以下、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本開示はそれらの例示に限定されない。
本開示の実施形態に係るアダプタは、測定ピンを有するプローブ装置に取り付け可能である。アダプタは、第1ハウジングと、第2ハウジングと、を備える。第1ハウジングは上面及び底面を有する。第1ハウジングは、プローブ装置と嵌合可能な主嵌合部と、第1嵌合部と、貫通孔と、を含む。主嵌合部は、第1ハウジングの上面に形成されている。第1嵌合部は、第1ハウジングの底面に形成されている。貫通孔は、主嵌合部から第1嵌合部まで貫く。第2ハウジングは上面及び側面を有する。第2ハウジングは、第2嵌合部と、接触ピンと、接続ピンと、接続ピンに同軸ケーブルを接続するためのコネクタ部と、を含む。第2嵌合部は、第2ハウジングの上面に形成されている。第2嵌合部は、第1嵌合部と嵌合する。接触ピンは、第1ハウジングの貫通孔を挿通する。接続ピンは、接触ピンに連結され、第2ハウジングの側面から延び出す。コネクタ部は、第2ハウジングの側面に設けられている(第1の構成)。
第1の構成のキャリブレーション用アダプタでは、第2嵌合部が第1嵌合部と嵌合して、第2ハウジングが第1ハウジングと一体化される。このアダプタでは、第2ハウジングに含まれる接触ピンが、第1ハウジングに含まれる貫通孔を挿通する。第1ハウジングの主嵌合部において、貫通孔は、例えば、プローブ装置の測定ピンに対応する位置にある。このため、接触ピンは、プローブ装置の測定ピンに対応する位置に設けられる。さらに、このアダプタでは、第2ハウジングにおいて、接続ピンが接触ピンに連結される。接続ピンは第2ハウジングの一つの側面から延び出し、その側面にコネクタ部が設けられている。
キャリブレーションが行われる現場において、アダプタのコネクタ部に同軸ケーブルが取り付けられる。アダプタに取り付けられた同軸ケーブルは、第2ハウジングの一つの側面から突出するように引き出される。同軸ケーブルの引出し方向は、使用環境に従って決定される。ここで、第2嵌合部を第1嵌合部と嵌合させるとき、使用環境に従って要求される同軸ケーブルの引出し方向に応じて、適切な位置にコネクタ部を配置することができる。つまり、適切な方向に同軸ケーブルを引き出すことができる。しかも、接触ピンからコネクタ部までの距離、すなわち接続ピンの長さは不変である。つまり、アダプタにおいて、信号を伝送する線路長が不変である。したがって、第1の構成のキャリブレーション用アダプタによれば、使用環境にかかわらず、プローブ装置のキャリブレーションを精度よく行える。
第1の構成のアダプタにおいて、好ましくは、第1嵌合部が凹形状であり、第2嵌合部が凸形状である(第2の構成)。
第2の構成のキャリブレーション用アダプタの場合、凸形状の第2嵌合部が凹形状の第1嵌合部と嵌合する。
ただし、第1の構成のアダプタにおいて、第1嵌合部が凸形状であり、第2嵌合部が凹形状であってもよい。この場合、凹形状の第2嵌合部が凸形状の第1嵌合部と嵌合する。
第1又は第2の構成のアダプタは、典型的な例では、第1ハウジングにおいて、主嵌合部がプローブ装置と嵌合可能な凹部である(第3の構成)。ただし、主嵌合部がプローブ装置と嵌合可能な凸部であってもよい。
第1から第3の構成のいずれか1つのアダプタは、好ましくは、下記の構成を含む。第1ハウジングにおいて、第1嵌合部は、第1軸を中心に回転対称な形状を有する。第1軸は、第1ハウジングの上面及び底面に垂直な軸のうちで測定ピンに対応する位置にある。貫通孔は第1軸に沿っている。第2ハウジングにおいて、第2嵌合部は、第1軸と一致する第2軸を中心に回転対称な形状を有する。接触ピンは第2軸に沿って延びる(第4の構成)。
第4の構成のキャリブレーション用アダプタでは、第1ハウジングに含まれる貫通孔は、プローブ装置の測定ピンに対応する位置にある第1軸に沿っている。第2ハウジングに含まれる接触ピンは、第1軸と一致する第2軸に沿って延びている。このため、接触ピンは、確実に、プローブ装置の測定ピンに対応する位置に設けられる。また、相互に嵌合する第1嵌合部及び第2嵌合部について、第1嵌合部は、第1軸を中心に回転対称な形状を有し、第2嵌合部は、第1軸と一致する第2軸を中心に回転対称な形状を有する。このため、第2嵌合部を第1嵌合部と嵌合させるとき、使用環境に従って要求される同軸ケーブルの引出し方向に応じて、第1ハウジング部に対して第2ハウジング部を第1軸(第2軸)回りにずらすことができる。この場合、適切な位置にコネクタ部を配置することができる。つまり、適切な方向に同軸ケーブルを引き出すことができる。
第4の構成のアダプタにおいて、好ましくは、相互に嵌合する第1嵌合部及び第2嵌合部の横断面形状が円形である(第5の構成)。
第5の構成のキャリブレーション用アダプタによれば、第2嵌合部を第1嵌合部と嵌合させるとき、第1ハウジングに対する第1軸(第2軸)回りの第2ハウジングのずらし角度が制限されない。このため、同軸ケーブルの引出し方向を自由に設定することができる。
第5の構成のアダプタは、好ましくは、第1嵌合部に対して第2嵌合部の軸回りの回転を抑制する回転抑制機構を備える(第6の構成)。
第5の構成のアダプタのように第1嵌合部及び第2嵌合部の横断面形状が円形であれば、上記の通り、第1ハウジングに対する第1軸(第2軸)回りの第2ハウジングのずらし角度が制限されない。この場合、第1ハウジングに対して第2ハウジングが軸回りに不意に回転するおそれがある。この点、第6の構成のキャリブレーション用アダプタによれば、そのような事態を防止することができる。
第6の構成のアダプタにおいて、典型的な例では、回転抑制機構は、第1ハウジングの底面に設けられた壁と、この壁と接触する第2ハウジングの側面と、から構成される(第7の構成)。
第7の構成のキャリブレーション用アダプタによれば、第2ハウジングの側面が、第1ハウジングに設けられた壁と接触することにより、第1ハウジングに対して第2ハウジングが軸回りに不意に回転するのを防止することができる。ただし、この場合、第1ハウジングに対する第1軸(第2軸)回りの第2ハウジングのずらし角度が制限される。
回転抑制機構として、第2嵌合部を第1嵌合部と嵌合させた状態で、第2ハウジングを第1ハウジングと接合してもよい。接合方法は特に限定されないが、好ましくは、接着剤による接着、はんだ付け又は溶接である。
第4の構成のアダプタにおいて、相互に嵌合する第1嵌合部及び第2嵌合部の横断面形状が正多角形であってもよい(第8の構成)。
第8の構成のキャリブレーション用アダプタによれば、第2嵌合部を第1嵌合部と嵌合させるだけで、第1ハウジングに対して第2ハウジングが軸回りに不意に回転するのを防止することができる。ただし、この場合、第1ハウジングに対する第1軸(第2軸)回りの第2ハウジングのずらし角度が所定の角度ピッチに制限される。
典型的な例では、第1嵌合部及び第2嵌合部の横断面形状は正方形である。横断面形状は、正三角形、正五角形、又は正六角形等であってもよい。例えば、横断面形状が正方形である場合、第2ハウジングのずらし角度は90°ピッチである。横断面形状が正三角形である場合、第2ハウジングのずらし角度は120°ピッチである。横断面形状が正五角形である場合、第2ハウジングのずらし角度は72°ピッチである。横断面形状が正六角形である場合、第2ハウジングのずらし角度は60°ピッチである。
相互に嵌合する第1嵌合部及び第2嵌合部の横断面形状が長方形であってもよい。この場合、第2ハウジングのずらし角度は180°ピッチである。
以下に、図面を参照しながら、本実施形態のキャリブレーション用アダプタについて、具体例を説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。まず、本実施形態のアダプタによってキャリブレーションが行われるプローブ装置について説明する。
[プローブ装置101]
図1は、本実施形態のアダプタによってキャリブレーションが行われるプローブ装置101の要部を示す斜視図である。図1には、プローブ装置101を斜め下方から見たときの様子が示される。
図1を参照して、プローブ装置101は回路基板の回路特性の検査に用いられる。検査対象の回路基板はコネクタを備え、コネクタは端子を備える。
プローブ装置101は、概ね直方体形状の本体110と、本体110の底面110aから突出する測定ピン120と、を備える。測定ピン120は本体110によって支持される。例えば、測定ピン120は、本体110に対して、図示しない弾性体(例:圧縮コイルばね)によって下方(突出方向)に向く弾性力を与えられながら、上方(突出方向とは逆方向)への移動を許容するように支持される。ただし、測定ピン120は、本体110に対して電気的に絶縁されている。
測定ピン120は、検査対象のコネクタの端子に対応する位置に設けられている。コネクタが、複数の端子を備える多極コネクタである場合、コネクタの端子の位置に応じて、測定ピン120の設置位置が変わる。本体110の底面110aには、一対からなる突出部111が形成されている。突出部111同士の間の領域に、測定ピン120が配置される。
本実施形態では、本体110は導電性を有する。例えば、本体110の材質は金属である。この金属は、例えばステンレス鋼である。測定ピン120は導電性を有する。例えば、測定ピン120の材質は金属である。この金属は、例えばベリリウム銅である。
このようなプローブ装置101が、図示しない同軸ケーブルを介して、測定器(例:ネットワークアナライザ)に接続される。例えば、プローブ装置101において、同軸ケーブルの内導体(芯線)が測定ピン120の上部に接続される。この同軸ケーブルの外導体(グラウンド導体)が本体110に接続される。
回路基板の検査の際、プローブ装置101の本体110が検査対象のコネクタと嵌合する。これにより、プローブ装置101の測定ピン120がコネクタの端子に接触する。このとき、本体110の突出部111は、コネクタが有する凹部と嵌合する。これにより、コネクタに対するプローブ装置101の本体110の位置がより安定する。この状態で、測定器は、プローブ装置101(測定ピン120)及びコネクタを通じて、回路基板に対して信号を入出力する。これにより、回路基板の回路特性が検査される。
[第1実施形態のキャリブレーション用アダプタ1]
図2~図10を参照して、第1実施形態のキャリブレーション用アダプタ1について説明する。第1実施形態のアダプタ1は、図1に示すプローブ装置101のキャリブレーションに用いられる。なお、本明細書では、アダプタ1の構成、及びアダプタ1に対するプローブ装置101の位置を説明するのに、上、下、前、後、右及び左を使用している。ただし、これらの各方向は便宜のために使用したものにすぎず、アダプタ1の構成、及びアダプタ1に対するプローブ装置101の位置はこれらの各方向に限定されない。例えば、上と下が逆であってもよい。前と後が逆であってもよい。右と左が逆であってもよい。
図2は、第1実施形態のアダプタ1の全体構成を示す斜視図である。図3は、そのアダプタ1の上面図である。図4は、図3の線IV-IVにおける断面図である。図5は、図3の線V-Vにおける断面図である。図6は、第1実施形態のアダプタ1における第1ハウジング10の底面図である。図7は、第1実施形態のアダプタ1における第2ハウジング20の上面図である。図2には、アダプタ1を斜め上方から見たときの様子が示される。
図2を参照して、アダプタ1は、第1ハウジング10と、第2ハウジング20と、を備える。第2ハウジング20が第1ハウジング10の下に配置されている。第2ハウジング20が第1ハウジング10と組み合わされることにより、アダプタ1が構成される。
図2~図6を参照して、本実施形態では、第1ハウジング10の外形は概ね直方体である。第1ハウジング10は、上面10aと、底面10bと、四つの側面10c、10d、10e及び10fとを有する。上面10a及び底面10bは長方形である。本明細書において、便宜上、四つの側面10c、10d、10e及び10fをそれぞれ前側面10c、後側面10d、右側面10e及び左側面10fとも言う。前側面10c及び後側面10dは、それぞれ上面10a(底面10b)の対応する短辺につながる。右側面10e及び左側面10fは、それぞれ上面10a(底面10b)の対応する長辺につながる。
第1ハウジング10の上面10aには、プローブ装置101の本体110と嵌合可能な主嵌合部13が形成されている。各図には、主嵌合部13が凹部である例が示される。主嵌合部13は、プローブ装置101の本体110と嵌合可能な限り、凹部に限定されない。例えば、主嵌合部13が凸部であってもよい。主嵌合部13には、一対からなる穴部14が形成されている。穴部14は、プローブ装置101の本体110の突出部111に対応する位置に設けられている。
第1ハウジング10の底面10bには、凹形状の第1嵌合部11が形成されている。第1嵌合部11は、第1軸A1を中心に回転対称な形状を有する。第1軸A1は、上面10a及び底面10bに垂直な軸であって、プローブ装置101の測定ピン120に対応する位置にある。本実施形態では、第1嵌合部11の横断面形状が円形である。ここでいう横断面とは、第1嵌合部11を第1軸A1に垂直な面で切断したときの断面を意味する。本実施形態の場合、第1嵌合部11が凹形状であるため、第1嵌合部11の内周形状が円形である。
第1ハウジング10には、第1軸A1に沿って貫通孔12が設けられている。本明細書において、便宜上、この貫通孔12を第1貫通孔12とも言う。第1貫通孔12は、主嵌合部13から第1嵌合部11まで第1ハウジング10を貫く。別の観点では、第1貫通孔12は、第1嵌合部11の中心軸(第1軸A1)に沿って設けられている。第1貫通孔12の横断面形状は円形である。
さらに、本実施形態では、第1ハウジング10の底面10bに、各々が第1軸A1に向く第1壁15及び第2壁16が設けられている。第1壁15は、前側面10cの近くで前側面10cと平行に、右側面10eから左側面10fまで延びている。第2壁16は、第1壁15と対向し、前側面10cと平行に、右側面10eから左側面10fまで延びている。第1軸A1から第1壁15までの最短距離は、第2ハウジング20の形状寸法によって定められる。本実施形態では、後述するように、第2ハウジング20の外形が概ね直方体であり、その上面20aが正方形である。第1ハウジング10の第1軸A1から第1壁15までの最短距離は、第2ハウジング20の上面20aの一辺の長さの半分である。第2壁16についても第1壁15と同様のことが適用される。
図2~図5及び図7を参照して、本実施形態では、第2ハウジング20の外形は概ね直方体である。第2ハウジング20は、上面20aと、底面20bと、四つの側面20c、20d、20e及び20fとを有する。上面20a及び底面20bは正方形である。本明細書において、便宜上、四つの側面20c、20d、20e及び20fをそれぞれ第1側面20c、第2側面20d、第3側面20e及び第4側面20fとも言う。第1側面20c、第2側面20d、第3側面20e及び第4側面20fは、それぞれ上面20a(底面20b)の対応する辺につながる。
第2ハウジング20の上面20aには、凸形状の第2嵌合部21が形成されている。第2嵌合部21は、第2軸A2を中心に回転対称な形状を有する。第2軸A2は、第1ハウジング10の第1軸A1と一致する。本実施形態では、第2嵌合部21の横断面形状が円形である。ここでいう横断面とは、第2嵌合部21を第2軸A2(第1軸A1)に垂直な面で切断したときの断面を意味する。本実施形態の場合、第2嵌合部21が凸形状であるため、第2嵌合部21の外周形状が円形である。第2嵌合部21は第1嵌合部11に嵌合する形状を有する。
第2ハウジング20は内部空間24を有する。第2ハウジング20には、第2軸A2(第1軸A1)に沿って貫通孔22が設けられている。本明細書において、便宜上、この貫通孔22を第2貫通孔22とも言う。第2貫通孔22は、内部空間24から第2嵌合部21まで第2ハウジング20を貫く。別の観点では、第2貫通孔22は、第2嵌合部21の中心軸(第2軸A2)に沿って設けられている。第2貫通孔22の横断面形状は円形である。
第2貫通孔22には、円筒状のブッシング31が挿入されている。ブッシング31は絶縁性材料で構成される。ブッシング31には、接触ピン30が挿入されている。接触ピン30は、第2軸A2(第1軸A1)に沿って延びている。接触ピン30は、ブッシング31を介して第2ハウジング20の第2嵌合部21に固定される。
接触ピン30の下端部30bは、第2ハウジング20の内部空間24に配置されている。接触ピン30の下端部30bに接続ピン40が連結される。連結方法は特に限定されない。連結方法は、単なる接触であってもよいし、はんだ付けであってもよい。接続ピン40は、第2ハウジング20の四つの側面20c、20d、20e及び20fのうちの、例えば、第4側面20fから外部に延び出す。
接続ピン40が延び出す第4側面20fには、コネクタ部23が設けられている。典型的な例では、コネクタ部23はSMA(Sub Miniature Type A)型コネクタである。例えば、コネクタ部23は円筒状の外導体部23aを含む。外導体部23aは、第2ハウジング20と一体成形される。外導体部23aには、円筒状のブッシング41が挿入されている。ブッシング41は絶縁性材料で構成される。ブッシング41には、接続ピン40が挿入されている。接続ピン40は、接触ピン30に連結された状態で、ブッシング41を介して第2ハウジング20のコネクタ部23に固定される。
本実施形態では、第1ハウジング10及び第2ハウジング20は導電性を有する。例えば、第1ハウジング10及び第2ハウジング20の材質は金属である。この金属は、例えばステンレス鋼である。接触ピン30及び接続ピン40は導電性を有する。例えば、接触ピン30及び接続ピン40の材質は金属である。この金属は、例えばベリリウム銅である。
本実施形態のアダプタ1では、第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合して、第2ハウジング20が第1ハウジング10と一体化される。第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合するのに伴い、接触ピン30がブッシング31と共に第1貫通孔12を挿通する。接触ピン30の先端(上端)は第1ハウジング10の主嵌合部13に表出する。第1ハウジング10の主嵌合部13において、第1貫通孔12は第1軸A1に沿っており、第1軸A1は、プローブ装置101の測定ピン120に対応する位置にある。このため、接触ピン30は、プローブ装置101の測定ピン120に対応する位置に設けられる。
さらに、本実施形態のアダプタ1では、第2ハウジング20において、接続ピン40が接触ピン30に連結される。接続ピン40は第4側面20fから延び出し、その第4側面20fにコネクタ部23が設けられている。図2~図5に示す例では、第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合した状態において、第2ハウジング20の第4側面20fが第1ハウジング10の左側面10fと同じ方向を向く。このため、コネクタ部23は第1ハウジング10の左側面10f側に配置される。また、この状態において、第2ハウジング20の第1側面20cが、第1ハウジング10の底面10bに設けられた第1壁15と接触している。第2ハウジング20の第2側面20dが、第1ハウジング10の底面10bに設けられた第2壁16と接触している。ただし、相互に接触する第1側面20cと第1壁15との間に僅かな隙間が設けられてもよい。これと同様に、相互に接触する第2側面20dと第2壁16との間に僅かな隙間が設けられてもよい。
ここで、相互に嵌合する第1嵌合部11及び第2嵌合部21について、第1嵌合部11は、第1軸A1を中心に回転対称な形状を有し、第2嵌合部21は、第1軸A1と一致する第2軸A2を中心に回転対称な形状を有する。このため、第2嵌合部21を第1嵌合部11と嵌合させるとき、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20を第1軸A1(第2軸A2)回りにずらすことができる。このため、第1ハウジング10に対して、コネクタ部23の設置位置を変えることができる。
特に、本実施形態では、第1嵌合部11及び第2嵌合部21の横断面形状が円形であるため、第1ハウジング10に対する第1軸A1(第2軸A2)回りの第2ハウジング20のずらし角度は制限されない。この場合、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20が軸回りに不意に回転するおそれがある。この点、第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合した状態において、第2ハウジング20の第1側面20cが第1ハウジング10の第1壁15と接触し、第2ハウジング20の第2側面20dが第1ハウジング10の第2壁16と接触している。これにより、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20が軸回りに不意に回転する事態を防止することができる。つまり、第1側面20cと第1壁15との接触は、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20の軸回りの回転を抑制する回転抑制機構として機能する。これと同様に、第2側面20dと第2壁16との接触は、回転抑制機構として機能する。
図8~図10は、それぞれ第1実施形態のアダプタ1の変形例を示す上面図である。図8~図10には、第1実施形態のアダプタ1においてコネクタ部23の取り得る設置位置が示される。
図8に示す例では、第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合した状態において、第2ハウジング20の第4側面20fが第1ハウジング10の右側面10eと同じ方向を向く。このため、コネクタ部23は第1ハウジング10の右側面10e側に配置される。また、この状態において、第2ハウジング20の第2側面20dが第1ハウジング10の第1壁15と接触している。第2ハウジング20の第1側面20cが第1ハウジング10の第2壁16と接触している。
図9に示す例では、第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合した状態において、第2ハウジング20の第4側面20fが第1ハウジング10の後側面10dと同じ方向を向く。このため、コネクタ部23は第1ハウジング10の後側面10d側に配置される。また、この状態において、第2ハウジング20の第3側面20eが第1ハウジング10の第1壁15と接触している。第2ハウジング20の第4側面20fが第1ハウジング10の第2壁16と接触している。
図10に示す例では、第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合した状態において、第2ハウジング20の第4側面20fが第1ハウジング10の前側面10cと同じ方向を向く。このため、コネクタ部23は第1ハウジング10の前側面10c側に配置される。また、この状態において、第2ハウジング20の第4側面20fが第1ハウジング10の第1壁15と接触している。第2ハウジング20の第3側面20eが第1ハウジング10の第2壁16と接触している。
キャリブレーションが行われる現場において、アダプタ1のコネクタ部23に同軸ケーブル(図示省略)が取り付けられる。アダプタ1に取り付けられた同軸ケーブルは、第2ハウジング20の第4側面20fから突出するように引き出される。同軸ケーブルの引出し方向は、使用環境に従って決定される。ここで、上記の通り、第1嵌合部11は、第1軸A1を中心に回転対称な形状を有し、第2嵌合部21は、第1軸A1と一致する第2軸A2を中心に回転対称な形状を有する。このため、第2嵌合部21を第1嵌合部11と嵌合させるとき、使用環境に従って要求される同軸ケーブルの引出し方向に応じて、第1嵌合部11に対して第2嵌合部21を第1軸A1(第2軸A2)回りにずらすことができる。この場合、適切な位置にコネクタ部23を配置することができる。つまり、適切な方向に同軸ケーブルを引き出すことができる。
キャリブレーションの際、アダプタ1のコネクタ部23に同軸ケーブルが取り付けられ、同軸ケーブルの内導体(芯線)が接続ピン40に接続される。この同軸ケーブルの外導体(グラウンド導体)がコネクタ部23の外導体部23aに接続される。アダプタ1に接続された同軸ケーブルは、プローブ装置101と共通の測定器(例:ネットワークアナライザ)に接続される。
プローブ装置101の本体110がアダプタ1の主嵌合部13と嵌合する。主嵌合部13が凹部である場合、本体110が凹部と嵌合する。この場合、本体110の側面が凹部の内面と接触することにより、アダプタ1に対する本体110の位置が決まる。これにより、プローブ装置101の測定ピン120がアダプタ1の接触ピン30に接触する。このとき、本体110の突出部111は、アダプタ1の主嵌合部13に形成された穴部14と嵌合する。これにより、アダプタ1に対するプローブ装置101の本体110の位置がより安定する。この状態で、測定器は、プローブ装置101(測定ピン120)に対して信号を入出力する。これにより、プローブ装置101のキャリブレーションが行われる。なお、主嵌合部13が凸部である場合、本体110の突出部111がアダプタ1の主嵌合部13に形成された穴部14と嵌合することにより、アダプタ1に対する本体110の位置が決まる。
このとき、接触ピン30からコネクタ部23までの距離、すなわち接続ピン40の長さは不変である。つまり、アダプタ1において、信号を伝送する線路長が不変である。したがって、使用環境にかかわらず、プローブ装置101のキャリブレーションを精度よく行える。
本実施形態において、第1壁15及び第2壁16のいずれか一方のみが第1ハウジング10の底面10bに設けられても構わない。第1壁15のみ又は第2壁16のみであっても、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20が軸回りに不意に回転する事態を防止することができるからである。
また、本実施形態において、第2嵌合部21を第1嵌合部11と嵌合させた状態で、第2ハウジング20を第1ハウジング10と接合してもよい。接合方法は、接着剤による接着であってもよいし、はんだ付け又は溶接であってもよい。これにより、第2ハウジング20が第1ハウジング10と強固に一体化される。
また、本実施形態において、第1壁15及び第2壁16が設けられなくてもよい。第2ハウジング20を第1ハウジング10と接合すれば、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20が軸回りに不意に回転する事態を防止することができるからである。この場合、第1ハウジング10に対する第1軸A1(第2軸A2)回りの第2ハウジング20のずらし角度が制限されないため、同軸ケーブルの引出し方向を自由に設定することができる。
[第2実施形態のキャリブレーション用アダプタ1]
図11は、第2実施形態のアダプタ1における第1ハウジング10の底面図である。第2実施形態のアダプタ1は、第1実施形態のアダプタ1における回転抑制機構を変更したものである。
本実施形態では、第2壁16が、左側面10fから右側面10eと左側面10fとの間の中央までの範囲に設けられている。第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合した状態において、第2ハウジング20の例えば第2側面20dが第1ハウジング10の第2壁16と接触している。第1実施形態における第1壁15(図6参照)は設けられていない。ただし、第2壁16と同様の第1壁15が設けられてもよい。第1壁15が設けられる場合、第2壁16が設けられなくてもよい。本実施形態のアダプタ1によれば、上記した第1実施形態のアダプタ1と同様の効果を奏することができる。
[第3実施形態のキャリブレーション用アダプタ1]
図12は、第3実施形態のアダプタ1における第1ハウジング10の底面図である。第3実施形態のアダプタ1は、第1実施形態のアダプタ1における回転抑制機構を変更したものである。
本実施形態では、第1実施形態の第2壁16(図6参照)に代えて、第1ハウジング10の底面10bに一対の突起17が設けられている。一対の突起17は、第2壁16の設置位置に相当する位置に設けられている。一方の突起17は、右側面10eの近くに設けられ、他方の突起17は、左側面10fの近くに設けられている。第2嵌合部21が第1嵌合部11と嵌合した状態において、第2ハウジング20の例えば第2側面20dが第1ハウジング10の一対の突起17と接触している。第1実施形態の第1壁15(図6参照)は設けられていない。ただし、第1壁15の設置位置に相当する位置に、一対の突起17と同様の一対の突起が設けられてもよい。本実施形態のアダプタ1によれば、上記した第1実施形態のアダプタ1と同様の効果を奏することができる。
[第4実施形態のキャリブレーション用アダプタ1]
図13及び図14を参照して、第4実施形態のキャリブレーション用アダプタ1について説明する。第4実施形態のアダプタ1は、第1実施形態のアダプタ1における第1嵌合部11及び第2嵌合部21の横断面形状を変更したものである。
図13は、第4実施形態のアダプタ1における第1ハウジング10の底面図である。図14は、第4実施形態のアダプタ1における第2ハウジング20の上面図である。
本実施形態では、相互に嵌合する第1嵌合部11及び第2嵌合部21の横断面形状が正方形である。本実施形態の場合、第1嵌合部11が凹形状であるため、第1嵌合部11の内周形状が正方形である。第2嵌合部21が凸形状であるため、第2嵌合部21の外周形状が正方形である。
本実施形態のアダプタ1によれば、上記した第1実施形態のアダプタ1と同様の効果を奏することができる。
もっとも、本実施形態のアダプタ1では、第2嵌合部21を第1嵌合部11と嵌合させるだけで、第1ハウジング10に対して第2ハウジング20が軸回りに不意に回転するのを防止することができる。このため、本実施形態のアダプタ1には、第1実施形態のような第1壁15及び第2壁16が設けられなくてもよい。ただし、本実施形態のアダプタ1の場合、第1嵌合部11及び第2嵌合部21の横断面形状が正方形であるため、第1ハウジング10に対する第1軸A1(第2軸A2)回りの第2ハウジング20のずらし角度が90°ピッチに制限される。
本実施形態において、相互に嵌合する第1嵌合部11及び第2嵌合部21の横断面形状は、正多角形である限り、正方形に限定されない。例えば、横断面形状は、正三角形、正五角形、又は正六角形等であってもよい。
その他、本開示は上記の実施形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、相互に嵌合する第1嵌合部11及び第2嵌合部21の横断面形状は、回転対称な形状である限り、特に限定されない。例えば、横断面形状は長方形であってもよい。
また、上記の実施形態の場合、第1嵌合部11が凹形状であり、第2嵌合部21が凸形状である。しかしながら、第1嵌合部11が凸形状であり、第2嵌合部21が凹形状であっても構わない。この場合、凹形状の第2嵌合部21が凸形状の第1嵌合部11と嵌合する。