JP7272021B2 - 異方性色素膜形成用組成物、異方性色素膜、および光学素子 - Google Patents

異方性色素膜形成用組成物、異方性色素膜、および光学素子 Download PDF

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本発明は、液晶組成物を塗布することにより形成される異方性色素膜、特に、調光素子、液晶素子(LCD)、および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の表示素子に具備される偏光膜等に有用な、高い二色性を示す異方性色素膜形成用組成物および異方性色素膜、ならびに光学素子に関する。
LCDでは、表示における旋光性や複屈折性を制御するために、直線偏光膜および円偏光膜が用いられている。OLEDにおいても、明所での外光の反射防止のために円偏光膜が用いられている。
従来、このような偏光膜として、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)を低濃度のヨウ素で染色した偏光膜(ヨウ素-PVA偏光膜)を含むものが知られている(特許文献1)。
また、色素を含有した液晶組成物を塗布して形成される異方性色素膜が偏光膜として機能することも知られている(特許文献2)。
特開平1-105204号公報 特表2004-535483号公報
しかしながら、このように低濃度としたヨウ素-PVA偏光板は、使用環境によっては、ヨウ素が昇華したり、変質したりして、色目が変わってしまうといった問題や、PVAの延伸が緩和されることによる反りが発生するといった問題がある。
また、色素を含有した液晶組成物を塗布して形成される偏光膜においては、高い光吸収選択性能を得られないという問題がある。
そのような状況下、薄膜でも高い光吸収選択性能を有する偏光膜が所望されている。
異方性色素膜形成用組成物から形成される異方性色素膜の二色性を高くするためには、異方性色素膜形成用組成物に含有される液晶化合物分子のコアの長軸と短軸の比率を大きくして、液晶分子を一軸方向に配向させることが考えられる。
しかし、液晶化合物分子のコアを大きくすると、コアはベンゼン環等の芳香族環やシクロヘキサン環等の脂環式環からなるため、分子間相互作用によって配向膜等から得られる配向規制力の方向に対して、分子が傾いて配向する傾向がある。
すなわち、液晶化合物分子を一軸方向に配向させるためには、液晶化合物分子のコアを小さくし、分子間相互作用を小さくして、分子の傾きを小さくすることが考えられる一方で、液晶化合物分子のコアを小さくすることにより、液晶化合物分子のコアの長軸と短軸の比率が小さくなってしまい、その結果、異方性色素膜形成用組成物から形成される異方性色素膜の二色性を低くすることとなってしまう。
このような状況下、異方性色素膜が高い二色性を発現するような液晶化合物分子とそれを含む異方性色素膜形成用組成物の開発が望まれている。
本発明は、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現することが可能な異方性色素膜形成用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現することが可能な異方性色素膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現することが可能な異方性色素膜を含む、光学素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、色素および液晶化合物を含有する異方性色素膜形成用組成物において、特定の構造を有する液晶化合物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下を要旨とする。
[1]色素および液晶化合物を含有する異方性色素膜形成用組成物であって、
前記液晶化合物は、式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物を含む異方性色素膜形成用組成物。
-CyH-Z1-E1-C≡C-E2- ・・・(1)
(式中、
CyHは、置換されたまたは無置換の非芳香族炭化水素環基を表し;
E1およびE2は、それぞれ独立に、炭化水素環基または複素環基を表し;
-Z1-は、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、または-SCH-を表す。)
[2]前記液晶化合物が、式(2)で表される液晶化合物である、[1]に記載の異方性色素膜形成用組成物。
T1-CyH-Z1-E1-C≡C-E2-Z2-E3-T2 ・・・(2)
(式中、
CyH、E1、E2および-Z1-は、それぞれ、前記式(1)における定義と同義であり;
T1およびT2は、それぞれ独立に、鎖状有機基を表し;
E3は、2価有機基または単結合を表し;
-Z2-は、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、または-SCH-を表す。)
[3]-Z1-が、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-CHCH-、-CHO-、または-OCH-である、[1]または[2]に記載の異方性色素膜形成用組成物。
[4]E1またはE2が、炭化水素環基である、[1]~[3]のいずれかに記載の異方性色素膜形成用組成物。
[5]前記炭化水素環基が、フェニレン基またはシクロヘキサンジイル基である、[4]に記載の異方性色素膜形成用組成物。
[6]E3が、炭化水素環基、複素環基または単結合である、[2]~[5]のいずれかに記載の異方性色素膜形成用組成物。
[7]E3が、フェニレン基、シクロヘキサンジイル基または単結合である、[6]に記載の異方性色素膜形成用組成物。
[8]-Z2-が、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-CHCH-、-CHO-、または-OCH-である、[2]~[7]のいずれかに記載の異方性色素膜形成用組成物。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の異方性色素膜形成用組成物を用いて形成された、異方性色素膜。
[10][9]に記載の異方性色素膜を含む、光学素子。
本発明の異方性色素膜形成用組成物は、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現できる。
本発明の異方性色素膜は、本発明の異方性色素膜形成用組成物を用いて形成されるため、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現できる。
本発明の光学素子は、本発明の異方性色素膜を含むため、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
本発明で言う異方性色素膜とは、異方性色素膜の厚み方向および任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる、任意の2方向における電磁気的性質に異方性を有する色素膜である。電磁気学的性質としては、たとえば、吸収、屈折等の光学的性質、抵抗、容量等の電気的性質が挙げられる。
吸収、屈折等の光学的異方性を有する膜としては、たとえば、直線偏光膜、円偏光膜等の偏光膜、位相差膜、導電異方性色素膜が挙げられる。本発明の異方性色素膜は、偏光膜、または導電異方性色素膜として用いられることが好ましく、偏光膜に用いられることがより好ましい。
[異方性色素膜形成用組成物]
本発明の異方性色素膜形成用組成物は、色素および液晶化合物を含有する。
本発明の異方性色素膜形成用組成物は、相分離を引き起こさない状態であれば、溶液であっても、液晶であっても、分散状態であってもよいが、異方性色素膜形成用組成物としては、基材への塗布が容易である観点から、溶液であることが好ましい。一方、異方性色素膜形成用組成物から溶剤を除いた固形分成分は、後述のように基板上に配向させる観点から、任意の温度で液晶相の状態であることが好ましい。
なお、本発明において、液晶相の状態であるとは、具体的には、「液晶の基礎と応用」(松本正一、角田市良著;1991年)の1~16ページに記載されているように、液体と結晶の双方または中間の性質を示す液晶状態であり、ネマティック相、スメクチック相、コレステリック相、またはディスコティック相であることを言う。
(色素)
本発明において色素とは、可視光領域(380nm~780nm)の波長の少なくとも一部を吸収する物質または化合物である。
本発明に用いることができる色素としては、二色性色素が挙げられる。なお、二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素を言う。また、色素は、液晶性を有する色素であってもよいし、液晶性を有さなくてもよい。なお、液晶性を有するとは、任意の温度で液晶相を発現することを言う。
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される色素としては、アゾ系色素、キノン系色素(ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等を含む。)、スチルベン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、インジゴ系色素、縮合多環系色素(ペリレン系色素、オキサジン系色素、アクリジン系色素等を含む。)等が挙げられる。これらの色素の中でも、分子長短軸比が大きく、異方性色素膜中で高い分子配列をとり得るため、アゾ系色素が好ましい。
アゾ系色素とは、アゾ基(-N=N-)を少なくとも1個以上有する色素を言い、その一分子中のアゾ基の数は、溶剤への溶解性、液晶化合物との相溶性、色調および製造容易性の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
アゾ系色素としては、たとえば、式(A)で表される化合物が挙げられる。
R11-D1-N=N-(D2-N=N)-D3-R12 ・・・(A)
式(A)中、
D1、D2およびD3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し;
pは0~4の整数を表し;
pが2以上の整数である場合、複数のD2は互いに同一でも異なっていてもよく;
R11およびR12は、同一のまたはそれぞれ異なる1価の有機基を表す。
D1、D2およびD3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。
フェニレン基の置換位置としては、分子の直線性が高いため、1,4-フェニレン基が好ましい。
ナフチレン基の置換位置としては、分子の直線性が高いため、1,4-ナフチレン基または2,6-ナフチレン基が好ましい。
2価の複素環基としては、環を形成する炭素数が好ましくは3以上14以下であり、さらに好ましくは10以下である。特に単環または2環式の複素環基が好ましい。
2価の複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択される少なくとも1つが挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
具体的には、ピリジンジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、チアゾールジイル基、ベンゾチアゾールジイル基、チエノチアゾールジイル基、チエノチオフェンジイル基、ベンズイミダゾリジノンジイル基、ベンゾフランジイル基、フタルイミドジイル基、オキサゾールジイル基、ベンゾオキサゾールジイル基等が挙げられる。
D1、D2およびD3におけるフェニレン基、ナフチレン基、および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1~4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基およびブトキシ基などの炭素数1~4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;水酸基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基、およびピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1~4のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、-NHである。なお、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などが挙げられる。炭素数2~8のアルカンジイル基としては、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基などが挙げられる。)が挙げられる。
分子直線性が高い点から、無置換、または、置換されている場合には、メチル基、メトキシ基、水酸基、フッ素原子、塩素原子、ジメチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基で置換されているのが好ましい。
pは0~4の整数を表す。溶剤への溶解性、液晶化合物との相溶性、色調および製造容易性の観点から、1以上が好ましく、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。
R11およびR12は、同一のまたはそれぞれ異なる1価の有機基を表す。
R11およびR12における1価の有機基としては、水素原子、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基;脂環式の炭素数1~20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基およびブトキシ基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;水酸基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基、およびピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~20のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、-NHである。なお、炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などが挙げられる。炭素数2~20のアルカンジイル基としては、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基などが挙げられる。);カルボキシ基;ブトキシカルボニル基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルオキシカルボニル基;エテニル基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルケニル基;2-(4-ブチルフェニル)エテニル基などのアルキルフェニルアルケニル基;カルバモイル基;ブチルカルバモイル基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルカルバモイル基;スルファモイル基;ブチルスルファモイル基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルスルファモイル基;ブチルカルボニルアミノ基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のアシルアミノ基;ブチルカルボニルオキシ基などの分岐を有していてもよい炭素数1~20のアシルオキシ基;スルファニル基;ブチルスルファニル基などの炭素数1~20のアルキルスルファニル基;後述の、液晶化合物におけるT1およびT2の重合性基を有する鎖状有機基が挙げられる。
R11およびR12としては、水素原子、鎖状基、脂肪族有機基(「脂肪族有機基」は、鎖状のものおよび環状のものを含む。)、炭素の一部が窒素および/または酸素で置き換えられた脂肪族有機基(「炭素の一部が窒素および/または酸素で置き換えられた脂肪族有機基」は、鎖状のものおよび環状のものを含み、脂肪族有機基の一部のメチル基が水酸基、オキソ基(=O)、アミノ基、イミノ基等にそれぞれ置き換えられたものを含む。)等が挙げられ、ある態様としては、水素原子、鎖状基が好ましく、別の態様としては、水素原子、脂肪族有機基が好ましく、さらに別の態様としては、水素原子、炭素の一部が窒素および/または酸素で置き換えられた脂肪族有機基が好ましい。
鎖状基としては、上記の、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルコキシ基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のフッ化アルキル基;置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、-NHである。);カルボキシ基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルオキシカルボニル基;カルバモイル基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルカルバモイル基;スルファモイル基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルスルファモイル基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアシルアミノ基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアシルオキシ基;スルファニル基;炭素数1~20のアルキルスルファニル基等が挙げられる。
脂肪族有機基としては、上記の、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、脂環式の炭素数1~20のアルキル基等が挙げられる。
炭素の一部が窒素および/または酸素で置き換えられた脂肪族有機基としては、上記の、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルコキシ基;置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~20のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、-NHである。なお、炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などが挙げられる。炭素数2~20のアルカンジイル基としては、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基などが挙げられる。);カルボキシ基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルオキシカルボニル基;カルバモイル基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキルカルバモイル基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアシルアミノ基;分岐を有していてもよい炭素数1~20のアシルオキシ基等が挙げられる。
R11およびR12としては、それぞれ独立に、分子直線性が高い点から、水素原子、または、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの炭素数1~10のアルキル基;ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基などの炭素数1~10のアルコキシ基、ジエチルアミノ基、ピロリジノ基およびピペリジニル基で置換されていることが好ましい。また、後述の、液晶化合物におけるT1およびT2の重合性基を有する鎖状有機基における好ましいものも好ましい。
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される色素としては、特に限定されることなく、公知の色素を用いることもできる。
公知の色素としては、たとえば、上述の特許文献1、日本国特許第5982762号公報、日本国特許出願公開第2017-025317号公報、日本国特許出願公開第2014-095899号公報に記載の色素(二色性色素、二色性染料)が挙げられる。
具体的には、以下に記載の色素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007272021000001
Figure 0007272021000002
Figure 0007272021000003
Figure 0007272021000004
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される色素の分子量としては、300以上が好ましく、350以上がより好ましく、380以上がさらに好ましく、1500以下が好ましく、1200以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。具体的には、本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される色素の分子量としては、300~1500が好ましく、350~1200がより好ましく、380~1000がさらに好ましい。
異方性色素膜形成用組成物における色素(二色性色素)が占める含有量としては、例えば、異方性色素膜形成用組成物の固形分(100質量部)に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。具体的には、異方性色素膜形成用組成物における色素(二色性色素)が占める含有量としては、例えば、異方性色素膜形成用組成物の固形分(100質量部)に対して、0.01~30質量部であり、好ましくは0.05~10質量部である。
色素(二色性色素)が占める含有量が前記範囲内であれば、本発明の異方性色素膜形成用組成物に含まれる液晶化合物の配向を乱すことなく、本発明の異方性色素膜形成用組成物に含まれる化合物を重合させることができる傾向にある。また、色素(二色性色素)が占める含有量が前記下限値以上であれば、十分な光吸収が得られ、十分な偏光性能が得られる傾向にある。また、色素(二色性色素)が占める含有量が前記上限値以下であれば、液晶分子の配向の阻害が抑制されやすい傾向にある。
色素(二色性色素)は目的に応じて、1種で使用してもよく、複数種類併用してもよい。
(液晶化合物)
本発明において、液晶化合物とは、液晶状態を示す物質を指し、具体的には、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)の1~28ページに記載されているように、結晶から液体には直接転移せず、結晶と液体の両方の性質を示す中間の状態を経て液体になる化合物をいう。
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される液晶化合物は、下記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物を含む。
-CyH-Z1-E1-C≡C-E2- ・・・(1)
式(1)中、
CyHは、置換されたまたは無置換の非芳香族炭化水素環基を表し;
E1およびE2は、それぞれ独立に、炭化水素環基または複素環基を表し;
-Z1-は、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、または-SCH-を表す。
CyHにおける非芳香族炭化水素環基は、非連結非芳香族炭化水素環基と連結非芳香族炭化水素環基とを含む。
非連結非芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の2価基であり、炭素数は3~20が好ましい。非芳香族炭化水素環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ノルボルナン環、ボルナン環、アダマンタン環、テトラヒドロナフタレン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環等が挙げられる。
非連結非芳香族炭化水素環基は、非芳香族炭化水素環の環を構成する原子間結合として不飽和結合を有さない脂環式炭化水素環基と、非芳香族炭化水素環の環を構成する原子間結合として不飽和結合を有する不飽和非芳香族炭化水素環基とを含む。非連結非芳香族炭化水素環基としては、脂環式炭化水素環基が好ましい。
連結非芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基;あるいは、単環の芳香族炭化水素環、縮合した芳香族炭化水素環、単環の非芳香族炭化水素環、および縮合した非芳香族炭化水素環からなる群より選択される1つ以上の環と、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は3~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環と第2の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、第1の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基であり、たとえば、炭素数3~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環と炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、炭素数3~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。連結非芳香族炭化水素環基としては、たとえば、ビス(シクロヘキサン)-4,4’-ジイル基、1-シクロヘキシルベンゼン-4,4’-ジイル基が挙げられる。
非芳香族炭化水素環基としては、非連結非芳香族炭化水素環基が好ましい。
これらのうち、非芳香族炭化水素環基としては、シクロヘキサンの2価基(シクロヘキサンジイル基)が好ましい。シクロヘキサンジイル基としては、液晶化合物の分子構造の直線性を高くすることができることから、置換されたまたは無置換のシクロヘキサン-1,4-ジイル基であることが好ましい。
CyHにおける置換された非芳香族炭化水素環基は、RA、-OH、-O-RA、-O-C(=O)-RA、-NH、-NH-RA、-N(RB)-RA、-C(=O)-RA、-C(=O)-O-RA、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH-RA、-C(=O)-N(RB)-RA、-SH、-S-RA、トリフルオロメチル基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、およびハロゲンからなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。ここで、RAおよびRBは、それぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表す。
CyHにおける置換されたまたは無置換の非芳香族炭化水素環基は、分子構造の直線性が高く、式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物同士が会合しやすく液晶状態を発現しやすい点から、無置換であるか、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が置換していることが好ましく、無置換であることがより好ましい。
E1およびE2における炭化水素環基は、芳香族炭化水素環基と非芳香族炭化水素環基とを含む。
芳香族炭化水素環基は、非連結芳香族炭化水素環基と連結芳香族炭化水素環基とを含む。
非連結芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の2価基であり、炭素数は6~20が好ましい。芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。
連結芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は6~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環と第2の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、第1の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。連結芳香族炭化水素環基としては、たとえば、ビフェニル-4,4’-ジイル基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、非連結芳香族炭化水素環基が好ましい。
これらのうち、芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環の2価基、ナフタレン環の2価基が好ましく、ベンゼン環の2価基(フェニレン基)がより好ましい。フェニレン基としては、1,4-フェニレン基が好ましい。
非芳香族炭化水素環基は、非連結非芳香族炭化水素環基と連結非芳香族炭化水素環基とを含む。
非連結非芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の2価基であり、炭素数は3~20が好ましい。非芳香族炭化水素環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ノルボルナン環、ボルナン環、アダマンタン環、テトラヒドロナフタレン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環等が挙げられる。
非連結非芳香族炭化水素環基は、非芳香族炭化水素環の環を構成する原子間結合として不飽和結合を有さない脂環式炭化水素環基と、非芳香族炭化水素環の環を構成する原子間結合として不飽和結合を有する不飽和非芳香族炭化水素環基とを含む。非連結非芳香族炭化水素環基としては、脂環式炭化水素環基が好ましい。
連結非芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基;あるいは、単環の芳香族炭化水素環、縮合した芳香族炭化水素環、単環の非芳香族炭化水素環、および縮合した非芳香族炭化水素環からなる群より選択される1つ以上の環と、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は3~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環と第2の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、第1の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基であり、たとえば、炭素数3~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環と炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、炭素数3~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。連結非芳香族炭化水素環基としては、たとえば、ビス(シクロヘキサン)-4,4’-ジイル基、1-シクロヘキシルベンゼン-4,4’-ジイル基が挙げられる。
非芳香族炭化水素環基としては、非連結非芳香族炭化水素環基が好ましい。
これらのうち、非芳香族炭化水素環基としては、シクロヘキサンの2価基(シクロヘキサンジイル基)が好ましい。シクロヘキサンジイル基としては、シクロヘキサン-1,4-ジイル基が好ましい。
E1およびE2における複素環基は、芳香族複素環基と非芳香族複素環基とを含む。
芳香族複素環基は、非連結芳香族複素環基と連結芳香族複素環基とを含む。
非連結芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した芳香族複素環の2価基であり、炭素数は4~20が好ましい。芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、チエノチアゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等が挙げられる。
連結芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した芳香族複素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は4~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環と第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環とが単結合で結合し、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。
非芳香族複素環基は、非連結非芳香族複素環基と連結非芳香族複素環基とを含む。
非連結非芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族複素環の2価基であり、炭素数は4~20が好ましい。炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環の2価基であり、非芳香族複素環としては、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオピラン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ジヒドロピリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロチアゾール環、テトラヒドロオキサゾール環、オクタヒドロキノリン環、テトラヒドロキノリン環、オクタヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロイミダゾール環、テトラヒドロベンゾイミダゾール環、キヌクリジン環等が挙げられる。
連結非芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族複素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は4~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環と第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環とが単結合で結合し、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。
E1およびE2における芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基は、それぞれ、RA、-OH、-O-RA、-O-C(=O)-RA、-NH、-NH-RA、-N(RB)-RA、-C(=O)-RA、-C(=O)-O-RA、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH-RA、-C(=O)-N(RB)-RA、-SH、-S-RA、トリフルオロメチル基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、およびハロゲンからなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。ここで、RAおよびRBは、それぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表す。
E1およびE2における芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基は、分子構造の直線性が高く、式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物同士が会合しやすく液晶状態を発現しやすい点から、それぞれ独立に、無置換であるか、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が置換していることが好ましく、無置換であることがより好ましい。
芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基が有する置換基は、同一でも異なっていてもよく、また、芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基の全部が置換されていてもよく、全部が無置換であってもよく、一部が置換されていて一部が無置換であってもよい。
E1およびE2としては、それぞれ独立に、炭化水素環基が好ましく、フェニレン基、シクロヘキサンジイル基がより好ましい。また、液晶化合物の分子構造の直線性を高くすることができることから、E1およびE2としては、それぞれ独立に、1,4-フェニレン基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基がさらに好ましく、1,4-フェニレン基がとりわけ好ましい。
液晶化合物の直線性や分子短軸周りの回転運動がしやすい傾向にあることから、-Z1-としては、-C≡C-、あるいはπ結合性の小さい、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、-SCH-が好ましく、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-がより好ましい。ある態様として、-Z1-は、-C(=O)O-または-OC(=O)-であり、別の態様として、-Z1-は、-CHCH-、-CHO-、または-OCH-である。
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される、上記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物としては、下記式(2)で表される液晶化合物が挙げられる。
T1-CyH-Z1-E1-C≡C-E2-Z2-E3-T2 ・・・(2)
式(2)中、
CyH、E1、E2及び-Z1-は、それぞれ、前記式(1)における定義と同義であり;
T1およびT2は、それぞれ独立に、鎖状有機基を表し;
E3は、2価有機基または単結合を表し;
-Z2-は、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、または-SCH-を表す。
T1およびT2における鎖状有機基は、前述の芳香族炭化水素環、非芳香族炭化水素環、芳香族複素環、非芳香族複素環等の環状構造を含まない(ただし、T1およびT2における鎖状有機基が、オキシラン環、オキセタン環、ビニルベンゼン環等の、後述する、環状の重合性基を有する場合には、重合性基を除く部分が上記の環状構造を含まない。)1価の有機基である。
このような鎖状有機基としては、-(アルキル基)、-O-(アルキル基)、-S-(アルキル基)、-NH-(アルキル基)、-N(アルキル基)-(アルキル基)、-OC(=O)-(アルキル基)、-C(=O)O-(アルキル基)が挙げられる。このような鎖状有機基としては、-(アルキル基)、-O-(アルキル基)が好ましい。ある態様として、このような鎖状有機基としては、-(アルキル基)であり、別の態様として、このような鎖状有機基としては、-O-(アルキル基)である。
これらの鎖状有機基におけるアルキル基としては、炭素数1~25の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基が挙げられ、アルキル基の炭素-炭素結合は、一部が不飽和結合になっていてもよく、また、アルキル基に含まれる一つまたはそれ以上のメチレン基は、エーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、アミン性窒素原子(-NH-、-N(RA)-:ここで、RAは、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表す。)、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、-CHF-、-CF-、-CHCl-、-CCl-によって置き換えられた(displace)構造とされていてもよい。
これらの鎖状有機基におけるアルキル基としては、分子直線性が高いことから、アルキル基の炭素の一部が不飽和結合になっていてもよく、また、アルキル基に含まれる一つまたはそれ以上のメチレン基が上述の基によって置き換えられた(displace)構造とされていてもよい、炭素数1~25の直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
鎖状有機基における主鎖(鎖状有機基におけるもっとも長い鎖状部分を意味し、鎖状有機基が後述の重合性基で置換されている場合には、重合性基を除いた部分におけるもっとも長い鎖状部分を意味する。)の原子の数は、3~25が好ましく、5~20がより好ましく、6~20がさらに好ましい。
また、これらのアルキル基には、1~3個の重合性基が置換していてもよい。重合性基は、光、熱、および/または放射線によって重合することが可能な部分構造を有する基であり、重合の機能を担保するために必要な官能基ないし原子団である。重合性基は、光重合性基であることが異方性色素膜の製造の観点から好ましい。
重合性基としては、たとえば、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタアクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基、エチニル基、エチニルオキシ基、1,3-ブタジエニル基、1,3-ブタジエニルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、スチリル基、スチリルオキシ基等が挙げられ、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタアクリロイルアミノ基、オキシラニル基、グリシジル基、グリシジルオキシ基が好ましく、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタアクリロイルアミノ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基がより好ましく、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基がさらに好ましい。
これらのアルキル基に重合性基が置換している場合、重合性基が1つ置換していることが好ましく、1つの重合性基がアルキル基の末端に置換していることがより好ましい。
鎖状有機基としては、-(CH-CH、-(CH-CH-重合性基、-O-(CH-CH、-O-(CH-CH-重合性基、-(O)n1-(CHCHO)n2-(CHn3-CH、-(O)n1-(CHCHO)n2-(CHn3-重合性基、-(O)n1-(CHn2-(CHCHO)n3-CH、-(O)n1-(CHn2-(CHCHO)n3-重合性基が好ましい。なお、これらの式中のnは、1~24の整数であり、2~24の整数が好ましく、4~19の整数がより好ましく、5~19の整数がさらに好ましい。また、これらの式中のn1、n2、n3は、それぞれ独立して整数を表し、鎖状有機基における主鎖(鎖状有機基におけるもっとも長い鎖状部分を意味し、鎖状有機基が重合性基で置換されている場合には、重合性基を除いた部分におけるもっとも長い鎖状部分を意味する。)の原子の数が、好ましくは3~25、より好ましくは5~20、さらに好ましくは6~20となるように適宜調整される。
T1およびT2は、それぞれ独立に、重合性基で置換されていてもよい-(アルキル基)、アルキル基が重合性基で置換されていてもよい-O-(アルキル基)であることが好ましく、重合性基で置換された-(アルキル基)、アルキル基が重合性基で置換された-O-(アルキル基)であることがより好ましい。
T1は、アルキル基が重合性基で置換されていてもよい-O-(アルキル基)であることが好ましく、アルキル基が重合性基で置換された-O-(アルキル基)であることがより好ましい。
-Z2-が単結合であり、E3が単結合である場合や;E3が2価有機基である場合;には、T2は、アルキル基が重合性基で置換されていてもよい-O-(アルキル基)であることが好ましく、アルキル基が重合性基で置換された-O-(アルキル基)であることがより好ましい。
-Z2-が単結合以外であり、E3が単結合である場合、T2は、重合性基で置換されていてもよい-(アルキル基)であることが好ましく、重合性基で置換された-(アルキル基)であることがより好ましい。
E3における2価有機基は、下記式(3)で表される基または単結合であることが好ましい。
-Q1- ・・・(3)
式(3)中、
Q1は、炭化水素環基または複素環基を表す。
Q1における炭化水素環基は、芳香族炭化水素環基と非芳香族炭化水素環基とを含む。
芳香族炭化水素環基は、非連結芳香族炭化水素環基と連結芳香族炭化水素環基とを含む。
非連結芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の2価基であり、炭素数は6~20が好ましい。芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。
連結芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は6~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環と第2の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、第1の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数6~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。連結芳香族炭化水素環基としては、たとえば、ビフェニル-4,4’-ジイル基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、非連結芳香族炭化水素環基が好ましい。
これらのうち、芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環の2価基、ナフタレン環の2価基が好ましく、ベンゼン環の2価基(フェニレン基)がより好ましい。フェニレン基としては、1,4-フェニレン基が好ましい。
非芳香族炭化水素環基は、非連結非芳香族炭化水素環基と連結非芳香族炭化水素環基とを含む。
非連結非芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の2価基であり、炭素数は3~20が好ましい。非芳香族炭化水素環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ノルボルナン環、ボルナン環、アダマンタン環、テトラヒドロナフタレン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環等が挙げられる。
非連結非芳香族炭化水素環基は、非芳香族炭化水素環の環を構成する原子間結合として不飽和結合を有さない脂環式炭化水素環基と、非芳香族炭化水素環の環を構成する原子間結合として不飽和結合を有する不飽和非芳香族炭化水素環基とを含む。非連結非芳香族炭化水素環基としては、脂環式炭化水素環基が好ましい。
連結非芳香族炭化水素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基;あるいは、単環の芳香族炭化水素環、縮合した芳香族炭化水素環、単環の非芳香族炭化水素環、および縮合した非芳香族炭化水素環からなる群より選択される1つ以上の環と、単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は3~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環と第2の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、第1の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基であり、たとえば、炭素数3~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環と炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環とが単結合で結合し、炭素数3~20の単環もしくは縮合した芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、炭素数3~20の単環もしくは縮合した非芳香族炭化水素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。連結非芳香族炭化水素環基としては、たとえば、ビス(シクロヘキサン)-4,4’-ジイル基、1-シクロヘキシルベンゼン-4,4’-ジイル基が挙げられる。
非芳香族炭化水素環基としては、非連結非芳香族炭化水素環基が好ましい。
これらのうち、非芳香族炭化水素環基としては、シクロヘキサンの2価基(シクロヘキサンジイル基)が好ましい。シクロヘキサンジイル基としては、シクロヘキサン-1,4-ジイル基が好ましい。
Q1における複素環基は、芳香族複素環基と非芳香族複素環基とを含む。
芳香族複素環基は、非連結芳香族複素環基と連結芳香族複素環基とを含む。
非連結芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した芳香族複素環の2価基であり、炭素数は4~20が好ましい。芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、チエノチアゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等が挙げられる。
連結芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した芳香族複素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は4~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環と第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環とが単結合で結合し、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した芳香族複素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。
非芳香族複素環基は、非連結非芳香族複素環基と連結非芳香族複素環基とを含む。
非連結非芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族複素環の2価基であり、炭素数は4~20が好ましい。炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環の2価基であり、非芳香族複素環としては、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオピラン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ジヒドロピリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロチアゾール環、テトラヒドロオキサゾール環、オクタヒドロキノリン環、テトラヒドロキノリン環、オクタヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロイミダゾール環、テトラヒドロベンゾイミダゾール環、キヌクリジン環等が挙げられる。
連結非芳香族複素環基は、単環もしくは縮合した非芳香族複素環の複数が単結合で結合し、環を構成する原子上に結合手を有する2価基である。単環もしくは縮合環の炭素数は4~20が好ましい。たとえば、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環と第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環とが単結合で結合し、第1の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環の環を構成する原子上に第1の結合手を有し、第2の炭素数4~20の単環もしくは縮合した非芳香族複素環の環を構成する原子上に第2の結合手を有する2価基である。
Q1における芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基は、それぞれ、RA、-OH、-O-RA、-O-C(=O)-RA、-NH、-NH-RA、-N(RB)-RA、-C(=O)-RA、-C(=O)-O-RA、-C(=O)-NH、-C(=O)-NH-RA、-C(=O)-N(RB)-RA、-SH、-S-RA、トリフルオロメチル基、スルファモイル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、およびハロゲンからなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。ここで、RAおよびRBは、それぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表す。
Q1における芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基は、分子構造の直線性が高く、式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物同士が会合しやすく液晶状態を発現しやすい点から、それぞれ独立に、無置換であるか、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が置換していることが好ましく、無置換であることがより好ましい。
芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基が有する置換基は、同一でも異なっていてもよく、また、芳香族炭化水素環基、非芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基の全部が置換されていてもよく、全部が無置換であってもよく、一部が置換されていて一部が無置換であってもよい。
Q1としては、炭化水素環基が好ましく、フェニレン基、シクロヘキサンジイル基がより好ましい。また、液晶化合物の分子構造の直線性を高くすることができることから、Q1としては、1,4-フェニレン基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基がさらに好ましい。
2価有機基としては、Q1が炭化水素環基であること、すなわち、2価有機基として炭化水素環基であることが好ましい。また、2価有機基としては、フェニレン基、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、液晶化合物の分子構造の直線性を高くすることができることから、1,4-フェニレン基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基がさらに好ましい。
E3としては、フェニレン基、シクロヘキサンジイル基または単結合であることが好ましく、1,4-フェニレン基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基または単結合であることがより好ましい。
液晶化合物の直線性や分子短軸周りの回転運動がしやすい傾向にあることから、-Z2-としては、-C≡C-、あるいはπ結合性の小さい、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、または-SCH-が好ましく、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-がより好ましい。
具体的には、式(2)として以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007272021000005
Figure 0007272021000006
Figure 0007272021000007
Figure 0007272021000008
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される液晶化合物は、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物からなることが好ましい。ここで、本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される液晶化合物は、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物の1種でもよく、2種以上が併用されてもよい。また、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物以外の液晶化合物が併用されてもよい。
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される液晶化合物は、プロセスの観点から、その等方相出現温度が、一般的には200℃未満で、160℃未満であることが好ましく、140℃未満がより好ましく、115℃未満がさらに好ましく、110℃未満がよりさらに好ましく、105℃未満が特に好ましい。
なお、ここで等方相出現温度とは、液晶から液体への相転移温度および液体から液晶への相転移温度を意味する。本発明においては、これらの相転移温度の少なくとも一方が前記範囲にあることが好ましく、これらの相転移温度の両方が前記範囲にあることがより好ましい。
本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される液晶化合物は、アルキル化反応、エステル化反応、アミド化反応、エーテル化反応、イプソ置換反応、金属触媒を用いたカップリング反応等の公知の化学反応を組み合わせることにより製造することができる。
たとえば、本発明の異方性色素膜形成用組成物に含有される液晶化合物は、実施例に記載の方法や、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)の449~468ページに記載の方法にしたがって合成することができる。
(溶剤)
本発明の異方性色素膜形成用組成物は、必要に応じて、溶剤を含有してもよい。
使用しうる溶剤としては、液晶化合物中に色素またはその他の添加剤を十分に分散または溶解させ得るものであれば特に限定されないが、たとえば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル溶剤;ペルフルオロベンゼン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、ヘキサフルオロ-2-プロパノール等のフッ素含有溶剤;および、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;が挙げられる。
これら溶剤は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤は、液晶化合物および色素を溶解し得る溶剤であることが好ましく、液晶化合物および色素が完全に溶解する溶剤であることがさらに好ましい。また、液晶化合物が重合性化合物である場合には重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。また、後述する本発明の異方性色素膜形成用組成物を塗布する観点から、沸点が50~200℃の範囲である溶剤が好ましい。
本発明の異方性色素膜形成用組成物が溶剤を含む場合において、異方性色素膜形成用組成物において溶剤が占める含有割合は、本発明の組成物の総量(100質量%)に対して、50~98質量%が好ましい。換言すると、本発明の異方性色素膜形成用組成物における固形分は、2~50質量%が好ましい。
異方性色素膜形成用組成物における固形分含有量が前記上限値以下であれば、異方性色素膜形成用組成物の粘度が高くなりすぎず、得られる偏光膜の厚みが均一になり、偏光膜にムラが生じにくくなる傾向がある。
かかる固形分含有量は、製造しようとする偏光膜の厚さを考慮して定めることができる。
本発明の異方性色素膜用組成物の粘度は、後述の塗布方法により、厚みムラのない均一な膜が作製されれば特に問わないが、大面積での厚み均一性、塗布速度などの生産性、光学特性の面内均一性を得る観点からは、0.1mPa・s以上が好ましく、500mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の異方性色素膜形成用組成物は、さらに必要に応じて、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物以外の重合性液晶化合物、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物以外の非重合性液晶化合物、重合開始剤、重合禁止剤、重合助剤、重合性非液晶化合物、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤、pH調整剤、分散剤、酸化防止剤、有機・無機フィラー、有機・無機ナノシート、有機・無機ナノファイバー、金属酸化物等のその他の添加剤を含有してもよい。添加剤を含有することにより、異方性色素膜形成用組成物の塗布性や安定性等を向上させたり、異方性色素膜形成用組成物から形成される異方性色素膜の安定性を向上させたりし得る場合がある。
[異方性色素膜形成用組成物の製造方法]
本発明の異方性色素膜用組成物を製造する方法は特に限定されない。たとえば、色素、液晶化合物、必要に応じて溶剤、その他の添加剤等を混合し、0~80℃で撹拌、振盪して色素を溶解する。難溶性の場合は、ホモジナイザー、ビーズミル分散機等を用いてもよい。
本発明の異方性色素膜用組成物を製造する方法として、組成物中の異物等を除去する目的で、ろ過工程を有していてもよい。
本発明の異方性色素膜形成用組成物は、異方性色素膜形成用組成物から溶剤の除いた組成物が、任意の温度で液晶であってもなくてもよいが、任意の温度で液晶性を示すことが好ましい。異方性色素膜形成用組成物から溶剤を除いた組成物は、下記に記載の塗工プロセスの観点からその等方相出現温度が、一般的には200℃未満で、160℃未満であることが好ましく、140℃未満がより好ましく、115℃未満がさらに好ましく、110℃未満がよりさらに好ましく、105℃未満が特に好ましい。
[異方性色素膜]
本発明の異方性色素膜は、色素および前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物を含有する(ただし、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物が重合性化合物である場合は、色素と、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物および前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物に基づく単位を有する重合物の一方または両方とを含有する。)。
本発明の異方性色素膜は、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物以外の重合性液晶化合物、非重合性液晶化合物、重合開始剤、重合禁止剤、重合助剤、重合性非液晶化合物、非重合性非液晶化合物、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤、pH調整剤、分散剤、酸化防止剤、有機・無機フィラー、有機・無機ナノシート、有機・無機ナノファイバー、金属酸化物等を含んでもよい。
本発明の異方性色素膜は、本発明の異方性色素膜形成用組成物を用いて形成することができる。
本発明における異方性色素膜は、光吸収の異方性を利用して、直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能しうる他、膜形成プロセスと基板や有機化合物(色素や透明材料)を含有する組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性等の各種異方性色素膜として機能化が可能である。
本発明の異方性色素膜を液晶ディスプレイ用や、OLED用反射防止膜の偏光素子として使う場合は、異方性色素膜の配向特性は二色比を用いて表すことができる。二色比は8以上あれば偏光素子として機能するが、15以上が好ましく、20以上がさらに好ましく、25以上がさらに好ましく、30以上が特に好ましく、40以上がことさら好ましい。また、二色比は高いほど好ましい。二色比が前記下限値以上であることで、後述する光学素子、特に偏光素子として有用である。
OLED用反射防止膜の偏光素子として用いる場合、位相差フィルム等の周辺材料の性能が低くても、偏光素子の性能が高ければ、反射防止膜としての特性は向上する。そのため、偏光素子の性能が高ければ、層構成を簡素化させやすく、薄膜構成でも十分な機能を発現しやすくなり、折る、曲げる、を含む変形させて使用する用途にも好適に使用できる。また、コストも低く抑えることが可能となる。
本発明で言う二色比(D)は、色素が一様に配向している場合、以下の式で表される。
D=Az/Ay
ここで、Azは異方性色素膜に入射した光の偏光方向が異方性色素の配向方向に平行な場合に観測される吸光度であり、Ayは異方性色素膜に入射した光の偏光方向が垂直な場合に観測される吸光度である。
それぞれの吸光度は同じ波長のものを用いれば特に制限はなく、目的によっていずれの波長を選択してもよいが、異方性色素膜の配向の度合を表す場合は、異方性色素膜の380nm~780nmの特定波長域に視感度で補正した値や、可視域の極大吸収波長における値を用いることが好ましい。
また、本発明の異方性色素膜の可視光波長域における透過率は、好ましくは25%以上であり、35%以上がさらに好ましく、40%以上が特に好ましい。また、透過率は用途に応じた上限であればよい。たとえば、偏光度を高くする場合には、透過率は50%以下であることが好ましい。透過率が上記範囲であることで、後述する光学素子として有用であり、特にカラー表示に用いる液晶ディスプレイ用や、異方性色素膜と位相差膜とを組み合わせた反射防止膜用の光学素子として有用である。
異方性色素膜の膜厚は、乾燥膜厚として、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは500nm以上である。一方、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、とりわけ好ましくは3μm以下である。異方性色素膜の膜厚が上記範囲にあることで、膜内で色素の均一な配向および均一な膜厚を得られる傾向にある。
[異方性色素膜の製造方法]
本発明の異方性色素膜は、本発明の異方性色素膜形成用組成物を用いて、湿式成膜法により作製することが好ましい。
本発明で言う湿式成膜法とは、異方性色素膜用組成物を基板上に何らかの手法により塗布、配向させる方法である。そのため、異方性色素膜用組成物は流動性を持てばよく、溶剤を含んでいても、含んでいなくてもよい。塗布する際の粘度や膜均一性の観点から、溶剤を含んでいる方がより好ましい。
異方性色素膜中の液晶や色素の配向は、塗布過程で剪断などにより配向してもよいし、溶剤が乾燥する過程で配向してもよい。また、塗布、乾燥後に加熱し、液晶や色素等を再配向させるプロセスを経て、液晶や色素等を基板上で配向、積層させてもよい。湿式成膜法では、異方性色素膜用組成物を基板上に付与すると、すでに異方性色素膜用組成物中で、または溶剤が乾燥する過程で、または溶媒が完全に除去された後で、色素や液晶化合物が自己会合(液晶状態等の分子会合状態)を取ることにより微小面積での配向が起こる。この状態に外場を与えることにより、マクロな領域で一定方向に配向させ、所望の性能を有する異方性色素膜を得ることができる。この点で、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム等を、色素を含む溶液で染色して延伸し、延伸工程だけで色素を配向させることを原理とする方法とは異なる。なお、ここで外場とは、あらかじめ基板上に施された配向処理層の影響、せん断力、磁場、電場、熱等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。必要があれば、加熱工程を経てもよい。
異方性色素膜用組成物を基板上に付与し成膜する過程、外場を与えて配向させる過程、溶剤を乾燥させる過程は、逐次行ってもよいし、同時に行ってもよい。
湿式成膜法における異方性色素膜形成用組成物の基板上へ付与する方法としては、たとえば、塗布法、ディップコート法、LB膜形成法、公知の印刷法等が挙げられる。また、このようにして得た異方性色素膜を別の基板に転写する方法もある。
これらのなかでも、塗布法を用いて異方性色素膜形成用組成物を基板上に付与することが好ましい。
異方性色素膜の配向方向は塗布方向と異なっていてもよい。なお、本発明において異方性色素膜の配向方向とは、たとえば、偏光膜であれば、偏光の透過軸(偏光軸)または吸収軸のことであり、位相差膜であれば、進相軸または遅相軸のことである。
異方性色素膜用組成物を塗布し、異方性色素膜を得る方法としては、特に限定されないが、たとえば、原崎勇次著「コーティング工学」(株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行)の253~277ページに記載の方法、市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」(株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行)の118~149ページに記載の方法、段差構造を有する基板(予め配向処理を施してもよい)上にスロットダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、ファウンテン法、ディップ法等で塗布する方法が挙げられる。なかでも、スロットダイコート法やバーコート法を採用すると、均一性の高い異方性色素膜が得られるため好適である。
スロットダイコート法に用いるダイコーターは、一般的に塗布液を吐出する塗布機、いわゆるスリットダイを備えている。スリットダイは、たとえば、日本国特開平2-164480号公報、日本国特開平6-154687号公報、日本国特開平9-131559号公報、「分散・塗布・乾燥の基礎と応用」(2014年、株式会社テクノシステ、ISBN9784924728707 C 305)、「ディスプレイ・光学部材における湿式コーティング技術」(2007年、情報機構、ISBN9784901677752)、「エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術」(2007年、技術情報協会、ISBN9784861041389)等に開示されている。これら公知のスリットダイは、フィルムやテープなどの可撓性を有した部材やガラス基板のような硬い部材であっても塗布が実施できる。
本発明の異方性色素膜形成に使用される基板として、ガラスや、トリアセテート、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースまたはウレタン系のフィルム等が挙げられる。また、この基板表面には、色素の配向方向を制御するために、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)の226~239ページ等に記載の公知の方法(ラビング法、配向膜表面上にグルーブ(微細な溝構造)を形成する方法、偏光紫外光・偏光レーザーを用いる方法(光配向法)、LB膜形成による配向方法、無機物の斜め蒸着による配向方法等)により、配向処理(配向膜)を施していてもよい。特に、ラビング法、光配向法による配向処理を好ましく挙げることができる。ラビング法に用いる材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド(PI)、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。光配向法に用いる材料としては、ポリシンナメート系、ポリアミック酸・ポリイミド系、アゾベンゼン系等が挙げられる。配向処理層を設けた場合、配向処理層の配向処理の影響と、塗布時に異方性色素膜用組成物にかかるせん断力によって、液晶化合物や色素が配向すると考えられる。
異方性色素膜用組成物を塗布する際の、異方性色素膜用組成物の供給方法、供給間隔は特に限定されない。塗布液の供給操作が繁雑になったり、塗布液の開始時と停止時に塗布膜厚の変動を生じたりする場合があるため、異方性色素膜の膜厚が薄い時には、連続的に異方性色素膜用組成物を供給しながら塗布することが望ましい。
異方性色素膜用組成物を塗布する速度としては、通常0.001m/分以上であり、好ましくは0.01m/分以上であり、より好ましくは0.1m/分以上であり、さらに好ましくは1.0m/分以上であり、特に好ましくは5.0m/分以上である。また、通常400m/分以下であり、好ましくは200m/分以下であり、より好ましくは100m/分以下であり、さらに好ましくは50m/分以下である。塗布速度が上記範囲であることで、異方性色素膜の異方性が得られ、均一に塗布できる傾向にある。
異方性色素膜用組成物の塗布温度としては、通常0℃以上100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
異方性色素膜用組成物の塗布時の湿度は、好ましくは10%RH以上であり、好ましくは80RH%以下である。
異方性色素膜には、不溶化処理を行ってもよい。不溶化とは、異方性色素膜中の化合物の溶解性を低下させることにより、化合物の異方性色素膜からの溶出を制御し、膜の安定性を高める処理を意味する。
具体的には、膜の重合やオーバーコートなどが、後工程の容易さ、異方性色素膜の耐久性等の点から好ましい。
膜の重合を行う場合、液晶分子と色素分子が配向した膜に対して、光、熱、および/または放射線を用いて重合を行う。
光または放射線を用いて重合をおこなう場合、波長が190~450nmの範囲にある活性エネルギー線を照射することが好ましい。
波長190~450nmの活性エネルギー線の光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。活性エネルギー線の露光量は、1~100,000J/mが好ましく、10~10,000J/mがより好ましい。
熱を用いて重合を行う場合は、50~200℃の範囲で行うことが好ましく、60~150℃の範囲で行うことがさらに好ましい。
光、熱、および/または放射線を用いて重合を行ってもよいが、光重合を用いる、または、光重合と熱重合を併用するのが膜形成プロセスの時間が短く、装置も簡易であることから好ましい。
[光学素子]
本発明の光学素子は、本発明の異方性色素膜を含む。
本発明における光学素子は、光吸収の異方性を利用して、直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光素子、位相差素子、屈折異方性や伝導異方性等の機能を有する素子を表す。これらの機能は、異方性色素膜形成プロセスと、基板や有機化合物(色素や透明材料)を含有する組成物の選択により、適宜調整することができる。
本発明の光学素子は、偏光素子として用いることが最も好ましい。
本発明の光学素子は、基板上に塗布等により異方性色素膜を形成することで偏光素子を得ることができるという点から、フレキシブルディスプレイ等の用途にも好適に使用することができる。
光学素子は、異方性色素膜の機能を維持、向上させるために、他の層が設けられていてもよい。たとえば、耐光性、耐熱性、耐水性等の耐久性を向上させるために用いる、特定の波長を遮断する機能を有する層や特定の物質を遮断する機能を有する層(酸素遮断フィルム、水蒸気遮断フィルムなどのバリアフィルム等);色域を変更したり、光学特性を向上させたりするために用いる、波長カットフィルターや特定の波長を吸収する材料を含有する層;等が挙げられる。
[偏光素子]
本発明の偏光素子は、本発明の異方性色素膜を有するものであれば他の如何なる膜(層)を有するものであってもよい。たとえば、基板上に配向膜を設け、配向膜の表面に、本発明の異方性色素膜を形成することにより製造することができる。
また、偏光素子は異方性色素膜だけに限らず、偏光性能を向上させる、機械的強度を向上させる等の機能を有するオーバーコート層;粘着層または反射防止層;配向膜;位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射または反射防止フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能を有する層;等、と組み合わせて使用してもよい。具体的には、前述の様々な機能を有する層を塗布や貼合等により積層形成し、積層体として使用してもよい。
これらの層は、製造プロセス、特性および機能に合わせ適宜設けることができ、その積層の位置、順番等は特に限定されない。たとえば、各層を形成する位置は、異方性色素膜の上に形成してもよく、異方性色素膜を設けた基板の反対面に形成してもよい。また、各層を形成する順番は、異方性色素膜を形成する前でも形成した後でもよい。
これら光学機能を有する層は、以下の様な方法により形成することができる。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、位相差フィルムを、偏光素子を構成する他の層に塗布や貼合等を行うことにより形成することができる。位相差フィルムは、たとえば、日本国特開平2-59703号公報、日本国特開平4-230704号公報等に記載の延伸処理を施したり、日本国特開平7-230007号公報等に記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、輝度向上フィルムを、偏光素子を構成する他の層に塗布や貼合等を行うことにより形成することができる。輝度向上フィルムは、たとえば、日本国特開2002-169025号公報および日本国特開2003-29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成することにより、または、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
反射フィルムまたは半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、たとえば、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を、偏光素子を構成する他の層に塗布や貼合等を行うことにより形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、たとえば、偏光素子を構成する他の層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより形成することができる。
位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物、スメクチック液晶性化合物、コレステリック液晶性化合物等の液晶性化合物を、偏光素子を構成する他の層に塗布して配向させることにより形成することができる。その際に、基板上に配向膜を設け、配向膜の表面に、位相差フィルムや光学補償フィルムを形成してもよい。
本発明の異方性色素膜を、LCDやOLED等の各種の表示素子に異方性色素膜等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板等の表面に直接、本発明の異方性色素膜を形成してもよいし、本発明の異方性色素膜を形成した基板を、これら表示素子の構成部材として用いてもよい。
実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の記載において、「部」は「重量部」を意味する。
[液晶相の同定方法]
得られた異方性色素膜形成用組成物の液晶性は、示差走査熱量測定(セイコーインスツルメンツ社「DSC220CU」)、X線構造解析(株式会社リガク「NANO-Viewer」)、ホットステージ(株式会社東陽テクニカ「HCS302-LN190」)が付属する偏光顕微鏡(株式会社ニコンインステック「ECLIPSE LV100N POL」)にて観察し、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)の9~50ページ、117~176ページ等に記載の方法にしたがって、液晶であることの同定を行った。
[異方性色素膜の吸収軸/偏光軸方向の偏光に対する透過率の測定および二色比]
得られた異方性色素膜の吸収軸/偏光軸方向の偏光に対する透過率は、グラントムソン偏光子を備える分光光度計(大塚電子(株)製、製品名「RETS-100」)を用いて測定した。
異方性色素膜に直線偏光の測定光を入射し、異方性色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率および異方性色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率を測定し、次式により二色比(D)を算出した。
D=Az/Ay
(式中、
Ay=-log(Ty)であり;
Az=-log(Tz)であり;
Tzは、異方性色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率であり;
Tyは、異方性色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率である。)
具体的には、基材としてガラス上にポリイミドの配向膜(LX1400、日立化成デュポンマイクロシステムズ社製)が形成されたサンドイッチセル(セルギャップ:8.0μm、10.0μm、成膜済みのポリイミドにあらかじめ布でラビング処理を施したもの)に、異方性色素膜用組成物を等方相で注入し、5℃/minで80℃まで冷却することにより異方性色素膜を得、さらに5℃/minで0℃まで冷却しながら、各温度で二色比を測定した。その中で、最大の二色比を示した温度および波長における二色比をその異方性色素膜の二色比と決定した。
また、異方性色素膜の二色比が、30以上のものを「++」、20以上30未満のものを「+」、8以上20未満のものを「-」、8未満のものを「--」と評価した。
[液晶化合物の合成]
<液晶化合物(III-1)>
下記に記載の合成法に従い、液晶化合物(III-1)を合成した。
Figure 0007272021000009
(III-1-a)の合成:
Lub et al.,Recl.Trav.Chim.Pays-Bas,115,321-328(1996)に記載の化合物に準じた方法で(III-1-a)を合成した。
(III-1-b)の合成:
4-ヨードフェノール(3.62g,16.5mmol)、(III-1-a)(6.43g,16.1mmol)、N,N-ジメチルアミノ-4-ピリジン(0.39g,3.20mmol)、塩化メチレン(80mL)を混合し、氷浴で冷却したのち、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(3.39g,17.7mmol)を添加し、5分間撹拌した。その後、室温で2時間攪拌し、塩化アンモニウム飽和水溶液、続いて飽和食塩水で洗浄した。溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、白色固体(III-1-b)を8.49g得た。
(III-1-c)の合成:
ジイソプロピルアミン(70mL)に(III-1-b)(5.00g,8.33mmol)を入れ完溶させた後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(58mg,0.08mmol)、ヨウ化銅(I)(48mg,0.25mmol)を混合し、トリメチルシリルアセチレン(0.98g,9.99mmol)を添加した。室温で30分間撹拌した後、水-酢酸エチルで抽出した後、飽和食塩水で洗浄した。溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、白色固体(III-1-c)を4.30g得た。
(III-1-d)の合成:
(III-1-c)(4.30g,7.53mmol)、クロロホルム(100mL)を混合し、氷浴で冷却したのち、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)テトラヒドロフラン溶液(1mol/L,9mL)を添加した。20分間撹拌後、水-クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、白色固体(III-1-d)を3.80g得た。
(III-1-e)の合成:
(III-1-b)(3.56g,5.93mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(68mg,0.06mmol)、ヨウ化銅(I)(34mg,0.18mmol)、ジイソプロピルアミン(120mL)を混合し、氷浴で冷却したのち、(III-1-d)(2.96g,5.93mmol)のジイソプロピルアミン(40mL)溶液を添加した。室温で1時間撹拌した後、水-クロロホルムで抽出した後、飽和食塩水で洗浄した。溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、白色固体(III-1-e)を得た。
(III-1-f)の合成:
上記操作で得られた(III-1-e)、テトラヒドロフラン(60mL)を混合し、50℃で完溶させた後、エタノール(60mL)を添加した。このスラリー溶液にp-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(PPTS)(0.54g,2.13mmol)を加え、60℃で2時間加熱した後、一晩放置した。翌日再び60℃に加熱し完溶させた後、氷水に反応液を加えた。クロロホルムで抽出、溶液を濃縮の後、得られた固体をヘキサンで懸洗し白色固体(III-1-f)を4.02g得た。
(III-1)の合成:
(III-1-f)(4.00g,4.98mmol)、アクリル酸(0.72g,9.96mmol、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(0.12g,0.10mmol)、ジクロロメタン(100mL)を混合し、氷浴で冷却したのち、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(2.10g,11.0mmol)を添加した。2時間撹拌した後、アクリル酸(0.36g,4.98mmol)、EDC(1.05g,5.5mmol)を添加、18時間後さらにアクリル酸(0.36g,4.98mmol)、EDC(1.05g,5.5mmol)を添加し、5時間撹拌した。反応液を塩化アンモニウム飽和水溶液、続いて飽和食塩水で洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、白色固体(III-1)を2.30g得た。
NMRによる構造確認をおこなった。結果を以下に示す。
H NMR(CDCl、400MHz)δ7.52(d,4H,J=8.8Hz),7.06(d,4H,J=8.8Hz),6.40(d,2H,J=17.2Hz),6.12(dd,2H,J=10.4,17.2Hz),5.81(d,2H,J=10.4Hz),4.15(t,4H,J=6.8Hz),3.46(t,4H,J=9.2Hz),3.30-3.20(m,2H),2.60-2.45(m,2H),2.22-2.10(m,8H),1.70-1.50(m,8H),1.45-1.25(m,36H)
化合物(III-1)が液晶性を示すことは、液晶化合物100重量部に対して、重合禁止剤として4-メトキシフェノールを0.2重量部添加したものを用いて、ホットステージが付属する偏光顕微鏡にて、70℃で複屈折が観察されたことで確認した。
<液晶化合物(III-2)>
下記に記載の合成法に従い、液晶化合物(III-2)を合成した。
Figure 0007272021000010
(III-2-a)の合成:
4-ヨードフェノール(25g,114mmol)、4-ジヒドロ-2H-ピラン(13.4g,160mmol)、ジクロロメタン溶液(125mL)を混合し、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(PPTS)(2.85g,11.4mmol)を加えて室温で5時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を加え、塩化メチレンで抽出をおこなった。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥後、ろ過濃縮をおこなうことにより、粗体を得た。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、白色固体(III-2-a)を32.7g得た。
(III-2-b)の合成:
(III-2-a)(32.7g,107.5mmol)、テトラヒドロフラン(370mL)にトリメチルシリルアセチレン(11.6g,118.3mmol)、トリエチルアミン(31.6mL,225.8mmol)、ヨウ化銅(I)(2.03g,10.7mmol)を加え、撹拌した。その後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.8g,5.38mmol)を加えた。室温で12時間撹拌後、水-酢酸エチルで抽出をおこなった。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥後、ろ過濃縮をおこない、粗体を得た。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、白色固体(III-2-b)を30.6g得た。
(III-2-c)の合成:
(III-2-b)(30.6g,111.5mmol)、テトラヒドロフラン(250mL)を混合し、氷浴で冷却した。フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムテトラヒドロフラン溶液(1mol/L,133.8mL)を添加し、室温で1時間撹拌した。水-酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過濃縮をおこなうことにより、(III-2-c)22.1gを得た。
(III-2-d)の合成:
上記操作で得られた(III-2-c)(22.1g,109.3mmol)、4-ヨードフェノール(26.4g,102.2mmol)、テトラヒドロフラン(300mL)を混合し、トリエチルアミン(23mL,229.5mmol)を加えた。反応溶液にヨウ化銅(I)(2.1g,10.9mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(3.8g,5.5mmol)を加え、室温で4時間撹拌をおこなった。反応溶液をセライトろ過したのち、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗体を塩化メチレンを用いて懸洗することにより(III-2-d)22.1gを得た。
(III-2-e)の合成:
(III-2-d)(11.0g,37.4mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(22mL)を混合し、11-ブロモ-1-ウンデカノール(9.39g,37.4mmol)、炭酸カリウム(25.8g,187mmol)を加えて90℃で1時間撹拌した。放冷後氷水に加え、析出した固体をろ取し、ヘキサンで洗浄することにより粗体を得た。得られた粗体を酢酸エチルに溶解後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、セライト濾過を行い、溶媒留去を行うことにより、(III-2-e)17.0gを得た。
(III-2-f)の合成:
(III-2-e)(4.0g,8.61mmol)、テトラヒドロフラン(40mL)、トリエチルアミン(2.4mL,17.2mmol)を混合し、氷浴で冷却後、アクリロイルクロリド(1.04mL,12.9mmol)を加え、10分間撹拌した。反応液を氷水に加えたのち、酢酸エチルで抽出を行い、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥後、ろ過濃縮することにより(III-2-f)4.44gを得た。
(III-2-g)の合成:
(III-2-f)(4.44g,8.56mmol)、エタノール(45mL)を混合し、PPTS(215mg,0.856mmol)を加えて50℃で1時間撹拌した。放冷後、減圧濃縮したのち、粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、(III-2-g)3.36gを得た。
(III-2-i)の合成:
Figure 0007272021000011
下記に記載の合成法に従い、化合物(III-2-i)を合成した。
Lub et al.,Recl.Trav.ChIm.Pays-Bas,115,321-328(1996)に記載の化合物に準じた方法で(III-1-a)を合成した。
次に、(III-1-a)(42.9g,107.6mmol)、PPTS(2.6g,10.8mmol)、エタノール(430mL)を混合し、78℃で2時間撹拌した。溶媒を留去し、酢酸エチル(150mL)に溶解し、ヘキサン(750mL)を加え、冷却した。析出した沈殿を濾別、ヘキサンで洗浄後、乾燥させ、白色固体(III-2-h)を29.2g得た。
(III-2-h)(37.2g,118.3mmol)、N,N-ジメチルアニリン(21.5g,177.5mmol)、テトラヒドロフラン(380mL)を混合した。氷浴で冷却したのち、アクリロイルクロリド(16.1g,177.5mmol)をゆっくり添加した。滴下後、50℃で2時間撹拌したのち、液量が190mLになるまで溶媒を留去し、氷浴で冷却した1mol/L塩酸に放出した。析出した沈殿を濾別、水、ヘキサンで洗浄した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、白色固体(III-2-i)を39.4g得た。
(III-2)の合成:
(III-2-g)(1.0g,2.3mmol)、(III-2-i)(0.85g,2.3mmol)、N,N-ジメチルアミノ-4-ピリジン(56mg,0.46mmol)、塩化メチレン(10mL)を混合し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(0.57g,3.0mmol)を0℃で加え、室温で2時間撹拌した。得られた反応溶液を氷水(20mL)に注いだのち、塩化メチレンで抽出おこなった。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを加えて乾燥後、ろ過濃縮を行なうことにより粗体を得た。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン/酢酸エチル)で精製し、(III-2)0.98gを得た。
NMRによる構造確認をおこなった。結果を以下に示す。
H NMR(CDCl,400MHz)δ7.50(d,2H,J=6.8Hz),7.44(d,2H,J=6.8Hz),7.04(d,2H,J=6.8Hz),6.86(d,2H,J=6.8Hz),6.39(d,2H,J=17.2Hz),6.12(dd,2H,J=17.2,10.4Hz),5.82(d,2H,J=10.4Hz),4.15(t,4H,J=6.8Hz),3.99(t,2H,J=6.8Hz),3.47(t,2H,J=6.8Hz),3.29-3.21(m,1H),2.57-2.49(m,1H),2.25-2.10(m,4H),1.88-1.70(m,2H),1.70-1.24(m,38H)
化合物(III-2)が液晶性を示すことは、液晶化合物100重量部に対して、重合禁止剤として4-メトキシフェノールを0.2重量部添加したものを用いて、ホットステージが付属する偏光顕微鏡にて、40℃で複屈折が観察されたことで確認した。
上記で合成した液晶化合物、ならびに下記実施例で使用した色素の化学構造式を以下に示す。なお、式中、C1122は、メチレン鎖が直鎖状に11個結合していることを意味する。
Figure 0007272021000012
Figure 0007272021000013
Figure 0007272021000014
Figure 0007272021000015
実施例1
クロロホルム79.80部に、液晶化合物(III-1)の20.00部、式(II-1)のアゾ色素(株式会社林原製)の0.12部、式(II-2)のアゾ色素(昭和化工株式会社製)の0.08部を加え、撹拌して相溶させた後、溶媒を除去することにより、異方性色素膜形成用組成物1を得た。
異方性色素膜形成用組成物1が液晶性を示すことは、ホットステージが付属する偏光顕微鏡にて、70℃で複屈折が観察されたことで確認した。
得られた異方性色素膜形成用組成物1を用いて、上述の方法で二色比を決定するため、異方性色素膜1を作製し、異方性色素膜1の二色比を決定した。
その結果を、表1に示す。
実施例2
シクロペンタノンの69.99部に、液晶化合物(III-1)の28.57部、式(II-1)のアゾ色素の0.43部、式(II-2)のアゾ色素の0.29部、IRGACURE(登録商標)369(BASF社製品)の0.29部、BYK-361N(BYK-Chemie社製)の0.43部を加え、80℃で加熱撹拌後、シリンジフィルター(Membrane Solutions社製、PTFE13045、口径0.45μm)を備えたシリンジを用いて濾過することで異方性色素膜用組成物2を得た。
異方性色素膜用組成物2をスピンコート法により、ガラス上にポリイミドの配向膜(LX1400、日立化成デュポンマイクロシステムズ社製、ラビング法で配向膜を形成)が形成された基板に成膜し、120℃で2分間加熱乾燥した後、液晶相まで冷却し露光量500mj/cm(365nm基準)で重合し異方性色素膜2を得た。得られた異方性色素膜2を市販の偏光板の上にかざし回転させると明暗し、偏光膜として利用ししうる良好な性能を示すことが確認できた。
上記より、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物である、液晶化合物(III-1)を用いて作成した膜は、偏光膜として十分に機能しうることが明らかとなった。
実施例3
液晶化合物(III-1)に代えて、液晶化合物(III-2)を用いたほかは実施例1と同様にして、異方性色素膜形成用組成物3および異方性色素膜3を得た。
異方性色素膜形成用組成物3が液晶性を示すことは、ホットステージが付属する偏光顕微鏡にて、40℃で複屈折が観察されたことで確認した。
異方性色素膜3について、異方性色素膜3の二色比を決定した。
その結果を、表1に示す。
Figure 0007272021000016
上記より、前記式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物である、液晶化合物(III-1)または液晶化合物(III-2)を用いて作成した膜は、偏光膜として十分に機能しうることが明らかとなった。
本発明の異方性色素膜形成用組成物は、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現できる。
本発明の異方性色素膜は、本発明の異方性色素膜形成用組成物を用いて形成されるため、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現できる。
本発明の光学素子は、本発明の異方性色素膜を含むため、優れた光学性能、特に十分な二色比を実現できる。

Claims (10)

  1. 色素および液晶化合物を含有する異方性色素膜形成用組成物であって、
    前記液晶化合物は、式(1)で表される部分構造を有する液晶化合物を含む異方性色素膜形成用組成物。
    -CyH-Z1-E1-C≡C-E2- ・・・(1)
    (式中、
    CyHは、置換されたまたは無置換の非芳香族炭化水素環基を表し;
    E1およびE2は、それぞれ独立に、フェニレン基またはシクロヘキサンジイル基を表し;
    -Z1-は、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、または-SCH-を表す。)
  2. 色素および液晶化合物を含有する異方性色素膜形成用組成物であって、
    前記液晶化合物が、式(2)で表される液晶化合物である、異方性色素膜形成用組成物。
    T1-CyH-Z1-E1-C≡C-E2-Z2-E3-T2 ・・・(2)
    (式中、
    CyHは、置換されたまたは無置換の非芳香族炭化水素環基を表し;
    E1およびE2は、それぞれ独立に、炭化水素環基または複素環基を表し;
    -Z1-は、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CH CH -、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CH O-、-OCH -、-CH S-、または-SCH -を表し
    T1およびT2は、それぞれ独立に、鎖状有機基を表し;
    E3は、2価有機基または単結合を表し;
    -Z2-は、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=S)O-、-OC(=S)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-CHCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-CHO-、-OCH-、-CHS-、または-SCH-を表す。)
  3. -Z1-が、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-CHCH-、-CHO-、または-OCH-である、請求項1または2に記載の異方性色素膜形成用組成物。
  4. E1またはE2が、炭化水素環基である、請求項に記載の異方性色素膜形成用組成物。
  5. 前記炭化水素環基が、フェニレン基またはシクロヘキサンジイル基である、請求項4に記載の異方性色素膜形成用組成物。
  6. E3が、炭化水素環基、複素環基または単結合である、請求項2、4および5のいずれか一項に記載の異方性色素膜形成用組成物。
  7. E3が、フェニレン基、シクロヘキサンジイル基または単結合である、請求項6に記載の異方性色素膜形成用組成物。
  8. -Z2-が、単結合、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-CHCH-、-CHO-、または-OCH-である、請求項2および4~7のいずれか一項に記載の異方性色素膜形成用組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の異方性色素膜形成用組成物を用いて形成された、異方性色素膜。
  10. 請求項9に記載の異方性色素膜を含む、光学素子。
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