の結果、固定座標系上での高性能な位相推定を行う位相決定器に外乱オブザーバの採用がが可能となり、更には請求項1〜請求項3の発明と併用することにより、簡単でしかも急速な可変速運転に利用可能なセンサレスベクトル制御装置が構成できるようになると言う効果が得られる。なお、外乱オブザーバは、全ての同期電動機の位相決定器に適用可能な、最も汎用性の高いオブザーバである。
以上述べた、請求項1〜4の効果に関しては、数値実験でも明快に検証した。
1実施形態例におけるベクトル制御装置の基本構成を示すブロック図 1実施形態例における位相決定器の基本構成を示すブロック図 1実施形態例における4次状態オブザーバの基本構成を示すブロック図 1実施形態例における速度推定器の基本構成を示すブロック図 1実施形態例におけるベクトル制御装置の制御応答例を示す図 1実施形態例における位相決定器の基本構成を示すブロック図 1実施形態例における外乱オブザーバの基本構成を示すブロック図 1実施形態例におけるベクトル制御装置の制御応答例を示す図
符号の説明
1 同期電動機
2 電力変換器
3 電流検出器
4a 3相2相変換器
4b 2相3相変換器
5a ベクトル回転器
5b ベクトル回転器
6 余弦正弦信号発生器
7 電流制御器
8 指令変換器
9 速度制御器
10 位相決定器
10a 4次状態オブザーバ
10b 速度推定器
10c 外乱オブザーバ
10c1 源外乱抽出部
10c2 外乱フィルタ

Claims (5)

  1. トルク発生に寄与する固定子電流を直交2軸で構成される回転座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程と、回転座標系の位相を決定する位相決定工程とを有し、該位相決定工程において、固定座標系上で評価された固定子の電圧、電流あるいはこれらの推定値と回転子速度推定値とを少なくとも入力信号として電磁気的物理量を推定対象とする4次以上の状態オブザーバまたは2次以上の外乱オブザーバを構成し、該回転座標系の位相を決定するようにした同期電動機のベクトル制御方法であって、
    該位相決定工程における該状態オブザーバまたは該外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値を近似微分して、該回転子速度推定値を生成するようにしたことを特徴とする同期電動機のベクトル制御方法。
  2. 該位相決定工程における該状態オブザーバまたは該外乱オブザーバにより得られた回転子位相推定値に対する近似微分を、安定な近似微分フィルタを介して遂行するようにしたことを特徴とする請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法。
  3. 安定な該近似微分フィルタを、該回転子位相推定値に対する近似微分値を積分した上でフィードバックする形で、実現するようにしたことを特徴とする請求項2記載の同期電動機のベクトル制御方法。
  4. 該位相決定工程における該状態オブザーバを、固定子電流またはこれによって生起された磁束と回転子磁束との2物理量を推定対象の状態変数とし、かつ次の形の2x2直交行列
    Figure 0004670405
    を少なくとも1個用いて構成した4次状態オブザーバとすることを特徴とする請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法。
  5. 該位相決定工程における該外乱オブザーバを、該回転子速度推定値を中心周波数とする可変バンドパス特性を持つ安定フィルタを外乱オブザーバ内後段部分に独立的に配置する形で、構成したことを特徴とする請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法。
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