JP7257167B2 - ゴム成形体用コーティング剤 - Google Patents
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Description
[1]未架橋ゴムと架橋剤とを含有するゴム成形体のためのコーティング剤であり、硫黄系架橋剤と、活性亜鉛華とを含有するコーティング剤。
[3]前記活性亜鉛華以外の加硫促進剤をさらに含有する、前記[1]または[2]に記載のコーティング剤。
[5]分散媒として水をさらに含有する、前記[1]~[4]のいずれかに記載のコーティング剤。
[7]前記ゴム成形体に含まれる前記架橋剤が有機過酸化物を含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載のコーティング剤。
[9]前記架橋剤が有機過酸化物を含む、前記[8]に記載の架橋ゴム成形体の製造方法。
本発明のコーティング剤は、硫黄系架橋剤(加硫剤)と、活性亜鉛華とを含有する。本発明のコーティング剤は、未架橋ゴムと架橋剤とを含有するゴム成形体のためのコーティング剤である。具体的には、前記ゴム成形体表面に前記コーティング剤を塗布し、続いて架橋処理を行う。
硫黄系架橋剤(加硫剤)としては、例えば、単体硫黄、硫黄化合物が挙げられる。
単体硫黄における形態は特に限定されず、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。硫黄化合物としては、例えば、塩化硫黄、二塩化硫黄等の無機硫黄化合物、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド等の有機硫黄化合物が挙げられる。
本発明のコーティング剤100質量%中の硫黄系架橋剤の含有割合は、通常は1~30質量%、好ましくは1~15質量%である。このような態様であると、コーティング剤中での前記硫黄系架橋剤粒子の再凝集がなく分散性が良好であるため好ましい。
本発明のコーティング剤は、活性亜鉛華を含有する。このようなコーティング剤を用いることにより、活性亜鉛華を含有しないコーティング剤を用いる場合に比べ、ゴム成形体の表面の架橋反応が早くなり、架橋度が向上し、よって表面粘着性を低減することができ、また得られる架橋ゴム成形体からのコーティング剤の脱落も低減することができ、さらに、前記架橋ゴム成形体は圧縮永久歪みが小さい傾向にある。
活性亜鉛華は、亜鉛以外の成分として、カルシウムおよび/またはマグネシウムを含有することができる。活性亜鉛華におけるカルシウムの含有割合は、好ましくは1~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。活性亜鉛華におけるマグネシウムの含有割合は、好ましくは1~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
活性亜鉛華は、コア部と、当該コア部の表面の一部または全部を被覆する酸化亜鉛層(シェル部)とを有することが好ましい。前記コア部は、例えば、炭酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩からなる。無機塩は1種でも2種以上でもよい。
本発明のコーティング剤は1種又は2種以上の活性亜鉛華を含有することができる。
本発明のコーティング剤は、活性亜鉛華以外の加硫促進剤をさらに含有することが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、サンセラーPZ、サンセラーEZ、サンセラーBZ(商品名;三新化学工業(株)製))、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤;N,N'-ジエチルチオ尿素、N,N'-ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素などのチオウレア系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛などのザンテート系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤;アセトアルデヒド・アニリン縮合物、ブチルアルデヒド・アニリン縮合物などのアルデヒドアミン系加硫促進剤;2-メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤が挙げられる。
本発明のコーティング剤は1種又は2種以上の加硫促進剤を含有することができる。
本発明のコーティング剤は、界面活性剤を含有することが好ましい。前記界面活性剤は例えば分散剤として機能する。分散剤を用いて、攪拌、混合または分散処理を行うことによって、硫黄系架橋剤と分散媒との濡れ性を向上させ、硫黄系架橋剤を充分に分散させることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン高級アルコールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンジ脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタントリ脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、アルキルアミンオキシドが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アミノカルボン酸、アルキルβ-アラニン、イミダゾリンが挙げられる。
本発明のコーティング剤中の界面活性剤の含有量は、硫黄系架橋剤100質量部に対して、通常は0.1~250質量部、好ましくは75~100質量部である。あるいは、本発明のコーティング剤100質量%中の界面活性剤の含有割合は、通常は0.01~25質量%、好ましくは1~6質量%である。このような態様であると、前記硫黄系架橋剤の分散性を向上させることができるため好ましい。
本発明のコーティング剤は、必要に応じて安定化剤を含有することができる。安定化剤を用いると、コーティング剤の保存安定性を向上させることができ、長期にわたって硫黄系架橋剤を沈殿させることなく使用できるため好ましい。
本発明のコーティング剤中の安定化剤の含有量は、硫黄系架橋剤100質量部に対して、好ましくは0~10質量部、より好ましくは0~5質量部である。あるいは、本発明のコーティング剤100質量%中の安定化剤の含有割合は、好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.5質量%である。
本発明のコーティング剤は、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記の成分以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、補強剤、粘度調整剤が挙げられる。
本発明のコーティング剤は、分散媒を含有することが好ましい。分散媒としては、公知の溶剤のうち、硫黄系架橋剤や、塗布対象であるゴム成形体と反応を起こさず、かつ前述した界面活性剤や安定化剤を溶解または分散できるものであれば、いずれでも用いることができる。
本発明のコーティング剤100質量%中の分散媒の含有割合は、通常は24質量%以上、好ましくは65質量%以上である。分散媒の含有割合の上限は、上述した各成分の含有割合により画定され、例えば94質量%である。
本発明のコーティング剤は、例えば、上述した各成分を所定の量で仕込み、公知の攪拌、混合または分散装置で各成分を混合することによって得ることができる。
本発明のコーティング剤は、反応性コーティング剤であって、未架橋ゴムの表面、具体的にはゴム成形体の表面に塗布し、加熱して架橋ゴム成形体を得るために好適に用いることができる。具体的には、本発明のコーティング剤を用いることで、過酸化物架橋剤を用いた未架橋ゴムの熱空気架橋を良好に進めることができ、表面粘着性が低い架橋ゴム成形体を得ることができる。
未架橋ゴムとしては、従来公知のゴムが挙げられるが、例えば、エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが挙げられ、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが好ましい。エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)が挙げられ、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が挙げられる。未架橋ゴムとしては、エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムおよび/またはエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムとともに、公知の他のゴムをさらに用いてもよい。このような他のゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のイソプレン系ゴム;ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の共役ジエン系ゴムが挙げられる。
前記ゴム成形体およびゴム組成物は、架橋剤を含有する。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄系化合物、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等の、ゴムを架橋する際に一般に使用される架橋剤が挙げられる。これらの中でも、有機過酸化物が好ましい。架橋剤として有機過酸化物を用いる場合、熱架橋において成形体表面が劣化し、表面粘着性が高くなることがあるが、本発明では熱架橋前に前記コーティング剤を成形体表面に塗布することで、このような表面劣化を防止することができる。
架橋剤として有機過酸化物を用いる場合、前記ゴム成形体またはゴム組成物における有機過酸化物の含有量は、未架橋ゴム100質量部に対して、通常は0.1~20質量部、好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。
架橋助剤としては、例えば、硫黄;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼンが挙げられる。
秤量した粉末硫黄5部を水75.8部中に添加し、界面活性剤[ポリメタクリル酸2部およびドデシルトリメチルアンモニウムブロミド2.2部]、加硫促進剤[META-Z102(井上石灰工業(株)製)10部およびサンセラーPZ(三新化学工業(株)製) 5部]を加えた後、この液をメッシュ500に通過させ、粉末硫黄とジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤の塊を除去し、塗布用のコーティング剤を得た。
配合組成を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行った。
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(三井化学(株)製;EPT9090M)50部と、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(三井化学(株)製;EPT3072EM)70部と、加工助剤として粉末ステアリン酸さくら(日油(株)製)1部と、加硫促進剤として、META-Z102(井上石灰工業(株)製)5部と、リポカード2HTフレーク(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.5部と、PEG♯4000(ポリエチレングリコール、ライオン(株)製)0.5部と、補強剤として、旭#50HG(カーボンブラック、旭カーボン(株)製)65部と、旭#60UG(カーボンブラック、旭カーボン(株)製)30部と、可塑剤としてPS-430(ダイアナプロセスオイル、出光興産(株)製)27部と、脱泡剤としてVESTA-C80N(井上石灰工業(株)製)7.5部とを、容量1.7リットルのバンバリーミキサーに投入して、5分間混練し、コンパウンドAを得た。
比重は、水中置換法(JIS K6268)に準じて測定した。
得られたシート状架橋体の硬度を、JIS K7312(1996)の「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」の7項の「硬さ試験」の記載およびJIS K6253(2006)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方」の6項の「デュロメーター硬さ試験」の試験タイプAの記載に準拠して測定した。
得られたシート状架橋体について、JIS K6262(1997)に従って、圧縮率25%、100℃または160℃×22時間処理後の圧縮永久歪みを測定した。
得られたシート状架橋体表面を指で擦って下記基準により官能評価を行った。
1:擦ると抵抗が2よりも少なく、さらさらしている
2:擦ると抵抗を3よりも弱く感じる
3:擦ると抵抗を感じる
4:擦ると抵抗を3よりも強く感じる
5:擦ると滑らない
6:擦ると消しゴムのようにカスが出る
Claims (8)
- 未架橋ゴムと架橋剤とを含有するゴム成形体のためのコーティング剤であり、
硫黄系架橋剤と、
活性亜鉛華と
を含有し、
前記活性亜鉛華を5~40質量%含有するコーティング剤。 - 前記活性亜鉛華以外の加硫促進剤をさらに含有する、請求項1に記載のコーティング剤。
- 分散剤として界面活性剤をさらに含有する、請求項1または2に記載のコーティング剤。
- 分散媒として水をさらに含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のコーティング剤。
- 前記硫黄系架橋剤が単体硫黄および硫黄化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載のコーティング剤。
- 前記ゴム成形体に含まれる前記架橋剤が有機過酸化物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のコーティング剤。
- 未架橋ゴムと架橋剤とを含有するゴム成形体の表面に、請求項1~6のいずれか1項に記載のコーティング剤を塗布し、続いて架橋処理を行う、架橋ゴム成形体の製造方法。
- 前記架橋剤が有機過酸化物を含む、請求項7に記載の架橋ゴム成形体の製造方法。
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