JP4697017B2 - 多相回転電機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多相回転電機を流れる電流の実際の値と、指令値によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づき、インバータのスイッチング素子を操作することで、前記実際の値を、要求トルクを生成するための要求電流値にフィードバック制御する多相回転電機の制御装置に関する。
例えば下記特許文献1に見られるように、3相回転電機を流れる電流の実際の値と指令値によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づきインバータのスイッチング素子を操作することで、実際の値を、要求トルクを生成するための要求電流値にフィードバック制御する多相回転電機の制御装置が周知である。
ただし、上記制御では、高回転速度に移行するにつれて、実際の電流が指令値からずれ、ひいては、要求トルクを生成することが困難となるおそれがある。以下、これについて図27に基づき説明する。図27は、3相回転電機のいずれかの相に流れる電流と、いずれかの相におけるインバータのスイッチング素子の駆動パターンとを示すものである。詳しくは、図中、実線にて実際に流れる電流を、また、一点鎖線にて指令値を、2点鎖線にてヒステリシス領域の上限及び下限をそれぞれ示す。
図示されるように、3相回転電機の要求トルク及び回転速度が比較的小さい通常運転時には、3相回転電機を実際に流れる電流は、ヒステリシス領域内で小刻みに変化しつつも指令値に追従している。これは、通常運転時には、インバータの入力電圧が3相回転電機の逆起電力よりも大きいために、3相回転電機を流れる電流の変化速度が指令値の変化速度よりも十分大きいためである。すなわち、3相回転電機を流れる実際の電流の変化速度が指令値の変化速度よりも十分大きいために、ヒステリシス領域内で小刻みに変化しつつも指令値への追従が可能となる。これに対し、高回転速度領域では、3相回転電機を流れる実際の電流と指令値との位相ずれが顕著となる。これは、高回転速度領域ではインバータの入力電圧と3相回転電機の逆起電力との差が小さくなるために、3相回転電機を流れる電流の変化速度が指令値の変化速度と同程度となるためである。
そして、3相回転電機を流れる電流と指令値との間に位相ずれが生じると、要求トルクに対して実際に3相回転電機が出力するトルクがずれたものとなる。
こうした問題を回避すべく、ヒステリシス領域を小さくする方法と、弱め界磁制御をする方法とが考えられる。しかし、前者は、ヒステリシス領域を小さくすることによるスイッチング回数の増加を招く。このスイッチング回数の増加は、インバータの入力電圧に対する3相回転電機の相関電圧の1次成分の実効値の比である電圧利用率を低下させる要因となる。このため、ヒステリシス領域を小さくすると、電圧利用率の低下によって3相回転電機を流れる電流の振幅の低下を招き、ひいてはトルクの低下を招く。また、後者は、3相回転電機が磁石式の場合に磁石が減磁する等の不都合を生じる。
特開平10−174453号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、多相回転電機の運転領域にかかわらず、多相回転電機を流れる電流の実際の値を、要求トルクを生成するための要求電流値に適切にフィードバック制御することのできる多相回転電機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、前記多相回転電機の回転速度及び出力トルクの少なくとも一方が所定以上であるとき、前記指令値を前記要求電流値とする制御から、前記指令値を、前記要求電流値と同周期且つ前記要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替える切替手段を備えることを特徴とする。
上記構成では、指令値を要求値とする制御によって、要求値としての指令値に実際の値を追従させる制御をすることができる。一方、多相回転電機の出力トルクの大きな領域や回転速度の高い領域においては、指令値を、要求電流値と同周期且つ要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替える。この制御においては、指令値の振幅が大きいために、実際の値と指令値とが交差するタイミング近傍において、実際の値が上記ヒステリシス領域をはみ出す。このため、実際の値と指令値とが交差するタイミング近傍において、スイッチング素子の駆動パルスが反転することとなる。このため、要求電流値の半周期の長さの駆動パルスによってスイッチング素子を駆動するいわゆる1パルス制御をすることができる。しかも、指令値の位相を適合することで、駆動パルスの位相を調節することができ、ひいては、多相回転電機を実際に流れる電流を要求電流値に適切にフィードバック制御することができる。
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記切替手段は、前記要求電流値としての第1の指令値を生成する第1生成手段と、前記第1の指令値と同周期且つ該第1の指令値よりも振幅の大きい第2の指令値を生成する第2生成手段とを備えることを特徴とする。
上記構成では、第1生成手段及び第2生成手段を備えることで、指令値を要求電流値とする制御と、指令値を、要求電流値と同周期且つ要求電流値よりも大きな振幅とする制御とを適切に行うことができる。
請求項記載の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の発明において、前記第2の指令値の振幅は、前記インバータの最大定格電流値に2の平方根を乗算した値以下に設定されてなることを特徴とする。
上記構成では、第2の指令値の振幅を最大定格電流に2の平方根を乗算した値以下に設定するために、インバータを流れる電流の絶対値が最大定格電流を越えて大きくなるときには、第2の指令値によって定まるヒステリシス領域から実際の値がはみ出す。このため、上記電流の絶対値を減少させるようフィードバック制御がなされることとなる。このため、上記構成では、インバータを流れる電流が最大定格電流を越えることを好適に抑制することができる。特に、第2の指令値を用いる制御は、1パルス制御となるが、これは従来技術においては180°通電等の開ループ制御によってなされていたため、電流値が最大定格電流を超えた場合に対処することができなかった。これに対し、上記構成では、上記態様にて第2の指令値の振幅を設定したフィードバック制御を行うことで、1パルス制御をしつつもインバータを流れる電流が最大定格電流を越えることを抑制することができる。
請求項記載の発明は、前記多相回転電機の回転速度及び出力トルクの少なくとも一方が所定以上であるとき、前記指令値を前記要求電流値とする制御から、前記指令値を、前記要求電流値と同周期且つ前記要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替える切替手段を備え、前記切替手段は、前記要求電流値としての第1の指令値を生成する第1生成手段と、前記第1の指令値と同周期且つ該第1の指令値よりも振幅の大きい第2の指令値を生成する第2生成手段とを備え、前記要求電流値の一周期内に論理「H」状態及び論理「L」状態が1度ずつとなる駆動パルスを用いて前記スイッチング素子を駆動する1パルス制御によって前記要求トルクを実現するために想定される前記駆動パルスの反転タイミングにおいて、前記第2の指令値が前記要求電流値と交わるように適合されてなることを特徴とする。
上記構成では、要求電流値を実現するための1パルス制御による駆動パルスの反転タイミングにおいて、指令値と要求電流値とが交わるように適合することで、実際の値と第2の指令値とが交わるタイミング近傍において駆動パルスを反転させるることができる。
請求項記載の発明は、請求項2〜のいずれかに記載の発明において、前記第2生成手段は、前記第1の指令値に基づき前記第2の指令値を生成することを特徴とする。
上記構成では、第2の指令値が第1の指令値と同周期であって且つ第1の指令値よりも振幅が大きいものであることに鑑み、第1の指令値に基づき第2の指令値を生成することで、第2生成手段を簡易に構成することができる。
請求項記載の発明は、前記多相回転電機の回転速度及び出力トルクの少なくとも一方が所定以上であるとき、前記指令値を前記要求電流値とする制御から、前記指令値を、前記要求電流値と同周期且つ前記要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替える切替手段を備え、前記切替手段は、前記要求電流値としての第1の指令値を生成する第1生成手段と、前記第1の指令値と同周期且つ該第1の指令値よりも振幅の大きい第2の指令値を生成する第2生成手段とを備え、前記第2生成手段は、前記第2の指令値の振幅A2を前記第1の指令値の振幅A1よりも大きな値に設定するとともに、前記第2の指令値の位相T2を、前記要求電流値の一周期内に論理「H」状態及び論理「L」状態が1度ずつとなる駆動パルスを用いて前記スイッチング素子を駆動する1パルス制御によって前記要求トルクを実現するために想定される前記駆動パルスの位相T3と前記第1の指令値の位相T1とによって、
T2=T3−arcsin{(A1/A2)×sin(T3−T1)}
に設定することを特徴とする。
上記構成において、多相回転電機の電気角速度ωを用いると、第1の指令値は、「A1×sin(ωt−T1)」と、また、第2の指令値は、「A2×sin(ωt−T2)」とそれぞれ表現される。ここで、第1の指令値と第2の指令値とが位相T3において交差すると仮定すると、以下の関係が成立する。
A1×sin(T3−T1)=A2×sin(T3−T2)
上記関係から、位相T2は、上記式によって表現されたものとなる。このため、上記構成によれば、位相T3近傍において駆動パルスを反転させることができる。
請求項7記載の発明は、請求項2〜6のいずれかに記載の発明において、前記第2生成手段は、前記第2の指令値を、前記多相回転電機の回転速度と要求トルクとに基づきマップ演算することを特徴とする。
要求トルクを生成するための要求電流値は、要求トルクと回転速度とに依存する。上記構成では、この性質に鑑み、第2の指令値を回転速度と要求トルクとに基づきマップ演算することで、要求電流値を生成するために必要な第2の指令値を適切に設定することができる。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記多相回転電機が3相回転電機であり、前記第2生成手段は、前記多相回転電機の回転速度及び要求トルクに基づき、d軸及びq軸における前記第2の指令値であるdq指令値をマップ演算する手段と、該dq指令値を3相の指令値に変換する変換手段とを備えて構成されてなることを特徴とする。
上記構成では、dq指令値をマップ演算するために、3相の指令値を直接マップ演算する場合と比較して、マップデータ数を低減することができる。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の発明において、前記第1生成手段は、前記多相回転電機の回転速度及び要求トルクに基づき、d軸及びq軸における前記要求電流値であるdq要求値をマップ演算する手段を備えて且つ、該dq指令値を3相の指令値に変換する変換手段を前記第2生成手段と共有することを特徴とする。
上記構成では、dq要求値をマップ演算するために、3相の指令値を直接マップ演算する場合と比較して、マップデータ数を低減することができる。しかも、変換手段を第1生成手段及び第2生成手段間で共有することで、第1生成手段及び第2生成手段を簡易に構成することができる。
請求項10記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記多相回転電機が3相回転電機であり、前記第1生成手段は、d軸及びq軸における前記要求電流値であるdq要求値を生成する手段と、前記dq要求値を前記多相回転電機の電気角度に応じて3相の指令値に変換する変換手段とを備え、前記第2生成手段は、前記第1の指令値の振幅を補正すべく前記dq要求値を補正する振幅補正手段と、前記振幅補正のなされた前記dq要求値を前記多相回転電機の電気角度に応じて3相の指令値に変換する変換手段と、前記3相の指令値に変換する際、前記電気角度を補正する角度補正手段とを備えて構成されてなることを特徴とする。
上記構成では、dq要求値を生成するために、要求電流値をdq軸に基づく理論にて簡易に生成することができる。しかも、dq要求値を補正することでその振幅を第2の指令値にとって適切なものとした後、3相の指令値に変換する際に、電気角度を補正することで、要求電流値の位相に対して第2の指令値の位相をずらすことができる。したがって、上記構成によれば、第2の指令値を適切に生成することができる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記第1生成手段は、前記変換手段を前記第2生成手段と共有することを特徴とする。
上記構成では、変換手段を共有することで、第1生成手段及び第2生成手段を簡易に構成することができる。
請求項12記載の発明は、請求項2〜11のいずれかに記載の発明において、前記切替手段は、前記多相回転電機の回転速度と要求トルクとによって定まる領域において、前記第1の指令値から前記第2の指令値へ切り替える境界と、前記第2の指令値から前記第1の指令値へ切り替える境界とを互いに相違させることを特徴とする。
上記構成では、第1の指令値から第2の指令値へ切り替える境界と、第2の指令値から第1の指令値へ切り替える境界とを互いに相違させることで、回転速度と要求トルクとが同時に両境界近傍を彷徨うことを回避することができるため、第1の指令値による制御と第2の指令値による制御とが頻繁に切り替えられるハンチングを回避することができる。
請求項13記載の発明は、請求項2〜12のいずれかに記載の発明において、前記実際の値に基づき、前記多相回転電機の実際の出力トルクを推定する推定手段と、前記推定される出力トルクと前記要求トルクとの差に基づき前記第2の指令値の位相をフィードバック補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
上記構成において、第2の指令値によって定まるヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づく制御によっては、多相回転電機やインバータの個体差や経年変化、温度変化等により、実際の出力トルクと要求トルクとの間にずれが生じるおそれがある。この点、上記構成では、第2の指令値の位相をフィードバック補正することで、力率を調節することができるため、実際の出力トルクと要求トルクとのずれを適切に補償することができる。
請求項14記載の発明は、請求項2〜12のいずれかに記載の発明において、前記実際の値に基づき、前記多相回転電機の実際の出力トルクを推定する推定手段と、前記推定される出力トルクと前記要求トルクとの差に基づき前記第2の指令値によって定まるヒステリシス領域の中心をフィードバック補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
上記構成において、第2の指令値によって定まるヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づく制御によっては、多相回転電機やインバータの個体差や経年変化、温度変化等により、実際の出力トルクと要求トルクとの間にずれが生じるおそれがある。この点、上記構成では、第2の指令値によって定まるヒステリシス領域の中心をフィードバック補正することで、スイッチングタイミングを微調整することができ、ひいては、実際の出力トルクと要求トルクとのずれを適切に補償することができる。
請求項15記載の発明は、請求項13又は14記載の発明において、前記フィードバック制御は、前記推定される出力トルクと前記要求トルクとの差に基づく積分制御を含むことを特徴とする。
上記構成では、積分制御を用いることで、実際の出力トルクと要求トルクとの間の定常的な乖離を補償することができる。
請求項16記載の発明は、請求項15記載の発明において、前記多相回転電機の回転速度及び要求トルクの少なくとも一方の変化量が所定以上となるとき、前記積分制御によって算出される前記出力トルクと前記要求トルクとの差の積算値を初期化することを特徴とする。
積分制御は、定常状態における実際の出力トルクと要求トルクとの定常的な乖離を補償するために有効な制御である。しかし、回転速度や要求トルクが変化する過渡時においては、実際の出力トルクと要求トルクとの定常的な乖離傾向も変化する可能性があり、また、要求トルクに対する実際の出力トルクの追従遅れが生じる。このため、過渡時において積分制御を継続すると積算値の絶対値が過度に大きくなり、オーバーシュートやアンダーシュートを生じる等、制御性の低下を招くおそれがある。この点、上記構成では、過渡時において積算値を初期化することで、積算値の絶対値が過度に大きくなることを回避することができ、ひいては、実際の出力トルクの要求トルクへの制御性の低下を抑制することができる。
請求項17記載の発明は、請求項2〜16のいずれかに記載の発明において、前記第2の指令値に基づく制御中に、前記実際の値が前記第1の指令値によって定まる前記ヒステリシス領域からはみ出すとき、該はみ出した相については、前記第1の指令値による制御に強制的に変更する変更手段を更に備えることを特徴とする。
上記構成では、回転速度及び出力トルクの少なくとも一方が所定以上であるときに第2の指令値による制御に切り替えることで、1パルス制御をすることができる。1パルス制御は、インバータの入力電圧に対する多相電動機の相関電圧の1次成分の実効値の比によって定義される電圧利用率が大きいため、電圧利用率を高くすることができる。しかし、第1の指令値から第2の指令値へと切り替える際には、電圧利用率が断続的に変化することで多相電動機を流れる電流が急変し、ひいては多相回転電機の出力トルクが大きく変化する(トルクショックが生じる)おそれがある。
この電流の変化は、第1の指令値によって定まるヒステリシス領域から実際の値がはみ出すことによって検出可能である。すなわち、第2の指令値による制御に切り替える前には第1の指令値によって定まるヒステリシス領域内に実際の値が制御されていたのであるから、このヒステリシス領域を超えるときには、電流が大きく変化すると考えられる。上記構成では、この性質に着目し、第1の指令値によって定まるヒステリシス領域からはみ出す相については、回転速度や出力トルクにかかわらず強制的に第1の指令値による制御に変更することで、上記トルクショックを好適に抑制することができる。
請求項18記載の発明は、請求項17記載の発明において、前記変更手段は、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記第1の指令値に追従するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする。
上記構成では、実際の値が要求電流値に追従するときに第2の指令値に復帰させることで、もともと第2の指令値による制御が所望されていた領域において、第2の指令値による制御を再開するタイミングを適切に定めることができる。
請求項19記載の発明は、請求項18記載の発明において、前記変更手段は、前記ヒステリシス領域内に狭ヒステリシス領域を設定する機能を有して且つ、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域を貫通するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする。
上記構成では、実際の値が狭ヒステリシス領域を貫通することにより、実際の値が第1の指令値に追従したと判断することができる。
請求項20記載の発明は、請求項18記載の発明において、前記変更手段は、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記第1の指令値と交差するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする。
上記構成では、実際の値が第1の指令値と交差することにより、実際の値が第1の指令値に追従したと判断することができる。
請求項21記載の発明は、請求項18記載の発明において、前記変更手段は、前記ヒステリシス領域内に狭ヒステリシス領域を設定する機能を有して且つ、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域内に入るとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする。
上記構成では、実際の値が狭ヒステリシス領域に入ったことにより、実際の値が第1の指令値に追従したと判断することができる。
請求項22記載の発明は、請求項18記載の発明において、前記変更手段は、前記ヒステリシス領域内に狭ヒステリシス領域を設定する機能を有するとともに、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域を貫通するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させる第1の処理、及び前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記第1の指令値と交差するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させる第2の処理、及び前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域内に入るとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させる第3の処理の3つの処理を行なう機能を有し、前記多相回転電機の回転速度及び前記要求トルクに基づき定まる領域のうち低回転速度側において前記第1の処理を、高回転速度側において前記第3の処理を、中間の領域において前記第2の処理をそれぞれ行うことを特徴とする。
上記構成では、実際の値が狭ヒステリシス領域を貫通すること、実際の値が第1の指令値と交差すること、及び実際の値が狭ヒステリシス領域に入ったことにより、実際の値が第1の指令値に追従したと判断することができる。ここで、第3の処理、第2の処理、第1の処理の順に、第2の指令値による制御への復帰タイミングが早くなる。このため、上記構成では、回転速度が高いほど第2の指令値による制御への復帰タイミングを早めることができる。このため、多相回転電機の逆起電力が大きくなり実際に流れる電流の変化速度が遅くなるときにおいて復帰を早めることができ、ひいては実際の値が要求電流値から大きくずれることを回避することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる多相回転電機の制御装置を、ハイブリッド車に搭載される3相回転電機の制御装置に適用した一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1に、上記3相電動機及びその制御装置の全体構成を示す。
図示されるように、3相回転電機であるDCブラシレスモータ(モータ2)の3つの相(U相、V相、W相)には、インバータ10が接続されている。このインバータ10は、3相インバータであり、3つの相のそれぞれに対応したスイッチング素子12,14とスイッチング素子16,18とスイッチング素子20,22との並列接続体を備えて構成されている。更に、インバータ10は、各スイッチング素子12〜22に逆並列に接続されたダイオード24〜34を備えている。そして、スイッチング素子12及びスイッチング素子14を直列接続する接続点がモータ2のU相と接続されている。また、スイッチング素子16及びスイッチング素子18を直列接続する接続点がモータ2のV相と接続されている。更に、スイッチング素子20及びスイッチング素子22を直列接続する接続点がモータ2のW相と接続されている。ちなみに、これらスイッチング素子12〜22は、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)によって構成されている。
インバータ10の各1組のスイッチング素子12,14とスイッチング素子16,18とスイッチング素子20,22との両端には、平滑コンデンサ40を介してバッテリ42の電圧が印加されている。
一方、マイクロコンピュータ50は、モータ2の出力軸の回転角度を検出する位置センサ52や、U相及びV相に流れる電流を検出する電流センサ54,56の検出結果を取り込む。そして、マイクロコンピュータ50は、W相に流れる電流を、キルヒホッフの法則に基づき、U相を流れる電流とV相を流れる電流とから算出する。そして、マイクロコンピュータ50は、上記モータ2の出力軸の回転角度や3つの相を流れるそれぞれの電流等に基づき、ゲート駆動回路58a〜58fを介してスイッチング素子12〜22を操作する。
図2に、マイクロコンピュータ50の行なう処理のうち、特にスイッチング素子12〜22を操作するための駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。
図2において、回転速度算出部60は、位置センサ52によって検出されるモータ2の回転角度θに基づき、モータ2の回転速度を算出する部分である。一方、第1のdq軸電流指令値算出部62は、回転速度算出部60によって算出される回転速度と外部から取り込まれる要求トルクとに基づき、要求トルクを生成するためのdq軸上の要求電流(dq要求値)である第1の指令値idc1,iqc1を算出する部分である。また、第2のdq軸電流指令値算出部64は、回転速度算出部60によって算出される回転速度と外部から取り込まれる要求トルクとに基づき、dq軸上での第2の指令値idc2,iqc2を算出する部分である。
電流指令値切替部66は、上記第1の指令値idc1,iqc1又は第2の指令値idc2,iqc2のいずれかを選択して出力する部分である。2相3相変換部68は、上記電流指令値切替部66によって選択される最終的なdq軸上の指令値idc,iqcを3相の指令値iuc,ivc,iwcに変換する部分である。この際、位置センサ52によって検出される回転角度θに、モータ2の極対数pを乗算することで算出される電気角度を用いる。
上記指令値iuc,ivc,iwcは、それぞれヒステリシスコンパレータ72,74,76に入力される。また、ヒステリシスコンパレータ72,74,76には、電流センサ54によって検出される実電流iu、電流センサ56によって検出される実電流iv、減算部78において実電流iu,ivの和の「−1」倍として算出される実電流iwがそれぞれ取り込まれる。そして、ヒステリシスコンパレータ72では、指令値iucによって定まるヒステリシス領域の上限及び下限と実電流iuとの大小に基づき、駆動パルスguを出力する。この駆動パルスgu及びその論理反転信号が波形整形されたものがそれぞれ上記パワースイッチング素子12,14をスイッチングする駆動パルスgup,gunである。ヒステリシスコンパレータ74では、指令値ivcによって定まるヒステリシス領域の上限及び下限と実電流ivとの大小に基づき、駆動パルスgvを出力する。この駆動パルスgv及びその論理反転信号が波形整形されたものがそれぞれ上記パワースイッチング素子16,18をスイッチングする駆動パルスgvp,gvnである。ヒステリシスコンパレータ76では、指令値iwcによって定まるヒステリシス領域の上限及び下限と実電流iwとの大小に基づき、駆動パルスgwを出力する。この駆動パルスgw及びその論理反転信号が波形整形されたものがそれぞれ上記パワースイッチング素子20,22をスイッチングする駆動パルスgwp,gwnである。
これにより、例えば上記第1の指令値が選択されているときには、図3にU相について示すように、指令値iucよりもヒステリシス幅hysの「1/2」だけ大きい値と指令値iucよりもヒステリシス幅hysの「1/2」だけ小さい値との間の領域(ヒステリシス領域)内に入るように、実電流iuが制御される。
ところで、実電流iu,iv,iwを指令値iuc,ivc,iwcによって定まるヒステリシス領域内となるようにフィードバック制御する瞬時電流値制御をする場合、モータ2の回転速度が高い領域では、モータ2を流れる電流(指令値iuc,ivc,iwc)の一周期と駆動パルスgu,gv,gwの周期とが一致するいわゆる1パルス制御となる。この1パルス制御は、インバータ10の入力電圧(バッテリ42の電圧)に対するモータ2に印加される相間電圧の1次成分の実効値の比である電圧利用率が理論上最大となる制御である。しかし、モータ2の回転速度が高い領域では、モータ2の逆起電力がインバータ10の入力電圧と近似する。このため、実電流iu,iv,iwと指令値iuc,ivc,iwcとの間に位相ずれを生じ、ひいてはモータ2のトルクを要求トルクとすることができなくなることについては上述したとおりである。
そこで、本実施形態では、回転速度が高い領域において、第2の指令値を用いて瞬時電流値制御を行う。ここで、第2の指令値idc2,iqc2に基づく3相の指令値iuc2,ivc2,iwc2を、図4にU相について例示する態様にて生成する。
すなわち、3相の第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2は、3相における第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1よりもその振幅が大きく、且つ位相がずれたものとなっている。この第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2は、第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1と、1パルス制御により要求トルクを生成するための駆動パルスguaとによって算出される。
すなわち、第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2と第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1との交差タイミングが、駆動パルスgua,gva,gwaの反転タイミングと一致するように、第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2を生成する。これにより、瞬時電流値制御により生成される駆動パルスgu,gv,gwは、1パルス制御によって要求トルクを生成することのできる値となる。これは、以下の理由による。
時刻t1においては、第1の指令値iuc1よりも第2の指令値iuc2の方が小さい。このため、実電流が要求トルクを生成するための要求電流(すなわち、第1の指令値iuc1)に追従しているとすると、第2の指令値iuc2を用いたときのヒステリシスコンパレータ72の出力する駆動パルスguは、論理「L」となる。その後、第2の指令値iuc2が第1の指令値iuc1と交差するときには、実電流iuと第2の指令値iuc2との大小関係が逆転する。ここで、第2の指令値iuc2の振幅を大きく取ることにより、ヒステリシスコンパレータ72の出力する駆動パルスguも、時刻t2近傍で論理反転する。このため、駆動パルスguを、1パルス制御によって要求トルクを生成するためのパルス信号とすることができる。
なお、図中、駆動パルスguは、その波高値が第2の指令値iuc2と一致しているが、駆動パルスguの電圧の基準と指令値iuc2の電流の基準とを調整することで便宜上一致させているに過ぎない。
以下、マイクロコンピュータ50における第2の指令値に基づく瞬時電流値制御の処理手法について説明する。
図5に、上記電流指令値切替部66による処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、要求トルクが規定トルクαより大きく且つ回転速度が規定回転速度βよりも大きいか否かを判断する。この判断は、モータ2の逆起電力とインバータ10の入力電圧とが近似するか否かを判断するためのものである。そして、大きくないと判断されるときには、ステップS12において第1の指令値idc1,iqc1が選択され、大きいと判断されるときには、ステップS14において第2の指令値idc2,iqc2が選択される。
図6に、上記第2のdq軸電流指令値算出部64による処理の手順を示す。この処理は、例えば先の図5のステップS10において肯定判断されているときに所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS20において、要求トルクと回転速度とから1パルス制御におけるスイッチング素子12〜22のオン操作のタイミング(スイッチング位相T3)と、3相における第2の指令値の振幅A2とを算出する。ここで、1パルス制御のスイッチング位相T3は、要求トルク及び回転速度とスイッチング位相T3との関係を、予めシミュレーションや実験等によって求めておく。また、第2の指令値の振幅A2は、インバータ10の最大定格電流に「2」の平方根を乗算した値Amax以下とすることが望ましい。すなわち、モータ2を流れる電流が値Amaxとなるときにインバータ10を流れる電流が最大定格電流と等しくなる。このため、振幅A2を値Amax以下とすることで、モータ2を流れる電流がインバータ10の最大定格電流を越えるときには、瞬時電流値制御により電流を減少させる側にフィードバック制御される。このため、モータ2を流れる電流がインバータ10の最大定格電流を越えることを抑制することができる。この第2の指令値の振幅A2は固定値としてもよいが、第1の指令値A1の振幅が大きいほど大きくなるようにすることが望ましい。これにより、実電流iu,iv,iwが、要求トルクを生成するための要求電流値(第1の指令値)から大きく離間することを回避することができる。
続くステップS22では、第1の指令値の位相T1と、第1の指令値の振幅A1とを算出する。ここで、第1の指令値は、電気角速度ωを用いて以下の式によって表現される。なお、電気角速度ωは、モータ2の極対数pと回転速度Nm(rpm)とを用いて「ω=2πpNm/60」にて定義される。
A1×sin(ω×t−T1) …(c1)
また、位相T1は、「arctan(−idc1/−iqc1)」によって定義される。また、振幅A1は、指令値idc1,iqc1のそれぞれの2乗の和の「2/3」倍の平方根である。
続くステップS24では、第2の指令値の位相T2を算出する。
ここで、第2の指令値は、下記の式によって表現される。
A2×sin(ω×t−T2) …(c2)
このため、上記の式(c1)と式(c2)とが等しくなるときの位相がスイッチング位相T3であるとして下記の式が成立する。
A1×sin(ω×T3−T1)=A2×sin(ω×T3−T2)
したがって、位相T2は、下記の式(c3)によって算出することができる。
T2=T3−arcsin{(A1/A2)×sin(ω×T3−T1)}…(c3)
続くステップS26においては、第2の指令値idc2,iqc2を以下の式によって算出する。
idc2=−A2×sin(T2)
iqc2=−A2×cos(T2)
図7に、本実施形態における実電流の挙動のシミュレーション結果を示す。図7では、便宜上、U相についてのシミュレーション結果を示している。図示されるように、実電流iuは、要求トルクを生成するための要求電流である第1の指令値iuc1に好適に追従している。これに対し、高回転速度において第1の指令値による瞬時電流値制御をする場合のシミュレーション結果を図8に示す。この場合、実電流iuの第1の指令値iuc1に対する追従性が悪いため、モータ2の出力トルクが要求トルクからずれたものとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)モータ2の回転速度及び要求トルクが所定以上であるとき、指令値を要求電流値とする制御から、指令値を、要求電流値と同周期且つ要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替えた。これにより、高回転速度・大要求トルク領域において、1パルス制御をしつつも、モータ2を実際に流れる電流を要求電流値に適切にフィードバック制御することができる。
(2)第2の指令値の振幅を、インバータ10の最大定格電流値に2の平方根を乗算した値Amax以下に設定する実施例とするなら、1パルス制御をしつつもモータ2を流れる電流が最大定格電流を越えることを抑制することができる。
(3)第2の指令値を、要求電流値の半周期と一致して且つ要求電流値を実現する駆動パルスの反転タイミングにおいて、要求電流値と交わるように適合した。これにより、実電流と第2の指令値とが交わるタイミング近傍において駆動パルスを反転させるることができる。
(4)2相3相変換部68を、dq軸上の第1の指令値とdq軸上の第2の指令値とで共有することで、dq軸の指令値から3相の指令値へ変換する手段を簡易に構成することができる。
(5)第1の指令値に基づき第2の指令値を生成することで、第2の指令値の算出手段(第2のdq軸電流指令値算出部64等)を簡易に構成することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかるスイッチング素子12〜22の駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図9において、先の図2と同一の処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、電流指令値算出部80を備えている。電流指令値算出部80では、要求トルクと回転速度とに基づき、dq軸における指令値idc,iqcを算出して出力する。以下、電流指令値算出部80による処理について詳述する。
本実施形態では、第1の指令値を図10(a)に示すマップにて、また、第2の指令値を図10(b)に示すマップにてそれぞれマップ演算する。これらマップは、要求トルク及び回転速度と指令値との関係を定めるものである。また、本実施形態では、第1の指令値による制御から第2の指令値による制御へ切り替える境界と、第2の指令値による制御から第1の指令値による制御へ切り替える境界とを相違させることで、第1の指令値による制御と第2の指令値による制御との間で制御が頻繁に切り替ることを回避する。このため、図11に示す指令値選択マップを用いて切り替えを行う。ここで、図11(a)に示す第1のマップは、第1の指令値による制御が選択されているときに、回転速度と要求トルクとに基づき、第1の指令値と第2の指令値との切り替えに用いるマップである。また、図11(b)に示す第2のマップは、第2の指令値による制御が選択されているときに、回転速度と要求トルクとに基づき、第1の指令値と第2の指令値との切り替えに用いるマップである。図示されるように、第1マップと第2マップとでは、第2の指令値を選択する領域と第1の指令値を選択する領域とが互いに相違している。すなわち、第2マップの方が第1マップよりも低回転速度・低要求トルク側で第2の指令値を選択する。これにより、第1の指令値による制御から第2の指令値による制御へと切り替えがなされるときと、第2の指令値による制御から第1の指令値による制御に切り替えがなされるときとでヒステリシスを持たせることができる。
図12に、上記各マップを用いて行われる指令値の算出処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS30において、現在選択されている指令値選択マップを読み出す。すなわち、先の図11に示した第1マップ及び第2マップのうちいずれか選択されている方を読み出す。続くステップS32において、読み出されたマップに基づき、現在の要求トルクと回転速度とが第2の指令値を選択する領域か否かを判断する。そして、否定判断されるときには、第1の指令値領域にあるとしてステップS34に移行する。ステップS34においては、先の図10(a)に示した第1の指令値の演算マップを用いて第1の指令値をマップ演算する。次にステップS36において、指令値選択マップとして第1マップを記憶する。一方、ステップS32において肯定判断されるときには、第2の指令値領域にあるとしてステップS38に移行する。ステップS38においては、先の図10(b)に示した第2の指令値の演算マップを用いて第2の指令値をマップ演算する。次にステップS40において、指令値選択マップとして第2マップを記憶する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(6)要求トルク及び回転速度に基づき第1の指令値及び第2の指令値をマップ演算することで、第1の指令値及び第2の指令値を適切に設定することができる。
(7)dq軸における指令値をマップ演算することで、3相の指令値を直接マップ演算する場合と比較して、マップデータ数を低減することができる。
(8)モータ2の回転速度と要求トルクとによって定まる領域において、第1の指令値から第2の指令値へ切り替える境界と、第2の指令値から第1の指令値へ切り替える境界とを互いに相違させた。これにより、回転速度と要求トルクとが同時に両境界近傍を彷徨うことを回避することができるため、第1の指令値による制御と第2の指令値による制御とが頻繁に切り替えられるハンチングを回避することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図13に、本実施形態にかかるスイッチング素子12〜22の駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図13において、先の図2と同一の処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、dq軸上での第1の指令値idc1,iqc1を算出する第1のdq軸電流指令値算出部62のみを備えている。第1のdq軸電流指令値算出部62では、図14(a)に示す2つのマップを用いて、要求トルク及び回転速度に基づき、要求トルクを生成するための要求電流値に対応するd軸及びq軸での電流値である第1の指令値をマップ演算する。
そして、第2の指令値については、第1の指令値idc1,iqc1を補正することで算出する。
すなわち、振幅補正係数算出部82は、要求トルクと回転速度とに基づき振幅補正係数を算出し、乗算器84,86にそれぞれ出力する。乗算器84では、d軸上での第1の指令値idc1に振幅補正係数を乗算することで最終的なd軸上での指令値idcを生成する。また、乗算器86では、q軸上での第1の指令値iqc1に振幅補正係数を乗算することで最終的なq軸上での指令値iqcを生成する。振幅補正係数算出部82は、図14(b)に示すマップを用いて、要求トルク及び回転速度に基づき、振幅補正係数をマップ演算する。ここで、振幅補正係数は、第1の指令値による制御を行う領域では「1」に設定されており、第2の指令値による制御を行う領域では、3相における第1の指令値の振幅A1に対する第2の指令値の振幅A2の比「A2/A1」とされている。そして、第2の指令値による制御を行う領域は、高回転速度・大要求トルクの領域となっている。
また、位相補正値算出部88は、要求トルクと回転速度とに基づき位相補正値を算出し、加算器90に出力する。加算器90では、位置センサ52によって検出された回転角度θの極対数p倍の値に位相補正係数を加算したものを最終的な電気角度として、2相3相変換部68に出力する。位相補正値算出部88では、図14(c)に示すマップを用いて、要求トルク及び回転速度に基づき、補正値をマップ演算する。ここで、補正値は、第1の指令値による制御を行う領域では、「0」とされ、第2の指令値による制御を行う領域では「K2=T2−T1」とされている。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(9)d軸及びq軸における要求電流値であるdq軸上での第1の指令値をマップ演算し、且つ第2の指令値は、第1の指令値を補正することで算出した。これにより、要求電流値をdq軸に基づく理論にて簡易に生成することができるとともに、これを補正することで第2の指令値を簡易に算出することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、モータ2の実際の出力トルクを要求トルクとすべく、フィードバック制御を行う。
図15に、本実施形態にかかるスイッチング素子12〜22の駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図15において、先の図9と同一の処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、トルク推定部92を備えている。トルク推定部92は、実電流iu,iv,iwに基づき、モータ2の出力トルクを推定する。図16に、トルク推定部92の行う処理に関する機能ブロック図を示す。
図示されるように、実電流iu,iv,iwは、3相2相変換部92aにおいて、d軸上の実電流idとq軸上の実電流iqとに変換される。そして、実電流id,iqはそれぞれ、ローパスフィルタ92b,92cにおいて高周波成分が除去された後、トルク推定値算出部92dに取り込まれる。トルク推定値算出部92dでは、取り込まれた実電流idf,iqfに基づき、モータ2の出力トルクの推定値を算出する。ここでは、例えばモータ2のトルク定数Kt、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqを用いて、下記の式によって算出すればよい。
Kt×iqf−(Ld−Lq)×idf×iqf
上記出力トルクの推定値は、先の図15に示す偏差算出部94に取り込まれる。偏差算出部94では、要求トルクと推定値との差を算出し、PI制御部96に出力する。PI制御部96では、要求トルクと推定値との差に基づく比例項及び積分項を算出し、これらの和を加算器98に出力する。加算器98では、乗算器70の出力とPI制御部96の出力とを加算したものを最終的な電気角度として2相3相変換部68に出力する。
図17に、上記PI制御部96の行う処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。
図示されるように、第1の指令値による制御がなされているときには(ステップS50:YES)、積分制御及び比例制御のゲインをゼロとすることで比例項及び積分項をゼロとする(ステップS52)。これにより、第1の指令値による制御中には、2相3相変換部68に取り込まれる電気角度は補正されない。これに対し、第2の指令値による制御がなされているときには(ステップS50:NO)、積分制御及び比例制御の各ゲインをそれぞれ適切な値(>0)に設定する(ステップS54)。これにより、第2の指令値による制御がなされているときには、2相3相変換部68に取り込まれる電気角度がフィードバック補正される。このため、3相の第2の指令値の位相がフィードバック補正されることとなる。
このように本実施形態によれば、推定値を要求トルクとするためのフィードバック制御をすることで、モータ2の実際の出力トルクを要求トルクに高精度に制御することが可能となる。すなわち、要求トルクと回転速度とに応じて設定される第2の指令値は、モータ2やインバータ10の特性が基準となる特性であるとして、モータ2が実際に要求トルクを生成することができるように適合されている。しかし、モータ2やインバータ10の個体差や経年変化、更には、特性の温度依存性等により、実際の特性は基準となる特性と異なることがある。そしてこの場合、基準となる特性を前提として適合された第2の指令値に基づく制御によっては、モータ2の出力トルクの制御性を高く維持することが困難となる懸念がある。これに対し、本実施形態では、フィードバック制御により、出力トルクの制御性を高く維持することができる。特に積分制御を用いることで、モータ2の定常運転状態においては、推定値と要求トルクとの定常的な乖離を補償することができる。
ただし、モータ2の過渡運転時にあっては、実際の出力トルクと要求トルクとの乖離傾向が変化するために、適切な補正量も変化する。更に、要求トルクに対して実際の出力トルク(推定値)の追従遅れも生じる。しかし、積分制御では、出力トルクと要求トルクとの間に差がある限り、この差を低減するように積分項の絶対値を増加させる。このため、過渡時においては積分項が補正量としての適切な値に対してその絶対値が過度に大きな値となるおそれがある。この場合、モータ2の運転状態が定常となったとき、出力トルクが要求トルクに対して過度に大きくなるオーバーシュートや過度に小さくなるアンダーシュートを生じるおそれがある。
そこで本実施形態では、モータ2の過渡運転時において、積分項を初期化する制御をする。以下、これについて説明する。
図18に、PI制御部96による積分項の初期化にかかる処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS60において、要求トルクの変化量が所定値γよりも大きいか否かを判断する。ここでは、要求トルクの変化量を、前回の要求トルク(n−1)と今回の要求トルク(n)との差の絶対値によって定量化した。上記所定値γは、要求トルクに対して実際の出力トルクの追従遅れが顕著となると想定されるモータ2の過渡運転時を判断するための値に設定されている。また、ステップS62においては、回転速度の変化量が所定値εよりも大きいか否かを判断する。ここでは、回転速度の変化量を前回の回転速度(n−1)と今回の回転速度(n)との差の絶対値によって定量化した。上記所定値εは、要求トルクに対する実際の出力トルクの追従遅れが顕著となると想定されるモータ2の過渡運転時を判断するための値に設定されている。
そして、ステップS60、S62のいずれかで肯定判断されるときには、積分項を初期化する。そして、要求トルクの変化量が所定値γ以下となって且つ回転速度の変化量が所定値ε以下となると、積分項が再度算出されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、上記第2の実施形態の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(10)モータ2の要求トルクと推定値との差に基づき、第2の指令値の位相をフィードバック補正することで、力率を調節することができるため、実際の出力トルクと要求トルクとのずれを適切に補償することができる。
(11)上記フィードバック制御として、要求トルクと推定値との差に基づく積分制御を含むことで、実際の出力トルクと要求トルクとの間の定常的な乖離を補償することができる。
(12)モータ2の回転速度及び要求トルクの少なくとも一方の変化量が所定以上となるとき、積分項を初期化した。これにより、過渡時において積分項の絶対値が過度に大きくなることを回避することができ、ひいては、実際の出力トルクの要求トルクへの制御性の低下を抑制することができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第4の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、モータ2の実際の出力トルクと要求トルクとの差に基づき、指令値によって定まるヒステリシス領域の中心をフィードバック補正する。
図19に、本実施形態にかかるスイッチング素子12〜22の駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図19において、先の図15と同一の処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、PI制御部96の出力は、補正部100、102、104にそれぞれ取り込まれる。補正部100、102、104では、2相3相変換部68の出力する指令値iuc,ivc,iwcからPI制御部96の出力を減算してヒステリシスコンパレータ72,74,76に出力する。これにより、指令値iuc,ivc,iwcによって定まるヒステリシス領域がフィードバック補正されることとなり、ひいてはスイッチング素子12〜22のスイッチングタイミングを微調整することができる。
以上説明した本実施形態によれば、上記第2の実施形態の効果及び上記第4の実施形態の上記(11)、(12)に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(13)モータ2の要求トルクと推定値との差に基づき第2の指令値によって定まるヒステリシス領域の中心をフィードバック補正することで、スイッチングタイミングを微調整することができ、ひいては、実際の出力トルクと要求トルクとのずれを適切に補償することができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記各実施形態では、高回転速度・大要求トルク領域で第2の指令値を用いた制御をした。この制御は、1パルス制御であるため、理論上電圧利用率が最大となる。このため、第2の指令値への切り替えによって電圧利用率が断続的に増大し、ひいてはモータ2の出力トルクが過度に大きくなるトルクショックを生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、第2の指令値に切り替えた後、実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1によって定まるヒステリシス領域からはみ出すとき、はみ出した相については第1の指令値による制御に変更する。そして、変更後、実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1に追従するとき、第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2による制御に復帰させる。
図20に、本実施形態にかかるスイッチング素子12〜22の駆動パルスの生成に関する処理の機能ブロック図を示す。なお、図20において、先の図13と同一の処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、dq軸上での第2の指令値idc2,iqc2は、2相3相変換部68aにて3相の第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2に変換される。また、dq軸上での第1の指令値idc1,iqc1は、2相3相変換部68bにて3相の第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1に変換される。なお、第2の指令値idc2,iqc2は、先の図3の実施形態と同様、先の図14に示したマップを用いて算出されるため、高回転速度・大要求トルク領域以外では、第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2は第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1と一致する。
第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2と、第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1とは、スイッチング信号決定ロジック110に取り込まれる。このスイッチング信号決定ロジック110では、第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2又は第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1によって定まるヒステリシス領域の上限及び下限と実電流iu,iv,iwとの大小に基づく瞬時電流値制御をする機能を有する。更に、スイッチング信号決定ロジック110では、上記変更にかかる処理を行なう機能を有する。
図21に、スイッチング信号決定ロジック110における制御の変更に関する処理のうち、特に第1の指令値への変更の処理手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。
図示されるように、各第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1を中心とするヒステリシス幅hysの領域から実電流iu,iv,iwがはみ出た相については(ステップS70、S74,S78:YES)、第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1による制御を行う(ステップS72、S76,S80)。
図22に、上記処理による変更後、第2の指令値による制御への変更にかかる処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図22では、便宜上、U相についての復帰にかかる処理のみを示すが、V相、W相についても同様である。これら各相に適用するときには、図22中、U相をV相又はW相とし、実電流iuを実電流iv又は実電流iwとし、指令値iuc1を指令値ivc1又は指令値iwc1とすればよい。
この一連の処理では、まずステップS90において、U相において第2の指令値iuc2による制御から第1の指令値iuc1による制御への変更があったか否かを判断する。そして、変更があるときには、ステップS92において、第1の指令値iuc1を中心とし且つ、瞬時電流値制御に用いる上記ヒステリシス幅hysよりも狭い狭ヒステリシス幅hys×kを有する領域(狭ヒステリシス領域)を実電流iuが貫通するまで待機する。ここで、「|k|<1」である。このステップS92の処理は、第1の指令値iuc1と実電流iuとについて、狭ヒステリシス幅を有するヒステリシスコンパレータの出力の反転を判断するものである。また、このステップS92は、実電流iuが第1の指令値iuc1に追従することで第2の指令値iuc2による制御に切り替えるタイミングを判断するものである。
そして、実電流が上記狭ヒステリシス領域を貫通すると、ステップS94において、U相について、第1の指令値iuc1による制御から第2の指令値iuc2による制御に変更する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果、先の第3の実施形態の上記(9)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(14)第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2に基づく制御中に、実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1を中心とするヒステリシス幅hysの領域からはみ出すとき、はみ出した相については、第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1による制御に強制的に変更した。これにより、モータ2のトルクショックを好適に抑制することができる。
(15)第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1による制御に変更した相の実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1に追従するとき、変更した相を第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2による制御に復帰させた。これにより、もともと第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2による制御が所望されていた領域において、第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2への復帰を適切に行うことができる。
(16)第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1による制御に変更した相の実電流iu,iv,iwが狭ヒステリシス領域を貫通するとき、当該変更した相を第2の指令値による制御に復帰させた。これにより、実電流iu,iv,iwが第1の指令値に追従したことを適切に判断して第2の指令値による制御に復帰させることができる。
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について、先の第6の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図23に、本実施形態にかかる第2の指令値への復帰に関する処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図23において、先の図22と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS90において肯定判断されると、ステップS92aに移行する。ステップS92aでは、実電流iuが第1の指令値iuc1と交差するか否かを、換言すれば、実電流iuが第1の指令値iuc1を横切るか否かを判断する。この判断は、実電流iuが第1の指令値iuc1に追従することで第2の指令値iuc2による制御に切り替えるタイミングを判断するものである。
そして、実電流iuが第1の指令値iuc1と交差すると、ステップS94において、U相について、第1の指令値iuc1による制御から第2の指令値iuc2による制御に変更する。
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果、先の第3の実施形態の上記(9)の効果、先の第6の実施形態の上記(14)、(15)の効果に加えて、更に以下の効果を得ることができる。
(17)第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1による制御に変更した相の実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1と交差するとき、当該変更した相を第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2による制御に復帰させた。これにより、実電流iu,iv,iwが第1の指令値に追従したことを適切に判断して第2の指令値による制御に復帰させることができる。
(第8の実施形態)
以下、第8の実施形態について、先の第6の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図24に、本実施形態にかかる第2の指令値への復帰に関する処理の手順を示す。この処理は、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図24において、先の図22と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS90において肯定判断されると、ステップS92bに移行する。ステップS92bでは、実電流iuが第1の指令値iuc1を中心とする狭ヒステリシス領域内に入ったか否かを判断する。この判断は、実電流iuが第1の指令値iuc1に追従することで第2の指令値iuc2による制御に切り替えるタイミングを判断するものである。
そして、実電流iuが狭ヒステリシス領域内に入ると、ステップS94において、U相について、第1の指令値iuc1による制御から第2の指令値iuc2による制御に変更する。
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果、先の第3の実施形態の上記(9)の効果、先の第6の実施形態の上記(14)、(15)の効果に加えて、更に以下の効果を得ることができる。
(18)第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1による制御に変更した相の実電流iu,iv,iwが狭ヒステリシス領域内に入るとき、当該変更した相を第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2による制御に復帰させた。これにより、実電流iu,iv,iwが第1の指令値に追従したことを適切に判断して第2の指令値による制御に復帰させることができる。
(第9の実施形態)
以下、第9の実施形態について、先の第6〜第8の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記第6〜第8の実施形態における第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2への復帰に関する処理は、いずれも実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1に追従するときに行われるものであるとはいえ、その復帰タイミングは互いに相違する。図25に、各復帰条件による復帰タイミングを示す。
図中、第6の実施形態で示した復帰条件、すなわち実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1を中心とする狭ヒステリシス領域を貫通するとの条件を第1の復帰条件としている。また、第7の実施形態で示した復帰条件、すなわち、実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1と交差するとの条件を第2の復帰条件としている。更に、第8の実施形態で示した復帰条件、すなわち、実電流iu,iv,iwが第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1を中心とする狭ヒステリシス領域に入るとの条件を第3の復帰条件としている。
図示されるように、第3の復帰条件、第2の復帰条件、第1の復帰条件の順に復帰のタイミングが早くなっている。一方、モータ2の回転速度が高いほど、モータ2の逆起電力が大きくなるためモータ2の電流の変化速度が遅くなり、復帰後の電流の応答性が遅くなる。また、モータ2のトルク指令が大きいほど、第1の指令値振幅が大きくなるため、大きな電流変化が必要となり、同じ回転速度においてもより早い応答性が求められる。
こうした性質に鑑み、本実施形態では、高回転速度・大要求トルク側に移行するに従い、第1の復帰条件から、第2の復帰条件を経て第3の復帰条件へと移行させるようにする。これにより、モータ2の回転速度の高低や要求トルクの大小にかかわらず、実電流iu,iv,iwを第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1に適切に追従させることができる。図26に、いずれの復帰条件を用いるかを選択するマップを示す。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果、先の第3の実施形態の上記(9)の効果、先の第6の実施形態の上記(14)〜(16)の効果、先の第7の実施形態の上記(17)の効果、先の第8の実施形態の上記(18)の効果に加えて、更に以下の効果を得ることができる。
(19)モータ2の回転速度が高くなるに従い、第1の復帰条件から、第2の復帰条件を経て第3の復帰条件へと移行させた。これにより、モータ2の逆起電力が大きくなり実電流iu,iv,iwの変化速度が遅くなるときにおいて復帰を早めることができ、ひいては実電流iu,iv,iwが要求電流値から大きくずれることを回避することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第1の実施形態や第3の実施形態、第6〜第9の実施形態において、第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1から第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2へ切り替える境界と、第2の指令値iuc2,ivc2,iwc2から第1の指令値iuc1,ivc1,iwc1へ切り替える境界とを相違させてもよい。これを、例えば第1の実施形態に適用する場合、回転速度が規定値N1であって要求トルクが規定値T1であるときに第1の指令値から第2の指令値へ切り替えて且つ、回転速度が規定値N2であって要求トルクが規定値T2であるときに第2の指令値から第1の指令値に切り替えるようにすればよい。ただし、規定値N1と規定値N2とを相違させ、且つ規定値T1と規定値T2とを相違させる。また、例えば第3の実施形態に適用する場合、先の第2の実施形態と同様の手法にてマップを作成すればよい。
・第4、第5の実施形態におけるフィードバック制御としては、PI制御に限らない。例えばPID制御でもよい。また、積分制御のみを行っても、要求トルクと推定値との定常的な乖離を補償することはできる。
・指令値の算出手法としては、dq軸における指令値を算出した後3相の指令値に変換するものに限らず、要求トルクと回転速度とに基づき3相の指令値を直接算出するものであってもよい。
・上記各実施形態では、モータ2に本発明を適用する場合を想定したが、これに限らず、発電機に本発明を適用してもよい。この場合、モータ2の出力トルクが大きいときを、発電機のトルクが負で大きいとき(負荷トルクが大きいとき)と読み替えればよい。
・上記各実施形態では、インバータ10のスイッチング手法として、瞬時電流値制御のみを採用したがこれに限らない。例えばモータ2の低回転速度、小トルク領域においては、三角波を搬送波とするPWM制御を採用してもよい。
・多相回転電機の制御装置としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、例えば電気自動車に搭載されるものであってもよい。
・上記各実施形態において、制御処理の実装は、マイコンに限らない。例えばFPGAや専用LSI等のハードデバイスでもよい。
第1の実施形態にかかるモータ、インバータ、及びマイコンの構成を示す図。 同実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態における瞬時電流値制御の態様を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる第2の指令値の生成手法を説明するタイムチャート。 同実施形態にかかる第1の指令値による制御と第2の指令値による制御との切り替えに関する処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態にかかる第2の指令値の生成に関する処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態におけるモータを流れる電流の要求電流値への追従態様を示すタイムチャート。 従来の瞬時電流値制御によるモータを流れる電流の要求電流値への追従態様を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態にかかる指令値を算出するためのマップを示す図。 同実施形態にかかる指令値選択マップを示す図。 同実施形態にかかる指令値のマップ演算及び指令値の切り替えに関する処理手順を示すフローチャート。 第3の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態にかかる指令値を算出するためのマップを示す図。 第4の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態におけるトルク推定部の処理に関する機能ブロック図。 同実施形態におけるフィードバック制御の実行の有無を決定する処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態にかかる積分項の初期化に関する処理の手順を示すフローチャート。 第5の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 第6の実施形態にかかるマイコン内の処理を示す機能ブロック図。 同実施形態にかかる第2の指令値による制御から第1の指令値による制御への切り替えに関する処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態にかかる第2の指令値による制御への復帰に関する処理の手順を示すフローチャート。 第7の実施形態にかかる第2の指令値による制御への復帰に関する処理の手順を示すフローチャート。 第8実施形態にかかる第2の指令値による制御への復帰に関する処理の手順を示すフローチャート。 第9の実施形態における第1〜第3の復帰条件を示すタイムチャート。 同実施形態における復帰条件の切り替えマップを示す図。 従来の瞬時電流値制御の問題点を示すタイムチャート。
符号の説明
2…モータ、10…インバータ、50…マイクロコンピュータ(多相回転電機の制御装置の一実施形態)。

Claims (22)

  1. 多相回転電機を流れる電流の実際の値と、指令値によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づき、瞬時電流値制御によってインバータのスイッチング素子を操作することで、前記実際の値を、要求トルクを生成するための要求電流値にフィードバック制御する多相回転電機の制御装置において、
    前記多相回転電機の回転速度及び出力トルクの少なくとも一方が所定以上であるとき、前記指令値を前記要求電流値とする制御から、前記指令値を、前記要求電流値と同周期且つ前記要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替える切替手段を備えることを特徴とする多相回転電機の制御装置。
  2. 多相回転電機を流れる電流の実際の値と、指令値によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づき、インバータのスイッチング素子を操作することで、前記実際の値を、要求トルクを生成するための要求電流値にフィードバック制御する多相回転電機の制御装置において、
    前記多相回転電機の回転速度及び出力トルクの少なくとも一方が所定以上であるとき、前記指令値を前記要求電流値とする制御から、前記指令値を、前記要求電流値と同周期且つ前記要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替える切替手段を備え、
    前記切替手段は、前記要求電流値としての第1の指令値を生成する第1生成手段と、前記第1の指令値と同周期且つ該第1の指令値よりも振幅の大きい第2の指令値を生成する第2生成手段とを備え、
    前記要求電流値の一周期内に論理「H」状態及び論理「L」状態が1度ずつとなる駆動パルスを用いて前記スイッチング素子を駆動する1パルス制御によって前記要求トルクを実現するために想定される前記駆動パルスの反転タイミングにおいて、前記第2の指令値が前記要求電流値と交わるように適合されてなることを特徴とする多相回転電機の制御装置。
  3. 多相回転電機を流れる電流の実際の値と、指令値によって定まる所定のヒステリシス領域の上限及び下限との大小に基づき、インバータのスイッチング素子を操作することで、前記実際の値を、要求トルクを生成するための要求電流値にフィードバック制御する多相回転電機の制御装置において、
    前記多相回転電機の回転速度及び出力トルクの少なくとも一方が所定以上であるとき、前記指令値を前記要求電流値とする制御から、前記指令値を、前記要求電流値と同周期且つ前記要求電流値よりも大きな振幅とする制御に切り替える切替手段を備え、
    前記切替手段は、前記要求電流値としての第1の指令値を生成する第1生成手段と、前記第1の指令値と同周期且つ該第1の指令値よりも振幅の大きい第2の指令値を生成する第2生成手段とを備え、
    前記第2生成手段は、前記第2の指令値の振幅A2を前記第1の指令値の振幅A1よりも大きな値に設定するとともに、前記第2の指令値の位相T2を、前記要求電流値の一周期内に論理「H」状態及び論理「L」状態が1度ずつとなる駆動パルスによって前記スイッチング素子を駆動する1パルス制御を用いて前記要求トルクを実現するために想定される前記駆動パルスの位相T3と前記第1の指令値の位相T1とによって、
    T2=T3−arcsin{(A1/A2)×sin(T3−T1)}
    に設定することを特徴とする多相回転電機の制御装置。
  4. 前記切替手段は、前記要求電流値としての第1の指令値を生成する第1生成手段と、前記第1の指令値と同周期且つ該第1の指令値よりも振幅の大きい第2の指令値を生成する第2生成手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の多相回転機の制御装置。
  5. 前記第2の指令値の振幅は、前記インバータの最大定格電流値に2の平方根を乗算した値以下に設定されてなることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  6. 前記第2生成手段は、前記第1の指令値に基づき前記第2の指令値を生成することを特徴とする請求項2〜のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  7. 前記第2生成手段は、前記第2の指令値を、前記多相回転電機の回転速度と要求トルクとに基づきマップ演算することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  8. 前記多相回転電機が3相回転電機であり、
    前記第2生成手段は、前記多相回転電機の回転速度及び要求トルクに基づき、d軸及びq軸における前記第2の指令値であるdq指令値をマップ演算する手段と、該dq指令値を3相の指令値に変換する変換手段とを備えて構成されてなることを特徴とする請求項7記載の多相回転電機の制御装置。
  9. 前記第1生成手段は、前記多相回転電機の回転速度及び要求トルクに基づき、d軸及びq軸における前記要求電流値であるdq要求値をマップ演算する手段を備えて且つ、該dq指令値を3相の指令値に変換する変換手段を前記第2生成手段と共有することを特徴とする請求項7又は8記載の多相回転電機の制御装置。
  10. 前記多相回転電機が3相回転電機であり、
    前記第1生成手段は、d軸及びq軸における前記要求電流値であるdq要求値を生成する手段と、前記dq要求値を前記多相回転電機の電気角度に応じて3相の指令値に変換する変換手段とを備え、
    前記第2生成手段は、前記第1の指令値の振幅を補正すべく前記dq要求値を補正する振幅補正手段と、前記振幅補正のなされた前記dq要求値を前記多相回転電機の電気角度に応じて3相の指令値に変換する変換手段と、前記3相の指令値に変換する際、前記電気角度を補正する角度補正手段とを備えて構成されてなることを特徴とする請求項記載の多相回転電機の制御装置。
  11. 前記第1生成手段は、前記変換手段を前記第2生成手段と共有することを特徴とする請求項10記載の多相回転電機の制御装置。
  12. 前記切替手段は、前記多相回転電機の回転速度と要求トルクとによって定まる領域において、前記第1の指令値から前記第2の指令値へ切り替える境界と、前記第2の指令値から前記第1の指令値へ切り替える境界とを互いに相違させることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  13. 前記実際の値に基づき、前記多相回転電機の実際の出力トルクを推定する推定手段と、
    前記推定される出力トルクと前記要求トルクとの差に基づき前記第2の指令値の位相をフィードバック補正する補正手段とを備えることを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  14. 前記実際の値に基づき、前記多相回転電機の実際の出力トルクを推定する推定手段と、
    前記推定される出力トルクと前記要求トルクとの差に基づき前記第2の指令値によって定まるヒステリシス領域の中心をフィードバック補正する補正手段とを備えることを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  15. 前記フィードバック制御は、前記推定される出力トルクと前記要求トルクとの差に基づく積分制御を含むことを特徴とする請求項13又は14記載の多相回転電機の制御装置。
  16. 前記多相回転電機の回転速度及び要求トルクの少なくとも一方の変化量が所定以上となるとき、前記積分制御によって算出される前記出力トルクと前記要求トルクとの差の積算値を初期化することを特徴とする請求項15記載の多相回転電機の制御装置。
  17. 前記第2の指令値に基づく制御中に、前記実際の値が前記第1の指令値によって定まる前記ヒステリシス領域からはみ出すとき、該はみ出した相については、前記第1の指令値による制御に強制的に変更する変更手段を更に備えることを特徴とする請求項2〜16のいずれかに記載の多相回転電機の制御装置。
  18. 前記変更手段は、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記第1の指令値に追従するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする請求項17記載の多相回転電機の制御装置。
  19. 前記変更手段は、前記ヒステリシス領域内に狭ヒステリシス領域を設定する機能を有して且つ、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域を貫通するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする請求項18記載の多相回転電機の制御装置。
  20. 前記変更手段は、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記第1の指令値と交差するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする請求項18記載の多相回転電機の制御装置。
  21. 前記変更手段は、前記ヒステリシス領域内に狭ヒステリシス領域を設定する機能を有して且つ、前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域内に入るとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させることを特徴とする請求項18記載の多相回転電機の制御装置。
  22. 前記変更手段は、前記ヒステリシス領域内に狭ヒステリシス領域を設定する機能を有するとともに、
    前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域を貫通するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させる第1の処理、及び
    前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記第1の指令値と交差するとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させる第2の処理、及び
    前記第1の指令値による制御に変更した相の前記実際の値が前記狭ヒステリシス領域内に入るとき、当該変更した相を前記第2の指令値による制御に復帰させる第3の処理
    の3つの処理を行なう機能を有し、
    前記多相回転電機の回転速度及び前記要求トルクに基づき定まる領域のうち低回転速度側において前記第1の処理を、高回転速度側において前記第3の処理を、中間の領域において前記第2の処理をそれぞれ行うことを特徴とする請求項18記載の多相回転電機の制御装置。
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