JP6745120B2 - 吹付け断熱材及び該断熱材の施工方法 - Google Patents

吹付け断熱材及び該断熱材の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、断熱性の向上を目的として、壁面や構造体に吹き付ける断熱材及び該断熱材の施工方法に関する。特に、難燃性と吹付け作業性を向上した断熱材及び該断熱材の施工方法に関する。
壁面や構造体のような対象物に吹き付けることにより、該対象物上に断熱材の層を形成する方法には、例えば特許文献1に示すものが開示されている。これは発泡スチロールのような発泡合成樹脂の小粒を糊液と石膏により被覆し、対象物に吹き付けて断熱材の層を形成する方法である。ここで発泡合成樹脂は断熱性を高めるために設けられ、石膏は発泡合成樹脂の小粒に難燃性を付与するために設けられる。
また、特許文献2には、発泡スチロールのような発泡合成樹脂粉粒体とアクリル樹脂等からなるバインダを含有する断熱材組成物が記載されている。
特許文献3には、発泡スチロールのような発泡有機樹脂粒子とパーライト等の無機軽量粒子と水酸化アルミニウム等の吸熱物質を含有した組成物からなる耐火性、断熱性を有する積層体が記載されている。
特許文献4には、断熱性と不燃性を有するロックウールを合成樹脂で結合してなる吹付け断熱材が記載されている。
特開昭63-236840号 特開2003-327464号 特開2011-156799号 特開2012-87479号
特許文献1に記載された方法で形成された断熱材の層にあっては、石膏のみで発泡合成樹脂の小粒を吹付け硬化させている。従って、硬化後の断熱材の層に柔軟性がない。このため、断熱材の層を形成後に、対象物である構造体が例えば強風や地震により変位、変形力を受けた場合や、経時変化を受けた場合には、断熱材の層に亀裂や割れが入り断熱材を損傷させる虞がある。即ち、耐久性に問題がある。
特許文献2に記載された断熱材組成物にあっては、発泡合成樹脂粉粒体が軽いので、ポンプ等で該断熱材組成物を対象物に吹き付けて断熱材の層を形成する際に該断熱材組成物の材料が均一に供給されない虞がある。従って、断熱材の層の組織が均一に形成されない虞がある。また、発泡合成樹脂粉粒体は他の原料との混合性も悪く、断熱材組成物を対象物に吹き付ける時に、発泡合成樹脂粉粒体が飛散し、施工現場の環境が悪化するとともに該飛散により原料のロスが発生する。更に、発泡合成樹脂粉粒体は静電気に帯電し易いから、固まり易く、吹き付け時に吹き付け機器に詰まる問題もあった。
特許文献3に記載された積層体を構成する組成物は、吹き付けることができず、コテ塗り等によって施工しなければならない。従って、施工に手間がかかる。
特許文献4に記載された断熱材にあっては、結合材としての合成樹脂は多く配合すると不燃性を阻害し、少なく配合すると結合力が低下する。従って、合成樹脂の配合の自由度が限定されるとの問題があった。また、特許文献4の断熱材では、表面材を吹き付けるが、基材である断熱材層と表面材層用のスラリーを別々に用意しなければならない問題もある。
本発明は、吹き付け後の耐久性に優れ、吹き付け時に材料が均一に供給され、断熱性・不燃性に優れた断熱材及び該断熱材の施工方法を提供することにある。
吹付け断熱材は、石膏又は消石灰とセメントと遅延剤と増粘剤と無機系骨材とを備える主組成物と、無機系繊維と表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体とを備える副組成物を配合した組成体からなり、該組成体から成る断熱層を対象物上に形成するために用いられる。
1.断熱材は、主組成物として表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体を配合している。発泡合成樹脂は断熱性を高め、石膏は難燃性を付与するから、有機系発泡樹脂粒体を石膏で被覆することにより、断熱性と難燃性(不燃性)に優れた断熱材を得ることが出来る。
また、有機系発泡樹脂粒体は断熱材の吹き付け時に、静電気等によって固まり易いが、該有機系発泡樹脂粒体を石膏で被覆することにより、静電気の帯電を防止し、有機系発泡樹脂粒体の流動性を高めることが出来る。更に、主組成物は増粘剤を配合しているから、これによっても主組成物内の有機系発泡樹脂粒体の流動性を高めることが出来る。
2.有機系発泡樹脂粒体はそれ自体が軽いが、これを石膏で被覆することにより重量が増し断熱材内で混ざり易くなる。これにより、有機系発泡樹脂粒体は断熱材の吹き付け時に、断熱材内で均一に分布する。従って、吹き付け後の断熱材の層内の組織が均一に形成され、断熱性能を高めることが出来る。有機系発泡樹脂粒体を石膏のみで被覆することにより、断熱材全体の低コスト化及び断熱材製造時の被覆工程における作業工程の簡略化を図ることが出来る。
更に、遅延剤を配合していることにより、石膏又は消石灰と、セメントの硬化時間を調整し、断熱材の急激な硬化を防ぐ。これにより、断熱材の吹き付け作業性が良くなる。更に、石膏又は消石灰とセメントと無機系繊維が混ざり合うことで、結合強度が高まり、断熱層の強度及び耐久性を向上させることが出来る。
断熱材を用いて形成された層の断面図である。 断熱材の吹き付け装置の概略図である。 吹き付けガンの先端部のノズル部分を示す斜視図である。 断熱層と表面層の性能を示す表である。
以下、本発明の実施形態を、図を用いて詳述する。なお、以下の記載では同一又は対応する要素には全ての図を通じて同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態における断熱材は、壁面や構造体のような対象物に吹き付けるものである。対象物に吹き付けることにより、施工現場にて対象物の断熱仕様に合わせて自由に吹き付け厚さを調節することができる。また、複雑な形状に対しても、断熱材の層を連続的に隙間なく形成することが出来るから、目地や継ぎ目が発生することがない。また、断熱材の層を固定するためのインサルピン等の金具も不要となる利点がある。断熱材の吹き付けは、吹き付けガンのノズル(図示せず)を対象物に向けて、スラリー状にされた断熱材を高圧で吹き付けることにより行われる。
本実施形態に係る断熱材は、主組成物と副組成物を含む組成体から構成され、主組成物がスラリー状にされて副組成物と共に、壁面や構造体のような対象物上に吹き付けられる。該吹き付け後に、更にその上にスラリー状の主組成物だけを吹き付けて、2段の層を形成する。
図1は、本実施形態に係る断熱材を用いて形成された層の断面図である。対象物1上には、主組成物と副組成物によって形成された断熱層2と、主組成物によって断熱層2を挟んで対象物1とは反対側の面に形成された表面層3が設けられる。表面層3によって断熱層2を保護すると共に、断熱層2の耐久性を高め、表面の平滑性を向上させることが出来る。断熱層2だけでは剥離強度等が弱いから、表面層3によって剥離強度を向上させている利点もある。更に、表面層3が平滑であれば、汚れが付き難い等の利点がある。
断熱材は、石膏又は消石灰と、セメントと、遅延剤と、増粘剤と、無機系骨材と、無機系繊維と、表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体とを備える組成体から構成される。このうち、石膏又は消石灰とセメントと遅延剤と増粘剤と無機系骨材とが主組成物、無機系繊維と表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体とが副組成物である。主組成物に液体、具体的には水を加えてスラリー状とし、該主組成物のスラリーと副組成物とは、別々に吹き付けガン(後記する)に供給される。
図1の断熱層2にて、副組成物を構成する有機系発泡樹脂粒体20は円粒状で示され、5mm以下の粒径、好ましくは1〜5mmの粒径を有する。有機系発泡樹脂粒体20は断熱性を高めるために配合され、発泡スチロール(ポリスチレンフォーム)の他に、発泡フェノール、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリ塩化ビニル等の公知材料から形成され得る。この有機系発泡樹脂粒体は、11.5〜13.5重量%の範囲で配合され、12.0〜12.5重量%が好ましい。有機系発泡樹脂粒体の配合量がこの範囲より少ないと断熱材としての断熱性能が不足し、多いと不燃性と吹付け作業性が悪くなる。尚、有機系発泡樹脂粒体20は当初からビーズ状に形成されたものの他に、リサイクル品として所定の粒径に粉砕したものも含む。
有機系発泡樹脂粒体20の表面を被覆する石膏又は消石灰は、有機系発泡樹脂粒体の配合量に対して同じ配合量(重量)を以て被覆する。従って、有機系発泡樹脂粒体20を被覆する石膏又は消石灰の配合量は、11.5〜13.5重量%の範囲である。石膏又は消石灰は、水を水/固形分比で80〜100の範囲で配合したものである。
前記の如く、有機系発泡樹脂粒体は、11.5〜13.5重量%の範囲で配合されるから、表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体は23.0〜27.0重量%を有する。
主組成物を構成する石膏又は消石灰は、他の配合物(即ち、セメントや骨材等)の結合と不燃性を得るために配合される。石膏は31.0〜42.5重量%の範囲で配合され、36.0〜38.0重量%が好ましい。配合量がこの範囲より少ないと不燃効果が小さくなり、多いと断熱効果が小さくなる。石膏は半水石膏を用いることが出来る。ここで半水石膏とは焼き石膏と同義であり、加熱されて結晶水の約3/4を失った石膏を指す。
主組成物を構成するセメントは、配合物の結合性を高め、断熱材の対象物1への付着性を向上し、且つ吹き付け後の断熱材の落下を防止し、耐久性を向上させるために配合される。セメントは、7.0〜9.0重量%の範囲で配合され、7.5〜8.5重量%が好ましい。配合量がこの範囲より少ないと断熱材の吹き付け後に硬化不良となり、多いと断熱効果が小さくなる。セメントは通常はポルトランドセメントを用いるが、アルミナセメント、超速硬セメント、膨張セメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、キーンスセメント等も用いられ得る。
主組成物を構成する遅延剤は、石膏又は消石灰とセメントの硬化時間を調整するために配合される。遅延剤は0.4〜0.5重量%の範囲で配合され、0.42〜0.46重量%が好ましい。配合量がこの範囲より少ないと硬化までの時間が短くなるから施工性が低下し、多いと硬化までの養生時間が長くなる。遅延剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、マレイン酸、酒石酸を用いることが出来る。
主組成物を構成する増粘剤は、スラリー状の主組成物の流動性を付与するために配合される。増粘剤は、0.1〜0.5重量%の範囲で配合され、0.15〜0.4重量%が好ましい。配合量がこの範囲より少ないと、断熱材の吹き付け時に流動性が低下し、この範囲より多く配合しても流動性は改善されない。増粘剤は、メチルセルロース、アクリル系樹脂を用いることが出来る。
主組成物を構成する骨材は、軽量化と不燃性、断熱性を得るために配合され、無機質軽量骨材が好適に用いられる。骨材は4.5〜5.5重量%で配合され、4.75〜5.25重量%が好ましい。配合量がこの範囲より少ないと、不燃性能、断熱性能が不足し、多いと結合力が低下する。骨材はマイカ、パーライト、ひる石、軽量気泡コンクリート粉砕物などの比重0.5以下の骨材全般を用いることが出来る。
副組成物を構成する無機系繊維は、配合物の結合性と不燃性、断熱性を得るために配合される。無機系繊維は、22.5〜26.5重量%の範囲で配合され、23.5〜25.5重量%が好ましい。配合量がこの範囲より少ないと、結合力、不燃性能、断熱性能が不足し、この範囲より多く配合しても結合力は向上しない。無機系繊維は、ロックウール、グラスウール、セラミックウールを用いることが出来る。
(断熱材の吹き付け装置)
図2は、断熱材の吹き付け装置4の概略図である。該吹き付け装置4は、スラリー状となった主組成物を供給する主組成物供給装置5と副組成物を供給する副組成物供給装置6を備える。主組成物供給装置5は、主組成物と水を撹拌してスラリー状にする攪拌機50と、該撹拌機50の出口に繋がった吸入ホース51と、該吸入ホース51が接続されスラリー状の主組成物を出力するスラリーポンプ52と、該スラリーポンプ52の出口から延びたスラリーホース53を備える。
副組成物供給装置6は、圧縮空気を出力するルーツ式のブロア60と、該ブロア60の出口に繋がった接続ホース61と、該接続ホース61を介して圧縮空気が供給され副組成物が搬入される吹き付け機62と、該吹き付け機62の出口から延びた供給ホース63を備える。
スラリーホース53及び供給ホース63の先端部は、対象物1に向けられる吹き付けガン7に接続される。
図3は、吹き付けガン7の先端部のノズル部分を示す斜視図である。吹き付けガン7は環状のノズル本体70を備え、該ノズル本体70は中央部に第1開口71を形成し、その周囲に複数の第2開口72を周方向に沿って形成している。第1開口71は供給ホース63に繋がり、複数の第2開口72は相互に連通してスラリーホース53に繋がっている。従って、第1開口71からは副組成物が吐出され、複数の第2開口72からはスラリー状の主組成物が吐出され、両組成物は混合されて断熱材として吹き付けられる。
断熱材の吹き付け時には、攪拌機50に主組成物と水を搬入し、吹き付け機62に副組成物を搬入する。次に、主組成物供給装置5の攪拌機50とスラリーポンプ52、副組成物供給装置6のブロア60と吹き付け機62を作動させる。撹拌機50によってスラリー状となった主組成物がスラリーホース53を介して吹き付けガン7に送られ、副組成物が供給ホース63を介して吹き付けガン7に送られる。このスラリー状の主組成物は、固形分/水の重量比が80〜100の範囲であり、80〜90が好ましい。この比がこの範囲より少ないと吹き付け後に表面に撥水が起こり、多いとスラリーを適切に吐出することが出来ない。第1開口71から吐出する副組成物と第2開口72から吐出するスラリー状の主組成物は混合されて、対象物1に吹き付けられる。
この副組成物と主組成物とがスラリー状の混合体である断熱材として吹き付けられることにより、対象物1上には断熱層2が形成される。この混合体のスラリー濃度は固形分/水の重量比で50.6〜63.3の範囲であり、50.6〜56.2の範囲が好ましい。スラリー濃度が、この範囲より少ないと断熱材の吹き付け後に所謂水垂れが起こり、多いと対象物1に付着せず脱落する虞がある。スラリー状の混合体である断熱材は各配合物の配合量によっても異なるが、比重が0.05〜0.15の範囲となる。従って、形成された断熱層2は軽量で対象物1への負担も少なく、断熱効果に優れたものとなる。
断熱層2を形成後に、副組成物供給装置6のブロア60と吹き付け機62を停止し、主組成物供給装置5の攪拌機50とスラリーポンプ52だけを作動させる。吹き付けガン7からスラリー状の主組成物だけを断熱層2の表面に吹き付け、表面層3を形成する。表面層3を形成するのに、主組成物供給装置5からスラリー状の主組成物をそのまま吹き付ければ良いから、別途表面層3用の組成物を用意する必要が無い。即ち、吹き付け作業性が良い。
断熱層2上にて対象物1とは反対側に表面層3を形成することにより、断熱層2が保護され、耐久性を向上させることが出来る。また、前記の如く、表面層3を形成することにより、表面の平滑性を向上させ、汚れが付き難い等の利点を得ることが出来る。
断熱層2の厚みは、要求される性能によって適宜選択すればよいが、概ね10-150mm程度が好ましい。断熱層2の厚みが10mmより薄いと、断熱材としての効果が弱くなり、150mmより厚いと断熱材の吹き付けに伴うコスト上昇に見合うだけの断熱効果は弱くなる。また、表面層3の厚みは概ね2mm、範囲としては1.8〜2.2mm程度が好ましい。
(本実施形態の効果)
本実施形態に関わる断熱材及び該断熱材によって形成された断熱層と表面層には以下の技術的効果がある。
(1) 断熱材は、表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体を配合している。発泡合成樹脂は断熱性を高め、石膏は難燃性を付与するから、有機系発泡樹脂粒体を石膏で被覆することにより、断熱性と難燃性(不燃性)に優れた断熱材を得ることが出来る。
また、有機系発泡樹脂粒体は断熱材の吹き付け時に、静電気等によって固まり易いが、該有機系発泡樹脂粒体を石膏で被覆することにより、静電気の帯電を防止し、有機系発泡樹脂粒体の流動性を高めることが出来る。また、断熱材の吹き付け作業性(施工性)が向上し、吹き付け後の断熱材の層内の組織が均一に形成されることにより、該断熱材の層の耐久性と断熱性能も向上する。更に、主組成物は増粘剤を配合しているから、これによっても主組成物内の有機系発泡樹脂粒体の流動性を高めることが出来る。
(2) 有機系発泡樹脂粒体はそれ自体が軽いが、これを石膏で被覆することにより重量が増し、有機系発泡樹脂粒体が断熱材の吹き付け時に、断熱材内で均一に分布する。従って、吹き付け後の断熱材の層内の組織が均一に形成され、断熱性能を高めることが出来る。有機系発泡樹脂粒体を石膏のみで被覆することにより、断熱材全体の低コスト化及び断熱材製造時の被覆工程における作業工程の簡略化を図ることが出来る。また、有機系発泡樹脂粒体が断熱材の吹き付け時に、断熱材内で均一に分布するから、該吹き付け時に飛散する有機系発泡樹脂粒体が少なくなる(これを原料ロス率が低減すると呼ぶ)。
吹き付け時に飛散する有機系発泡樹脂粒体が少なくなるから、吹き付け作業現場の環境に悪影響を与えることが防止され、清潔性を保つことが出来る。
(3) スラリー状の組成物と乾燥した組成物を含む断熱材の吹き付け工法を、半乾式工法と呼ぶが、かかる半乾式工法においてスラリー状の主組成物と石膏で被覆された有機系発泡樹脂粒体を含む副組成物を混合しながら吹き付けるので、均一な吹付が出来る。
(4) 主組成物に遅延剤を配合していることにより、石膏又は消石灰と、セメントの硬化時間を調整し、断熱材の急激な硬化を防ぐ。これにより、断熱材の吹き付け作業性が良くなる。更に、石膏又は消石灰とセメントと無機系繊維が混ざり合うことで結合強度が高まり、断熱層2の強度及び耐久性を向上させることが出来る。主組成物にて石膏又は消石灰、セメントに加え、無機系骨材を配合し、副組成物にて無機系繊維を配合していることにより、断熱性だけでなく、結合性、対象物1への付着性、耐久性に優れた断熱層2及び表面層3を得ることが出来る。
(5) 断熱層2上に表面層3を形成するのに、スラリー状の主組成物をそのまま吹き付ければ良いから、別途表面層3用の組成物を用意する必要が無い。即ち、吹き付け作業性が良い。
(断熱層及び表面層の実施例)
出願人は断熱材の効果を確認すべく、具体的には石膏で被覆した有機系発泡樹脂粒体の効果を確認すべく、本実施形態に係る主組成物と副組成物を用いて、断熱層と表面層を形成し、吹き付け性、不燃性等の性能実験を行った。ここにおいて、主組成物の無機系骨材にはマイカ、遅延剤にはクエン酸ナトリウム、増粘剤にメチルセルロースを用い、主組成物をスラリー状にするのに用いた液体は水である。副組成物の石膏で被覆した有機系発泡樹脂粒体は発泡スチロールの粒体である。断熱材が吹き付けられる対象物は、厚さ100mmのセメントボードである。表面層は厚さが2mmである。
5つの実施例1〜5と比較例の実験結果を図4にて表として示す。図4にて、比を除き、配合量は全て重量%で示される。図4にて、実施例1〜5は、副組成物の石膏で被覆した発泡スチロールの粒体の重量%を互いに違えており、マイカ、クエン酸ナトリウム、メチルセルロースの重量%は同じである。また、比較例は表面を石膏で被覆していない発泡スチロールの粒体を副組成物として含んだ断熱材を用いている。従って、比較例の発泡スチロールは、実施例1〜5の発泡スチロールに比して、流動性が悪いと予測される。
また、実験では断熱層の上に表面層を形成しているが、前記の如く、表面層は主組成物から形成されるから、発泡スチロールの粒体を含まない。従って、石膏で被覆した有機系発泡樹脂粒体の効果を確認するには、表面層の有無は関係が無いと考えられる。
図4の表にて吹付性は、断熱材の吹き付け時に飛散する有機系発泡樹脂粒体の割合である原料ロス率で判断している。この原料ロス率が10%以下の場合を○、10%を超える場合を×とした。吹付状態は、断熱材を吹き付け後に、有機系発泡樹脂粒体の均一性を目視で観察し、均一に吹き付けられている場合を○、均一に吹き付けられていない場合を×とした。
不燃性については、建築基準法施行令の技術的基準で定められ、国土交通大臣認定に係る防火材料の性能評価を行った。準不燃以上の基準を満たす場合は〇とし、満たさない場合は×とした。具体的には、10分加熱でコーンカロリメータでの発熱性試験で総発熱量が7.2MJ/m以下であること、加熱開始から試験終了までの間に、防火上有害である裏面まで貫通する亀裂及び穴が無いこと、加熱開始から試験終了までの間に、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことを満たすか否かによる。
断熱性については、一般的な断熱材の基準が熱伝導率が0.044W/m・K以下であることから、熱伝導率が0.044W/m・K以下の場合を○、これを超える場合を×とした。
図4の表から、実施例1〜5と比較例の吹付性、吹付状態、不燃性、断熱性を比較する。不燃性及び断熱性の性能にて、※1とあるのは、吹付状態が不均一であるから、試験体を採取する場所によって性能が異なると判断し、×とした。
この表から、表面を石膏で被覆した発泡スチロールの粒体を含む断熱材を用いて形成した断熱層の方が、表面を石膏で被覆していない発泡スチロールの粒体を含む断熱材を用いて形成した断熱層よりも優れた結果を示すことが判る。即ち、本実施形態の断熱材の技術的効果が実証された。
上記の如く、本実施形態に係る断熱材は、主組成物と副組成物を備える。従って、主組成物と副組成物を一緒に販売しても別個に販売してもよい。
本発明は、壁面や構造体に吹き付ける断熱材及び該断熱材の施工方法に用いると有用である。
1 対象物
2 断熱層
3 表面層
20 有機系発泡樹脂粒体

Claims (7)

  1. 断熱層を対象物上に形成するために用いられる吹付け断熱材であって、
    石膏又は消石灰とセメントと遅延剤と増粘剤と無機系骨材とを備える主組成物と、無機系繊維と表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体とを備える副組成物とを有し、
    前記主組成物と前記副組成物とを配合して前記断熱層を形成するために用いら
    且つ主組成物は前記断熱層を挟んで対象物とは反対側の面に形成され、断熱層よりも剥離強度を向上させた表面層を形成するために用いられる、吹付け断熱材。
  2. 前記主組成物は、液体を加えてスラリー状にされて、前記副組成物とともに前記対象物に吹き付けられて前記断熱層を形成するためのものである、請求項1に記載の吹付け断熱材。
  3. 前記有機系発泡樹脂粒体は、該有機系発泡樹脂粒体の配合量と同じ重量%の配合量の石膏又は消石灰で被覆されている、請求項1又は2に記載の吹付け断熱材。
  4. 前記主組成物は、31.0〜42.5重量%の石膏又は消石灰、7.0〜9.0重量%のセメント、0.4〜0.5重量%の遅延剤、0.1〜0.5重量%の増粘剤、4.5〜5.5重量%の無機系骨材を含む、請求項1乃至3の何れかに記載の吹付け断熱材。
  5. 前記副組成物は、22.5〜26.5重量%の無機系繊維、23.0〜27.0重量%の表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体を含む、請求項1乃至4の何れかに記載の吹付け断熱材。
  6. 石膏又は消石灰とセメントと遅延剤と増粘剤と無機系骨材とを備える主組成物と、無機系繊維と表面に石膏を被覆した有機系発泡樹脂粒体とを備える副組成物を配合した組成体を用意する工程と、
    前記主組成物に液体を加えてスラリー状の主組成物を得る工程と、
    該スラリー状の主組成物と前記副組成物を混合して対象物に吹き付けて断熱層を形成する工程と、
    形成された断熱層上に、スラリー状の主組成物を更に吹付け、前記断熱層上に断熱層よりも剥離強度を向上させた表面層を形成する工程を有する、断熱材の施工方法。
  7. 前記スラリー状の主組成物は、固形分/液体の重量比が80.0〜100.0であり、混合されたスラリー状の主組成物と前記副組成物は、固形分/液体の重量比が50.6〜63.3である、請求項6に記載の断熱材の施工方法。
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