以下、本発明を詳細に説明する。
「Treg」または「Treg細胞」とは、制御性T細胞を示す。制御性T細胞とは、他の免疫細胞の活性を抑制するT細胞のクラスであり、フローサイトメトリーを使用して、細胞マーカー表現型であるCD4+CD25+FOXP3+により規定される。
FOXP3は、細胞内タンパク質であり、染色のために、細胞の固定と透過処理を必要とすることから、生存するTregを規定するためには、細胞表面表現型である、CD4+CD25+CD127lowを使用することができる。
Tregはまた、tTreg(胸腺由来)およびpTreg(末梢由来であり、末梢のナイーブT細胞から分化させた)など、多様なTregサブクラスも含む。全てのTregは、IL-2Rαβγを発現し、IL-2依存的に増殖するが、本発明のIL-2改変体は、少なくとも1のTregサブクラスを選択的に活性化することができ、好ましくはいずれのサブクラスも選択的に活性化し得る。
「IL-2」とは、野生型IL-2、IL-2改変体いずれの場合もある。
「野生型IL-2」とは、下記1)~3)のIL-2いずれのものも含む。
1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるヒト由来野生型成熟IL-2。
2)上記1)の遺伝子組換え体を作製する際に加え得るアミノ酸改変を有するIL-2。
3)上記1)および上記2)のIL-2のN末端のアミノ酸残基が欠失したIL-2。
上記2)のアミノ酸改変とは、例えば大腸菌でIL-2を発現させるために配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端に開始コドンによってコードされるメチオニン残基を結合させる改変や、大腸菌でIL-2を発現させ、かつ簡便に精製するために配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端に、MHHHHHHHHで表されるアミノ酸配列(メチオニンが結合したポリヒスチジン)を結合させる改変や、IL-2の物性を高めるためにヒト由来野生型成熟IL-2の125番目のアミノ酸残基をアラニン残基またはセリン残基に置換する改変等が挙げられる。
上記3)のIL-2のN末端のアミノ酸残基が欠失したIL-2とは、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基、またはアラニン残基およびプロリン残基が欠失したアミノ酸配列を有するIL-2等が挙げられる。
野生型IL-2は、具体的には、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にMHHHHHHHHで表されるアミノ酸配列が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基が欠失したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基が欠失し、かつメチオニンが結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基およびプロリン残基が欠失したアミノ酸配列、または配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にMHHHHHHHHで表されるアミノ酸配列が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基が欠失したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基が欠失し、かつメチオニンが結合したアミノ酸配列、もしくは配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基およびプロリン残基が欠失したアミノ酸配列において、125番目のアミノ酸残基をセリン残基もしくはアラニン残基に置換したアミノ酸配列を有するIL-2が挙げられる。上述、N末端側のアミノ酸配列及び配列番号1で表されるアミノ酸配列の125番目のセリン残基は、IL-2の活性に影響を与えることなく、タンパク質発現またはタンパク質安定性の観点から許容されるアミノ酸配列のバリエーションであり、本発明のIL-2改変体においても本アミノ酸配列のバリエーションが含まれる。
なお、本発明において記載されるIL-2のアミノ酸残基の番号は、いずれも配列番号1で表されるIL-2のアミノ酸配列を基準とした時のアミノ酸残基の番号(位置)を示す。従って、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端のアラニン残基が1番目、プロリン残基が2番目、N末端に結合したメチオニン残基は-1番目として定義される。
「IL-2改変体」とは、野生型IL-2に何らかの改変を加えて作製された、野生型IL-2の機能を有する全てのタンパク質を含む。改変体としては、例えばアミノ酸改変(例えば、置換、欠失、付加など)により野生型IL-2が改変されたIL-2改変体、糖鎖修飾により野生型IL-2が改変されたIL-2改変体、化学修飾により野生型IL-2が改変されたIL-2改変体などが挙げられる。上記の改変は、自然に生じる改変および人為的な改変のいずれの改変も含む。
「野生型IL-2の機能」とは、IL-2Rαβγへの結合、IL-2Rβγへの結合、CD122およびCD132の細胞内領域を介した細胞内シグナル伝達経路の活性化、JAK1のリン酸化、JAK3のリン酸化、STAT5のリン酸化、STAT3のリン酸化、PI3Kのリン酸化、MEKのリン酸化、Foxp3発現促進、Foxp3により転写が制御されている遺伝子群の発現促進、Foxp3遺伝子のTSDR (Treg-specific demethylation region)領域のDNA脱メチル化促進、IL-2Rβγを発現する免疫細胞の増殖および生存促進、IL-2Rβγを発現する免疫細胞のサイトカイン産生促進、IL-2Rαβγを発現する免疫細胞の増殖および生存促進、IL-2Rαβγを発現する免疫細胞のサイトカイン産生促進、Treg増殖および生存促進、ならびにTregのTeff活性化抑制能の向上から選ばれる少なくとも1つの機能を示す。
本発明のIL-2改変体の一態様としては、IL-2の所定の領域に糖鎖が結合したIL-2改変体、およびIL-2の所定の領域にPEGが結合したIL-2改変体、およびIL-2の所定の領域に糖鎖およびPEGが結合したIL-2改変体が挙げられる。結合としては、例えば、共有結合、非共有結合などが挙げられるが、結合様式は問わない。
「アミノ酸残基」は天然アミノ酸残基と非天然アミノ酸残基のいずれの場合もある。
「天然アミノ酸残基」とは、セレノシステイン残基、及び以下の20種のα-アミノ酸残基:アラニン残基、アスパラギン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン残基、グルタミン酸残基、グリシン残基、ヒスチジン残基、イソロイシン残基、ロイシン残基、リジン残基、メチオニン残基、フェニルアラニン残基、プロリン残基、セリン残基、スレオニン残基、トリプトファン残基、チロシン残基、バリン残基、又はシステイン残基が挙げられる。天然アミノ酸残基はL体とD体の両方を含み、ヒトにおいてはL体のほうが好ましい。
「非天然アミノ酸残基」とは、天然アミノ酸残基以外の全てのアミノ酸残基をいう。非天然アミノ酸残基としては、例えば、天然アミノ酸残基を修飾したアミノ酸残基、人工的にデザインされたアミノ酸残基が挙げられる。
「修飾」とは、化学修飾、翻訳後修飾など、あらゆる修飾を含む。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、IL-2Rαβγに対する選択性が向上しているIL-2改変体が挙げられる。IL-2Rαβγに対する選択性が向上しているIL-2改変体により、IL-2Rαβγを発現しているTregを選択的に活性化させることができる。
「IL-2Rαβγに対する選択性」とは、IL-2がIL-2RβγよりもIL-2Rαβγに選択的に結合する性質をいう。また、「IL-2Rαβγに対する選択性が向上している」とは、野生型IL-2と比較して、IL-2改変体のIL-2Rαβγに対する選択性が向上していることをいう。
IL-2Rαβγに対する選択性、またはIL-2Rαβγに対する選択性が向上していることは、例えば以下に記載する方法で判断することができる。
(1)各種IL-2について、IL-2Rαβγに対する結合活性のEC50値と、IL-2Rβγに対する結合活性のEC50値を測定する。IL-2RαβγのEC50がIL-2RβγのEC50よりも小さい、またはEC50ratio値(IL-2Rβγ EC50/IL-2Rαβγ EC50)が1より大きければ、当該IL-2はIL-2Rαβγに対する選択性があると判断できる。
また、野生型IL-2のEC50 ratio値よりもIL-2改変体のEC50 ratio値が大きい、または標準化EC50 ratio値(IL-2改変体のEC50ratio値/野生型IL-2のEC50 ratio値)が1より大きい場合、当該IL-2改変体はIL-2Rαβγに対する選択性が向上していると判断できる。標準化EC50 ratio値は、1より大きい、5以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、30以上の順で好ましい。野生型IL-2の代わりに、野生型IL-2と同等のEC50 ratio値を有するIL-2改変体を使用してもよい。
EC50値の測定方法としては、具体的には例えば、下記(A)~(C)に示す手順による方法が挙げられる。より具体的な方法としては、実施例において後述する方法が挙げられる。
(A)哺乳動物細胞にヒトIL-2Rαβγ、又はヒトIL-2Rβγを発現させて、ヒトIL-2依存性生存細胞株を作製し、各細胞株を96穴プレートに播種する。
(B)コントロールのIL-2を1000ng/mlで添加したウェルのrelative fluorescence units(RLU)値を100%、IL-2を含まない培地を添加したウェルのRLU値を0%として、被験物質であるIL-2改変体のIL-2依存性細胞増殖率を算出する。
(C)(A)で得られたデータを元に統計解析ソフト(例えば、IBDS社製XLfit5 version 5.3.1.3)を用いてEC50値を算出する。
(2)野生型IL-2とIL-2改変体のそれぞれで、IL-2R細胞外ドメイン(ECD)-Fc融合タンパク質であるCD25ECD-Fc、IL-2RβγECD-Fcに対する親和性をBiacoreで測定する。野生型よりもIL-2改変体で、CD25ECD-FcのKD値が小さい、および/またはIL-2RβγECD-FcのKD値が大きいとき、当該IL-2改変体はIL-2Rαβγに対する選択性が向上していると判断することができる。また、CD25ECD-FcのKD値に対するIL-2RβγECD-FcのKD値の相対値が、野生型よりもIL-2改変体で増加しているとき、当該IL-2改変体はIL-2Rαβγに対する選択性が向上していると判断することもできる。
「Tregを選択的に活性化させる」とは、下記(a)~(c)の少なくともいずれか一つをいう。
(a)野生型IL-2よりもIL-2改変体のTreg増殖活性が高い、および/またはNK細胞増殖活性が低い。
(b)野生型IL-2よりもIL-2改変体で、細胞集団中のエフェクターT細胞(Teff)の割合に対するTregの割合の比[Treg(%)/Teff(%)]が高い。
(c)野生型IL-2よりもIL-2改変体で炎症性サイトカインの産生量が低下している、および/または抗炎症性サイトカインの産生量が増加している。
上記(a)~(c)のいずれの場合も、野生型IL-2の代わりに野生型IL-2と同等の活性を有するIL-2改変体を使用してもよい。
Treg増殖活性、およびNK細胞増殖活性は、例えば以下に記載する方法で測定することができる。TregまたはNK細胞を96穴プレートに播種し、コントロールのIL-2を添加したウェルのRLU値を100%、IL-2を含まない培地を添加したウェルのRLU値を0%として、被験物質であるIL-2改変体のTregまたはNK細胞増殖率を算出する。より具体的な方法としては、実施例において後述する方法が挙げられる。
Treg(%)/Teff(%)は、例えば、以下に記載する方法で測定することができる。ヒト末梢血単核細胞(以下、PBMCとも略す)を自己血漿に懸濁し、そこに抗CD3抗体OKT3を添加して96穴プレートに播種後、各種IL-2を添加して培養する。得られたヒトPBMCと、蛍光標識抗ヒトCD4抗体、蛍光標識CD25抗体、蛍光標識抗Foxp3抗体と反応させた後、フローサイトメーター(例えば、BD Biosciences社製LSRFortessa)にて各種蛍光強度を測定する。
得られたデータを、データ解析ソフト(例えば、TreeStar社製FLowJo、version7.6.5)を用いて解析し、CD4陽性画分の中で、CD25+Foxp3high画分をTreg、CD25+Foxp3low画分をエフェクターT細胞(Teff)として、その存在比[Treg(%)/Teff(%)]を算出する。より具体的な方法としては、実施例において後述する方法が挙げられる。
各種サイトカインの産生量は、例えば、以下に記載する方法で測定することができる。ヒトPBMCを自己血漿に懸濁し、抗CD3抗体OKT3を添加して96穴プレートに播種後、各種IL-2を添加して培養し、上清中のサイトカイン産生量を定量する。より具体的な方法としては、実施例において後述する方法が挙げられる。
本発明のIL-2改変体の一態様としては、IL-2に糖鎖が結合することにより改変されたIL-2改変体(以下、糖鎖結合IL-2改変体とも略す。)、IL-2にPEGが結合することにより改変されたIL-2改変体(以下、PEG結合IL-2改変体とも略す。)が挙げられる。以下、各改変体について説明する。
[糖鎖結合IL-2改変体]
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、IL-2のアミノ酸配列における11、12、13、15、16、18、19、20、84、87、88、91、92、108、115、119、122、123および130番目のアミノ酸残基から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基に糖鎖が結合しているIL-2改変体が好ましい。
本明細書において、「糖鎖」とは、単糖または2以上の単糖がグリコシド結合という結合を介して結合したものをいい、いずれの糖鎖を用いることもできる。
IL-2に結合する糖鎖としては、具体的には例えば、下記(式4)~(式8)および(式Y1)~(式Y3)で表される構造を有する糖鎖からなる群より選ばれる少なくとも1が挙げられる。IL-2のアミノ酸配列における前記アミノ酸残基に該糖鎖を結合させることにより、IL-2Rαβγに対する選択性を向上させることができる。また、(式6)のα1-6アーム、α1-3アームのMannose(Man)のそれぞれにN-acetylglucosamine(GlcNAc)が1つ結合した糖鎖、(式7)のα1-6アーム、α1-3アームのMan-GlcNAcのそれぞれからGalactose(Gal)が1つ除かれた糖鎖(G1)、(式8)の非還元末端のSialic acid(Sial)が1つ除かれた糖鎖、および(式Y3)の非還元末端のSialが1~4個除かれた糖鎖も本発明のIL-2改変体の糖鎖に用いることができる。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における、11、12、13、15、16、18、19、20、84、87、88、91、92、108、115、119、122、123および130番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体が好ましく、野生型IL-2のアミノ酸配列における、12、13、15、16、19、88、91および119番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体がより好ましい。
本実施形態においては、野生型IL-2のアミノ酸配列は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、または配列番号1で表されるアミノ酸配列の125番目のアミノ酸残基をセリン残基またはアラニン残基に置換したアミノ酸配列がより好ましい。
システイン残基またはアスパラギン残基由来の基とは、それぞれシステイン残基の側鎖チオールまたはアスパラギン残基の側鎖アミドが修飾されている基をいう。
糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基とは、システイン残基の側鎖チオールまたはアスパラギン残基の側鎖アミドに化学修飾により糖鎖が結合した基をいう。システイン残基またはアスパラギン残基由来の基は、リンカー等により修飾されていてもよく、リンカーを介してシステイン残基またはアスパラギン残基と糖鎖とが結合していてもよい。
糖鎖が結合したシステイン残基由来の基としては、例えば、下記(式1)に示すように、システイン残基の側鎖チオールにCH2CONHリンカーを介して糖鎖が結合した構造を有するアミノ酸残基が挙げられる。システイン残基の側鎖チオールと糖鎖とは、リンカーを介さずに結合していてもよい。
上記(式1)中、Saccharideは糖鎖を示す。
糖鎖が結合したアスパラギン残基由来の基としては、例えば、下記(式2)に示すように、アスパラギン残基の側鎖アミドに化学修飾により糖鎖が結合した構造が挙げられる。アスパラギン残基の側鎖アミドと糖鎖とは、リンカーを介して結合していてもよい。
上記(式2)中、Saccharideは糖鎖を示す。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、例えば野生型IL-2のアミノ酸配列における、11、12、13、15、16、18、19、20、84、87、88、91、92、108、115、119、122、123および130番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体が挙げられる。
野生型IL-2に糖鎖が1つ結合したIL-2改変体の例としては、以下に記載する物が挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、11番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、16番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、18番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、20番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、84番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、87番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、88番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、92番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、108番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、115番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、119番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、122番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、123番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、130番目のアミノ酸残基が、糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されている、IL-2改変体。
上記IL-2改変体において、結合している糖鎖はいずれの糖鎖であってもよいが、例えば(式4)、(式5)、(式6)、(式7)、(式8)または(式Y3)で示される構造を持つ糖鎖が挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、11番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式7)または(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)または(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)、(式8)または(式Y3)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、16番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)、(式5)、(式6)または(式7)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、18番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)または(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)、(式7)、(式8)、または(式Y3)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、20番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)または(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、84番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、87番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)または(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、88番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)、(式7)または(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)、(式7)または(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、92番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、108番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)または(式7)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、115番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)または(式7)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、122番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、123番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、130番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)または(式7)で示される構造である、IL-2改変体。
本発明の一実施形態としては、野生型IL-2に少なくとも2つの糖鎖を結合させたIL-2改変体も挙げられる。野生型IL-2に2つの糖鎖を結合させた例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1、3、4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されたアミノ酸配列を含むIL-2改変体が挙げられる。
野生型IL-2に糖鎖が2つ結合したIL-2改変体の例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1、3、4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる1つのアミノ酸残基、および、11、12、18、20、84、87、88、91、108、115、119、122および123番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる1つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体が好ましい。
本発明の具体的なIL-2改変体の一実施形態としては、以下に示すものが挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目および19番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および16番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目および119番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目および23番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および91番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および115番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および119番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目および91番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目および115番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目および119番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目および115番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目および115番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目および119番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
上記IL-2改変体において、結合している糖鎖はいずれの糖鎖であってもよいが、例えば(式4)または(式8)で示される構造を持つ糖鎖が挙げられる。
また、本発明の具体的なIL-2改変体の一実施形態としては、以下に示すものも挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目および19番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および16番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ12番目に結合する(式1)のSaccharideの構造が(式8)であり、かつ16番目に結合する(式1)のSaccharideの構造が(式4)であり、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目および23番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および115番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目および91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目および115番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、13番目および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目および115番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目および115番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
本発明の一実施形態としては、野生型IL-2に少なくとも3つ糖鎖を結合させたIL-2改変体も挙げられる。野生型IL-2に3つの糖鎖を結合させた例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1,3,4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも3つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されたアミノ酸配列を含むIL-2改変体が挙げられる。
また、野生型IL-2に糖鎖が3つ結合した例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1、3、4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基と、11、12、18、20、84、87、88、91、108、115、119、122および123番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体がより好ましい。
本発明の一実施形態としては、野生型IL-2に少なくとも4つ糖鎖を結合させたIL-2改変体も挙げられる。野生型IL-2に4つの糖鎖を結合させた例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1、3、4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも4つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されたアミノ酸配列を含むIL-2改変体が挙げられる。
また、野生型IL-2に糖鎖が4つ結合した例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1、3、4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基と、11、12、18、20、84、87、88、91、108、115、119、122および123番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体がより好ましい。
本発明の一実施形態としては、野生型IL-2に少なくとも5つ糖鎖を結合させたIL-2改変体も挙げられる。野生型IL-2に5つの糖鎖を結合させた例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1、3、4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる5つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されたアミノ酸配列を含むIL-2改変体が挙げられる。
また、野生型IL-2に糖鎖が5つ結合した例としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における1、3、4、5、8、11、12、13、15、16、18、19、20、23、32、38、51、76、84、87、88、91、92、100、102、104、108、115、119、122、123、127および130番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基と、1、3、5、12、32、51、76、91、100、102および104番目のアミノ酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、糖鎖が結合したシステイン残基またはアスパラギン残基由来の基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体がより好ましい。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、以下に示すものが挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、3番目、12番目、32番目、76番目および91番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、1番目、3番目、5番目、12番目および91番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、3番目、12番目、51番目、91番目および100番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、3番目、12番目、76番目、91番目および100番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目、91番目、100番目、102番目および104番目のアミノ酸残基が、それぞれ糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
上記IL-2改変体において、結合している糖鎖はいずれの糖鎖でもよいが、例えば(式8)で示される構造を持つ糖鎖が挙げられる。
また、本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、以下に示すものも挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、3番目、12番目、32番目、76番目および91番目のアミノ酸残基が、(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、1番目、3番目、5番目、12番目および91番目のアミノ酸残基が、(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、3番目、12番目、51番目、91番目および100番目のアミノ酸残基が、(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、3番目、12番目、76番目、91番目および100番目のアミノ酸残基が、(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目、91番目、100番目、102番目および104番目のアミノ酸残基が、(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)であるIL-2改変体。
本実施形態においては、野生型IL-2のアミノ酸配列は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、または配列番号1で表されるアミノ酸配列の125番目のアミノ酸残基をセリン残基またはアラニン残基に置換したアミノ酸配列がより好ましい。
[糖鎖結合IL-2改変体の製造方法]
糖鎖結合IL-2改変体の製造方法としては、糖鎖結合ペプチドを化学合成した後にフォールディングさせる手法(化学合成法)、または野生型IL-2のアミノ酸配列における糖鎖導入位置のアミノ酸残基を糖鎖が結合し得るアミノ酸残基へと置換したIL-2改変体を大腸菌などの宿主細胞により発現させた後に、糖鎖が結合し得るアミノ酸残基へ糖鎖を結合させる方法(発現法)が挙げられる。
本明細書において「ペプチド」とは、複数のアミノ酸残基がペプチド結合を介して鎖状につながったものをいう。特に記載のない場合は、各アミノ酸残基の側鎖には保護基を含んでいてもよく、N末端のアミノ基、C末端のカルボキシル基が修飾されていてもよい。
糖鎖結合IL-2改変体は、化学合成法および発現法の組み合わせによって製造されてもよい。以下、各方法について説明する。
(化学合成法による糖鎖結合IL-2改変体の製造)
化学合成法においては、少なくとも一つ以上の糖鎖結合ペプチドフラグメントとペプチドフラグメントとを順次連結させた後にフォールディングさせることにより糖鎖結合IL-2改変体を製造することが好ましい。
連結させるペプチドフラグメントと糖鎖結合ペプチドフラグメントの総数として、好ましくは2~15個のフラグメント、より好ましくは2~5個のフラグメントを用いることが好ましい。糖鎖結合ペプチドフラグメントおよびペプチドフラグメントはチオエステル化し、糖鎖結合ペプチドチオエステルおよびペプチドチオエステルとして連結させてもよい。
ペプチドフラグメント、ペプチドチオエステルを合成する方法としては、例えば、ペプチド合成で常用される方法[例えば、第5版 実験化学講座16 有機化合物の合成IV:カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(日本化学会編、丸善株式会社、2005年)、Chemical Ligation: Tools for Biomolecule Synthesis and Modification(Luca D. DiAndreaら著、Wiley、2017年)等に記載の方法]が挙げられる。
この際、ペプチドの溶解性を向上させるなどのために、2アミノ酸の代わりにシュードプロリン(J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 9218-9227)またはイソペプチド(Angew. Chem. Int. Ed., 2015, 54, 8226-8230)を使用することも出来る。
また、ペプチドフラグメント、ペプチドチオエステルを合成する方法としては、例えば、ペプチド固相合成法の代わりに高橋らによって開発されたAjiphase技術(Tetrahedron Lett., 2012, 53, 1936.)、および岡田らによって開発されたMolecular Hiving技術(J. Org. Chem., 2013, 78, 320-327)などの液相合成法が挙げられる。
また、ペプチドフラグメントを合成する方法としては、例えば、従来公知の方法に従い、例えば、ポリメラーゼ連鎖増幅反応(PCR)、プラスミドDNAの調製、制限酵素によるDNAの切断、オリゴヌクレオチドの調製、DNAのライゲーション、mRNAの単離、適切な宿主細胞へのDNAの導入による形質転換体の取得、形質転換体の培養を含む組換えDNA法により製造する方法、または無細胞タンパク質発現法(Current Opinion in Biotechnology 2002, 13:297-303)などに記載の方法が挙げられる。ペプチドチオエステルを合成する方法としては、例えば、(Proc Natl Acad Sci USA 1998, 95:6705-6710)などに記載の方法が挙げられる。
ペプチドフラグメント、ペプチドチオエステルなどに糖鎖を結合させる方法としては、例えば、ペプチドフラグメントのシステイン残基の側鎖チオールに糖鎖を結合させる場合、特許第4607017号公報などに記載の方法が挙げられる。また、例えば、ペプチドフラグメントのアスパラギン残基の側鎖アミドに糖鎖を結合させる場合、特許第4119428号公報などに記載の方法が挙げられる。また、糖鎖の製造方法としては、例えば、国際公開第03/008431号に記載の方法などが挙げられる。
ペプチドフラグメントおよび/または糖鎖結合ペプチドフラグメントを連結する方法としては、ペプチド合成で常用される方法[例えば、第5版 実験化学講座16 有機化合物の合成IV:カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(日本化学会編、丸善株式会社、2005年)、Chemical Ligation: Tools for Biomolecule Synthesis and Modification(Luca D. DiAndreaら著、Wiley、2017年)、Chemoselective and Bioorthogonal Ligation Reactions Volume 1、 2(W.Russ Algarら著、Wiley、2017年)等に記載の方法]が挙げられ、C末端をチオエステルとしたペプチドフラグメントと、N末端がシステイン残基である別のペプチドフラグメントとのネイティブケミカルライゲーション(NCL)法が好ましい。
ペプチドフラグメントおよび/または糖鎖結合ペプチドフラグメントの連結は任意の箇所で行うことができるが、NCL法を用いる場合には、C末端側ペプチドフラグメントのN末端アミノ酸残基としてはシステイン残基およびアラニン残基が好ましく、より好ましくはシステイン残基である。
ペプチドフラグメントおよび/または糖鎖結合ペプチドフラグメントを連結する方法としては、具体的には例えば、C末端側フラグメントのN末端アミノ酸残基としてアラニン残基を用いる場合には、定法[Chemical Ligation: Tools for Biomolecule Synthesis and Modification(Luca D. DiAndreaら著、Wiley、2017年)等に記載の方法]に従い、アラニン残基をシステインへ残基と置換したC末端側ペプチドフラグメントとN末端側ペプチドチオエステルフラグメントとをNCL法により連結した後に脱硫反応によりシステイン残基をアラニンへ残基と変換する方法が挙げられる。
糖鎖結合ペプチドをフォールディングする方法としては、例えば、ペプチドのフォールディングで常用される方法[例えば、第5版 実験化学講座16 有機化合物の合成IV:カルボン酸・アミノ酸・ペプチド(日本化学会編、丸善株式会社、2005年)、Chemical Ligation: Tools for Biomolecule Synthesis and Modification(Luca D. DiAndreaら著、Wiley、2017年)等に記載の方法]が挙げられる。
(発現法による糖鎖結合IL-2改変体の製造)
発現法においては、糖鎖結合IL-2改変体は、従来公知の方法に従い、例えば、ポリメラーゼ連鎖増幅反応(PCR)、プラスミドDNAの調製、制限酵素によるDNAの切断、オリゴヌクレオチドの調製、DNAのライゲーション、mRNAの単離、適切な宿主細胞へのDNAの導入による形質転換体の取得、形質転換体の培養を含む組換えDNA法、および化学修飾による糖鎖導入により製造できる。
糖鎖結合IL-2改変体は、例えば、野生型IL-2のアミノ酸配列において、糖鎖が結合し得るアミノ酸残基を含むように変異が導入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む発現カセットを適切な発現ベクターに組み込み、宿主細胞に該発現ベクターを導入して、得られたタンパク質に化学修飾で糖鎖を結合させることにより、糖鎖結合IL-2改変体を得ることができる。
上記発現ベクターの作製に用いる野生型IL-2をコードする塩基配列としては、NCBIアクセションNo.NM_000586で表される塩基配列からシグナル配列をコードする塩基配列を除いた塩基配列、配列番号1に記載されるアミノ酸配列をコードする塩基配列などが挙げられる。
IL-2をコードする塩基配列は、人工遺伝子合成や、日本DNAデータバンク(DDBJ)など遺伝子バンクに登録された配列から適当なプライマーを設計し、当該動物の細胞または組織等から抽出したmRNAよりRT-PCRを行うことにより取得できる。
また、糖鎖結合IL-2改変体は、上記発現ベクターを目的の糖鎖を生合成できる宿主細胞に導入することにより、得ることもできる。
前記発現ベクターは、具体的には例えば、前記変異が導入されたIL-2をコードする塩基配列を所望の位置(例えば、5’末端)に組み込んだ発現に適したベクター中のプロモーターの下流に連結することにより、発現ベクターを得ることができる。当該発現ベクターは、宿主に合わせて分泌シグナルを有していてもよい。
糖鎖が結合し得るアミノ酸残基を含むように野生型IL-2のアミノ酸配列に部位特異的に変異を導入する方法としては、公知の方法を用いることができる(米国特許出願公開2004/0171154号明細書;Storici et al, 2001, Nature Biotechnology, 19, p.773-776:Kren et al, 1998, Nat. Med., vol.4, p.285-290;Calissano and Macino, 1996, Fungal Genet. News lett., Vol. 43, p.15-16)。また、部位特異的な変異の導入には、市販のキットを用いてもよい。
具体的には、例えば、糖鎖が結合し得るアミノ酸残基としてシステイン残基を用いる場合、野生型IL-2のアミノ酸残基をシステイン残基に置換したIL-2改変体は、米国特許第5206344号明細書、国際公開第2016/025385号等に記載の方法に従い調製することが出来、該IL-2改変体への糖鎖の結合は、特許第4607017号公報に記載の方法に従い行うことができる。
IL-2をコードする塩基配列を含む領域は、5’末端に翻訳開始コドンを有し、また、3’末端には翻訳終始コドンを有していてもよい。また、IL-2をコードする塩基配列を発現させるには、その上流にプロモーターを接続することが好ましい。
プロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応したプロモーターであれば特に制限されない。形質転換する宿主が枯草菌である場合は、例えば、SP01、SP02およびPenPプロモーターが挙げられる。宿主が酵母である場合は、例えば、PH05、PGK、GAPおよびADHプロモーターが挙げられる。宿主が大腸菌の場合は、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター等が挙げられる。宿主が動物細胞である場合は、例えば、SV40由来のプロモーターおよびレトロウイルスのプロモーターが挙げられる。
IL-2タンパク質はE.coli内でシグナル配列を伴わずに発現させることもでき、該タンパク質は、封入体から回収し、活性形態へとリフォールディングさせることができる。このような発現系は米国特許第7105653号明細書に記載されている。
シグナル配列を使用して、IL-2タンパク質の発現を容易にすることもできる。哺乳動物細胞のシグナル配列としては、例えば、天然ヒトIL-2シグナル配列、TCRコード配列と相同なシグナル配列、マウスIL-2コード配列と相同なシグナル配列が挙げられる。また、他の適切なシグナル配列/宿主細胞対としては、例えば、B.subtilis内で分泌させるためのB.subtilis sacBシグナル配列、およびP.pastorisによる分泌のためのSaccharomyces cerevisiae α接合因子シグナル配列、またはP.pastoris酸ホスファターゼphoIシグナル配列を含む。シグナル配列は、シグナルペプチダーゼ切断部位をコードする配列を介して、タンパク質コード配列へと直接接続することもでき、短いヌクレオチド架橋を介して接続することもできる。
真核生物タンパク質発現系の転写および翻訳を増強するためのエレメントを用いてもよく、例えば、異種プロモーターの両側1000bpの位置に、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)プロモーターを置くことにより、植物細胞内の転写レベルを、10~400倍高めることができる。
宿主細胞としては、特に限定されず、原核細胞および真核細胞が挙げられる。好ましい宿主細胞としては、例えば、E.coli、Bacillus subtillusなどの原核細胞、並びにHEK、J558、NSO、SP2-O、CHO、COS、KB、NIH3T3、BALB/c3T3、臍帯静脈内皮細胞等の動物細胞およびS.cerevisiae、Pichia pasto ris等の酵母株およびSf9またはTn等などの昆虫細胞が挙げられる。
宿主細胞は、目的の糖鎖の生合成ができるように改変されたものであってもよい。
宿主の形質転換は、それぞれの宿主について一般的に行われている方法または適応可能な方法であればよい。例えば、宿主が大腸菌や酵母であれば、リチウム法などで作製したコンピテント細胞に組み換えDNAを含む発現ベクターを温度ショック法またはエレクトロポレーション法により導入する。宿主が動物細胞であれば、増殖期等の細胞に組み換えDNAを含む発現ベクターをリン酸カルシウム法、リポフェクション法またはエレクトロポレーション法により導入する。
このようにして得られた形質転換体は、それぞれの宿主に一般的に用いられている培地、あるいは適用可能な培養液を用いて培養してタンパク質を発現させ、必要に応じてさらに化学修飾で糖鎖を結合させることにより、糖鎖結合型IL-2タンパク質を製造することができる。培養液としては、例えば、宿主が大腸菌である場合はLB培地などの培養液、宿主が酵母である場合はYPD培地などの培養液、宿主が動物細胞である場合はDulbecco’s MEMにウシ胎児血清を加えた培養液が挙げられる。
培養は、それぞれの宿主について一般的に用いられている条件あるいは適用可能な条件であればよい。例えば、宿主が酵母であれば、約25~37℃にて約12時間~2週間培養を行い、必要により、通気や撹拌を加えることができる。宿主が動物細胞の場合は、37℃にて、5%炭酸ガス、100%湿度の条件で約24時間~2週間培養を行い、必要により、気相の条件を変化または撹拌してもよい。
[PEG結合IL-2改変体]
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、IL-2のアミノ酸配列における、4、5、6、7、8、60、78、79、99、100、101および129番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基にPEGが結合している改変体が好ましく、78および129番目の少なくとも一方のアミノ酸残基にPEGが結合しているIL-2改変体がより好ましい。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、野生型IL-2のアミノ酸配列における、4、5、6、7、8、60、78、79、99、100、101および129番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体が好ましく、78および129番目の少なくとも一方のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体がより好ましい。
本実施形態において、野生型IL-2のアミノ酸配列は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損しメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、または配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくは配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損したアミノ酸配列、および配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損しメチオニン残基が結合したアミノ酸配列において、125番目のアミノ酸残基をセリン残基またはアラニン残基に置換したアミノ酸配列がより好ましい。
「PEG」とは、「-(CH2CH2O)n-」(nは2以上)で表されるエチレングリコールが重合した構造を含む水溶性ポリマーである、ポリ(エチレングリコール)分子である。PEGとしては、PEG4、平均分子量10kDa以上のものが好ましく、例えば、平均分子量10kDa、20kDa、30kDa、40kDa、50kDa、60kDa、70kDa、80kDa、90kDa,100kDa,200kDa等が挙げられるが、特に限定されない。またPEGの形状としては、直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよいが、これらに限定されない。IL-2のアミノ酸配列における前記アミノ酸残基にPEGを化学的に結合させることにより、IL-2Rαβγに対する選択性を向上させることができる。IL-2Rαβγに対する選択性を向上させたIL-2改変体により、Tregを選択的に活性化させることができる。
PEGが結合したアミノ酸残基としては、例えばPEGが結合したシステイン残基および非天然アミノ酸残基が挙げられる。
PEGが結合した非天然アミノ酸残基としては、例えば、PEGが結合したチオール基を有するアミノ酸残基由来の基並びにPEGが結合したアジド基を有するアミノ酸残基由来の基が挙げられる。チオール基を有するアミノ酸残基としては、具体的には例えば、アセチルシステイン、ホモシステインなどが挙げられるが、これらに限定されない。アジド基を有するアミノ酸残基としては、具体的には例えば、o-Az-Z-Lys残基、m-Az-Z-Lys残基、N6-ジアゾリジン、p-アジドフェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。非天然アミノ酸残基としては、他に、国際公開第2017/030156号、[Nature. 2017 Nov 29;551(7682):644-647.]、国際公開第2013/068874号、米国出願公開第2014/0046030号明細書、[Bioconj. Chem., 2014, 25 (2), pp 351-361]、国際公開第2014/044872号、[Bioconj. Chem. 2015 Nov 18;26(11):2249-60]、国際公開第2014/124258号、[Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jun 28;108(26):10437-42]等に記載される非天然アミノ酸残基でもよい。PEGと上記非天然アミノ酸残基とは、リンカーを介して結合していてもよい。当該リンカーはPEGや非天然アミノ酸残基の種類に応じて適宜変更することができる。
前記o-Az-Z-Lys残基は、下記(式10)で表される構造を有するアミノ酸残基である。
前記m-Az-Z-Lys残基は、下記(式XX1)で表される構造を有するアミノ酸残基である。
PEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基またはPEGが結合したm-Az-Z-Lys残基由来の基とは、o-Az-Z-Lys残基またはm-Az-Z-Lysのアジド基にアセチレンを反応させてできたリンカーを介して、PEGが結合した構造が挙げられる。アセチレンとしては、例えば、Dibenzylcyclooctyne(DBCO)、Bicyclo[6.1.0]nonyne(BCN)等が挙げられる。また、アセチレンの代わりに、[J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, pp 8820]、[Org. Lett. 2000, 2, pp2141]、[Org. Lett. 2000, 2, pp1939.]等に記載の方法に従い、アミド結合を介して、PEGが結合した構造等が挙げられるが、これらに限定されない。
PEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基またはm-Az-Z-Lys残基由来の基は、具体的には例えば、下記(式11)および/または(式12)、または下記(式Y4)および/または(式Y5)で表される構造が挙げられる。
式中PEGとしては、PEGの平均分子量や構造により多様なPEGを用いることができる。具体的には例えば、下記(式13)、平均分子量20kDaである場合の下記式(14)、平均分子量30kDaである場合の下記式(14)、平均分子量40kDaである場合の下記(式X0)、平均分子量50kDaである場合の下記(式15)、平均分子量40kDaである場合の下記(式16)、平均分子量80kDaである場合の下記(式16)、平均分子量40kDaである場合の下記(式X1)、平均分子量80kDaである場合の下記(式X2)または平均分子量40kDaである場合の下記(式X3)で表される構造が挙げられるが、これらに限定されない。また、式中PEGが下記(式X3)で表される場合、O(CH2CH2O)nCH3の4分岐鎖に限らず、2分岐鎖または3分岐鎖のものも同様に用いることができる。
PEGが結合したシステイン残基由来の基とは、具体的には例えば、システイン残基のチオール基にマレイミドを反応させてできたリンカーを介してPEGが結合した下記(式Y6)および/または(式Y7)および/または(式Y8)で表される構造、システイン残基のチオール基にハロアセチル基を反応させてできたリンカーを介してPEGが結合した下記(式Y9)で表される構造などが挙げられるが、これらに限定されない。
式中PEGとは、具体的には例えば、平均分子量40kDaである場合の(式X7)または平均分子量80kDaである場合の(式X7)または平均分子量80kDaである場合の(式X8)で表される構造が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、以下に記載するIL-2改変体が好ましい。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、例えばIL-2に1つのPEGが結合した、以下に記載するIL-2改変体が挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、5番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、6番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、7番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、60番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、79番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、99番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、100番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、101番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、129番目のアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
上記のIL-2改変体において、結合するPEGの大きさとしては、平均分子量20kDa以上のPEGが好ましく、例えば平均分子量20、30、40、50、60、70、または80kDaのPEGが挙げられる。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、例えばIL-2に1つのPEGが結合した、以下に記載するIL-2改変体も挙げられる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目のアミノ酸残基が、平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、5番目のアミノ酸残基が、平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、6番目のアミノ酸残基が、平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、7番目のアミノ酸残基が、平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目のアミノ酸残基が、平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、60番目のアミノ酸残基が、平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目のアミノ酸残基に平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)、平均分子量40kDaである場合の(式X0)、平均分子量50kDaである場合の(式15)、平均分子量40kDaまたは80kDaである場合の(式16)、平均分子量40kDaである場合の(式X1)、平均分子量80kDaである場合の(式X2)または平均分子量40kDaである場合の(式X3)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、79番目のアミノ酸残基が、平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、99番目のアミノ酸残基が、平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、100番目のアミノ酸残基が、平均分子量20kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、101番目のアミノ酸残基が、平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、129番目のアミノ酸残基に(式13)、あるいは平均分子量20kDaまたは平均分子量30kDaである場合の(式14)、平均分子量40kDaである場合の(式X0)、平均分子量40kDaまたは80kDaである場合の(式16)、平均分子量40kDaである場合の(式X1)、平均分子量80kDaである場合の(式X2)、平均分子量50kDaである場合の(式15)または平均分子量40kDaである場合の(式X3)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、129番目のアミノ酸残基が、40kDaである場合の(式16)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、129番目のアミノ酸残基が、平均分子量40kDaまたは80kDaである場合の(式X7)および/または(式X8)で表されるPEGが結合したしステイン残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、IL-2に少なくとも2つのPEGが結合した以下に記載するIL-2改変体が好ましい。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、5番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目および79番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目および99番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、5番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、79番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、99番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれPEGが結合したアミノ酸残基に置換されたIL-2改変体。
上記のIL-2改変体において、結合するPEGの大きさとしては、平均分子量20kDa以上のPEGが好ましく、例えば平均分子量20、30、40、50、60、70、もしくは80kDaのPEGが挙げられる。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、IL-2に少なくとも2つのPEGが結合した、以下に記載するIL-2改変体も好ましい。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量40kDaである場合の(式X0)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量50kDaである場合の(式15)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、5番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、5番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量40kDaである場合の(式X0)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目および78番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)、平均分子量40kDaである場合の(式X0)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目および79番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目および99番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、78番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、4番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)、平均分子量40kDaである場合の(式X0)または平均分子量50kDaである場合の(式15)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、5番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)、平均分子量40kDaである場合の(式X0)または平均分子量50kDaである場合の(式15)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、8番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)、平均分子量40kDaである場合の(式X0)または平均分子量50kDaである場合の(式15)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、79番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、99番目および129番目のアミノ酸残基が、それぞれ平均分子量30kDaである場合の(式14)で表されるPEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基に置換されたIL-2改変体。
本実施形態において、野生型IL-2のアミノ酸配列は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損しかつメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、または配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくは配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損しかつメチオニン残基が結合したアミノ酸配列において、125番目のアミノ酸残基をセリン残基またはアラニン残基に置換したアミノ酸配列が好ましい。
[PEG結合IL-2改変体の製造法]
PEG結合IL-2改変体の製造方法としては、化学合成法と発現法が挙げられる。PEG結合IL-2改変体は、化学合成法および発現法の組み合わせによって製造されてもよい。以下、各方法について説明する。
(化学合成法によるPEG結合IL-2改変体の製造)
化学合成法によるPEG結合IL-2改変体の製造方法としては、例えば、野生型IL-2のアミノ酸配列におけるPEG導入位置のアミノ酸残基をタンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基へと置換したペプチドを化学合成した後に、フォールディングさせて得られるIL-2改変体に対し、PEGを結合させてPEG結合IL-2改変体を製造する手法、およびPEG結合ペプチドフラグメントを化学合成した後にフォールディングさせることによりPEG結合IL-2改変体を製造する方法が挙げられる。
PEG結合ペプチドフラグメントは、ペプチドフラグメントにおけるタンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基へPEGを導入する方法により製造することができる。
PEG結合ペプチドフラグメントを化学合成した後にフォールディングさせる方法としては、少なくとも一つ以上のPEG結合ペプチドフラグメントとペプチドフラグメントを順次連結させた後にフォールディングする方法、または化学合成したIL-2全長ペプチドフラグメントに対してPEGを導入した後にフォールディングさせる方法等が挙げられる。
ペプチドフラグメントを合成する方法、およびペプチドフラグメントを順次連結させた後にフォールディングさせる方法としては、例えば、(化学合成法による糖鎖結合IL-2改変体の製造)の項において上記した方法と同様の方法が挙げられる。
野生型IL-2のアミノ酸配列におけるPEG導入位置のアミノ酸残基をタンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基へと置換したペプチドを合成したのち、フォールディングにより得られるIL-2改変体に対し、PEGを導入する方法としては、例えば、米国特許第5206344号明細書、国際公開第2012/065086号に記載の方法が挙げられる。また、ペプチドフラグメントにおけるタンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基へPEGを導入する方法としては[Biomaterials 22 (2001) 405-417]、[Int. J. Mol. Sci. 2015, 16, 25831-25864]、[J. Pharm. Sci., 105 (2016) 460-475]に記載の方法が挙げられる。
タンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基としては、例えば、チオール基を有するアミノ酸残基並びにアジド基を有するアミノ酸残基が挙げられる。チオール基を有するアミノ酸残基としては、例えば、システイン、アセチルシステイン、ホモシステインなどが挙げられるが、これらに限定されない。
アジド基を有するアミノ酸残基としては、例えば、o-Az-Z-Lys残基、m-Az-Z-Lys残基、N6-アジドリジン、p-アジドフェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。他には、国際公開第2017/030156号、[Nature. 2017 Nov 29;551(7682):644-647.]、国際公開第2013/068874号、米国特許出願公開第2014/0046030号明細書、[Bioconj. Chem., 2014, 25 (2), pp351-361]、国際公開第2014/044872号、[Bioconj. Chem. 2015 Nov 18;26(11):2249-60]、国際公開第2014/124258号、[Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jun 28;108(26):10437-42]に記載される非天然アミノ酸残基でもよい。PEGと上記非天然アミノ酸残基とは、リンカーを介して結合していてもよい。
上記リンカーとは、炭素数1~20の炭化水素基であり、炭素が酸素、窒素、硫黄などで修飾されていてもよく、また炭素が酸素、窒素、硫黄に置換されていてもよい。当該リンカーはPEGや非天然アミノ酸残基の種類に応じて適宜変更することができる。
化学合成法としては、具体的には例えば、野生型IL-2のアミノ酸配列におけるPEG導入位置のアミノ酸残基を、システインなどチオール基を有するアミノ酸残基および/またはo-Az-Z-Lys残基などアジド基を有するアミノ酸残基へと置換したペプチドを化学合成したのち、フォールディングにより得られるIL-2改変体に対し、PEGを導入してPEG結合IL-2改変体を製造する方法が挙げられる。システイン残基を導入したIL-2改変体にPEGを結合させる方法としては、米国特許第5206344号明細書に記載の方法などが挙げられる。
また、具体的には例えば、野生型IL-2のアミノ酸配列におけるPEG導入位置のアミノ酸残基を、システインまたは非天然アミノ酸残基へと置換したペプチドを化学合成したのち、フォールディングにより得られるIL-2改変体に対し、PEGを導入してPEG結合IL-2改変体を製造する方法が挙げられる。
PEG結合IL-2改変体の合成には、下記(式XX2)で表すPEG試薬を用いることができる。
式中、Xは、チオール基と反応性を有する官能基、アジド基と反応性を有する官能基、N末端アミノ基と選択的に反応する官能基を示す。
チオールと反応性を有する官能基としては、具体的には例えば、チオール基、マレイミド基、アクリル基、ヨードアセチル基、ブロモアセチル基、クロロアセチル基などが挙げられ、好ましくはヨードアセチル基、マレイミド基が良い。
アジドと反応性を有する官能基としては、具体的には例えば、アセチレン基、DBCO基、DBN基、中員環構造上にヘテロ原子を含むシクロアルキン(Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54,1190-1194)、チオエステル基などが挙げられ、好ましくはDBCOが挙げられる。
N末端アミノ基と選択的に反応する官能基としては、具体的には例えばアルデヒドなどが挙げられる。
式中、Linkerとしては、炭素数1~20の炭化水素基であり、炭素が酸素、窒素、硫黄などで修飾されていてもよく、炭素が酸素、窒素、硫黄に置換されていてもよい。
式中、nは0または1を表す。
式中、PEGとは、「-(CH2CH2O)m-」(mは2以上)で表されるエチレングリコールが重合した構造を含む水溶性ポリマーである、ポリ(エチレングリコール)分子である。PEGの分子量は、例えば、PEG4、平均分子量20kDa、30kDa、40kDa、50kDa、60kDa、70kDa、80kDa、90kDa、100kDa、または200kDa等が挙げられるが、特に限定されない。またPEGの形状としては、直鎖状でもよいし、分岐鎖状でもよいが、これらに限定されない。
用いるPEG試薬によって、立体異性体、光学異性体、幾何異性体などが形成される場合があるが、これらの異性体は公知の方法で分離して用いてもよく、混合物として用いてもよい。得られるIL-2改変体は巨大分子であるためこれら部分構造の異性体の構造的相違はほぼ影響しないものと考えられる。
上記PEG試薬は、市販のPEG試薬以外にも、市販のPEG試薬から調製したPEG試薬を使用することもできる。例えば、末端にカルボキシル基やN-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのカルボン酸等価体を有するPEG試薬に対し、チオール基またはアジド基と反応性を有するアミンを縮合させることで、PEG試薬を調製することができる。また、末端にアミノ基を有するPEG試薬に対し、チオール基またはアジド基と反応性を有するカルボキシル基やN-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのカルボン酸等価体を縮合することなどによっても合成することができるが、これらに限定されない。
(発現法によるPEG結合IL-2改変体の製造)
発現法によるPEG結合IL-2改変体の製造方法としては、例えば、野生型IL-2のアミノ酸配列におけるPEG導入位置のアミノ酸残基をタンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基に置換したIL-2改変体を大腸菌などの宿主細胞により発現させた後に、該IL-2改変体における該アミノ酸残基へ化学修飾によってPEGを結合させることによりPEG結合IL-2改変体を製造する方法が挙げられる。
具体的には、例えば、(発現法による糖鎖結合IL-2改変体の製造)の項において上記した方法と同様にして、野生型IL-2のアミノ酸配列におけるPEG導入位置に、タンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基への置換が導入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む発現カセットを適切な発現ベクターに組み込み、該発現ベクターを大腸菌などの宿主細胞に導入して形質転換体を得て、該形質転換体にIL-2改変体を発現させて、該IL-2改変体のシステイン残基または非天然アミノ酸残基に化学修飾によってPEGを結合させることにより、PEG結合IL-2改変体を得る方法が挙げられる。
大腸菌を宿主細胞とする場合、発現効率または作製したタンパク質の精製等のために、野生型IL-2のN末端にリンカーを導入して発現カセットを構成してもよい。該リンカーとしては、例えば、メチオニン残基、8個のポリヒスチジン、およびメチオニン残基を含む8個のポリヒスチジン等が挙げられる。
IL-2のアミノ酸残基をシステイン残基に置換したIL-2改変体の調製方法としては、例えば、米国特許第5206344号明細書、国際公開第2016/025385号等に記載の方法が挙げられる。
IL-2のアミノ酸残基をタンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有する非天然アミノ酸残基に置換したIL-2改変体の調製方法としては、国際公開第2017/030156号、[Nature. 2017 Nov 29;551(7682):644-647.]、国際公開第2013/068874号、米国特許出願公開2014/0046030号明細書、[Bioconj. Chem., 2014, 25 (2), pp 351-361]、国際公開第2014/044872号、[Bioconj. Chem. 2015 Nov 18;26(11):2249-60]、国際公開第2014/124258号、[Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jun 28;108(26):10437-42]、に記載される方法が挙げられる。
また、IL-2のアミノ酸残基をo-Az-Z-Lys残基またはm-Az-Z-Lys残基o-Az-Z-Lys残基に置換したIL-2改変体の製造方法、および当該IL-2改変体にPEGを結合させる方法としては、例えば、国際公開第2017/030156号に記載の方法が挙げられる。
IL-2のアミノ酸配列におけるPEG導入位置のアミノ酸残基をタンパク質の部位特異的なPEG化を可能とする化学的反応性を有するアミノ酸残基に置換したIL-2改変体対しPEGを導入する方法としては、日本国特許第5206344号公報、国際公開第2012/065086号、国際公開第2017/030156号、[Nature. 2017 Nov 29;551(7682):644-647.]、国際公開第2013/068874号、米国出願公開第2014/0046030号明細書、[Bioconj. Chem., 2014, 25 (2), pp 351-361]、国際公開第2014/044872号、[Bioconj. Chem. 2015 Nov 18;26(11):2249-60]、国際公開第2014/124258号、[Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jun 28;108(26):10437-42]に記載の方法などに従いPEGを導入することができる。
[糖鎖結合IL-2改変体またはPEG結合IL-2改変体に、さらにPEGまたは糖鎖を結合させたIL-2改変体、およびその製造方法]
上述した糖鎖結合IL-2改変体は、さらにPEGが結合していてもよい。また、上述したPEG結合IL-2改変体も、さらに糖鎖が結合していてもよい。これらIL-2改変体は、上述の[糖鎖結合IL-2改変体の製造方法]、および[PEG結合IL-2改変体の製造方法]を組み合わせて製造することができる。また、国際公開第2012/065086号などに従い、N末端のアミノ基に選択的にPEGを導入することもできる。
PEG結合IL-2改変体に対してさらに糖鎖を導入する場合、野生型IL-2のアミノ酸配列における、11、12、13、15、16、18、19、20、84、87、88、91、92、108、115、119、122、123および130番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1のアミノ酸残基に糖鎖が結合しているアミノ酸配列を含むIL-2改変体が好ましく、12、115および119番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基に糖鎖が結合しているIL-2改変体がより好ましい。
糖鎖結合IL-2改変体に対してさらにPEGを導入する場合、野生型IL-2のアミノ酸配列における、1、3、4、5、6、7、8、51、60、78、79、99、100、101および129番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体が好ましく、1、3、51および78番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が、PEGが結合したアミノ酸残基に置換されているアミノ酸配列を含むIL-2改変体がより好ましい。
PEGが結合したアミノ酸残基としては、例えばPEGが結合したシステイン残基由来の基、N末端アミノ酸残基由来の基および非天然アミノ酸残基が挙げられる。
システイン残基由来の基またはN末端アミノ酸残基由来の基とは、システイン残基の側鎖チオール基またはN末端アミノ酸残基の主鎖アミノ基に化学修飾などによりPEGが結合した基をいう。PEGと、システイン残基由来の基またはN末端アミノ酸残基由来の基とは、リンカーを介して結合していてもよい。当該リンカーはPEGや非天然アミノ酸残基の種類に応じて適宜変更することができる。
PEGが結合した非天然アミノ酸残基としては、例えばチオール基を有するアミノ酸残基由来の基またはアジド基を有するアミノ酸残基由来の基に化学修飾などによりPEGが結合した基などが挙げられる。チオール基を有するアミノ酸残基由来の基としては、例えば、PEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基、PEGが結合したホモシステイン残基由来の基などが挙げられるが、これらに限定されない。
PEGが結合したアジド基を有するアミノ酸残基由来の基としては、例えば、PEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基、PEGが結合したm-Az-Z-Lys残基由来の基、PEGが結合したN6-ジアゾリジン残基由来の基、PEGが結合したp-アジドフェニルアラニン残基由来の基などが挙げられるが、これらに限定されない。
非天然アミノ酸残基としては、他に、国際公開第2017/030156号、[Nature. 2017 Nov 29;551(7682):644-647.]、国際公開第2013/068874号、米国出願公開第2014/0046030号明細書、[Bioconj. Chem., 2014, 25 (2), pp 351-361]、国際公開第2014/044872号、[Bioconj. Chem. 2015 Nov 18;26(11):2249-60]、国際公開第2014/124258号、[Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jun 28;108(26):10437-42]等に記載される非天然アミノ酸残基でもよい。PEGと上記非天然アミノ酸残基とは、リンカーを介して結合していてもよい。当該リンカーはPEGや非天然アミノ酸残基の種類に応じて適宜変更することができる。
野生型IL-2のアミノ酸配列における1番目のアミノ酸残基を、PEGが結合したアミノ酸残基に置換する場合、PEGが結合したN末端アミノ酸残基由来の基、PEGが結合したシステイン残基由来の基、PEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基、PEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基、PEGが結合したm-Az-Z-Lys残基由来の基が好ましく、PEGが結合したN末端アミノ酸残基由来の基、PEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基がより好ましい。
野生型IL-2のアミノ酸配列における3、4、5、6、7、8、51、60、78、79、99、100、101および129番目のアミノ酸残基からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基をPEGが結合したアミノ酸残基に置換する場合、PEGが結合したシステイン残基由来の基、PEGが結合したo-Az-Z-Lys残基由来の基、PEGが結合したm-Az-Z-Lys残基由来の基が好ましく、PEGが結合したシステイン残基由来の基がより好ましい。
PEGが結合したN末端アミノ酸残基由来の基とは、具体的には例えば、アラニン残基の主鎖アミノ基に対してアルデヒドを反応させてできたリンカーを介してPEGが結合された下記(式Z0)で表される構造などが挙げられる。
式中PEGとは、具体的には例えば、平均分子量20kDaである場合の下記(式X00)で表される構造が挙げられるがこれらに限定されない。
PEGが結合したシステイン残基由来の基とは、具体的には例えば、システイン残基の側鎖チオール基に対してハロアセチル基を反応させてできたリンカーを介してPEGが結合された下記(式X4)で表される構造、マレイミドを反応させてできたリンカーを介してPEGが結合された下記(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)などが挙げられる。
式中PEGとして具体的には、平均分子量20kDaである場合の下記(式X11)、平均分子量が40kDaである場合の下記(式X11)、平均分子量が40kDaである場合の下記(式X13)、平均分子量が80kDaである場合の下記(式X13)、平均分子量が40kDaである場合の下記(式X14)、平均分子量が80kDaである場合の下記(式X14)、平均分子量が50kDaである場合の下記(式X15)で表される構造が挙げられるがこれらに限定されない。
PEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基とは、具体的には例えば、アセチルシステイン残基の側鎖チオール基に対してハロアセチル基を反応させてできたリンカーを介してPEGが結合された下記(式XX3)で表される構造、マレイミドを反応させてできたリンカーを介してPEGが結合された下記(式X8)および/または(式X9)および/または(式X10)などが挙げられる。
式中PEGとは、具体的には例えば、平均分子量が40kDaである場合の上記(式X11)、平均分子量が40kDaである場合の上記(式X13)、平均分子量が80kDaである場合の上記(式X13)、平均分子量が80kDaである場合の上記(式X14)、平均分子量が50kDaである場合の上記(式X15)で表される構造が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明のIL-2改変体の一実施形態としては、以下に記載するIL-2改変体が好ましい。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、11番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ1番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ1番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ1番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、38番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ1番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ1番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および91番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ1番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目および119番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ1番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および91番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ3番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ3番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および119番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ3番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および91番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ51番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ78番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および119番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ78番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目のアミノ酸残基が糖鎖が結合したアミノ酸残基に置換され、かつ78番目のアミノ酸残基がPEGが結合したアミノ酸残基に置換されているIL-2改変体。
上述本発明のPEG化、糖鎖結合IL-2改変体に結合させる糖鎖、PEGは、上述種々のものを組み合わせて用いることができる。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、11番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式7)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式X0)に示すPEGが結合したN末端アミノ酸残基由来の基に置換されており、かつ(式X0)のPEGの構造が平均分子量20kDaである場合の(式X00)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式7)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式X0)に示すPEGが結合したN末端アミノ酸残基由来の基に置換されており、かつ(式X0)のPEGの構造が平均分子量20kDaである場合の(式X00)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、38番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式7)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式X0)に示すPEGが結合したN末端アミノ酸残基由来の基に置換されており、かつ(式X0)のPEGの構造が平均分子量20kDaである場合の(式X00)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式7)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式X0)に示すPEGが結合したN末端アミノ酸残基由来の基に置換されており、かつ(式X0)のPEGの構造が平均分子量20kDaである場合の(式X00)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基および91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式XX3)で表されるPEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式XX3)のPEGの構造が平均分子量40kDaである場合の(式X13)または平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基および91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式X8)および/または(式X9)および/または(式X10)で表されるPEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X8)および/または(式X9)および/または(式X10)のPEGの構造が平均分子量80kDaである場合の(式X13)、または平均分子量50kDaである場合の(式X15)、または平均分子量80kDaである場合の(式X14)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、19番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式XX3)で表されるPEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式XX3)のPEGの構造が平均分子量50kDaである場合の(式X15)、または平均分子量40kDaである場合の(式X13)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、91番目および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ1番目のアミノ酸残基が(式XX3)で表されるPEGが結合したアセチルシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式XX3)のPEGの構造が平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基および91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量20kDaである場合の(式X11)、または平均分子量40kDaである場合の(式X11)、または平均分子量40kDaである場合の(式X13)、または平均分子量40kDaである場合の(式X14)、または平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基および91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)のPEGの構造が平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)のPEGの構造が平均分子量80kDaである場合の(式X14)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式4)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量40kDaである場合の(式X13)または平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)のPEGの構造が平均分子量80kDaである場合の(式X13)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)のPEGの構造が平均分子量80kDaである場合の(式X13)、または均分子量80kDaである場合の(式X14)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ3番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基および91番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ51番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量40kDaである場合の(式X11)、または平均分子量50kDaである場合の(式X15)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ78番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量40kDaである場合の(式X11)、または平均分子量40kDaである場合の(式X13)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ78番目の(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)のPEGの構造が平均分子量40kDaまたは80kDaである場合の(式X13)、または均分子量80kDaである場合の(式X14)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ78番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量40kDaである場合の(式X13)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、12番目および119番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ78番目の(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X5)および/または(式X6)および/または(式X7)のPEGの構造が平均分子量80kDaである場合の(式X13)、または均分子量80kDaである場合の(式X14)で示される構造である、IL-2改変体。
・野生型IL-2のアミノ酸配列において、15番目のアミノ酸残基が(式1)に示す糖鎖が結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式1)のSaccharideの構造が(式8)で表される構造であり、かつ78番目のアミノ酸残基が(式X4)で表されるPEGが結合したシステイン残基由来の基に置換されており、かつ(式X4)のPEGの構造が平均分子量40kDaである場合の(式X12)で示される構造である、IL-2改変体。
本実施形態において、野生型IL-2のアミノ酸配列は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損しメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、または配列番号1で表されるアミノ酸配列もしくは配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が結合したアミノ酸配列、配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損したアミノ酸配列、および配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端アラニン残基が欠損しメチオニン残基が結合したアミノ酸配列において、125番目のアミノ酸残基をセリン残基またはアラニン残基に置換したアミノ酸配列が好ましい。
本発明のIL-2改変体には、一般的に体内動態を改善することが知られている動態改善素子を結合させることで、血中半減期を制御することがきる。動態改善素子としては、糖鎖、ペプチド、タンパク質、脂質などがあげられ、[Therapeutic Proteins(Roland Kontermann編、Wiley Blackwell、2012年)]に記載の方法を組合せて用いることができる。具体的には、本発明のIL-2改変体のTreg細胞増殖活性の選択性に影響を与えないように、シアリル化、HESylation、O-グリコシル化、PEGミミックとしてのぺプチド、タンパク質の融合、抗体の定常領域又はFc領域の融合、アルブミンなどの血清蛋白質との融合(脂質導入してアルブミンと融合させる方法も含む)、またはリン脂質、ナノ粒子との結合、ナノ粒子への封中などの方法によって血中半減期を制御することができる。
[IL-2改変体が有する生物活性の評価]
IL-2改変体の生物活性は、当該技術分野における公知の任意の適した方法によって評価することができる。評価方法には後述する実施例において記載のものを含む。IL-2改変体の生物活性を評価する方法としては、具体的には例えば、以下の(a)~(e)の方法が挙げられる。これらの方法は、IL-2改変体の治療効果、効能および薬力学的特性の測定にも使用できる。
(a)IL-2改変体により刺激されるTreg細胞の増殖活性を測定する方法
IL-2改変体または野生型IL-2を添加した培地でTreg細胞を培養し、Treg細胞の増殖率を測定する。他に、Treg細胞の増殖活性を測定する方法としては、例えば、フローサイトメトリーにより、混合細胞集団内のTreg細胞数の増大を測定する方法、およびCD4+CD25+FOXP3+マーカー表現型またはCD4+CD25+CD127lowマーカー表現型の存在比率を測定する方法;分離したTreg細胞へのトリチウム化チミジンの取り込みにより測定する方法;Ki-67などの増殖に関連する細胞周期タンパク質のTreg細胞内の発現の増大を測定する方法;Treg細胞内のカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)などの生体蛍光色素の細胞***に関連する希釈をフローサイトメトリーにより測定する方法が挙げられる。
(b)IL-2改変体により刺激されるNK細胞の増殖活性を測定する方法
IL-2改変体または野生型IL-2を添加した培地でNK細胞を培養し、NK細胞の増殖率を測定する。他に、NK細胞の増殖活性を測定する方法としては、例えば、フローサイトメトリーにより、混合細胞集団内のNK細胞数の増大を測定する方法、およびCD56+マーカー表現型の存在比率を測定する方法;分離したNK細胞へのトリチウム化チミジンの取り込みにより測定する方法;Ki-67などの増殖に関連する細胞周期タンパク質のNK細胞内の発現の増大を測定する方法;NK細胞内のCFSEなどの生体蛍光色素の細胞***に関連する希釈をフローサイトメトリーにより測定する方法が挙げられる。
本発明のIL-2改変体は、野生型IL-2と比較して、Treg増殖活性が高い、および/またはNK細胞増殖活性が低いことが好ましい。野生型IL-2の代わりに、野生型IL-2と同等のTreg増殖活性および/またはNK細胞増殖活性を有するIL-2改変体を用いてもよい。
(c)IL-2改変体により刺激されたTregによるレスポンダーT細胞(Tresp)の増殖阻害活性を測定する方法
IL-2改変体または野生型IL-2を添加した培地でTregを培養し、これと適当なTCR刺激存在下でTresp(CD4+Tresp、CD8+Tresp)と共培養したときのTrespの増殖率を測定し、野生型IL-2と比較してIL-2改変体によるTrespの増殖阻害率を評価する。本発明のIL-2改変体は、野生型IL-2と比較して、少なくとも同等のTrespの増殖阻害活性を有するTregを増殖させることが好ましい。野生型IL-2の代わりに、野生型IL-2と同等のTrespの増殖阻害活性を有するTregを増殖させるIL-2改変体を用いてもよい。
(d)Ex vivoアッセイ
TeffやNK細胞の機能的エフェクター分子であるIL-4、IL-6、IFNγまたはTNFα等の炎症性サイトカインについて、IL-2改変体または野生型IL-2を添加した培地でPBMCを培養し、培養上清中のサイトカイン産生量を測定する。また、同様の方法で抗炎症性サイトカインの産生量を測定してもよい。本発明のIL-2改変体は、野生型IL-2と比較して、炎症性サイトカインの産生量を減少させる、および/または、抗炎症性サイトカインの産生量が増加させることが好ましい。野生型IL-2の代わりに、野生型IL-2と同等の炎症性サイトカインおよび/または抗炎症性サイトカインを産生させるIL-2改変体を用いてもよい。
(e)Treg/Teff比の測定
IL-2改変体または野生型IL-2を添加した培地で培養したPMBCを抗ヒトCD4抗体、抗ヒトCD25抗体、抗ヒトFoxp3抗体と反応させ、フローサイトメトリーによるCD4陽性画分の中でCD25+FOXP3high画分をTreg、CD25+FOXP3low画分をエフェクターT細胞(Teff)とし、その存在比[Treg(%)/Teff(%)](Treg/Teff比)を算出する。データの解析は市販のデータ解析ソフト(例えば、TreeStar社製Flowjo、version7.6.5)により行う。本発明のIL-2改変体は、野生型IL-2と比較して、Treg/Teff比が向上していることが好ましい。野生型IL-2の代わりに、野生型IL-2と同等のTreg/Teff比を有するIL-2改変体を用いてもよい。
[組成物]
本発明の一実施形態は、有効量の本発明のIL-2改変体を含む組成物である。組成物の形態としては、例えば、医薬組成物および試薬が挙げられる。
後述する実施例において示すように、本発明のIL-2改変体によりTregを選択的に活性化させることから、本発明のIL-2改変体を含む組成物は、免疫抑制作用を有する組成物として好適に用いることができる。また、本発明の一実施形態として、本発明のIL-2改変体を含む免疫疾患の治療剤が提供される。
本発明の組成物が用いられる病態または疾患としては、例えば、全身性エリテマトーデス、乾癬、慢性移植片対宿主病、急性移植片対宿主病、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、セリアック病、特発性血栓性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、シェーグレン症候群、強皮症、喘息、ブドウ膜炎、表皮過形成、円形脱毛症、ベーチェット病、高安動脈炎、軟骨炎症、骨分解、関節炎、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、少関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身性発症若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸疾患性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性脈管炎、少関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身性発症関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸疾患性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、脈管炎、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、変形性関節症、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫、動脈炎、リウマチ性多発筋痛、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、スティル病、慢性閉塞性肺疾患、ギラン・バレー症候群、1型糖尿病、グレーブス病、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、ウィスコット・アルドリッチ症候群など炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患等が挙げられる。
本発明における組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤および坐剤などとして、経口的または非経口的に使用することができる。
これら製剤化においては、薬理学上許容される担体、具体的には例えば、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。
また、本発明における組成物の投与にはシリンジを使用してもよいが、他のデバイスを使用してもよい。デバイスとしては、例えばインジェクターペン、オートインジェクターデバイス、無針デバイス、または皮下パッチデバイス等が挙げられる。
本発明の組成物は、ヒトを含む動物を対象として使用することができるが、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜、家禽、ペット、実験用動物などを対象とすることができる。具体的には、例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、カモ、ダチョウ、アヒル、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、サルなどが挙げられるが、これらに制限されない。また、健常状態であってもよく、羅患状態であってもよい。ただし、本発明の組成物が医薬組成物である場合には、罹患状態の動物を対象として使用する。
組成物におけるIL-2改変体の有効量は、例えば、治療の状況および目的に依存する。適切な投与量は、IL-2改変体が使用される適応症、投与のルート、並びに投与する対象のサイズ(体重、体表面または器官サイズ)および/または状態(年齢および健康状態)に依存して調整し得る。
例えば、1回当たりの投与量または摂取量は、一般に、1ng/kg体重~100mg/kg体重であり、好ましくは、0.01μg/kg体重~1mg/kg体重である。
本発明の組成物の製品(医薬品、試薬)またはその説明書は、免疫を抑制するために用いられる等の旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品または説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装などに表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物などに表示を付したことを意味する。
[IL-2Rへの選択性]
本発明の一実施形態は、IL-2Rαβγに対するIL-2の選択性を向上させる方法である。本実施形態においては、上記した方法によりIL-2に糖鎖またはPEGを結合させて改変することにより、IL-2Rαβγに対するIL-2の選択性を向上できる。
IL-2Rαβγに対するIL-2の選択性が向上しているとき、IL-2Rαサブユニットに対するIL-2改変体の親和性が、野生型IL-2の親和性よりも向上している場合と、IL-2Rβおよびγサブユニットの少なくとも一方に対するIL-2改変体の親和性が、野生型IL-2の親和性よりも低下している場合とがあり得る。
本発明の一実施形態は、IL-2Rαサブユニットに対するIL-2の親和性を向上させる方法である。「IL-2Rαサブユニットに対するIL-2の親和性が向上する」とは、野生型IL-2と比較して、IL-2改変体のIL-2Rαサブユニットに対する親和性が向上していることをいう。本実施形態においては、上記した方法によりIL-2に糖鎖またはPEGを結合させて改変することにより、野生型IL-2よりも、作製されたIL-2改変体のIL-2Rαサブユニットに対する親和性を向上させ、IL-2Rαβγに対するIL-2の選択性を向上させることができる。
IL-2Rαサブユニットに対するIL-2の親和性は、IL-2Rα(CD25)に対するIL-2の結合性をBiacoreにより測定し、steady stateモデルを用いて解離定数KDを求めることにより評価することができる。BiacoreによるIL-2Rαに対するIL-2の結合性は、実施例において後述する方法により測定できる。本実施形態においては、IL-2Rαに対するIL-2改変体のKDは、野生型IL-2の改変体よりも低いことが好ましい。野生型IL-2の代わりに、野生型IL-2と同等のIL-2Rαへの親和性を有するIL-2改変体を用いてもよい。
本発明の一実施形態は、IL-2Rβおよびγサブユニットの少なくとも一方に対するIL-2の親和性を低下させる方法である。「IL-2Rβおよびγサブユニットの少なくとも一方に対するIL-2の親和性が低下する」とは、野生型IL-2と比較して、IL-2改変体のIL-2Rβおよびγサブユニットの少なくとも一方に対する親和性が低下していることをいう。本実施形態においては、上記した方法によりIL-2に糖鎖またはPEGを結合させて改変することにより、野生型IL-2と比較して、作製されたIL-2改変体のIL-2Rβおよびγサブユニットの少なくとも一方に対する親和性を低下させ、IL-2Rαβγに対するIL-2の選択性を向上できる。
例えば、IL-2Rβγサブユニットに対するIL-2の親和性は、IL-2のIL-2Rβγに対する結合性をBiacoreにより測定し、1:1 binding modelを用いて解離定数KDを求めることにより評価することができる。BiacoreによるIL-2Rβγに対するIL-2の結合性は、実施例において後述する方法により測定できる。本実施形態においては、IL-2Rβγに対するIL-2のKDは野生型IL-2と比較して高いことが好ましい。野生型IL-2の代わりに、野生型IL-2と同等のIL-2Rβγサブユニットへの親和性を有するIL-2改変体を用いることができる。
[制御性T細胞を選択的に活性化させる方法]
本発明の一実施形態は、本発明のIL-2改変体を用いて制御性T細胞を選択的に活性化させる方法である。本実施形態においては、本発明のIL-2改変体を被験対象に投与して、制御性T細胞を選択的に活性化させることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]糖鎖結合IL-2改変体の合成
表1~5に示す各種IL-2改変体を下記に記載の方法で作製した。
〈表1~5の説明〉
・糖鎖結合位置:野生型成熟ヒトIL-2のアミノ酸配列(配列番号1)(以下、単に野生型IL-2とも記載する)のN末端からの位置
・Cys変異位置:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端からの位置
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、糖鎖結合位置の置換後のアミノ酸残基の列に記載した構造について以下に示す。
C-糖(GlcNAc、glucose、lactose、trisaccharide、pentasaccharide、asialo、disialo、tetrasialo)とは、システインの側鎖チオールにCH2CONHリンカーを介して糖鎖が導入された下記(式1)で表される構造であることを示す。
上記(式1)中、Saccharideは糖鎖示す。
N-糖(GlcNAc、disialo)とは、アスパラギンの側鎖アミドに糖鎖が導入された下記(式2)で表される構造であることを示す。
上記(式2)中、Saccharideは糖鎖示す。
GlcNAcとは下記(式Y1)で表される構造を示す。
Glucoseとは下記(式Y2)で表される構造を示す。
lactoseとは下記(式4)で表される構造を示す。
trisaccharideとは下記(式5)で表される構造を示す。
pentasaccharideとは下記(式6)で表される構造を示す。
asialoとは下記(式7)で表される構造を示す。
disialoとは下記(式8)で表される構造を示す。
tetrasialoとは下記(式Y3)で表される構造を示す。
・表中、Cys変異位置の置換後のアミノ酸残基の列に記載したAcCとは下記(式XXX)で表される構造を示す。
〈表6の説明〉
・変異位置:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端からの位置
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、置換後のアミノ酸残基の列に記載したC-acetamideとは、下記(式9)で表される構造であることを示す。
(工程1)ペプチドセグメント1の合成
IL-2アミノ酸配列1-57のペプチドチオエステルまたは糖鎖結合ペプチドチオエステルを以下の方法にて調製した。
(工程1-1a-1)ペプチドヒドラジドの合成
[Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 6978-6981]に記載される方法に従い得られるトリチルヒドラジン樹脂に、Fmoc-Gln(Trt)-OH(5当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(5当量)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(5当量)を用いてDMF中で1残基目のアミノ酸残基を樹脂へ担持した。定法に従い、DMF中での、Fmocアミノ酸(5.3当量)、HCTU(5当量)、N-メチルモルホリン(5当量)または2,4,6-トリメチルピリジン(5当量)を用いたアミノ酸の伸長と、20%ピペリジン-DMF溶液による脱保護を繰り返すことで、2残基目以降のアミノ酸を伸長した。伸長したペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(TIPS)、水を用いて樹脂からの脱離と側鎖保護基を除去した後、氷冷したエーテル中に滴下し、生じた沈殿を遠心分離によって回収した。逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、ペプチドヒドラジドを合成した。
この際、システインへ糖鎖を導入する場合には糖鎖を導入する位置をシステインへと変異させたペプチドヒドラジドを調製した。また、2種類の糖鎖を導入する場合は、一方をシステイン、もう一方をS-アセタミドメチルシステインへと変異させたペプチドヒドラジドを調製した。
また、アミノ酸配列3位または51位をシステインへと変異させたIL-2改変体を調製する際には、糖鎖を導入する位置をシステイン、アミノ酸配列3位または51位をS-アセタミドメチルシステインへと変異させたペプチドヒドラジドを調製した。
また、アミノ酸配列1位をアセチルシステインへと変異させたアナログを調製する際には、糖鎖を導入する位置をシステイン、アミノ酸配列1位をS-アセタミドメチルシステインへと変異させたペプチドを樹脂上で伸長した後、N末端アミノ基を無水酢酸、ピリジンを用いてアセチル化し、上記方法に従い樹脂からの脱離と側鎖保護基の除去、精製を行い、1位をアセチルシステインへと変異させたペプチドヒドラジドを調製した。
(工程1-1a-2)Cys-糖鎖結合ペプチドヒドラジドまたはCys-アセタミド結合ペプチドヒドラジドの合成
(工程1-1a-1)にて得られるペプチドヒドラジドへのブロモアセチル糖鎖(国際公開第2005/010053号に記載される方法に従い調製)を用いた糖鎖導入は、[Tetrahedron Lett., 2004, 45, 3287-3290, Carbohydr. Res. 2009, 344, 762-770]に記載される方法で実施し、目的の糖鎖結合ペプチドヒドラジドを合成した。
ブロモアセチル糖鎖の代わりに、ブロモアセタミドを用いて、上記と同様の手法にてCys-アセタミド結合ペプチドヒドラジドを合成した。
(工程1-1b)Asn-糖鎖結合ペプチドヒドラジドの合成
[Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 6978-6981]に記載される方法に従い得られるトリチルヒドラジン樹脂に、Fmoc-Gln(Trt)-OH(5当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(5当量)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(5当量)を用いてDMF中で1残基目のアミノ酸残基を樹脂へ担持した。定法に従い、DMF中での、Fmocアミノ酸(5.3当量)、HCTU(5当量)、N-メチルモルホリン(5当量)を用いたアミノ酸の伸長と、20%ピペリジン-DMF溶液による脱保護を繰り返すことで、2残基目以降の糖鎖結合Asn以外のアミノ酸を伸長した。
糖鎖結合Asn(国際公開2004/005330号に記載される方法に従い調製)は、国際公開第2004/005330号に記載される方法で伸長した。伸長したペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(TIPS)、水を用いて樹脂からの脱離と側鎖保護基を除去した後、氷冷したエーテル中に滴下し、生じた沈殿を遠心分離によって回収した。逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、Asn-糖鎖結合ペプチドヒドラジドを合成した。
(工程1-2a)ペプチドチオエステルまたは糖鎖結合ペプチドチオエステルの合成
(工程1-1a-1)にて得られるペプチドヒドラジドまたは(工程1-1a-2)にて得られるCys-糖鎖結合ペプチドヒドラジドまたはにて得られるCys-アセタミド結合ペプチドヒドラジドまたは(工程1-1b)にて得られるAsn-糖鎖結合ペプチドヒドラジドを6mol/L グアニジン塩酸塩、200mmol/L リン酸緩衝液(pH3)に溶解し―20℃に冷却した後、200mmol/L 亜硝酸ナトリウム、6mol/L グアニジン塩酸塩、200mmol/L リン酸緩衝液(pH7)を加え5分間撹拌した。400mmol/L 2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、6mol/L グアニジン塩酸塩、200mmol/L リン酸緩衝液(pH6)を加え―15℃で1時間半撹拌した後、逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、ペプチドチオエステルまたは糖鎖結合ペプチドチオエステルを得た。
(工程1-2b)2種類の糖鎖結合ペプチドチオエステルの合成
2種類の糖鎖を導入する場合、(工程1-1a-2)にて得られる糖鎖結合ペプチドヒドラジドの反応溶液に、酢酸に懸濁させた酢酸銀を加え6時間撹拌しS-アセタミドメチル基を除去した。ジチオトレイトールを加えた後、遠心分離して得られる上清をゲル濾過(Superdex G-75)によって4mol/L グアニジン塩酸塩、5mmol/L リン酸緩衝液(pH5)へと溶媒交換した。溶出液に、6mol/L グアニジン塩酸塩、200mmol/L リン酸緩衝液(pH3)を加え、2mol/L 塩酸を用いてpH3に調整した後、-15℃に冷却した。
6mol/L グアニジン塩酸塩、200mmol/L 亜硝酸ナトリウム、50mmol/L リン酸緩衝液(pH7)を加えて、―15℃で5分間撹拌した後、6mol/L グアニジン塩酸塩、400mmol/L 2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、200mmol/L リン酸緩衝液(pH6)を加え、―15℃で1時間半撹拌し、逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、糖鎖結合ペプチドチオエステルを得た。
得られた糖鎖結合ペプチドチオエステルに対し、(工程1-1a-2)に記載の方法に従い、2種類目の糖鎖を導入し、逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、2種類の糖鎖結合ペプチドチオエステルを得た。
(工程2)ペプチドセグメント2の合成
IL-2アミノ酸配列58-104のペプチドヒドラジドまたは糖鎖結合ペプチドヒドラジドを以下の方法にて調製した。
(工程2-1a-1)ペプチドヒドラジドの合成
[Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 6978-6981]に記載される方法に従い得られるトリチルヒドラジン樹脂に、Fmoc-Met-OH(5当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(5当量)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(5当量)を用いてDMF中で1残基目のアミノ酸残基を樹脂へ担持した。
定法に従い、DMF中での、Fmocアミノ酸(5.3当量)、HCTU(5当量)、N-メチルモルホリン(5当量)または2,4,6-トリメチルピリジン(5当量)を用いたアミノ酸の伸長と、20%ピペリジン-DMF溶液による脱保護を繰り返すことで、2残基目以降のアミノ酸を伸長した。
伸長したペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(TIPS)、水を用いて樹脂からの脱離と側鎖保護基を除去した後、氷冷したエーテル中に滴下し、生じた沈殿を遠心分離によって回収した。逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、ペプチドヒドラジドを合成した。
この際、糖鎖を導入する場合には糖鎖を導入する位置をシステインへと変異し、さらにアミノ酸配列58をチオプロリンへと変異させたペプチドヒドラジドを調製した。アミノ酸配列78位をシステインへと変異させたアナログを調製する際には、アミノ酸配列78位をシステインへと変異させたペプチドヒドラジドを調製した。アミノ酸配列91位に糖鎖を導入し、アミノ酸配列78位をシステインへと変異したアナログを調製する際は、アミノ酸配列91位をシステイン、アミノ酸配列78位をS-アセタミドメチルシステインへと変異させたペプチドヒドラジドを調製した。
(工程2-1a-2)Cys-糖鎖結合ペプチドヒドラジドまたはCys-アセタミド結合ペプチドヒドラジドの合成の合成
(工程2-1a-1)にて得られるペプチドヒドラジドへのブロモアセチル糖鎖(国際公開第2005/010053号に記載される方法で調製)を用いた糖鎖導入を、[Tetrahedron Lett., 2004, 45, 3287-3290, Carbohydr. Res. 2009, 344, 762-770]に記載される方法に従い実施した反応溶液に対し、ブロモアセチル糖鎖に対して10当量の2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを加えた後、8mol/L グアニジン塩酸塩水溶液、2mol/L 塩酸、メトキシアミン塩酸塩を加えてpH4に調整し、室温にて20分反応させた。逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、Cys-糖鎖結合ペプチドヒドラジドを合成した。
ブロモアセチル糖鎖の代わりに、ブロモアセタミドを用いて、上記と同様の手法にてCys-ブロモアセタミド結合ペプチドヒドラジドを合成した。
(工程2-1b)Asn-糖鎖結合ペプチドヒドラジドの合成
(工程1-1b)と同様の手法にてAsn-糖鎖結合ペプチドヒドラジドを調製した。
(工程3)ペプチドセグメント3の合成
IL-2アミノ酸配列105-133のペプチドまたは糖鎖結合ペプチドを以下の方法にて調製した。
(工程3-1)可溶化タグ(H-C(Npys)RRRRR-NH2)の調整
Rink-アミド樹脂に、DMF中でのFmocアミノ酸(5.3当量)、HCTU(5当量)、N-メチルモルホリン(5当量)を用いたアミノ酸の伸長と、20%ピペリジン-DMF溶液による脱保護を繰り返すことでアミノ酸を伸長した。伸長したペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(TIPS)、水を用いて樹脂からの脱離と側鎖保護基を除去した後、氷冷したエーテル中に滴下し、生じた沈殿を遠心分離によって回収し、可溶化タグ(H-C(Npys)RRRRR-NH2)を調製した。
(工程3-2)可溶化タグ導入ペプチドの合成
IL-2アミノ酸配列105-133のペプチドを以下の方法にて調製した。
HMPB-ChemMatrix樹脂に、Fmoc-Thr(tBu)-OH(5当量)、1-(メシチレン-2-スルホニル)-3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール(5当量)、1-メチルイミダゾール(3.5当量)を用いて1残基目のアミノ酸残基を樹脂に担持した。定法に従い、DMF中での、Fmocアミノ酸(5.3当量)、HCTU(5当量)、N-メチルモルホリン(5当量)または2,4,6-トリメチルピリジン(5当量)を用いたアミノ酸の伸長と、20%ピペリジン-DMF溶液による脱保護を繰り返すことで、2残基目以降のアミノ酸を伸長した。
伸長したペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(TIPS)、水を用いて樹脂からの脱離と側鎖保護基を除去した後、氷冷したエーテル中に滴下し、生じた沈殿を遠心分離によって回収しペプチドの粗精製物を得た。この際、システインへ糖鎖を導入する場合には糖鎖を導入する位置をシステインへと変異し、さらにアミノ酸配列105をチオプロリンへと変異させたペプチドを調製した。
(工程3-1)にて得られる可溶化タグ(ペプチド粗生成物に対して3当量)を6.8mol/L グアニジン塩酸塩、310mmol/L リン酸緩衝液(pH7)に溶解し、5当量の無水酢酸を加え室温下1時間撹拌した。10当量のアルギニン塩酸塩を加えた後、8mol/Lグアニジン塩酸塩、250mmol/L トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩水溶液(pH8)に溶解した上記ペプチド粗生成物を加え室温下1時間撹拌した。逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、可溶化タグ導入ペプチドを合成した。
(工程3-3)可溶化タグ導入ペプチドへの糖鎖導入
(工程3-2)にて得られる可溶化タグ導入ペプチドを8mol/L グアニジン塩酸塩、5mmol/L トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、200mmol/Lリン酸緩衝液(pH6)に溶解し、ブロモアセチル糖鎖(5当量、国際公開第2005/010053号に記載される方法で調製)の6mol/L グアニジン塩酸塩、200mmol/L リン酸緩衝液(pH7)溶液を加え5時間反応させた。
ブロモアセチル糖鎖に対して4当量の2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを加え1時間撹拌した後、6mol/L グアニジン塩酸塩、200mmol/L リン酸緩衝液(pH7)に溶解したメトキシアミン塩酸塩(300当量)を加え、2mol/L 塩酸を用いてpH4に調整し1時間反応させた。逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、糖鎖結合ペプチドを合成した。
(工程4)IL-2改変体、糖鎖結合IL-2改変体の合成
(工程4-1)ペプチドセグメント1と2の連結反応
上記(工程1)にて得られるペプチドセグメント1と上記(工程2)にて得られるペプチドセグメント2(1.1当量)とを、8mol/L グアニジン塩酸塩、100mM トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、100mM アスコルビン酸、50mmol/L 4-メルカプトフェニル酢酸、200mmol/L リン酸緩衝液(pH7)に溶解し、反応させた後、逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、ペプチドセグメント1と2の連結体を合成した。
(工程4-2)ペプチドセグメント1と2の連結体のチオエステル化
上記(工程4-1)にて得られるペプチドセグメント1と2の連結体を、(工程1-2a)と同様の手法にてチオエステル化した。
(工程4-3)ペプチドセグメント3との連結
上記(工程4-2)にて得られるペプチドチオエステルと上記(工程3)にて得られるペプチドセグメント3(1当量)とを、8mol/L グアニジン塩酸塩、100mM トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、100mM アスコルビン酸、50mmol/L 4-メルカプトフェニル酢酸、200mmol/L リン酸緩衝液(pH7)に溶解し、反応させた後、逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、ペプチドセグメント1、2および3の連結体を合成した。
(工程4-4)アセタミドメチル基の脱保護
上記(工程4-3)にて得られるペプチドセグメント1、2および3の連結体のシステインがアセタミドメチル基で保護されている場合、以下に示す方法でアセタミドメチル基を除去した。
ペプチドセグメント1、2および3の連結体を、6mol/L 尿素、5mmol/L リン酸緩衝液(pH5)に溶解し、酢酸に懸濁させた酢酸銀(420当量)を加え5時間撹拌した。過剰量のジチオトレイトールを加えた後、遠心分離して得られる上清を逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、脱アセタミドメチル体を取得した。
(工程4-5)シアル酸ベンジルエステルの脱保護
上記(工程4-3)にて得られるペプチドセグメント1、2および3の連結体の糖鎖上のシアル酸側鎖カルボン酸がベンジル基で保護されている場合、国際公開第2004/005330号に記載される方法に従い、ベンジル基を除去した後、逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、脱ベンジル体を取得した。
(工程4-6)IL-2改変体、糖鎖結合IL-2改変体の合成
(工程4-3)または(工程4-4)または(工程4-5)で合成したペプチドセグメント1、2および3の連結体を、6mol/L グアニジン塩酸塩、100mmol/L トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩(pH8)に溶解した後、100mmol/L トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩、10mmol/L 還元型グルタチオン、1mmol/L酸化型グルタチオン(pH8)を加え、室温下18時間撹拌した。逆相HPLCカラム[プロテオナヴィ(商品名)、資生堂社製]にて精製し、IL-2改変体、糖鎖結合IL-2改変体を取得した。
得られたIL-2改変体、糖鎖結合IL-2改変体は、質量分析にて計算値と実測値が一致していること、および/または、CDスペクトルが野生型IL-2と一致すること、および/または、SDS-PAGEで検出されるバンドが想定分子量のバンドの位置であることを確認できたことから、品質および純度が問題ないことを確認した。
[実施例2]N末PEG化、糖鎖結合IL-2改変体の合成
表7に示すN末PEG化、糖鎖結合IL-2を下記に記載の方法で作製した。
<表7の説明>
・糖鎖結合位置、PEG結合位置:野生型成熟ヒトIL-2のアミノ酸配列(配列番号1)(以下、単に野生型IL-2とも記載する)のN末端からの位置
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
・表中、糖鎖結合位置の置換後のアミノ酸残基の列に記載した構造について以下に示す。
C-糖(asialo)とは、システインの側鎖チオールにCH2CONHリンカーを介して糖鎖が導入された下記(式1)で表される構造であることを示す。
上記(式X1)において、Saccharideは糖鎖示す。
asialoとは下記(式7)で表される構造を示す。
表中、PEG結合位置の置換後のアミノ酸残基の列に記載した構造について以下に示す。
A1-PEG(CHO)[Li20(CHO)]とは、アラニン主鎖アミノ基に(CH2)3リンカーを介してPEGが導入された下記(式Z0)で表される構造であることを示す。
Li20とは、上記(式Z0)中、PEGが平均分子量約20kDaの下記(式X00)で表される構造であることを示す。
糖鎖結合IL-2改変体の1 mM EDTA, 20 mmol/L リン酸緩衝液 (pH5.5)に、室温下でPEG-アルデヒド (10当量、PJK-241;Creative PEG Works)の20 mmol/L リン酸緩衝液 (pH5.5)を加え室温下30分撹拌した後、NaBH3(CN)(1000当量)を加え3時間撹拌した。
Amicon Ultra-0.5(10kDa)を用いた限外濾過により0.05%トリフルオロ酢酸、2%アセトニトリリル水溶液に溶媒置換した後、サイズ排除クロマトグラフィー(カラム;Waters製、XBridge BEH450A、3.5μm、7.8×150mmとXBridge BEH200A、3.5μm、 7.8×150mmを連結)にて精製し、N末PEG化、糖鎖結合IL-2改変体を合成した。
精製したN末PEG化、糖鎖結合IL-2改変体の純度をSDS-PAGEにて確認した。その結果すべての改変体において、PEGの分子量が増加した単一のバンドが認められ、高純度のN末PEG化、糖鎖結合IL-2改変体が得られたことが確認できた。
[実施例3]Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体の合成
表8に示すCys-PEG化、糖鎖結合IL-2を下記に記載の方法で作製した。
〈表8の説明〉
・PEG結合位置、糖鎖結合位置1および2:野生型成熟ヒトIL-2のアミノ酸配列(配列番号1)(以下、単に野生型IL-2とも記載する)のN末端からの位置
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
・表中、糖鎖結合位置の置換後のアミノ酸残基の列に記載した構造について以下に示す。
C-糖(lactose、disialo)とは、システインの側鎖チオールにCH2CONHリンカーを介して糖鎖が導入された下記(式1)で表される構造であることを示す。
上記(式1)において、Saccharideは糖鎖示す。
lactoseとは下記(式4)で表される構造を示す。
disialoとは下記(式8)で表される構造を示す。
表中、PEG結合位置の置換後のアミノ酸残基の列に記載した構造について以下に示す。
C-PEG(IAc)[Li20(IAc)、Li40(IAc)、V40(IAc)、W40(IAc)、Y50(IAc)]とは、システイン側鎖にCH2CONH(CH2)3Oリンカーを介してPEGが導入された下記(式X4)で表される構造であることを示す。
C-PEG(Mal)[V40(Mal)、V80(Mal)、W80(Mal)、Y50(Mal)]とは、システイン側鎖に3-(3-チオ-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-プロピルオキシリンカーを介してPEGが導入された下記(式X5)で表される構造であることを示す。この際、C-PEG(Mal)はジオキソピロリジン環が開環した(式X6)または(式X7)で表される構造であっても良い。
AcC-PEG(IAc)[Li40(IAc)、Y50(IAc)]とは、アセチルシステイン側鎖にCH2CONH(CH2)3Oリンカーを介してPEGが導入された下記(式XX3)で表される構造であることを示す。
AcC-PEG(Mal)[V80(Mal)、W80(Mal)、Y50(Mal)]とは、N-アセチルシステイン側鎖に3-(3-チオ-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-プロピルオキシリンカーを介してPEGが導入された下記(式X8)で表される構造であることを示す。この際、AcC-PEG(Mal)はジオキソピロリジン環が開環した(式X9)または(式X10)で表される構造であってもよい。
Li20とは、上記(式X4)~(式X10)中、PEGが平均分子量約20kDaの下記(式X11)で表される構造であることを示し、
Li40とは、上記(式X4)~(式X10)中、PEGが平均分子量約40kDaの上記(式X11)で表される構造であることを示し、
V40とは、上記(式X4)~(式X10)中、PEGが平均分子量約40kDaの下記(式X13)で表される構造であることを示し、
V80とは、上記(式X4)~(式X10)中、PEGが平均分子量約80kDaの上記(式X13)で表される構造であることを示し、
W40とは、上記(式X4)~(式X10)中、PEGが(CH2CH2O)mの平均分子量が5kDaであり、(CH2CH2O)nの平均分子量が7.5kDaである下記(式X14)で表される構造であることを示し、
W80とは、上記(式X4)~(式X10)中、PEGが(CH2CH2O)mの平均分子量が5kDaであり、(CH2CH2O)nの平均分子量が17.5kDaである上記(式X14)で表される構造であることを示し、
Y50とは、上記(式X4)~(式X10)中、PEGが(CH2CH2O)mの平均分子量が10kDaであり、(CH2CH2O)nの平均分子量が20kDaである下記(式X15)で表される構造であることを示す。
(工程1)PEG-ハロアセチルの調製
PEG-アミン(SUNBRIGHT GL2-400PA;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL3-400PA100U;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL4-400PA;日油株式会社)をクロロホルムに溶解し、1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide Hydrochloride(5当量)、4-ジメチルアミノピリジン(5当量)、ヨード酢酸 (5当量)を加え室温下90時間撹拌した。エーテル/イソプロパノール=1/1を加え、析出した固体をろ取した。残渣を水に溶解し、Amicon Ultra-0.5(10kDa)を用いた限外濾過によりヨード酢酸を除去し、凍結乾燥することでPEG-IAcを合成した。
(工程2)Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体の合成
表5に示す糖鎖結合IL-2改変体の 1mmol/L EDTA、20 mmol/L リン酸緩衝液(pH5.5)に、室温下でPEG-ハロアセチル(5当量、上記工程1で合成した化合物またはSUNBRIGHT ME-200IA;日油株式会社またはSUNBRIGHT ME-400IA;日油株式会社)またはPEG-マレイミド (5.0nmol、SUNBRIGHT GL2-800MA;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL4-400MA100U;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL4-800MA;日油株式会社)の1mmol/L EDTA、20mmol/L リン酸緩衝液(pH5.5)を加えた後、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.2~7.4に調整し、2時間撹拌した。サイズ排除クロマトグラフィー(カラム;Waters製、XBridge BEH450A、3.5μm、7.8×150mmとXBridge BEH200A、3.5μm、7.8×150mmを連結)にて精製し、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体を合成した。
精製したCys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体の純度をSDS-PAGEにて確認した。その結果すべての改変体において、PEGの分子量が増加した単一のバンドが認められ、高純度のCys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体が得られたことが確認できた。
[実施例4]大腸菌用8His-IL-2およびo-Az-Z-Lys導入ヒトIL-2およびm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2発現ベクターの調製
表9に示す大腸菌用8His-IL-2発現ベクターおよびo-Az-Z-Lys導入8His-IL-2発現ベクターおよびm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2発現ベクターを以下の方法により作製した。
〈表9の説明〉
・Az-Z-Lys導入位置:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端からの位置
・1位修飾:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から1番目のアラニン残基の修飾を表す。MHHHHHHHHAとは、N末端アラニン残基にメチオニンおよびポリヒスチジン配列(HHHHHHHH)タグが結合していることを表す。
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、置換後のアミノ酸残基の列に記載したo-Az-Z-Lysとは下記(式10)で表される構造を示し、
m-Az-Z-Lysとは下記(式XX1)で表される構造を示す。
IL-2としては、配列番号1で表される野生型成熟ヒトIL-2アミノ酸配列の125番目のアミノ酸残基をシステインからセリンに置換し、かつN末端にメチオニンおよびポリヒスチジン配列(HHHHHHHH)タグが結合したアミノ酸配列からなる8His-IL-2(アミノ酸配列:配列番号2、当該アミノ酸配列をコードする塩基配列:配列番号3)をもとにして、上記発現ベクターを作製した。
pFLAG-CTS(SIGMA社製)のlacリプレッサー遺伝子lacIの直下流に、ピロリジンtRNAの塩基配列およびピロリジルtRNA合成酵素(以下Pyl tRNA、tRNAPylとも記載する)をコードする塩基配列が挿入されたpFLAG-CTS-Pyl TS(国際公開第2017/030156号)のNdeI制限酵素サイトとSalI制限酵素サイトの間に、8His-IL-2をコードする塩基配列(配列番号3)を挿入することで、大腸菌用の8His-IL-2発現ベクター(以下pFLAG-CTS-Pyl TS_8His-hIL-2と記載する)を作製した。
8His-IL-2の塩基配列を基にして、o-Az-Z-Lysまたはm-Az-Z-Lysを導入する部位に相当するコドンをアンバー(TAG)コドンに置換した塩基配列(配列番号4~18、27~37)をPCR法または人工遺伝子合成(日本ジーンウィズ株式会社)にて作製した。得られた塩基配列を、pFLAG-CTS-Pyl TS-8His-hIL-2の8His-IL-2の塩基配列と置換した。
[実施例5]8His-IL-2およびo-Az-Z-Lys導入IL-2およびm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2の調製
表10に示す8His-IL-2およびo-Az-Z-Lys導入8His-IL-2およびm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2を以下の方法により作製した。
〈表10の説明〉
・Az-Z-Lys導入位置:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端からの位置
・1位修飾:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から1番目のアラニン残基の修飾を表す。MHHHHHHHHAとは、N末端アラニン残基にメチオニンおよびポリヒスチジン配列(HHHHHHHH)タグが結合していることを表す。
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、置換後のアミノ酸残基の列に記載したo-Az-Z-Lysとは下記(式10)で表される構造を示し、
m-Az-Z-Lysとは下記(式XX1)で表される構造を示す。
実施例4で作製した大腸菌用8His-IL-2発現ベクターおよびo-Az-Z-Lys導入8His-IL-2発現ベクターまたはm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2発現ベクターを大腸菌B-95.delA[Sci Rep, 2015. 5(9699)]に導入した。8His-IL-2発現ベクターおよび各種o-Az-Z-Lys導入8His-IL-2発現ベクターまたはm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2発現ベクター100ngを100μLのコンピテントセルに加えて緩やかに混和し、氷上で30分間静置した。
続いて、42℃の温浴に30秒間加温した後、再度氷上に2分間静置した。LB培地500μLを加えて37℃に設定したインキュベータにて60分間振とう培養を行った後、終濃度100μg/mLのアンピシリン(和光純薬社製)を含むLBプレート(1.5w/v%アガロース)に全量をプレーティングした。37℃に設定したインキュベータで一晩培養を行った後、プレートで生育してくる大腸菌を遺伝子導入株として選抜した。
得られた遺伝子導入株を全量回収し、終濃度1mMのo-Az-Z-Lysまたはm-Az-Z-Lys(国際公開第2017/030156号に記載の方法に従いGVK Biosciences社にて合成)、終濃度100μg/mLのアンピシリンを添加した800mLのSuper Broth[MOPS(ナカライテスク社製) 1w/v%、Tryptone(DIFCO社製) 3w/v%、Yeast Extract(DIFCO社製) 2w/v%]に播種し、37℃に設定したバイオシェーカーで、165rpmで振とう培養した。
菌体溶液の600nmの吸光度の値が1.5~2.0になった段階で終濃度1.0mmol/Lのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)(ナカライテスク社製)を添加し、42℃に設定したバイオシェーカーで、165rpmで3時間振とう培養して各ヒトIL-2を発現させた。
培養後の菌体溶液を遠心分離[CR21E(日立製作所社製)、7000rpm、4℃、5分間]することで大腸菌菌体を回収後、40mLのB-PER Bacterial Protein Extraction Reagent(Thermo Scientific社製)を添加し溶菌させ、遠心分離(12000×g、4℃、5分間)することで封入体を得た。
得られた封入体を32mLのInclusion Body Solubilization Reagent(Thermo Scientific社製)にて溶解後、再度遠心分離(12000×g、4℃、30分間)し、上清を回収した。
封入体可溶化液を6mol/L グアニジン塩酸塩(和光純薬社製)を含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(和光純薬社製)(pH8.0)で3倍容量に希釈後、TALON Metal Affinity Resin(Clontech社製)に添加した。6mol/L グアニジン塩酸塩を含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で洗浄後、250mmol/L イミダゾールおよび6mol/L グアニジン塩酸塩を含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で溶出した。280nmの吸光度を測定することで、溶出液のタンパク質濃度を測定した。
リフォールディングバッファー[1mmol/L 酸化型グルタチオン(Sigma-Aldrich社製)を含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)]で上記溶出液を3倍希釈し、4℃にて一晩静置した。その後、Amicon Ultra-4(3kDa)(メルクミリポア社製)で濃縮した。
AKTA FPLC(GEヘルスケア社製)にSuperdex75 10/300GL(GEヘルスケア社製)を接続し、移動相として2mol/L グアニジン塩酸塩を含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を送液した。上記濃縮液をSECカラムに添加し、単量体画分を回収した。
得られた画分はD-PBS(ナカライテスク社製)で2倍希釈し室温にて6時間静置後、Amicon Ultra-4(3kDa)を用いた限界ろ過によりD-PBSにバッファー置換した。
作製したすべてのo-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2は、SDS-PAGEにて8His-IL-2と同じ分子量のバンドであること確認した。
[実施例6]大腸菌用o-Az-Z-Lys導入IL-2発現ベクターの調製
表11に示す大腸菌用o-Az-Z-Lys導入IL-2発現ベクターを以下の方法により作製した。
〈表11の説明〉
・Az-Z-Lys導入位置:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端からの位置
・1位修飾:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から1番目のアラニン残基の修飾を表す。MAとは、N末端アラニン残基にメチオニンが結合していることを表す。Mとは、アラニンからメチオニンにアミノ酸残基を置換する変異を加えていることを表す。
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、置換後のアミノ酸残基の列に記載したo-Az-Z-Lysとは下記(式10)で表される構造をいう。
IL-2としては、配列番号1で表される野生型成熟ヒトIL-2アミノ酸配列の125番目のアミノ酸残基をシステインからセリンに置換し、かつN末端にメチオニン結合したアミノ酸配列からなるIL-2(アミノ酸配列:配列番号38、当該アミノ酸配列をコードする塩基配列:配列番号39)、または配列番号1で表される野生型成熟ヒトIL-2アミノ酸配列の125番目のアミノ酸残基をシステインからセリンに置換し、1番目のアラニン残基を欠損し、かつN末端にメチオニン結合したアミノ酸配列(アミノ酸配列:配列番号40、当該アミノ酸配列をコードする塩基配列:配列番号41)からなるIL-2をもとにして、上記発現ベクターを作製した。
pFLAG-CTS-Pyl TSのNdeI制限酵素サイトとSalI制限酵素サイトの間に、o-Az-Z-Lysを導入する部位に相当するコドンをアンバー(TAG)コドンに置換した塩基配列(配列番号42~50)を挿入することで、大腸菌用の各種o-Az-Z-Lys導入IL-2発現ベクター(以下pFLAG-CTS-Pyl TS_hIL-2と記載する)を作製した。
[実施例7]o-Az-Z-Lys導入IL-2の調製
表12に示すIL-2の任意のアミノ酸残基をo-Az-Z-Lys残基に置換したo-Az-Z-Lys導入IL-2は以下の方法で作製した。
<表12の説明>
・o-Az-Z-LysK導入位置:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端からの位置
・1位修飾:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から1番目のアラニン残基の修飾を表す。MAとは、N末端アラニン残基にメチオニンが結合していることを表す。Mとは、アラニンからメチオニンにアミノ酸残基を置換する変異を加えていることを示す。
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、置換後のアミノ酸残基の列に記載したo-Az-Z-Lysとは下記(式10)で表される構造をいう。
実施例6で作製した大腸菌用o-Az-Z-Lys導入IL-2発現ベクターを大腸菌B-95.delA[Sci Rep, 2015. 5(9699)]に導入し、実施例5に記載の方法にて封入体可溶化液を調製した。
AKTA FPLCにHiPrep 26/60 Sephacryl S-100 HR(GEヘルスケア社製)を接続し、移動相として2mol/L グアニジン塩酸塩を含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を送液した。上記封入体可溶化液をSECカラムに添加し、単量体画分を回収した。
酸化型グルタチオンを2 mmol/Lになるよう添加し、4℃にて一晩静置した。その後、Amicon Ultra-4(3kDa)(メルクミリポア社製)で濃縮しNAPカラム(GEヘルスケア社製)を用いて0.4 mol/L アルギニン塩酸塩、5 w/v% トレハロースを含む10 mmol/L 酢酸緩衝液(pH4.5)にバッファー置換した。
作製したo-Az-Z-Lys導入IL-2は、SDS-PAGEにてアミノ酸配列から予想される分子量を有することを確認した。
[実施例8]o-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはo-Az-Z-Lys導入IL-2のPEG化
表13~15に示すo-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはo-Az-Z-Lys導入IL-2のPEG化体(以下PEG結合IL-2改変体と記載する)を以下の方法で調製した。
〈表13、14および15の説明〉
・PEG導入位置:配列番号1のN末端からの位置
・1位修飾:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から1番目のアラニン残基の修飾を表す。MAとは、N末端アラニン残基にメチオニンが結合していることを表し、MHHHHHHHHAとは、N末端アラニン残基にメチオニンおよびポリヒスチジン配列(HHHHHHHH)タグが結合していることを表す。
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。アミノ酸残基の変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、置換後のアミノ酸残基の列に記載した構造について以下に示す。
(oAzZK)-PEG(PEG4、Li20、Li30、Li40、V40、V80、W40、W80、Y50、IIII40)とは、リジンの側鎖アミノ基に、リンカーを介してPEGが導入された下記(式11)または式(12)で表される構造であることを示し、
(mAzZK)-PEG(V40)とは、リジンの側鎖アミノ基に、リンカーを介してPEGが導入された下記(式XX4)または(式XX5)で表される構造であることを示す。
PEG4とは下記(式13)で表される構造であることを示し、
Li20とは、平均分子量約20kDaである場合の下記(式15)で表される構造であることを示し、
Li30とは、平均分子量約30kDaである場合の上記(式15)で表される構造であることを示し、
Li40とは、平均分子量約40kDaの下記(式X105)で表される構造であることを示し、
Y50とは、(CH2CH2O)mの平均分子量が10kDaであり、(CH2CH2O)nの平均分子量が20kDaである下記(式X107)で表される構造であることを示し、
V40とは、平均分子量が40kDaである下記(式X109)で表される構造であることを示し、
V80とは、平均分子量が80kDaである上記(式X109)で表される構造であることを示し、
W40とは、(CH2CH2O)mの平均分子量が5kDaであり、(CH2CH2O)nの平均分子量が7.5kDaである下記(式X111)で表される構造であることを示し、
W80とは、(CH2CH2O)mの平均分子量が5kDaであり、(CH2CH2O)nの平均分子量が17.5kDaである下記(式X112)で表される構造であることを示し、
IIII40とは、平均分子量が40kDaである下記(式X113)で表される構造であることを示す。
(工程1a)PEG-DBCOの調製1
PEG―カルボン酸(mPEG-AA 40K;Creative PEG Works社製)をクロロホルムに溶解し、1-Ethyl-3-(3―dimethylaminopropyl)carbodiimide Hydrochloride (5当量)、4-ジメチルアミノピリジン(5当量)、Dibenzocyclooctyne―amine (5当量、A2763;東京化成工業)を加え室温下3時間撹拌した。エーテル/イソプロパノール=1/1を加え、析出した固体をろ取することで、PEG-DBCOを合成した。
(工程1b)PEG-DBCOの合成2
PEG-NHS(SUNBRIGHT GL2-400GS2;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL2-800GS2;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL4-400GS2;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL4-800TS;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL2-400GS100U;日油株式会社またはSUNBRIGHT XY4-400TS;日油株式会社)をクロロホルムに溶解し、Dibenzocyclooctyne―amine (5当量、A2763;東京化成工業)を加え室温下3時間撹拌した。エーテル/イソプロパノール=1/1を加え、析出した固体をろ取することで、PEG-DBCOを合成した。
(工程2)PEG結合IL-2改変体の調製
PEG-DBCO(DBCO-PEG4-FLAG(DYKDDDDK)(Jena Bioscience社製)、DBCO-PEG 20kDa(Click Chemistry Tools社製)、DBCO-PEG 30kDa(Click Chemistry Tools社製)または工程1aもしくは工程1bにて調製したPEG-DBCOをD-PBSで溶解し、これをo-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはo-Az-Z-Lys導入IL-2に20mol当量添加し、室温にて一晩静置した。
DBCO-PEG4-FLAGを結合させたPEG結合IL-2改変体はANTI-FLAG M2 Affinity Agarose Gel(Sigma-Aldrich社製)を用いて、メーカーマニュアルに記載の手順で目的タンパク質を精製した。
DBCO-PEG4-FLAG以外のPEGを結合させたPEG結合IL-2改変体は、はじめにMonoS 5/50GL(GEヘルスケア社製)を用いた陽イオン交換クロマトグラフィーにより未反応のPEGを除去した。移動相には50 mmol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)を用いた。ついでSuperrose6 increase 10/30GL(GEヘルスケア社製)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによりPEG結合IL-2改変体を分取した。移動相には、2 mol/L グアニジン塩酸塩を含む100 mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を用いた。
得られたPEG結合IL-2改変体は、Amicon Ultra-4(3kDa)を用いた限界ろ過、またはNAPカラムによりD-PBS又は5w/v% トレハロースを含む10mM酢酸バッファー(pH4.5)又は0.4 mol/Lアルギニン塩酸塩、5w/v% トレハロースを含む10mM酢酸緩衝液(pH4.5)にバッファー置換した。
精製したPEG結合IL-2改変体の純度をSDS-PAGEにて確認した。その結果すべてのPEG結合IL-2改変体において、o-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはm-Az-Z-Lys導入8His-IL-2またはo-Az-Z-Lys導入IL-2に対してPEGの分子量が増加した単一のバンドが認められ、高純度のPEG結合IL-2改変体が得られたことが確認できた。
[実施例9] I129C変異IL-2発現ベクターの調製
配列番号1で表される野生型成熟ヒトIL-2アミノ酸配列の1番目のアラニンを欠損し、125番目のアミノ酸残基をシステインからセリンに、129番目のアミノ酸残基をイソロイシンからシステインに置換し、かつN末端にメチオニンが結合したアミノ酸配列からなるIL-2(アミノ酸配列:配列番号51、当該アミノ酸配列をコードする塩基配列:配列番号52、以下IL-2_I129Cと記載する)をもとにして、上記発現ベクターを作製した。
IL-2_I129Cの塩基配列(配列番号52)を人工遺伝子合成(株式会社ラグアスジャパン)にて調製し、pET-22b(+)(Novagen社製)のNdeI制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトの間に挿入することで、大腸菌用のIL-2_I129C発現ベクター(以下pET-22b(+)-hIL-2_I129Cと記載する)を作製した。
<表16の説明>
・Cys変異位置:配列番号1のN末端からの位置
・1位修飾:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から1番目のアラニン残基の修飾を表す。Mとは、アラニンからメチオニンにアミノ酸残基を置換していることを示す。
・125位変異:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。アミノ酸残基の変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
[実施例10]IL-2_I129Cの調製
IL-2_I129Cを下記に記載の方法で作製した。実施例9で作製した大腸菌用pET-22b(+)-hIL-2_I129Cを大腸菌BL21(DE3)(Novagen社製)に導入し、実施例5に記載の方法にて封入体を得た。
得られた封入体を15 mLの6mol/L グアニジン塩酸塩、5mmol/L DTT、5mmol/L EDTAを含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)にて溶解後、60℃で30分間加温し、遠心分離(19000×g、4℃、30分間)することで上清を回収した(封入体可溶化液)。
封入体可溶化液に15mLの100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を添加し室温で10分間静置後、遠心分離(19000×g、4℃、30分間)することで沈殿を回収した。
得られた沈殿を再度6mol/L グアニジン塩酸塩、5mmol/L DTT、5mmol/L EDATを含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)にて溶解した(沈殿可溶化液)。
AKTA FPLCにHiPrep 26/60 Sephacryl S-100HR(GEヘルスケア社製)を接続し、移動相として6 mol/L グアニジン塩酸塩、5mmol/L DTT、5mmol/L EDTAを含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を送液した。上記沈殿可溶化液をSECカラムに添加し、単量体画分を回収した。
リフォールディングは以下の方法で実施した。上記で調製した単量体IL-2_I129CをNAPカラムを用いて6mol/L グアニジン塩酸塩を含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)にバッファー交換後、2mol/L グアニジン塩酸塩、10vol%グリセロール、6.9mmol/L 還元型グルタチオン、0.7mmol/L 酸化型グルタチオンを含む100mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)にし、室温で一晩静置した。その後、Proteovavi(資生堂社製)を用いた逆相HPLCにてリフォールディング画分を分取し、凍結乾燥した。
作製したIL-2_I129Cの純度をSDS-PAGEにて確認した。その結果、アミノ酸配列から予想される分子量を有する単一のバンドを確認した。
[実施例11] IL-2_I129CのPEG化
表17に示すIL-2_I129CのPEG化体(以下PEG結合IL-2改変体と記載する)を以下の方法で調製した。
〈表17の説明〉
・PEG導入位置:配列番号1のN末端からの位置。
・1位修飾:配列番号1で表されるアミノ酸配列のN末端から1番目のアラニン残基の修飾を表す。Mとは、アラニンからメチオニンにアミノ酸残基を置換していることを示す。
・125位変異:配列番号1のN末端から125番目のアミノ酸残基の変異の有無を示す。アミノ酸残基の変異を加えていない場合は-、システインからセリンにアミノ酸残基を置換する変異を加えている場合はSと記載する。
表中、置換後のアミノ酸残基の列に記載した構造について以下に示す。
C-PEG(Mal)(V40、V80、W80)とは、システイン側鎖に3-(3-チオ-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-プロピルオキシリンカーを介してPEGが導入された下記(式X119)で表される構造であることを示す。この際、C-PEG(Mal)はジオキソピロリジン環が開環した(式X120)または(式X121)で表される構造であってもよい。
V40とは、上記(式X119)~(式X121)中、PEGが平均分子量約40kDaの下記(式X122)で表される構造であることを示し、
V80とは、上記(式X119)~(式X121)中、PEGが平均分子量約80kDaの上記(式X122)で表される構造であることを示し、
W80とは、上記(式X119)~(式X121)中、PEGが(CH2CH2O)mの平均分子量が5kDaであり、(CH2CH2O)nの平均分子量が17.5kDaである下記(式X128)で表される構造であることを示す。
実施例10で調製したIL-2_I129Cの凍結乾燥品を2mol/L グアニジン塩酸塩、1mmol/L EDTAを含む20 mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH7.0)にて溶解した。PEG-マレイミド(SUNBRIGHT GL2-400MA;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL2-800MA;日油株式会社またはSUNBRIGHT GL4-800MA;日油株式会社)をD-PBSで溶解し、これをIL-2_I129Cに対して20mol当量添加し、室温にて一晩静置した。PEG結合IL-2_I129Cは、実施例8に記載の方法で精製した。得られたPEG結合IL-2_I129Cは、NAPカラムを用いて0.4mol/L アルギニン塩酸塩、5w/v% トレハロースを含む10mM酢酸緩衝液(pH4.5)にバッファー置換した。
精製したPEG結合IL-2改変体の純度をSDS-PAGEにて確認した。その結果すべてのPEG結合IL-2改変体において、IL-2_I129Cに対してPEGの分子量が増加した単一のバンドが認められ、高純度のPEG結合IL-2改変体が得られたことが確認できた。
[実施例12]IL-2Rαβγ選択性の評価
作製したIL-2改変体のヒトIL-2Rαβγに対する選択性を以下の方法で評価した。
マウスpro B細胞株Ba/F3(RCB0805)にヒトIL-2Rαβγ、又はヒトIL-2Rβγを発現させることで、ヒトIL-2依存性生存細胞株を作製した。各細胞は、ヒトCD25、ヒトCD122、ヒトCD132およびmonomeric Azami-Greenをfurin切断配列(RAKR)とfoot-and-mouth-disease virus由来2Aペプチド配列(APVKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP)を介して連結したヒトIL-2Rαβγ-Azamigreen融合体のアミノ酸配列(配列番号19)をコードする遺伝子配列(配列番号20)またはヒトCD122、ヒトCD132およびmonomeric Azami-Greenをfurin切断配列とfoot-and-mouth-disease virus由来2Aペプチド配列を介して連結したヒトIL-2Rβγ-Azamigreen融合体のアミノ酸配列(配列番号21)をコードする遺伝子配列(配列番号22)を有するpDELTAベクターをNucleofector 2b(Lonza社製)を用いてBa/F3に遺伝子導入し、ヒトIL-2に依存性を示すクローンを選抜することで得た。得られた細胞はそれぞれBa/F3-hIL-2RαβγおよびBa/F3-hIL-2Rβγとした。
Ba/F3-hIL-2RαβγおよびBa/F3-hIL-2Rβγを遠心管に回収し、1200rpmで3分間遠心分離後、上清を吸引除去した。D-PBSにて4回洗浄後、アッセイ用培地[RPMI 1640培地(ナカライテスク社製) 500mLに非働化FBS 50mL(GIBCO社製)およびペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液(ナカライテスク社製)5mLを加えた培地]にて細胞を5.0×104cells/mLに懸濁し、96穴白色平底プレート(住友ベークライト社製)に100μL/wellずつ播種した。
アッセイ用培地(0%コントロール)、アッセイ用培地にて390nmol/Lに希釈した市販IL-2溶液(終濃度65nmol/L、100%コントロール)および、アッセイ用培地にて終濃度の6倍濃度に希釈した市販IL-2であるPeprotech社製IL-2[以下、IL-2(P)と記載する]およびThermo Fisher Scientific社製IL-2[以下、IL-2(T)と記載する]又は各種糖鎖結合IL-2溶液(最高終濃度65nM、10倍の希釈系列で9条件)を20μL/wellずつ添加し、37℃、5%CO2下で24~48時間培養した。
Celltiter-Glo溶液(Promega社製)を80μL/wellずつ添加し、室温にて10分間静置後、マルチプレートリーダーARVO(Perkin Elmer社製)にて発光値を測定した。
IL-2(P)またはIL-2(T)を終濃度 65nmol/mLで添加したウェルのrelative fluorescence units(RLU)値を100%、IL-2を含まない培地を添加したウェルのRLU値を0%として、各種改変体のIL-2依存性細胞増殖率(% of IL-2-dependent proliferation)を算出した。得られたデータを基に、統計解析ソフトXLfit5 version 5.3.1.3(IBDS社製)を用いてEC50値の算出を行った。
IL-2(P)またはIL-2(T)よび各種糖鎖結合IL-2改変体に関し、Ba/F3-hIL-2Rαβγに対するEC50値(EC50αβγ)とBa/F3-hIL-2RβγのEC50値(EC50βγ)の比(EC50βγ/EC50αβγ)をEC50 ratio値と定義し、IL-2Rαβγ選択性の指標として用いた。
IL-2(P)またはIL-2(T)のEC50 ratio値を1とした時の、各種糖鎖結合IL-2改変体のEC50 ratio値を標準化EC50 ratio値として、表18~20に示す。
表18~20において、標準化EC50 ratio値が5以上の糖鎖結合IL-2改変体およびN末PEG化、糖鎖結合IL-2およびCys-PEG化、糖鎖結合IL-2を、コントロールであるIL-2(P)またはIL-2(T)よりもIL-2Rαβγ選択性が高い改変体と判断した。
表18~20に示すように、多数の糖鎖結合IL-2改変体およびN末PEG化、糖鎖結合IL-2およびCys-PEG化、糖鎖結合IL-2がIL-2(P)またはIL-2(T)よりもIL-2Rαβγ選択性が高い改変体であることが確認できた。さらに、Q13C-2、Q13C-11、E15C-2、E15C-11、H16C-2、H16C-3、H16C-5、H16C-9、L19C-2、L19C-9、L19C-11、L19C-11*、N88C-2、I92C-2、S130C-2、S130C-9、E15C-17、L19C-17、L12C-11/V91C-11、L12C-11/V115C-11、L12C-11/N119C-11、Q13C-11/V91C-11、Q13C-11/V115C-11、Q13C-11/N119C-11、L19C-11/V115C-11、V91C-11/V115C-11、V91C-11/N119C-11、A1C-11/T3C-11/S5C-11/L12C-11/V91C-11、T3C-11/L12C-11/T51C-11/V91C-11/E100C-11、T3C-11/L12C-11/K76C-11/V91C-11/E100C-11、L12C-11/V91C-11/E100C-11/T102C-11/M104C-11、A1-Li20(CHO)/Q11C-9、A1-Li20(CHO)/L12C-9、A1-Li20(CHO)/R38C-9、A1-Li20(CHO)/V91C-9、A1C-Li40(IAc)/L12C-11/V91C-11、A1C-V80(Mal)/L12C-11/V91C-11、A1C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、A1C-Y50(Mal)/L12C-11/V91C-11、A1C-W80(Mal)/L12C-11/V91C-11、A1C-Y50(IAc)/L19C-11、A1C-V40(IAc)/L19C-11、A1C-Y50(IAc)/V91C-11/N119C-11、T3C-Li20(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Li40(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-2、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(Mal)/L12C-11/V91C-11、T3C-V40(IAc)/E15C-11、T3C-V80(Mal)/E15C-11、T3C-Y50(IAc)/E15C-11、F78C-Li40(IAc)/L12C-11、F78C-V40(IAc)/L12C-11、F78C-V40(Mal)/L12C-11、F78C-V80(Mal)/L12C-11、F78C-W80(Mal)/L12C-11、F78C-Li40(IAc)/E15C-11は標準化EC50 ratio値が30より大きく、コントロールであるIL-2(P)またはIL-2(T)よりもIL-2Rαβγに対する選択性が非常に高い糖鎖結合IL-2改変体およびN末PEG化、糖鎖結合IL-2およびCys-PEG化、糖鎖結合IL-2であることが確認できた。
各種PEG結合IL-2改変体についても、同様の方法でIL-2依存性細胞増殖率を測定して標準化EC50 ratio値を算出した結果を、表21および表22に示す。ただし、糖鎖結合IL-2改変体のコントロールはIL-2(P)またはIL-2(T)であったのに対し、PEG結合IL-2改変体のコントロールはIL-2(P)または8His-IL-2を使用した。
表21および表22において、標準化EC50 ratio値が5以上のPEG結合IL-2改変体を、コントロールである8His-IL-2よりもIL-2Rαβγ選択性が高い改変体と判断した。
表21および表22に示すように、多数のPEG結合IL-2改変体が8His-IL-2よりもIL-2Rαβγ選択性が高い改変体であることが確認できた。さらに8His-F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li40、8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-F78(oAzZK)-Y50、F78(oAzZK)-Li40、F78(oAzZK)-V40、F78(oAzZK)-W40、F78(oAzZK)-IIII40、F78(oAzZK)-V80、F78(oAzZK)-W80、8His-I129(oAzZK)-Li30、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(mAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40, 8His-I129(oAzZK)-Y50、I129(oAzZK)-Li30、I129(oAzZK)-Li40、I129(oAzZK)-V40、I129(oAzZK)-W40、I129(oAzZK)-IIII40、I129(oAzZK)-V80、I129(oAzZK)-W80、desAla-I129(oAzZK) -V40、desAla-I129(oAzZK)-W80、desAla-I129(oAzZK)-V80、I129C-V40(Mal)、I129C-V80(Mal)、I129C-W80(Mal)、8His-S4(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、S4(oAzZK)-Li40/F78(oAzZK)-Li40、S4(oAzZK)-Y50/F78(oAzZK)-Y50、8His-S5(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、S5(oAzZK)-Li40/F78(oAzZK)-Li40、8His-K8(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、K8(oAzZK)-Li40/F78(oAzZK)-Li40、8His-F78(oAzZK)-Li30/H79(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/S99(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-S4(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、S4(oAzZK)-Li40/I129(oAzZK)-Li40、S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-S5(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S5(oAzZK)-Li40/I129(oAzZK)-Li40、S5(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-K8(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、K8(oAzZK)-Li40/I129(oAzZK)-Li40、K8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-H79(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30および8His-S99(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30は標準化EC50 ratio値が30より大きく、コントロールであるIL-2(P)または8His-IL-2よりもIL-2Rαβγに対する選択性が非常に高いPEG結合IL-2改変体であることが確認できた。
上記の実験において、IL-2(P)、IL-2(T)、野生型IL-2および8His-IL-2のEC50 ratio値が同程度であることを確認している。したがって、表18~20において標準化EC50 ratio値が5以上の糖鎖結合IL-2改変体、およびPEG化糖鎖結合IL-2改変体、ならびに表21および表22において標準化EC50 ratio値が5以上のPEG結合IL-2改変体は、野生型IL-2よりもIL-2Rαβγ選択性が高い改変体である。
[実施例13]Treg増殖活性
各種IL-2のヒトTregに対する細胞増殖活性を以下の方法で測定した。各種IL-2として、糖鎖結合IL-2改変体としてH16C-2、E15C-11、L19C-9、L19C-11、N88C-2、L12C-11/V91C-11、V91C-11/V115C-11、V91C-11/N119C-11およびA1C-11/T3C-11/S5C-11/L12C-11/V91C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体として、A1C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Li20(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/E15C-11、T3C-V40(IAc)/E15C-11、T3C-V80(Mal)/E15C-11およびF78C-V40(IAc)/L12C-11、PEG結合IL-2改変体として、8His-S4(oAzZK)-Li20、8His-S5(oAzZK)-Li20、8His-S6(oAzZK)-Li20、8His-T7(oAzZK)-Li20、8His-K8(oAzZK)-Li20、8His-E60(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-H79(oAzZK)-Li20、8His-R81(oAzZK)-Li20、8His-L94(oAzZK)-Li20、8His-S99(oAzZK)-Li20、8His-E100(oAzZK)-Li20、8His-T101(oAzZK)-Li20、8His-Q126(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40、8His-I129(oAzZK)-Y50、I129(oAzZK)-V40、I129(oAzZK)-W80、I129C-V40(Mal)、8His-S4(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/H79(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/S99(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-S4(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-S5(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S5(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-K8(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、K8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-H79(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30および8His-S99(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30ならびにコントロールとしてIL-2(P)および8His-IL-2を使用した。
凍結ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)(AllCells社製)を37℃の温浴にて溶解後、培養用培地[X-vivo15 SFM(Lonza社製) 1000mL、非働化ヒトAB血清 (SIGMA社製)150mL]10mLに懸濁し、接着用T-75フラスコ(greiner bio-one社製)に播種して24時間静置培養した(37℃、95vol% air/5vol% CO2下)。細胞を全量回収し、EasySep Human CD4+ Tcells Enrichment kit(STEMCELL Technologies社製)を用いてCD4+T細胞を濃縮した。
Anti-human CD4-Alexa488(Biolegend社製)、anti-human CD25-PE(BD Pharmingen社製)、anti-human CD127-BV421(Biolegend社製)にて染色後(氷上、30分間)、セルソーターSH800(SONY社製)にてCD4+CD25+CD127low画分(Treg)を分離した。
分離したTregおよび培養用培地にて3回洗浄したCD3/CD28 Dynabeads(Thermo Fischer SCIENTIFIC社製)を混合して、それぞれ3.4×104個/mLになるよう培養用培地にて懸濁し、96穴U底プレート(corning社製)に150μL/wellずつ播種した。培養用培地で終濃度の4倍濃度に希釈した各種IL-2溶液を50μL/wellずつ添加して、37℃、5% CO2下で培養を開始した。
5~7日間培養した後、各ウェルの全液量のうち50μLを、96穴白色プレートに移した。Celltiter-Glo溶液を50μL/wellずつ添加し、室温にて10分間静置した後、ルミノメーター(TURNER BIOSYSTEMS社製)にて発光値を測定した。
コントロールのIL-2(P)または8His-IL-2を終濃度65nmol/Lで添加したウェルのRLU値を100%、IL-2を含まない培地を添加したウェルのRLU値を0%として、各種IL-2のTreg増殖率を算出した。
得られた結果を図1A~Jに示す。図1A~Cに示すように、IL-2(P)はIL-2濃度650pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示したのに対し、糖鎖結合IL-2改変体であるH16C-2、E15C-11、L19C-9、L19C-11*、N88C-2、L12C-11/V91C-11、V91C-11/V115C-11およびV91C-11/N119C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体であるT3C-Y50(IAc)/E15C-11は、IL-2濃度650~6500pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示した。
また、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体である、L12C-11/F78C-V40(IAc)は、IL-2濃度65nmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示した。糖鎖結合IL-2改変体である、A1C-11/T3C-11/S5C-11/L12C-11/V91C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体である、A1C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Li20(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-V40(IAc)/E15C-11およびT3C-V80(Mal)/E15C-11は、IL-2濃度65nmol/LにおいてもIL-2依存性細胞増殖率は80%以下であった。
また、図1D~Jに示すように、コントロールである8His-IL-2はIL-2濃度6500pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示したのに対し、PEG結合IL-2改変体である8His-S4(oAzZK)-Li20、8His-S5(oAzZK)-Li20、8His-S6(oAzZK)-Li20、8His-T7(oAzZK)-Li20、8His-K8(oAzZK)-Li20、8His-E60(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-H79(oAzZK)-Li20、8His-R81(oAzZK)-Li20、8His-L94(oAzZK)-Li20、8His-S99(oAzZK)-Li20、8His-E100(oAzZK)-Li20、8His-T101(oAzZK)-Li20、8His-Q126(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40、8His-I129(oAzZK)-Y50、I129(oAzZK)-V40、I129C-V40(Mal)、8His-S4(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/S99(oAzZK)-Li30、8His-S4(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、および8His-S99(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30は、IL-2濃度650~6500pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示した。
また、PEG結合IL-2改変体であるI129(oAzZK)-W80、8His-F78(oAzZK)-Li30/H79(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、S5(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、K8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50および8His-H79(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30は、IL-2濃度65nmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示した。
以上の結果から、評価した全てのIL-2改変体がTregの細胞増殖活性を有することが確認された。また、コントロールであるIL-2(P)または8His-IL-2(P)に対して、各種IL-2改変体、糖鎖結合IL-2改変体であるH16C-2、E15C-11、L19C-9、L19C-11*、N88C-2、L12C-11/V91C-11、V91C-11/V115C-11およびV91C-11/N119C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体であるT3C-Y50(IAc)/E15C-11、並びにPEG結合IL-2改変体である8His-S4(oAzZK)-Li20、8His-S5(oAzZK)-Li20、8His-S6(oAzZK)-Li20、8His-T7(oAzZK)-Li20、8His-K8(oAzZK)-Li20、8His-E60(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-H79(oAzZK)-Li20、8His-R81(oAzZK)-Li20、8His-L94(oAzZK)-Li20、8His-S99(oAzZK)-Li20、8His-E100(oAzZK)-Li20、8His-T101(oAzZK)-Li20、8His-Q126(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40, 8His-I129(oAzZK)-Y50、I129(oAzZK)-V40、I129C-V40(Mal)、8His-S4(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/S99(oAzZK)-Li30、8His-S4(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、および8His-S99(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30のTreg増殖活性は維持されていた。
また、コントロールであるIL-2(P)または8His-IL-2(P)に対して、各種IL-2改変体、糖鎖結合IL-2改変体であるA1C-11/T3C-11/S5C-11/L12C-11/V91C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体であるA1C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Li20(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-V40(IAc)/E15C-11、T3C-V80(Mal)/E15C-11およびF78C-V40(IAc)/L12C-11、PEG結合IL-2改変体である、I129(oAzZK)-W80、8His-F78(oAzZK)-Li30/H79(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、S5(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、K8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50および8His-H79(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30のTreg増殖活性は低下した。
[実施例14]NK細胞増殖活性
各種IL-2のヒトNK細胞の細胞増殖活性を以下の方法で測定した。各種IL-2改変体として、糖鎖結合IL-2改変体として、H16C-2、E15C-11、L19C-9、L19C-11*、N88C-2、L12C-11/V91C-11、V91C-11/V115C-11、V91C-11/N119C-11およびA1C-11/T3C-11/S5C-11/L12C-11/V91C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体として、A1C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Li20(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/E15C-11、T3C-V40(IAc)/E15C-11、T3C-V80(Mal)/E15C-11およびF78C-V40(IAc)/L12C-11、PEG結合IL-2改変体として、8His-S4(oAzZK)-Li20、8His-S5(oAzZK)-Li20、8His-S6(oAzZK)-Li20、8His-T7(oAzZK)-Li20、8His-K8(oAzZK)-Li20、8His-E60(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-H79(oAzZK)-Li20、8His-R81(oAzZK)-Li20、8His-L94(oAzZK)-Li20、8His-S99(oAzZK)-Li20、8His-E100(oAzZK)-Li20、8His-T101(oAzZK)-Li20、8His-Q126(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40、8His-I129(oAzZK)-Y50、I129(oAzZK)-V40、I129(oAzZK)-W80、I129C-V40(Mal)、8His-S4(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/H79(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/S99(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-S4(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-S5(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S5(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-K8(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、K8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-H79(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30および8His-S99(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30ならびにコントロールとしてIL-2(P)および8His-IL-2を使用した。
ヒトPBMCからのNK細胞の分離は下記方法で実施した。実施例13に記載の方法にて凍結ヒトPBMCを解凍し、NK Cell Isolation Kit human(Miltenyi Biotech社製)を用いてCD56+ NK細胞を分離した。分離した細胞を培養用培地にて3回洗浄後(1500rpm、室温、5分間)、下記の増殖アッセイに供した。
分離したNK細胞を1.3×105cells/mLになるよう培養用培地またはX-vivo10 SFM(Lonza社製)にて懸濁し、96穴U底プレートに150μL/well(2×104cells/well)ずつ播種した。培養用培地またはX-vivo10 SFMで終濃度の4倍濃度に希釈したIL-2溶液を50μL/wellずつ添加し、37℃、5% CO2下で4~6日間培養した。その後、各種IL-2のNK細胞増殖率を実施例13に記載の方法にて算出した。
増殖用培地を用いて得られた結果を図2A~Hに、X-vivo 10 SFMを用いて得られた結果を図2I~Kに示す。
図2A、HおよびKに示すように、IL-2(P)は増殖用培地ではIL-2濃度6500pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示したのに対し、糖鎖結合IL-2改変体である、H16C-2およびL19C-9は、IL-2濃度65nmol/LにおいてもIL-2依存性細胞増殖率は20%以上、80%未満であり、糖鎖結合IL-2改変体である、N88C-2およびL12C-11/V91C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体である、A1C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Li20(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/E15C-11、T3C-V40(IAc)/E15C-11、T3C-V80(Mal)/E15C-11およびL12C-11/F78C-V40(IAc)は、IL-2濃度65nmol/LにおいてもIL-2依存性細胞増殖率は20%未満を示した。
また、IL-2(P)はX-vivo 10 SFMではIL-2濃度65pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示したのに対し、糖鎖結合IL-2改変体である、E15C-11はIL-2濃度6500pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示し、糖鎖結合IL-2改変体である、L19C-11*、V91C-11/V115C-11およびV91C-11/N119C-11は、IL-2濃度65nmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示し、糖鎖結合IL-2改変体である、A1C-11/T3C-11/S5C-11/L12C-11/V91C-11はIL-2濃度65nmol/LにおいてもIL-2依存性細胞増殖率は20%以下であった。
次いで図2B~GおよびI~Jに示すように、8His-IL-2は増殖用培地ではIL-2(P)と同様にIL-2濃度6500pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示したのに対し、PEG結合IL-2改変体である、8His-S4(oAzZK)-Li20、8His-S5(oAzZK)-Li20、8His-S6(oAzZK)-Li20、8His-T7(oAzZK)-Li20、8His-K8(oAzZK)-Li20、8His-E60(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-Li20、8His-H79(oAzZK)-Li20、8His-R81(oAzZK)-Li20、8His-L94(oAzZK)-Li20、8His-S99(oAzZK)-Li20、8His-E100(oAzZK)-Li20、8His-T101(oAzZK)-Li20および8His-Q126(oAzZK)-Li20 はIL-2濃度65nmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示し、PEG結合IL-2改変体である、8His-I129(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40および8His-I129(oAzZK)-Y50はIL-2濃度65nmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が20%以上、80%未満であり、PEG結合IL-2改変体である、I129(oAzZK)-W80、I129C-V40(Mal)、8His-S4(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-S5(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S5(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-K8(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30およびK8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50はIL-2濃度65 nmol/LにおいてもIL-2依存性細胞増殖率は20%未満であった。また、IL-2(P)はX-vivo 10 SFMではIL-2濃度65pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示したのに対し、PEG結合IL-2改変体である、I129(oAzZK)-V40、8His-S5(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30および8His-F78(oAzZK)-Li30/S99(oAzZK)-Li30はIL-2濃度65nmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率が80%以上を示し、PEG結合IL-2改変体である、8His-S4(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/H79(oAzZK)-Li30、、8His-F78(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30および8His-H79(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30はIL-2濃度65nmol/LにおいてもIL-2依存性細胞増殖率は20%以上、80%未満であった。8His-S99(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30は最大添加濃度6500 pmol/LにおいてIL-2依存性細胞増殖率は30%であった。
以上の結果から、評価した全てのIL-2改変体においてNK細胞に対する細胞増殖活性が低下していることが確認された。特に、糖鎖結合IL-2改変体であるH16C-2、E15C-11、L19C-9、L19C-11*、N88C-2、L12C-11/V91C-11、V91C-11/V115C-11、V91C-11/N119C-11およびA1C-11/T3C-11/S5C-11/L12C-11/V91C-11、Cys-PEG化、糖鎖結合IL-2改変体であるA1C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Li20(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/L12C-11/V91C-11、T3C-Y50(IAc)/E15C-11、T3C-V40(IAc)/E15C-11、T3C-V80(Mal)/E15C-11およびL12C-11/F78C-V40(IAc)、PEG結合IL-2改変体である8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-I129(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40、8His-I129(oAzZK)-Y50、I129(oAzZK)-V40、I129(oAzZK)-W80、I129C-V40(Mal)、8His-S4(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li30/F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/H79(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/S99(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、8His-S4(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S4(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-S5(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、S5(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-K8(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30、K8(oAzZK)-Y50/I129(oAzZK)-Y50、8His-H79(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30および8His-S99(oAzZK)-Li30/I129(oAzZK)-Li30は、コントロールであるIL-2(P)および8His-IL-2よりも大きく細胞増殖活性が低下していることが確認された。
TregはIL-2Rαβγを発現しており、NK細胞はIL-2Rβγを発現している。実施例13および14の結果から、評価した全てのIL-2改変体は、IL-2Rβγを発現するNK細胞ではなく、IL-2Rαβγを発現するTregを選択的に増殖させることが明らかとなった。
[実施例15]IL-2刺激Tregによる、Trespの増殖阻害活性
以下に記載する方法で、各種IL-2で刺激して増殖させたヒトTregによる、ヒトTrespの増殖阻害活性を測定した。すべての細胞は同一ロットの凍結ヒトPBMCより分離した。各種IL-2としては、糖鎖結合IL-2改変体H16C-2、L19C-9、およびN88C-2ならびにコントロールとしてIL-2(P)を使用した。
アッセイの7日前に、実施例13に記載の方法で、凍結ヒトPBMCからTregを分離した。得られたTregをCD3/CD28 Dynabeads(Treg:beads=1:1)および各種IL-2(終濃度65nM)存在下で7日間培養した。得られた細胞をIL-2刺激Tregとした。
試験当日の細胞調製は次の通りに実施した。実施例13に記載の方法で凍結ヒトPBMCからTregを分離し、これを未刺激Tregとした。凍結ヒトPBMCからEasySep Human T Cell Enrichment Kit(STEMCELL Technologies社製)およびEasySep Human Pan-CD25 Positive Selection and Depletion Kit(STEMCELL Technologies社製)を用いてCD3+CD25-T細胞を分離後、10%FBS含有RPMI1640培地で40μmol/Lに希釈したCelltrace violet(Thermo Fischer SCIENTIFIC社製)を室温にて5分間反応させることで細胞をラベリングした。
得られた細胞はレスポンダーT細胞(Tresp)とした。凍結ヒトPBMCからAnti-HLA-DR MicroBeads,human(Miltenyi Biotec社製)を用いてHLA-DR+細胞を分離した。得られた細胞はAPC(Antigen presenting cell)とした。
得られた細胞は抗CD3抗体OKT3(Biolegend社製)を終濃度0.5μg/mLになるよう添加したX-vivo15SFMで懸濁後、Trespは2×104cells/well(50μL)、APCは1×105cells/well(50μL)、Tregは1.6×102~5×103cells/well(50μL)(Tresp:Treg=4:1~128:1)で96穴V底プレート(住友ベークライト社製)に播種し、37℃、5% CO2下で4日間培養した。
その後、細胞をanti-human CD4-APC(BD Pharmingen社製)およびanti-human CD8-PE(BD Pharmingen社製)で染色(室温にて15分間)した後に、フローサイトメーターFACS Canto II(BD Biosciences社製)にて各種蛍光強度を測定した。
得られたデータは、FCS fileとして出力した後に、データ解析ソフトFLowJo(TreeStar、version7.6.5)を用いてCD4+TrespまたはCD8+Trespにおける細胞の平均***回数であるdivision index値について解析を行った。
APCとTrespを添加し、Treg無添加のウェルのdivision index値を100%コントロール、Trespのみ添加したウェルのdivision index値を0%コントロールとして、未刺激Treg、またはIL-2刺激Treg添加時のTrespの細胞増殖率を算出した。得られた結果を図3(A)および図3(B)に示す。
図3(A)および図3(B)に示すように、CD4+TrespおよびCD8+Trespの細胞増殖は、未刺激Tregを用いた場合、Tregを最大量の5×103cells/well(Tresp:Treg=4:1)で添加した場合でも阻害されなかった。
一方、IL-2(P)、糖鎖結合IL-2改変体H16C-2、L19C-9、およびN88C-2を用いて刺激し、増殖させたIL-2刺激Tregを添加した場合は、いずれも未刺激Tregを添加したときよりもTrespの増殖が阻害された。
IL-2刺激Tregにより、CD4+Trespの増殖は最大40~60%程度、CD8+Trespの増殖は最大30~40%程度阻害された。市販IL-2で刺激したTregと、糖鎖結合IL-2改変体で刺激したTregとでは、Trespの増殖阻害率は同等であった。
以上の結果から、作製した糖鎖結合IL-2改変体は、Tregの抑制活性をIL-2(P)と同程度に増強することが明らかとなった。
[実施例16]Ex vivoアッセイ
各種IL-2で刺激したヒトPBMCの各種サイトカインの産生量を以下に記載する方法で測定した。各種IL-2としては、糖鎖結合IL-2改変体H16C-2、L19C-9、およびN88C-2ならびにポジティブコントロールとしてIL-2(P)を使用した。
ヒト末梢血を15mL遠心管に分注後、2000rpmで10分間遠心分離し、上清を回収することでヒト血漿を得た。得られた血漿は0.22μmフィルターを用いて濾過滅菌した。回収した血漿と等量のPBSを末梢血に添加し希釈後、Ficoll Paque plus(GEヘルスケア社製)を用いた密度勾配遠心法によりヒトPBMCを得た。
得られたヒトPBMCを自己血漿で5×106cells/mLに懸濁し、そこに抗CD3抗体OKT3を終濃度0.5μg/mLになるよう添加した。96穴U底プレートに180μl/wellで播種後、0.1%BSA-PBSで終濃度の10倍濃度に希釈した各種IL-2を20μl/wellずつ添加した。37℃、5% CO2下で5日間培養後、培養上清を回収し、上清中のサイトカイン産生量をHuman Th1/2/17 CBA kit(BD Biosciences社製)を用いて定量した。
また得られたヒトPBMCを用いて、以下に記載する方法で各種IL-2のTreg選択的増殖活性を測定した。ヒトPBMCと、Anti-human CD4-Alexa488を反応後、PerFix-EXPOSE Phospho Epitope Exposure Kit(Beckman Coulter社製)のPerFix EXPOSE Buffer 1およびPerFix EXPOSE Buffer 2を用いて細胞の固定および透過処理を行った後に、anti-human CD25-PE(BD Biosciences社製)とanti-human Foxp3 Alexa647(Biolegend社製、Cat#320214)を含むPerFix EXPOSE Buffer 3を添加し、細胞を染色した(遮光、室温、60分間)。
さらに、PerFix EXPOSE Buffer 4を添加して細胞を2回洗浄後(2500rpm、3分間遠心分離)、フローサイトメーターLSRFortessa(BD Biosciences社製)にて各種蛍光強度を測定した。
得られたデータは、FCS fileとして出力した後に、データ解析ソフトFLowJo(TreeStar社製、version7.6.5)を用いて解析を行った。CD4陽性画分の中で、CD25+Foxp3high画分をTreg、CD25+Foxp3low画分をエフェクターT細胞(Teff)とし、その存在比[Treg(%)/Teff(%)]を算出し、Treg選択的増殖活性の指標とした。
測定されたサイトカイン産生量の結果を図4(A)~図4(E)に示す。図4(A)~図4(E)に示すように、IL-2(P)は、測定したサイトカインのうち、IL-4、IL-6、IL-10、IFNγおよびTNFαの全てのサイトカインの産生を促進していた。
一方、糖鎖結合IL-2改変体ではIL-6およびIL-10産生量は市販IL-2と同程度であったが、IL-4、IFNγおよびTNFαの産生量が低下していた。IL-17Aの産生はどの培養条件でも検出限界以下であった。
IL-10は抗炎症性サイトカインであり、IL-6、IL-4、IFNγ、およびTNFαは炎症性サイトカインである。
以上の結果から、作製した糖鎖結合IL-2改変体の炎症性サイトカインの産生促進活性は、IL-2(P)よりも大幅に低下していることが確認できた。
また、得られたTreg/Teff比を図4(F)に示す。図4(F)に示すように、IL-2(P)で刺激した場合のTreg/Teff比は0.2~0.3程度であった。一方、糖鎖結合IL-2改変体H16C-2、L19C-9、およびN88C-2で刺激した場合のTreg/Teff比は、いずれも0.3~0.5程度であった。
以上の結果から、生体内の環境に近い多様な免疫細胞が存在する培養条件下において、作製した糖鎖結合IL-2改変体はIL-2(P)と比べて、TeffよりもTregを選択的に増殖させることが明らかとなった。TregおよびTeffはともにIL-2Rαβγを発現しているが、当該IL-2改変体は、TeffよりもTregを選択的に増殖させる性質を有し、炎症を鎮静化させるのに望ましいIL-2改変体である。
[実施例17]親和性解析
下記の方法で、各種IL-2のhuman CD25ECD-Fcおよびhuman IL-2RβγECD-Fcに対する親和性を測定した。各種IL-2として、糖鎖結合IL-2改変体L12C-2、L12C-9、L12C-11、H16C-2、L19C-9、L12C-11、N88C-2およびV91C-11、ならびにコントロールとして野生型IL-2、8His-IL-2およびIL-2(P)を使用した。
human CD25ECD-Fcおよびhuman IL-2RβγECD-FcヒトCD25の細胞外領域とC末端にAvitag配列(GLNDIFEAQKIEWHE)を有するヒトIgG1由来Fcから成るCD25ECD-Fc-Avitagのアミノ酸配列(配列番号23)を基に設計した塩基配列(配列番号24)を、INPEP4ベクターのBglII制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに挿入することで、哺乳類細胞用のヒトCD25ECD-Fc-Avitag発現ベクターを作製した。
また、ヒトCD122の細胞外領域とY354C/T366W変異およびC末端にAvitag配列およびポリヒスチジンタグ配列(HHHHHHHH)を有するヒトIgG1由来Fc領域から成るCD122ECD-Fc(knob)-Avitag-8Hisと、ヒトCD132の細胞外領域とY349C/T366S/L368A/Y407V変異およびC末端にFLAGタグ配列を有するヒトIgG1由来Fc領域から成るCD132ECD-Fc(hole)-FLAGをfurin切断配列とfoot-and-mouth-disease virus由来2Aペプチド配列を介して連結したヒトCD122ECD-Fc-Avitag-8His_ヒトCD132ECD-Fc-FLAGのアミノ酸配列(配列番号25)を基に設計した塩基配列(配列番号26)を、INPEP4ベクターのBglII制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに挿入することで、哺乳類細胞用のヒトIL-2RβγECD-Fc発現ベクターを作製した。
得られたプラスミドとExpi293 Expression System(ThermoFisher SCIENTIFIC社製)を用いて、各種Fc融合タンパク質を培養上清中に発現させた。CD25ECD-FcはMabselect sure(GEヘルスケア社製)を用いて粗精製後、Superdex200 10/300GL(GEヘルスケア社製)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによりモノマー画分を分取した(移動相:D-PBS)。
一方、IL-2RβγECD-FcはMabselect sureを用いて粗精製後、Superdex200 10/300GLを用いたサイズ排除クロマトグラフィー(移動相:D-PBS)およびANTI-FLAG M2 Affinity Agarose Gelを用いた精製によりモノマー画分を分取した。
Series S Sensor chip CM5(GEヘルスケア社製)をBiacore T-100(GEヘルスケア社製)にセットし、Human Antibody Capture Kit(GEヘルスケア社製)を用いて、親和性測定用フローセルおよびリファレンス用フローセルにanti-human Fcを固定化した。
次に、HBS-EP(+)バッファー(GEヘルスケア社製)にて流路を置換した後、リガンドとして、HBS-EP(+)にて希釈したCD25ECD-Fc又はIL-2RβγECD-Fcを、親和性測定用フローセルにのみ添加した(固定化量:200~900RU)。
その後、アナライトとして、HBS-EP(+)バッファーにて至適濃度に希釈したIL-2(P)を親和性測定用フローセルおよびリファレンス用フローセルに添加し、センサーグラムを得た。フローセルの再生反応には3mol/L MgCl2を用いた。
得られたセンサーグラムからの速度論定数の算出にはBiacore T-100 Evaluation softwareを用いた。CD25ECD-Fcに対する結合の解析にはsteady stateモデルを用い、解離定数KDを求めた。IL-2RβγECD-Fcに対する結合の解析には1:1 binding modelを用い、結合速度定数ka、解離速度定数kdおよびKDをそれぞれ求めた。得られたKDを表23に示す。
表23に示すように、CD25に対するKD値は、糖鎖結合IL-2改変体とIL-2(P)とで同程度であった。一方、IL-2Rβγに対するKD値は、糖鎖結合IL-2改変体がIL-2(P)よりも高かった。
表18~20の結果と合わせると、IL-2Rβγに対するKD値が高いものほど、IL-2Rαβγ選択性が高くなる傾向が確認できた。
以上の結果から、糖鎖結合IL-2改変体は、CD25に対する親和性を維持している一方、IL-2Rβγに対する親和性が低下することで、IL-2Rαβγ選択性が向上したと考えられた。
[実施例18]糖鎖・PEG構造の影響
IL-2にアミノ酸改変を行うことや、糖鎖またはPEGを結合させることがIL-2Rαβγ選択性に与える影響を評価するため、実施例1で作製したL19C、L19C-acetamide、L19N、および実施例5で作製した各種o-Az-z-Lys導入8His-IL-2を実施例12に記載の方法と同様の手法で標準化EC50 ratio値を測定した。得られた結果を表24に示す。
表24に示すように、L19C、L19C-acetamide、L19Nの標準化EC50 ratio値が5~30であった。表18に示すように、L19C-2、L19C-9、L19C-11およびL19C-11*の標準化EC50 ratio値は30以上であったことから、L19C-2、L19C-9、L19C-11およびL19C-11*は糖鎖結合によりIL-2Rαβγに対する選択性が向上していることが明らかになった。
また、表24に示すように、8His-Q126(oAzZK)以外のo-Az-Z-Lys導入8His-IL-2改変体の標準化EC50 ratio値が5以下であった。表21および表22に示すように、8His-S4(oAzZK)-Li20、8His-S4(oAzZK)-Li30、8His-S5(oAzZK)-Li20、8His-S5(oAzZK)-Li30、S6(oAzZK)-Li20、8His-S6(oAzZK)-Li30、8His-T7(oAzZK)-Li30、8His-K8(oAzZK)-Li20、8His-K8(oAzZK)-Li30、8His-E60(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li20、8His-F78(oAzZK)-Li30、8His-F78(oAzZK)-Li40、8His-F78(oAzZK)-V40、8His-F78(oAzZK)-W40、8His-F78(oAzZK)-Y50、8His-H79(oAzZK)-Li20、8His-H79(oAzZK)-Li30、8His-S99(oAzZK)-Li30、8His-E100(oAzZK)-Li20、8His-T101(oAzZK)-Li20、8His-T101(oAzZK)-Li30、8His-I129(oAzZK)-PEG4、8His-I129(oAzZK)-Li20、8His-I129(oAzZK)-Li30、8His-I129(oAzZK)-Li40、8His-I129(oAzZK)-V40、8His-I129(oAzZK)-W40および8His-I129(oAzZK)-Y50の標準化EC50 ratio値は5以上であったことから、これらPEG結合IL-2改変体はPEGが結合されることによりIL-2Rαβγに対する選択性が向上していることが明らかになった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2017年12月27日付けで出願された日本特許出願(特願2017-252224)に基づいており、その全体が引用により援用される。