JP7262192B2 - 油脂含有食品用包材 - Google Patents
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Description
また、バターやマーガリン等の油脂含有食品の場合、長時間空気と接触していると、酸化によって変色したり、変質したりすることがある。そこで、油脂含有食品の表面が空気に触れないようにするため、当該食品の表面をアルミニウムや紙よりなるシートで直接被覆することも行われている。
また、空気との接触による内容物の酸化を防止する機能を備えた包材として、例えば、熱可塑性樹脂に粒状酸素吸収組成物を分散させてなる脱酸素樹脂層を有する積層体よりなるものが知られている(下記の特許文献2参照)。
また、脱酸素樹脂層を備えた積層体よりなる包材の場合、内容物付着防止効果が得られないという問題があった。
また、この発明のもう1つの目的は、前記内容物付着防止効果に加えて、空気との接触による内容物の変色や変質を効果的に防止することができる包材を提供することにある。
金属箔層と、熱融着性樹脂フィルムからなりかつ前記包材の内面を構成するシーラント層とを備えている積層体からなり、
前記包材の前記内面は、算術平均粗さRaが0.2~0.6μmであり、算術平均高さSaが0.2~0.5μmである凹凸構造を有している、油脂含有食品用包材。
また、前記1)の包材によれば、積層体が金属箔層を備えているため、内容物である油脂含有食品が劣化し難いという効果も奏される。
図示の包材(1)は、外側保護層(11)、金属箔層(12)、中間保護層(13)、粗面化層(14)およびシーラント層(15)が、この順で積層された積層体(10)よりなるものである。包材(1)の内面(1a)は、シーラント層(15)によって構成されており、後述するように、所要の凹凸構造を有している。
この包材(1)は、例えば、成形容器のフランジ部上面に熱融着される蓋材や、縁部どうしが熱融着されることによって袋状に成形されるパウチ等として使用されるものである。
上記包材(1)等により密封包装される内容物である油脂含有食品としては、例えば、バター、マーガリン、ラード、ヘット、クリームチーズなどが挙げられる。
この外側保護層(11)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等よりなる延伸ポリエステル樹脂フィルムや、6-ナイロン樹脂(PA6)等よりなる延伸ポリアミド樹脂フィルムによって構成される。
外側保護層(11)の厚みは、耐久・耐食性、製造コスト、シール時の熱影響を考慮し、5~40μmとするのが好ましい。
外側保護層(11)と金属箔層(12)との積層は、例えば、接着剤層(図示略)を介して、ドライラミネート法により行われる。接着剤層には、例えば、2液硬化型のポリウレタン樹脂系接着剤が用いられる。
また、外側保護層(11)の内面に、例えばグラビア印刷等によって印刷層(図示略)が全面的または部分的に形成されていてもよい。
金属箔層(12)を構成する金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス鋼箔、チタン箔などを使用することができるが、好適にはアルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔の場合、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、また、軟質、硬質のいずれでもよいが、例えば、JIS H4160に規定されたA8000系(特に、A8079HやA8021H)の焼鈍処理済の軟質材(O材)であれば、成形性に優れているので、好適に用いることができる。
金属箔層(12)の片面または両面には、必要に応じて、クロメート処理などの下地処理を行う。
金属箔層(12)の厚みは、15~150μmとするのが好ましい。上記範囲とすることによって、十分なバリア性と、好適な成形加工性を得ることができる。
また、金属箔層(12)としては、酸素透過度が500ml/m2・day・MPa(20℃、80%RH)以下である金属箔を用いるのが好ましい。これにより、酸素に対する優れたバリア性が保たれるため、油脂含有食品よりなる内容物が変色したり変質したりするのを、より確実に防止することができる。
この中間保護層(13)も、外側保護層(11)と同様に、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等よりなる延伸ポリエステル樹脂フィルムや、6-ナイロン樹脂(OPA6)等よりなる延伸ポリアミド樹脂フィルムによって構成される。
中間保護層(13)の厚みは、金属箔層(12)への微粒子による型付き抑制効果、シール時の熱影響を考慮し、5~40μmとするのが好ましい。
中間保護層(13)と金属箔層(12)との積層は、例えば、接着剤層(図示略)を介して、ドライラミネート法により行われる。接着剤層には、例えば、2液硬化型のポリウレタン樹脂系接着剤が用いられる。
この粗面化層(14)は、中間保護層(13)とシーラント層(15)との積層面のうち一方に形成されたコート層よりなる。
コート層は、例えばポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)等のポリオレフィン樹脂に、平均粒径10~50μmの微粒子を混練してなるコート剤を塗工して、乾燥させることにより形成される。このときの混合比率は、微粒子が5重量%以上80重量%以下であることが好ましく、これより多くなると密着性の低下によりコート層が剥がれやすくなり、少なくなると均一な表面粗さが得られなくなり、コート層が剥がれることもある。上記混合比率は、微粒子が10重量%以上50重量%以下であることがより好ましい。
コート剤に含まれる微粒子としては、例えば、鉄、マンガン、白金、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、珪素、セリウム、チタン、銅等の金属やこれらの酸化物のうち少なくとも1種を含んだ酸素吸収性微粒子が好適に用いられる。これにより、包材(1)等によって密封包装された内容物(油脂含有食品)の変色や変質が、より確実に防止される。また、上記微粒子として、アクリル樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズやポリプロピレン樹脂ビーズ等のポリオレフィン樹脂ビーズ、または、ポリスチレン樹脂ビーズ等の樹脂ビーズを使用してもよく、これらの樹脂ビーズは、酸素吸収性は有しないが、包材内面(1a)を凹凸構造化することが可能である。
シーラント層(15)は、熱可塑性樹脂フィルムよりなる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)等のポリオレフィン樹脂よりなる無延伸フィルムが好適に用いられる。
また、シーラント層(15)を構成する熱融着樹脂フィルムとしては、酸素透過度が5000~100000ml/m2・day・MPa(20℃、80%RH)であるものを用いるのが好ましい。上記のようなフィルムを使用すれば、内容物である油脂含有食品が包材(1)等により密封包装された状態において、内部の酸素が酸素吸収性微粒子によって吸収されるため、内容物が変色したり変質したりし難くなり、内容物の長期保存が可能となる。
シーラント層(15)の厚みは、シール時の密着性、製造コストを考慮すると、20~100μmとするのが好ましい。
ここで、「算術平均粗さRa」は、JIS B0601:2013の規定に準拠して、表面の線粗さを測定したものである。また、「算術平均高さSa」は、ISO25178の規定に準拠して、表面の面粗さを測定したものである。
金属箔層として、JIS H4160で規定されたA8021H-Oよりなり、両面に、リン酸、ポリアクリル酸、クロム(III)塩化合物、水およびアルコールからなる化成処理液を塗布して乾燥させることにより化成皮膜を形成してなる、厚さ15μmのアルミニウム箔を用意した。
そして、前記アルミニウム箔の一方の面に、外側保護層として、厚さ9μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)を、2液硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートした。
また、前記アルミニウム箔の他方の面に、中間保護層として、厚さ9μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)を、2液硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートした。
中間保護層を構成する前記ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)の表面に、ポリプロピレン樹脂70質量部に平均粒径30μmの鉄粉よりなる酸素吸収性微粒子30質量部を混練してなる塗工液を塗布した後、真空乾燥させることにより、厚さ30μmの粗面化層を形成した。
さらに粗面化層の表面に、シーラント層として、厚さ40μmの高密度ポリエチレン樹脂フィルム(HDPE)を、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネートした。
こうして、実施例1の包材を得た。
中間保護層を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET)の表面に、粗面化層を形成することなく、シーラント層を構成する高密度ポリエチレン樹脂フィルム(HDPE)を、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネートし、その他は、実施例1と同じ要領で包材を作製し、これを比較例1とした。
次に、実施例1および比較例1の包材の内面(高密度ポリエチレン樹脂フィルム(HDPE)側の表面)の表面粗さを、JIS B0601:2013に準拠した算術平均粗さRaおよびISO 25178に準拠した算術平均高さSaを測定した。
具体的には、実施例1および比較例1の包材から、それぞれ縦10mm×横10mmの正方形の試料を切り出し、各試料の高密度ポリエチレン樹脂フィルム(HDPE)側の表面性状を、走査型白色干渉顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「VS1330」)を用いて、表面全体に亘って任意の箇所で測定した。測定には、二光束干渉対物レンズ5×を使用し、また、波長フィルターは520nmであった。
測定の結果、実施例1の包材内面は、算術平均粗さRaが0.42μm、算術平均高さSaが0.33μmであった。また、比較例1の包材内面は、算術平均粗さRaが0.14μm、算術平均高さSaが0.11μmであった。
実施例1および比較例1のそれぞれについて、25℃に設定した恒温槽内に載置した1枚の包材試料の上にバターを置き、さらにその上に、もう1枚の包材試料を被せてから500gの重りを乗せ、この状態で60分間放置した。その後、恒温槽内を5℃に設定し、さらに60分間放置した。
次に、重りを外して、上側の包材試料を剥がし、バターを取り除いたのち、下側の包材試料の表面にバターが付着しているか否かを目視で観察した。
その結果、実施例1の包材試料では、表面にバターの付着は見られなかった。一方、比較例1の包材試料の場合、表面にバターが付着していた。
(1a):(包材の)内面
(10):積層体
(11):外側保護層
(12):金属箔層
(13):中間保護層
(14):粗面化層
(15):シーラント層
Claims (3)
- 油脂を含有する食品を包装するための包材であって、
金属箔層と、延伸樹脂フィルムよりなる中間保護層と、鉄、マンガン、白金、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、珪素、セリウム、チタン、銅およびこれらの酸化物のうち少なくとも1種を含んだ平均粒径10~50μmの酸素吸収性微粒子を含有する粗面化層と、熱融着性樹脂フィルムからなりかつ前記包材の内面を構成するシーラント層とが、この順で積層されている積層体からなり、
前記粗面化層は、ポリオレフィン樹脂50~95重量部に前記酸素吸収性微粒子5~50重量部を混合してなり、
前記シーラント層を構成している前記熱融着性樹脂フィルムは、厚さ20~100μmのポリオレフィン樹脂フィルムからなり、
前記粗面化層により、前記包材の前記内面に、算術平均粗さRaが0.2~0.6μmであり、算術平均高さSaが0.2~0.5μmである凹凸構造が形成されている、油脂含有食品用包材。 - 前記熱融着性樹脂フィルムの酸素透過度が5000~100000ml/m2・day・MPa(20℃、80%RH)である、請求項1記載の油脂含有食品用包材。
- 前記金属箔層の酸素透過度が500ml/m2・day・MPa(20℃、80%RH)以下である、請求項1または2記載の油脂含有食品用包材。
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