JP7256002B2 - 不燃吹付け断熱材の施工方法 - Google Patents

不燃吹付け断熱材の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、ロックウール系不燃吹付け断熱材の施工方法に関する。
吹付け断熱材は、天井や壁などの被吹付け面に直接吹付けて断熱層を形成するという施工性に優れたものであり、複雑な形状の下地にも容易に適用でき、継ぎ目のない連続した断熱層を形成できるという特徴がある。よく似たものに吹き込み断熱材があるが、これは、天井裏や壁裏などにあらかじめ設けておいた空隙の中に断熱材料を吹き込んで充填するものであり、施工方法や適用条件が全く異なるものである。
一般的な吹付け断熱材としては、吹付け硬質ウレタンフォームや吹付けロックウールが広く知られている。吹付け硬質ウレタンフォームは低密度かつ低熱伝導率で非常に断熱性に優れているが、可燃性であるため、建設中の溶接や溶断の火花による火災や、竣工後の火災においても被害を拡大させてしまう恐れがあるという問題がある。一方、吹付けロックウールは不燃性ではあるが、吹付け硬質ウレタンフォームと比べて密度が高いため熱伝導率も高くなるという問題がある。
吹付け硬質ウレタンフォーム等の発泡樹脂系断熱材については、低密度かつ高い断熱性をいかしつつ可燃性であることの欠点を補う手法として、先に吹付け施工した発泡樹脂系断熱材の表面に、さらに吹付け不燃材を施工する方法(特許文献1)などがある。また、吹付けロックウールについては、耐火被覆向け用途ではセメントスラリーをバインダーとして用いるのが一般的であったのに対し、セメントスラリーに接着剤を混合することでバインダー量を減らして密度を下げ、断熱性能を向上させる方法(特許文献2)や、希釈した樹脂エマルションをバインダーとして用いることで低密度に吹付ける方法(特許文献3)等が開発されている。
特開2014-141868号公報 特開2002-193652号公報 特開2012-87479号公報
しかし、特許文献1の方法では、発泡樹脂系断熱材を吹付け施工した後にセメント系の吹付け不燃材を施工する必要があるため、工程が増えて施工効率が悪く、また、樹脂系とセメント系で全く別系統の吹付け設備が必要となるため設備負担が大きくなり、設備の入れ替え等で現場の作業効率も悪くなるといった問題がある。さらに、施工後の表面不燃材層が損傷した場合には、断熱層の不燃性を担保できなくなる恐れもある。また、特許文献2のように、セメントスラリーに接着剤を混合したバインダーを用いた場合、セメント量を多くするとセメントの水和に必要となる水量が多くなるので、結果的に被吹付け面への初期付着力が高くなるものの、水量が多すぎると自重が重くなって脱落のリスクが高まるという問題がある。また、セメント量が多い場合、施工後の密度が高くなるので熱伝導率も高くなり、断熱性能が劣るという問題もある。このため、耐火被覆向けの吹付けロックウールのような多量のセメントスラリーを含む構成の吹付け材を改良するアプローチでは、天井面などへ吹付けた際の脱落のリスクが小さく、かつ低密度で断熱性能が高いものの実用化は難しかった。一方、特許文献3のように、希釈エマルションをバインダーとして用いる場合、エマルションの乾燥成膜によって強度を確保する仕組みであるため低密度で断熱性能の高いものを施工できるが、不燃性を確保するためには樹脂の使用量をできるだけ抑える必要がある。樹脂の使用量を抑えるとウェット状態の初期付着力が低くなり、施工中の落ち綿発生量が増加したり、養生中に被吹付け面から脱落したりするリスクが高くなる問題がある。水量を多くすることによりある程度初期付着力を高めることもできるが、水を多く含むことで自重が増加してしまい、乾燥成膜にも時間がかかることになるため、結果的に脱落のリスクが高い状態での養生時間が長くなり安定した施工が難しかった。
従って、本発明の課題は、ロックウール系不燃吹付け断熱材の施工において、必要な初期付着力を確保しつつ、効率良く安定した吹付けを可能とする施工方法を提供することにある。
そこで本発明者は、種々検討した結果、ロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーとを別々の輸送管を通して別経路で圧送し、該輸送管の末端に設けた吹付けガンにて合流混合して吹付ける施工方法とし、当該スラリー中の合成樹脂エマルション量、セメント量および水の使用量を一定の範囲に調整することにより、初期付着力が向上し、かつ不燃性が確保され、かつ安定した施工が可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔5〕を提供するものである。
〔1〕ロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーとを別々の輸送管を通して別経路で圧送し、該輸送管の末端に設けた吹付けガンにて合流混合して吹付ける不燃吹付け断熱材の施工方法であって、セメント-合成樹脂エマルションスラリー中の合成樹脂エマルション含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で1質量%以上5質量%以下、セメント含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で5質量%以上15質量%以下、水含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する対固形分比率で50質量%以上100質量%以下であることを特徴とする施工方法。
〔2〕合成樹脂が、エチレン、ブタジエン、塩化ビニル、スチレン、酢酸ビニル、炭素数4以上の長鎖脂肪酸ビニルエステル、シロキサン、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよびこれらの誘導体から選ばれる2種以上の共重合体である〔1〕記載の施工方法。
〔3〕セメント-合成樹脂エマルションスラリー中の合成樹脂エマルション含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で2質量%以上5質量%以下、セメント含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で5質量%以上10質量%以下、水含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する対固形分比率で70質量%以上90質量%以下である〔1〕または〔2〕記載の施工方法。
〔4〕ロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーとは別の輸送管にて吹付けガンに前記水含有量を調整するための水を供給し、吹付けガンにてロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーと水とを合流混合することにより、前記水含有量の調整を容易にしたことを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の施工方法。
〔5〕前記不燃吹付け断熱材施工後、さらに前記セメント-合成樹脂エマルションスラリーを表面仕上材として塗布することを特徴とする〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の施工方法。
本発明の施工方法によれば、初期付着力が向上し、かつ不燃性が確保でき、落ち綿も少なく吹付け性が良好な安定した不燃吹付け断熱材の施工が可能となる。
吹付けシステムの概念図を示す。 吹付けガンの概略図を示す。 吹付けガンの断面図を示す。 水噴霧を加えた吹付けシステムの概念図を示す。 水噴霧を加えた吹付けガンの概略図を示す。 水噴霧を加えた吹付けガンの断面図を示す。 初期付着力簡易試験方法の概要を示す。 初期付着力簡易試験の結果を示すグラフである。
本発明の不燃吹付け断熱材の施工方法は、ロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーとを別々の輸送管を通して別経路で圧送し該輸送管の末端に設けた吹付けガンにて合流混合して吹付ける不燃吹付け断熱材の施工方法であって、セメント-合成樹脂エマルションスラリー中の合成樹脂エマルション含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で1質量%以上5質量%以下、セメント含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で5質量%以上15質量%以下、水含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する対固形分比率で50質量%以上100質量%以下であることを特徴とする。
本発明の施工方法に使用される吹付け材料は、ロックウールと、セメント-合成樹脂エマルションスラリーである。ロックウールは、吹付け用に用いられるものであればよく、ロックウール粒状綿が用いられる。ロックウールを用いることにより、耐熱性が高く、発熱性試験において有害な変形等が生じない断熱材が得られる。好ましいロックウールの繊維の平均太さは直径1~7μmであり、さらに好ましい繊維の平均太さは直径3~7μmである。また、用いるロックウール粒状綿は、密度が40~150kg/m3のものが好ましく、熱伝導率が0.044W/m・K以下であることが好ましい。
なお、ロックウール粒状綿の密度、熱伝導率および繊維の平均太さは、それぞれJIS A 9504:2004「人造鉱物繊維保温材」6.4寸法及び密度、6.5熱伝導率および6.7繊維の平均太さに規定される方法により測定できる。
ロックウールの使用量は、不燃性、断熱性(発熱量、熱伝導率)および得られる断熱材の密度の観点から、ロックウールおよびセメント-合成樹脂エマルションスラリーの全固形分質量(すなわち本発明の方法により施工する不燃吹付け断熱材の全固形分質量)に対する固形分換算で80~94質量%が好ましく、85~93質量%がより好ましい。
本発明に用いるセメント-合成樹脂エマルションスラリーは、セメント、合成樹脂エマルションおよび水の混合スラリーである。ここでセメントとしては、白色ポルトランドセメントや普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメント等が使用できる。
本発明においては、合成樹脂エマルションに加えて少量のセメントを含有させることにより、密度および熱伝導率を低く保ちながら、セメントの凝結により初期付着力が高められ、さらには水和反応で水が使われるためエマルションの乾燥成膜を早める効果も期待できる。
当該不燃吹付け断熱材中のセメントの含有量は、当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で5質量%以上15質量%以下である。セメントの含有量が5質量%未満では、密度および熱伝導率を低く保ことはできるが、十分な初期付着力を得ることができない。また、セメントの含有量が15質量%を超えると、初期付着力が低下するだけでなく、密度および熱伝導率を低く抑えることができず、吹付け性も低下してスラリーの垂れや吹付け層への亀裂が生じやすくなる。好ましいセメント含有量は、5質量%以上15%以下であり、より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
合成樹脂エマルションは、前記セメントと混合して用いることにより、ロックウール同士の結着剤として作用するとともに、被吹付け物と不燃吹付け断熱材との付着力を得るための効果的な接着剤としても作用するものであり、水で希釈してセメントを添加するのに適した水系エマルションを用いる。合成樹脂としては、エチレン、ブタジエン、塩化ビニル、スチレン、酢酸ビニル、炭素数4以上の長鎖脂肪酸ビニルエステル、シロキサン、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよびこれらの誘導体から選ばれる2種以上の共重合体が挙げられる。ここで、共重合体は、前記モノマーの2種または3種の共重合体であるのが好ましい。さらに、合成樹脂は、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸アルキルエステル・シリコーン共重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体から選ばれる共重合体であるのが好ましく、特にスチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体であるのが、耐候性および耐水性の点から好ましい。前記モノマーの誘導体としては、合成樹脂がエマルションまたは再乳化形粉末樹脂として入手できるものであればよい。エマルションとしての特性からは、アクリル酸アルキルエステル共重合体、メタクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル酸エステル系樹脂を、カチオン系の界面活性剤で乳化した、カチオン系エマルションであることが特に好ましい。これは、アクリル酸エステル系樹脂をセメント混和剤として用いたポリマーセメントの硬化体が強度発現に優れることに加え、セメント粒子、ロックウールおよび被吹付け材であるコンクリートなどがいずれも陰性側であるのに対し、陽性側にあるカチオン系エマルションは相性が良く、不燃吹付け断熱材の強度や被吹付け材への付着力を高める効果が期待できるためである。
当該不燃吹付け断熱材中の合成樹脂エマルションの含有量は、当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する固形分換算で1質量%以上5質量%以下である。1質量%未満では、初期付着力が十分でなく、乾燥成膜後の長期付着力も十分ではないため、振動等による脱落の危険性も高くなる。また、5質量%を超えると、不燃性が低下し、不燃断熱材としての性能を満足することができず、火災に対する安全性が低下してしまう。合成樹脂エマルション含有量の好ましい範囲は1質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上5質量%以下である。
前記スラリー中の水の含有量は、当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量に対する対固形分比率で50質量%以上100質量%以下である。50質量%未満では、密度および熱伝導率を低く保つことはできるが、十分な初期付着力を得ることができない。また、100質量%を超えると、初期付着力を高めることはできるものの、吹付け後にスラリーの垂れが生じたり、吹付け層に亀裂が生じたりするなど、吹付け性が低下してしまい、さらにはスラリーの吐出速度が増大することによってロックウールと対象物との衝突エネルギーも増大するため密度および熱伝導率が高くなってしまう。好ましい水の含有量は50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上90質量%以下である。
セメント-合成樹脂エマルションスラリーは、吹付け施工前に製造し、吹付け施工に用いることができる。これらのスラリーの調製には、少量の場合は適当な容器に入れてハンドミキサーを用いて撹拌し、大量のスラリーの場合にはモルタルミキサー等のスラリー攪拌機を使用することができる。
本発明の施工方法は、ロックウールと前記セメント-合成樹脂エマルションスラリーとを別々の輸送管を通して別経路で圧送し、該輸送管の末端に設けた吹付けガンにて合流混合して吹付ける不燃吹付け断熱材の施工方法である。吹付けシステムの一例を図1に示す。解綿機2に投入されて解綿されたロックウールは、ルーツブロワーなどの送風機1によりロックウール圧送ホース3を通して吹付けガン4まで空気圧送される。一方、スラリー攪拌機7でセメントと合成樹脂エマルションおよび希釈用の水を混合撹拌して得られたセメント-合成樹脂エマルションスラリーは、スラリーポンプ6によりスラリー圧送ホース5を通してロックウールとは別に吹付けガン4まで送られ、吹付けガン4でロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーが混合されることにより吹付け施工を行う。この手段により、両者を連続的かつ均一に混合しつつ噴射し、被吹付け物へ吹付けることができる。
吹付けガンの一例を図2および図3に示す。ロックウール圧送ホース3を通って吹付けガン4に送られたロックウールは、スラリー圧送ホース5を通って送り込まれスラリー吐出ノズル11から吐出されるセメント-合成樹脂エマルションスラリーと吹付け口8付近で接触して混合され、吹付け口8から連続的に噴射されて被吹付け物に吹付けられる。
また、図4のように、吹付けガンの吹付け口8の外周部等に水含有量の調整を可能とする水噴霧ノズル12を設け、水圧送ホース9を介して別系統で調整用の水を供給する構造とすることもできる。こうすることにより、スラリー攪拌機7ではセメント-合成樹脂エマルションスラリーの濃度を変更することなく、被吹付け物の表面状態に応じて吹付け物の水含有量を調整することが可能となる。
水噴霧ノズル12を設けた吹付けガンの例を図5および図6に示す。
吹付け口に設ける水噴霧ノズル12用のノズルチップは、小流量に合わせた、微細ミスト噴霧用を用いるのが好ましい。また、扇状に拡散するノズルチップを複数設けることで、吹付け口から噴射されるロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーの混合物を包み込むように水を噴霧し、粉じんや落ち綿の発生を抑えることができる。噴霧に際しては、水と共に圧縮空気を導入することもできる。圧縮空気を使うことにより、供給圧が低い場合でも、水を微細なミストとして噴霧することが可能である。
前記混合物を吹付けガンから吐出させ、被吹付け物に吹付けるが、その吹付け厚さは所定の断熱材の厚さよりも5mm~10mm厚く吹付けし、コテ押さえ等を用いて平滑化するとともに断熱材としての所定の厚さにするのが好ましい。厚めに吹付けて、木ゴテなどのコテ押さえにより平滑にすることで、意匠性が向上し、安定した品質とすることができる。
また、コテ押さえ等で吹付け断熱材の表面を慣らした後、本発明で用いるセメント-合成樹脂エマルションスラリーを表面仕上材として塗布することにより、効率よく意匠性の向上および断熱材表面の毛羽立ちや表面のロックウールの飛散を抑制させることが可能であり、また更に意匠性を高めたい場合には、カラーモルタル等の別の表面仕上材を塗布することもできる。ただし、使用する表面仕上げ材の有機物含有量は、不燃性能に悪影響しない範囲に抑えることが重要であり、本発明で用いるセメント-合成樹脂エマルションスラリーを表面仕上材として塗布する場合には、2kg/m2以下の塗布量とすることが好ましく、1.5kg/m2以下の塗布量とすることがより好ましい。
本発明の断熱材を吹付ける対象部位は、壁、床、屋根、柱、はり等であり、被吹付け物としては、モルタル、コンクリート、ALC、押出成形セメント板、鋼板(素地鋼板、メッキ鋼板、塗装鋼板)ステンレス鋼板、アルミニウム、繊維強化セメント板等の他、発泡ウレタン等の可燃性断熱材等が挙げられる。
本発明の施工方法により得られる断熱材は、不燃性断熱材であり、JIS A 5430:2013 附属書JAの発熱性試験による20分加熱時の総発熱量が8.0MJ/m2以下であるのが望ましい。また、断熱材の熱伝導率は、JIS A 1412-2:1999熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第2部:熱流計(HFM法)により0.045W/m・K以下であることが好ましい。また、断熱材の見掛け密度(かさ密度)は、0.12~0.30g/cm3であり、より好ましくは0.14~0.22g/cm3である。見掛け密度が0.12g/cm3未満では、施工面の付着力、断熱材の保形性および弾力性が低下する。一方、見掛け密度が0.30g/cm3を超えると、熱伝導率が上昇し、断熱性が低下する。また、総発熱量の増加により不燃性が得られない。
なお、上記した見掛け密度は、JIS A 1476:2016「建築材料の含水率測定方法」8.4項に規定される乾燥密度の測定法により測定できる。
本発明により得られる断熱材の厚さは、施工対象によって異なるが、断熱性能、施工性等から、5~200mmが好ましく、10~150mmがより好ましい。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
実施例1~4
以下に示す原料を用い、表1の配合比率で吹付け断熱材を模した初期付着力測定用の試験体を作成し、初期付着力の比較評価を行った。結果を図8に示す。なお、表1中の原料比率は、断熱材中における各固形分の質量比率を示している。水の配合比率は固形分の総質量に対する比率であり、合成樹脂エマルションの水含有量も含めている。実施例1~4は本発明による不燃吹付け断熱材を、比較例1は従来の耐火被覆用吹付けロックウールに比べかなり濃度の低いセメントスラリーを用いた吹付けロックウール断熱材、比較例2は希釈エマルションをバインダーとする従来タイプの不燃吹付け断熱材をそれぞれ模したものである。
Figure 0007256002000001
(合成樹脂エマルション)
ニカゾール(日本カーバイト工業社製、商品名)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の水性エマルション
界面活性剤:カチオン系
固形分含有率:約40%
(ロックウール)
太平洋ミネラルファイバー粒状綿(太平洋マテリアル社製、商品名)
国土交通大臣認定 NM-8600
繊維の平均太さ:4~6μm
密度:108kg/m3
熱伝導率:0.044W/m・K
(セメント)
普通ポルトランドセメント(JIS R 5210:2009)
(初期付着力の測定方法)
まず、表1のとおり固形分の総質量が100gとなるよう成分比率を調整したロックウール、セメントおよび/またはエマルションスラリーと水をポリエチレン袋に入れて振り混ぜ、略均一に混合し、縦100mm×横100mmの型枠に入れてから、高さが50mmとなるように慣らして成形し、試験体を作製した(乾燥後の見掛け密度が約0.2g/cm3となるように設定)。
次に、試験体の上面に鉄板を接着した後、プッシュプルゲージを繋いで引っ張り、成形から30分後、2時間後、24時間後の試験体の付着力を測定した(図7)。
図8に示した測定結果より、実施例1~4は、比較例2に比べ初期付着力が優れることから施工時の安定性が期待でき、比較例1および2に比べて24時間後の付着力が良好であることから養生期間中の脱落リスクを抑えることが可能であることがわかった。
実施例5~11
次に、表2に記載の配合比率で吹付け施工実験を行い、吹付け断熱材を形成した。すなわち、セメント-合成樹脂エマルションスラリーとロックウールとを別々に吹付けガンに送り、吹付けガンで両者を混合し、吹付けガンから吐出させ、垂直に立てた繊維強化セメント板に吹付けることにより、吹付け断熱材を形成した。吹付け作業中の施工性を評価するとともに、得られた吹付け断熱材の熱伝導率、総発熱量(不燃性評価)および見掛け密度を測定した(養生期間は2週間)。結果を表3に示す。なお、使用した原料は実施例1~4と同じであり、表2中の原料比率は、形成した吹付け断熱材層における各固形分の質量比率を意味する。
Figure 0007256002000002
(熱伝導率の測定法)
JIS A 1412-2:1999 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第2部:熱流計法(HFM法)を用いた。
(総発熱量の測定法)
JIS A 5430:2013 付属書JAの発熱性試験、20分加熱時の総発熱量8.0MJ/m2以下を不燃性と判定した。
(見掛け密度の測定法)
JIS A 1476:2016 建築材料の含水率測定方法 8.4項に規定される乾燥密度の測定法を用いた。
(吹付け施工性)
吹付け施工中および施工後の状態を目視にて評価した。
Figure 0007256002000003
実施例5~11は、いずれも吹付性が良好で正常に施工することができた。また、実施例5~10については、熱伝導率が0.044W/m・K以下であったため、断熱性能にも優れていた。これに対し、比較例3および4のように水量を増加させた場合、または比較例5のようにセメント量を増加させた場合には、吹付け時にスラリーの垂れが多く発生し、施工性に問題が認められた。
また、実施例9~11の試験体について、施工時に用いたのと同じセメント-合成樹脂エマルションスラリーを表面仕上材として2kg/m2の塗布量で吹付けたものを作成し、2週間養生後に発熱性試験を行った。その結果、いずれも20分加熱時の総発熱量は8.0MJ/m2以下であり、良好な不燃性能を有することが確認された。
1:送風機
2:解綿機
3:ロックウール圧送ホース
4:吹付けガン
5:スラリー圧送ホース
6:スラリーポンプ
7:攪拌機
8:吹付け口
9:水圧送ホース
10:水ポンプ
11:スラリー吐出ノズル
12:水噴霧ノズル

Claims (4)

  1. ロックウールとセメント-合成樹脂エマルションスラリーとを別々の輸送管を通して別経路で圧送し、該輸送管の末端に設けた吹付けガンにて合流混合した混合物を前記吹付けガンの吹付け口から噴射するとともに、水含有量調整用の水を、前記ロックウール及び前記セメント-合成樹脂エマルションスラリーとは別の輸送管を通して別経路で圧送し、前記吹付け口の外周部に設けた水噴霧ノズルから噴霧する不燃吹付け断熱材の施工方法であって、
    セメント-合成樹脂エマルションスラリー中の合成樹脂エマルション含有量が当該不燃吹付け断熱材の全固形分質量(A)に対する固形分換算で1質量%以上5質量%以下であり、かつセメント含有量が前記(A)に対する固形分換算で5質量%以上15質量%以下であり、
    ロックウール含有量が前記(A)に対する固形分換算で80質量%以上94質量%以下であり、
    水含有量調整用の水を、水含有量が前記(A)に対して50質量%以上100質量%以下となるように水噴霧ノズルから噴霧する
    ことを特徴とする施工方法。
  2. 合成樹脂が、エチレン、ブタジエン、塩化ビニル、スチレン、酢酸ビニル、炭素数4以上の長鎖脂肪酸ビニルエステル、シロキサン、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよびこれらの誘導体から選ばれる2種以上の共重合体である請求項1記載の施工方法。
  3. 前記水含有量調整用の水を、前記混合物を包み込むように噴霧する、請求項1または2記載の施工方法。
  4. 前記不燃吹付け断熱材施工後、さらに前記セメント-合成樹脂エマルションスラリーを表面仕上材として塗布することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の施工方法。
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