JP7288298B2 - 表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより、可視光領域の偏光である光を発光する素子を用いた表示装置に関する。
光の透過・遮へい機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)等の表示装置の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も初期の頃の電卓及び時計等の小型機器から、ノートパソコン、ワープロ、液晶プロジェクター、液晶テレビ、カーナビゲーション、及び屋内外の情報表示装置、計測機器等が挙げられる。また、偏光機能を有するレンズへの適用も可能であり、視認性を向上させたサングラスや、近年では3Dテレビなどに対応する偏光メガネなどへの応用がなされている。また、ウェアラブル端末をはじめとする身近な情報端末への応用・実用化もされている。その中で、液晶ディスプレイのプロジェクション機能を活かしたヘッドアップディスレプイ技術が特許文献1、特許文献2、非特許文献1などが開示されている。ヘッドアップディスプレイは、運転時にウィンドウに画像が表示されることから、運転者の視点がブレないため、自動車の安全向上のためには必要な技術である。また、特許文献3~5、非特許文献2では立体表示ディスプレイ技術が公開されている。
一般に、偏光板を構成する偏光素子は、延伸配向したポリビニルアルコール又はその誘導体のフィルム、あるいは、ポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸又はポリビニルアルコール系フィルムの脱水によりポリエンを生成して配向せしめたポリエン系のフィルム等の偏光膜基材に、偏光素子としてヨウ素や二色性染料を染色又は含有せしめて製造される。これら従来の偏光膜から構成される偏光板は、可視域に吸収を有する二色性色素を用いているため、透過率が低下する。例えば、市販されている一般的な偏光板の透過率は35~45%である。
液晶ディスプレイでは、一般的に、透過率35~45%の偏光板を2枚用いるため、実質的にはそれら2枚を用いた際の平行透過率である約30%になってしまう。よって、バックライトを用いて表示させるが、液晶ディスプレイでは偏光板よって実際のバックライトの輝度の30%程度しか光の利用効率がない液晶ディスプレイになってしまっていた。
特許第4114194号公報 国際特許公開2013/161541号 特表2009-520217号公報 国際特許公開2012/035806号 特開2014-2241号公報
新世代のヘッドアップディスプレイ, 東芝レビュー, Vol.66, No.6, P61~62 (2011) 空中に大型映像を表示する「空中ディスプレイ」を開発,三菱電機株式会社,ニュースリリース, (2016.2.17)
光源からの光を、偏光を有する発光した光に変換し、該変換された偏光した光を反射し、投影することが可能な媒体を用いて表示することにより、光の利用効率の高い表示を可能とし、かつ、液晶ディスプレイを応用することにより、画像として表示可能な表示装置を提供する。また、該表示装置により、ヘッドアップディスプレイのような空間的立体表示も可能となる。さらに、紫外光領域~近紫外可視光領域の光を用いて、可視の偏光を有する光に変換し、その可視の偏光である光によって、表示しうる装置を得ることが可能であることから、人間の目に見えない光を光源とした表示が可能な表示装置を得ることが可能となる。従来のヘッドアップディスプレイやプロジェクターの光源の設置位置は、表示媒体対して光路が限定されていたが、上記表示装置は人間の目に見えない、すなわち、人間の目の感度に影響が極めて少ない光を用いて、かつ、可視偏光発光を発する素子を用いて画像表示可能な表示装置であることから、光源位置の限定が不要で、設計自由度の高い表示装置の提供を可能とする。
本発明は、光源からの光を、偏光を有する光に変換し、変換された偏光した光を、媒体を用いて反射し、投影することにより画像表示する、表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより、可視光領域の偏光である光を発光する偏光発光素子と、該偏光発光素子より発光した光を媒体に投影し、該媒体で反射することにより画像表示させることを特徴とした表示装置を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
1)
紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより、可視光領域の偏光した光を発光する偏光発光素子と、該偏光発光素子より発光した光を媒体に投影し、該媒体で反射することにより画像表示させることを特徴とした表示装置。
2)
前記偏光発光素子と媒体表面とがなす角度が45°~85°である1)に記載の表示装置。
3)
前記偏光発光素子の偏光発光軸が媒体表面に対して、水平方向の偏光(s偏光)を照射するように設けられている1)または2)に記載の表示装置。
4)
前記媒体が透明である1)~3)のいずれか一項に記載の表示装置。
5)
動的に位相制御可能な媒体を含む1)~4)のいずれか一項に記載の表示装置。
6)
前記偏光発光素子と前記媒体との間に、偏光板を設けた1)~5)のいずれか一項に記載の表示装置。
7)
前記偏光発光素子の偏光発光軸に対して直交方向に前記偏光板の吸収軸が設置されており、偏光発光素子からの光が偏光板を通して、前記媒体に光照射される1)~6)のいずれか一項に記載の表示装置。
8)
前記媒体が、位相差板の機能を有する1)~7)のいずれか一項に記載の表示装置。
9)
前記媒体が、複数の透明な層の積層により構成されており、偏光発光素子が発する光の波長に対して1/2λ位相差板の層が、透明な層の間に設けられて積層されている1)~8)のいずれか一項に記載の表示装置。
本発明は、紫外光領域~近紫外可視光領域の光、例えば430nm以下の光を照射することにより、可視光領域の偏光した光を発光する素子(偏光発光素子)と、該素子から偏光発光した光を、媒体に投影し、該媒体に反射させて表示することにより、光の利用効率の高い表示が可能であり、かつ、液晶ディスプレイを応用して画像を表示可能な表示装置を提供する。また、該表示装置により、ヘッドアップディスプレイのような空間的立体表示も可能となる。さらに、紫外光領域~近紫外可視光領域の光を光源として可視光を発現することによって表示が可能となることから、人間の目に見えない光を光源として用い、可視偏光を発光する素子を用いて表示させる表示装置の提供が可能となる。
紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより、可視光領域の偏光した光を発光する素子(偏光発光素子)と、その素子を用いて発光した光を媒体に投影し、該媒体に反射させることで画像表示が得られることを特徴とする表示装置である。
紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより、可視光領域の偏光した光を発光する素子(偏光発光素子)とは、例えば、光波長領域において、430nmより短波長の光で、紫外光領域~近紫外可視光領域における範囲の光を吸収し、380nm~780nmの範囲とされる可視光領域の一部または全部に発光スペクトルピークを有する偏光である光を発光する素子であって、後述する基材及び偏光発光色素1種以上を少なくとも含む。紫外光領域~近紫外可視光領域の光とは、300~430nmの光を好ましく用いることが出来るが、人間の目に見えない光、もしくは人間の目の感度が著しく低い波長の光を用いることが好ましい。そのため、より好ましくは340~415nm、さらに好ましくは350~400nm、特に好ましくは350~390nmの光を用いることが良い。照射する紫外光領域~近紫外可視光領域の光は、必ずしも偏光の有無は問わないが、偏光した光であることで、光の利用効率が向上するため好ましい。
<基材>
上記偏光発光素子は、後述する偏光発光色素を含有でき、かつ配向させることが出来る高分子フィルムを基材として作製することが出来る。該高分子フィルムは、好ましくは、一般的な二色性を有する発光色素、特にスチルベン骨格を有する色素又はビフェニル骨格を有する色素を含有しうる親水性高分子を製膜して得られるものが良い。該親水性高分子は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、デンプン系樹脂が好ましく、上記二色性を有する発光色素の染色性、加工性及び架橋性などの観点からポリビニルアルコール系樹脂及びその誘導体であることが好ましい。上記ポリビニルアルコール系樹脂及びその誘導体としては、例えば、ポリビニルアルコール又はその誘導体、及びこれらのいずれかを、エチレン、プロピレンのようなオレフィンや、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸のような不飽和カルボン酸等で変性したもの等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコール又はその誘導体からなるフィルムが、二色性を有する発光色素の吸着性及び配向性の点から、好適に用いられる。当該基材は、例えば、市販のポリビニルアルコール系樹脂又はその誘導体からなるフィルムを用いても良く、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜することにより作製しても良い。ポリビニルアルコール系樹脂の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えば、含水ポリビニルアルコールを溶融押出する方法、流延製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法(ポリビニルアルコール水溶液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去)、キャスト製膜法(ポリビニルアルコール水溶液を基盤上に流し、乾燥)、及びこれらの組み合わせによる方法等、公知の製膜方法を採用することができる。基材の厚さは通常10~100μm、好ましくは20~80μm程度である。
<偏光発光素子の製造方法>
上記偏光発光素子の製造方法は、以下の製法に限定されるものではないが、主に、ポリビニルアルコールまたはその誘導体によってなるフィルムを用いた場合が好適である。ポリビニルアルコールまたはその誘導体によってなるフィルムを用いた場合を例とした偏光発光素子の作製方法について述べる。上記偏光発光素子の作製方法は、基材を準備する工程、該基材を膨潤液に浸漬し、該基材を膨潤させる膨潤工程、膨潤させた該基材を、上記偏光発光色素1種以上を少なくとも含む染色溶液に含浸させ、基材に偏光発光色素を吸着させる染色工程、偏光発光色素を吸着させた基材を、ホウ酸を含有する溶液に浸漬することにより偏光発光色素を基材中で架橋させる架橋工程、偏光発光色素を架橋させた基材を一定の方向に一軸延伸して偏光発光色素を一定の方向に配列させる延伸工程、必要に応じて、延伸させた基材を洗浄液で洗浄する洗浄工程及び/または、洗浄させた基材を乾燥させる乾燥工程を含んでいる。
(膨潤工程)
上記膨潤工程について説明する。膨潤工程は、20~50℃の膨潤液に、上記基材を30秒~10分間浸漬させることにより行うことが好ましく、膨潤液は水であることが好ましい。膨潤液による基材の延伸倍率は、1.00~1.50倍に調整することが好ましく、1.10~1.35倍に調整することがより好ましい。
(染色工程)
上記染色工程について説明する。上記膨潤工程を経て得られた基材に、後述する偏光発光色素1種以上を吸着させる。該染色工程は、偏光発光色素を基材に吸着可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、基材を、偏光発光色素を含む染色溶液に浸漬させる方法や、基材に偏光発光色素を含む染色溶液を塗布する方法等が挙げられるが、偏光発光色素を含む染色溶液に浸漬させる方法が好ましい。染色溶液中の偏光発光色素の濃度は、基材中に偏光発光色素が十分に吸着されていれば特に限定されるものではないが、例えば、染色溶液中に0.0001~1質量%であることが好ましく、0.0001~0.5質量%であることがより好ましい。染色工程における染色溶液の温度は、5~80℃が好ましく、20~50℃がより好ましく、40~50℃が特に好ましい。また、染色溶液に基材を浸漬する時間は、適宜調節可能であり、30秒~20分の間で調節するのが好ましく、1~10分の間がより好ましい。染色溶液に含まれる偏光発光色素は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。上記偏光発光色素は、色素構造の違い等によりその発光色が異なるため、基材に、上記偏光発光色素を1種以上含有させることにより、生じる発光色を様々な色になるように適宜調整することができる。また、必要に応じて、染色溶液は、1種以上の有機染料及び/又は蛍光染料をさらに含んでいても良い。
(偏光発光色素)
上記偏光発光色素は、スチルベン骨格又はビフェニル骨格のいずれか少なくとも一方を構造内に有し、蛍光を発光する化合物又はその塩が、高い偏光を有する光を発光するため好ましく用いる事が出来る。上記偏光発光色素は、蛍光発光を有しつつ、二色比を有することにより、偏光した光を発光させることが出来る。特に、スチルベン骨格やビフェニル骨格を有する偏光発光色素は、蛍光発光特性に優れ、かつ、配向させることにより高い二色比を有する特性を兼ね備える。これら特性は、上記各骨格に由来し、これら特性をさらに向上させたり、吸収波長や発光波長、耐光、耐湿、耐オゾンガス等の各種堅牢性、溶解度等、各種特性を調整するために、上記各骨格に、さらに任意の置換基を導入することが可能である。この置換基導入に際しては、置換基の種類や置換位置により、従来の染料系偏光板のように高い偏光度を実現できるものの、発光光量が著しく低下してしまうことがある。よって、発光特性に優れ、かつ、高い二色比を有するためには、置換基の種類や置換位置の選択が重要となる。また、上記偏光発光色素は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
(a)スチルベン骨格を有する色素
上記スチルベン骨格を有する偏光発光色素は、好ましくは、下記式(1)で表される化合物またはその塩である。
Figure 0007288298000001
上記式(1)において、L及びMは、各々独立に、ニトロ基、置換基を有しても良いアミノ基、置換基を有していても良いカルボニルアミド基、置換基を有していても良いナフトトリアゾール基、置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していても良いビニル基、置換基を有していても良いアミド基、置換基を有していても良いウレイド基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いカルボニル基を表すが、必ずしもこれらに限定されない。すなわち、上記式(1)で表されるスチルベン骨格を有する色素は蛍光発光を有し、かつ、配向することにより二色性が得られることが知られているが、これは主にスチルベン骨格に由来するものであり、さらに任意の置換基が導入されていても良い。ただし、スチルベン骨格のL位置、及び、M位置にアゾ基を有することは、蛍光発光が著しく小さくなるため好適ではない。
上記置換基を有しても良いアミノ基としては、例えば、非置換のアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ターシャリブチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基等の置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N-フェニル-N-ナフチルアミノ基等の置換基を有しても良いアリールアミノ基、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-ブチル-カルボニルアミノ基等の置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ビフェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等の置換基を有しても良いアリールカルボニルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、プロピルスルホニルアミノ基、n-ブチル-スルホニルアミノ基等の炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、ナフチルスルホニルアミノ基等の置換基を有しても良いアリールスルホニルアミノ等が挙げられ、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有しても良いアリールカルボニルアミノ基、炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有しても良いアリールスルホニルアミノ基であることが好ましい。また、上記置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキルアミノ基、置換基を有しても良いアリールアミノ基、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有しても良いアリールカルボニルアミノ基、炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有しても良いアリールスルホニルアミノ基における置換基としては、特に制限はないが、例えば、ニトロ基、シアノ基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
上記カルボキシアルキル基としては、例えば、メチルカルボキシル基、エチルカルボキシル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
上記置換基を有しても良いカルボニルアミド基としては、例えば、N-メチル-カルボニルアミド基(-CONHCH)、N-エチル-カルボニルアミド基(-CONHC)、N-フェニル-カルボニルアミド基(-CONHC)等が挙げられる。
上記置換基を有しても良いナフトトリアゾール基としては、例えば、ベンゾトリアゾール基、ナフトトリアゾール基等が挙げられる。
上記置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、ターシャリブチル基等の分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状アルキル基等が挙げられる。
上記置換基を有しても良いビニル基としては、例えば、ビニル基、メチルビニル基、エチルビニル基、ジビニル基、ペンタジエン基等が挙げられる。
上記置換基を有しても良いアミド基としては、例えば、アセトアミド基(-NHCOCH)、ベンズアミド基(-NHCOC)等が挙げられる。
上記置換基を有しても良いアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、案トラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
上記置換基を有しても良いカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-ブチル-カルボニル基、フェニルカルボニル基等が挙げられる。
上記置換基を有しても良いカルボニルアミド基、置換基を有しても良いナフトトリアゾール基、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、置換基を有しても良いビニル基、置換基を有しても良いアミド基、置換基を有しても良いウレイド基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良いカルボニル基における置換基としては、特に制限はないが、上記置換基を有しても良いアミノ基の項で述べた置換基と同じで良い。
上記スチルベン骨格を有する偏光発光色素は、下記式(2)で表される色素もしくはその塩又は下記式(3)で表される色素もしくはその塩であることが特に好ましい。これら色素を用いることによって、より鮮明な白色発光をする偏光発光素子を得ることができるため好ましい。
Figure 0007288298000002
上記式(2)において、基Rは水素原子、塩素原子、臭素原子、又はフッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、又は置換基を有していても良いアミノ基を表す。置換基を有していても良いアルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、又はエトキシ基等である。置換基を有していても良いアミノ基は、好ましくはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、又はフェニルアミノ基等である。基Rは、ナフトトリアゾール環中のナフタレン環の任意の炭素に結合していて良いが、好ましくは、トリアゾール環と縮合している炭素を1位、及び2位とした場合、3位、5位、又は8位に結合している。上記置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していても良いアミノ基、はそれぞれ上記と同じで良い。
上記式(2)において、nは0~3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1が良い。-(SOH)は、ナフトトリアゾール環中のナフタレン環の任意の炭素に結合していて良いスルホン酸基を表す。-(SOH)のナフタレン環における位置は、n=1であるとき、トリアゾール環と縮合している炭素を1位、及び2位とした場合、4位、6位、又は7位であることが好ましく、n=2であるとき、5位と7位、及び6位と8位であることが好ましく、n=3であるとき3位と6位と8位の組み合わせであることが好ましい。また、Rが水素原子であり、nが1である組み合わせが特に好ましい。
上記式(2)におけるXは、ニトロ基又は置換基を有していても良いアミノ基を表す。置換基を有していても良いアミノ基は、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアリールアミノ基、置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有していても良いアリールカルボニルアミノ基、炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基、又は置換基を有していても良いアリールスルホニルアミノ基等であることが好ましい。置換基を有していても良いアミノは、より好ましくは、置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ、置換基を有していても良いアリールカルボニルアミノ、炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ、又は置換基を有していても良いアリールスルホニルアミノである。上記置換基を有していても良いアリールアミノ基としては例えば、p-メチルフェニルアミノ基、p-エチルフェニルアミノ基、m-メチルフェニルアミノ基、p-クロロフェニルアミノ基等が挙げられる。置換基を有していても良いアリールカルボニルアミノ基としては、p-メチルフェニルカルボニルアミノ基、m-エチルフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基としては、メチルスルホニルアミノ基、n-ブチルスルホニルアミノ基、n-オクチルスルホニルアミノ基、sec-ブチルスルホニルアミノ基等が挙げられる。置換基を有していても良いアリールスルホニルアミノ基としては、p-メチルフェニルスルホニルアミノ基、p-クロロフェニルスルホニルアミノ基、m-メチルフェニルスルホニルアミノ基、o-メチルフェニルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
上記式(3)において、Yは、置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していても良いビニル基、または置換基を有していても良いアリール基を表す。Yは、好ましくは置換基を有していても良いアリール基を表す。置換基を有していても良いアリール基としては、p-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、o-メチルフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-クロロフェニル基、3-メチルナフチル基等が挙げられる。
上記式(3)におけるZは、上記式(2)におけるXについて説明したものと同じ置換基を表し、ニトロ基であることが好ましい。
上記式(1)で示される化合物として、例えば、Kayaphorシリーズ(日本化薬社製)、Whitex RP等のホワイテックスシリーズ(住友化学社製)等が挙げられる。また、下記に式(1)で示される化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007288298000003
(b)ビフェニル骨格を有する色素
上記ビフェニル骨格を有する偏光発光色素は、好ましくは、下記式(4)で表される化合物又はその塩である。
Figure 0007288298000004
上記式(4)において、P及びQは、各々独立に、ニトロ基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いカルボニルアミド基、置換基を有していても良いナフトトリアゾール基、置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していても良いビニル基、置換基を有していても良いアミド基、置換基を有していても良いウレイド基、又は置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有しても良いアミノ基を表すが、必ずしもこれらに限定されない。ただし、ビフェニル骨格のP位置、及び、/または、Q位置にアゾ基を有する場合、蛍光発光は著しく小さくなるため好適ではない。
上記式(4)で表される化合物は、好ましくは、下記式(5)で表される化合物である。
Figure 0007288298000005
上記式(5)において、j及びkは各々独立に0~2の整数を示す。スルホ基の好ましい置換位置は、特に限定されないが、各々のスルホ基が置換するベンゼン環のビニル基の結合位置を1位とした場合、2位、4位、6位が好ましく、特に好ましくは4位である。
上記式(5)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、置換基を有しても良いカルボニル基、アラルキロキシ基、アルケニロキシ基、炭素数1~4のアルキルスルホニル基、炭素数6~20のアリールスルホニル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルボキシアルキル基からなる群より選択される基である。カルボキシアルキル基としては、上記と同じで良い。
上記炭素数が1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ターシャリブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
上記炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、ターシャリブトキシ基、シクロブトキシ基等が挙げられる。
上記アラルキロキシ基としては、炭素数7~18のアラルキロキシ基等が挙げられる。
上記アルケニロキシ基としては、炭素数1~18のアルケニロキシ基等が挙げられる。
上記炭素数1~4のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、ターシャリブチルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基等が挙げられる。
上記炭素数6~20のアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基等が挙げられる。
上記式(5)において、R~Rの好ましい置換位置は、好ましくはビニル基を1位とした時、2位、4位が好ましく、なかでも4位に置換基を有していることが特に好ましい。
上記式(5)で表される偏光発光色素は公知の方法で作製できるが、例えば、4-ニトロベンズアルデヒド-2-スルホン酸をホスホネートと縮合させ、次いでニトロ基を還元することによって得られる。
式(5)で表される化合物は、特開平4-226162号公報に記載されている下記の化合物などで例示される。
Figure 0007288298000006
上記式(1)~(5)で表される化合物の塩は、無機陽イオン又は有機陽イオンと共に形成する塩である。無機陽イオンとしては、アルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム、及びカリウム等の陽イオン、並びに、アンモニウムイオン(NH )が挙げられる。
有機陽イオンとしては、例えば、下記式(D)で表される有機アンモニウムイオンが挙げられる。
Figure 0007288298000007
上記式(D)中、Z1~Z4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表わし、Z1~Z4の少なくともいずれか1つは水素原子以外の基である。
上記Z1~Z4の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等のC-Cアルキル基、好ましくはC-Cアルキル基;ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、及び2-ヒドロキシブチル基等のヒドロキシC-Cアルキル基、好ましくはヒドロキシC-Cアルキル基;並びにヒドロキシエトキシメチル基、2-ヒドロキシエトキシエチル基、3-ヒドロキシエトキシプロピル基、3-ヒドロキシエトキシブチル基、及び2-ヒドロキシエトキシブチル基等のヒドロキシC-CアルコキシC-Cアルキル基、好ましくはヒドロキシC-CアルコキシC-Cアルキル基等が挙げられる。
上記無機陽イオン及び有機陽イオンうちより好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びアンモニウム等の陽イオンが挙げられる。これらの中でも、リチウムイオン、アンモニウムイオン、及びナトリウムイオンがより好ましい。
その他、偏光発光色素としては、
C.I.Fluorescent Brighter 5,
C.I.Fluorescent Brighter 8,
C.I.Fluorescent Brighter 12,
C.I.Fluorescent Brighter 28,
C.I.Fluorescent Brighter 30,
C.I.Fluorescent Brighter 33,
C.I.Fluorescent Brighter 350,
C.I.Fluorescent Brighter 360,
C.I.Fluorescent Brighter 365,
などがあげられる。これらの偏光発光色素は遊離酸であっても、あるいはアルカリ金属塩(例えばNa塩、K塩、Li塩)、アンモニウム塩又はアミン類の塩であっても良い。
上記にて得た偏光発光色素の1種単独又は2種以上を組み合わせ、配向させることにより、偏光した光を発光する上記偏光発光素子が得られる。該偏光発光素子において、2種以上の偏光発光色素を用いる場合、それら偏光発光色素間の配合割合を調整することによって、様々な発光色になるよう調整することが可能となる。例えば、色度a値及びb値の絶対値がいずれも5以下となるように調整することにより、偏光発光素子が発光する偏光した光を白色にすることが可能となる。上記色度a値及びb値は、それぞれ偏光発光素子に光を入射させたときに、偏光発光素子から出射される光について測定した分光分布に基づき、JIS Z 8781-4:2013に従って求められる。JIS Z 8781-4:2013に定められる物体色の表示方法は、国際照明委員会(略称「CIE」)が定める物体色の表示方法に相当する。色度a値及びb値の測定は、通常、測定試料に自然光を照射して行われるが、本願の明細書及び特許請求の範囲においては、偏光発光素子に紫外光領域等の短波長の光を照射し、発光した光を測定することにより色度a値及びb値を確認できる。発光光のaの絶対値は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。また、発光光のbの絶対値は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。a値及びb値の絶対値が、それぞれ独立に5以下であれば、人間の目では白色として感知することができ、さらにそれぞれが共に5以下であれば、より好ましい白色発光として感知することが出来る。発光する偏光が白色であることにより、太陽光のような自然な光源、ペーパーホワイト端末等の光源として利用が可能であり、カラ-フィルターなどを用いるディスプレイにおいても応用が簡易であるという利点がある。発光強度については、光っていることが人間の目に感知出来ればディスプレイに応用することは問題ない。特に、本願の特徴としては発光光が高い偏光度を持つこと、及び、可視域の透過率が高いことが重要である。
<その他の色素>
上記偏光発光素子は、発光した光が二色性を有する、つまりは偏光を発光しうる色素、特にスチルベン骨格、又はビフェニル骨格を有する色素あるいはそれらの塩を、単独又は複数含むことに加えて、偏光発光機能を阻害しない範囲で、色調整等を目的として、必要に応じて他の有機染料又は他の蛍光染料を1種以上さらに含んでいても良い。他の有機染料としては、特に限定されないが、二色性の高いものが好ましく、かつ、スチルベン骨格、又はビフェニル骨格の紫外光領域の偏光性能に影響が少ない色素が好ましい。他の有機染料としては、例えば、シー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.イエロー28、シー.アイ.ダイレクト.イエロー44、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ26、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ71、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ107、シー.アイ.ダイレクト.レッド2、シー.アイ.ダイレクト.レッド31、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド247、シー.アイ.ダイレクト.ブルー69、シー.アイ.ダイレクト.ブルー78、シー.アイ.ダイレクト.グリーン80、及びシー.アイ.ダイレクト.グリーン59等が挙げられる。これらの有機染料は遊離酸であっても、あるいはアルカリ金属塩(例えばNa塩、K塩、Li塩)、アンモニウム塩又はアミン類の塩であっても良い。他の蛍光染料としては、公知の蛍光染料を用いることができる。
上記他の有機染料又は他の蛍光染料を併用する場合、所望とする偏光発光素子の色調整のために、配合する染料を選択し、配合比率等を調整することが可能である。調製目的により、有機染料又は蛍光染料の配合割合は特に限定されるものではないが、一般的には、偏光発光素子100質量部に対して、これら他の有機染料又は他の蛍光染料の総量が0.01~10質量部の範囲で用いることが好ましい。
上記染色溶液は、上記偏光発光色素、必要に応じて加える他の有機染料又は他の蛍光染料に加え、必要に応じて更に染色助剤を含有しても良い。染色助剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム(芒硝)、無水硫酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは硫酸ナトリウムである。染色助剤の含有量は、使用される偏光発光色素の染色性に基づく上記浸漬時間や染色溶液の温度等によって任意に調整可能であるが、染色溶液中に0.0001~10質量%であることが好ましく、0.0001~2質量%であることがより好ましい。
上記染色工程後、該染色工程で基材の表面に付着した染色溶液を除去するために、任意に予備洗浄工程を経ることができる。予備洗浄工程を経ることによって、次に処理する液中に基材の表面に残存する偏光発光色素が移行することを抑制することができる。予備洗浄工程では、洗浄液として一般的には水が用いられる。洗浄方法は、洗浄液に染色した基材を浸漬することが好ましく、一方で、洗浄液を当該基材に塗布することによって洗浄することもできる。洗浄時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは1~300秒であり、より好ましくは1~60秒である。予備洗浄工程における洗浄液の温度は、基材を構成する材料が溶解しない温度であることが必要となり、一般的には5~40℃で洗浄処理が施される。尚、予備洗浄工程を経ずとも、偏光発光素子の性能には特段大きな影響を及ぼさないため、予備洗浄工程は省略することも可能である。
(架橋工程)
上記染色工程又は予備洗浄工程の後、基材に架橋剤を含有させることができる。基材に架橋剤を含有させる方法は、架橋剤を含む処理溶液に基材を浸漬させることが好ましく、一方で、当該処理溶液を基材に塗布又は塗工しても良い。処理溶液中の架橋剤としては、ホウ酸を含有する溶液を使用する。処理溶液中の溶媒は、特に限定されるものではないが、水が好ましい。処理溶液中のホウ酸の濃度は、0.1~15質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。処理溶液の温度は、30~80℃が好ましく、40~75℃がより好ましい。また、この架橋工程の処理時間は30秒~10分が好ましく、1~6分がより好ましい。本発明に係る偏光発光素子の製造方法が、この架橋工程を有することにより、得られる偏光素子の発光する光の偏光度は高く、表示体として高いコントラストを示す。このことは、従来技術において、耐水性又は光透過性を改善する目的で使用されていたホウ酸の機能からは全く予期し得ない優れた作用である。また、架橋工程においては、必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液で、フィックス処理をさらに併せて行っても良い。該フィックス処理により、偏光発光素子中の偏光発光色素固定化が可能となる。このとき、カチオン系高分子化合物として、例えば、カチオン、ジシアン系としてジシアンアミドとホルマリン重合縮合物、ポリアミン系としてジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物、ポリカチオン系としてエピクロロヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアモンニウムクロライド・二酸化イオン共重合物、ジアリルアミン塩重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチルアクリレート四級塩重合物等が使用される。
(延伸工程)
上記架橋工程を経た後、延伸工程を実施する。延伸工程は、基材を一定の方向に一軸延伸することにより行われ、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれであっても良い。延伸倍率は、3倍以上であることが好ましく、より好ましくは5~8倍である。
上記湿式延伸法においては、水、水溶性有機溶剤又はその混合溶液中で基材を延伸することが好ましい。より好ましくは、架橋剤を少なくとも1種含有する溶液中に基材を浸漬しながら延伸処理を行うことが良い。架橋剤は、例えば、上記架橋剤工程におけるホウ素誘導体、特にホウ酸やホウ砂が好ましく用いることができ、架橋工程で使用した処理溶液中で延伸処理を行うことが好ましい。延伸温度は40~70℃であることが好ましく、45~60℃がより好ましい。延伸時間は通常30秒~20分であり、好ましくは2~7分である。湿式延伸工程は、一段階の延伸で実施しても、二段階以上の多段延伸で実施しても良い。尚、延伸処理は、任意に、染色工程の前に行ってもよく、この場合には、染色の時点で偏光発光色素の配向も一緒に行うことができる。
上記乾式延伸法においては、延伸加熱媒体が空気媒体である場合には、空気媒体の温度が常温~180℃で基材を延伸するのが好ましい。また、湿度は20~95%RHの雰囲気中であることが好ましい。基材の加熱方法としては、例えば、ロール間ゾーン延伸法、ロール加熱延伸法、熱間圧延伸法及び赤外線加熱延伸法等が挙げられるが、これらの延伸方法に限定されるものではない。乾式延伸工程は、一段階の延伸で実施しても、二段階以上の多段延伸で実施しても良い。
(洗浄工程)
上記延伸工程の際、基材の表面に架橋剤の析出又は異物が付着することがあるため、基材の表面を洗浄する洗浄工程を行うことができる。洗浄時間は1秒~5分が好ましい。洗浄方法は、基材を洗浄液に浸漬することが好ましく、一方で、洗浄液を基材に塗布又は塗工によって洗浄することもできる。洗浄液としては、水が好ましい。洗浄処理は一段階で実施しても、2段階以上の多段処理で実施しても良い。洗浄工程の洗浄溶の温度は、特に限定されるものではないが、通常、5~50℃、好ましくは10~40℃であり、常温であって良い。
上記各工程で用いる溶液又は処理液の溶媒としては、上記水の他にも、例えば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールまたはトリメチロールプロパン等のアルコール類、エチレンジアミン及びジエチレントリアミン等のアミン類等が挙げられる。当該溶液又は処理液の溶媒は、これらに限定されるものではないが、最も好ましくは水である。また、これらの溶液又は処理液の溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合物を用いても良い。
(乾燥工程)
上記洗浄工程の後、基材の乾燥工程を行う。乾燥処理は、自然乾燥により行うことができるものの、より乾燥効率を高めるため、ロールによる圧縮やエアーナイフ又は吸水ロール等による表面の水分除去等により行うことが可能であり、さらには、送風乾燥を行うことも可能である。乾燥処理の温度は、20~100℃であることが好ましく、60~100℃であることがより好ましい。乾燥時間は、30秒~20分であることが好ましく、5~10分であることがより好ましい。
以上の方法で、本発明に係る偏光発光素子を作製することができる。本発明に係る偏光発光素子は偏光発光性能を有し、かつ、紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより、偏光した光を放つ偏光素子であり、用いる偏光発光色素が高温や高湿熱環境下でも分解しないため、高い耐久性を有する。
上記偏光発光素子は、紫外光領域~近紫外可視光領域の光の照射により、その光エネルギーを利用して可視光領域の偏光した光を発光する。偏光発光素子が発光する光が可視光領域の偏光した光であることから、可視光領域の光に対して偏光機能を有する一般的な偏光板を介して偏光発光素子を観察した場合、その可視光領域に偏光機能を有する一般的な偏光板の軸の角度を変えることによって、偏光発光色素が配向した軸の光、即ち輝度が高い光を発光する軸の光と、配向していない軸の光、即ち輝度の著しく低い発光軸の光とを識別することが容易となる。偏光発光素子が発光する偏光の偏光度は、70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上である。また、偏光発光素子は、光の吸収が紫外光領域~近紫外可視光領域であるため、可視光領域の透過率を高くすることが出来る。偏光発光素子の可視光領域の光の透過率は、視感度補正された透過率において、60%以上であれば従来の液晶ディスプレイと比較して明らかに飛躍的な高透過な液晶ディスプレイが得られるが、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。本発明で得られた偏光発光素子は可視光領域での吸収が小さくなることから、非発光状態では見た目として透明度の高い偏光発光素子が得られるため好ましい。さらに、発光していたとしても、偏光色素が配向していない軸、即ち輝度が著しく低い軸においては、その軸の光を吸収することによって、透明度が高い偏光発光素子が得られる。
[偏光発光板]
上記偏光発光素子の少なくとも一方の面に透明保護層を有しているものを、偏光発光板とする。該透明保護層は、偏光発光素子の耐水性や取扱性等を向上させるために使用され、該透明保護層は、上記偏光発光素子が示す偏光機能に何ら影響を与えるものではない。
上記透明保護層は、光学的透明性及び機械的強度に優れる透明保護膜であることが好ましい。また、透明保護層は、偏光発光素子の形状を維持できる層形状を有するフィルムであることが好ましく、透明性及び機械的強度の他に、熱安定性、水分遮蔽性等にも優れるプラスチックフィルムであることが好ましい。このような保護膜を形成する材料としては、例えば、セルロースアセテート系フィルム、アクリル系フィルム、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン系共重合体のようなフッ素系フィルム、或いは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂又はポリアミド系樹脂からなるフィルム等が挙げられ、好ましくはトリアセチルセルロース(TAC)フィルムやシクロオレフィン系フィルムが用いられる。透明保護層の厚さは、1μm~200μmの範囲が好ましく、10μm~150μmの範囲がより好ましく、40μm~100μmが特に好ましい。上記偏光発光板を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、偏光発光素子に透明保護層を重ねて、公知の処方にてラミネートすることによって偏光発光板を作製することができる。
該偏光発光板は、透明保護層と偏光発光素子との間に、透明保護層と偏光発光素子とを貼り合わせるための接着剤層をさらに備えていても良い。該接着剤層を構成する接着剤は、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール系接着剤、ウレタンエマルジョン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステルーイソシアネート系接着剤等が挙げられ、好ましくはポリビニルアルコール系接着剤が用いられる。透明保護層と偏光発光素子とを接着剤により貼り合せた後、適切な温度で乾燥又は熱処理を行うことにより上記偏光発光板を作製することができる。
また、上記偏光発光板は、透明保護層の露出面に、反射防止層、防眩層、さらなる透明保護層等の公知の各種機能性層を適宜備えていても良い。このような各種機能性を有する層を作製する場合、各種機能性を有する材料を透明保護層の露出面に塗工する方法が好ましく、各種機能性層又はフィルムを接着剤若しくは粘着剤を介して透明保護層の露出面に貼合せることも可能である。
上記さらなる透明保護層としては、例えば、アクリル系、ポリシロキサン系等のハードコート層、ウレタン系の保護層等が挙げられる。また、単体透過率をより向上させるために、透明保護層の露出上に反射防止層を設けることもできる。反射防止層は、例えば、二酸化珪素、酸化チタン等の物質を、透明保護層上に蒸着又はスパッタリング処理するか、或いは、フッ素系物質を透明保護層上薄く塗布することにより形成することができる。
上記偏光発光素子、又は偏光発光板が発光する偏光である光を媒体に投影し、該媒体が投影された偏光した光を反射させることで、本願の表示装置が得られる。
(媒体)
上記媒体とは、鏡、平面性の高いプラスチック、銀、アルミニウム、銅、鉄等の金属面、一般的なガラスでも良く、光を反射可能な媒体であれば特に限定されない。また、形状においても限定されず、例えば平板、曲面、円筒などでも良いが、平面または曲面であることが好ましく、より好ましくは平板であること良い。透明性については、可能な限り透明であることが好ましいが、その限りではなく、不透明でも、偏光発光素子から放たれる光を反射しうるものであれば良い。ただし、該媒体が透明であることによって、表示しうる画像だけでなく、該媒体の背景の画像も同時に視認できるため、該媒体の形態としては透明であることが好ましい。該媒体の可視光透過率は20%以上99%以下であることが好ましいが、より好ましくは30~99%、さらに好ましくは50~99%、特に好ましくは70~99%である。また、媒体は位相差板の機能を有することが好ましい。
本願の好ましい一つの形態として、上記媒体を複数用いることも挙げられる。複数の媒体を用いることにより、複数の画像を同時に表示させることが可能になる。
紫外光領域~近紫外可視光領域の光を偏光発光素子に照射し、偏光発光素子から発光される可視域偏光である光を上記媒体により反射させることで本願の表示装置は得られる。本願の表示装置によってなす画像は、その反射された光を視認又は認識しうる機器で受光することが可能である。偏光発光素子の発光した光と媒体、及びそれを視認する人又は該光を認識可能な機器の位置関係は、媒体に反射した後、人が視認できるか、または機器で受光できることができれば、その位置関係は限定されない。従来のプロジェクターやヘッドアップディスプレイ(以下、HUDとも省略する)等の一般的な投影型液晶表示は光源が必ず照射面に対して正面である必要があったが、本願の表示装置は従来の表示装置と異なり、偏光発光素子が発光すれば表示が可能であることから、本願の表示装置を表示させるための光源の位置関係が限定されない。つまり、従来のプロジェクターやヘッドアップディスプレイの設計と同様にスクリーンや視認しうる人や機器を正面にして偏光発光素子の背面から表示装置を表示させるための光を照射することも可能であるが、一方で、光源は逆面(視認側、又はスクリーン側)の正面からでも良いし、側面(横面)からでも良い。さらに、人間の目に見えない光を表示させるための光源として利用するため、従来のプロジェクターやHUDとは異なり、どの位置に光源を置いても視認性には全く影響しない。プロジェクターやHUDは、液晶セルの背面に光源を設け、光源からセルに投影した光を、スクリーンに投影しなければならない問題がなくなるため、本願はこれまでの投影型液晶表示装置とは全く異なる投影型液晶表示装置を提供しうる。また、本願の特徴としては光源を照射した光が、反射面では確認できるが、逆面(投影側の面)からは視認できないことが特徴である。一般的な投影装置はガラスに投影するため、両面から視認できるという特徴を有するが、本願では反射光を視認する方法を利用するため、一方の面からは視認できるが、逆面からは視認が不可能となる。
上記偏光発光素子、又は偏光発光板と上記媒体とがなす角度は、偏光発光素子、または偏光発光板が発する偏光した光を媒体が反射し視認できれば、それらがなす角度は限定されないが、好ましくは30°~85°であることが、光を反射し、投影して視認しうる光が明瞭となるため好ましい。また、該角度は、光を反射させる際の角度において、偏光率が高くなる光を反射しうる角度に設定することが好ましく、一般的にはブリュースター角と呼ばれる角度依存性に基づいて設定する。その関係において、最も偏光した光の反射率が高くなるように設定した場合、視認しうる表示のコントラストが向上し、画像が明瞭になるため好ましい。偏光発光素子、又は偏光発光板から発光した偏光した光を反射しうる媒体となす角度は30°~85°が良いが、好ましくは45°~85°、より好ましくは50°~75°が良い。
上記偏光発光素子、又は偏光発光板より発する偏光した光の偏光軸は、上記媒体に対して横軸、即ち水平方向の偏光である光であることが良い。媒体に対して横軸(水平方向)の偏光とは、一般的にS波とも呼ばれる。反射しうる媒体に水平方向の偏光を照射することによって、反射光は強く反射され、表示装置として輝度が高く、コントラストが向上するため好ましい。縦軸(垂直方向)の偏光、すなわちP波でも反射しうる媒体に照射することによって表示は可能ではあるが、横軸の偏光、すなわちS波であることがコントラストを向上させるため照射する偏光した光として好ましい。
さらに、偏光板が、偏光発光素子又は偏光発光板と、上記媒体との間に設けられ、偏光発光素子又は偏光発光板より照射される偏光である光の軸に対して直交方向(垂直方向)に偏光板の吸収軸が設置されることで、表示装置としてコントラストが向上するため好ましい。また、自然光を照射した場合、偏光板によって得られる偏光が、一軸方向の偏光となるような一軸に吸収を有する偏光板が好ましく使用できる。これは、上記媒体に平行の偏光した光、すなわちS波を有する偏光である光が形成されて照射しうることが好ましいことに起因する。
(偏光板)
上記偏光板は、可視光領域の光に対して偏光機能を有する偏光板であれば特に限定されない。該偏光板としては、ヨウ素系偏光板、染料系偏光板、特定の波長のみを偏光制御できる染料系偏光板、ポリエンを利用したタイプの偏光板、ワイヤーグリッドタイプの偏光板などであっても良い。上記偏光板は、400~700nmの一部又は全部の波長域の光に対して偏光性能を有している。ヨウ素系偏光板としては例えば特開2001-290029、特開2010-072548が挙げられ、染料系偏光板としては特開2001-033627、特開2004-251962が挙げられ、特定の波長のみを偏光制御出来る染料系偏光板であれば、特開2007-084803、特開2007-238888が挙げられ、ポリエンを利用した偏光板であれば、特表2005-527847、特表2005-517974が挙げられ、ワイヤーグリッドタイプの偏光板としては特表2003-519818、特表2003-502708があげられる。反射型偏光板としては米国特許第3610729、WO95/17303、WO95/17692、WO95/17699、WO96/19347、WO99/36262、WO2005/0888363、特開2007-298634号、WO2011/074701等があげられ、製品としては3M社 DBEFが例示できる。反射型偏光板を用いることによって、一軸の直線偏光を透過させることができるだけでなく、異なる軸の偏光した光を内部へ反射させ光の再利用が可能であるため好ましい。よって、偏光板として、反射型偏光板を用いることは本願の一つの好ましい形態として挙げることが出来る。
上記偏光発光素子又は偏光発光板は、強く発光するほど、つまり、強い紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射するほど、偏光発光した光は、一軸方向だけでなく、該軸に対して直交方向の光も照射してしまう。これは、原理的に完全に二色性偏光発光色素が配向していれば、一軸方向にのみの偏光が発光されるのであるが、実際には配向されていない色素も発光するため、配向させた一軸以外の軸でも視認が著しく難しい範囲で発光している。配向させた方向以外の色素の発光は、強い紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射するほど、絶対光量が増えてしまう。この配向させた方向以外の色素の発光が、偏光発光におけるコントラストを低下させる原因となる。つまり、この配向させた方向以外の色素の発光を抑制できれば、より高コントラストな表示を提供しうる。ただし、本願では、偏光発光素子または偏光発光板から発光する偏光した光において、一軸配向と異なる軸の偏光発光色素に起因した発光に起因してコントラスト低下してしまう現象を偏光板によって抑えられれば良いため、配向させた偏光発光色素以外の軸の偏光発光した光を吸収出来れば良いことから、用いる偏光板において高い偏光度は必ずしも必要ではない。一方で、偏光板の透過率が低いと、上記偏光発光素子または偏光発光板から発光する光を減光してしまうため偏光発光素子、または偏光発光板から発する光の輝度(光量)を低下してしまう可能性がある。そのため、本願で用いる偏光板の透過率は、視感度補正透過率として30~80%の偏光素子またはその偏光板であっても使用は可能であるが、好ましくは40~80%、より好ましくは45~80%、さらに好ましくは50~80%、特に好ましくは60~80%が良い。
(紫外線波長高透過型偏光素子、又はその偏光板)
本願に用いる好ましい偏光板の形態として、紫外光領域~近紫外可視光領域の波長において高い透過率を示す偏光素子、すなわち紫外線波長高透過型偏光素子、または、それを用いた紫外線波長高透過型偏光板が挙げられる。該偏光素子、または偏光板は、紫外線域の光の吸収がない二色性染料を用いた染料系偏光板が相当し、紫外光領域の光の吸収が少ないため上記偏光発光素子、または偏光発光板と組み合わせにおいて好適に用いられる。上記紫外線波長高透過型偏光板は、紫外線波長高透過型偏光素子に対して、紫外線吸収能力のないトリアセチルセルロースフィルム等をラミネートすることによって得ることが出来る。上記紫外線波長高透過型偏光素子またはそれを用いた偏光板の紫外光領域の光透過率は20~95%であることが好ましい形態として挙げられるが、より好ましくは35~95%、さらに好ましくは50~95%、特に好ましくは60~95%が良い。可視域の透過率は一般的な偏光板の透過率である視感度補正透過率の35~45%で問題がないが、その限りではなく、偏光発光素子または偏光発光板から発光した偏光した光が、その吸収軸に対して透過しなければ問題ないので、視感度補正透過率として30%~80%の偏光素子またはその偏光板であっても使用は可能である。好ましくは40~80%、より好ましくは45~80%、さらに好ましくは50~80%、特に好ましくは60-80%が良い。
(位相を制御する媒体)
偏光の位相を制御する媒体を用いることによって、発光する偏光を様々な偏光に変換できるようになり、または角度依存性の補正等により、高コントラストな画像を表示できるようになるため、偏光発光素子、又は偏光発光板とともに位相を制御する媒体を用いることは、本願の好ましい1つの形態として挙げられる。位相を有する媒体とは、位相差板(または、波長板、位相差フィルム等とも呼ばれる)が、一方で、動的に位相を制御できる媒体を駆動する場合や、電気的に液晶を駆動させて位相制御しうる液晶セル等も好ましい形態の一つとして挙げられる。特に、位相制御する媒体として、電気的に位相を制御可能な液晶セルを用いることが画像を形成できるために好ましい。光には粒子と波の性質があるが、光を波として表現した場合、その波の位相を制御可能であることを意味する。偏光性能に着目した場合、例えば、波長板は、直線偏光の光に所定の位相差を与える光学機能素子であり、偏光は特定の軸の光に対して、その他の軸(例えば90°)において、異なる位相を設けることが可能である。すなわち、一つの偏光した光に対して、その光路上に位相差板を設けることにより、その逆の軸の偏光としたり、円偏光、楕円偏光などを新たに付与することが可能となる。したがって、位相差板は、配向した複屈折材料(例えば、延伸フィルム)などを利用して直交する2つの偏光成分に位相差をつけることにより、入射した光の偏光の状態を変えることが出来る素子と言える。この波長板の具体的効果としては、例えば、位相を制御する目的の光の波長をλとした場合、そのλ/2の位相差板の遅相軸を偏光の軸に対して45°に設置することにより、波長板(位相差板)に入射した直線偏光を90°回転させ、入射した偏光軸とは直交(90°)方向に偏光軸を有する偏光として出射することを可能とする。また、λ/4の位相差板の遅相軸を偏光の軸に対して45°に設置した場合には、波長板(位相差板)に入射した直線偏光を、円偏光として出射することを可能とする。近年では、偏光解消フィルムも販売されており、発光した偏光した光を解消することも可能となる。偏光解消フィルムとは、例えば、SRF(東洋紡社製)等が挙げられる。位相差板の可視光透過率は50~99%が良いが、好ましくは70~99%、さらに好ましくは80~99%である。
また、上記とは異なる形態の例として、媒体の機械的強化や他の光学的機能や視認性を向上させるために、機能を付与する等の目的のために、中間膜を設けることも可能であり、複数の媒体を積層させる、例えばガラス同士を積層した場合、またはガラスとフィルムを積層することも可能である。その積層された媒体に1つの画像を表示させたい場合、複数の媒体のそれぞれで画像が表示されてしまうため、画像が重なったような表示になってしまう。重なりを抑制して1つの画像として表示させるためには、投影するための光の偏光が1つの媒体を透過した後、他の媒体に投影する前に異なる偏光軸に変換することで、画像が重なる表示となってしまうことを抑制することができる。また、他の偏光制御する方法として、該媒体を積層させる場合に、中間層として位相差板を挟む方法が有効である。たとえば、該媒体を積層させる場合に、偏光した光を入射される偏光した光の軸に対して、入射した偏光の光の波長に対して1/2λの位相差値を有する位相差板を遅相軸が45°なるように設けることによって入射される直線偏光は、直交した方向の偏光に変換される。このことによって、重なった表示は抑えることができる。上記媒体が、ガラスや透明なプラスチックの場合、この形態であることが特に好ましい。
上記媒体を積層させた場合の画像の重なりを抑制するための本願の好ましい形態の一つとして、少なくとも一つの該媒体が位相差を有する事、即ち位相差板であることが挙げられる。該媒体により、入射した偏光した光を、媒体透過後に異なる偏光した光へと変換し、異なる軸とした偏光した光を再度利用しながら、更に他の媒体への画像投影に用いることなども可能となる。
上記にて得られた表示装置は、人間の目に見えない光である紫外光領域~近紫外可視光領域の光、例えば430nm以下の光を照射することによって可視光領域の光を偏光発光する素子(偏光発光素子)と、上記媒体を用いて表示することによって光の利用効率の高い表示が可能であり、かつ、液晶ディスプレイを応用して画像を表示可能な表示装置を提供する。また、その表示装置によって、透明媒体への表示が可能となり、ヘッドアップディスプレイやプロジェクターのような空間的立体表示も可能となり、空中ディスプレイ(通称、エアリアルディスプレイ)や仮想現実を表示させるようなディスプレイも可能となる。さらに、紫外光領域~近紫外可視光領域の光による表示が可能となることから、人間の目に見えない光によって表示させる表示装置となる。従来のヘッドアップディスプレイやプロジェクターの光源の設置は、表示媒体対して光路の後方であることが限定されていたが、本発明の表示装置は目の感度に影響しない光を用い、かつ、紫外光領域~近紫外可視光領域の光が偏光発光素子に照射されれば偏光した光が媒体に投影され、その反射される画像を表示させる表示装置であることから、本願の表示装置を表示させるための光の照射光源の位置や形状が限定されず局所的な光照射光源や面光源であっても良い。このことから、これまでのヘッドアップディスプレイやプロジェクター等よりも簡便であり、設計自由度が高い表示装置の提供を可能とする。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本発明をなんら限定するものではない。また、下記に記載されている「%」及び「部」は、特に言及されない限り質量基準である。尚、各実施例及び比較例で使用した化合物の各構造式において、スルホ基等の酸性官能基は、遊離酸の形態で記載した。
(合成例1)
市販品の4-アミノ-4’-ニトロスチルベン-2,2’-ジスルホン酸35.2部を水300部に加え撹拌し、35%塩酸を用いてpH0.5とした。得られた溶液に40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.9部を加え、10℃で1時間撹拌し、続いて6-アミノナフタレン-2-スルホン酸17.2部を加え、15%炭酸ナトリウム水溶液でpH4.0に調製後4時間撹拌した。得られた反応液に塩化ナトリウム60部を加え、析出固体をろ過分離、さらにアセトン100部にて洗浄し、乾燥することにより、中間体である式(6)の化合物62.3部を得た。
Figure 0007288298000008
得られた式(6)の中間体62.3部を水300部に加え撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10.0とした。得られた溶液に28%アンモニア水20部、及び硫酸銅五水和物9.0部を加え、90℃で2時間撹拌した。得られた反応液に塩化ナトリウム25部を加え、析出固体をろ過分離、さらにアセトン100部にて洗浄することにより、式(7)の化合物のウェットケーキ40.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより下記式(7)の化合物(λmax:376nm)20.0部を得た。
Figure 0007288298000009
(偏光発光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、化合物例5-1に記載の4,4’-ビス-(スルホスチリル)ビフェニル二ナトリウム水溶液(BASF社製 Tinopal NFW Liquid)1.0重量部、合成例1で得られた化合物(7)を0.3重量部、芒硝を1.0重量部、水1500重量部を含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中50℃で5倍に5分間で延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して偏光発光素子を得た。
(偏光発光素子を用いた偏光発光板の作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)を1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、偏光発光素子の両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートし、70℃で10分乾燥させ、偏光発光板を得た。本偏光発光板に紫外線を照射したところ白色な発光をし、かつ、さらに偏光板を介して該発光を確認したところ白色の偏光発光をしていることを確認した。
(紫外線域高透過型偏光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、C.I.Direct Orange 39を0.3部、C.I.Direct Red 81を0.1部、C.I.Direct Blue 69を0.3部、芒硝を1.0部、水を1500部含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中に50℃で5分間浸漬し、5倍に延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して紫外線域高透過型偏光素子を得た。
(紫外線域高透過型偏光板の作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)を1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、紫外線域高透過型偏光素子の両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートして、70℃で10分乾燥させ、偏光板を得た。以下、本偏光板は、紫外線域高透過型偏光板と記載する。
(紫外線域偏光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、C.I.Direct Yellow 28を0.2部、芒硝を1.5部、水を1500部含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中に50℃で5分間浸漬し、5倍に延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して408nmに最も高い偏光度と340nm~415nmに偏光を有する紫外線域偏光素子を得た。
(紫外線域偏光板の作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)を1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、紫外線域偏光素子の両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートして、70℃で10分乾燥させ、偏光板を得た。以下、本偏光板は、紫外線域偏光板と記載する。
(偏光板)
一般的な偏光板として、ポラテクノ社製 SKN-18243Pを用いた。一般的な偏光板とは可視域に高い偏光機能を有し、紫外域の光の透過率が著しく低い偏光板製品である。
上記で得られた各偏光発光板を、下記のように評価した。
[評価]
(a)単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tc
各測定試料の単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcを、分光光度計(日立製作所社製「U-4100」)を用いて測定した。ここで、単体透過率Tsは、測定試料を1枚で測定した際の各波長の透過率である。平行位透過率Tpは、2枚の測定試料をその吸収軸方向が平行となるように重ね合せて測定した各波長の分光透過率である。直交位透過率Tcは、2枚の偏光発光板をその吸収軸が直交するように重ね合せて測定した分光透過率である。測定は、220~780nmの波長にわたって行った。
(b)偏光度ρ
各測定試料の偏光度ρを、以下の式(I)に、平行透過率Tp及び直交透過率Tcを代入して求めた。
(式1)
ρ={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100 …式(I)
(c)視感度に補正された単体透過率Ys、または視感度補正偏光度ρy
各測定試料の単体透過率Ysは、可視域における400~700nmの波長領域で、所定波長間隔dλ(ここでは5nm)おきに求めた上記単体透過率Tsについて、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。具体的には、単体透過率Tsを式(V)に代入して算出した。なお、下記式(V)中、Pλは標準光(C光源)の分光分布を表し、yλは2度視野等色関数を表す。また、視感度補正された偏光度ρyは、分光光度計 U-4100で測定して得られた数字を用いた。
(式2)
Figure 0007288298000010
得られた偏光発光板、紫外線域光透過型偏光板、偏光板のそれぞれにおける375nmの単体透過率(Ts 375)、375nmの偏光度、視感度に補正した透過率(Ys)、及び、視感度に補正した偏光度(ρy)を表1に示す。得られたそれぞれのフィルムにおる紫外域、及び、可視域の偏光機能が分かる。
Figure 0007288298000011
(d)発光した光の偏光の測定
光源として、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用い、光源に紫外線透過・可視カットフィルター(五鈴精工硝子社製「IUV-340」)を設置し可視光をカットした。その上で、可視域及び紫外に偏光を有する偏光板(ポラテクノ社製「SKN-18043P」、厚さ180μm、Ysは43%)と、各実施例及び比較例で得られた測定試料とを設置し、測定試料が発光している偏光発光を分光放射照度計(ウシオ電機社製「USR-40」)を用いて測定した。すなわち、光源からの光が、紫外線透過・可視カットフィルター、可視域及び紫外に偏光を有する偏光板、及び測定試料を、それぞれを設置し、この順に偏光発光板より発する光を通過して分光放射照度計に入射するように配置して測定した。その際に、測定試料の紫外線の吸収が最大になる吸収軸と、紫外・可視偏光板の吸収軸方向が平行となるように重ね合せて測定した各波長の分光発光量をLw(弱発光軸)、測定試料の紫外線の吸収が最大になる吸収軸と、可視域及び紫外に偏光を有する偏光板(ポラテクノ社製「SKN-18043P」)の吸収軸方向が直交となるように重ね合せて測定した各波長の分光発光量をLs(強発光軸)として、Lw及びLsを測定した。測定試料と一般的な偏光板との吸収軸が平行な場合と、直交の場合との可視域で発光された光のエネルギー量を確認することで、可視域である400nm~700nmにおいて偏光した発光した光の評価を行った。
表2に得られた各偏光板の460nm、550nm、610nm、670nmの各波長におけるLs及びLwを示す。
Figure 0007288298000012
表2に示されるように、偏光発光板のみが顕著に高いLw値とLs値を示していることから、紫外線を照射することによって発光し、さらに、その発光した光は偏光を有していることが分かる。また、JIS Z 8781-4:2013より求められる偏光発光板のLs時の色度a値及びb値は、a値が0.68、及びb値は-1.2であった。このことから、偏光発光板は白色光を発光していることが分かる。
(実施例1)
下記図1のように、偏光発光板を平面に設置し、平面に対して71°に傾斜させて透明な板ガラスを設置し、偏光発光板と平面板ガラスを同軸に設置した紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)にて紫外線光照射を行った。その際、偏光発光板の下には光が反射しないように黒紙を置き、ブラックライトの光出射部には可視光カットフィルター(五十鈴ガラス社製 IUV-340)を用いた。透明板ガラスを視認したところ、偏光発光板より照射された光が反射される画像を視認できることを確認した。また、媒体より反射された画像を、偏光発光板を偏光して発光した光の軸がガラスに対して水平方向(横軸)になるように設置した際と、垂直方向(縦軸)になる場合とを比較した場合、水平方向(横軸)になる時に強く視認できることがわかった。さらに、媒体より反射された画像を偏光発光板に対して逆側から視認した場合には、逆面で投影されていた画像の表示が確認できなかった。
(実施例2)
下記図2のように、偏光発光板を平面に設置し、平面に対して55°に傾斜させて透明な板ガラスを設置し、偏光発光板と平面板ガラスを同軸に設置した紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)にて紫外線光照射を行った。その時、偏光発光板は10mmにカットし、垂直(縦軸)方向に偏光を発光するフィルムと水平(横軸)方向に偏光を発光するフィルムとを交互にパターン化して並べた偏光発光板を用いた。また、パターン化された偏光発光板の下に黒紙を置き、ブラックライトの光出射部には可視光カットフィルター(五十鈴ガラス社製 IUV-340)を用いて紫外域のみの光を偏光発光板に照射した。透明板ガラスに照射された画像を視認したところ、下記図3のように偏光発光板全体は均一に発光しているにも関わらず、媒体に表示されている画像は、配置された偏光発光板の発光軸に基づいてパターン化された画像が表示されていることが確認でき、下記図4より、背面の手が視認できることから、表示装置の透明性が高いことが分かる。さらに、偏光発光板に対して逆側から視認した場合には偏光した発光の光は下記図5のように確認できなかった。また、ブラックライトを任意の位置から偏光発光板に紫外線照射を行ったが、媒体に表示されている画像は、同軸に配置されている時と同じ画像が表示可能であった。
(実施例3)
下記図6のように、偏光発光板を平面に設置し、空中に設置した透明な板ガラスを設置し、偏光発光板と平面板ガラスの軸に対して横側に設置した紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)にて紫外線光照射を行った。その時、偏光発光板は10mmにカットし、垂直(縦軸)方向に偏光を発光するフィルムと平行(横軸)方向に偏光を発光するフィルムを交互にパターン化して貼合された偏光発光板を用いた。ブラックライトの光出射部には可視光カットフィルター(五十鈴ガラス社製 IUV-340)を用いた。空中に設置した透明板ガラスに投影された画像を視認したところ、偏光発光板全体は発光しているにも関わらず、下記図7のように偏光発光板より照射されたパターン化された偏光した光が媒体に表示され視認できることが確認できた。このことから、任意の位置に画像を提供しうる表示装置が得られることが分かる。
(実施例4)
アルテック社製平面紫外線照射装置を平面光源として用いて、光源に紫外線透過・可視カットフィルター(五鈴精工硝子社製「IUV-340」)を設置し可視光をカットした。IUV-340の上に、偏光発光板は10mmにカットして垂直(縦軸)方向に偏光を発光するフィルムと平行(横軸)に偏光を発光するフィルムとを交互にパターン化された偏光発光板を設置し、パターン化された偏光発光板の上に発光する偏光の光に対して垂直(縦軸)に吸収を持つように一般的な紫外線光を吸収する偏光板(SKN-18243P)を設置した。パターン化した偏光発光板の面に対して55°に傾斜させて透明な板ガラスを設置し、偏光発光板に紫外線光照射を行った。透明板ガラスに投影された画像を視認したところ、実施例2よりもパターン化された偏光した光のパターンのコントラストが上昇し、視認性は向上した。尚、実施例2と同様に、偏光発光板に対して逆側から視認した場合には偏光した発光の光は確認できなかった。
(実施例5)
上記実施例2のように、パターン化された偏光発光板を平面に設置し、平面に対して55°に傾斜させて透明な板ガラスを設置し、偏光発光板と紫外線域高透過型偏光板とを平面板ガラスを同軸に設置し、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)にて紫外線域高透過型偏光板側から紫外線光照射を行った。その時、紫外線域高透過型偏光板を偏光発光板が発する偏光の軸と紫外線域高透過型偏光板の吸収軸とが直交になるように偏光発光板の上に設置し、ブラックライトの光出射部には可視光カットフィルター(五十鈴ガラス社製 IUV-340)を用いた。透明板ガラスに投影された偏光発光板の画像を視認したところ、実施例2の時よりもパターン化された偏光した光のコントラストは良好になり発光輝度は低下することなく視認性は上昇した。実施例2と同様に、偏光発光板に対して逆側から視認した場合には偏光した発光の光は確認できなかった。
(実施例6)
上記実施例5において、平面の透明板ガラスの代わりに、曲面透明アクリル板を用いて照射した。曲面透明アクリル板に投影された偏光発光板の画像を視認したところ、実施例5と同等の画像表示が可能であった。
(実施例7)
上記実施例5において、平面の透明板ガラスを下記図8のように3枚用いて照射した。3枚の平面透明板ガラスに投影された偏光発光板の画像を視認したところ、実施例5と同等の画像表示が可能であると同時に、それぞれの板ガラスに下記図9のように表示が可能であった。
(実施例8)
下記図10のように、上記実施例5において平面の透明板ガラスを並べて、その間にパターン化された偏光発光板をそれぞれ設置し、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)にて紫外線光照射を紫外線域高透過型偏光板側から行った。その時、紫外線域高透過型偏光板を偏光発光板の上に偏光発光板が発する偏光の軸と紫外線域高透過型偏光板の吸収軸とが直交になるように設置し、ブラックライトの光出射部には可視光カットフィルター(五十鈴ガラス社製 IUV-340)を用いた。それぞれ2枚の平面透明板ガラスに投影された偏光発光板の画像を視認したところ、それぞれにおいて実施例5と同等の画像表示が可能であると同時に、2つの画像が同時に視認できる表示が可能であった。
(実施例9)
上記実施例2において、パターン化された偏光発光板の代わりに、黒紙/偏光発光板/液晶セル/紫外線域偏光板を用いて、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)にて紫外線光照射を行った。その時、黒紙側を下面とし、紫外線は紫外線域偏光板側から照射し、ブラックライトの光出射部には可視光カットフィルター(五十鈴ガラス社製 IUV-340)を用いた。動的に位相を制御できる液晶セルとしては、ダイソージャパン社製 デジタルテーブルクロック D011(時計A No.7)を分解し、偏光板を取り除いたものを用いた。尚、偏光発光板、及び紫外線域偏光板の光吸収軸は、ダイソージャパン社製 デジタルテーブルクロック D011(時計A No.7)に設けられていた偏光板と同じ軸になるように設置した。平面透明板ガラスに投影された偏光発光板の画像を視認したところ、液晶セルによって形成された時計画像表示が可能であり、そのコントラストは高く、視認性は良好であった。
(実施例10)
上記実施例9において、平面板ガラス2枚を重ねて用いた。2枚の板ガラスの間には、日本化薬社製の粘着剤 PTR-104を用いて積層させた。積層された平面透明板ガラスに投影された偏光発光板の画像を視認したところ、2重像が見られ、くっきりとした画像は得られなかったものの、投影した液晶セルによって形成された時計画像表示が可能であることが確認できた。
(実施例11)
上記実施例10において、用いた平面板ガラスを、2枚を積層したガラスを用いるに際し、2枚の板ガラスの間には、日本化薬社製の粘着剤 PTR-104を用いて270nmの位相差値を有する位相差板を積層させ、平面板ガラス/粘着層/位相差板/粘着層/平面板ガラスという構成の媒体を作製した。その位相差板の遅相軸は、偏光発光板より出射される偏光した光に対して45°傾けて設置した。積層された平面透明板ガラスに投影された偏光発光板の画像を視認したところ、液晶セルによって形成された時計画像表示が可能であり、二重像は見られず、そのコントラストは高く、視認性は良好であった。
(実施例12)
実施例2において、パターン化して並べた偏光発光板に対して設置した透明板ガラス(以下、それぞれガラスB、ガラスCと表記する)に加えて、図11に示されるように、パターン化して並べた偏光発光板を正面に60°の角度になるように配置しながらも、透明板ガラス同士が90°になるように配置して、パターン化して並べた偏光発光板に紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用いて紫外線光照射を行った。その時、ブラックライトの光出射部には可視光カットフィルター(五十鈴ガラス社製 IUV-340)を用いた。その偏光発光板から照射されている光を透明板ガラスB、及び透明板ガラスCに投影して得られる画像は、同一なパターン化して並べた偏光発光板の光が照射されたにも関わらず、異なる映像が得られていた。このことは、1つの偏光発光光源で、2つの異なる画像を提供しうることを意味する。これは、パターン化して並べた偏光発光板より照射された偏光した光が、透明板ガラスBと透明板ガラスCとは異なることに起因し、パターン化して並べた偏光発光板より透明板ガラスBにとってS波である偏光した光が照射されているとき、透明板ガラスCにはP波である偏光した光が照射されているが、透明板ガラスCにとっては透明板ガラスBにおいてP波である偏光した光がS波であることに起因する。本願の技術を用いることによって、1つの偏光発光光源でも反射しうる媒体を、偏光を発光しうる光源に異なる角度に光を反射しうる媒体を複数用いることによって、それぞれ異なる画像を提供しうる表示媒体が得られることを示す。
(比較例1)
上記実施例1において、偏光発光板の代わりに一般的な偏光板を用いて、ライト光源としてブラックライト、及び可視LEDライトを用いた以外は同様に表示を行った。偏光板では発光しないため透明板ガラスからはその画像が確認出来なかった。
(比較例2)
上記実施例9において、市販されている液晶表示装置であるダイソージャパン社製 デジタルテーブルクロック D011(時計A No.7)にライト光源としてブラックライトを用いて透明板ガラスに表示を試みた。市販されている液晶表示装置に表示は確認できたが、透明板ガラスへの表示は確認出来なかった。
上記結果から、本発明の表示装置は、偏光を発光する素子から発光する光を、光を反射しうる媒体を用いて表示することによって光の利用効率の高い表示が可能であり、かつ、液晶ディスプレイを応用して画像を表示可能な表示装置であることが分かる。また、その表示装置は透明媒体への表示が可能となり、ヘッドアップディスプレイのような空間的立体表示も可能となる。さらに、発光した光を制御するには、紫外域の光によって表示が可能とすることから、目に見えない光によって表示させる表示装置が可能となり、これまでのヘッドアップディスプレイやプロジェクターの光源の設置は、表示媒体対して光路の後方であることが限定されていたが、本発明の表示装置は、人間の目の感度に影響しない光を表示のための光源として用い、かつ、該光源の光が偏光発光素子に当たることにより、偏光が発光することで、表示しうる光学システムであることから、眩しさを気にすることなく、かつ、光源の位置は限定されない表示装置を提供が可能である。紫外線領域~近紫外可視光領域の光によって発光をさせることによって表示が可能となる装置であることから、人間の目に見えない光によって、偏光を発光させることが出来ることで、セキュリティ性や意匠性等、様々な利点を活かした応用が可能である。
本発明の表示装置は、紫外線領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより可視光領域の偏光した光を発光する偏光発光素子と、該偏光発光素子より発光した光を媒体に投影し、該媒体で反射することにより画像表示させることを特徴とした表示装置でありかつ、光源の位置の限定が不要で、設計自由度が高い表示装置である。また、人間の目に見えない光により、偏光を発光させることが出来るため、セキュリティ性や意匠性等、様々な利点を活かした応用も可能である。
1 ガラス2 偏光発光板3 紫外光源4 観察者5 光の向き
1 ガラス2a パターン偏光発光板3 紫外光源4 観察者5 光の向き
実施例2の写真1
実施例2の写真2
実施例2の写真3
1a 空中に設置されたガラス2a パターン偏光発光板3 紫外光源4 観察者5 光の向き
実施例3の写真
1 ガラス2a パターン偏光発光板3 紫外光源4 観察者5 光の向き
実施例7の写真
1 ガラス2a パターン偏光発光板3 紫外光源4 観察者5 光の向き
1b ガラスB1c ガラスC2a パターン偏光発光板3 紫外光源4 観察者5 光の向き

Claims (9)

  1. 紫外光領域~近紫外可視光領域の光を照射することにより、可視光領域の偏光した光を発光する偏光発光素子とを照射する光源を備え、
    前記光源は、観察側、偏光発光素子及び媒体を直線的に配置された位置関係において、観察者側から偏光発光素子に対して光を照射する位置、又は観察者側から偏光発光素子の方向に対して直交する方向から見える面から光を照射する位置に配置されており、
    該偏光発光素子より発光した光を直接媒体に投影し、該媒体で反射することにより画像表示させることを特徴とした表示装置。
  2. 前記偏光発光素子と媒体表面とがなす角度が45°~85°である請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記偏光発光素子の偏光発光軸が媒体表面に対して、水平方向の偏光(s偏光)を照射するように設けられている請求項1または2に記載の表示装置。
  4. 前記媒体が透明である請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
  5. 動的に位相制御可能な液晶セルを含む請求項1~4のいずれか一項に記載の表示装置。
  6. 前記偏光発光素子と前記媒体との間に、偏光板を設けた請求項1~5のいずれか一項に記載の表示装置。
  7. 前記偏光発光素子の偏光発光軸に対して直交方向に前記偏光板の吸収軸が設置されており、偏光発光素子からの光が偏光板を通して、前記媒体に光照射される請求項6に記載の表示装置。
  8. 前記媒体が、位相差板の機能を有する請求項1~7のいずれか一項に記載の表示装置。
  9. 前記媒体が、複数の透明な層の積層により構成されており、偏光発光素子が発光する光の波長に対して1/2λ位相差板の層が、透明な層の間に設けられて積層されている請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置。
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