JP7285473B2 - 新規なジアミン類、それから誘導される新規なポリイミド及びその成形体 - Google Patents
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Description
ポリイミド前駆体からポリイミドを形成(イミド化)するためには、300℃以上の高温(熱イミド化)を必要とするため、そのイミド化温度により用途が限定される場合がある。また、ポリイミド前駆体からポリイミド成形体を製造する場合、熱イミド化条件によっては、脱水閉環に伴う収縮による破断、そしてイミド化時に生じる脱離成分によって成形体中に欠陥(ボイド)を生じる懸念もあり、イミド化反応制御が非常に難しい。更には、300℃以上のイミド化に必要な高温炉が必要になり製造コストも高くなるという欠点があった。
そこで、既にイミド化が完結している状態で溶媒に可溶なポリイミド(溶媒可溶性ポリイミド)が近年開発され、従来のポリイミドよりも加工性が改善された。このようなポリイミドの大部分は、ポリイミド主鎖中にシロキサン鎖やエーテル結合のような高分子主鎖を屈曲させ、分子内回転運動を容易にする結合を導入したり、側鎖に嵩高い置換基を入れ高分子鎖の凝集を阻害したり、主鎖中のイミド基濃度を低下させるなどして加工性を高めている(非特許文献2,3)。しかしながら、このような分子設計は、ポリイミド本来の耐熱性を著しく低下させてしまう。従って、300℃以上の耐熱性と高い溶媒溶解性を兼ね備えたポリイミドの合成は困難であった。
1.下記一般式(1)で表されるジアミン化合物。
2.下記一般式(2)で表されるジアミン化合物。
3.下記一般式(3)で表される構成単位を含むポリイミド。
4.下記一般式(4)で表される構成単位を含むポリイミド。
5.3.又は4.に記載のポリイミドと溶媒からなるポリイミド溶液。
6.5.に記載のポリイミド溶液から得られるポリイミド成形体。
一般式(1)において、R3、R4のいずれかが炭素原子数1~4のアルキル基である場合、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1~4のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基が挙げられる。中でも、炭素原子数1又は2のアルキル基が好ましい。R3、R4のいずれかが炭素原子数1~6のアルコキシ基である場合、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基を意味し、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基が挙げられる。中でも、炭素原子数1又は2のアルコキシ基が好ましい。一般式(1)において、R3、R4の好ましい態様は、メチル基、エチル基、メトキシ基であり、中でもメチル基がより好ましい。c、dは各々独立して0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
一般式(1)において、アミノ基の置換位置はエーテル結合に対してメタ位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
一般式(2)において、アミノ基の置換位置はエーテル結合に対してメタ位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。また、R5、R6のいずれか又は両方がトリフルオロメチル基である場合、その置換位置はエーテル結合に対してオルソ位又はメタ位が好ましく、オルソ位がより好ましい。
本発明のポリイミドは、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を用いて製造される。
上記一般式(1)で表されるジアミン化合物は、下記反応式で示すように、ジオール(5)、即ち2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-ビフェニル-4,4’-ジオール(以降、HM44BPと称することもある。)と、下記一般式(6)と(7)で表されるハロゲン化ニトロベンゼン類を用いて、公知のエーテル化反応後にジニトロ体中間体を公知の還元反応でジアミン化合物として、製造することができる。
本発明のポリイミドは、一般式(1)で表されるジアミン化合物を原料とし、酸二無水物と反応させて下記一般式(3)で表される構成単位を含むポリイミドを合成することができ、上記のような優れた特性を有するポリイミドを得ることができる。
一般式(3)で表される構成単位を含むポリイミドにおける、R1~R4やその置換位置及び置換基数であるa~d、アミノ基由来の窒素原子の置換位置に関する好適な化学構造は、一般式(1)で表されるジアミン化合物と同じである。
本発明のポリイミドの中でも、特に、一般式(4)で表される構成単位を含むポリイミドは、溶媒に対する溶解性と耐熱性が向上するという優れた効果を発揮する。
一般式(4)で表される構成単位を含むポリイミドにおける、R5、R6やその置換位置及びアミノ基由来の窒素原子の置換位置に関する好適な化学構造は、一般式(2)で表されるジアミン化合物と同じである。
ポリイミドの製造方法については特に限定されないが、酸二無水物、例えば、芳香族及び/又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物と、本発明のジアミン化合物を含むジアミン類の物質量が等モルになるように反応させて、下記一般式(8)で表されるポリイミドの前駆体(ポリアミド酸)を得る工程及びポリイミド前駆体をイミド化する工程を経て製造することができる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂環式のものとしては、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(ジオキソテトラヒドロフリル-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)テトラリン-1,2-ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの酸二無水物としては、2種類以上併用することもできる。
本発明のポリイミドを得るために使用する酸二無水物としては、ポリイミド成形体の耐熱性という観点から、剛直で直線的な構造を有するテトラカルボン酸二無水物、即ちピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好適である。
その際に使用可能な芳香族ジアミンとしては、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノキシレン、2,4-ジアミノデュレン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-メチレンビス(2-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-エチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、2,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート、ベンジジン、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、3,3’-ジメトキシベンジジン、o-トリジン、m-トリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p-ターフェニレンジアミン等が挙げられる。
また、脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族乃至脂環一般式ジアミンであり、脂環一般式ジアミンとしては、例えば、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス-1,4-ジアミノシクロヘキサン、シス-1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3-ジアミノアダマンタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、鎖状脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,3-プロパンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、ジアミノシロキサン等が挙げられる。
これらジアミン化合物は1種類以上併用することができる。
中でも、ポリイミドの溶媒に対する溶解性と、そのポリイミド成形体の耐熱性という観点から、剛直で直線的な構造を有するジアミン化合物、即ち2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以降、TFMBと称することもある。)が共重合成分として好適である。
先ずジアミン化合物を重合溶媒に溶解し、この溶液にジアミン化合物と実質的に等モルのテトラカルボン酸二無水物の粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラー等を用い、0~100℃の範囲、好ましくは20~60℃で0.5~150時間、好ましくは1~72時間撹拌する。この際モノマー濃度は、通常、5~50重量%の範囲、好ましくは10~40重量%の範囲である。このようなモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリイミド前駆体を得ることができる。ポリイミド前駆体の重合度が増加しすぎて、重合溶液が撹拌しにくくなった場合は、適宜同一溶媒で希釈することもできる。ポリイミド成形体の機械的強度を高める観点からポリイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましい。上記モノマー濃度範囲で重合を行うことによりポリマーの重合度が十分高く、モノマー及びポリマーの溶解性も十分確保することができる。上記範囲より低い濃度で重合を行うと、ポリイミド前駆体の重合度が十分高くならない場合があり、また、上記モノマー濃度範囲より高濃度で重合を行うと、モノマーや生成するポリマーの溶解が不十分となる場合がある。また、脂肪族ジアミンを使用した場合、重合初期にしばしば塩形成が起こり、重合が妨害されるが、塩形成を抑制しつつ、できるだけ重合度を上げるためには、重合時のモノマー濃度を上記の好適な濃度範囲に管理することが好ましい。
イミド化は公知のイミド化方法が適用でき、例えば、ポリイミド前駆体膜を熱的に閉環させる「熱イミド化法」、ポリイミド前駆体溶液を高温で閉環させる「溶液熱イミド化法」、脱水剤を用いる「化学イミド化法」などが適宜使用できる。
具体的には、「熱イミド化法」では、ポリイミド前駆体溶液(例えばポリアミド酸)を基板等に流延し、50~200℃、好ましくは60~150℃で乾燥してポリイミド前駆体膜を形成した後、不活性ガス中や減圧下において150℃~400℃、好ましくは200℃~380℃で1~12時間加熱することで熱的に脱水閉環させイミド化を完結させることで本発明のポリイミド成形体を得ることができる。
また、「溶液熱イミド化法」では、塩基性触媒などを添加したポリイミド前駆体(例えばポリアミド酸)溶液をキシレン等の共沸剤存在下で100~250℃、好ましくは、150~220℃で0.5~12時間加熱することで副生する水を系内から除去しイミド化を完結させ、本発明のポリイミド溶液を得ることができる。
「化学イミド化法」では、ポリイミド前駆体(例えばポリアミド酸)を撹拌し易い適度な溶液粘度に調整したポリイミド前駆体溶液をメカニカルスターラーなどで撹拌しながら、有機酸の無水物と、塩基性触媒としてアミン類からなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、0~100℃、好ましくは10~50℃で1~72時間撹拌することで化学的にイミド化を完結させる。その際に使用可能な有機酸無水物としては特に限定されないが、無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。試薬の取り扱いや精製のし易さから無水酢酸が好適に使用される。また塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、キノリン等が使用でき、試薬の取り扱いや分離のし易さからピリジンが好適に用いられるが、これらに限定されない。化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸とした場合)の理論脱水量の1~10倍モルの範囲であり、より好ましくは1~5倍モルである。また塩基性触媒の量は、有機酸無水物量に対して0.1~2倍モルの範囲であり、より好ましくは0.1~1倍モルの範囲である。
得られたポリイミド粉末を回収し、残留溶媒を減圧乾燥や熱風乾燥などで除去する。乾燥温度と時間は、ポリイミドが変質せず、残留溶媒が分解しない温度であれば制限はなく、30~200℃の温度範囲において48時間以下で乾燥させることが好ましい。
本発明のポリイミドは、様々な溶媒に可溶なことから、使用用途や加工条件に合わせて溶媒を選ぶことができる。例えば、特に限定されないが、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド溶媒、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン等のエステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール等のフェノール系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、プチルセロソルブ、2-メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、クロロホルム、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用できる。これらの溶媒を、2種類以上混合して用いてもよい。
また、本発明のポリイミドには、必要に応じて離型剤、フィラー、シランカップリング剤、架橋剤、末端封止剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤などの添加物を加えることができる。
得られたポリイミド溶液は、公知の方法で成形できる。例えば、ポリイミドフィルムを成形する場合は、ポリイミド溶液をガラス基板等の支持体上にドクターブレード等を用いて流延し、熱風乾燥器、赤外線乾燥炉、真空乾燥器、イナートオーブン等を用いて、通常、40~300℃の範囲、好ましくは、50~250℃の範囲で乾燥することによってポリイミドフィルムにできる。
上述のように成形された本発明のポリイミド成形体は、そのガラス転移温度が300℃以上となるため特に耐熱性材料として好適に用いられる、例えば、半導体やフレキシブル配線基板に用いる場合、無鉛半田実装温度である260℃にも十分に耐え得るため、絶縁材料として好適である。
1.赤外吸収スペクトル
フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)を用い、KBr法にてジアミン化合物の赤外線吸収スペクトルを測定した。また、ポリイミドの赤外線吸収スペクトルについては、薄膜試料(約5μm厚)を作製して測定した。
2.1H-NMRスペクトル
フーリエ変換核磁気共鳴JNM―ECP400(JEOL製)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO)又は重水素化クロロホルム(CDCl3)中で合成物及び化学イミド化したポリイミド粉末の1H-NMRスペクトルを測定した。
3.示差走査熱量分析(融点)
ジアミン化合物の融点は、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度2℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
4.固有粘度
0.5重量%のポリイミド前駆体溶液又はポリイミド溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で還元粘度を測定した。溶媒はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を使用した。この値をもって固有粘度とみなした。
5.ポリイミド粉末の溶媒への溶解性試験
ポリイミド粉末0.1gに対し、表2に記載の溶媒9.9g(固形分濃度1重量%)をサンプル管に入れ、試験管ミキサーを用いて5分間撹拌して溶解状態を目視で確認した。溶媒として、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ‐ブチロルラクトン(GBL)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri-GL)を使用した。
評価結果は、室温で溶解した場合を++、加熱により溶解し、且つ室温まで放冷後も均一性を保持していた場合を+、膨潤/一部溶解した場合を±、不溶の場合を-と表2中に表示した。
6.ガラス転移温度:Tg
ポリイミドフィルムのガラス転移温度は、ネッチ社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いてポリイミドフィルムサイズ 幅5mm、長さ15mm、荷重を膜厚(μm)×0.5gとして、5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線の接線法(ガラス状態の接線とTg以降の接線の交点)より求めた。
ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ネッチ社製TMA4000を用いて(サンプルサイズ 幅5mm、長さ15mm)、荷重を膜厚(μm)×0.5gとして、5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線より計算した。線熱膨張係数は100~200℃の間の平均値として求めた。
8.熱分解温度(窒素)、熱分解温度(空気)
ネッチ社製熱重量分析装置(TG-DTA2000)を用いて、窒素中又は空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、ポリイミドフィルム(20μm厚)の初期重量が5%減少した時の温度を測定した。これらの値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
9.平均屈折率:nav
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ1T)を用いて、ポリイミドフィルム面に平行な方向(nin)と垂直な方向(膜厚方向)(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定した。
この屈折率から、ポリイミドフィルムの平均屈折率(nav=(2nin+nout)/3)を算出した。
10.誘電率:εopt
上記ポリイミドフィルムの平均屈折率navに基づいて、ポリイミドフィルムの誘電率(εopt=1.1×nav 2)を算出した。
11.弾性率、最大破断伸度
TENSILON UTM-2(エー・アンド・デイ社製)を用いて、ポリイミドフィルムの試験片(3mm×30mm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率(GPa)を、フィルムが破断した時の伸び率から最大破断伸度(%)を求めた。最大破断伸度が高いほどフィルムの靭性が高いことを意味する。
ジニトロ体中間体の合成
生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)より、3103cm-1に芳香族C-H伸縮振動吸収帯、2951cm-1に脂肪族C-H伸縮振動吸収帯、1524,1357cm-1にニトロ基伸縮振動吸収帯、1252,1193cm-1にエーテルC-O-C伸縮振動吸収帯を確認した。
フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM―ECP400(JEOL製)を用いて1H-NMR測定を行った結果、(CDCl3-d1,δ,ppm):8.63(sd,J=2.6Hz,2H),8.32-8.28(m,2H),6.98(s,1H),6.92(sd,J=3.3Hz,1H),6.70-6.64(m,2H),2.11-1.99(m,18H)と帰属できた。
以上の分析結果より、生成物はジニトロ体であることが確認された。
また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)によって融点を測定したところ、297℃に鋭い融解ピークを示したことから、この生成物は高純度であることが示唆された。
生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)より、3449,3346cm-1にN-H伸縮振動吸収帯、3011cm-1に芳香族C-H伸縮振動吸収帯、2919cm-1に脂肪族C-H伸縮振動吸収帯、1348,1047cm-1にエーテルC-O-C伸縮振動を確認した。
フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM―ECP400(JEOL製)を用いて1H-NMR測定を行った結果、(CDCl3-d1,δ,ppm):7.00(sd,J=4.0Hz,2H),6.89(s,1H),6.84(sd,J=4.0Hz,1H),6.65-6.67(m,2H),6.28-6.34(m,2H),3.55(s,4H),1.93-2.17(m,18H)と帰属できた。
元素分析値は推定値C:65.30%,H:5.14%,N:4.76%、実測値C:65.06%,H:5.16%,N:4.66%であった。
これらの分析結果より、生成物はジアミン化合物であることが確認された。
上記実施例1で合成したジアミン化合物0.4414g(0.75mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.7205g(2.25mmol)を脱水N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度19.2重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.29dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後、更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、2.95dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、8.49重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中255℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記実施例1で合成したジアミン化合物0.8829g(1.50mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.4803g(1.50mmol)を脱水NMPに溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を、混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度19.9重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.91dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と、1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を、室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、1.57dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、15.8重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中250℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記実施例1で合成したジアミン化合物1.3243g(2.25mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.2402g(0.75mmol)を脱水NMPに溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度18.4重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.46dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、1.15dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、23.4重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中305℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記実施例4のポリイミド粉末を室温でγ-ブチロラクトン(GBL)に再溶解し、16.5重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中325℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記実施例1で合成したジアミン化合物1.7657g(3.00mmol)を脱水NMPに溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度16.9重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.66dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、2.30dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、15.2重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中315℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
実施例6のポリイミド粉末を室温でGBLに再溶解し、12.4重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中315℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記実施例1で合成したジアミン化合物1.3243g(2.25mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.2402g(0.75mmol)を脱水NMPに溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.6544g(3.00mmol)をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度15.8重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.74dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、0.77dL/gであった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、21.4重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中259℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記実施例1で合成したジアミン化合物1.7657g(3.00mmol)を脱水NMPに溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.6544g(3.00mmol)をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度14.7重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.11dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、1.10dL/gであった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、23.6重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中348℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)より、3109cm-1に芳香族C-H伸縮振動吸収帯、1530,1351cm-1にニトロ基伸縮振動吸収帯、1243,1049cm-1にエーテルC-O-C伸縮振動吸収帯を確認した。フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM―ECP400(JEOL製)を用いて1H-NMR測定を行った結果、(DMSO-d6,δ,ppm):8.55-8.48(m,4H),7.86(d,J=8.7Hz,4H),7.38(d,J=8.7Hz,4H),7.22(d,J=9.2Hz,2H)と帰属でき、生成物はジニトロ体であることが確認された。また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)によって融点を測定したところ、211℃に鋭い融解ピークを示したことからこの生成物は高純度であることが示唆された。
生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)より、3431,3358cm-1にN-H伸縮振動吸収帯、3040cm-1に芳香族C-H伸縮振動吸収帯、1228,10479m-1にエーテルC-O-C伸縮振動を確認した。
フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM―ECP400(JEOL製)を用いて1H-NMR測定を行った結果、(DMSO-d6,δ,ppm):7.56(d,J=8.7Hz,4H),6.94-6.82(m,10H),5.46(s,4H)と帰属でき、元素分析値は推定値C:61.91%,H:3.60%,N:5.55%、実測値C:61.80%,H:3.85%,N:5.51%であり、生成物はジアミンであることが確認された。また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)によって融点を測定したところ、153℃に鋭い融解ピークを示したことからこの生成物は高純度であることが示唆された。
2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.9607g(3.00mmol)を脱水N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度17.4重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.92dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下したところ、流動性が消失してゲル化した。
上記比較例1で合成したジアミン化合物0.3783g(0.75mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.7205g(2.25mmol)を脱水N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度28.8重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.38dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、1.286dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でトリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri-GL)に再溶解し、18.1重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で1.5時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中260℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記比較例1で合成したジアミン化合物0.7566g(1.50mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.4803g(1.50mmol)を脱水N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度14.7重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.09dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、1.90dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、18.8重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中260℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記比較例1で合成したジアミン化合物1.1349g(2.25mmol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)0.2402g(0.75mmol)を脱水N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度19.0重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.29dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、2.00dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、18.8重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中260℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
上記比較例1で合成したジアミン化合物1.5133g(3.00mmol)を脱水N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(PMDA)粉末0.3272g(1.50mmol)と3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)粉末0.4413g(1.50mmol)を混ぜ合わせた粉末をゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度20.7重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.84dL/gであった。
得られたポリアミド酸溶液を脱水NMPで固形分濃度10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のエタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた沈殿物をエタノールで十分洗浄し、120℃で12時間真空乾燥した。この粉末についてプロトンNMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ13ppm付近)及びNHCOプロトン(δ11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、0.85dL/gであり、高分子量体であった。
上記のポリイミド粉末を室温でNMPに再溶解し、19.2重量%の均一溶液を調整した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃において熱風乾燥器で2時間乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中245℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
なお、比較例6のガラス転移温度は、TA Instruments社製、動的粘弾性測定装置(Q800)を用いて周波数0.1Hz、振幅0.1%、昇温速度5℃/分における損失ピークからを求めた値を示す。
Claims (6)
- 請求項3又は4に記載のポリイミドと溶媒からなるポリイミド溶液。
- 請求項5に記載のポリイミド溶液から得られるポリイミド成形体。
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