JP6595818B2 - 免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法 - Google Patents
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Description
天然物、毒素、ホルモン、農薬等の生理活性物質や、例えばウイルス感染症の感染初期の検体等は、従来の一般的な方法では検出することのできない極微量で作用する物質が多いため、それらの迅速、簡便かつ高感度な免疫クロマトグラフ法の開発が求められている。
また、特許文献2に記載された方法を用いた場合にも、尿中hCG濃度を測定することは可能であるが、hCG濃度が250,000mIU(250IU/L)を超えた場合には、プロゾーン現象が起こり、陰性と判定されてしまう(偽陰性)。
そこで、尿中hCG濃度が高濃度になる場合であっても、プロゾーン現象が起こらず、胞状奇胎であるか否かを容易に判定することのできる手法が切望されていた。
さらに詳しくは、本発明の目的は、被検出物質(抗原等)が、尿、血液といった生体試料中のような検査試料中に存在するか否かを、被検出物質(抗原等)が高濃度で存在する場合であっても、低濃度で存在する場合でも測定することができ、それによって、検査試料中の被検出物質(抗原等)の濃度が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく結果の判定を可能にすることのできる免疫クロマト分析装置を提供することにある。このような装置により、例えば、胞状奇胎のような異常妊娠を診断することが可能となる。
1.試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含むクロマトグラフ媒体、
を有する免疫クロマト分析装置であって、
前記免疫クロマト分析装置が前記クロマトグラフ媒体を2種有し、
前記2種のクロマトグラフ媒体を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定し、一方または両方が陽性の場合に正常陽性または異常陽性と判定するものであり、
前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体である
免疫クロマト分析装置。
3.前記2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれの前記クロマトグラフィー媒体部に前記標識物質保持部がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有する免疫クロマト分析装置であって、
前記2種のクロマトグラフ媒体のうち、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用い、
そのクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に連結する試料添加部に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させている、
前記1または2に記載の免疫クロマト分析装置。
5.少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部と、その標識物質保持部に連結する試料添加部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤が保持された、前記3または4に記載の免疫クロマト分析装置。
6.前記非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量が、免疫クロマト分析装置の1つ当り0.1〜5μgである、前記3〜5のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
7.前記少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に、金ナノ粒子により修飾された標識物質が乾燥保持されている、前記3〜6のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
9.前記被検出物質がhCGである、前記1〜8のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
10.異常妊娠を検査するためのものである、前記1〜9のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
11.前記異常妊娠が胞状奇胎である、前記10に記載の免疫クロマト分析装置。
を有する免疫クロマト分析装置を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定する免疫クロマト分析方法であって、
前記免疫クロマト分析方法が、2種のクロマトグラフ媒体を用い、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定するものであって、
前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体であり、
前者の媒体のみ陽性または両方の媒体で陽性の場合に正常陽性と判定し、後者の媒体のみ陽性の場合に異常陽性と判定する
免疫クロマト分析方法。
本発明の実施形態は、各種検体中の被検出物質である検出対象物(抗原)に各種の標識をつけた特異的に結合する結合物質(抗体)を、クロマトグラフ媒体上で反応させる抗原−抗体反応により複合体を形成させ、クロマトグラフ媒体上を吸収部位の方向へ展開させて、それを各種の検出手段により確認するという、免疫クロマトグラフ法またはそれを応用した検出法に基づくものである。その抗原と最も特異的に反応して結合する抗体としては、それと特異的に結合する、例えばモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体若しくはその他の公知の抗体を任意に使用することができる。
また、検出手段は、操作が簡単で、比較的短時間で判定できると言う、免疫クロマトグラフ法の特色を表すためには、目視判定で、正確に判定できると言う性能を有することを特徴とするが、時間、精度などが要求される場合には、分光光度検出、放射線検出など、各種の検出手段を付帯させて、検出することができる。
本発明の免疫クロマト分析装置は、試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部、を含むクロマトグラフ媒体を有する免疫クロマト分析装置である。本発明の免疫クロマト分析装置は、2種のクロマトグラフ媒体を用い、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定し、一方または両方が陽性の場合に正常陽性または異常陽性と判定するものである。
本発明の免疫クロマト分析装置においては、2種のクロマトグラフ媒体を用いており、これら2種のクロマトグラフ媒体は、それぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体である。
本明細書において、「正常陽性」とは、本発明の免疫クロマト分析装置を用いて被検出物質の分析を行い、正常であることが明らかになることを意味し、「異常陽性」とは、本発明の免疫クロマト分析装置を用いて被検出物質の分析を行い、異常であることが明らかになることを意味する。
本発明の免疫クロマト分析装置におけるクロマトグラフ媒体(21)は、前述したように、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するものである。クロマトグラフ媒体を、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するためには、例えば後述するように、メンブレンとしてフロースピードの速いものを用い、試料添加部(22)(又は試料添加部(22)と標識物質保持部(23))に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持することにより、実施することができる。
また、本発明の免疫クロマト分析装置におけるクロマトグラフ媒体(11)は低濃度の被検出物質のみを検出するものである。クロマトグラフ媒体(11)には、メンブレンとしてフロースピードの速いものを用いず、試料添加部(12)に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させないことにより、試料中に高濃度の被検出物質が存在する場合にはプロゾーン現象が起こり、結果は陰性となる。このため、クロマトグラフ媒体(11)は低濃度の被検出物質のみを検出することとなる。
本発明の免疫クロマト分析装置においては、少なくとも高濃度の被検出物質検出するクロマトグラフ媒体(21)には、プロゾーン現象を抑制/解消するために、少なくともサンプルパッド(22)中に、HLB13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤、および必要に応じて緩衝液を含むイムノクロマトグラフィー用試薬組成物を予め含浸させた後、乾燥させる等の手段により担持させる態様とすることができる。また、クロマトグラフ媒体(21)のサンプルパッド(22)及び標識物質保持部(23)の両方に、上記界面活性剤を保持してもよい。
着色ラテックスとしては、例えば、ポリスチレン等の高分子重合体の粒子が赤や青色を呈する着色剤により着色したものが挙げられ、常法により調製することができる。酵素標識としては、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼおよびガラクトシダーゼ等が挙げられる。酵素標識を使用する場合、当該酵素に対する基質および必要に応じて発色試薬を作用させ、その反応により生じる発色を検出する。
この判定部位(15)、(25)に用いる試薬成分(第一試薬)および標識試薬に用いる試薬成分(第二試薬)は、その一方又は両方がモノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよいが、特異性を保った上で製造コストや抗体の安定供給を考慮する場合は、少なくとも一方がポリクローナル抗体であることが好ましい。更に、標識試薬に用いる試薬成分(第二試薬)は、測定感度等の点から特異性の高いモノクローナル抗体がより好ましい。しかしながら、第一試薬および第二試薬の両方にモノクローナル抗体を用いることが、反応の正確性と効率性の観点から最も好ましい。
コントロール部(18)、(28)は、被検出液を含む溶液が判定部位(15)、(25)を適切に判断したかどうかを判断するためのものであり、コントロールラインとも呼ばれる。
モノクローナル抗体は、常法に従って、抗原で免疫したマウスの脾臓細胞と骨隋腫細胞をハイブリッドさせ、目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選択し、このハイブリドーマから産生されてくるモノクローナル抗体を収得する。例えば、ケーラーとミルスタインの技法(Nature 256(1975)495−497)を参照。
ポリクローナル抗体は、常套手法により、抗原を産生動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)に免疫して得た抗血清中から目的とする抗体を分離することにより得られる。
含有させる緩衝剤としては、試料の添加や試料の蒸発や希釈による濃度の変化、外部からの多少の異物の混入によっても致命的な影響を生じない作用(緩衝作用)を持つものであれば特に制限はない。
上記緩衝剤としては、酢酸緩衝液(酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(リン酸+リン酸ナトリウム)、クエン酸緩衝液(クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液(トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン+塩酸)、TE緩衝液(トリス+エチレンジアミン四酢酸)、TAE緩衝液(トリス+酢酸+エチレンジアミン四酢酸)、TBE緩衝液(トリス+ホウ酸+エチレンジアミン四酢酸)又はHEPES緩衝液(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸)等が挙げられる。好ましくは、HEPES緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液などであり、より好ましくは、リン酸、HEPES緩衝液である。また、悪影響を及ぼさない範囲内においてその他の緩衝剤を配合して使用することもできる。
まず、被検出物質溶液(試料溶液)を試料添加部(12)、(22)に滴下する。この場合、試料溶液としては被験者の尿が用いられる。試料溶液としての尿は、そのままで使用してもよいが、希釈して使用することもできる。希釈する場合には、上述した検体希釈液が使用可能である。
判定部位(15)(低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体)及び判定部位(25)(少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体)の両方で発色シグナルが認められる場合、試料溶液中には低濃度のhCGが含まれていると判定される。すなわち正常陽性と判定される。
判定部位(15)(低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体)に発色シグナルが認められず、判定部位(25)(少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体)に発色シグナルが認められる場合、試料溶液中には高濃度のhCGが含まれていると判定される。すなわち異常陽性(被験者が胞状奇胎である)と判定される。
また、判定部位(15)(低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体)及び判定部位(25)(少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体)のいずれにも発色シグナルが認められない場合は、試料溶液中にhCGが含まれておらず、胞状奇胎陰性と判定される
すなわち、本発明の免疫クロマト分析方法は、前述した本発明の免疫クロマト分析装置を用いることにより、被検出物質の正常陽性、異常陽性を判定する方法である。本発明の免疫クロマト分析方法は、本発明の免疫クロマト分析装置を用いており、本発明は、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物質(抗原等)の濃度が低濃度であっても高濃度であっても、迅速、簡便かつ正確に被検出物質(抗原等)を検出することができ、特に被検出物質(抗原等)が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく結果の判定が可能である。
ハイフローレイト(sec/40mm)として120、またはハイフローレイト(sec/40mm)として45である2.5×25cmのセルロースからなる、ハイフローレイトの異なる2種類のメンブレンに、抗体塗布機(BioDot社製)を用いて、5質量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した濃度0.7mg/mlの抗hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)モノクローナル抗体を夫々のメンブレンに塗布し乾燥させ、判定部位(15)、(25)を有する2種類のクロマトグラフィー媒体部(14)、(24)を作製した。前者を低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体(11)の作製に用い、後者を少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)の作製に用いた。
金コロイド懸濁液(田中貴金属工業(株)製:40nm)0.9mlにリン酸緩衝液(pH7.5)を0.1ml加え混和し、リン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した50μg/mlの抗hCGモノクローナル抗体を0.05ml加え、室温で10分間静置した。次いで、0.01質量%のPEG−SH(日本油脂株式会社製、商品名:SUNBRIGHT ME−200SH、分子量20000)を含むTris緩衝液(pH7.5)を0.1ml加え、十分攪拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行った。上清を除去した後、リン酸緩衝液(pH7.5)を1ml加えた。超音波破砕機を用いてコロイド状の標識試薬をよく分散させた後、8000×gで15分間遠心分離した。上清を除去し、前記リン酸緩衝液を0.15ml加えて超音波破砕機にてよく分散し、標識試薬溶液とした。
3.0×25cmのレーヨン製パッドへ、表1に記載の各種非イオン性界面活性剤の2質量%水溶液を単位面積あたり表1に記載の含有量となるように均一に塗布した後、真空乾燥機にて乾燥させ作製した。非イオン性界面活性剤は、Tween20(シグマアルドリッチ社製、商品名:Tween(登録商標)20)、MN811(日油社製、商品名:ノニオン(登録商標)MN811)、Triton X100(シグマアルドリッチ社製、商品名:Triton X100(登録商標))、Brij35(ICI Americas Inc.製、商品名:Brij35(登録商標))、NP40(ナカライテスク社製、商品名:ノニデット P40(登録商標))を用いた。
上記作製した標識試薬溶液0.22mLを0.78mlの10%トレハロース水溶液に加え混和し、0.8×25cmおよび1.6×25cmのグラスファイバー製パッドに夫々均一に添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識試薬保持部材とし、前者を低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体(11)の作製に用い、後者を少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)の作製に用いた。次いで、バッキングシートから成る基材に、上記にて判定部位を作製した2種類のクロマトグラフィー媒体部、前記にて作製した標識試薬保持部材、上記にて作製したサンプルパッド、および展開した試料や標識試薬などを吸収するためのセルロース繊維の吸収パッドをメンブレンの種類毎に貼り合わせた。最後に、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体(11)(以下クロマトグラフ媒体1という)と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)(以下クロマトグラフ媒体2という)の、ハイフローレイトの異なる2種類の媒体を作製した。
参考例1では、上記作製したクロマトグラフ媒体1及びクロマトグラフ媒体2において、サンプルパッドに塗布した非イオン性界面活性剤のHLB値及び含有量と、検体試料の展開性との関係について試験を行った。
上記4.にて作製した、ハイフローレイトの異なる2種類のクロマトグラフ媒体を夫々用いて、被検出物質であるhCGの検出試験を行った。陰性検体としては、hCG濃度が0IU/Lである男性尿の150μLを陰性検体試料として用いた。また、表1では、陽性検体試料としてhCG濃度20IU/Lの濃度で含む男性尿で希釈したhCGを含む検体試料150μLを用いた。陰性検体試料、hCGを含む陽性検体試料とも150μLをイムノクロマトグラフィー用試験片のサンプルパッド上に添加し展開させ、測定開始後に試料液がメンブレン上に展開された際に、その液の展開と標識試薬の赤色の展開を目視で流れを確認し、測定開始から15分後に目視判定を行った。
流れについては、展開された液と標識試薬が同じあるいはほぼ同じ速度で展開されたものは「○」、展開された液に少し遅れ標識試薬が展開されたものは「△」、展開された液に遅れ標識試薬が展開されたものは「×」とした。流れが「△」または「×」と判定される場合、標識物質の赤色が15分後の目視判定時にバックグラウンドとして残る可能性があり、「○」の判定であると目視判定時にバックグラウンドに標識物質の赤色が残らず、鮮明な検出ラインの赤色を確認できるため好ましい。目視判定は、判定部位の赤い線を確認できるものは「+」、鮮明に確認できるものは「++」、より強く鮮明に確認できるものは「+++」、赤い線を確認できるが、非常に色が薄いものは、「±」、赤い線を確認できるが、赤い線を確認できないものは「−」とした。
上記3.サンプルパッド(試料添加部)の作製において、サンプルパッド中の含有量が単位面積あたり0.4μg/mm2となるようにTween20を非イオン性界面活性剤として用い、上記5.測定において、陽性検体試料としてhCG濃度3IU/L〜2000万IU/Lの濃度で含む男性尿で希釈したhCGを含む検体試料150μLを用いたこと以外は、上記参考例1と同様に試験した。本実施例において、ハイフローレイトが45のメンブレンを使用した少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体3、ハイフローレイトが120のメンブレンを使用した低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体4とした。また、上記参考例1の目視判定のほか、市販のイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)を用いた発色強度の測定もあわせて行った。結果を表2および図2に示す。
上記1.判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部の作製において、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとして、ハイフローレイト(sec/40mm)が60のものを用いたこと以外は、実施例1と同様に試験した。このとき、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体5とし、低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体は実施例1で使用したクロマトグラフ媒体4と同じものを使用した。結果を表3および図2に示す。
上記3.サンプルパッド(試料添加部)の作製において、サンプルパッド中の含有量が単位面積あたり0.2μg/mm2となるようにTween20を非イオン性界面活性剤として用い、上記4.クロマトグラフ媒体の作製において、標識試薬溶液に標識試薬保持部材中の含有量が単位面積あたり0.2μg/mm2となるようにTween20の2質量%水溶液を加えたこと以外は、実施例1と同様に試験した。このとき、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体6とし、低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体は実施例1で使用したクロマトグラフ媒体4と同じものを使用した。結果を表4および図2に示す。
10 免疫クロマト分析装置
11、21 クロマトグラフ媒体
12、22 試料添加部(サンプルパッド)
13、23 標識物質保持部(コンジュゲーションパッド)
14、24 クロマトグラフィー媒体部
15、25 判定部位
18、28 コントロール部
16、26 吸収部(展開速度コントロール部)
Claims (10)
- 試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含むクロマトグラフ媒体、
を有する免疫クロマト分析装置であって、
前記免疫クロマト分析装置が前記クロマトグラフ媒体を2種有し、
前記2種のクロマトグラフ媒体を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定し、一方または両方が陽性の場合に正常陽性または異常陽性と判定するものであり、
前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体であり、
前記2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれの前記クロマトグラフィー媒体部に前記標識物質保持部がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有し、
前記2種のクロマトグラフ媒体のうち、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとして、フロースピードが20sec/40mm以上75sec/40mm以下であるものを用い、
そのクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に連結する試料添加部に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させている、
免疫クロマト分析装置。 - 前記少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体が、低濃度の被検出物質も検出することができる、請求項1に記載の免疫クロマト分析装置。
- 少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部と、その標識物質保持部に連結する試料添加部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤が保持された、請求項1または2に記載の免疫クロマト分析装置。
- 前記非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量が、免疫クロマト分析装置の1つ当り0.1〜5μgである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
- 前記少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に、金ナノ粒子により修飾された標識物質が乾燥保持されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
- 前記金ナノ粒子の平均粒径が20〜60nmである、請求項5に記載の免疫クロマト分析装置。
- 前記被検出物質がhCGである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
- 異常妊娠を検査するためのものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
- 前記異常妊娠が胞状奇胎である、請求項8に記載の免疫クロマト分析装置。
- 試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含むクロマトグラフ媒体、
を有する免疫クロマト分析装置を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定する免疫クロマト分析方法であって、
前記免疫クロマト分析方法が、2種のクロマトグラフ媒体を用い、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定するものであって、
前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体であり、
前者の媒体のみ陽性または両方の媒体で陽性の場合に正常陽性と判定し、後者の媒体のみ陽性の場合に異常陽性と判定し、
前記2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれの前記クロマトグラフィー媒体部に前記標識物質保持部がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有し、
前記2種のクロマトグラフ媒体のうち、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとして、フロースピードが20sec/40mm以上75sec/40mm以下であるものを用い、
そのクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に連結する試料添加部に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させている、
免疫クロマト分析方法。
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