以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像診断装置及び撮影計画装置を説明する。
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。X線コンピュータ断層撮影装置1は、X線管11から被検体Pに対してX線を照射し、照射されたX線をX線検出器12で検出する。X線コンピュータ断層撮影装置1は、X線検出器12からの出力に基づいて被検体Pに関するCT画像を生成する。
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10、寝台30及びコンソール40を有する。架台10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。コンソール40は、架台10を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30はCT検査室に設置され、コンソール40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は互いに通信可能に有線または無線で接続されている。なお、コンソール40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール40は、架台10及び寝台30とともに同一の部屋に設置されてもよい。また、コンソール40が架台10に組み込まれても良い。
図1に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18を有する。
X線管11は、X線を被検体Pに照射する。具体的には、X線管11は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極と、陰極と陽極とを保持する真空管とを含む。X線管11は、高圧ケーブルを介してX線高電圧装置14に接続されている。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置14により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突することによりX線が発生される。
X線検出器12は、X線管11から照射され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をDAS18に出力する。X線検出器12は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向)に複数配列された構造を有する。X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオードが用いられる。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持する。回転フレーム13は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。制御装置15により回転フレーム13が回転軸Z回りに回転することによりX線管11とX線検出器12とを回転軸Z回りに回転させる。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV)が設定される。
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ方向、Z方向に直交し床面に対し水平である方向をX方向、Z方向に直交し床面に対し垂直である方向をY方向と定義する。
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置とX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管11に印加する高電圧とX線管11に供給フィラメント電流とを制御する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
ウェッジ16は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジ16としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)等のアルミニウム等の金属板が用いられる。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。
DAS18は、X線検出器12により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器12から読み出し、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データと呼ばれる。DAS18は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載した特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)により実現される。投影データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール40に伝送される。
制御装置15は、コンソール40の処理回路44による撮像制御機能441に従いX線CT撮影を実行するためにX線高電圧装置14及びDAS18を制御する。制御装置15は、架台10に設けられた、図示しない外部投光器及び内部投光器等の患者位置決め用の投光器を制御する。制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動装置とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPU等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。
寝台30は、基台31、支持フレーム32、天板33及び寝台駆動装置34を備える。基台31は、床面に設置される。基台31は、支持フレーム32を、床面に対して垂直方向(Y方向)に移動可能に支持する構造体である。支持フレーム32は、基台31の上部に設けられるフレームである。支持フレーム32は、天板33を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板33は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板である。
寝台駆動装置34は、寝台30に収容される。寝台駆動装置34は、被検体Pが載置された支持フレーム32と天板33とを移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置34は、コンソール40等による制御に従い作動する。
コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インターフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜使用可能である。なお、本実施形態において入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じてX線コンピュータ断層撮影装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、撮像制御機能441、再構成処理機能442、画像処理機能443、撮影計画機能444及び上昇ルート決定機能445等を実行する。なお、各機能441~445は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~445を実現するものとしても構わない。
撮像制御機能441において処理回路44は、X線CT撮影を行うためX線高電圧装置14と制御装置15とDAS18とを制御する。処理回路44は、撮影計画機能444により決定された撮影条件に従いX線高電圧装置14と制御装置15とDAS18とを制御する。
再構成処理機能442において処理回路44は、DAS18から出力された投影データに基づいてCT画像を生成する。具体的には、処理回路44は、DAS18から出力された投影データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。そして処理回路44は、前処理後の投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を施しCT画像を生成する。
画像処理機能443において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能442によって生成されたCT画像を、任意断面の断層像や3次元画像に変換する。
撮影計画機能444において処理回路44は、自動的に又は入力インターフェース43等を介して入力された操作者からの指示に従い撮影計画を立案する。撮影計画には撮影条件と上昇ルートとが含まれる。上昇ルートは、詳細は後述するが、初期高さから目標高さまでの天板33の上昇ルートである。
上昇ルート決定機能445において処理回路44は、撮影条件に基づいて自動的に、又は入力インターフェース43等を介して入力された操作者からの指示に従い上昇ルートを決定する。
図2は、本実施形態に係る架台10の外観を示す斜視図である。図2に示すように、架台10は、略円筒形の開口部19が形成された架台本体23を有する。架台本体23は、床面に設置された固定部25によりチルト軸AT回りにチルト可能に支持されている。チルト軸ATは、開口部19の中心軸(回転軸)ARに水平に直交する。架台10の前方には寝台30が設置されている。寝台30は、基台31と支持フレーム32と天板33とを装備する2段スライド型寝台である。図2に示すように、天板33の長軸A1が開口部19の中心軸ARに平行するように寝台30が配置される。
天板33は、柔軟性を有する板状構造体である。支持フレーム32は、天板33を長軸A1に沿ってスライド可能に支持する。基台31は、支持フレーム32を長軸A1に平行な軸に沿ってスライド可能な且つ長軸A1に鉛直に直交する鉛直軸A2に沿って昇降可能に支持している。鉛直軸A2は、床面に対して垂直を向く。以下、天板33の長軸A1に平行する方向を長方向又はZ方向、鉛直軸A2に平行する方向を垂直方向又はY方向と呼ぶことにする。また、寝台30が架台10に接近する方向を+Z方向、寝台30が架台10から離れる方向を-Z方向、寝台30が上昇する方向を+Y方向、寝台30が下降する方向を-Y方向とする。
図3は、本実施形態に係る寝台30の側面を模式的に示す図である。なお、図3において寝台30の筐体は省略している。図3に示すように、天板33は、支持フレーム32により、天板33の長方向に平行するZ方向に関してスライド可能に支持されている。支持フレーム32は、天板33をスライド可能であれば如何なる構造を有しても良い。例えば、支持フレーム32は、天板33のZ方向に関するスライドを案内する枠状のフレーム(図示せず)を有している。支持フレーム32には、天板33をZ方向にスライドするための動力を発生する天板駆動制御装置62が設けられている。天板駆動制御装置62は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。天板駆動制御装置62は、制御装置15の制御により作動する。
図3に示すように、基台31は、床面に設置される。基台31は、支持フレーム32をY方向に昇降且つZ方向に前後する。具体的には、基台31は、固定フレーム63、Xリンク65及び台座67を有する。固定フレーム63は、支持フレーム32を、支持フレーム32の長方向に平行するZ方向に関してスライド可能に支持する。固定フレーム63は、支持フレーム32をスライド可能であれば如何なる構造を有しても良い。例えば、固定フレーム63は、支持フレーム32のZ方向に関するスライドを案内する枠状のフレームを有している。固定フレーム63には、支持フレーム32をZ方向に関してスライドするための動力を発生するフレーム駆動制御装置64が設けられている。フレーム駆動制御装置64は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。フレーム駆動制御装置64は、制御装置15の制御により作動する。
図3に示すように、基台31は、固定フレーム63をY方向に関して上昇又は下降しつつ架台10に対して接近又は離間することが可能な支持構造を有している。Xリンク65は、固定フレーム63と台座67とに接続されている。台座67には、Xリンク65により固定フレーム63をY方向に関して昇降するための動力を発生する昇降駆動制御装置66が設けられている。昇降駆動制御装置66は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。昇降駆動制御装置66は、制御装置15の制御により作動する。
図3に示すように、Xリンク65は、X形状に枢支された一対の可動リンク651と固定リンク652とを有する。可動リンク651と固定リンク652とは、枢支軸を中心に回転可能に設けられている。可動リンク651と固定リンク652との各々は、例えば、略同一長さを有する一対の板状形状を有する金属板により形成される。固定リンク652の一端は台座67に固定される。固定リンク652の他端は固定フレーム63に固定される。可動リンク651の一端は、台座67にZ方向に関してスライド可能に支持される。可動リンク651の他端は、固定フレーム63にZ方向に関してスライド可能に支持される。昇降駆動制御装置66により可動リンク651と固定リンク652とのZ方向に関する間隔が狭めることにより、固定フレーム63が上昇しつつ架台10に近づく。昇降駆動制御装置66により可動リンク651と固定リンク652とのZ方向に関する間隔が広がることにより固定フレーム63が下降しつつ架台10から離れる。
図4は、本実施形態に係る制御装置15と寝台駆動装置34との一構成例を示す図である。図4に示すように、寝台駆動装置34は、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を有する。制御装置15は、天板33を所望の位置に移動させるために天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を制御する。
天板駆動制御装置62は、例えば、支持フレーム32に設けられている。天板駆動制御装置62は制御装置15からの動作指示信号を受けて天板33をスライドする。具体的には、天板駆動制御装置62は、天板制御回路621、天板駆動装置623及び天板検出器625を有する。天板制御回路621は、制御装置15からの動作指示信号を受けて天板駆動装置623に、当該動作指示信号に対応する電力を供給するサーボアンプである。天板駆動装置623は、天板制御回路621からの電力を受けて駆動し、接続先の支持フレーム32を作動して天板33をスライドする。具体的には、天板駆動装置623は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。天板検出器625は、天板駆動装置623の駆動軸に設けられた、ロータリーエンコーダ等の位置検出器である。
フレーム駆動制御装置64は、例えば、固定フレーム63に設けられている。フレーム駆動制御装置64は制御装置15からの動作指示信号を受けて支持フレーム32をスライドする。具体的には、フレーム駆動制御装置64は、フレーム制御回路641、フレーム駆動装置643及びフレーム検出器645を有する。フレーム制御回路641は、制御装置15からの動作指示信号を受けてフレーム駆動装置643に、当該動作指示信号に対応する電力を供給するサーボアンプである。フレーム駆動装置643は、フレーム制御回路641からの電力を受けて駆動し、接続先の固定フレーム63を作動して支持フレーム32をスライドする。具体的には、フレーム駆動装置643は、駆動軸の回転により動力を発生するモータである。フレーム検出器645は、フレーム駆動装置643の駆動軸に設けられた、ロータリーエンコーダ等の位置検出器である。
昇降駆動制御装置66は、例えば、基台31に設けられている。昇降駆動制御装置66は制御装置15からの動作指示信号を受けてXリンク65を作動して天板33、支持フレーム32及び固定フレーム63を昇降(上下動)する。具体的には、昇降駆動制御装置66は、昇降制御回路661、昇降駆動装置663及び昇降検出器665を有する。昇降制御回路661は、制御装置15からの動作指示信号を受けて昇降駆動装置663に、当該動作指示信号に対応する電力を供給するサーボアンプである。昇降駆動装置663は、昇降制御回路661からの電力を受けて駆動し、接続先のXリンク65を作動して天板33、支持フレーム32及び固定フレーム63を昇降する。昇降検出器665は、昇降駆動装置663の駆動軸に設けられた、ロータリーエンコーダ等の位置検出器である。
次に、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の動作の詳細について説明する。
上記の通り、上昇ルート決定機能445において処理回路44は、初期高さから目標高さまでの天板33の上昇ルートを決定する。本実施形態に係る上昇ルートは、垂直ルートと非垂直ルートとに大別される。
図5は、垂直ルートに関する寝台30の動きを示す図である。図5の(A)は、天板33が初期高さHIにあるときの寝台30の外観を示す図である。図5の(B)は、天板33が目標高さHTにあるときの寝台30の外観を示す図である。図5の(C)は、天板33が目標高さHTにあり且つ開口部19に挿入されたときの寝台30の外観を示す図である。なお、図5においては、寝台30の筐体は図示していない。
図5の(A)に示すように、検査開始時において天板33は初期高さHIに配置される。検査開始時は、例えば、撮影計画において確定ボタンが押下されたタイミングに規定される。天板33の高さは、天板33の基準点の床面からの高さに規定される。当該基準点は、天板33の任意の部分でも良いが、図5においては、天板33の被検体載置面に設定される。また、天板33のZ方向の位置は、天板33の基準点のZ方向の位置に規定される。当該基準点は、天板33の任意の部分でも良いが、図5においては、天板33の+Z方向の先端位置に設定される。
図5の(B)に示すように、Xリンク65により天板33が初期高さHIから目標高さHTまで上昇される。目標高さHTは、天板33が開口部19に挿入可能な高さに設定される。Xリンク65による天板33の上昇に連動して固定フレーム63が+Z方向に迫り出す。例えば、初期高さHIにおいて固定フレーム63が初期水平位置PIBに位置している場合、目標高さHTにおいて固定フレーム63は、初期水平位置PIBよりも架台10に近い位置PTBまで迫り出す。垂直ルートにおいては、固定フレーム63の迫り出しに伴う天板33及び支持フレーム32の迫り出しを相殺するため、支持フレーム32を-Z方向にスライドする。これにより、天板33及び支持フレーム32の水平位置は初期水平位置PITから変化せず固定される。すなわち、天板33及び支持フレーム32は、床面に対して垂直に上昇するので、初期高さHIにおける水平位置と目標高さHTにおける水平位置とは位置PITで不動である。
図5の(C)に示すように、天板33が目標高さHTまで床面に対して垂直に上昇されると、支持フレーム32が架台本体23に接近すると共に、天板33が開口部19に挿入される。そして、撮影計画に従いCT検査が行われる。
非垂直ルートは、天板33及び支持フレーム32のZ方向の位置が変化しなから天板33及び支持フレーム32が床面に対して上昇するルートである。非垂直ルートとしては、例えば、迫り出しルートが挙げられる。
図6は、迫り出しルートに関するおける寝台30の動きを示す図である。図6の(A)は、天板33が初期高さHIにあるときの寝台30の外観を示す図である。図6の(B)は、天板33が目標高さHTにあるときの寝台30の外観を示す図である。図6の(C)は、天板33が目標高さHTにあり且つ開口部19に挿入されたときの寝台30の外観を示す図である。なお、図6においては、寝台30の筐体は図示していない。
図6の(B)に示すように、Xリンク65により天板33が初期高さHIから目標高さHTまで上昇される。目標高さHTは、天板33が開口部19に挿入可能な高さに設定される。Xリンク65による天板33の上昇に連動して固定フレーム63が+Z方向に迫り出す。例えば、初期高さHIにおいて固定フレーム63が初期水平位置PIBに位置している場合、目標高さHTにおいて固定フレーム63は、初期水平位置PIBよりも架台10に近い位置PTBまで迫り出す。迫り出しルートにおいては、固定フレーム63の迫り出しに伴い天板33及び支持フレーム32も迫り出す。例えば、初期高さHIにおいて天板33及び支持フレーム32が初期水平位置PITに位置している場合、目標高さHTにおいて天板33及び支持フレーム32は、初期水平位置PITよりも架台10に近い位置PTTまで迫り出す。位置PTTは、支持フレーム32が架台本体23に衝突しない位置に設定される。
図6の(C)に示すように、天板33が目標高さHTまで上昇されると天板33が開口部19に挿入される。そして、撮影計画に従いCT検査が行われる。迫り出しルートにおいて支持フレーム32は、上昇しながら架台本体23に可能な限り接近する。よって迫り出しルートによりCT検査のスループットが向上する。
次に、X線コンピュータ断層撮影装置によるCT検査の流れについて説明する。図7は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置によるCT検査の典型的な流れを示す図である。
図7に示すように、まずコンソール40の処理回路44は、検査対象の患者に関する患者情報を取得する(ステップS1)。例えば、処理回路44は、図示しない通信インターフェースを介して放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)や医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)等から検査対象の患者に関する患者情報を取得する。
ステップS1が行われると処理回路44は、撮影計画機能444を実行する(ステップS2)。ステップS2において処理回路44は、撮影条件を決定する。撮影条件は、X線条件、撮影部位及びFOV等を含む。本実施形態に係る撮影条件としては、ヘッドファースト等の天板33上での被検体Pの向き、ストレッチャーの使用の有無等の備考情報も含む。撮影条件の各項目は、自動的又は入力インターフェース43を介した操作者の指示に従い決定される。
ステップS2が行われると処理回路44は、上昇ルート決定機能445を実行する(ステップS3)。ステップS3において処理回路44は、撮影条件に基づいて上昇ルートを自動的に決定する。以下、撮影条件に基づく上昇ルートの決定について具体例を挙げて説明する。
例えば、撮影部位が頭部の場合、上昇ルートとして垂直ルートが選択される。理由は以下の通りである。頭部撮影では外部投光器による位置合わせが行われる。上記の通り、迫り出しルートの場合、天板33の上昇に伴い支持フレーム32が架台本体23に接近する。すなわち、天板33が目標高さまで上昇した時点で既に頭部が外部投光器からの投光線よりもスキャン面に近づいており、外部投光器を用いた位置合わせが困難である。よって、撮影部位が頭部の場合、上昇ルートとして垂直ルートが選択されると良い。撮影部位が胸部や腹部、下肢等の頭部以外の場合、外部投光器による位置合わせが行われない、あるいは、外部投光器による位置合わせを正常に行うことができる。よって撮影部位が頭部以外の場合、上昇ルートとして迫り出しルートが選択されると良い。
処理回路44は、撮影条件を読み出し、撮影条件の撮影部位のパラメータが頭部であるか否かを判定する。処理回路44は、撮影部位のパラメータが頭部であると判定した場合、上昇ルートとして垂直ルートを選択する。撮影部位のパラメータが頭部でないと判定した場合、上昇ルートとして迫り出しルートを選択する。
なお、撮影部位が頭部であるか否かの判定は、撮影部位のパラメータに基づいて行われなくても良い。例えば、処理回路44は、撮影計画画面に含まれる撮影条件の備考欄に登録された情報に基づいて撮影部位が頭部であることを推定しても良い。具体的には、備考欄にヘッドファーストのテキスト情報が含まれている場合、処理回路44は、撮影部位が頭部である事を推定する。ヘッドファーストは、天板33における被検体の向きを示し、+Z方向に患者の頭部が位置する向きを示す。すなわち、備考欄にヘッドファーストのテキスト情報が含まれている場合、処理回路44は、上昇ルートとして垂直ルートを選択する。
また、撮影計画画面の備考欄に外部投光器による位置合わせを示すテキスト情報が含まれている場合、処理回路44は、上昇ルートとして垂直ルートを選択しても良い。
処理回路44は、患者情報に基づいて上昇ルートを自動的に決定しても良い。より詳細には、処理回路44は、検査対象の患者に関する過去検査の撮影条件に基づいて上昇ルートを決定する。具体的には、まず、処理回路44は、ステップS1において取得された検査対象の患者に関する患者情報に、検査対象の患者に関する過去検査の撮影条件が存在するか否かを判定する。過去検査の撮影条件が存在する場合、処理回路44は、過去検査の撮影条件のうちの撮影部位が頭部であるか否かを判定する。過去検査の撮影部位が頭部である場合、処理回路44は、今回検査の撮影部位も頭部であると推定し、今回検査の上昇ルートとして垂直ルートを選択する。過去検査の撮影部位が頭部でない場合、処理回路44は、今回検査の撮影部位も頭部でないと推定し、今回検査の上昇ルートとして迫り出しルートを選択する。
一方、検査対象の患者に関する過去検査の撮影条件が存在しないと判定した場合、処理回路44は、上記の通り、今回検査の撮影条件に基づいて上昇ルートを決定すれば良い。
このように、処理回路44は、過去検査の撮影条件と今回検査の撮影条件とが同一であると見做して、過去検査の撮影部位が頭部である場合、今回検査の上昇ルートとして垂直ルートを選択し、過去検査の撮影部位が頭部でない場合、今回検査の上昇ルートとして迫り出しルートを選択する。
なお、処理回路44は、過去検査の上昇ルートに基づいて今回検査の上昇ルートを決定しても良い。例えば、処理回路44は、過去検査の上昇ルートと今回検査の上昇ルートとが同一であると見做して、過去検査の上昇ルートと同一の上昇ルートを今回検査の上昇ルートとして選択しても良い。すなわち、処理回路44は、過去検査の上昇ルートが垂直ルートである場合、今回検査の上昇ルートとして垂直ルートを選択し、過去検査の上昇ルートが迫り出しルートである場合、今回検査の上昇ルートとして迫り出しルートを選択する。過去検査の上昇ルートは、例えば、撮影計画画面において、過去検査の撮影条件の備考欄等に登録されている。
処理回路44は、撮影条件の備考欄等に含まれるストレッチャーの使用の有無に関する情報を利用して上昇ルートを決定しても良い。ストレッチャーは、CT検査室に被検体を搬送するために使用される。ストレッチャーを使用する場合、ストレッチャーの床面からの高さと、天板33の床面の高さとを合わせてから、医療従事者等により被検体がストレッチャーから天板33に移動される。迫り出しルートの場合、ストレッチャーのZ方向の位置も調節しなくてはならないため、ストレッチャーと天板33との位置合わせが煩雑になる。そのため、ストレッチャーが使用される場合、上昇ルートとして垂直ルートが選択されると良い。すなわち、処理回路44は、撮影条件の備考欄にストレッチャーを使用する旨のテキスト情報が含まれている場合、上昇ルートとして垂直ルートを選択する。撮影条件の備考欄にストレッチャーを使用する旨のテキスト情報が含まれない場合、処理回路44は、上昇ルートとして迫り出しルートを選択する。
ステップS3が行われると処理回路44は、ステップS2において決定された撮影条件とステップS3において決定された上昇ルートとをディスプレイ42に表示する。撮影条件と上昇ルートとは、例えば、撮影計画画面に表示される。また、処理回路44は、撮影計画画面に確認ボタン(コンファーム・ボタン)を表示し、確認ボタンが押下されることを待機する。確認ボタンは、ステップS2において決定された撮影条件とステップS3において決定された上昇ルートとを確定するためのボタンである。操作者は、ステップS2において決定された撮影条件とステップS3において決定された上昇ルートとによりCT検査を行っても問題ないと判断した場合、入力機器等を介して確認ボタンを押下する。
確認ボタンが押下された場合(ステップS4)、処理回路44は、ステップS3において決定された上昇ルートとステップS2において決定された撮影条件とを、架台10に送信する(ステップS5)。
なお、撮影条件と上昇ルートとが表示されるのは、操作者により視認可能であれば、コンソール40に設けられたディスプレイ42のみに限定されない。例えば、撮影条件と上昇ルートとは、架台10に設けられたディスプレイ又は操作パネルに表示されても良い。
ステップS5が行われると架台10の制御装置15は、ステップS5において送信された上昇ルートを寝台30の動作モードとして設定する(ステップS6)。具体的には、ステップS3において垂直ルートが選択された場合、制御装置15は、寝台30の動作モードを垂直ルートに設定する。ステップS3において迫り出しルートが選択された場合、制御装置15は、寝台30の動作モードを迫り出しルートに設定する。
ステップS6が行われると制御装置15は、撮影条件に従い患者位置決めや位置決めスキャン、本スキャン等の一連のCT検査を実行する(ステップS7)。患者位置決め等において制御装置15は、天板33を初期高さかあら目標高さまで上昇させる際、ステップS6において設定された上昇ルートに従い天板33を上昇させる。具体的には、垂直ルートが設定された場合、制御装置15は、図5に示すように、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を制御し、天板33を初期高さから目標高さまで上昇させると共に、支持フレーム32の+Z方向への迫り出しを相殺するために支持フレーム32を-Z方向にスライドする。これにより、天板33を目標高さまで垂直に上昇させる事ができる。その後、外部投光器等を利用して被検体の位置合わせが行われる。被検体の位置合わせがされた後、制御装置15は、操作者による入力機器等を介した指示に従い、天板駆動制御装置62及びフレーム駆動制御装置64を制御し、支持フレーム32を架台本体23に接近させつつ、撮影部位がスキャン面に交差するように天板33を開口部19に挿入する。
迫り出しルートが設定された場合、制御装置15は、図6に示すように、昇降駆動制御装置66を制御し、支持フレーム32を+Z方向に迫り出しつつ、天板33を初期高さから目標高さまで上昇させる。これにより、高スループットで、支持フレーム32を可能な限り架台本体23に近づけつつ天板33を開口部19に挿入することができる。その後、内部投光器等を利用して被検体の位置合わせが行われる。制御装置15は、操作者による入力機器等を介した指示に従い、天板駆動制御装置62及びフレーム駆動制御装置64を制御し、支持フレーム32を架台本体23に接近させつつ、撮影部位がスキャン面に交差するように天板33を開口部19に挿入する。
以上により、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置によるCT検査の流れについての説明を終了する。なお、図7に示す処理の流れは一例であって、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ステップS2における撮影計画、ステップS3における上昇ルートの決定及びステップS4における確認ボタンの押下は、架台10の制御装置15等により実行されても良い。この場合、ステップS1においてコンソール40により取得された患者情報は、コンソール40から架台10に供給されることとなる。
上記説明において上昇ルートは、撮影条件等に基づいて自動的に決定されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。上昇ルートは、操作端末等を介して手動で決定されても良い。当該操作端末は、架台10に設けられても良いし、寝台30又はコンソール40に設けられても良い。また、当該操作端末は、架台10と通信可能な無線端末等であっても良い。なお、以下の実施形態において操作端末は、架台10に設けられるものとする。
図8は、操作端末431の一例を示す図である。図8に示すように、操作端末431は、例えば、垂直上昇ボタンB1、迫り出し上昇ボタンB2、天板33用のスライド+ボタンB3、天板33用のスライド-ボタンB4、支持フレーム32用のスライド+ボタンB5、支持フレーム32用のスライド-ボタンB6及び下降ボタンB7を有する。ボタンB1-B7は、操作パネルに表示されたソフトウェアボタンであっても良いし、ハードウェアボタンであっても良い。
垂直上昇ボタンB1は、垂直ルートで天板33を上昇させるためのボタンである。垂直上昇ボタンB1が押下されている間、制御装置15は、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を制御し、天板33を上昇させると共に、支持フレーム32の+Z方向への迫り出しを相殺するために支持フレーム32を-Z方向にスライドする。
迫り出し上昇ボタンB2は、迫り出しルートで天板33を上昇させるためのボタンである。迫り出し上昇ボタンB2が押下されている間、制御装置15は、昇降駆動制御装置66を制御し、支持フレーム32を+Z方向に迫り出しつつ、天板33を上昇させる。
スライド+ボタンB3は、天板33を支持フレーム32に対して相対的に+Z方向にスライドさせるためのボタンである。スライド+ボタンB3が押下されている間、制御装置15は、天板駆動制御装置62を制御し、天板33を支持フレーム32に対して相対的に+Z方向にスライドさせる。
スライド-ボタンB4は、天板33を支持フレーム32に対して相対的に-Z方向にスライドさせるためのボタンである。スライド-ボタンB4が押下されている間、制御装置15は、天板駆動制御装置62を制御し、天板33を支持フレーム32に対して相対的に-Z方向にスライドさせる。
スライド+ボタンB5は、支持フレーム32を固定フレーム63に対して相対的に+Z方向にスライドさせるためのボタンである。スライド+ボタンB5が押下されている間、制御装置15は、フレーム駆動制御装置64を制御し、支持フレーム32を固定フレーム63に対して相対的に+Z方向にスライドさせる。
スライド-ボタンB6は、支持フレーム32を固定フレーム63に対して相対的に-Z方向にスライドさせるためのボタンである。スライド-ボタンB6が押下されている間、制御装置15は、フレーム駆動制御装置64を制御し、支持フレーム32を固定フレーム63に対して相対的に-Z方向にスライドさせる。
下降ボタンB7は、天板33を下降させるためのボタンである。下降ボタンB7が押下されている間、制御装置15は、昇降駆動制御装置66を制御し、天板33を下降させる。
操作端末431がX線コンピュータ断層撮影装置に設けられる場合、操作端末431に対する手動操作により上昇ルートを決定可能であるので、上記のような撮影条件等に基づく上昇ルートの自動決定手段は不要である。
しかしながら、上昇ルートの自動決定手段と操作端末431による手動決定手段との両方がX線コンピュータ断層撮影装置に備えられても良い。例えば、図7に示すように、撮影条件等に基づいて上昇ルートが決定された場合であっても、操作端末431の操作により、異なる上昇ルートにより天板33が上昇されても良い。すなわち、制御装置15は、操作端末431を介して選択された上昇ルートが設定済みの上昇ルートと異なる場合、操作端末431を介して選択された上昇ルートを優先的に適用する。
例えば、ステップS3において処理回路44により迫り出しルートに自動的に決定された場合であっても、垂直ルートが好ましいと判断した場合、操作者は、垂直上昇ボタンB1を押下する。垂直上昇ボタンB1が押下された場合、制御装置15は、動作ルートを迫り出しルートから垂直ルートに切り替える。そして、垂直上昇ボタンB1が押下されている間、制御装置15は、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を制御し、天板33を上昇させると共に、支持フレーム32の+Z方向への迫り出しを相殺するために支持フレーム32を-Z方向にスライドする。反対に、ステップS3において処理回路44により垂直ルートに自動的に決定された場合であっても、迫り出しルートが好ましいと判断した場合、操作者は、迫り出し上昇ボタンB2を押下する。迫り出し上昇ボタンB2が押下された場合、制御装置15は、動作ルートを垂直ルートから迫り出しルートに切り替える。そして、迫り出し上昇ボタンB2が押下されている間、制御装置15は、昇降駆動制御装置66を制御し、支持フレーム32を+Z方向に迫り出しつつ、天板33を上昇させる。
なお、現在の上昇ルートを操作者が確認し易いよう、制御装置15は、架台10に設けられたディスプレイ等に現在の上昇ルートを表示する。また、垂直上昇ボタンB1及び迫り出し上昇ボタンB2に光源が設けられても良い。この場合、制御装置15は、現在の上昇ルートに対応する垂直上昇ボタンB1又は迫り出し上昇ボタンB2の光源を点灯する。これにより操作者は、操作端末431により現在の上昇ルートの確認と寝台30の操作とを行うことができる。
また、上記の操作端末431は一例であって、本実施形態はこれに限定されない。例えば、操作端末431には、天板33を初期位置に自動的に退避させるためのボタン、開口部19の所定位置に自動的に移動させるボタン、外部投光器及び内部投光器の操作ボタンを有しても良い。また、上昇ルートに関して他のボタンが設けられても良い。
図9は、他の操作端末432を示す図である。図9に示すように、操作端末432は、図8の操作端末431の垂直上昇ボタンB1及び迫り出し上昇ボタンB2の代わりに、垂直ルートボタンB8、迫り出しルートボタンB9及び上昇ボタンB10を有する。
垂直ルートボタンB8は、上昇ルートとして垂直ルートを選択するためのボタンである。垂直ルートボタンB8が押下された場合、制御装置15は、上昇ルートを垂直ルートに設定する。垂直ルートボタンB8には光源が設けられている。垂直ルートが設定された場合、制御装置15は、垂直ルートボタンB8の光源を点灯する。
迫り出しルートボタンB9は、上昇ルートとして迫り出しルートを選択するためのボタンである。迫り出しルートボタンB9が押下された場合、制御装置15は、上昇ルートを迫り出しルートに設定する。迫り出しルートボタンB9には光源が設けられている。迫り出しルートが設定された場合、制御装置15は、迫り出しルートボタンB9の光源を点灯する。
上昇ボタンB10は、垂直ルートボタンB8又は迫り出しルートボタンB9の押下により設定された上昇ルートに従い天板33を上昇させるためのボタンである。上昇ボタンB10が押下されている間、制御装置15は、設定された上昇ルートに従い天板33を上昇させるための制御を行う。すなわち、垂直ルートが設定された場合、制御装置15は、天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を制御し、天板33を上昇させると共に、支持フレーム32の+Z方向への迫り出しを相殺するために支持フレーム32を-Z方向にスライドする。迫り出しルートが設定された場合、制御装置15は、昇降駆動制御装置66を制御し、支持フレーム32を+Z方向に迫り出しつつ、天板33を上昇させる。
なお、操作端末432は、垂直ルート又は迫り出しルートを選択するために、垂直ルートボタンB8及び迫り出しルートボタンB9の2つのボタンを装備するとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、操作端末432は、単一の選択ボタンを装備しても良い。この場合、当該選択ボタンが押下される毎に制御装置15は、上昇ルートを垂直ルートと迫り出しルートとの間で切り替える。
制御装置15は、デフォルトの上昇ルートを設定しても良い。この場合、制御装置15は、被検体Pが切り替えられたことが通知されたことに応答して上昇ルートをデフォルトの上昇ルートに設定する。被検体Pが切り替えられた事は、例えば、コンソール40から確定ボタンが押下された旨の信号が制御装置15に供給されることにより認識される。
垂直上昇ボタンB1及び迫り出し上昇ボタンB2の組み合わせ、又は垂直ルートボタンB8、迫り出しルートボタンB9及び上昇ボタンB10の組み合わせは、寝台30のフットスイッチに搭載されても良い。
上昇ルートは、撮影条件等に基づいて自動的に又は操作端末431,432を介して手動的に決定されるのみに限定されない。例えば、寝台30に搭載されたパワーアシスト機能に連動して上昇ルートが切り替えられても良い。すなわち、寝台30に設けられたハンドルが操作者等により垂直に引き上げられることにより、制御装置15は、上昇ルートを垂直ルートに設定すると共に、即時的に天板駆動制御装置62、フレーム駆動制御装置64及び昇降駆動制御装置66を制御し、天板33を上昇させると共に、支持フレーム32の+Z方向への迫り出しを相殺するために支持フレーム32を-Z方向にスライドする。これにより、操作者による寝台30又は天板33の垂直方向への引き上げ動作に連動して上昇ルートを垂直ルートに設定することができる。
上記の通り、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10、寝台30及び処理回路44を有する。架台10は、X線CTスキャンを行う。寝台30は、天板33を床面に対して水平動及び上下動可能に支持する。処理回路44は、天板33の初期高さから目標高さまでの上昇ルートを、初期高さから目標高さまで天板33が床面に対して垂直に上昇する垂直ルートと、初期高さから目標高さまで天板33が床面に対して水平動を伴い上昇する非垂直ルートとの何れか一方に決定する。
上記の構成により、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、垂直ルートと非垂直ルートとの何れか一方を選択できるので、天板33の上昇ルートの選択に関する柔軟性を向上させることが可能になる。
なお、上記の寝台30の構造は、一例であって、本実施形態はこれに限定されない。例えば、本実施形態に係る寝台30は、天板33と支持フレーム32等の天板支持構造物とが床面に対して垂直に昇降可能であり且つZ方向に関して独立に水平動可能でれば如何なる構造を有しても良い。例えば、支持フレーム32と基台31との代わりに、天板33をスライド可能に支持しつつZ方向に関して独立に水平動可能な自走式の基台が設けられても良い。
また、本実施形態に係る寝台30の基台31は、昇降に伴い天板33及び支持フレーム32を架台10に対して接近又は離間するXリンク65を装備するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係る基台31は、天板33及び支持フレーム32を昇降できるのであれば、如何なる昇降機構を装備しても良い。例えば、天板33及び支持フレーム32に対する架台10の距離を固定しつつ昇降するXリンクを装備しても良いし、Xリンク以外の他の昇降機構を装備しても良い。当該構成においては、例えば、垂直ルートの場合、制御装置15は、単に昇降駆動制御回路66を制御し、当該昇降機構を介して天板33及び支持フレーム32が床面に対して垂直に上昇させる。迫り出しモードにおいて制御装置15は、当該昇降機構を介して天板33及び支持フレーム32が床面に対して垂直に上昇させつつ、フレーム駆動制御回路64を制御して支持フレーム32を+Z方向にスライドさせ架台本体23に近づけつつ、天板駆動制御回路62を制御して天板33を+Z方向にスライドさせ開口部19に挿入する。これにより、上記実施形態のような迫り出し方式を採用しない寝台においても複数の上昇ルートを任意に選択することができる。
また、本実施形態において寝台30を装備する医用画像診断装置はX線コンピュータ断層撮影装置であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。医用画像診断装置は、被検体に関する医用データを収集する撮像機構を搭載する架台を有しているのであれば、如何なる種類の医用画像診断装置でもよい。例えば、本実施形態に係る医用画像診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置の他、磁気共鳴イメージング装置、SPECT(single photon emission CT)装置、PET(positron emission tomography)装置、X線診断装置(X線アンギオ装置)等でもよい。磁気共鳴イメージング装置の場合、架台は、例えば、静磁場磁石、傾斜磁場コイル及び送受信コイルを含む。SPECT装置及びPET装置の場合、架台は、ガンマ線検出器を含む。X線診断装置の場合、架台は、X線管とX線検出器とを搭載するアームである。
(変形例)
以下、本実施形態の変形例について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
図10は、本実施形態の変形例に係るX線コンピュータ断層撮影システムの構成を示す図である。図10に示すように、変形例に係るX線コンピュータ断層撮影システムは、1又は複数のX線コンピュータ断層撮影装置100と撮影計画装置200とを有する。1又は複数のX線コンピュータ断層撮影装置100と撮影計画装置200とは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。
X線コンピュータ断層撮影装置100は、撮影計画装置200により生成された撮影計画に従いCT検査を行う。変形例に係るX線コンピュータ断層撮影装置100は、図1のX線コンピュータ断層撮影装置1から撮影計画機能444及び上昇ルート決定機能445を除いた構成を有する。
撮影計画装置200は、検査対象の被検体に関する撮影計画を生成し、当該検査における上昇ルートを決定するコンピュータ装置である。
図11は、撮影計画装置200の構成を示す図である。図11に示すように、撮影計画装置200は、メモリ201、ディスプレイ202、入力インターフェース203、通信インターフェース204及び処理回路205を有する。メモリ201、ディスプレイ202、入力インターフェース203、通信インターフェース204及び処理回路205の間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
メモリ201は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ201は、HDDやSSD等以外にも、CD、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。
ディスプレイ202は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ202は、処理回路205によって生成された撮影計画及び上昇ルートや、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI等を出力する。例えば、ディスプレイ202としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。
入力インターフェース203は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路205に出力する。入力インターフェース203としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜使用可能である。なお、本実施形態において入力インターフェース203は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路205へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース203の例に含まれる。
通信インターフェース204は、図示しない有線又は無線を介してX線コンピュータ断層撮影装置100との間でデータ通信を行う。例えば、通信インターフェース204は、上昇ルート決定機能445において決定された上昇ルートを、X線コンピュータ断層撮影装置100に通知する。
処理回路205は、入力インターフェース203から出力される入力操作の電気信号に応じて撮影計画装置200全体の動作を制御する。例えば、処理回路205は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路205は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより撮影計画機能444及び上昇ルート決定機能445等を実行する。なお、各機能444及び445は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能444及び445を実現するものとしても構わない。
撮影計画機能444において処理回路205は、上記実施形態と同様、自動的に又は入力インターフェース203等を介して入力された操作者からの指示に従い撮影計画を立案する。撮影計画に関するデータは、通信インターフェース204を介してX線コンピュータ断層撮影装置100のコンソールに供給される。
上昇ルート決定機能445において処理回路205は、上記実施形態と同様、撮影条件に基づいて自動的に、又は入力インターフェース203等を介して入力された操作者からの指示に従い上昇ルートを決定する。上昇ルートに関するデータは、通信インターフェース204を介してX線コンピュータ断層撮影装置100の架台10に直接的に供給又は、X線コンピュータ断層撮影装置100のコンソール40を介して間接的に供給される。
上昇ルートに関するデータの供給を受けた架台10の制御装置15は、上記実施形態と同様、設定された上昇ルートに従い寝台30の天板33を上昇させる。
上記の通り、変形例によれば上昇ルート決定機能445が、X線コンピュータ断層撮影装置100の外部装置である撮影計画装置200に設けられる。当該構成により、X線コンピュータ断層撮影装置100の処理回路44を改変せず、撮影計画装置200の処理回路205に上昇ルート決定機能445を設けることのみにより、上昇ルートの自動決定を行うことができる。X線コンピュータ断層撮影システムにX線コンピュータ断層撮影装置100が複数台存在する場合、X線コンピュータ断層撮影装置100毎に上昇ルート決定機能445を設ける必要がなくなるのでコストを低減することができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、天板の上昇ルートの選択に関する柔軟性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。