JP7271954B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
従来、インバータが多相交流モータに印加する電圧の位相を操作し、モータの出力トルクをフィードバック制御するモータ制御装置が知られている。
例えば特許文献1に開示された永久磁石同期電動機の制御装置では、トルク算出部は、モータに流れるdq軸電流、及びモータ回転数に基づいてトルク推定値を演算する。負荷角調節器は、トルク指令値とトルク推定値との偏差を無くすように負荷角(電圧位相)を調節する。電圧振幅指令値が電圧リミッタ値より大きい場合、負荷角調節器で調節された負荷角が用いられる。すなわち、電圧位相指令が進角されることで、弱め界磁制御により大きなトルクが実現される。
特許第3674741号公報
トルクフィードバック制御に用いられるトルク推定値は、低トルク域において位相感度が低い。そのため、低トルク域では、高トルク域に比べ、トルク指令値の変更時における応答性、すなわち、トルク指令値に対する収束性が低下する。例えばハイブリッド自動車や電気自動車の主機モータの駆動を制御するモータ制御装置では、応答性の低下はドライバビリティの低下につながる。
本発明は上記の課題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、トルクフィードバック制御における低トルク域での応答性を改善するモータ制御装置を提供することにある。
本発明は、インバータ(60)が供給する多相交流電力によりモータ(80)が出力するトルクをフィードバック制御し、インバータへの電圧位相指令を演算するモータ制御装置である。このモータ制御装置は、トルク偏差算出部(33)と、電圧位相算出部(34)と、を備える。トルク偏差算出部は、モータに通電されるdq軸実電流に基づき推定され又はトルクセンサにより検出されたトルク値と、トルク指令値とのトルク偏差を算出する。電圧位相算出部は、トルク偏差を0に近づけるように電圧位相指令を演算する。
電圧位相算出部は、トルクフィードバック制御における比例ゲイン、積分ゲイン又は微分ゲインのうち一つ以上のフィードバックゲインについて、モータのトルクの推定値、検出値、指令値、又は、トルクと相関するパラメータの値である「トルク情報」の増加時及び減少時にトルク情報が小さいほどゲインを大きくするように、トルク情報に応じてフィードバックゲインを切り替える。
電圧位相演算部は、トルク情報の切替閾値として、トルク情報の減少時用の第1切替閾値、及び、第1切替閾値より大きい値に設定されたトルク情報の増加時用の第2切替閾値を用い、トルク情報が漸減し第1切替閾値を下回るとフィードバックゲインを相対的に小さい値から相対的に大きい値に切り替え、トルク情報が漸増し第2切替閾値を上回るとフィードバックゲインを相対的に大きい値から相対的に小さい値に切り替える。
本発明では、トルク域による応答性(又は収束性)の違いに着目し、位相感度が低い低トルク域で、高トルク域よりもフィードバックゲインを大きくするように切り替えることで、低トルク域での応答性を向上させることができる。例えばハイブリッド自動車や電気自動車の主機モータの駆動を制御するモータ制御装置では、ドライバビリティを向上させることができる。
第1実施形態によるモータ制御装置の制御ブロック図。 電流位相とトルク推定値との関係を示す特性図。 比較例による(a)トルク増加時、(b)トルク減少時のトルク応答性を示す図。 第1実施形態によるゲイン切替処理のフローチャート。 第1実施形態による(a)ゲイン切替処理のタイムチャート、(b)ゲイン切替マップ。 第1実施形態による(a)トルク増加時、(b)トルク減少時のトルク応答性を示す図。 第2実施形態による(a)ゲイン切替処理のタイムチャート、(b)ゲイン切替マップ。 その他の実施形態によるモータ制御装置の制御ブロック図。 その他の実施形態によるモータ制御装置の制御ブロック図。
以下、モータ制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態のモータ制御装置は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車に搭載され、主機モータの駆動を制御する装置である。第1実施形態及び第2実施形態は、制御装置の構成、及び、基本的な処理内容は同じであり、処理の具体的構成のみが異なる。以下、第1実施形態及び第2実施形態を包括して「本実施形態」という。
(第1実施形態)
第1実施形態のモータ制御装置について、図1、及び図4~図6を参照して説明する。まず図1を参照し、モータ制御装置301の構成を説明する。モータ制御装置301は、インバータ60が供給する三相交流電力によりモータ80が出力するトルクをフィードバック制御し、インバータ60への電圧位相指令Vθを演算する。
詳しくは、図1の構成ではインバータ60は、極座標の電圧振幅指令Vamp及び電圧位相指令Vθから変換された三相電圧指令Vu、Vv、Vwにより駆動される。電圧位相指令Vθは、各相のスイッチングパルスの位相に反映されるため、「インバータ60への電圧位相指令Vθ」として解釈される。なお、構成上、三相電圧指令演算部37をインバータの一部と解釈してもよい。
モータ80は、永久磁石式同期型三相交流モータである。具体的には主にIPM(埋込永久磁石型)のモータを想定するがSPM(表面永久磁石型)であってもよい。主機モータとして用いられる場合のモータ80は、駆動輪を駆動するトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジンや駆動輪から伝達されるトルクを発電によってエネルギー回収する発電機としての機能を兼ね備えたモータジェネレータである。
電流センサ70は、モータ80の三相巻線のうち二相又は三相に流れる相電流を検出する。二相の電流を検出する構成では、他の一相の電流は、キルヒホッフの法則により算出される。図示の例では、V相及びW相の電流経路に設けられた電流センサ70によりV相電流Iv及びW相電流Iwが検出され、U相電流Iuがキルヒホッフの法則により算出される。
回転角センサ85は、レゾルバ等により構成され、モータ80の電気角θを検出する。回転数演算部86は電気角θを時間微分して電気角速度ωを算出する。電気角速度ωは、係数を乗じることによって回転数に換算されるため、本明細書では「回転数ω」と記す。なお、回転数演算部86は、モータ制御装置301の内部に設けられてもよい。
モータ制御装置301は、dq変換部31、トルク推定値演算部32、トルク偏差算出部33、電圧位相演算部34、電圧位相制限部35、電圧振幅演算部36、電圧振幅演算部36、三相電圧指令演算部37、及び、インバータ60等を備える。モータ制御装置301は、例えば上位の車両制御回路からモータ80に要求される出力としてトルク指令値trq*が入力される。
dq変換部31は、電気角θを用いて三相電流Iu、Iv、Iwをdq軸実電流Id、Iqにdq変換し、トルク推定値演算部32に出力する。トルク推定値演算部32は、dq軸実電流Id、Iq、逆起電圧定数φ、dq軸インダクタンスLd、Lq、モータ80の極対数pに基づき、下記式を用いてトルク推定値trq_estを演算する。一般にIPMモータではLd≠Lqであるため、右辺の第2項は0とならない。したがって、トルク推定値trq_estは、d軸電流Id及びq軸電流Iqの両方に影響される。
trq_est=p×{Iq×φ+(Ld-Lq)×Id×Iq}
トルク推定値trq_estは実トルクとみなされ、トルク偏差算出部33にフィードバックされる。トルク偏差算出部33は、トルク指令値trq*とトルク推定値trq_estとのトルク偏差Δtrqを算出する。或いは破線で示すように、モータ80の実トルクを実測するトルクセンサ88が設けられ、トルク偏差算出部33は、トルク指令値trq*と、トルクセンサ88により実測されたトルク検出値trq_snsとのトルク偏差Δtrqを算出してもよい。
電圧位相演算部34は、PID制御器により構成され、トルクフィードバック制御によりトルク偏差Δtrqを0に近づけるように、操作量としての電圧位相指令Vθ_0を演算する。なお、記号の「_0」は、電圧位相制限部35による制限前の位相であることを表す。
以下、トルクフィードバック制御において比例項の演算に用いられる比例ゲインKp、積分項の演算に用いられる積分ゲインKi、及び、微分項の演算に用いられる微分ゲインKdを「トルクフィードバックゲイン」という。トルクフィードバックゲインは、基本的にモータ80の初期特性等に基づいて設定される。なお、「その他の実施形態」として後述する通り、電圧位相演算部34は、PID制御に限らず、PI制御又はP制御により電圧位相指令Vθを演算してもよい。
本実施形態の電圧位相演算部34は、太線矢印で示すように、トルク推定値演算部32が演算したトルク推定値trq_estを「トルク情報」として取得する。そして電圧位相演算部34は、トルク推定値trq_estが小さいほどゲインを大きくするように、トルク推定値trq_estに応じてトルクフィードバックゲインを切り替える。この電圧位相演算部34によるトルクフィードバックゲインの切替処理を「ゲイン切替処理」という。ゲイン切替処理の詳細、及び、それにより生じる効果については後述する。
電圧位相制限部35は、インバータ60の入力電圧であるシステム電圧Vsys、及びモータ回転数ωに基づいて電圧位相制限値を演算する。そして、電圧位相演算部34により演算された制限前の電圧位相Vθ_0が制限値を超えている場合、制限値で制限された電圧位相Vθを出力する。一方、制限前の電圧位相Vθ_0が制限値以下の場合、そのままの値を電圧位相Vθとして出力する。
電圧振幅演算部36は、トルク指令値trq*及び回転数ωに基づき、詳しくはトルク指令値trq*から演算されたdq軸電流指令値Id*、Iq*、及び回転数ωに基づき、電圧振幅Vampを演算する。なお、電圧利用率(又は変調率)が所定値以上の領域で用いられる矩形波制御方式の場合、電圧振幅Vampは一定値となる。
三相電圧指令演算部37は、極座標の電圧振幅指令Vamp、及び、制限後の電圧位相指令Vθをdq軸電圧指令に変換し、さらに電気角θを用いてdq軸電圧指令を三相変換して三相電圧指令Vu、Vv、Vwを演算する。そして、三相電圧指令Vu、Vv、Vw及びシステム電圧Vsysに基づき、スイッチングパルス信号を生成し、インバータ60に出力する。
インバータ60は、上下アームの6つのスイッチング素子がブリッジ接続されている。スイッチング素子は、例えばIGBTで構成され、低電位側から高電位側へ向かう電流を許容する還流ダイオードが並列に接続されている。インバータ60は、三相電圧指令Vu、Vv、Vwに従ってスイッチング素子が動作することで、図示しないバッテリの直流電力を三相交流電力に変換し、モータ80に供給する。
以上のようなトルクフィードバック制御方式のモータ制御装置301において、車両の運転状態等に従ってトルク指令値trq*は随時変化する。高いドライバビリティを確保するため、モータ制御装置301は、トルク指令値trq*の変化に対する応答性の良さが求められる。このようなトルクフィードバック制御の応答性に関する従来技術の課題について、図2、図3を参照して説明する。
図2(a)に、システム電圧Vsys及び回転数ωが一定の条件での電流振幅毎の電流位相Iθとトルク推定値trq_estとの関係を示す。電流位相Iθは、図2(b)に示すようにd軸基準で定義される位相であり、正のq軸方向が90[deg]、負のd軸方向が180[deg]と表される。電流振幅が一定のとき、特性線は上に凸のカーブを描き、特定の電流位相で最大トルクが得られる。電流振幅が大きいほど、特性線全体が高トルク側に移行する。また、各カーブの頂点を結んだ線上では、最小電流で最大トルクが得られる。トルクフィードバック制御では、最小電流最大トルク線よりも進角側で弱め界磁制御が行われる。
図2(a)における電流位相が約150~180[deg]の領域において、特性線の傾きが示す「電流位相の変化に対するトルクの変化」、すなわち位相感度に注目する。すると、高トルク域では特性線の傾きが大きく、位相感度が高い。一方、低トルク域では特性線の傾きが小さく、位相感度が低い。
ここで、図2(a)に四角印で示される点を所定の高トルク値trq_hiとして想定する。トルク指令値trq*を0から高トルク値trq_hiまで増加させたとき、電流振幅の増加と共に、電流位相は一点鎖線のように推移する。逆に、トルク指令値trq*を高トルク値trq_hiから0まで減少させたとき、電流振幅の減少と共に、電流位相は二点鎖線のように推移する。
図3に、従来技術相当の比較例のトルク応答性を示す。比較例では、電圧位相演算部34のトルクフィードバックゲインは、トルク推定値trq_estに関係なく一定に設定される。図3(a)には、トルク指令値trq*を0から高トルク値trq_hiまで増加させたときのトルク推定値trq_estの応答性を示す。図3(b)には、トルク指令値trq*を高トルク値trq_hiから0まで減少させたときのトルク推定値trq_estの応答性を示す。図3(a)、(b)において横軸の時間及び縦軸のトルクに具体的な数値は記載しないが、両図のスケールは同一とする。
図3(a)に示すように、トルク増加時、トルク指令値trq*は時刻a0に0から立ち上がり、一時遅れ型のカーブを描いて高トルク値trq_hiに至る。それに対し、実電流Id、Iqに基づくトルク推定値trq_estは、低トルク域での位相感度が低いため、特に立ち上がり初期における上昇勾配が小さく、応答が遅れる。トルク推定値trq_estがある程度増加し低トルク域を脱すると、勾配が比較的大きくなる。そして、トルク指令値trq*に遅れて、時刻arcにトルク推定値trq_estが高トルク値trq_hiに達する。
図3(b)に示すように、トルク減少時、トルク指令値trq*は時刻b0に高トルク値trq_hiから立ち下がり、一時遅れ型のカーブを描いて0に至る。それに対し、実電流Id、Iqに基づくトルク推定値trq_estは、少し遅れて同程度の勾配で追従する。しかし、トルク推定値trq_estが低トルク域に達すると、位相感度が低下し、下降勾配が小さくなる。そして、トルク指令値trq*に遅れて、時刻brcにトルク推定値trq_estが0に達する。
このように、比較例では、トルク増加時、トルク減少時ともに低トルク域での応答性が悪い。特にトルク減少時における到達時刻brcは、トルク増加時における到達時刻arcよりもさらに遅れる。このような応答性の低下は、車両におけるドライバビリティの低下につながる。そこで本実施形態では、低トルク域での応答性、すなわち、トルク指令値trq*に対する収束性を改善することを課題とする。
次に図4、図5を参照し、第1実施形態によるゲイン切替処理について説明する。第1実施形態では、電圧位相演算部34は、トルク推定値trq_estが所定の切替閾値を超えたとき、トルクフィードバックゲインを段階的に切り替える。ここでは、トルクフィードバックゲインが二段階で切り替えられる例について説明する。
このゲイン切替処理において、所定の切替閾値以下の低トルク域で用いられるフィードバックゲインを「低トルク域ゲインK_LT」とする。また、低トルク域以外の領域をまとめて高トルク域といい、高トルク域で用いられるフィードバックゲインを「通常ゲインK_N」とする。
電圧位相演算部34における比例ゲインKp、積分ゲインKi、微分ゲインKdのうち一つ以上について、低トルク域ゲインK_LTは通常ゲインK_Nよりも大きい値に設定される。例えば、比例ゲインKpについてのみ、低トルク域ゲインK_LTが通常ゲインK_Nより大きく設定され、積分ゲインKi及び微分ゲインKdについては、低トルク域ゲインK_LTが通常ゲインK_Nと同等以下の値に設定されてもよい。
或いは、比例ゲインKp及び積分ゲインKiについて、低トルク域ゲインK_LTが通常ゲインK_Nより大きく設定され、微分ゲインKdについては、低トルク域ゲインK_LTが通常ゲインK_Nと同等以下の値に設定されてもよい。或いは、比例ゲインKp、積分ゲインKi、微分ゲインKdの全てについて、低トルク域ゲインK_LTが通常ゲインK_Nより大きく設定されてもよい。
図4に、第1実施形態によるゲイン切替処理のフローチャートを示す。ゲイン切替処理は、所定の周期で繰り返し実行される。フローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。S1では、現在のトルクフィードバックゲインが通常ゲインK_Nであるか否か判断される。現在、通常ゲインK_Nである場合、S1でYESと判断され、S2へ移行する。現在、低トルク域ゲインK_LTである場合、S1でNOと判断され、S4へ移行する。
S2及びS4では、トルク推定値trq_estがそれぞれ、トルク減少時用の第1切替閾値trq_th1、及び、トルク増加時用の第2切替閾値trq_th2と比較される。ハンチング防止のため、第2切替閾値trq_th2は第1切替閾値trq_th1より大きい値に設定され、ゲイン切替のヒステリシスが設けられている。
S2では、トルク推定値trq_estが第1切替閾値trq_th1以下であるか判断され、YESの場合、S3で、通常ゲインK_Nから低トルク域ゲインK_LTに切り替えられる。S2でNOの場合、通常ゲインK_Nのまま維持される。
S4では、トルク推定値trq_estが第2切替閾値trq_th2以上であるか判断され、YESの場合、S5で、低トルク域ゲインK_LTから通常ゲインK_Nに切り替えられる。S4でNOの場合、低トルク域ゲインK_LTのまま維持される。
図5(a)にゲイン切替処理のタイムチャートを示し、図5(b)にゲイン切替マップを示す。ここで、トルクフィードバックゲイン(図中、「トルクFBゲイン」)は、比例ゲインKp、積分ゲインKi又は微分ゲインKdのうち一つ以上のゲインを意味する。
図5(a)において、初期にはトルク推定値trq_estは第2切替閾値trq_th2より大きく、通常ゲインK_Nが用いられている。トルク推定値trq_estが漸減し、時刻bxに第1切替閾値trq_th1を下回ると、トルクフィードバックゲインは通常ゲインK_Nから低トルク域ゲインK_LTに切り替えられる。その後、トルク推定値trq_estが漸増し、時刻axに第2切替閾値trq_th2を上回ると、トルクフィードバックゲインは低トルク域ゲインK_LTから通常ゲインK_Nに切り替えられる。
なお、第1実施形態では、二段階の切替に限らず、さらに多くの切替閾値が設定され、トルクフィードバックゲインが三段階以上の多段階に切り替えられるようにしてもよい。
次に図6を参照し、第1実施形態のゲイン切替処理によるトルク応答性の改善効果について、図3と比較して説明する。図6において破線のトルク指令値trq*は図3と同一である。また、図3のトルク推定値trq_estを比較例として二点鎖線で示し、第1実施形態のゲイン切替処理を実施したときのトルク推定値trq_estを実線で示す。特に低トルク域におけるトルク推定値trq_estを太実線で示す。
図6(a)にトルク増加時の挙動を示す。トルク推定値trq_estが0から第2切替閾値trq_th2までの低トルク域において、低トルク域ゲインK_LTが用いられる。これにより、トルク推定値trq_estの立ち上がり勾配が大きくなり、第2切替閾値trq_th2への到達時刻が比較例のaxcよりも早いaxになる。時刻axにトルク推定値trq_estが第2切替閾値trq_th2を超えると、トルクフィードバックゲインは通常ゲインK_Nに切り替えられる。以後、トルク推定値trq_estは比較例と同等の勾配で上昇し、時刻arに目標の高トルク値trq_hiに到達する。したがって、比較例に対しトルク指令値trq*への収束時間がTa短縮し、応答性が向上する。
図6(b)にトルク減少時の挙動を示す。トルク推定値trq_estが初期の高トルク値trq_hiから第1切替閾値trq_th1までの高トルク域では、通常ゲインK_Nが用いられ、トルク推定値trq_estは比較例と同じカーブで推移する。時刻bxにトルク推定値trq_estが第1切替閾値trq_th1を超えると、トルクフィードバックゲインは低トルク域ゲインK_LTに切り替えられる。以後、トルク推定値trq_estは比較例に比べ大きな勾配で下降し、時刻brに0に到達する。したがって、比較例に対しトルク指令値trq*への収束時間がTb短縮し、応答性が向上する。
このように第1実施形態では、低トルク域で高トルク域に比べゲインを大きくするようにトルクフィードバックゲインを切り替えることで、トルク増加時、トルク減少時ともに応答性、すなわち、トルク指令値に対する収束性が改善される。特に比較例での応答性がより劣っているトルク減少時において、より顕著な効果が得られる。
また、第1実施形態ではトルクフィードバックゲインが段階的に切り替えられるため、演算量が過大とならず、演算負荷が低く抑えられる。また、dq軸実電流Id、Iqに基づいて推定されたトルク推定値trq_estが、フィードバックされる「実トルク」として用いられると共に、ゲイン切替処理の「トルク情報」としても用いられる構成では、演算結果を有効に利用することができる。
(第2実施形態)
次に図7を参照し、第2実施形態のゲイン切替処理について説明する。第2実施形態のモータ制御装置の構成は、第1実施形態の図1と同様である。第2実施形態では、電圧位相演算部34がトルク推定値trq_estの増減に応じてトルクフィードバックゲインを連続的に切り替える点が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様、「トルクフィードバックゲイン」は、比例ゲインKp、積分ゲインKi又は微分ゲインKdのうち一つ以上のゲインを意味する。
図7(a)のタイムチャートにおいて、トルク推定値trq_estが漸減すると、それに伴い、トルクフィードバックゲインは連続的に増加するように切り替えられる。トルク推定値trq_estが最小のとき、トルクフィードバックゲインは最大となる。その後、トルク推定値trq_estが漸増すると、それに伴い、トルクフィードバックゲインは連続的に減少するように切り替えられる。
図7(b)のゲイン切替マップにおいて、トルクフィードバックゲインは、トルク推定値trq_estに対して負の相関を有する連続的な線で表される。この線は、実線で示すように線形でもよく、破線で示すように非線形としてもよい。また、線形又は非線形にかかわらず、トルクフィードバックゲインに上限ガード値又は下限ガード値が設定されてもよい。
なお、厳密に言えば、制御周期を単位としてトルクフィードバックゲインが離散的な値を取ることは当然である。ここでいう「連続的」とは、制御周期に対して十分に長い時間レベルでの挙動を意味し、制御周期レベルでの微小な離散的変化は無視する。
第2実施形態によるトルク応答性は、第1実施形態の図6(a)、図6(b)のように切替閾値前後での明確な変化はなく、低トルク域に近づくにつれて比較例との差が徐々に広がる特性となる。第2実施形態では、トルクフィードバックゲインを滑らかに切り替えることで、トルクの急変による車両振動等を回避することがきる。
(その他の実施形態)
(a)ゲイン切替処理に用いられる「トルク情報」のその他の例について、図8、図9を参照して説明する。図8、図9において図1と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。図8に示すモータ制御装置302は、トルク指令値trq*が電圧位相演算部34に入力され、電圧位相演算部34は、「トルク情報」として、トルク指令値trq*に応じてフィードバックゲインを切り替える。図9に示すモータ制御装置303は、トルクセンサ88により実測されたトルク検出値trq_snsが電圧位相演算部34に入力され、電圧位相演算部34は、「トルク情報」として、トルク検出値trq_snsに応じてフィードバックゲインを切り替える。
さらに、トルク値に限らず、トルクと相関する電流等のパラメータ値が「トルク情報」として電圧位相演算部34に入力され、電圧位相演算部34は、その「トルク情報」に応じてフィードバックゲインを切り替えてもよい。どのような「トルク情報」に応じてトルクフィードバックゲインが切り替えらえても上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
(b)電圧位相演算部34よる制御演算は、PID制御に限らず、比例項及び積分項を演算するPI制御、又は、比例項のみを演算するP制御としてもよい。PI制御では、トルク情報に応じて比例ゲインKp又は積分ゲインKiのうち一つ以上が切り替えられ、P制御では、トルク情報に応じて比例ゲインKpが切り替えられる。特に低トルク域で比例ゲインKpが切り替えられることにより、応答性の向上に大きく寄与する。
(c)上記第1実施形態では、トルク減少時及び増加時の切替閾値trq_th1、trq_th2が個別に設定され、ゲイン切替のヒステリシスが設けられている。ただし、ハンチングを問題にしない場合には、ヒステリシスを設けず、減少時及び増加時に共通の切替閾値によりトルクフィードバックゲインを切り替えてもよい。
(d)電圧位相演算部34は、トルク情報に応じてトルクフィードバックゲインを切り替える以外に、本発明とは異なる着眼点からトルク情報以外のパラメータによってトルクフィードバックゲインを切り替えてもよい。例えばモータ温度が上昇すると減磁によってトルク性能に影響を与える可能性があるため、モータ温度をパラメータとしてトルクフィードバックゲインを切り替える等の制御を組み合わせてもよい。
(e)本発明のモータ制御装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車の主機モータに限らず、トルクフィードバック制御されるあらゆるモータに適用可能である。また、インバータがモータに供給する多相交流電力の相の数は、三相に限らず何相でもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
301-303・・・モータ制御装置、
33・・・トルク偏差算出部、
34・・・電圧位相演算部、
60・・・インバータ、
80・・・モータ。

Claims (2)

  1. インバータ(60)が供給する多相交流電力によりモータ(80)が出力するトルクをフィードバック制御し、前記インバータへの電圧位相指令を演算するモータ制御装置であって、
    前記モータに通電されるdq軸実電流に基づき推定され又はトルクセンサにより検出されたトルク値と、トルク指令値とのトルク偏差を算出するトルク偏差算出部(33)と、
    前記トルク偏差を0に近づけるように電圧位相指令を演算する電圧位相演算部(34)と、
    を備え、
    前記電圧位相演算部は、トルクフィードバック制御における比例ゲイン、積分ゲイン又は微分ゲインのうち一つ以上のフィードバックゲインについて、前記モータのトルクの推定値、検出値、指令値、又は、トルクと相関するパラメータの値であるトルク情報の増加時及び減少時に前記トルク情報が小さいほどゲインを大きくするように、前記トルク情報に応じてフィードバックゲインを切り替えるものであり、
    前記電圧位相演算部は、前記トルク情報の切替閾値として、前記トルク情報の減少時用の第1切替閾値、及び、前記第1切替閾値より大きい値に設定された前記トルク情報の増加時用の第2切替閾値を用い、前記トルク情報が漸減し前記第1切替閾値を下回るとフィードバックゲインを相対的に小さい値から相対的に大きい値に切り替え、前記トルク情報が漸増し前記第2切替閾値を上回るとフィードバックゲインを相対的に大きい値から相対的に小さい値に切り替えるモータ制御装置。
  2. インバータ(60)が供給する多相交流電力によりモータ(80)が出力するトルクをフィードバック制御し、前記インバータへの電圧位相指令を演算するモータ制御装置のプログラムであって、
    前記モータ制御装置は、
    前記モータに通電されるdq軸実電流に基づき推定され又はトルクセンサにより検出されたトルク値と、トルク指令値とのトルク偏差を算出し、前記トルク偏差を0に近づけるように電圧位相指令を演算し、
    前記電圧位相指令の演算について、
    トルクフィードバック制御における比例ゲイン、積分ゲイン又は微分ゲインのうち一つ以上のフィードバックゲインについて、前記モータのトルクの推定値、検出値、指令値、又は、トルクと相関するパラメータの値であるトルク情報の増加時及び減少時に前記トルク情報が小さいほどゲインを大きくするように、前記トルク情報に応じてフィードバックゲインを切り替えるように動作させ、さらに、
    前記トルク情報の切替閾値として、前記トルク情報の減少時用の第1切替閾値、及び、前記第1切替閾値より大きい値に設定された前記トルク情報の増加時用の第2切替閾値を用い、前記トルク情報が漸減し前記第1切替閾値を下回るとフィードバックゲインを相対的に小さい値から相対的に大きい値に切り替え、前記トルク情報が漸増し前記第2切替閾値を上回るとフィードバックゲインを相対的に大きい値から相対的に小さい値に切り替えるように動作させるプログラム
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