JP7272583B2 - イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面処理方法 - Google Patents

イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面処理方法に関する。
抗原抗体反応を利用した簡易な免疫測定として、イムノクロマトアッセイ法が広く普及している。イムノクロマトアッセイ法は、操作が簡便であり、短時間で測定可能であることから、特に妊娠診断やインフルエンザの感染確認など速報性を要する場合の臨床検査や診断に広く用いられている(例えば、非特許文献1)。
イムノクロマトアッセイ法には、一般的に硝酸セルロースや酢酸セルロースといったセルロースエステルからなる多孔性メンブレンが使用されている。しかし、このようなメンブレンを製造する際のメンブレン形成プロセスにおいては、粒子状の不純物としてセルロースエステルからなるダストも同時に形成され、これらダストはメンブレン上面側に存在することが知られている。イムノクロマトアッセイ法では、検体は毛管現象によりメンブレン中を移動するので、メンブレン中におけるダストの存在は、試験の性能などに影響を及ぼすおそれがある。さらに、検査キットの製造における製造工程の汚染を引き起こす可能性があり、このようなダストをメンブレン中から除去することが課題となっている。
この課題に対して、支持体上にセルロースエステルポリマー溶液をキャストした後、メンブレン表面を洗浄液ですすぎながら機械的なブラッシングによって、メンブレン中のダストを除去することを提案している(例えば、特許文献1)。
米国特許第7807475号公報
小山由利子、杉田慶、「イムノクロマトグラフィーを用いたタンパク質の検出法」、ぶんせき、170(2018)
特許文献1に記載されているように乾燥前のキャスト膜の表面をブラッシングすることで、セルロースエステル粒子とともに不純物もメンブレンから除去することができる。しかしながら、膜中の界面活性剤の量が減少して、親水特性に悪影響を与えることが指摘された。界面活性剤の損失を追加の工程により補償しようとした場合には、製造コストが増加するのに加え、最終製品としてのメンブレンの品質のばらつきに影響を及ぼすおそれがある。
そこで本発明は、何ら不都合を伴わずに、イムノクロマトアッセイ用メンブレンからダストを除去する方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の表面を有する可撓性シートを用いてイムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面を処理することにより、表面のダストの量を低減して、さらにメンブレンの表面の均一性を高めることができることを見出した。すなわち、本発明は、イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面処理方法であって、前記イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面に、一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを密着させた後、前記イムノクロマトアッセイ用メンブレンの前記表面から前記可撓性シートを剥離することを特徴とする表面処理方法である。
本発明によれば、何ら不都合を伴わずに、イムノクロマトアッセイ用メンブレンからダストを除去することができ、さらにメンブレンの表面の均一性を高めることができる。
一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理の前後のメンブレンのイムノクロマト測定結果を示す写真であり、図1(a)は、実施例1~9、比較例1の陽性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真であり、図1(b)は、実施例1~9、比較例1の陰性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真である。 一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理の前後のメンブレンのイムノクロマト測定結果を示す、陽性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真であり、図2(a)は、実施例12~14、比較例1の写真、図2(b)は、実施例10,15~18及び比較例2の写真、図2(c)は、実施例11,19~22、比較例3の写真である。 一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理の前後のメンブレンのイムノクロマト測定結果を示す、陰性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真であり、図3(a)は、実施例12~14、比較例1の写真、図3(b)は、実施例10,15~18、比較例2の写真、図3(c)は、実施例11,19~22、比較例3の写真である。 一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理の前後のサンプル1のSEM写真であり、図4(a)は、実施例3の表面処理後の写真、図4(b)は、実施例9の表面処理後の写真、図4(c)は、比較例1(未処理)の写真である。 一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理の前後のサンプル2のSEM写真であり、図5(a)は、実施例10の表面処理後の写真、図5(b)は、実施例17の表面処理後の写真、図5(c)は、比較例2(未処理)の写真である。 一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理の前後のサンプル3のSEM写真であり、図6(a)は、実施例11の表面処理後の写真、図6(b)は、実施例21の表面処理後の写真、図6(c)は、比較例3(未処理)の写真である。
本発明に係る方法で表面処理されるイムノクロマトアッセイ用メンブレン(以下、単にメンブレンとも称する)は、タンパク質を吸着するセルロースエステル製である。このようなメンブレンとしては、具体的には、東洋濾紙(株)製のイムノクロマト用メンブレンが挙げられる。
メンブレンは多孔質体であり、表面にニトロセルロースのダストが付着していることが多い。ニトロセルロースのダストは、メンブレンの微細孔の中に存在していることもある。本発明においては、所定の可撓性シートでメンブレンの表面を処理して、ニトロセルロースの粉を低減することができた。さらには、メンブレンの表面の均一性を高めることが可能となった。
メンブレンは、表面処理に先立って裏面をプラスチック支持体に固定することが好ましい。プラスチック支持体としては、メンブレンを載置できる十分な大きさを有し、それ自体が固定できるものが挙げられる。プラスチック支持体の材質は特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製の支持体を用いることができる。
メンブレンは、両面テープによって裏面をプラスチック支持体に固定してもよい。また、セルロースエステルを有機溶媒に溶解させた溶液(ドープ)を用いて、メンブレンをプラスチック支持体に固定することもできる。この場合には、プラスチック支持体の表面に溶液をコーティングし、溶媒を蒸発させることで、プラスチック支持体上にメンブレンが固定される。
プラスチック支持体に固定されたメンブレンの表面には、一面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを密着させる。具体的には、可撓性シートとしては、粘着テープ及びラミネートフィルムが挙げられる。可撓性シートは、メンブレンの表面を完全に覆う大きさであることが好ましい。
粘着テープは、基材に粘着剤が塗布された粘着面を有している。粘着テープに用いるプラスチックシートや不織布の材質は、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及び再生セルロース等から選択することができる。粘着テープの適切な粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。
ラミネートフィルムは、基材に熱接着性の接着剤が塗布された接着面を有している。ラミネートフィルムに用いるプラスチックシートの材質は、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエステル等から選択することができる。ラミネートフィルムの適切な接着剤としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、ポリエチレン(PE)、アイオノマーポリエチレン等またはこれらの組み合わせが挙げられる。
(粘着テープを用いた表面処理)
粘着テープの粘着剤が塗布された粘着面をメンブレンの表面に載せ、ニップロールを用いてメンブレンと粘着テープとを圧着する。その後、メンブレンの表面から粘着テープを剥離する。粘着テープは、均一な速度で剥離することが好ましい。
粘着テープの粘着力は、一般的には1~20N/24mm程度である。粘着力により密着している粘着テープをメンブレンの表面から剥離することで、ニトロセルロースのダストがメンブレンの表面から粘着テープの粘着面に移動する。さらに、メンブレンの微細孔内部に存在しているニトロセルロースのダストも、粘着テープに移動することができる。メンブレンにおけるニトロセルロースのダストの量が減少して、さらにはメンブレンの表面の均一性が高められる。
(ラミネートフィルムを用いた表面処理)
ラミネートフィルムを用いる場合には、ラミネートフィルムの接着剤が塗布された接着面をメンブレンの表面に載せ、加熱ニップロールを用いて70~120℃、好ましくは80~110℃でメンブレンとラミネートフィルムとを加熱圧着する。その後、メンブレンの表面からラミネートフィルムを剥離する。ラミネートフィルムは、均一な速度で剥離することが好ましい。
粘着テープと同様、ラミネートフィルムを用いる場合も、メンブレンの表面から剥離することでニトロセルロースのダストがメンブレンの表面からラミネートフィルムの接着面に移動する。メンブレンの微細孔内部に存在しているニトロセルロースのダストも、ラミネートフィルムに移動することができる。メンブレンにおけるニトロセルロースのダストの量が減少して、さらにはメンブレンの表面の均一性が高められる。
本発明の方法では、粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートをメンブレンに密着させた後、可撓性シートを剥離するという簡便な操作でメンブレンの表面処理が行われる。本発明の方法により、何ら不都合を伴わずにメンブレン中のダストを除去することができ、さらにはメンブレンの表面の均一性を高めることができる。
処理されるメンブレンは、ニトロセルロース製で多孔質体であるので、温度及び湿度といった環境の影響を受ける場合がある。温度や湿度は、可撓性シートの性能にも影響を及ぼす。メンブレンの表面から可撓性シートへのニトロセルロースの粉の移動を妨げないために、本発明の表面処理は、温度5~35℃程度、相対湿度45~85%程度の環境で行うことが望まれる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではなく、また、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。実施例において示されるメンブレンの製造方法および試験方法は、以下の通りである。
1.メンブレンの製造
まず、表面処理の対象となるイムノクロマトアッセイ用メンブレンを、以下の手法により製造した。
具体的には、ニトロセルロース樹脂4.6質量%、酢酸セルロース樹脂0.2質量%、アセトン43.7質量%、プロパノール46.2質量%、イソプロピルアルコール2.0質量%、及び水3.4質量%をタンクに収容し、攪拌して均一な製膜溶液とした。その後、湿度を55%に調節した雰囲気中にて、製膜溶液を33℃に加熱した支持体(ポリエステルフィルム)上に流延し、溶媒を蒸発させて製膜溶液を凝固させた。その後、乾燥させてメンブレンを得た。
得られたメンブレンにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加して、サンプル1とした。サンプル1から幅10mm、長さ50mmの試験片を切り出し、試験片の長さ方向の一方の端から水を吸い上げた。その結果、40mmの高さまで水が吸い上がる時間は、109秒であった。
さらに、ニトロセルロース樹脂4.2質量%、酢酸セルロース樹脂0.1質量%、アセトン42.7質量%、プロパノール45.2質量%、イソプロピルアルコール7.3質量%、及び水6.1質量%をタンクに収容し、攪拌して均一な製膜溶液とした。その後、サンプル1と同様の方法で作製して、サンプル2を得た。サンプル2から幅10mm、長さ50mmの試験片を切り出し、試験片の長さ方向の一方の端から水を吸い上げた。その結果、40mmの高さまで水が吸い上がる時間は、72秒であった。
またさらに、ニトロセルロース樹脂4.7質量%、酢酸セルロース樹脂0.2質量%、アセトン44.3質量%、プロパノール46.8質量%、イソプロピルアルコール7.3質量%、及び水2.0質量%をタンクに収容し、攪拌して均一な製膜溶液とした。その後、湿度を55%に調節した雰囲気中にて、製膜溶液を35℃に加熱した支持体であるポリエステルフィルム上に流延した。これ以外は上述と同様の方法でサンプル3を得た。サンプル2から幅10mm、長さ50mmの試験片を切り出し、試験片の長さ方向の一方の端から水を吸い上げた。その結果、40mmの高さまで水が吸い上がる時間は、180秒であった。
2.ダストの量の変化
本発明の方法でメンブレンの表面を処理することによって、メンブレンにおけるセルロースエステルのダストの量が減少する。ダストの量の減少は、以下の手法により間接的に確認することができる。具体的には、表面処理前後のメンブレンから得られた抽出液の吸光度を測定し、吸光度の変化から、メンブレンにおけるニトロセルロースのダストの量の変化を求めることができる。
まず、メンブレンの試験片(5mm×40mm)を6枚準備する。表面処理前の試験片を試験管に収容し、0.05%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を5mL加える。ボルテックスミキサーで20秒攪拌して抽出液を得、その吸光度(560nm)を分光光度計により測定する。
表面処理後のメンブレンについても、同様の試験片として抽出液を得、同様に吸光度を測定し、以下の式によりダスト変化率を算出する。
Figure 0007272583000001
ダスト変化率の値が1より小さい場合、表面処理によってメンブレンにおける粉が減少したものと判断できる。
3.粘着テープの粘着力の測定
粘着テープの粘着力は、JIS Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて、試験板に対する180°引きはがし粘着力として測定した。具体的には、SUS304の試験板に24mm幅の粘着テープを質量2kgの圧着ローラーを用いて貼り付け、粘着テープの一端を万能試験機((株)島津製作所製AGS-H)のチャックに固定した。試験機を300mm/minの速度で運転することで試験板から粘着テープを引きはがし、運転開始から25mm変位した地点から50mm引きはがされた範囲の試験力の平均を粘着力(N/24mm)とした。
4.イムノクロマト測定
イムノクロマト測定は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を被検出物質として測定する系で、メンブレンに吸収パッドを組み付け、標識抗体とhCGの混合溶液を展開するハーフストリップ法で行った。
(1)クロマト媒体上への検出ライン、コントロールラインの作製
イムノクロマト測定用の媒体として、100μmの厚さのポリエステル製シートで裏打ちし前記の方法で作製したセルロースエステルメンブレンを用いた。このメンブレンに、hCG認識抗体をキャプチャー抗体として固定した検出ライン、標識抗体であるマウスIgGの認識抗体を固定化したコントロールラインを設置した。
ア.テストライン用抗体溶液
抗hCG抗体を、50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈して、0.5mg/mLの濃度のテストライン用の抗体溶液とした。
イ.コントロールライン用抗体溶液
ヤギ抗マウスIgG抗体を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で(pH7.0)で0.5mg/mLの濃度になるように希釈し、コントロールライン用の抗体溶液とした。
ウ.クロマト媒体へのスポッティング
上記ア.イ.の抗体溶液を、BioDot社製イムノクロマト分注システムXYZ3060を用いてクロマトグラフ媒体であるセルロースエステルメンブレンに抗体溶液を塗布し、50℃で30分間乾燥させた。
エ.ブロッキング処理
上記ウのメンブレンに、0.3質量%のホウ酸、0.095質量%のアジ化ナトリウムを含む0.5質量%のカゼイン溶液(pH8.5)を含浸させ、50℃で30分間乾燥させた。
オ.洗浄処理
上記エのメンブレンを、0.5質量%のスクロース、0.01%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む50mMのTris-HCl(pH7.5)に室温で30分浸漬し、取り出して50℃で30分間乾燥させた。
(2)標識抗体溶液の作製
金コロイド液(BBI Solutions製:EMGC40)9mLに、50mMのリン酸緩衝液(pH7.5)を1mL加えて撹拌し、hCG認識抗体50μg/mL溶液1.1mLを加えて撹拌し、室温で10分放置した。更に1質量%のポリエチレングリコール(平均分子量20000)0.5mL、10質量%の牛血清アルブミン(BSA)を加えて撹拌した。
その後、7500×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去して1mLを残し、1質量%のBSA、0.05質量%のポリエチレングリコール(平均分子量20000)、150mMの塩化ナトリウム、0.095質量%のアジ化ナトリウムを含む20mMのTris-HCl(pH8.2)20mLを加え撹拌した。
次いで、7500×gで15分間遠心分離を行った。上清を除去して1mLを残し、520nmにおける吸光度が6.0になるように1質量%のBSA、0.05質量%のポリエチレングリコール(平均分子量20000)、150mMの塩化ナトリウム、0.095質量%のアジ化ナトリウムを含む20mMのTris-HCl(pH8.2)を加え撹拌し、標識抗体溶液を作製した。
(3)被検出物質の調製
hCG試薬(標準物質)を、1質量%BSAを含むPBSに溶解し、50mIU/mLになるように希釈し、これを陽性検体とした。またhCG試薬を添加しない1質量%BSAを含むPBSを陰性検体とした。
(4)イムノクロマト測定条件
バッキングシートに、上記(1)で作製したイムノクロマト測定用の媒体と吸収パッド(東洋濾紙株式会社製濾紙 No.590)を貼り付け、カッターで5mm幅にカットした試験ストリップを使用して、ハーフストリップ法によるイムノクロマトグラフィー測定を行った。
上記(2)の標識抗体溶液5μLと上記(3)の被験物質溶液100μLとを混合し、混合溶液を試験ストリップのメンブレン下端から吸い上げた。吸い上げ開始から10分後、20分後の試験ストリップに出現した検出ラインとコントロールラインの金コロイドの赤い発色を、イムノクロマトリーダーを用いて測定し、発色強度を測定した。
5.表面処理
一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いて、サンプル1のメンブレンの表面処理を行った、その結果を以下に示す。
(実施例1)
一方の面に粘着剤が塗布された可撓性シートとして粘着テープ(3M社製 スコッチ(登録商標)はってはがせるテープ811)を用いて、上述した手法によりサンプル1の表面処理を行った。ニップロールの線圧は、0.5kgf/cmとした。この粘着テープの粘着剤はアクリル系粘着剤であり、粘着力は0.6N/24mmであった。
(実施例2)
一方の面に粘着剤が塗布された可撓性シートとして粘着テープ(トラスコ中山株式会社製 表面保護テープTSP-5B)を用いて、サンプル1に実施例1と同様の表面処理を行った。この粘着テープの粘着剤はアクリル系粘着剤であり、粘着力は1.3N/24mmであった。
(実施例3)
一方の面に粘着剤が塗布された可撓性シートとして粘着テープ(日東電工株式会社製 金属板用表面保護フィルムSPV-M-6030)を用いて、サンプル1に実施例1と同様の表面処理を行った。この粘着テープの粘着剤はアクリル系粘着剤であり、粘着力は2.0N/24mmであった。
(実施例4)
一方の面に粘着剤が塗布された可撓性シートとして粘着テープ(3M社製 スコッチ(登録商標)PTFEテープ5490)を用いて、サンプル1に実施例1と同様の表面処理を行った。この粘着テープの粘着剤はシリコーン系粘着剤であり、粘着力は5.4N/24mmであった。
(実施例5)
一方の面に粘着剤が塗布された可撓性シートとして粘着テープ(ニチバン株式会社製 セロテープ(登録商標)No.405)を用いて、サンプル1に実施例1と同様の表面処理を行った。この粘着テープの粘着剤はゴム系粘着剤であり、粘着力は10.5N/24mmであった。
(実施例6)
一方の面に粘着剤が塗布された可撓性シートとして粘着テープ(3M社製 キズからまもる透明保護テープ)を用いて、サンプル1に実施例1と同様の表面処理を行った。この粘着テープの粘着剤はアクリル系粘着剤であり、粘着力は15.4N/24mmであった。
(実施例7)
一方の面に粘着剤が塗布された可撓性シートとして粘着テープ(日東電工株式会社製 屋内平滑床面用ラインテープE-SD)を用いて、サンプル1に実施例1と同様の表面処理を行った。この粘着テープの粘着剤はゴム系粘着剤であり、粘着力は19.7N/24mmであった。
(実施例8)
一方の面に接着剤が塗布された可撓性シートとして、PET基材のラミネートフィルムを用いて、上述した手法によりサンプル1の表面処理を行った。ニップロールの線圧は0.5kgf/cmとし、ラミネートフィルム側のニップロールを91℃に加熱した。このラミネートフィルムの接着剤はPE+EVAであった。
(実施例9)
一方の面に接着剤が塗布された可撓性シートとして、PET基材のラミネートフィルムを用いて、サンプル1に実施例8と同様の表面処理を行った。このラミネートフィルムの接着剤はPE+EEAであった。
(比較例1)
一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理をしない、サンプル1のメンブレンである。
実施例1~9、比較例1のダスト変化率及びイムノクロマト測定の結果を、表1及び表2にまとめる。さらに、実施例1~9及び比較例1について、陽性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真を図1(a)に示し、陰性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真を図1(b)に示す。
いずれの実施例においても、比較例1に比べてダストの量は減少した。イムノクロマト測定の結果、いずれの実施例も、比較例1に比べて発色強度の大きな低下は見られず、表面処理によりイムノクロマト測定に何ら不都合を与えることはない。
Figure 0007272583000002
Figure 0007272583000003
異なる製造条件で製造したサンプル1~3に、一方の面に接着剤が塗布された可撓性シートを用いて表面処理を行った、その結果を以下に示す。
(実施例10)
実施例3と同様の表面処理を、サンプル2に行った。
(実施例11)
実施例3と同様の表面処理を、サンプル3に行った。
(実施例12)
ニップロールの温度を71℃に変更した以外は実施例9と同様の表面処理を、サンプル1に行った。
(実施例13)
ニップロールの温度を82℃に変更した以外は実施例9と同様の表面処理を、サンプル1に行った。
(実施例14)
ニップロールの温度を103℃に変更した以外は実施例9と同様の表面処理を、サンプル1に行った。
(実施例15)
サンプル2に実施例12と同様の表面処理を行った。
(実施例16)
サンプル2に実施例13と同様の表面処理を行った。
(実施例17)
サンプル2に実施例9と同様の表面処理を行った。
(実施例18)
サンプル2に実施例14と同様の表面処理を行った。
(実施例19)
サンプル3に実施例12と同様の表面処理を行った。
(実施例20)
サンプル3に実施例13と同様の表面処理を行った。
(実施例21)
サンプル3に実施例9と同様の表面処理を行った。
(実施例22)
サンプル3に実施例14と同様の表面処理を行った。
(比較例2)
一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理をしない、サンプル2のメンブレンである。
(比較例3)
一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理をしない、サンプル3のメンブレンである。
実施例10~22、比較例2~3のダスト変化率及びイムノクロマト測定の結果を、表3~5にまとめる。さらに、実施例10~22、比較例2~3について、陽性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真を図2(a)~2(c)に示し、陰性検体の検液全量吸い上げ、乾燥後の写真を図3(a)~3(c)に示す。
いずれの実施例においても、比較例に比べてダストの量は減少した。イムノクロマト測定の結果、サンプル2を用いた実施例は、比較例2を比べて発色強度の大きな低下は見られなかった。また、サンプル3を用いた実施例は、比較例3を比べて発色強度の大きな低下は見られなかった。異なる製造条件で製造したセルロースエステルメンブレンサンプルにおいても、一方の面に接着剤が塗布された可撓性シートを用いた表面処理により、イムノクロマト測定に何ら不都合を与えることはない。
Figure 0007272583000004
Figure 0007272583000005
Figure 0007272583000006
粘着テープまたはラミネートフィルムを用いて表面処理をしたサンプル1および未処理のサンプル1の表面SEM写真を図4に示した。図4(a)及び図4(b)は、それぞれ実施例3及び実施例9で表面処理を行ったサンプル1の表面写真であり、図4(c)は比較例1(未処理)のサンプル1の表面写真である。
粘着テープまたはラミネートフィルムを用いて表面処理をしたサンプル2および未処理のサンプル2の表面SEM写真を図5に示した。図5(a)及び図5(b)は、それぞれ実施例10及び実施例17で表面処理を行ったサンプル2の表面写真であり、図5(c)は比較例2(未処理)のサンプル2の表面写真である。
粘着テープまたはラミネートフィルムを用いて表面処理をしたサンプル3および未処理のサンプル3の表面SEM写真を図6に示した。図6(a)及び図6(b)は、それぞれ実施例11及び実施例21で表面処理を行ったサンプル3の表面写真であり、図6(c)は比較例3(未処理品)のサンプル3の表面写真である。
いずれのメンブレンサンプルも、粘着テープ、ラミネートフィルムを用いた処理によって表面の均一性が向上することが示されている。

Claims (5)

  1. イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面処理方法であって、
    表面にダストを有するイムノクロマトアッセイ用メンブレンを準備し、
    前記イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面に、一方の面に粘着剤又は接着剤が塗布された可撓性シートを密着させた後、
    前記イムノクロマトアッセイ用メンブレンの前記表面から前記可撓性シートを剥離することにより前記ダストを前記可撓性シートの表面に移動させて、前記イムノクロマトアッセイ用メンブレンの前記表面の均一性を高めることを特徴とするイムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面処理方法。
  2. 前記イムノクロマトアッセイ用メンブレンは、セルロースエステル製であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 前記可撓性シートは、圧着または加熱圧着により前記イムノクロマトアッセイ用メンブレンの表面に密着させることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理方法。
  4. 前記可撓性シートが粘着テープであり、その粘着力は、1.0N/24mm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  5. 前記可撓性シートがラミネートフィルムであり、加熱圧着処理の加熱温度が70~120℃であることを特徴とする請求項3に記載の表面処理方法。
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