JP7467880B2 - 積層体及びプレス成形法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板、電気・電子製品に組み込まれるIC、半導体、受動部品等のディスプレー・タッチパネル関連製品部材やLED照明製品部材等において、プレス成形に利用するための各種離型材、緩衝材(以下「離型材等」という)として好適に使用できる積層体に関する。
シリコーンゴムに代表されるシリコーン樹脂は、耐熱性や電気的性質に優れていることから、離型材等の用途に使用されている。
しかしながら、シリコーンゴム単体からなるシートをそのままプレス成形の離型材等として使用しようとすると、ゴム製品であるがために変形を生じ、組みつけ寸法精度が悪くなったり、しわが生じたりして、作業性に問題があった。
そこで、上記の問題点を解消できるシリコーンゴム複合体として、特許文献1では、結晶性ポリエステル樹脂を主体とするシートあるいはフィルムの少なくとも片面に、下塗り層と下塗り層に対して親和性が高く、かつシリコーン樹脂を含有する薄膜層を順に形成し、特定の硬度を有するシリコーンエラストマー樹脂からなるシリコーンゴム層を形成し、上記シートあるいはフィルムとシリコーンゴム層が一体化してなるシリコーンゴム複合体が提案されている。この複合体は、通常、重ねて段積み保管され、プレス成形等の使用の際に上から1枚ずつ取り出され、プレス成形用の金型に設置される。
特開平11-20082号公報
しかし、特許文献1のシリコーン複合体のように、シリコーンゴム等のシリコーン樹脂とポリエステル樹脂とを積層すると、条件によっては以下の問題が発生する場合あり、作業性が不十分であることが本発明者らの検討で明らかとなった。
・段積みされたシリコーン複合体使用の際に上から取り出そうとすると、段積みされた下の複合体がくっついてしまい一度に複数枚取り出されてしまう。
・静電吸着力により積層体同士が付着しはがれ難く、取扱いにくい。
・プレス成形後金型やプレス板を開いて製品を取り出す際に、シリコーン複合体が金型・プレス板側に付着したままとなる。
本発明者等は、上記した課題を解決すべく鋭意検討したところ、ポリエステル樹脂層側の表面抵抗率を特定の範囲にすることにより、使用の際に複数枚取り出される問題や金型・プレス板への付着の問題が改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の[1]~[7]を要旨とする。
[1] ポリエステル樹脂を主成分とする層(A)とシリコーン樹脂を主成分とする厚み0.2μm以上の層(B)とを含む積層体であって、該層(A)側の表面抵抗率が1×1013Ω未満であることを特徴とする積層体。
[2] 前記層(A)側の表面抵抗率が5×1010Ω以下である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記層(A)の少なくとも一方の面に帯電防止層(a)を有するものである、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記帯電防止層が、チオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体又はチオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体(a1)を含有するものである、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記帯電防止層が、下記(a2)及び/又は(a3)を含有するものである、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
(a2):グリセリン、ポリグリセリン、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物及びポリアルキレンオキサイドの群から選ばれる1種以上の化合物
(a3):ポリウレタン樹脂
[6] プレス成形に用いる、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の積層体を用いたプレス成形法であって、前記層(B)側が成形体側となるように該積層体と該積層体の間に成形体を配置することを特徴とするプレス成形法。
本発明によれば、積層体同士が付着しにくく、取扱い性に優れた積層体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明において「主成分」とは、対象の層中に最も多く含まれている成分をさし、好ましくは対象の層中の50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%であり、特に好ましくは90質量%以上である。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
本発明における表面抵抗率とは、JIS K6911:2006(5.13)に準拠して測定される値をいう。
本発明における10点平均粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ粗さ(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)は、旧JIS B0601:1994に準拠し、接触式粗さ計で測定される値をいう。
本発明における静止摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K7125:1999に準拠して測定される値をいう。
本発明の積層体は、ポリエステル樹脂を主成分とする層(A)とシリコーン樹脂を主成分とする厚み0.2μm以上の層(B)とを含む積層体であって、該層(A)側の表面抵抗率が1×1013Ω未満である。
<層(A)>
層(A)は、ポリエステル樹脂を主成分とする層である。耐熱性や機械的強度の観点から結晶性のポリエステル樹脂であることがより好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性、フィルムのこし、平滑性、商業的入手のしやすさ等に加え、後述するシリコーンゴム層との接着性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることが特に好ましい。
層(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、核剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤や、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。また、機械的強度の観点から、層(A)は少なくとも一軸に延伸されていることが好ましい。
層(A)の層(B)が積層されていない側の表面抵抗率は1×1013Ω未満である。表面抵抗率を1×1013Ω未満とすることにより、本発明の積層体同士を重ねた際の付着が抑制され剥離性に優れた積層体が得られる。また、積層体を1枚ずつ取り出す際等の取扱い性に優れる積層体となる。また、プレス成形後金型・プレス板を開いて製品を取り出す際に、積層体が金型・プレス板側に付着する問題も改善され、生産性も向上する。さらに、成形体やプレス板・金型への接触状態を良好とし位置合わせがしやすくなる利点もある。
表面抵抗率は好ましくは1×1012Ω以下、より好ましくは1×1011Ω以下、さらに好ましくは5×1010Ω以下、特に好ましくは1×10Ω以下、最も好ましくは1×10Ω以下である。また、表面抵抗率は、本発明の積層体を用いた際の帯電を抑制する観点から1×10Ω以上であることが好ましく、1×10Ω以上であることがより好ましく、1×10Ω以上であることがさらに好ましい。
上記のような表面抵抗率を有する層(A)を得る方法としては、例えば、以下の(1)~(4)の方法を採用することが好ましい。
(1)帯電防止層(a)を、層(A)上に形成する。
(2)界面活性剤等の帯電防止剤を、層(A)に配合する。
(3)グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、金属酸化物、金属粉末、金属繊維等の導電性フィラーを、層(A)に配合する。
(4)導電性ポリマーを、層(A)に配合する。
上記(1)~(4)の方法の中でも、表面抵抗率が安定的に得られる点、より低い表面抵抗率を達成しやすい点、表面抵抗率の経時変化が起こりにくい点、帯電防止剤のブリードアウトの問題が起こりにくい点から、(1)の方法を採用することが好ましい。以下、(1)について説明する。
<帯電防止層(a)>
層(A)上に帯電防止層(a)を形成する方法としては、従来公知の塗工方式を用いることができるが、好ましくは層(A)をフィルムやシート状に形成した後に帯電防止の塗布層を設ける所謂オフラインコーティングと、層(A)をフィルムやシート状に製膜中に塗布層を設ける所謂インラインコーティングが挙げられる。好ましくはインラインコーティング、特に塗布後に延伸を行う塗布延伸法により設けられることが好ましい。
インラインコーティングは、フィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。
以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と帯電防止層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、コーティング後に延伸を行うために、薄膜で均一なコーティングとなるために帯電防止層(a)の特性が安定しやすい。また、延伸される前のポリエステルフィルム上を、まず帯電防止層(a)を構成する樹脂層で被覆し、その後フィルムと帯電防止層を同時に延伸することで、基材フィルムと帯電防止層(a)が強固に密着しやすいという利点もある。
ポリエステルフィルムの二軸延伸は、テンタークリップ等によりフィルム端部を把持しつつ横方向に延伸することで、フィルムが長手/横手方向に拘束されており、熱固定においてしわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、帯電防止層の造膜性が向上し、また帯電防止層(a)とポリエステルフィルムが強固に密着しやすい傾向となる。
塗布延伸法の場合、用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、安全上の理由から水溶液又は水分散液であることが好ましく、水を主たる媒体とすることが好ましい。なお、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
帯電防止層(a)は、層(A)のどちらかの面にあればよいが、両面に有していてもよい。特に両面に有している場合は、層(B)との接着性に優れるためより好ましい。
帯電防止層(a)は特に限定されるものではないが、好ましくは、チオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体又はチオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体(a1)を含有することが好ましい。これらの物質は、優れた導電性を示し好適である。例えば、下記一般式(1)又は(2)の化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合して得られるものが挙げられる。
Figure 0007467880000001
(一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数が1~20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基もしくは芳香族炭化水素基を表す。)
Figure 0007467880000002
(一般式(2)において、nは1~4の整数を表す。)
重合時に使用するポリ陰イオンの供給源としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等が挙げられる。かかる重合体の製造方法としては、例えば、特開平7-90060号公報に示されるような方法が採用できる。
本発明において、好ましい様態として、上記一般式(2)の化合物においてnが2であり、ポリ陰イオンの供給源としてポリスチレンスルホン酸を用いたものが挙げられる。
また、これらのポリ陰イオンの一部又は全てが中和されていてもよい。中和に用いる塩基としてはアンモニア、有機アミン類、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体としては、上記一般式(1)又は(2)の化合物に陰イオン基がドープされたものが挙げられる。
また、帯電防止層(a)は、下記(a2)及び/又は(a3)を含有するものであることも好ましい。
(a2):グリセリン、ポリグリセリン、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物及びポリアルキレンオキサイドの群から選ばれる1種以上の化合物
(a3):ポリウレタン樹脂
グリセリン、ポリグリセリン、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物及びポリアルキレンオキサイドの群から選ばれる化合物(a2)の中でも、ポリグリセリン、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物を含有することがより好ましい。
グリセリン、ポリグリセリンとは、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 0007467880000003
一般式(3)のn=1の化合物がグリセリンであり、nが2以上の化合物がポリグリセリンである。本発明においては、nは2~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。
グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物とは、一般式(3)で表されるグリセリン又はポリグリセリンのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドを付加重合した構造を有するものである。
ここで、グリセリン又はポリグリセリン骨格のヒドロキシル基ごとに付加されるアルキレンオキサイドの構造は異なっていてもよい。また、少なくとも分子中一つのヒドロキシル基に付加されていればよく、全てのヒドロキシル基にアルキレンオキサイド又はその誘導体が付加されていなくてもよい。
グリセリン又はポリグリセリンに付加されるアルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイドのアルキレン鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での均一に分散しにくくなり、帯電防止層(a)の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。中でも好ましくはエチレンオキサイドである。また、その付加数は、最終的な付加物としての質量平均分子量で200~2000になるものが好ましく、300~800のものがさらに好ましい。
ポリアルキレンオキサイドとして好ましいものは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイドのアルキレン鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での均一に分散しにくくなり、帯電防止層(a)の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。より好ましくはポリエチレンオキサイドである。質量平均分子量としては、200~2000のものが好ましい。
ポリウレタン樹脂(a3)としては特に限定はなく、ウレタン結合を分子内に有するものであればよく、水分散性又は水溶性のものが好ましい。
水分散性又は水溶性を付与させるためには、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホニル基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をポリウレタン樹脂に導入することが好ましい。これら親水性基の中でも、塗膜物性、密着性の点からカルボキシル基、スルホン酸基が好ましい。
ポリウレタン樹脂(a3)は、水酸基とイソシアネートとの反応により得られるものが好ましい。原料として用いられる水酸基としては、ポリオールが好適に用いられ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールが挙げられ、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、中でもポリエステルポリオールがより好ましく、芳香環を有するポリエステルポリオールがさらに好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)又はこれらの酸無水物と多価アルコールとの反応から得られるものが挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコール反応によって得られるポリカーボネートジオール、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(a3)を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用してもよく、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基又はアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。
アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
また、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を用いて、ウレタン骨格にカルボキシル基を導入し、後に塩基性化合物で中和してウレタンを親水化する手法も好ましく用いられる。
帯電防止層(a)は、塗布性を改良するために界面活性剤(a4)を含有していてもよい。界面活性剤(a4)としては、特にその構造中に(ポリ)アルキレンオキサイドや(ポリ)グリセリン、これらの誘導体を含むものを使用すると、得られる帯電防止層(a)の帯電防止性を阻害せずより好ましい。
本発明における帯電防止層(a)を形成するための塗布液には、必要に応じて、架橋反応性化合物を含んでいてもよい。架橋反応性化合物は主に、他の樹脂や化合物に含まれる官能基との架橋反応や自己架橋によって、帯電防止層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができる。
架橋反応性化合物としては、メラミン系、ベンゾグアナミン系、尿素系等のアミノ樹脂や、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系、グリオキサール系等が好適に用いられる。他のポリマー骨格に反応性基を持たせた、ポリマー型架橋反応性化合物も含まれる。
さらに必要に応じて、ポリウレタン樹脂(a3)以外のバインダー樹脂を併用することもできる。バインダー樹脂としては、例えば、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリエステル等が挙げられる。これらの樹脂を含有することで、得られる帯電防止層の強度や層(A)への密着性が向上しやすい傾向となる。
帯電防止層(a)は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、離型剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。また、これら添加剤としては、その構造中に、(ポリ)アルキレンオキサイドや(ポリ)グリセリン、これらの誘導体を含むものを使用すると、得られる帯電防止層(a)の帯電防止性を阻害せずより好ましい。
中でも、帯電防止層(a)は、ブロッキング、滑り性改良を目的として有機粒子、無機粒子等の粒子を含有することが好ましい。粒子の平均粒径(D50)は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。また、滑り性をより効果的に向上させる観点から、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上である。粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等が挙げられ、シリカが好ましい。
帯電防止層(a)中の化合物(a1)の含有量は、0.5~15mg/mであることが好ましく、1~9mg/mであることがより好ましく、2~5mg/mであることがさらに好ましい。化合物(a1)を0.5mg/m以上とすることにより、帯電防止性が十分となり、積層体同士の付着が抑制されやすい。また、15mg/m以下とすることにより、低コストで着色しにくい傾向となる。
帯電防止層(a)を形成する塗布液中の不揮発成分に対する化合物(a1)の含有量は、1~80質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましく、3~15質量%であることがさらに好ましく、4~15質量%であることが特に好ましい。化合物(a1)の含有量を1質量%以上とすることにより、帯電防止層(a)の強度、層(A)との密着性、帯電防止性能が十分となる傾向となる。一方、含有量を80質量%以下とすることにより、得られる積層体の外観の悪化や積層体製造時のブロッキングが起こりにくく好ましい。
化合物(a2)を含む場合、塗布液中の不揮発成分に対する化合物(a2)含有量は、帯電防止性能と外観の点から、1~90質量%であることが好ましく、10~80質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることがさらに好ましく、30~55質量%であることが特に好ましい。
化合物(a3)を含む場合、塗布液中の不揮発成分に対する化合物(a3)の含有量は、帯電防止性能、強度、耐水性の点から、2~90質量%であることが好ましく、10~80質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることがさらに好ましく、35~60質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤(a4)を含む場合、塗布液中の不揮発成分に対する界面活性剤(a4)含有量は、帯電防止性能、塗工性の点から、0.1~20質量%であることが好ましく、0.2~15質量%であることがより好ましく、0.5~10質量%であることがさらに好ましく、1~5質量%であることが特に好ましい。
なお、上記した塗布液中の不揮発成分に対する(a1)~(a4)の含有割合は、帯電防止層(a)中の含有割合とも同義として扱うことができる。
帯電防止層(a)の厚みは、最終的に得られる積層体上の帯電防止層の厚みとして、0.003~1μmであることが好ましく、0.005~0.5μmであることがより好ましく、0.01~0.1μmであることがさらに好ましい。厚みを0.003μm以上とすることにより、良好な帯電防止性能が得られやすく、1μm以下とすることにより、外観の悪化や積層体製造時のブロッキングの問題が発生しにくく好ましい。
<層(A)の表面粗さ>
また、本発明においては、層(A)の表面が特定の粗さを有するものであってもよく、表面の粗さは、以下の(i)、(ii)のいずれか又は両方の要件を満たすことが好ましい。
(i)10点平均粗さ(Rz)が0.3μm以上である
(ii)算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上である
なお、層(A)の少なくとも一方の面に帯電防止層(a)を有する場合は、該帯電防止層(a)の表面の粗さをいう。
Rzは、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましく、2μm以上であることが特に好ましく、2.5μm以上であることがとりわけ好ましく、3μm以上であることが最も好ましい。Rzが0.3μm以上であると、本発明の積層体同士を重ねた際、凸部が点接触することにより、積層体同士の付着が抑制され、剥離性に優れた積層体が得られやすい。また、積層体を1枚ずつ取り出す際等の取扱い性に優れる積層体となりやすい。また、プレス成形後金型・プレス板を開いて製品を取り出す際に、積層体が金型・プレス板側に付着する問題も改善され、生産性も向上する傾向となる。さらに、成形体やプレス板・金型への接触状態を良好とし、プレス成形品上での位置合わせがしやすくなる利点もある。
また、Rzは10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましく、5.5μm以下であることが特に好ましい。Rzが10μm以下であると、成形体やプレス板・金型に配置する際のハンドリング性が良好となりやすく、また、プレス成形体の寸法安定性が良好となる傾向にあり好ましい。
上記と同様の理由で、層(A)の算術平均粗さ(Ra)は、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.4μm以上であることがさらに好ましく、0.5μm以上であることが特に好ましく、0.6μm以上であることが最も好ましい。また、Raは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましく、1.5μm以下であることが特に好ましい。
さらに、上記と同様の理由で、層(A)の最大高さ粗さ(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)は、以下の範囲であることが好ましい。
Ryは、0.3μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましく、3μm以上であることが特に好ましく、4μm以上であることが最も好ましい。また、Ryは10μm以下であることが好ましく、9μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましく、7μm以下であることが特に好ましく、6.5μm以下であることが最も好ましい。
Smは、90μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、70μm以下であることがさらに好ましく、65μm以下であることが特に好ましく、60μm以下であることが最も好ましい。また、Smは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。
上記のような表面粗さを有する層(A)を得る方法としては、例えば、サンドブラスト処理、ショットブラスト処理、エッチング処理、彫刻処理、エンボスロール転写、エンボスベルト転写、エンボスフィルム転写、表面結晶化等種々の方法を用いることができる。特に、有機溶剤を用いず環境にやさしい加工方法であり、また、ロールフィルムを送り出しながら連続的に均一に表面凹凸を形成可能である等の点から、サンドブラスト処理による方法が好ましい。
サンドブラスト処理においては、サンドブラスト粒子の粒径やブラスト圧力等を調整することによって、所望の表面粗さを有する層(A)を得ることができる。
また、層(A)に帯電防止層(a)を設け、さらに上記所望の表面粗さを付与する場合は、帯電防止層(a)を設ける工程、サンドブラスト処理等の表面粗さを付与する工程、どちらを先に行ってもよいが、均一な粗さと帯電防止層(a)確保の点から、先に表面粗さを付与する工程を行った後、次に帯電防止層(a)を設ける工程を行うことが好ましい。
層(A)の厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。層(A)の厚みが10μm以上であると、層(A)の表面に後述の層(B)等の他の層を積層させる際、しわ等が発生しにくくなり好ましい。一方、厚みは350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。層(A)の厚みが350μm以下であると、得られる積層体が硬すぎることなく、後述する薄膜層等を塗工しやすくなるため好ましい。
<層(B)>
層(B)は、シリコーン樹脂を主成分とするものである。耐熱性、柔軟性等の点から、シリコーン樹脂、特に下記一般式(4)で示されるシロキサン骨格を有するシリコーンエラストマー樹脂が好ましく、これを硬化して層(B)とすることがより好ましい。下記一般式(4)において、式中のRの全てがメチル基であるポリジメチルシロキサンの他に、メチル基の一部が他のアルキル基、ビニル基、フェニル基、フルオロアルキル基等の1種又は2種以上で置換された各種ポリジメチルシロキサンを適宜選択することもできる。
Figure 0007467880000004
また、シリコーンエラストマー樹脂は、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンを主成分とするシリコーンエラストマー樹脂であることも、圧縮永久歪みの調整の観点から好ましい。ビニル基を含有する場合は、ポリジメチルシロキサン全量に対するビニル基の含有量は、0.05~5モル%であることが好ましく、0.5~4モル%であることがより好ましく、1~3モル%であることがさらに好ましい。ビニル基の含有量が0.05モル%であれば、シリコーンエラストマー樹脂の架橋密度を調整しやすくなり、所望の圧縮永久歪みを有するシリコーンエラストマー樹脂を得ることができる。一方、5モル%以下であれば、シリコーンエラストマー樹脂が過度に硬化することがないため好ましい。
シリコーンエラストマー樹脂を硬化する手段としては、硬化触媒を添加する方法、高温加熱する方法、架橋剤を添加する方法、そして放射線照射による架橋方法等が挙げられる。
なかでも、シリコーンエラストマー樹脂は、放射線により硬化させることが好ましい。放射線による硬化は、触媒や架橋剤の残渣等による耐熱、耐光信頼性を損なう懸念がない。また、硬化時に熱が加わらないため、熱劣化の懸念もなく好ましい。
放射線としては、例えば電子線、X線、γ線等が挙げられる。これらの放射線は工業的にも広く利用されているものであり、容易に利用可能であり、エネルギー効率の良い方法である。これらの中でも、吸収損失がほとんどなく、透過性が高いという観点から、γ線を利用することが好ましい。
γ線の照射線量としては、樹脂種や架橋基の量、そして線源の種類により、適宜選択して決定することができる。例えば、γ線の照射線量は、20~150kGyであることが好ましい。照射線量が20kGy以上であれば、シリコーンゴム層を十分に硬化させることができ、結果として所望の硬さのシリコーンゴム層を得ることができる。一方、照射線量が150kGy以下でれば、分解反応による低分子量成分の増加を抑制できる。かかる観点から、照射線量は50~120kGyであることがより好ましく、60~100kGyであることがさらに好ましい。
このように硬化させて得られる層(B)の硬さは、JIS K6253-3:2012に基づいて測定されるタイプAデュロメータ硬さで3以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。一方、90以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、70以下であることがさらに好ましい。硬さが3以上であることにより、層(B)の表面タック性が抑制され、得られる積層体の取扱い性が向上しやすい傾向となる。一方、硬さが90以下であれば、プレス成形時等の成形体への追従性、密着性が向上しやすい。
層(B)のタイプAデュロメータ硬さを調整する方法としては、例えば、前記した放射線の照射量を調整する方法、シリコーンゴムに補強材として配合するシリカ等のフィラーの充填量を調整する方法、原料のシリコーンエラストマー樹脂の種類を適宜選択する方法、具体的には、フェニル基を有する樹脂を採用しフェニル基の含有量を調整する方法等が好ましく挙げられるが、放射線照射量を調整する方法が簡便でより好ましい。
さらに、上記シリコーンエラストマー樹脂は、フュームドシリカ、沈殿シリカ、ケイソウ土、石英粉等の補強性充填剤や各種加工助剤、耐熱性向上剤等の他、エラストマーとしての機能性を持たせる各種添加剤を含有していてもよい。この機能性添加剤としては、難燃性付与剤、放熱性フィラー、導電性フィラー等が挙げられる。
このようなシリコーンエラストマー樹脂として、市販品を使用することもできる。市販品としては、信越化学工業社製ミラブル型シリコーンコンパウンドやモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製ミラブル型シリコーンゴムを使用することができる。
層(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、核剤、滑剤、顔料、染料等の添加剤や、シリコーン樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。
<層(B)の表面粗さ>
層(B)表面の粗さは、以下の(iii)、(iv)のいずれか又は両方の要件を満たすことが好ましい。
(iii)10点平均粗さ(Rz)が0.3μm以上である
(iv)算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上である
Rzは、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましく、2μm以上であることが特に好ましく、3μm以上であることが最も好ましい。Rzが0.3μm以上であると、本発明の積層体同士を重ねた際、凸部が点接触することにより、積層体同士の付着が抑制されやすく、取扱い性に優れる傾向となるため好ましい。また、成形体やプレス板・金型への接触状態を良好とし位置合わせがしやすくなるとともに、成形体の生産性や寸法安定性が向上しやすい傾向となり好ましい。特に、プレス成形する際に、積層体と成形体との滑り性が十分に確保され位置合わせがしやすくなる点が好ましい。また、Rzは10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、7μm以下であることがさらに好ましく、6μm以下であることが特に好ましい。Rzが10μm以下であると、成形体やプレス板・金型に配置する際のハンドリング性が良好であり、プレス成形体の寸法安定性が良好となる傾向にあり好ましい。
同様の理由で、層(B)の算術平均粗さ(Ra)、最大高さ粗さ(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)は、以下の範囲であることが好ましい。
Raは、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましく、0.4μm以上であることが特に好ましく、0.5μm以上であることが最も好ましい。また、Raは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましく、1.5μm以下であることが特に好ましい。
Ryは、0.4μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましく、3μm以上であることが特に好ましく、3.5μm以上であることが最も好ましい。また、Ryは10μm以下であることが好ましく、9μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましく、7μm以下であることが特に好ましい。
Smは、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく55μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。また、Smは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。
上記のような表面粗さを有する層(B)を得る方法としては、例えば、サンドブラスト処理、ショットブラスト処理、エッチング処理、彫刻処理、エンボスロール転写、エンボスベルト転写、エンボスフィルム転写、表面結晶化等種々の方法を用いることができる。特に、積層体を外力や汚染から保護し、搬送、巻き取り、貯蔵さらには積層体使用時のハンドリング性を改良できる点から、カバーシートを用いたエンボスフィルム転写による方法が好ましい
カバーシートは、エンボスフィルムであることが好ましく、層(B)にカバーシートを転写させることによって、所望の表面粗さの層(B)を得ることができる。
好ましいカバーシートとしては、それ自体が非粘着性(シートどうしが粘着しない)で強度が高いものが好ましく用いられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルム、あるいはアルミ箔、銅箔等の金属箔が好適である。剥離性を向上させる目的で、表面にフッ素等の離型層を設けることも可能である。
さらに、層(B)に所望の表面粗さを転写するための凹凸を有していることが重要である。カバーシートの表面凹凸を形成させる方法としては、従来知られているブラスト法やケミカル法を用いることができる。
カバーシートの厚さは、その材質、使用目的等に応じて適宜決定され、例えば、PETフィルム等のプラスチックフィルムであれば5~500μm程度、アルミ箔、銅箔等の金属箔であれば5~100μm程度であることが好ましい。
なお、シリコーンエラストマー樹脂を架橋して層(B)を形成する場合、例えば、層(A)/架橋前のシリコーンエラストマー樹脂層(B)/カバーシート順に積層し、この積層に放射線を照射して架橋硬化させることが、架橋前の層(B)の形状を固定・保持する点、生産性の点から好ましい。
層(B)の厚みは0.2μm以上であり、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることが特に好ましく、60μm以上であることがとりわけ好ましく、70μm以上であることが最も好ましい。層(B)の厚みが0.2μm以上であると、積層体としてのゴム弾性の性質を得やすくなり、プレス成形等の際のクッション性や追従性が良好となりやすい。一方、厚みは、用途、コスト及び成形品の厚み精度の点から好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは750μm以下であり、さらに好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下である。なお、本発明において厚みとは、任意の10点の厚みを測定したときの平均厚みをいう。
本発明においては、層(A)と層(B)との間、層(A)が帯電防止層(a)を有する場合は帯電防止層(a)と反対側の面と層(B)との間に薄膜層を設けることが、両者の密着性・接着性を向上させる点から好ましい。また驚くべきことに、層(A)と層(B)との間に帯電防止層(a)が存在すると、具体的には、層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)又は帯電防止層(a)/層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)の構成とすることで、層(A)と層(B)との接着性・密着性がより良好となることが明らかとなった。
<薄膜層>
薄膜層に使用する塗布剤は限定されないが、硬化型シリコーン樹脂を含有することが好ましい。具体的には、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーン樹脂等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂としては、具体例を挙げると、信越シリコーン社製KS-774、KS-775、KS-778,KS-779,KS-847H、KS-856、X-62-2422、X-62-2461等が挙げられる。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶剤型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。これらの中でも、硬化過程において、ビニル基とケイ素-水素結合を有する基の付加反応を用いる付加型シリコーンが、移行性や低温硬化性等優れた特性を有するため好ましい。
付加型シリコーンにおいて、その架橋反応に関与するシロキサンのSi-H 基とビニル基との含有比(Si-H/Vi比)は、1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましい。一方、この比は10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
硬化型シリコーン樹脂は架橋剤を含有することが好ましく、架橋剤としては、ポリハイドロジェンシロキサン化合物等を好ましく用いることができる。例えば、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン-ポリメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
薄膜層に使用する塗布剤の形態は特に規定されない。高粘度のシリコーンを溶剤に希釈して塗工するいわゆる溶剤型、低粘度のシリコーンをそのまま塗工する無溶剤型、水系の液に微分散させた水系分散型が挙げられる。
これらの中で、塗工外観の点から、塗布剤の形態は溶剤型が好ましく用いられる。
溶剤型で用いられる希釈溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エタノール、2 - プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類が挙げられ、溶解性、塗工性や沸点等を考慮して単独または複数混合して使用する。
薄膜層に使用する塗布剤の粘度は特に限定されず、使用形態および塗工設備に応じて選択される。溶剤型においては、30質量%トルエン溶液とした時の粘度で、好ましくは1000~100000mPa・s、より好ましくは1000~20000mPa・sであることが、塗工性等の点から好ましい。
また、薄膜層の特性を調整するために、塗布剤に反応調整剤、密着強化剤、剥離調整剤等の助剤を添加してもよい。
薄膜層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
薄膜層の塗布量は、均一な塗布とブロッキング抑制の点から、薄膜層形成後の乾燥被膜として、0.01~1g/mであることが好ましい。薄膜層の塗布量は、塗布剤の質量濃度と塗布面積、塗布剤の使用量から計算できる。
なお、薄膜層の厚みを透過型電子顕微鏡で断面から確認し、比重で割ることで塗布量を求めることもできる。
本発明において、薄膜層の硬化処理におけるエネルギー源は特に限定されず、熱処理、紫外線照射、電子線照射が挙げられる。これら単独、あるいは組み合わせて用いることができるが、熱処理単独、熱と紫外線の併用処理が好ましく用いられる。
<摩擦係数>
本発明の積層体は、その表面に所望の表面粗さを付与されている場合、前記層(A)と前記層(B)との静止摩擦係数が1.4以下であることが、積層体同士の剥離性、位置合わせ等のハンドリング性の点から好ましい。静止摩擦係数は1.3以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましく、1.1以下であることが特に好ましく、1以下であることが最も好ましい。静止摩擦係数は、積層体の運搬時や位置合わせ等のハンドリング性の点から0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の積層体は、その表面に所望の表面粗さを付与されている場合、前記層(A)と前記層(B)との動摩擦係数が1.3以下であることが、積層体同士の剥離性、位置合わせ等のハンドリング性の点から好ましい。動摩擦係数は1.15以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましく、0.9以下であることが特に好ましく、0.8以下であることが最も好ましい。動摩擦係数は、積層体の運搬時や位置合わせ等のハンドリング性の点から0.2以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましい。
<積層構成>
本発明の積層体の層構成は、最終用途に応じて、層(A)/層(B)の2層構成や、層(A)と層(B)との間に、その他の樹脂層、例えば、前記した帯電防止層(a)や薄膜層を適宜備えていることが好ましい。また、目的の用途に応じて、層(B)の層(A)との反対側の面に他の層が積層されていてもよい。
<製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、層(A)を作製し、これとは別に層(B)を作製し、これらを積層してもよく、層(A)を作製し、この層(A)上に層(B)を作製すると共に積層一体化してもよく、逆に層(B)を作製し、この層(B)上に層(A)を作製すると共に積層一体化してもよく、層(A)と層(B)を作製しつつこれらを積層一体化してもよい。
層(A)、層(B)を作製する工程としては、原料樹脂を溶融混練して、単軸又は二軸押出機により押出す方法が挙げられる。
層(A)と層(B)は、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等により積層することができる。具体的には、フィードブロック方式又はマルチマニホールド方式等によりブロック層(A)と層(B)を同時に混練・共押出して積層一体化してもよいし、層(A)と層(B)の作製をそれぞれ別々に行い層(A)と層(B)とを得た後、それらをラミネートして積層する方法であってもよい。
共押出の場合、層(A)と層(B)とを、複数台の押出機を用いてフィードブロックやマルチマニホールドダイを通じ樹脂を合流させ、積層体を作製することができる。
押出ラミネートの場合、シリコーン樹脂を単軸或いは二軸押出機を用いてTダイ、Iダイ等から押出を行った後、ロール法、テンター法、チューブラー法等を用いて層(B)となる単層体を得る。続いて、ポリエステル樹脂を、単軸或いは二軸押出機を用いてTダイ、Iダイ等から押出す際、キャスティングと同時に前記層(A)をラミネートすることで本発明の積層体を得ることができる。
熱ラミネート、ドライラミネートの場合、シリコーン樹脂を、単軸或いは二軸押出機を用いてTダイ、Iダイ等から押出し、層(B)となる単層体を得る。また、同様の方法を用いてポリエステル樹脂からなる層(A)を作製する。続いて、層(A)及び層(B)を、加熱下又は層間に接着層等を配置することでラミネートを行い、本発明の積層体を得ることができる。
具体的な製造方法としては、層(A)の少なくとも片面に薄膜層を設け、該層(A)と層(B)を例えば熱ラミネートし、得られた積層体をγ線照射により硬化させることが好ましい。
まず、層(A)の少なくとも片面に、薄膜層としての塗工液を塗布し、次いで乾燥、さらに必要に応じて熱架橋させることにより、薄膜層を形成させる。塗布方法としては、塗工液に適した公知の方法が適用でき、別工程で製膜されたプラスチックシートあるいはフィルムに塗布してもよいし、該プラスチックシートあるいはフィルムの未延伸シートに直接塗工液を塗布した後に延伸して、下塗り層を形成させたものであってもよい。また、塗工液のレベリング性や密着性を上げる目的で塗工面にあらかじめコロナ処理等の表面処理を施すこともできる。
次に、シリコーン樹脂、例えば、シリコーンエラストマー樹脂からなる層(B)を、次の方法により形成する。まず、薄膜層の上に未架橋状態でシリコーンエラストマー樹脂からなる層(B)を積層する。積層方法としては、上記未架橋シリコーンエラストマー樹脂を押出成形、射出成形、カレンダー成形、プレス成形等によって、シート状に成形した後に薄膜層の上に積層・熱融着してもよく、また公知のコーティング方法によって、薄膜層の上に直接製膜するという方法であってもよい。
次いで、放射線により硬化させ、本発明の積層体を得ることができる。放射線としては、γ線、電子線、X線等が好適に使用できる。
上記のように、本発明においては、層(B)、好ましくはシリコーンエラストマー樹脂層(B)をγ線照射により硬化させることが好ましい。γ線の照射線量は、シリコーンエラストマー樹脂層(B)において所望の圧縮永久歪みを得る観点から、20~150kGyで照射することが好ましく、50~120kGyで照射することがより好ましく、60~100kGyで照射することがさらに好ましい。
また、この照射線量の選定には、シリコーンゴムの架橋密度の他、基材として使用するプラスチックフィルムの耐放射線性も考慮に入れる必要がある。この点、層(A)がポリエステル樹脂からなるものである場合は、一般に放射線に対する耐性に優れ、本発明の目的に極めて適合した基材である。
本発明の積層体は、前記したように、積層体同士が付着しにくく、1枚ずつ取り出して使用する際に複数枚取り出されることがなく、また、積層体同士が付着しはがれ難いといった問題も発生することがないため、プレス成形時等の作業性・取扱い性に優れている。また、プレス成形後金型やプレス板を開いて製品を取り出す際に、シリコーン複合体が金型・プレス板側に付着したままとなるといった問題も発生しにくいため、金型やプレス板を使用したプレス成形に好適に用いることができる。
具体的には、層(B)側が成形体側となるように積層体と積層体の間に成形体を配置して成形を行うプレス成形法が好適に使用できる。
本発明の積層体は、プレス成形時の離型材として優れた特性を有しているので、例えば、電気・電子製品に組み込まれるIC、半導体、受動部品等のディスプレー・タッチパネル関連製品部材やLED照明製品部材等の成形体の製造に好適に用いることができる。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。得られた積層体表面の表面抵抗率及び積層体の重ね取り試験は、下記方法で行った。
<評価方法>
表面抵抗率:
下記記載の方法で得られた積層体から試験片を切り出し、試験箱レジスティビティ・チェンバー R12702A/Bに入れ、デジタル超高抵抗/微小電流計 R8340/8340A(ともに、エーディーシー社製)を用いて、電圧500V、温度23℃、湿度50%の条件で、JIS K6911:2006(5.13)に準拠し表面抵抗率を測定した。
タイプAデュロメータ硬さ:
下記記載のシリコーンエラストマー樹脂を、2枚の二軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル(株)製T-100)ではさみ、200℃のプレス成形により厚み10mmのシリコーンエラストマーのシートを作成した。得られたシートに吸収線量が50kGyとなるようにγ線を照射して、評価用サンプルを得た。JIS K 6253-3:2012に基づき、タイプAデュロメータ(高分子計器社製)を用い、得られた評価用サンプルのタイプAデュロメータ硬さを測定した。
表面粗さ:
下記記載の方法で得られた積層体の表面粗さを、サーフコーダET4000A(小坂研究所社製)で測定した。なお、層(A)に帯電防止層(a)が設けられている場合は、該帯電防止層(A)の表面粗さを測定した。なお、表1中、Smが「-」は、測定値が200μmを超えることを意味する。
重ね取り試験:
下記記載の方法で得られた積層体から10cm×10cmの試験片を切り出し、これを10枚重ねた。30分後、10枚重ねられた1番上の積層体の四隅のうちの1つを手でつまんで持ち上げて評価した。持ち上げた積層体のみ取り出された場合を「○」、下の積層体も付着し複数枚持ち上がり取り出された場合を「×」として評価した。
<帯電防止PETフィルムの製造>
まず、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み75μm)の表面に、帯電防止層(a)として下記記載の塗布液を塗布・乾燥させ、塗布量が0.03g/mの帯電防止層(a)を有する帯電防止PETフィルムを得た。なお、帯電防止層(a)は、フィルムの両面に設けた。
(帯電防止塗布液組成)
以下の(a1)~(a4)の成分を、固形分質量比で(a1)/(a2)/(a3)/(a4)=10/70/15/5含む組成物。
(a1)ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる導電剤(日本アグフアマテリアルズ社製 Orgacon ICP1010)を濃アンモニア水で中和してpH=9としたもの物
(a2)前記一般式(3)でn=4であるポリグリセリン
(a3)テレフタル酸282質量部、イソフタル酸282質量部、エチレングリコール62質量部及びネオペンチルグリコール250質量部を成分とするポリエステルポリオールを(a3-1)としたとき、(a3-1)876質量部、トリレンジイソシアネート244質量部、エチレングリコール81質量部及びジメチロールプロピオン酸67質量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して水分散させた物(濃度20%、25℃での粘度50mPa・s)
(a4)下記式(5)に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤
Figure 0007467880000005
次に、このフィルムの一方の帯電防止層(a)の面に、下記記載の薄膜層の塗布剤を、乾燥後の塗布量が0.1g/mとなるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、150℃、30秒間乾燥、熱処理することにより、フィルムの一方の面に帯電防止層、反対面に帯電防止層と薄膜層をこの順に積層した帯電防止PETフィルムを準備した。
(薄膜層組成)
硬化型シリコーン樹脂(LTC303E:東レ・ダウコーニング社製) 100質量部
硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:2)1500質量部
<積層体の製造>
実施例1:
シリコーン樹脂層(B)の原料として、ミラブル型シリコーンエラストマー樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSE2571-5U)を使用し、径100mmの2本カレンダに沿って供給された上記帯電防止PETフィルムの薄膜層上と、カバーシートとしてケミカル処理を施した二軸延伸PETフィルム(Ra=0.95μm)との間に上記シリコーンエラストマー樹脂を供給し、ロール温度80℃の条件でロールにバンクを形成させ、帯電防止PETフィルムとシリコーン樹脂層との積層体を作製した。得られた積層体に、吸収線量が50kGyとなるようにγ線を照射し、シリコーンエラストマーを架橋させることにより帯電防止PETフィルムとシリコーン樹脂層とが一体化された積層体(帯電防止層(a)/層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)/カバーシート)を得た。層(B)の厚みは100μm、タイプAデュロメータ硬さは55であった。
この積層体からカバーシートを剥離し、評価用の帯電防止層(a)/層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)の積層体とした。
得られた積層体について、上記方法で評価した結果を表1に示す。
比較例1:
実施例1において、PETフィルムに帯電防止層(a)を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体について、上記方法で評価した結果を表1に示す。
比較例2:
実施例1において、PETフィルムに帯電防止層(a)を設けず、シリコーン樹脂層(B)の原料としてミラブル型シリコーンエラストマー樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 Silplus30AS/Silplus70AS=50/50質量%)を使用した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体について、上記方法で評価した結果を表1に示す。
Figure 0007467880000006
層(A)側の表面抵抗率が低い実施例1では、重ね取り試験において良好な結果が得られた。
一方、層(A)側の表面抵抗率が高い比較例1、2では、重ね取り試験において積層体が複数枚取り出されるという結果となった。
上記結果をふまえると、さらに次のような実施形態の場合も、上記実施例と同様の効果を得ることができると考えられる。
(例1)
実施例1において、ミラブル型シリコーンエラストマー樹脂として、信越シリコーン社製 KE-581-U(タイプAデュロメータ硬さ80)を用いる以外は実施例1と同様の方法で製造される積層体。
(例2)
実施例1において、ミラブル型シリコーンエラストマー樹脂として、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSE2913-U(タイプAデュロメータ硬さ20)を用いる以外は実施例1と同様の方法で製造される積層体。
(例3)
実施例1において、帯電防止層(a)を設ける前の二軸延伸PETフィルムの一方の面にサンドブラスト処理を施し所望の表面粗さとした後に、実施例1と同様の方法で帯電防止層(a)をPETフィルムの両面に設けた帯電防止PETフィルムを製造し、実施例1と同様の方法で積層体(帯電防止層(a)/サンドブラスト処理された層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)/カバーシート)とする。この積層体からカバーシートを剥離し、帯電防止層(a)/サンドブラスト処理された層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)の評価用積層体とする。この積層体は、層(A)及び層(B)の表面に所望の表面粗さが付与されており、層(A)は帯電防止層(a)も有するものとなる。
(例4)
例3において、ミラブル型シリコーンエラストマー樹脂として、信越シリコーン社製 KE-581-U(タイプAデュロメータ硬さ80)を用いる以外は例3と同様の方法で製造される積層体。
(例5)
例3において、ミラブル型シリコーンエラストマー樹脂として、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 TSE2913-U(タイプAデュロメータ硬さ20)を用いる以外は例3と同様の方法で製造される積層体。

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂を主成分とする層(A)とシリコーン樹脂を主成分とする厚み0.2μm以上の層(B)とを含む積層体であって、層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)の積層構成部分を有し、該層(A)側の表面抵抗率が1×1013Ω未満であることを特徴とする積層体。
  2. 前記層(A)側の表面抵抗率が5×1010Ω以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記積層構成部分は、帯電防止層(a)/層(A)/帯電防止層(a)/薄膜層/層(B)の積層構成である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記帯電防止層が、チオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体又はチオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体(a1)を含有するものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記帯電防止層が、下記(a2)及び/又は(a3)を含有するものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
    (a2):グリセリン、ポリグリセリン、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物及びポリアルキレンオキサイドの群から選ばれる1種以上の化合物
    (a3):ポリウレタン樹脂
  6. プレス成形に用いる、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体を用いたプレス成形法であって、前記層(B)側が成形体側となるように該積層体と該積層体の間に成形体を配置することを特徴とするプレス成形法。
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