JP7268809B1 - 印刷層が脱離可能な印刷フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、基材フィルム上に、アルカリ脱離性を有するインキから成る脱離性印刷層及び仕上げニス層が形成されて成る印刷フィルムに関するものであり、前記仕上げニス層が、少なくとも硬化性樹脂及び硬化剤から成り、該硬化剤が前記硬化性樹脂100質量部に対して40質量部未満の量で配合されていることにより、印刷層の擦傷・剥離が防止されていると共に、廃棄時にはアルカリ処理により確実に印刷層を脱離できる。

Description

本発明は、アルカリ処理により脱離可能な印刷インキを用いた印刷層を有する印刷フィルムに関するものであり、より詳細には、印刷層の擦傷・剥離が防止されていると共に、廃棄時にはアルカリ処理により確実に印刷層が脱離可能な印刷フィルムに関する。
近年、環境負荷軽減の観点から、樹脂製包装容器のリサイクルが求められており、多層フィルムから成る包装袋においても、マテリアルリサイクルできることが望まれている。
しかしながら、包装袋に使用される多層フィルムには、複数種のプラスチックが混在していることから、マテリアルリサイクルのためにはプラスチックを分離する必要がある。また包装袋には印刷層が形成されていることから、印刷インキを除去しないと黒色の樹脂ペレットしか得られず、その用途が限定されるという問題もある。
このような問題を解決するために、下記特許文献1には、無延伸PETと延伸PETを積層して成る袋容器が提案されており、強アルカリの溶液により剥離可能なインクを印刷して成る印刷層を設けることが記載されている。
上記袋容器においては、同種のプラスチックから成る層を、接着剤を使用することなく積層することによりリサイクルを容易にすると共に、シーラント層となる無延伸PET層と反対側の露出した面に印刷層を形成することにより、印刷層を無延伸PET層からリサイクル前に容易に除去することを可能にする。
特開2020-183252号公報
しかしながら、印刷層が包装袋の表面に露出した状態では、印刷層の耐擦傷性に劣ると共に、包装袋の滑り性に劣る。そのため、内容物充填後の包装袋を箱詰めして輸送する際に、振動により包装袋が互いにぶつかり、印刷層に傷がついたり、或いは剥離したりするおそれがある。また包装袋を重ねて保管した後、内容物の充填工程等に供される場合に効率よく包装袋を供給することができないおそれもある。このような問題を解決すると共に、包装袋に美麗な光沢を付与するために、一般的には印刷層の上には保護層が形成されている。
しかしながら、アルカリ処理により脱離可能なインキを用いた印刷層上に、仕上げニス(トップコート)を用いて上記目的を達成可能な保護層を形成すると、アルカリ処理を施しても、印刷層を十分に除去できないという新たな問題が生じた。
従って本発明の目的は、印刷層がアルカリ処理により容易に除去可能であると共に、滑り性及び光沢性に優れ、印刷層の耐擦傷性をも備えた印刷フィルムを提供することである。
本発明によれば、基材フィルム上に、アルカリ脱離性を有するインキから成る脱離性印刷層及び仕上げニス層が形成されて成る印刷フィルムにおいて、前記仕上げニス層が、少なくとも硬化性樹脂及び硬化剤から成り、該硬化剤が前記硬化性樹脂100質量部に対して40質量部未満の量で配合されており、前記脱離性印刷層がアルカリ処理により基材フィルムから脱離可能であることを特徴とする印刷フィルムが提供される。
本発明の印刷フィルムにおいては、
(1)前記脱離性印刷層の塗工量が1.2g/m以上であること、
(2)前記硬化性樹脂がエポキシ系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤である、エポキシイソシアネート系仕上げニスにおいて、前記硬化剤がNCO/OHmol比8.4未満となる量で配合されていること、
(3)前記硬化性樹脂がウレタン系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤である、ウレタンイソシアネート系仕上げニスにおいて、前記硬化剤がNCO/OHmol比21.3未満となる量で配合されていること、
(4)前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上であり、前記エポキシイソシアネート系仕上げニスにおける前記NCO/OHmol比が1.05未満であること、
(5)前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上であり、前記ウレタンイソシアネート系仕上げニスにおける前記NCO/OHmol比が1.07未満であること、
(6)前記仕上げニス層表面の動摩擦係数が0.8未満であること、
(7)前記脱離性印刷層上に、他の印刷層が形成されていること、
(8)前記硬化性樹脂がエポキシ系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤であり、前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上且つ前記他の印刷層の塗工量が2.2g/m以上であり、前記硬化剤がNCO/OHmol比4.2未満となる量で配合されていること、
(9)前記硬化性樹脂がウレタン系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤であり、前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上且つ前記他の印刷層の塗工量が2.2g/m以上であり、前記硬化剤がNCO/OHmol比3.2未満となる量で配合されていること、
(10)前記基材フィルムの前記脱離性印刷層と反対側にシーラント層が形成されていること、
(11)前記基材フィルムが、オレフィン樹脂又はポリエステル樹脂から成る延伸フィルムであり、前記シーラント層が、積層される基材フィルムと同種の未延伸フィルム又は非晶性フィルムであること、
が好適である。
本発明の印刷フィルムは、アルカリ脱離性インキから成る印刷層(以下、「アルカリ脱離性印刷層」ということがある)の上に仕上げニス層が形成されているにもかかわらず、アルカリ処理により印刷層を容易に除去することが可能であり、優れたリサイクル性を有している。また基材フィルム及びシーラント層を同種のオレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂とすることにより、異なる樹脂の分離が不要となり、更にリサイクル性を向上できる。
また印刷フィルム表面に仕上げニス層が形成されていることにより、包装袋等にした時の取扱い性が向上し、印刷層に疵が付くことや剥離を有効に防止することができる。特に仕上げニス層表面の動摩擦係数が0.8未満であることにより、仕上げニス層の滑り性及び耐擦傷性が顕著に向上し、輸送時の振動による印刷層の剥離を有効に防止できる。更に仕上げニス層が形成されていることにより、表面光沢性に優れた印刷フィルムを提供できる。
また本発明の印刷フィルムにおいては、アルカリ脱離性印刷層と仕上げニス層の間にグラビア印刷層などの他の層を形成することにより、アルカリ脱離性印刷層への硬化剤成分の移行を抑制できることから、アルカリ処理により効率よく印刷層を脱離できると共に、仕上げニス層中の硬化剤量を多くすることが可能になり、仕上げニス層に要求される性能(印刷層の保護効果等)を向上することも可能になる。更にアルカリ脱離性印刷層の厚みを薄肉化できるという効果もある。
本発明の印刷フィルムの一例の積層構造を示す断面図である。 本発明の印刷フィルムの他の一例の積層構造を示す断面図である。 本発明の印刷フィルムの他の一例の積層構造を示す断面図である。
本発明の印刷フィルムは、図1に示すように、基材フィルム1の上に、アルカリ脱離性を有するインキから成るアルカリ脱離性印刷層2及び仕上げニス層3が少なくとも形成されて成る印刷フィルムであり、硬化性樹脂及び硬化剤から成る仕上げニス層が、印刷層の保護や、耐擦傷性や滑り性等の仕上げニス層に要求される性能を発現可能でありながら、アルカリ脱離性印刷層のアルカリ処理による除去性能を損なうことがない組成で形成されていることが重要な特徴である。
すなわち、本発明者等の研究によれば、アルカリ脱離性印刷層の上に保護層として仕上げニスを塗布すると、仕上げニス成分、特に仕上げニス中の硬化剤が、アルカリ脱離性印刷層に拡散浸透し、アルカリ脱離性インキが架橋したり、或いは浸透した仕上げニス成分がアルカリ脱離性印刷層と基材の界面付近で硬化し、その結果、アルカリ処理を行っても容易に除去できなくなっていると考えられる。そのため、本発明においては、アルカリ脱離性印刷層に影響を与えることがないと共に、仕上げニス層に要求される性能を維持可能な、仕上げニスの組成を見出した。
(仕上げニス層)
本発明の印刷フィルムを構成する仕上げニス層は、硬化性樹脂及び硬化剤から成り、硬化剤が前記硬化性樹脂100質量部に対して40質量部未満の量で配合されていることが重要であり、特に硬化性樹脂及び硬化剤の組み合わせや、アルカリ脱離性印刷層の厚み、或いは仕上げニス層とアルカリ脱離性印刷層の間に他の層の有無に応じて、後述する量で配合することが好適である。
前述した通り、硬化性樹脂に対して特定量の硬化剤を配合することにより、アルカリ脱離性印刷層への仕上げニスの成分、特に硬化剤の移行を抑制して、アルカリ脱離性印刷層を確実に脱離することが可能になる。
仕上げニス層を構成する仕上げニスは、従来仕上げニスに使用されていた硬化性樹脂を使用することができるが、特にエポキシ系樹脂又はウレタン系樹脂を使用することが好適である。
また硬化剤としては、エポキシ系樹脂又はウレタン系樹脂の硬化剤として公知のイソシアネート系硬化剤やアミノ系硬化剤等を使用することができるが、本発明においては特に、少量で優れた硬化性を発現可能であると共に、前述した性能を有する仕上げニス層を形成可能な、イソシアネート系硬化剤を使用することが好適である。
本発明においては、上記のように硬化剤量が低減された特定の仕上げニスを使用することにより、アルカリ脱離性印刷層への硬化剤の移行を抑制して、アルカリ脱離性インキが架橋してしまうことを抑制でき、上述したアルカリ脱離性印刷層のアルカリ脱離性が損なわれることがない。更に、仕上げニス層表面の動摩擦係数を0.8未満、好適には0.1~0.3の範囲に制御することが可能となり、耐摩擦性が向上し、輸送時等の振動によるインキ剥離を有効に防止できる。
エポキシ系樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を使用することができ、これに限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等を例示することができる。
ウレタン系樹脂としては、従来公知のウレタン樹脂を使用することができ、これに限定されないが、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等を例示することができる。
使用可能なイソシアネート系硬化剤としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート等の脂肪族環式イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネートメチル等の脂環族イソシアネート、これらのビューレット体、ヌレート体等の多量体および混合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用して使用することもできる。
仕上げニスとして、エポキシ系樹脂とイソシアネート系硬化剤の組み合わせであるエポキシイソシアネート系仕上げニスを使用する場合には、エポキシ系樹脂の水酸基(OH)とイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基(NCO)のモル比(NCO/OHmol比)が8.4未満となるように、イソシアネート系硬化剤を配合することが好適であり、ウレタン系樹脂とイソシアネート系硬化剤の組み合わせであるウレタンイソシアネート系仕上げニスを使用する場合には、ウレタン系樹脂の水酸基(OH)とイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基(NCO)のモル比(NCO/OHmol比)が21.3未満となるように、イソシアネート系硬化剤を配合することが好適である。
すなわち、NCO/OHmol比が上記値以上の場合には、エポキシ系樹脂又はウレタン系樹脂に対してイソシアネート系硬化剤が過剰であり、仕上げニス層の硬化に使用されなかった余剰の硬化剤がアルカリ脱離性印刷層に移行して、アルカリ脱離性印刷層の脱離を阻害するだけでなく、経済性や仕上げニス層の性能を損なうおそれがある。一方NCO/OHmol比の下限は、仕上げニス層が十分に架橋し得る必要最小限であればよく、硬化条件によっては可及的にゼロに近い値であってもよい。
また仕上げニス層に要求される性能及びアルカリ脱離性印刷層の脱離性の両方を兼ね備えるための上記NCO/OHmol比の範囲は、後述するアルカリ脱離性印刷層の塗工量(厚み)や他の印刷層の有無やその塗工量(厚み)によっても異なる。すなわち、アルカリ脱離性印刷層の厚みが厚い場合や、或いはアルカリ脱離性印刷層と仕上げニス層の間に他の層が介在する場合には、アルカリ脱離性印刷層の剥離が生じる基材とアルカリ脱離性印刷層の界面付近までの仕上げニス層からの距離が長くなり、仕上げニス中の硬化剤が上記界面付近に到達し難くなることから、アルカリ脱離性印刷層が薄い場合や他の層がない場合に比して、仕上げニス中の硬化剤量を多めに設定できる。
仕上げニスとして、エポキシ系樹脂及びイソシアネート系硬化剤を使用するエポキシイソシアネート系仕上げニスを使用する場合、上述した通り、アルカリ脱離性印刷層の塗工量は1.2g/m以上であり、前記NCO/OHmol比は8.4未満であることが好適であるが、より好適には、アルカリ脱離性印刷層の塗工量を2.6g/m以上とし、前記NCO/OHmol比を1.05未満、特に0.21以上0.525以下とすることが望ましい。これにより、後述する実施例の結果からも明らかなように、仕上げニス層として要求される性能を具備しながら、アルカリ脱離処理により確実にアルカリ脱離性印刷層を脱離することが可能となる。
また仕上げニス層とアルカリ脱離性印刷層の間に他の層、好適には後述する他の印刷層を介在させる場合には、アルカリ脱離性印刷層の塗工量を2.6g/m以上且つ他の印刷層の塗工量を2.2g/m以上とし、前記NCO/OHmol比を4.2未満、特に0.21以上3.15以下とすることが好適である。
仕上げニスとして、ウレタン系樹脂とイソシアネート系硬化剤を使用するウレタンイソシアネート系仕上げニスを使用する場合、上述した通り、アルカリ脱離性印刷層の塗工量は1.2g/m以上であり、前記NCO/OHmol比は3.2未満であることが好適であるが、より好適には、アルカリ脱離性印刷層の塗工量を2.6g/m以上とし、前記NCO/OHmol比を1.07未満、特に0.27以上0.53以下とすることが望ましい。これにより、後述する実施例の結果からも明らかなように、仕上げニス層として要求される性能を具備しながら、アルカリ脱離処理により確実にアルカリ脱離性印刷層を脱離することが可能となる。
また仕上げニス層とアルカリ脱離性印刷層の間に他の層、好適には後述する他の印刷層を介在させる場合には、アルカリ脱離性印刷層の塗工量を2.6g/m以上且つ他の印刷層の塗工量を2.2g/m以上とし、前記NCO/OHmol比を3.2未満、特に0.27以上1.6以下とすることが好適である。
仕上げニスには、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の滑剤や、仕上げニス層の透明性を損なわない範囲でアンチブロッキング剤等従来公知の添加剤を配合することができる。
本発明においては、ワックスを、硬化性樹脂100質量部当たり0.1~1.0質量部の量で含有していることが好適である。これにより、仕上げニス層表面の動摩擦係数を0.8未満、特に0.1~0.3の範囲に制御することが可能となり、仕上げニス層の滑り性及び耐擦傷性が向上する。
尚、仕上げニス層表面の動摩擦係数の値は、エポキシ系樹脂を主材とし、含有されるワックスの種類及び含有量を変更した仕上げニスを使用して、動摩擦係数が異なる表面を有する平パウチを作製して行った振動試験の結果から得られた値である。パウチサイズ(1kg容量)、段ボールサイズ、積み重ね形状(6袋のパウチを寝かせた状態で縦に3袋ずつ、2列積み重ねた)等以外は、後述する実施例と同様の試験条件で、JIS規格に従って行った。その結果、動摩擦係数が0.8以上では、1mm以上のインキ剥離が見られた。仕上げニス層の滑り性及び耐擦傷性は、仕上げニスの組成によらず仕上げニス層表面の動摩擦係数の値に依存し、前記好適範囲は本発明の仕上げニス層にも該当すると考えられる。
仕上げニスの塗工量は、0.5~2.5g/m、特に1.4~1.7g/mの範囲にあることが好適である。上記範囲よりも塗工量が少ない場合には、仕上げニス層による印刷層の保護効果を十分得ることができず、その一方上記範囲よりも塗工量が多い場合は、経済性に劣るだけでなく、上記範囲にある場合に比してアルカリ脱離性が損なわれるおそれがある。
(アルカリ脱離性印刷層)
本発明の印刷フィルムを構成するアルカリ脱離性インキは、仕上げニス層が表面に形成された状態で、アルカリ処理により基材フィルムから印刷層が脱離可能である限り、従来公知のアルカリ脱離性インキを使用することができる。
アルカリ脱離性インキのバインダー樹脂としては、これに限定されないが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、繊維素系樹脂等からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明においては、仕上げニス成分、特に硬化剤成分のアルカリ脱離インキ層への浸透が抑制されているので、これら硬化剤により影響を受けやすいウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド樹脂、繊維素系樹脂(ニトロセルロース)等を1種又は組み合わせで含有するアルカリ脱離性インキを用いた場合に効果的である。
またアルカリ脱離性インキは、上記バインダー樹脂と共に公知の有機溶剤を使用でき、これに限定されないが、例えばケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アルコール系溶剤等を挙げることができ、それらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ脱離性印刷層の厚みは、塗工量で1.2g/m以上、特に2.6g/m~6.0g/mの範囲にあることが好適である。アルカリ脱離性印刷層のアルカリ処理による脱離が阻害される原因として、アルカリ脱離性印刷層と基材フィルムの界面付近において、仕上げニス層から移行した仕上げニス成分が硬化、或いは仕上げニスの硬化剤によりアルカリ脱離性インキが架橋することにより、基材フィルムから容易に脱離できなくなると考えられるが、アルカリ脱離性印刷層の厚みが上記範囲にあり、且つ硬化剤が前記範囲のNCO/OHmol比の量で配合されていることにより、仕上げニス層からの仕上げニス成分が基材フィルムとの界面付近まで到達せず、界面付近での架橋を抑制することができる。その結果、仮に硬化剤により仕上げニス層側のアルカリ脱離性インキが架橋したとしても、基材フィルム側においては架橋されていないので、アルカリ処理によりアルカリ脱離性インキ中の樹脂の親水性が高まって膨潤し、印刷層は基材フィルム表面から容易に脱離することができる。
(他の層)
本発明の印刷フィルムにおける印刷層は、アルカリ脱離性インキを用いたアルカリ脱離性印刷層を有する限り、単層に限定されず、多層であってもよい。多層の場合には、アルカリ脱離性インキを用いた層が基材フィルム側に位置することが必要である。これにより前述した通り、アルカリ脱離性印刷層が基材フィルムとの界面から剥離するように除去されることに伴い、アルカリ脱離性インキから成る層の上に形成される印刷層も同時に除去される。
多層構成におけるアルカリ脱離性印刷層は、ロールコート等により形成されるベタ印刷層や色材を含有しない透明印刷層(メジウム層)であってもよく、このベタ印刷層や透明印刷層上に、アルカリ脱離性インキから成るグラビア印刷層や、或いはアルカリ脱離性インキでない通常のインキを用いたグラビア印刷等による絵柄層を形成することもできる。
アルカリ脱離性インキを用いた印刷は、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等の従来公知の印刷法により印刷することもできる。
基材フィルムに形成されるアルカリ脱離性印刷層と仕上げニス層の間に形成される他の印刷層の塗工量(厚み)は特に制限されないが、前述した通り、仕上げニスからの硬化剤のアルカリ脱離性印刷層への浸透を抑制する効果が得られることから、2.2g/m以上であることが好ましい。
(基材フィルム)
本発明の印刷フィルムを構成する基材フィルムとしては、フィルムを形成可能な、それ自体公知の熱可塑性樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン或いはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のランダム或いはブロック共重合体や、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル系共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α-メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、ナイロン12等のアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;ポリ乳酸等の生分解性樹脂;等から用途に応じて適宜選択して形成することができる。
本発明においては上記熱可塑性樹脂の中でも、機械的強度や印刷適性等の観点から、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂を好適に使用することができる。オレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂から成る基材フィルムを使用することにより、後述するように同種の樹脂から成るシーラント層を組み合わせることが可能となり、リサイクルに際しての異樹脂の分別を省略することが可能となる。
基材フィルムは、機械的強度の観点から、延伸フィルムであることが好適であり、特に二軸延伸フィルムであることが好適である。
基材フィルムの厚みは特に制限されず、用途に応じて、5.0~50.0μm、特に10.0~30.0μmの範囲から適宜設定して使用することができる。
また基材フィルムには、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、酸化防止剤等の従来公知の樹脂用添加剤を公知の処方に従って配合することもできる。
(層構成)
本発明の印刷フィルムは、上述した基材フィルム、アルカリ脱離性印刷層及び仕上げニス層を少なくとも有する限り、他の印刷層やシーラント層等の他の層を有することもできる。例えば、図2に示すように、基材フィルム1の上に、アルカリ脱離性インキから成る脱離性印刷層2a及びグラビア印刷による印刷層2bが形成され、このグラビア印刷層2bの上に仕上げニス層3が形成されていると共に、基材フィルム層1の脱離性印刷層2aの反対側に、シーラント層4が形成されている。
またシーラント層以外にも、例えば、ガスバリア性樹脂層、易引裂き性樹脂層、酸素吸収性樹脂層、UVバリア性樹脂層、可視光バリア性樹脂層、剛性樹脂層、耐衝撃性樹脂層、耐薬品性層、耐突刺性層、耐熱性層等の各種機能性樹脂層、或いは、リプロダクト樹脂、リサイクル樹脂やバイオマスポリエステル等の環境対応適性に優れた樹脂から成る層を備えていてもよいが、本発明においては、リサイクル性を向上するために、基材フィルムと同種の樹脂をベース樹脂とし、他の成分の使用量が低減された機能性樹脂層であることが好適である。
図2に示す態様のように、基材フィルムのアルカリ脱離性印刷層の反対側に形成されるシーラント層は、基材フィルムがオレフィン系樹脂から成る場合には、オレフィン系樹脂から成り、ポリエステル樹脂から成る場合には、ポリエステル樹脂から成ることが望ましく、ヒートシール性の観点から押出コートによる未延伸フィルムや非晶性フィルムを好適に用いることができる。
具体的には、基材フィルムとして、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂から成るフィルムを使用する場合には、シーラント層は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を基材フィルムに押出コートすることにより形成することができ、基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂から成るフィルムを使用する場合には、PETG等の非晶性ポリエステルをシーラント層として好適に使用することができる。
シーラント層の厚みは特に限定されないが、10.0~300.0μmの範囲にあることが好適である。
また上述する機能性樹脂層を備える場合には、図3に示す態様のように、基材フィルム1の一方の表面に、アルカリ脱離性印刷層2及び仕上げニス層3が形成された、基材フィルム1の他方の表面に、機能性樹脂層5が形成され、機能性樹脂層5の上にシーラント層4が形成することもできるし、図示していないが、基材フィルムとアルカリ脱離性印刷層の間に形成してもよい。
(印刷フィルムの製造)
本発明の印刷フィルムは、基材フィルム上に、アルカリ脱離性インキを用いてアルカリ脱離性印刷層を形成した後、このアルカリ脱離性印刷層上に仕上げニスを塗布することにより製造することができる。
基材フィルムに形成されたアルカリ脱離性印刷層は、一般に50.0~100.0℃の温度で0.2~10.0秒間、加熱(乾燥)することにより形成される。次いで、形成された印刷層上に仕上げニスを、ローラコート、ドクターコート、ワイヤコート、スプレー塗布等の公知の手段を用いて塗布する。前述した通り、本発明に用いる仕上げニスは硬化剤の含有量が低減されていることから、硬化剤量に応じて適宜加熱温度及び加熱時間を調整することが望ましく、これに限定されないが、エポキシ系樹脂又はウレタン系樹脂とイソシアネート系硬化剤及び/又はアミノ系硬化剤から成る仕上げニスにおいては、50.0~150.0℃の温度で0.2~10.0秒間、加熱(乾燥)することにより形成する。
また基材フィルムにシーラント層を形成する場合には、例えば、基材フィルムにシーラント層を構成する樹脂を押出コートして、基材フィルム上に直接シーラント層を積層することもできるし、或いは接着剤を用いたドライラミネートや無溶剤ラミネートにより積層することもできる。
(アルカリ処理)
本発明の印刷フィルムは、アルカリ処理を行うことにより、アルカリ脱離性印刷層が基材フィルムから剥離するため、基材フィルムのみを分離することができる。また基材フィルムにシーラント層が形成されている場合でも、基材フィルムと同種のシーラント層から成る積層フィルムであれば、これらを分離する必要がなく、リサイクル性に優れている。
アルカリ処理は、用いるアルカリ脱離性インキの処方に従って行うことができ、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水を用い、70~90℃で10~20分間の浸漬処理を行うことにより、印刷層を除去することができる。
(実験例1~5)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンから成るフィルム(厚み25μm)を使用し、この基材フィルム上に、透明のアルカリ脱離性インキを、塗工量1.2g/mで塗布し、70℃で10秒間、硬化させた。次いでこの透明印刷層の上に、表1に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を1.48g/mの塗工量で塗布し、70℃で10秒間、硬化させて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
なお、アルカリ脱離性インキとしては、ポリアミド樹脂及びニトロセルロースを含有する市販のアルカリ脱離性インキを使用した。
(実験例6~10)
アルカリ脱離性インキの塗工量を2.6g/mとした以外は、実験例1と同様にして、表2に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例11~15)
アルカリ脱離性インキの塗工量を5.1g/mとした以外は、実験例1と同様にして、表3に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例16~20)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンから成るフィルム(厚み25μm)を使用し、この基材フィルム上に、透明のアルカリ脱離性インキを、塗工量1.2g/mで塗布し、70℃で10秒間、硬化させた。次いでこの透明印刷層の上に、表4に示すNCO/OHmol比を有するウレタンイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を1.61g/mの塗工量で塗布し、70℃で10秒間、硬化させて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例21~25)
アルカリ脱離性インキの塗工量を2.6g/mとした以外は、実験例16と同様にして、表5に示すNCO/OHmol比を有するウレタンイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例26~30)
アルカリ脱離性インキの塗工量を5.1g/mとした以外は、実験例16と同様にして、表6に示すNCO/OHmol比を有するウレタンイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例31~40)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンから成るフィルム(厚み25μm)を使用し、この基材フィルム上に、透明のアルカリ脱離性インキを、塗工量2.6g/mで塗布し、70℃で10秒間、硬化させた。次いでこの透明印刷層の上に塗工量2.2g/mでグラビア印刷により印刷層を形成した。次いでこのグラビア印刷層の上に、表7に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を1.61g/mの塗工量で塗布し、70℃で10秒間、硬化させて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例41~50)
グラビア印刷層の塗工量を5.9g/mとした以外は、実験例31と同様にして、表8に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例51~60)
グラビア印刷層の塗工量を11.9g/mとした以外は、実験例31と同様にして、表9に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例61~70)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンから成るフィルム(厚み25μm)を使用し、この基材フィルム上に、透明のアルカリ脱離性インキを、塗工量1.2g/mで塗布し、70℃で10秒間、硬化させた。次いでこの透明印刷層の上に塗工量2.2g/mでグラビア印刷により印刷層を形成した。次いでこのグラビア印刷層の上に、表10に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を1.48g/mの塗工量で塗布し、70℃で10秒間、硬化させて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例71~80)
アルカリ脱離性インキの塗工量を5.1g/mとした以外は、実験例61と同様にして、表11に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例81~90)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンから成るフィルム(厚み25μm)を使用し、この基材フィルム上に、透明のアルカリ脱離性インキを、塗工量2.6g/mで塗布し、70℃で10秒間、硬化させた。次いでこの透明印刷層の上に塗工量2.2g/mでグラビア印刷により印刷層を形成した。次いでこのグラビア印刷層の上に、表12に示すNCO/OHmol比を有するウレタンイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を1.61g/mの塗工量で塗布し、70℃で10秒間、硬化させて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例91~100)
グラビア印刷層の塗工量を5.9g/mとした以外は、実験例81と同様にして、表13に示すNCO/OHmol比を有するウレタンイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例101~110)
グラビア印刷層の塗工量を11.9g/mとした以外は、実験例81と同様にして、表14に示すNCO/OHmol比を有するウレタンイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例111~120)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンから成るフィルム(厚み25μm)を使用し、この基材フィルム上に、透明のアルカリ脱離性インキを、塗工量1.2g/mで塗布し、70℃で10秒間、硬化させた。次いでこの透明印刷層の上に塗工量2.2g/mでグラビア印刷により印刷層を形成した。次いでこのグラビア印刷層の上に、表15に示すNCO/OHmol比を有するウレタンイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を1.61g/mの塗工量で塗布し、70℃で10秒間、硬化させて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例121~131)
アルカリ脱離性インキの塗工量を5.1g/mとした以外は、実験例111と同様にして、表16に示すNCO/OHmol比を有するエポキシイソシアネート系塗料組成物(仕上げニス)を用いて仕上げニス層を形成し、印刷フィルムを作成した。
(実験例132)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンから成るフィルム(厚み25μm)を使用し、この基材フィルム上に、透明のアルカリ脱離性インキを、塗工量2.6g/mで塗布し、70℃で10秒間、硬化させた。
(アルカリ脱離試験)
実験例1~131により得られた印刷フィルムからサンプル(1.0cm×1.0cm)を切り出し、85℃に加熱された0.5%NaOH水溶液中に20分間浸漬した。結果を各表に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:9割以上脱離
○:7割以上9割未満脱離
△:5割以上7割未満脱離
×:5割未満脱離
(振動試験)
実験例6、132の印刷フィルムを、内容品400mlが充填された自立式パウチの側面に貼り付け、W30cm×D23cm×H27cmの大きさの段ボールに、印刷フィルムを貼り付けた面が同一方向に向くように16個詰めて、振動試験を行った。振動試験の条件は以下のとおりである。
振動の種類:ランダム振動(垂直振動) 23 30 27
振動数範囲:2~200Hz(JISZ0232(2020)準拠)
試験時間:90分(JISZ0200レベル2条件)
実験例6の印刷フィルムを貼り付けたパウチは、インキ剥離の発生がなかったのに対し、実験例132の印刷フィルムを貼り付けたパウチでは、インキ剥離が生じ、これを詰めた段ボールの内面には、インキが付着し、底には削り落ちたインキがあった。
(動摩擦係数)
実験例6、132の印刷フィルムについて、印刷フィルム表面の動摩擦係数を測定した。実験例6の印刷フィルム表面の動摩擦係数は0.16であり、実験例132の印刷フィルム表面の動摩擦係数は0.26であった。実験例6のフィルム表面は仕上げニス層であり、動摩擦係数は好適範囲である0.8未満であるため、インキ剥離は生じなかった。一方、実験例132は、仕上げニス層がなく、アルカリ脱離性インキ層が露出しているため、フィルム表面の動摩擦係数は0.8未満であるが、インキ剥離が見られた。尚、動摩擦係数の測定は、JIS K7125に従って行った。
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本発明の印刷フィルムは、使用時には印刷層の擦傷・剥離が防止されていると共に、廃棄時にはアルカリ処理により確実に印刷層が脱離可能であることから、リサイクルが要求される包装袋等に好適に使用できる。
1 基材フィルム、2 アルカリ脱離性印刷層、3 仕上げニス層、4 シーラント層。

Claims (11)

  1. 基材フィルム上に、アルカリ脱離性を有するインキから成る脱離性印刷層及び仕上げニス層が形成されて成る印刷フィルムにおいて、
    前記仕上げニス層が、少なくとも硬化性樹脂及び硬化剤から成り、該硬化剤が前記硬化性樹脂100質量部に対して40質量部未満の量で配合されており、前記脱離性印刷層がアルカリ処理により基材フィルムから脱離可能であり、
    前記硬化性樹脂がウレタン系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤であり、該硬化剤がNCO/OHmol比21.3未満となる量で配合されることを特徴とする印刷フィルム。
  2. 基材フィルム上に、アルカリ脱離性を有するインキから成る脱離性印刷層及び仕上げニス層が形成されて成る印刷フィルムにおいて、
    前記仕上げニス層が、少なくとも硬化性樹脂及び硬化剤から成り、該硬化剤が前記硬化性樹脂100質量部に対して40質量部未満の量で配合されており、前記脱離性印刷層がアルカリ処理により基材フィルムから脱離可能であり、
    前記基材フィルムの前記脱離性印刷層と反対側にシーラント層が形成されていることを特徴とする印刷フィルム。
  3. 前記脱離性印刷層の塗工量が1.2g/m以上である請求項1又は2記載の印刷フィルム。
  4. 前記硬化性樹脂がエポキシ系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤であり、該硬化剤がNCO/OHmol比8.4未満となる量で配合される請求項記載の印刷フィルム。
  5. 前記硬化性樹脂がウレタン系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤であり、該硬化剤がNCO/OHmol比21.3未満となる量で配合される請求項記載の印刷フィルム。
  6. 前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上であり、前記NCO/OHmol比が1.05未満である請求項記載の印刷フィルム。
  7. 前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上であり、前記NCO/OHmol比が1.07未満である請求項1又は5記載の印刷フィルム。
  8. 前記仕上げニス層表面の動摩擦係数が0.8未満である請求項1又は2記載の印刷フィルム。
  9. 前記脱離性印刷層上に、他の印刷層が形成されており、前記硬化性樹脂がエポキシ系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤であり、前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上且つ前記他の印刷層の塗工量が2.2g/m以上であり、前記硬化剤がNCO/OHmol比4.2未満となる量で配合される請求項記載の印刷フィルム。
  10. 前記脱離性印刷層上に、他の印刷層が形成されており、前記硬化性樹脂がウレタン系樹脂であり、前記硬化剤がイソシアネート系硬化剤であり、前記脱離性印刷層の塗工量が2.6g/m以上且つ前記他の印刷層の塗工量が2.2g/m以上であり、前記硬化剤がNCO/OHmol比3.2未満となる量で配合される請求項1又は2記載の印刷フィルム。
  11. 前記基材フィルムが、オレフィン樹脂又はポリエステル樹脂から成る延伸フィルムであり、前記シーラント層が、積層される基材フィルムと同種の未延伸フィルム又は非晶性フィルムである請求項記載の印刷フィルム。
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