以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(金銭処理装置の構成)
図1および図2を参照して、本実施形態による金銭処理装置100の構成について説明する。
図1に示すように、金銭処理装置100には、入金口1と、出金口5と、返金口8と、操作部9と、表示部10と、が設けられている。
入金口1は、金銭処理装置100の内部に硬貨200を入金するための入り口部分である。また、入金口1は、硬貨200の入金を検出する入金検出部11(図2参照)を含む。入金口1は、複数枚の硬貨200を同時に入金することが可能に構成されている。
出金口5は、硬貨200を出金するための出口部である。出金口5は、少なくとも、金種収納庫4(図2参照)から繰り出された釣銭用の硬貨200を金銭処理装置100の外部に排出(出金)するための出口部分である。また、出金口5には、入金鑑別部2(図2参照)において本物でないと判断された硬貨200も排出される。なお、釣銭用の硬貨200とは、入金された金額から商品価格を差し引いた金額分の硬貨200である。釣銭用の硬貨200は、金種収納庫4から繰り出される。
返金口8は、返却用の硬貨200を金銭処理装置100の外部に排出するための出口部分である。返却用の硬貨200とは、精算前に入金がキャンセルされた場合に、顧客に返すための硬貨200であり、入金された硬貨200そのものである。
図1に示すように、操作部9は、金銭処理装置100に対する各種操作を受け付ける複数のボタンを有している。たとえば、操作部9は、後述する収納処理のトリガーとなる信号を生成するボタンや、金種収納庫4の各収納庫の収納枚数を確認する処理のトリガーとなる信号を生成するボタンを有している。
図1に示される表示部10は、たとえば、液晶パネルにより構成されている。また、表示部10は、金種収納庫4の各収納庫の収納枚数やエラー表示など、金銭処理装置100の処理状況や情報を表示するように構成されている。
図2に示すように、本実施形態による金銭処理装置100は、上位機器であり入金確定などの操作を受け付けるPOS(point of sales)レジスタ装置300などに接続可能(通信可能)に構成され、スーパーマーケットや、コンビニエンスストアなどの店舗に設置されて、POSシステムの一部を構築する装置である。金銭処理装置100は、顧客が自ら会計を行う使用状態(セルフ使用状態)または販売者(管理者)が会計などを行う使用状態で用いられる。
また、図2に示すように、金銭処理装置100は、入金検出部11と、入金鑑別部2と、搬送部6(入金搬送部61、振分搬送部62、出金搬送部63)と、を備えている。また、金銭処理装置100は、一時保留部3と、金種収納庫4(1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45および500円収納庫46)と、切換ゲート(入金切換ゲート64、収納切換ゲート65、および、出金切換ゲート66)と、制御部7と、を備えている。
金銭処理装置100は、入金処理、保留処理、収納処理および出金処理を行うように構成されている。入金処理とは、入金口1から入金された硬貨200を入金搬送部61により、一時保留部3にまで搬送する処理である。保留処理とは、一時保留部3に搬送された硬貨200を振分搬送部62による搬送を行わず、一時保留部3に保留する処理である。収納処理とは、一時保留部3に保留されている硬貨200を、振分搬送部62により搬送し、金種収納庫4の各収納庫に金種毎に振り分けて収納する処理である。出金処理とは、金種収納庫4の各収納庫に収納されている硬貨200を繰り出して、出金搬送部63により、金銭処理装置100の外部(出金口5)に排出する処理である。また、入出金処理とは、上記の入金処理、保留処理、収納処理および出金処理のうち少なくとも入金処理と出金処理とを含む一連の処理のことである。
POSレジスタ装置300は、金銭処理装置100を動作させるために、金銭処理装置100に対して各種信号を送信するように構成されている。たとえば、POSレジスタ装置300は、POSレジスタ装置300に対する所定操作に基づいて、金銭処理装置100において行われる入金処理および出金処理のトリガーとなる信号を金銭処理装置100に送信するように構成されている。また、POSレジスタ装置300は、POSレジスタ装置300に対する所定操作に基づいて、金銭処理装置100において行われる収納処理のトリガーとなる信号を金銭処理装置100に送信するように構成されている。
入金検出部11は、入金口1に設けられている。入金検出部11は、入金口1に投入された硬貨200を検出するように構成されている。
入金鑑別部2は、入金された硬貨200の鑑別を行うように、構成されている。入金鑑別部2は、入金搬送部61に設けられている。入金鑑別部2は、入金口1に入金された硬貨200の金種(1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、および、500円硬貨)、および、本物であるか否かを判別するように構成されている。また、入金鑑別部2は、硬貨200の入金枚数を金種別に計数可能に構成されている。
一時保留部3は、入金口1から入金された後、入金鑑別部2により鑑別された硬貨200を一時的に保留収納するように構成されている。また、一時保留部3は、一時的に保留した硬貨200を、振分搬送部62または返金口8に搬送するように構成されている。一例として、一時保留部3は、硬貨200を搬送する機構として、ベルト機構を有している。一時保留部3は、出金切換ゲート66の切り換えにより、金種収納庫4から繰り出された硬貨200を搬送する出金搬送部63から、硬貨200を受け取り可能に構成されている。
ここで、本実施形態では、金銭処理装置100は、硬貨200を金種別に収納する複数の金種収納庫4を備える。なお、金種収納庫4は、1円の硬貨200を収納する1円収納庫41と、50円の硬貨200を収納する50円収納庫42と、を含む。また、金種収納庫4は、5円の硬貨200を収納する5円収納庫43と、100円の硬貨200を収納する100円収納庫44と、を含む。また、金種収納庫4は、10円の硬貨200を収納する10円収納庫45と、500円の硬貨200を収納する500円収納庫46と、を含む。このように、金種収納庫4(1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45および500円収納庫46)は、それぞれ、互いに異なる所定の金種の硬貨200を収納するように構成されている。
金種収納庫4(1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45および500円収納庫46)の硬貨200の収納数は、収納計数部(図示せず)と、繰出計数部(図示せず)などを用いて、制御部7により金種別に管理されている。また、金種収納庫4は、出金時などにおいて、硬貨200を金種別に出金搬送部63に繰り出す(搬出する)ように構成されている。一例として、金種収納庫4は、それぞれ、硬貨200を繰り出す機構として、ベルト機構を有している。
搬送部6は、硬貨200を搬送するように構成されている。搬送部6は、入金口1から一時保留部3に硬貨200を搬送する入金搬送部61、および、一時保留部3から金種収納庫4に硬貨200を振り分けて搬送する振分搬送部62を含む。また、搬送部6は、金種収納庫4から出金口5に硬貨200を搬送する出金搬送部63を含む。
入金搬送部61は、図2に示すように、入金口1から入金された硬貨200を、一時保留部3または出金口5に搬送するように構成されている。一例として、入金搬送部61は、硬貨200を搬送する機構として、ベルト機構を有している。
振分搬送部62は、図2に示すように、一時保留部3から搬送された硬貨200を金種別に振り分けて金種収納庫4に搬送(収納)するように構成されている。一例として、振分搬送部62は、硬貨200を搬送する機構として、ベルト機構を有している。
具体的には、振分搬送部62は、硬貨200を搬送する途中において、硬貨200を金種別に、1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45、および、500円収納庫46に振り分けるように構成されている。たとえば、振分搬送部62は、金種ごとの硬貨200の大きさの違いを利用して、搬送経路上で硬貨200を分離させることにより、硬貨200を金種別に振り分けるように構成されている。
出金搬送部63は、図2に示すように、金種収納庫4から繰り出された硬貨200を、出金口5または一時保留部3に搬送するように構成されている。一例として、出金搬送部63は、硬貨200を搬送する機構として、ベルト機構を有している。
また、本実施形態では、金銭処理装置100は、硬貨200の搬送先を切り換える切換ゲート(入金切換ゲート64、収納切換ゲート65、出金切換ゲート66)を備える。
入金切換ゲート64は、入金鑑別部2よりも下流側で、入金搬送部61の硬貨200の出口部分に設けられている。入金切換ゲート64は、入金口1から投入された硬貨200の搬送先を、一時保留部3側および出金口5側のどちらか一方に切り換えるように構成されている。
入金切換ゲート64は、入金鑑別部2において硬貨200が本物であると判断された場合には、硬貨200が一時保留部3に搬送されるように、搬送先を切り換えるように構成されている。また、入金切換ゲート64は、入金鑑別部2において硬貨200が本物でないと判断された場合には、本物でないと判断された媒体が出金口5に搬送されるように、搬送先を切り換えるように構成されている。
収納切換ゲート65は、一時保留部3の硬貨200の出口部分に設けられている。収納切換ゲート65は、一時保留部3に一時的に保留された硬貨200の搬送先を、振分搬送部62側および返金口8側のどちらか一方に切り換えるように構成されている。
出金切換ゲート66は、出金搬送部63の硬貨200の出口部分に設けられている。出金切換ゲート66は、金種収納庫4から繰り出された硬貨200の搬送先を、一時保留部3側および出金口5側のどちらか一方に切り換えるように構成されている。
制御部7は、CPUおよびメモリを含み、金銭処理装置100各部の駆動を制御するように構成されている。また、本実施形態では、制御部7は、硬貨200の入出金処理を行うとともに、搬送部6(入金搬送部61、振分搬送部62、および、出金搬送部63)の制御を行うように構成されている。
ここで、本実施形態では、制御部7は、一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に収納する収納処理を、毎回の入出金処理にかかわらず、所定の条件を満たしたことに基づいて、行うように、搬送部6を制御するように構成されている。また、制御部7は、出金処理の完了の後も、所定の条件を満すまで、一時保留部3に保留された硬貨200を保留し続けるように構成されている。また、制御部7は、所定の条件を満すまで、一時保留部3に保留された硬貨200を保留した状態で、入金処理および出金処理を複数回繰り返すように構成されている。以下、制御部7の処理について、具体的に説明する。
(本実施形態の各処理)
次に、本実施形態の金銭処理装置100の各処理(入金処理、保留処理、収納処理および出金処理)について、図3~図7を参照して、説明を行う。
図3は、取引を行う前の金銭処理装置100内部の硬貨200の状態である。金種収納庫4(1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45および500円収納庫46)には、それぞれの金種収納庫4に対応した硬貨200が収納されている。
入金口1から硬貨200を入金すると、図4に示すように、硬貨200は、入金搬送部61により搬送され、一時保留部3に収納される入金処理が行われるとともに、一時保留部3に保留される保留処理が行われる。入金搬送部61は、制御部7により制御される。
その後、所定の条件を満たしていない場合には、図5に示すように、制御部7は、入金された硬貨200を一時保留部3に保留した状態で、金種収納庫4に釣銭として収納されている硬貨200を出金搬送部63に繰り出すように制御を行う。さらに、制御部7の制御により、出金搬送部63は、繰り出された硬貨200を搬送し、出金口5から出金する出金処理を行う。
そして、制御部7は、所定の条件を満たすまで、一時保留部3に硬貨200を保留した状態で、入金処理、保留処理および出金処理を複数回行う(繰り返す)。これにより、図6に示すように、一時保留部3には、入金された硬貨200が順次、保留(収納)されていく。
一方、所定の条件を満たした場合には、図7に示したように、制御部7の制御により、一時保留部3から硬貨200が繰り出される。さらに、制御部7の制御により、振分搬送部62は、繰り出された硬貨200を搬送し、硬貨200を金種に応じた金種収納庫4に収納する収納処理を行う。
また、本実施形態では、所定の条件は、出金の際に出金に用いる硬貨200が一時保留部3のみに収納されている場合と、金銭処理装置100の制御を行うための制御部7に対する指示が第1の所定時間の間に制御部7外から無かった場合と、一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に収納する収納処理の指示を制御部7が受け付けた場合と、ユーザにより金銭処理装置100の復旧動作が行われた場合と、一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数が所定の枚数を超えた場合と、のうちの少なくともいずれか一つを含む。
なお、出金の際に出金に用いる硬貨200が一時保留部3のみに収納されている場合とは、出金処理の際に釣銭として出金する硬貨200が、金種収納庫4に収納されておらず、一時保留部3のみに保留されている場合である。
また、金銭処理装置100の制御を行うための制御部7に対する指示が第1の所定時間の間に制御部7外から無かった場合とは、POSレジスタ装置300や金銭処理装置100の操作部9などからの信号(指示)を第1の所定時間の間、受信しなかった場合などである。また、上記の信号(指示)とは、たとえば、POSレジスタ装置300からの入金処理および出金処理のトリガーとなる信号などである。なお、上記の第1の所定時間とは、予め設定された時間(たとえば、1分)であり、POSレジスタ装置300などの外部の装置からの指示、もしくは、ユーザの操作により、変更可能としてもよい。
また、一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に収納する収納処理の指示を制御部7が受け付けた場合とは、たとえば、金銭処理装置100の操作部9やPOSレジスタ装置300をユーザが操作することなどにより、収納処理の指示が制御部7に与えられた場合である。
また、ユーザにより金銭処理装置100の復旧動作が行われた場合とは、金銭処理装置100にエラーなどが発生し、金銭処理装置100の復旧動作が必要な際に、ユーザが復旧動作を行った場合である。
また、一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数が所定の枚数を超えた場合とは、たとえば、一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数が、収納可能な枚数の上限に達した状態(フル状態)、もしくは、収納可能な枚数の上限に近い状態(ニアフル状態)である。
また、本実施形態では、制御部7は、入金検出部11の検出および入金鑑別部2の鑑別処理の後、入金口1から金種収納庫4に硬貨200を搬送する際の搬送時間(以下、第1の搬送時間という)と、入金口1から一時保留部3に硬貨200を搬送する際の搬送時間(以下、第2の搬送時間という)と、一時保留部3から金種収納庫4に硬貨200を搬送する際の搬送時間(以下、第3の搬送時間という)と、のうちの少なくともいずれか一つよりも短い時間である第2の所定時間の経過に基づいて、入金の完了を判断するように構成されている。具体的には、本実施形態では、第2の所定時間は、上記の第1~第3の搬送時間よりも短い。なお、第2の所定時間は、予め設定された変更可能な時間(たとえば、1秒)である。
また、本実施形態では、制御部7は、入金検出部11の検出および入金鑑別部2の鑑別処理の後、第2の所定時間の経過に基づいて、入金の完了を判断した際、入金搬送部61と、振分搬送部62と、のうちの少なくともいずれか一方が動作中である場合でも、金種収納庫4内から硬貨200を出金する制御を行うように構成されている。具体的には、本実施形態では、入金搬送部61と振分搬送部62とのうちのいずれか一方、または、両方が動作中である場合でも、金種収納庫4内から硬貨200を出金する。すなわち、制御部7は、入金処理と収納処理とのうちのいずれか一方、または、両方の処理中に、硬貨200の入金の完了を判断した際、出金処理を行う。
また、本実施形態では、制御部7は、入金検出部11の検出および入金鑑別部2の鑑別処理の後、入金口1と、入金鑑別部2と、の両方で入金を検出しない時間が第2の所定時間を経過したことに基づいて、入金が完了したと判断する。そして、入金搬送部61と、振分搬送部62と、のうちの少なくともいずれか一方(本実施形態では、いずれか一方、または、両方)が動作中である場合でも、金種収納庫4内から硬貨200を出金する制御(出金処理)を行うように構成されている。
また、本実施形態では、制御部7は、金種収納庫4内に収納された硬貨200の枚数が金種収納庫4の収納可能な枚数の上限に達した場合において、金種収納庫4内に収納された硬貨200の枚数が金種収納庫4の収納可能な枚数の上限を下回るまでは、一時保留部3に保留された硬貨200を保留し続けるとともに、一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数が一時保留部3の収納可能な枚数の上限に達するまでは、入金処理を受け付けるように構成されている。具体的には、制御部7は、いずれかの金種収納庫4(1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45および500円収納庫46)内に収納された硬貨200の枚数が収納可能な枚数の上限に達した状態(フル状態)では、上限に達した状態(フル状態)の金種収納庫4に収納された硬貨200の枚数が収納可能な枚数の上限より少なくなるまで、保留処理を行う。また、制御部7は、いずれかの金種収納庫4(1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45および500円収納庫46)内に収納された硬貨200の枚数および一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数の両方が収納可能な枚数の上限に達した状態(フル状態)になるまでは、入金処理を行う。また、制御部7は、いずれかの金種収納庫4(1円収納庫41、50円収納庫42、5円収納庫43、100円収納庫44、10円収納庫45および500円収納庫46)内に収納された硬貨200の枚数および一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数の両方が収納可能な枚数の上限に達した状態(フル状態)になると、入金処理は行わず、入金搬送部61および入金切換ゲート64の制御を行い、入金口1から入金された硬貨200を出金口5より出金(返金)する。
(複数回取引時の収納処理のタイミング)
本実施形態の金銭処理装置100を備えたPOSシステムの複数回取引時の収納処理のタイミングチャートを比較例1および比較例2とともに図8に示す。図8では、取引a、取引bおよび取引cの計3回の取引が行われた例を示している。また、図8に示される、「登録」とは、ユーザが、POSレジスタ装置300により商品登録を行う登録処理のことである。また、「入金」とは、入金処理のことであり、「保留」とは、保留処理のことである。また、「収納」とは、収納処理のことであり、「出金」とは、出金処理のことである。なお、比較例1は、上記特許文献1のように、出金処理の前に、収納処理を行う構成である。また、比較例2は、上記従来の金銭処理装置のように、出金処理の際には、硬貨200を一時保留部3に保留し続けたまま、金種収納庫4に収納された硬貨200を出金し、出金処理後に一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に金種に応じて収納処理を行う構成である。
次に、本実施形態の金銭処理装置100を備えたPOSシステムの各処理(登録処理、入金処理、保留処理、収納処理および出金処理)について、タイミングチャートに基づいて説明する。
取引aにおいて、ユーザの操作により、POSレジスタ装置300は、商品登録を行う登録処理を行う。その後、金銭処理装置100の制御部7は、POSレジスタ装置300から送信された入金処理のトリガーとなる信号を受けつける。
入金口1に硬貨200が入金されると、入金検出部11が硬貨200の入金を検出する。制御部7は、入金検出部11が硬貨200の入金を検出すると、入金処理を開始する。制御部7は、入金搬送部61を制御し、入金口1に入金された硬貨200を一時保留部3に搬送することで、入金処理を完了させる。
入金処理の完了後、制御部7により、保留処理が行われる。これにより、入金処理により一時保留部3に搬送された硬貨200は、一時保留部3に保留される。
次に、POSレジスタ装置300から送信された出金処理のトリガーとなる信号を受けつけると、金銭処理装置100の制御部7は、一時保留部3に硬貨200を保留したまま、出金処理を行う。制御部7は、出金搬送部63を制御し、金種収納庫4の各収納庫から繰り返された硬貨200を出金口5から出金させる。続いて、次の取引である取引bに移る。
取引bにおいても、取引aと同様に、POSレジスタ装置300により登録処理が行われた後、金銭処理装置100の制御部7は、入金処理、保留処理および出金処理を順に行っていく。また、取引cでも、制御部7は、同様に処理を行う。この間、所定の条件を満たしていない場合、本実施形態では、収納処理は行われない。そのため、一時保留部3内に保留されている硬貨200は、一時保留部3に保留し続けられる。すなわち、取引aの際に、一時保留部3に保留された硬貨200は、取引bおよび取引cの各処理(登録処理、入金処理、保留処理および出金処理)と、取引bおよび取引cの各処理間と、において、金種収納庫4に収納されることなく、一時保留部3に保留されたまま、取引bおよび取引cの各処理が行われていく。
また、制御部7は、所定の条件を満たしていた場合には、収納処理を行う。取引cの出金処理の後、所定の条件を満たした場合、制御部7は、取引cの出金処理の後、収納処理を開始する。制御部7は、振分搬送部62を制御し、一時保留部3から繰り出された硬貨200を、金種に応じて金種収納庫4の各収納庫に収納させ、収納処理を完了させる。
図8に示したように、比較例1では、次の取引の入金処理を行うためには、ユーザは、入金処理、保留処理、収納処理および出金処理が完了するまで、待機する必要がある。また、比較例2では、ユーザがPOSレジスタ装置300により登録処理(商品登録)を行う時間が短い場合には、収納処理が完了する前に登録処理が完了してしまい、待機時間が発生してしまう。一方、本実施形態では、所定の条件を満たすまでは、収納処理は行われないので、比較例1のように収納処理を待つ必要は無く、比較例2のような待機時間も発生しない。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、制御部7は、一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に収納する収納処理を、毎回の入出金処理にかかわらず、所定の条件を満たしたことに基づいて、行うように、搬送部6を制御する。これにより、毎回の入出金処理にかかわらず、所定の条件を満たすまでは、一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に収納する収納処理が行われないので、新たな入金処理を迅速に受け付けることができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、出金処理の完了の後も、所定の条件を満すまで、一時保留部3に保留された硬貨200を保留し続ける。これにより、所定の条件を満すまでは、出金処理の完了の後でも、収納処理は行われないので、出金処理の完了の直後でも、金種収納庫4への硬貨200の収納処理の完了を待たずに、新たな入金処理を受け付けることができる。
また、本実施形態では、上記のように、所定の条件は、出金の際に出金に用いる硬貨200が一時保留部3のみに収納されている場合と、金銭処理装置100の制御を行うための制御部7に対する指示が第1の所定時間の間に制御部7外から無かった場合と、一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に収納する収納処理の指示を制御部7が受け付けた場合と、ユーザにより金銭処理装置100の復旧動作が行われた場合と、一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数が所定の枚数を超えた場合と、のうちの少なくともいずれか一つを含む。これにより、金銭処理装置100は、金種収納庫4内に出金に用いる硬貨200が不足している場合でも、一時保留部3に保留された硬貨200を用いて、出金を行うことができる。また、金銭処理装置100の制御を行うための制御部7に対する指示が第1の所定時間の間に制御部7外から無かった場合に、金種収納庫4に硬貨200が収納される。これにより、出金処理完了後から次の入金処理までに時間を要する場合(待機時間が長い場合)に、金種収納庫4への硬貨200の収納が行われるので、待機時間を有効に利用することができる。また、一時保留部3に保留された硬貨200を金種収納庫4に収納する収納処理の指示を制御部7が受け付けた場合に、金種収納庫4に硬貨200が収納される。これにより、金銭処理装置100は、ユーザの任意のタイミングで収納処理を行うことができるので、新たな入金処理がない時間(取引がない時間)を利用して、収納処理行うことができる。また、ユーザにより金銭処理装置100の復旧動作が行われた場合に、金種収納庫4に硬貨200が収納される。これにより、復旧動作が行われた場合に、金種収納庫4に硬貨200が収納されるので、復旧動作理後に迅速に入金処理を受け付けることができる。また、一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数が所定の枚数を超えた場合に、金種収納庫4に硬貨200が収納される。これにより、一時保留部3が満杯になり、入金処理が受け付けられなくなることを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、入金口1は、硬貨200の入金を検出する入金検出部11を含み、制御部7は、入金検出部11の検出および入金鑑別部2の鑑別処理の後、入金口1から金種収納庫4に硬貨200を搬送する際の搬送時間と、入金口1から一時保留部3に硬貨200を搬送する際の搬送時間と、一時保留部3から金種収納庫4に硬貨200を搬送する際の搬送時間と、のうちの少なくともいずれか一つよりも短い時間である第2の所定時間の経過に基づいて、入金の完了を判断する。これにより、制御部7は、硬貨200の搬送完了前に、入金完了の判断が行うことができるので、硬貨200の搬送完了後に入金完了の判断を行う場合に比べて、入金完了の判断をより迅速に行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、搬送部6は、入金口1から一時保留部3に硬貨200を搬送する入金搬送部61、および、一時保留部3から金種収納庫4に硬貨200を振り分けて搬送する振分搬送部62を含み、制御部7は、入金検出部11の検出および入金鑑別部2の鑑別処理の後、第2の所定時間の経過に基づいて、入金の完了を判断した際、入金搬送部61と、振分搬送部62と、のうちの少なくともいずれか一方が動作中である場合でも、金種収納庫4内から硬貨200を出金する制御を行う。これにより、制御部7は、硬貨200を一時保留部3および金種収納庫4に搬送中(動作中)であっても、出金を行うことができるので、搬送が完了してから出金を行う場合に比べて、出金の開始を早めることができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、入金検出部11の検出および入金鑑別部2の鑑別処理の後、入金検出部11と、入金鑑別部2と、の両方で入金を検出しない時間が第2の所定時間を経過したことに基づいて、入金が完了したと判断するとともに、入金搬送部61と、振分搬送部62と、のうちの少なくともいずれか一方が動作中である場合でも、金種収納庫4内から硬貨200を出金する制御を行う。これにより、制御部7は、硬貨200の搬送完了前に、入金完了の判断を行うことができるので、硬貨200の搬送完了時に入金完了の判断を行う場合に比べて、入金完了の判断をさらに迅速に行うことができる。また、制御部7は、硬貨200を一時保留部3および金種収納庫4に硬貨200を搬送中(動作中)であっても、出金を行うことができるので、搬送が完了してから出金を行う場合に比べて、出金の開始をより早めることができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、所定の条件を満すまで、一時保留部3に保留された硬貨200を保留した状態で、入金処理および出金処理を複数回繰り返す。これにより、金銭処理装置100は、所定の条件を満たすまでは、入金処理および出金処理が繰り返し行われるので、入金処理および出金処理の度に収納処理を行う場合と比べて、繰り返し収納処理が行われない分、入金処理を迅速に行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、金種収納庫4内に収納された硬貨200の枚数が金種収納庫4の収納可能な枚数の上限に達した場合において、金種収納庫4内に収納された硬貨200の枚数が金種収納庫4の収納可能な枚数の上限を下回るまでは、一時保留部3に保留された硬貨200を保留し続けるとともに、一時保留部3内に保留された硬貨200の枚数が一時保留部3の収納可能な枚数の上限に達するまでは、入金処理を受け付ける。これにより、金種収納庫4の収納可能な枚数に一時保留部3の収納可能な枚数を加えた枚数まで、硬貨200の入金処理を受け付けることができるので、入金処理を受け付けることのできる硬貨200の枚数が増加する。
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、制御部7が収納処理を行う所定の条件について、いくつかの例を示したが、本発明はこれらに限られない。本発明では、所定の条件は、たとえば、出金処理の際の釣銭の有無などを所定の条件としてもよい。
また、上記実施形態では、出金処理の完了の後も、所定の条件を満すまで、一時保留部3に保留された硬貨200を保留し続けるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、出金処理の完了後に収納処理を行うように構成しても構わない。
また、上記実施形態では、複数回取引後の出金処理の完了の後に、収納処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の条件を満たしたタイミングで収納処理を行うようにしても構わない。また、本発明では、出金処理と同時に収納処理を行うように構成しても構わない。
また、上記実施形態では、入金検出部11および入金鑑別部2により、硬貨200が検出および鑑別されてから第2の所定時間が経過したことで、入金が完了したと判断するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、硬貨200の搬送完了後に、入金完了の判断が行うように構成してもよい。
また、上記実施形態では、入金の完了を判断する第2の所定時間は、上記の第1~第3の搬送時間よりも短い例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、入金の完了を判断する第2の所定時間は上記の第1~第3の搬送時間のうちいずれか一つの時間よりも短い時間でもよい。