JP7251423B2 - 光学部材及びカメラモジュール - Google Patents

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Description

本発明は、光学部材及び当該光学部材を用いたカメラモジュールに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話等の固体撮像装置にはCCDやCMOSといったイメージセンサが使用されている。これらのイメージセンサには、その受光部において人間の目では感知できない近赤外光に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。これらのイメージセンサでは、人間の目で自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域の光を選択的に透過又は遮蔽する光学フィルター、例えば近赤外線カットフィルターを用いることが多い。
このような光学フィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたフィルターが使用されている。例えばリン酸ガラスに酸化銅を分散させた吸収ガラス型赤外線カットフィルター(特許文献1)や、近赤外帯域に吸収を有する色素を分散させた層を有する樹脂型赤外線カットフィルター(特許文献2)、透明誘電体基材(ガラス基材)と赤外線反射層と赤外線吸収層を有するガラス基材塗布型赤外線カットフィルター(特許文献3)、基材として透明樹脂を用い、透明樹脂中に波長600nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有する色素を含有させるとともに、基材両面に近赤外線反射性能を有する誘電体多層膜を用いた樹脂型近赤外線カットフィルター(特許文献4)、ガラス基材に波長695nm以上720nm以下の領域付近に吸収を有する色素を含有する樹脂層を設けたガラス基材塗布型赤外線カットフィルター(特許文献5)等、各種知られている。
近年カメラモジュールは薄型化が進行しており、さらなる薄型化と光学式望遠機能の両立が求められている。薄型でありながらも、光学式望遠の光路長を確保することが可能な反射型結像カメラモジュール(特許文献6)が知られている。
国際公開第2011/071157号 特開2008-303130号公報 特開2014-52482号公報 特開2011-100084号公報 特開2014-63144号公報 特開2007-19860号公報
上記公報所載の光学フィルターのように、基材表面に近赤外光反射性能を有する光学フィルターでは、この光学フィルターの表面で反射した光が再度イメージセンサに入射される現象、いわゆるゴーストが発生する。すなわち、この光学フィルターを備えたカメラモジュールを用いた撮像において画像不良を起こす場合がある。特に人間の視感度の低い近赤外線は、人間の目に見える映像とは異なる画像となることから、重大な画像不良を引き起こす。
上記画像不良を防止するため、光学フィルターに反射防止層を設けることもあるが、かかる場合においては、光学フィルターの厚みへの影響が大きい。近年、カメラモジュールにおいて薄型化と光学式望遠機能の高性能化の両立が求められているところ、高性能化のために光路に上記光学フィルターやズームレンズ等を設けると、薄型化が困難となる。
本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、既存の光学フィルターに係る画像不良及び薄型化の問題を改善すべく、特定の波長領域の可視光を選択的に反射するが、特定の波長領域の光に対する反射を抑制する光学部材及び当該光学部材を用いたカメラモジュールを提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、反射面を備え、上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の平均反射率が、400nm以上640nm以下の波長領域で80%以上、700nm以上1150nm以下の波長領域で8%以下である光学部材である。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、光学部材を備えるカメラモジュールであって、上記光学部材が反射面を備え、上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の平均反射率が、400nm以上640nm以下の波長領域で80%以上、700nm以上1150nm以下の波長領域で8%以下であるカメラモジュールである。
ここで、「平均反射率」とは、入射した無偏光光線の光量に対する鏡面反射、すなわち無偏光光線が入射した角度と同角度で反射する無偏光光線の光量の比率をいう。
本発明に係る光学部材は、入射した400nm以上640nm以下の波長領域の光は反射されて光路が変換されるが、当該光学部材に入射した700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射は抑制される。当該光学部材は、特定の波長領域の可視光を選択的に反射するが、特定の波長領域の光に対する反射を抑制することができる。また、本発明に係るカメラモジュールは、画像不良を抑えつつ、薄型化が可能である。
図1は本発明の実施形態に係る光学部材を示す模式的正面図である。 図2は本発明の他実施形態に係る光学部材を示す模式的正面図である。 図3は本発明の他実施形態に係る光学部材を示す模式的正面図である。 図4は図1の光学部材を示す模式的斜視図である。 図5Aは本発明の他実施形態に係る誘電体多層膜を有する光学部材を示す模式的正面図である。 図5Bは本発明の他実施形態に係る誘電体多層膜を有する光学部材を示す模式的正面図である。 図5Cは本発明の他実施形態に係る誘電体多層膜を有する光学部材を示す模式的正面図である。 図5Dは本発明の他実施形態に係る誘電体多層膜を有する光学部材を示す模式的正面図である。 図5Eは本発明の他実施形態に係る誘電体多層膜を有する光学部材を示す模式的正面図である。 図5Fは本発明の他実施形態に係る誘電体多層膜を有する光学部材を示す模式的正面図である。 図6Aは図5Bの光学部材における光路を示す模式的正面図である。 図6Bは図5Bの光学部材における光路を示す模式的斜視図である。 図7Aは本発明の他実施形態に係る遮光膜を有する光学部材を示す模式的正面図である。 図7Bは本発明の他実施形態に係る遮光膜を有する光学部材を示す模式的斜視図である。 図8Aは本発明の他実施形態に係る凹凸部を有する光学部材を示す模式的斜視図である。 図8Bは本発明の他実施形態に係る凹凸部を有する光学部材を示す模式的上面図である。 図8Cは本発明の他実施形態に係る凹凸部を有する光学部材を示す斜面の垂直方向から見た模式的下面図である。 図9Aは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Bは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Cは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Dは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Eは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Fは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Gは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Hは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Iは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Jは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Kは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図9Lは本発明の実施形態に係るカメラモジュールの一態様を示す模式的平面図である。 図10Aは光学部材の45°入射の無偏光光線の透過率を測定する方法を示す概念図である。 図10Bは光学部材の45°入射の無偏光光線の反射率を測定する方法を示す概念図である。 図10Cは光学部材の5°入射の無偏光光線の反射率を測定する方法を示す概念図である。 図10Dはプリズム状基材からなる光学部材の45°入射の無偏光光線の反射率を測定する方法を示す概念図である。 図10Eは光学部材の分光透過効率を測定する方法を示す概念図である。 図10Fは分光透過効率測定における参照とする光量100%を測定する方法を示す概念図である。 図10Gはカバーガラスを介した分光透過効率を測定する方法を示す概念図である。 図11は青、緑、赤の各センサ画素の波長別感度を示すグラフである。
[光学部材]
当該光学部材は、反射面を備え、上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の平均反射率が、400nm以上640nm以下の波長領域で80%以上、700nm以上1150nm以下の波長領域で8%以下である。
当該光学部材は、400nm以上640nm以下の波長領域の光を反射するが、700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制する。ここで「反射する」とは、鏡面反射において65%以上の反射率であることをいい、「反射を抑制する」とは、鏡面反射において20%以下の反射率であることをいう。当該光学部材に入射した400nm以上640nm以下の波長領域の光は、上記反射面で反射されて光路が変換される。また、当該光学部材に入射した700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射は抑制され、未反射の光は当該光学部材を透過するか当該光学部材に吸収される。例えば、上記反射面に対して光が垂直から45°で入射された場合、400nm以上640nm以下の波長領域の光は、鏡面反射により45°の反射角で反射され、光路が入射した方向に対して90°変換されるが、一方、700nm以上1150nm以下の波長領域の光においては、かかる光路変換が抑制される。当該光学部材によって、例えば可視光を反射する反射鏡の機能と近赤外光を遮蔽する光学フィルターの機能とを一つの部材で兼ね備えることが可能となる。
当該光学部材は、400nm以上640nm以下の波長領域の光を鏡面反射することができ、かかる鏡面反射により上記可視光の光路変換を行うことができる。例えば、当該光学部材をカメラモジュールに用いた場合、上記光路変換を行うことで十分な光路長を確保することができるため、その光路にズームレンズ等を組み込むことができる。
また、当該光学部材は、光学センサに使われるシリコンフォトダイオードの感度が高く人間の視感度が低い700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制することができる。当該光学部材をカメラモジュールに用いた場合、700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制し、シリコンフォトダイオードでの感知を妨げることができる。その結果、上記カメラモジュールは、赤色を人間の目で自然な色合いにさせる視感度補正が良好となる。また、光学フィルターを用いた場合に生じる光学フィルターの反射光に由来するゴースト等の画像不良の発生を抑制することができる。
当該光学部材は、上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の最大反射率が、700nm以上1150nm以下の波長領域で20%以下であるとよい。これにより、700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制することができる。
当該光学部材は、上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の反射率が、650nmの波長で65%以上であるとよい。これにより、650nmの波長の光を鏡面反射することができ、かかる鏡面反射により人間の視感度の高い650nmの波長の光について光路変換を行うことができる。
[反射面]
上記反射面の態様は限定されない。例えば、上記反射面が基材に構成されていてもよいし、上記反射面がプリズムの斜面に構成されていてもよい。上記反射面がプリズムの斜面に構成される場合、プリズムの形状は限定されない。また、単層樹脂や積層フィルムの表面に上記反射面が構成されていてもよいし、基材に塗工することにより上記反射面を構成してもよい。
[基材]
当該光学部材は、基材と、上記反射面を構成する反射層とを備え、上記基材が、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を有する化合物を含有するとよい。上記基材に含有される上記化合物が680nm以上1200nm以下の領域の光を吸収することにより、当該光学部材はシリコンフォトダイオードの感度が高く、人間の視感度が低い700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制することができる。上記基材は、本発明の効果を損なわない限り材質、形状等は特に制限されないが、透明無機材、透明樹脂等を用いることが可能である。上記光学部材は、図5A又は図5Bのように一つの基材から形成されていても、図5C、図5D又は図5Eのように複数の基材から形成されていても、図5Fのように曲面を有する基材から形成されていてもよい。
[反射層]
上記反射層の態様は限定されない。例えば、誘電体多層膜、高屈折率材料を含む高屈折材料層、中屈折率材料を含む中屈折率材料層、低屈折率材料を含む低屈折材料層、金属層、半導体層、高屈折率材料、中屈折率材料、低屈折材料を分散させた樹脂層等の態様であってよい。また、複数の反射層を組み合わせた態様であってもよい。さらに、上記基材の一方の面に上記反射層が積層されていてもよく、複数の面に上記反射層が積層されていてもよい。上記基材に反射層が積層される場合は、反射層の表面に反射面が構成されてもよいし、反射層と基材が接する面に反射面が構成されてもよい。
[化合物]
上記化合物は、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大があれば特に限定されない。例えば、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ヘキサフィリン系化合物、アゾ系化合物、ナフトキノン系化合物、ポリメチン系化合物、オキソノール系化合物、ピロロピロール系化合物、トリアリールメタン系色素、ジイモニウム系化合物、ジチオール錯体系化合物、ジチオレン錯体系化合物、ジピロメテン系化合物、メルカプトフェノール錯体系化合物、メルカプトナフトール錯体系化合物等が挙げられる。なお上記化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記化合物は、上記基材に対して0.01質量%以上80.0質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。上記基材の含有量が上記範囲内であれば、適切な光学特性が得られやすい。
[プリズム]
当該光学部材は、頂角が70°以上120°以下である三角形断面を有するプリズムを備えるとよい。かかる場合、上記反射面が上記プリズムの上記頂角に対向する斜面に構成される。これにより上記反射面の斜角が変動することなく、一定の反射角で鏡面反射をすることができる。上記頂角は、80°以上110°以下であるとより好ましく、略直角であるとさらに好ましい。
[入光面]
上記プリズムは、上記反射面に向かって入射する光が透過する入光面をさらに備えているとよい。上記入光面の光学特性としては、上記入光面に対して垂直から5°で入射した無偏光光線の平均反射率が、400nm以上640nm以下の波長領域で20%以下であるとより好ましい。上記入光面の光学特性が上記範囲内であれば、光が上記入光面に対して略垂直方向に入射する際に、上記入光面での400nm以上640nm以下の波長領域の可視光に対する反射を防止することができる。
上記入光面の光学特性は、上記入光面に対して垂直から5°で入射した無偏光光線の平均反射率が、700nm以上1150nm以下の波長領域で20%以下であると好ましく、10%以下であるとより好ましく、5%以下であるとさらに好ましい。上記入光面の光学特性が上記範囲内であれば、光が上記入光面に対して略垂直方向に入射する際に、上記入光面での700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を防止することができる。
[出光面]
上記プリズムは、上記反射面において反射された光が透過する出光面をさらに備えているとよい。上記出光面の光学特性としては、上記出光面に対して垂直から5°で入射した無偏光光線の平均反射率が、750nm以上1150nm以下の波長領域で20%以下であると好ましく、10%以下であるとより好ましく、5%以下であるとさらに好ましい。上記出光面の光学特性が上記範囲内であれば、上記反射面において反射された光が上記出光面に対して略垂直方向に入射する際に、上記出光面での750nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を防止することができる。
[分光透過効率]
上記プリズムは、入光面を入射後、上記反射面に対して垂直から45°の角度で反射して出光面を透過する無偏光光線において、平均透過効率が400nm以上640nm以下の波長領域で80%以上、700nm以上1150nm以下の波長領域で8%以下、透過率が600nmの波長で80%以上、かつ最大透過効率が700nm以上1150nm以下の波長領域で20%以下であるとよい。ここで、「平均透過効率」とは上記入光面に入射した無偏光光線の光量に対する、無偏光光線が反射面による反射を経て、出光面から出光した無偏光光線の光量の比率をいう。上記プリズムの光学特性が上記範囲内であれば、上記プリズムに入光した光が、反射面による反射及び出光面からの透過を通じて、人間の視感度の低い700nm以上1150nm以下の波長領域の光の透過を抑え、人間の視感度の高い400nm以上640nm以下の波長領域の光を透過させることができる。
[カメラモジュール]
当該カメラモジュールは、光学部材を備えるカメラモジュールであって、上記光学部材が反射面を備え、上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の平均反射率が、400nm以上640nm以下の波長領域で80%以上、700nm以上1150nm以下の波長領域で8%以下である。
当該カメラモジュールによれば、人間の視感度が低い700nm以上1150nm以下の波長領域の光について、上記反射面における反射を抑制することで、赤色を人間の目で自然な色合いにさせる視感度補正が良好となる。また、当該カメラモジュールは、400nm以上640nm以下の波長領域の光の光路を変換することで十分な光路長を確保することができるため、その光路にズームレンズ等を組み込むことができ、光学式望遠機能の高性能化が可能である。さらに当該カメラモジュールは、近赤外光を遮蔽する光学フィルターを削減することが可能であり、光学フィルターを用いた場合における反射光に由来するゴースト等の画像不良の発生を抑制することができる。当該カメラモジュールは、上述した光学フィルターを削減することによって、薄型化を実現することが容易である。
当該カメラモジュールは、光学センサをさらに備えているとよい。上記光学センサは、例えば、多数のフォトダイオードがマトリックス状に配置された受光面を備えることができる。上記光学センサは、上記光学部材で反射した光を受光することができ、光電変換して撮像信号を出力する。
当該カメラモジュールは、レンズをさらに備えているとよく、上記レンズと上記光学センサとの間に光学フィルターを有さないとよい。光学フィルターを削減することによって、カメラモジュールの薄型化を実現することが容易である。
当該カメラモジュールは、潜望鏡形状の光学系収納ユニットをさらに備えているとよい。上記光学系収納ユニットは、光路が略直角となるように複数の上記光学部材が配置される。これにより、より長い光路長を確保することができるため、光学式望遠機能の高性能化及び薄型化の実現が可能となる。また、上記光学系収納ユニットは、一の上記光学部材と他の上記光学部材との間に上記レンズ、平面光学部材等を配置することが可能である。
当該カメラモジュールは、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ウェブカメラ等の固体撮像装置に有用である。当該カメラモジュールが備える上記光学部材によって、可視光の光路変換と近赤外光の遮蔽が両立できるため、当該カメラモジュールは、上述に例示した固体撮像装置の小型化、薄型化の設計をしつつ光学式望遠機能の高性能化を両立させることが容易である。
当該カメラモジュールは、特定の波長領域の光を吸収する吸収体を備えていてもよい。上記吸収体は、上記光学部材に入射した光であって上記反射面を反射せずに透過した光の光路上に設けられる。上記吸収体の光学特性として、上記吸収体に垂直方向から5°で入射する無偏光光線に対する平均反射率が、700nm以上1150nm以下の波長領域で10%以下であると好ましく、5%以下であるとより好ましい。上記吸収体の光学特性が上記範囲内であれば、上記反射面を反射せずに透過した光を吸収し、当該カメラモジュール内での乱反射を防止することができる。
当該カメラモジュールは、特定の波長領域の光を受光する近赤外線センサを備えていてもよい。上記近赤外線センサは、上記光学部材に入射した光であって上記反射面を反射せずに透過した光の光路上に設けられる。上記反射面を反射せずに透過した光を受光し、当該カメラモジュール周囲の明るさを感知することができる。これにより、固体撮像のための受光部と環境光の受光部を一つにすることが可能であり、意匠性の高いカメラモジュールを提供することが可能となる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る光学部材及びカメラモジュールについて図面を参照しつつ、詳説する。
[光学部材の実施形態の詳細]
図1に示す光学部材1は、直角二等辺三角形断面を有するプリズム5を備えている。プリズム5は直角三角柱状であり、反射面2、入光面3及び出光面4を備えている。直交する二つの平面が入光面3及び出光面4を構成し、入光面3及び出光面4に鋭角(図1の実施形態では45°)を成して交差する斜面が反射面2を構成している。
光学部材1の入光面3から入射した光は、入光面3を透過し、反射面2で反射される。反射面2で反射された光は、出光面4を透過して光学部材1から出光する。反射面2の光学特性としては、反射面2に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の平均反射率が、400nm以上640nm以下の波長領域で80%以上、700nm以上1150nm以下の波長領域で8%以下である。
光学部材1は、400nm以上640nm以下の可視光を反射面2で鏡面反射することができ、かかる鏡面反射により光路変換を行うことができる。また、光学部材1は、シリコンフォトダイオードの感度が高く、人間の視感度が低い700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制することができる。さらに、光学部材1は、400nm以上640nm以下の可視光における光路変換に伴う光量の損失を抑制することができる。
光学部材1における反射面2の光学特性はまた、反射面2に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の最大反射率が、700nm以上1150nm以下の波長領域で20%以下であるとよい。光学部材1に入射した光が反射面2に対して垂直から45°に入射した場合に、光学部材1は、反射面2での700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を防止することができる。これにより光学部材1は、光学センサに用いられるシリコンフォトダイオードの感度が高い700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する鏡面反射及び光路変換を抑制できる。
光学部材1における反射面2の光学特性はさらに、反射面2に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の反射率が、650nmの波長で65%以上であるとよい。光学部材1に入射した光が反射面2に対して垂直から45°に入射した場合に、光学部材1は、人間の視感度の高い650nmの波長の光を鏡面反射によって光路変換することができる。
光学部材1によれば、一つの部材により、可視光の光路変換と近赤外光の遮蔽性能とが両立される。さらに光学部材1によれば、例えば可視光を反射する反射鏡の機能と近赤外光を遮蔽する光学フィルターとの機能を一つの部材で兼ね備えることが可能となる。
上記実施形態にあっては、プリズム5が直角二等辺三角形断面を有するものについて説明したが、プリズム5の形状は三角形断面を有するものであればこれに限定されるものではない。上記三角形断面における頂角の一つが70°以上120°以下であるとよく、80°以上110°以下であるとより好ましく、略直角であるとさらに好ましい。プリズム5が直角三角形断面を有する場合、直角を構成する二辺は、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。また、プリズム5の材料は、後述する基材に用いる材料を用いることができる。
図1に示す光学部材1の実施形態においては、直角三角形断面を有する形状のプリズムを備える形態について説明したが、プリズムの形状は三角柱形状に限られず、四角形その他多角形であってもよい。フィルム、薄膜、平板等、単層樹脂、積層構造物等の形態であってもよい。例えば、図2に示す光学部材11のように反射面12を備える平板上の形態であってもよい。
光学部材11が板形状である場合、厚みは特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.01mm以上0.2mm以下、より好ましくは0.015mm以上0.15mm以下、特に好ましくは0.02mm以上0.1mm以下である。光学部材の厚みが上記範囲にあると、取り扱い容易性に優れ、得られた光学部材を用いたカメラモジュール等をより軽くすることが可能となる。
図3に示す光学部材21のように、反射面22を構成する反射層23を有していてもよい。例えば、反射層23は基材24に積層することができる。基材24は、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を有する化合物を含有しているとよい。上記化合物が680nm以上1200nm以下の領域の光を吸収することにより、光学部材21はシリコンフォトダイオードの感度が高く、人間の視感度が低い700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制することができる。
上記化合物は、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大があれば特に限定されない。例えば、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、ヘキサフィリン系化合物、アゾ系化合物、ナフトキノン系化合物、ポリメチン系化合物、オキソノール系化合物、ピロロピロール系化合物、ジイモニウム系化合物、ジチオール錯体系化合物、ジチオレン錯体系化合物、ジピロメテン系化合物、メルカプトフェノール錯体系化合物、メルカプトナフトール錯体系化合物、酸化銅系化合物、リン酸銅系化合物、ホスホン酸銅系化合物等が挙げられる。上記化合物は、基材24に対して0.01質量%以上80.0質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
上記スクアリリウム系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばスクアリン酸構造を持つスクアリリウム系色素等が挙げられる。スクアリリウム系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つスクアリリウム系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つスクアリリウム系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記フタロシアニン系化合物又は上記ナフタロシアニン系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン等が挙げられる。中心金属としては、銅、亜鉛、コバルト、バナジウム、鉄、ニッケル、錫、銀、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、鉛等を用いることができる。フタロシアニン系化合物又はナフタロシアニン系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つフタロシアニン系化合物又はナフタロシアニン系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つフタロシアニン系化合物又はナフタロシアニン系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記クロコニウム系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばクロコニウム構造を持つクロコニウム系色素等が挙げられる。クロコニウム系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つクロコニウム系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つクロコニウム系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記ヘキサフィリン系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばヘキサフィリン、フロリン型ヘキサフィリン等が挙げられる。ヘキサフィリン系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つヘキサフィリン系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つヘキサフィリン系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記アゾ系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばジアゾ系色素やトリアゾ系色素等が挙げられる。アゾ系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つアゾ系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つアゾ系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記ナフトキノン系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば1,4二置換5,8-ナフトキノン誘導体等が挙げられる。ナフトキノン系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つナフトキノン系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つナフトキノン系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記ポリメチン系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばシアニン類、メロシアニン類、カルボシアニン類、アザシアニン類、チアシアニン類、ブルッカーメロシアニン等が挙げられる。上記オキソノール系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、オキソノールVI等のオキソノール類等が挙げられる。ポリメチン系化合物又はオキソノール系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つポリメチン系化合物又はオキソノール系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つポリメチン系化合物又はオキソノール系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記ピロロピロール系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばジケトピロロピロール構造を持つ化合物等が挙げられる。ピロロピロール系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つピロロピロール系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つピロロピロール系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記ジイモニウム系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン、過ヨウ素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等のジイモニウム塩、国際公開第2018/043564号の段落[0049]から[0061]に記載のジイモニウム系化合物等が挙げられる。ジイモニウム系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つジイモニウム系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つジイモニウム系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記ジチオール錯体系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばジチオール金属錯体等が挙げられる。上記ジチオレン錯体系化合物としては、例えばジチオレン金属錯体等が挙げられる。中心金属としてはともに、遷移金属等を用いることができる。ジチオール錯体系化合物又はジチオレン錯体系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つジチオール錯体系化合物又はジチオレン錯体系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つジチオール錯体系化合物又はジチオレン錯体系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記ジピロメテン系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばジピロメテン系ホウ素錯体化合物等が挙げられる。ジピロメテン系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つジピロメテン系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つジピロメテン系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記メルカプトフェノール錯体系化合物としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えばメルカプトフェノール誘導体の金属錯体等が挙げられる。上記メルカプトナフトール錯体系化合物としては、例えばメルカプトナフトール誘導体の金属錯体等が挙げられる。中心金属としてはともに、遷移金属等を用いることができる。メルカプトフェノール錯体系化合物又はメルカプトナフトール錯体系化合物の一部は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持たないものも含まれるが、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つメルカプトフェノール錯体系化合物又はメルカプトナフトール錯体系化合物を選択する、又は680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を持つメルカプトフェノール錯体系化合物又はメルカプトナフトール錯体系化合物を併用することで、基材24に含有される上記化合物として使用できる。
上記化合物は、一般的に知られている方法で合成することができる。当該合成方法としては、例えば、特開昭60-228448号公報、特開平1-146846号公報、特開平1-228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63-124054号公報、「フタロシアニン-化学と機能―」(アイピーシー、1997年)、特開2007-169315号公報、特開2009-108267号公報、特開2010-241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報に記載されている方法を挙げることができる。
[基材]
基材24は透明無機材であってよい。透明無機材としては特に限定されないが、石英、ホウケイ酸塩系ガラス、ケイ酸塩系ガラス、化学強化ガラス、物理強化ガラス、ソーダガラス、リン酸塩系ガラス、アルミナガラス、サファイアガラス、色ガラス等が挙げられる。これらの市販品としては、SCHOTT社製の、D263、BK7、B270、KG1又はKG1を上記基材の形状に切削したもの、KG3又はKG3を上記基材の形状に切削したもの、KG5又はKG5を上記基材の形状に切削したもの、HOYA(株)製の、C5000を上記基材の形状に切削したもの、CD5000を上記基材の形状に切削したもの、E-CM500Sを上記基材の形状に切削したもの、コーニング社製の、GorillaGlass、WillowGlass、松浪硝子工業(株)製の、BS1~11及びBS1~11を上記基材の形状に切削したもの、日本ガイシ(株)製のハイセラム等が挙げられる。これらの中でも可視光透過率の高さと近赤外線遮蔽性能に優れる等の点から、ホウケイ酸塩系ガラス又はリン酸塩系ガラスが好ましく、ホウケイ酸ガラスとしては、特に制限されないが、上記D263、BK7、B270、KG1、KG3、KG5等が挙げられ、リン酸塩系ガラスとしては、特に制限されないが、銅原子を含むリン酸銅塩系ガラス等が挙げられる。銅原子を含むリン酸銅塩系ガラスは、例えば、特表2015-522500号公報、国際公開第2011/071157号、国際公開第2017/208679号に記載の方法で得ることができる。リン酸塩系ガラスとしては、高温高湿環境下において光学特性の変化が少ない傾向にあるフッ素原子を含むフツリン酸塩系ガラスが好ましい。
また、基材24の材質は透明樹脂であってもよい。透明樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、熱安定性及び板状体への成形性等を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうる基材とするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃以上380℃以下、より好ましくは110℃以上370℃以下、さらに好ましくは120℃以上360℃以下である樹脂が挙げられる。また、上記樹脂のTgが150℃以上であると、樹脂に添加剤を高濃度に添加することでTgが低下した場合においても、誘電体多層膜を高温で蒸着形成し得る基材となるため、特に好ましい。
上記透明樹脂としては、当該樹脂のみからなる厚み0.05mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JIS K7375)が、好ましくは50%以上96%以下、さらに好ましくは60%以上96%以下、特に好ましくは70%以上96%以下となる樹脂を用いることが望ましい。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基材は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
上記透明樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000以上350,000以下、好ましくは30,000以上250,000以下であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000以上150,000以下、好ましくは20,000以上100,000以下である。
上記透明樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、ゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂等が挙げられる。これらの中では、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂を用いることが、透明性(光学特性)、耐熱性、耐リフロー性等のバランスにより優れる光学部材が得られる等の点で好ましい。透明樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
図4に示す光学部材1のように上記基材を用いてプリズムを形成してもよい。光学部材1は、図4における長さLが0.5mm以上100mm以下、幅Wが0.5mm以上100mm以下、高さHが0.5mm以上100mm以下、より好ましくは長さLが0.5mm以上50mm以下、幅Wが0.5mm以上50mm以下、高さHが0.5mm以上50mm以下、さらに好ましくは長さLが0.5mm以上20mm以下、幅Wが0.5mm以上20mm以下、高さHがC0.5mm以上20mm以下であるとよい。
[基材の製造方法]
基材24が、上記透明樹脂を含む板状基材である場合、基材24は、例えば、溶融成形又はキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤、帯電防止剤等のコーティング剤等をコーティングすることで、オーバーコート層が積層された基材を製造することができる。
基材24が、透明無機材製支持体や樹脂製支持体上に添加剤又は上記透明樹脂を含有する透明樹脂層が積層された基材である場合、例えば、透明無機材製支持体や樹脂製支持体に添加剤を含む樹脂溶液を溶融成形又はキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェット等の方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、透明無機材製支持体や樹脂製支持体上に上記透明樹脂層が形成された基材を製造することができる。
[溶融成形]
上記溶融成形としては、具体的には、基材24が樹脂と添加剤を含む場合、樹脂と添加剤とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法、樹脂と添加剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法、添加剤、樹脂、溶剤等を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法等が挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形、ブロー成形等を挙げられる。基材24が透明無機材を含む場合、無機材の融点や離型性に応じて、白金るつぼ、白金-ロジウムるつぼ、金るつぼ、イリジウムるつぼ、アルミナ磁器製るつぼ等を使用し、るつぼ内にて透明無機材を溶融した後、オーバーフロー法、フロート法等で成形する方法が挙げられる。
[キャスト成形]
上記キャスト成形としては、添加剤、樹脂、溶剤等を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法が挙げられる。また、添加剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射、加熱等の適切な手法により硬化させる方法であってもよい。
基材24が、添加剤を含有する上記透明樹脂層からなる板状基材である場合には、基材24は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができる。基材24が、透明無機材製支持体や樹脂製支持体等の支持体の上に添加剤、硬化性樹脂等を含有するオーバーコート層等の透明樹脂層が積層された板状基材である場合には、基材24は、例えば、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。
上記支持体としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラム、透明樹脂(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)製支持体が挙げられる。
さらに、透明無機材又は透明樹脂製等の光学部材に、上記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、又は上記硬化性組成物をコーティングして硬化、乾燥させる方法等により、光学部材上に透明樹脂層を形成することもできる。
基材が、添加剤を含有する透明樹脂層からなるプリズム状基材である場合には、溶融成形により得ることができる。
上記方法で得られた基材中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、上記残留溶剤量は、透明樹脂層や透明樹脂製基材100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が上記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる透明樹脂層や透明樹脂製基材を容易に得ることができる。
[添加剤]
基材24は、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、光安定化剤、蛍光消光剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。これら添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,2’-ジオキシ-3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトが挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキサゾール系化合物、メロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ナフタルイミド系化合物、オキサジアゾール系化合物、オキサジン系化合物、オキサゾリジン系化合物、ナフタル酸系化合物、スチリル系化合物、アントラセン系化合物、環状カルボニル系化合物等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤は、好ましくは350nm以上410nm以下、より好ましくは350nm以上405nm以下、さらに好ましくは360以上400nm以下の範囲に吸収極大波長を有することが望ましい。上記範囲に吸収極大波長を有することで、視感度補正がより優れた光学部材を容易に得ることができる。また、上記吸収極大波長は、紫外線吸収剤をジクロロメタン中に溶解させた溶液を用いて測定することができる。
[誘電体多層膜]
本発明に係る光学部材は、反射面を構成する反射層が、誘電体多層膜であってもよい。上記誘電体多層膜は複数であってもよい。例えば、図5Aに示す光学部材31は、反射面32を構成する反射層が誘電体多層膜36aであって、基材35のもう一方の面に誘電体多層膜36bを有している。光学部材31は、基材35の反射面を構成する面のみに誘電体多層膜36aを有してもよい。光学部材31は、その反りを抑制できる等の点から、基材の両面に誘電体多層膜36a及び36bを有することが好ましく、誘電体多層膜36aと誘電体多層膜36bとの総物理膜厚の差の絶対値が5.0μm未満であることがより好ましい。より好ましくは、4.0μm未満であり、いっそう好ましくは3.0μm未満、さらに好ましくは2.0μm未満、特に好ましくは1.5μm未満、最も好ましくは1.0μm未満である。誘電体多層膜36aと誘電体多層膜36bとの総物理膜厚の差の絶対値が0.1μm以上5.0μm未満の場合、反りを抑制する点から、一方の面の誘電体多層膜を形成する際の温度と、もう一方の面の誘電体多層膜を形成する際の温度が、10℃程度から80℃程度の範囲で異なるようにすることが好ましい。
図5Bに示す光学部材41aのように、誘電体多層膜46aはプリズム形状の基材45が備える反射面42を構成してもよい。また、入光面43が誘電体多層膜46bに構成されていてもよいし、出光面44が誘電体多層膜46cに構成されていてもよい。図6A及び図6Bに示す通り、光学部材41aの入光面43から入射した光Lは、入光面43を透過し、反射面42で反射される。反射面42で反射された反射光L1は、出光面44を透過して光学部材41から出光する。また、反射面42で反射されなかった透過光L2は、反射面42を透過して光学部材41から出光する。本発明に係る光学部材は、図5C、図5D又は図5Eのように複数の基材45から形成されていても、図5Fのように基材45が曲面を有していてもよい。
上記誘電体多層膜は、例えば高屈折率材料層、低屈折率材料層、中屈折率材料層等から構成することができる。
上記高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が2.0以上の材料が挙げられ、通常、屈折率が2.0以上3.6以下である材料が選択される。なお、屈折率は、波長550nmの光における値を表す。
上記高屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウム、ケイ素等を主成分とし、水素、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化錫、酸化セリウム等を主成分に対して例えば0質量%超10質量%以下の量で含有させたもの、上記透明樹脂等の樹脂に酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チタン酸バリウム又はケイ素等を分散させたものが挙げられる。
上記低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6未満の材料が挙げられ、通常、屈折率が1.2以上1.6未満である材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が挙げられる。また、シリカ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等を上記透明樹脂に分散させたものが挙げられる。
上記中屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以上2.0未満の材料が挙げられる。このような材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ユーロピウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデンが挙げられる。また、これらの材料と上記高屈折率材料層を構成する材料、上記低屈折率材料層を構成する材料とを混合したもの、上記高屈折率材料層を構成する材料と上記低屈折率材料層を構成する材料、これらの材料を上記透明樹脂等の樹脂に分散させたものを混合したもの等が挙げられる。
上記誘電体多層膜は、1nmから100nm程度の金属層又は半導体層を有してもよい。これらの層を構成する材料としては、屈折率が0.1から5.0程度の材料等が挙げられる。このような材料としては、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、タングステン、チタン、マグネシウム、ニッケル、シリコン、水素化シリコン、ゲルマニウム等が挙げられる。
上記誘電体多層膜を形成する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、上記基材上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜、又は高屈折率材料層と中屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。透明樹脂を含む層を積層する場合、上記基材の成形方法と同様に溶融成形又はキャスト成形等により、好ましくはスピンコート、ディップコート、スリットコート、グラビアコート等により形成することができる。
これらの中でも上記基材との密着性、湿度による誘電体多層膜の光学特性の変化が少ない等の観点からスパッタ法、イオンアシスト蒸着法、又はイオンプレーティング法が好ましい。
例えば、上記イオンアシスト蒸着を行うことができる装置としては、ビューラーライボルトオプティクス社製SYRUSproシリーズ、(株)オプトラン製OTFCシリーズ、(株)シンクロン製MICシリーズ、EPDシリーズ、新明和工業(株)製VCDシリーズ、(株)昭和真空製Sapioシリーズ等が挙げられる。
上記イオンアシスト蒸着では、蒸着の成膜レートを水晶振動子により制御し、上記誘電体多層膜の各層の光学膜厚を、反射強度から見積もる光学モニターにより制御することが好ましい。物理膜厚60nm以下の層を形成する場合、水晶振動子の成膜レートの積算値により膜厚を制御することが好ましい。水晶振動子の成膜レートの積算値により膜厚を制御することにより、光学モニターによる光学膜厚制御のズレを低減することができる。
上記誘電体多層膜の形成は90℃以上で行うことが好ましい。90℃以上とすることで、得られた光学部材を90℃に加熱した際における膜剥がれや得られる誘電体多層膜の割れ、クラックの発生が少なくなる。光学部材の耐熱温度向上等の観点から、上記誘電体多層膜の形成温度は、より好ましくは120℃以上である。
上記誘電体多層膜を蒸着によって形成する場合、蒸着開始真空度は、好ましくは0.01Pa以下、より好ましくは0.005Pa以下、さらに好ましくは0.001Pa以下である。蒸着開始真空度をより高真空とすることで、得られる誘電体多層膜中の含水率を下げることが可能となり、得られる光学部材が湿度に応じて光学特性が変化する現象を低減することができる。上記誘電体多層膜を上記イオンアシスト蒸着によって形成する場合、上記誘電体多層膜形成中の真空度は0.05Pa以下であることが好ましい。0.05Pa以下とすることで、得られる誘電体多層膜の平滑性がよく、ヘイズの低い光学部材を得ることができる。
また、上記イオンアシスト蒸着におけるイオン供給装置であるイオンガンに導入するガスは、酸素ガス又は酸素ガスと希ガスとの混合ガスであることが好ましい。酸素ガス又は酸素ガスと希ガスとの混合ガスを用いることで、誘電体多層膜の吸収が少なく、平滑性がよく、結晶性の少ない膜を有する誘電体多層膜を得ることができる。
上記誘電体多層膜の構成を適切に設定することで、具体的には、高屈折率材料層、中屈折率材料層、低屈折率材料層等を構成する材料種、高屈折率材料層、中屈折率材料層、低屈折率材料層等の各層の厚み、積層の順番、積層数等を適切に選択することで、本発明に係る光学部材を得ることができる。
[反射帯域]
上記誘電体多層膜は、積層する各層の膜厚を適切に設定することで、光学干渉により反射帯域を形成する。ここで反射帯域とは、上記誘電体多層膜形成面から45°の角度から入射した際に反射率が80%以上となる波長帯域のことをいう。本発明の光学部材は、400nm以上640nm以下の可視光線波長領域を効率よくセンサへ届けるため、上記波長領域に反射率80%以上の上記反射帯域を有する反射面を備える。より効率良くセンサに可視光線を届ける為に、上記反射率は85%以上、いっそう好ましくは90%以上である。また、ノイズやゴーストの原因となる人間の目の視感度が低い700nm以上1150nm以下の近赤外線波長領域をセンサへ侵入することを防ぐ為に、上記波長領域に反射帯域を有さない。700nm以上1150nm以下の波長領域の反射率は8%以下であり、よりノイズを低減する観点から6%以下、さらに好ましくは4%以下である。
[その他の機能膜]
本発明に係る光学部材は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記基材と上記誘電体多層膜との間、上記基材の上記誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、又は上記誘電体多層膜の上記基材が設けられた面と反対側の面に、上記基材や上記誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止、傷消し等の目的で、反射防止層、ハードコート膜、帯電防止膜等の機能膜を適宜有していてもよい。本発明に係る光学部材は、上記機能膜を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明に係る光学部材が上記機能膜を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
上記機能膜を積層する方法としては特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤及び帯電防止剤等のコーティング剤等を上記基材や上記誘電体多層膜に、上記と同様に溶融成形又はキャスト成形する方法等が挙げられる。また、上記コーティング剤等を含む硬化性組成物を、バーコーター等で上記基材や上記誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
上記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等が挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系樹脂等が挙げられる。これらのコーティング剤を含む上記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系硬化性組成物等が挙げられる。
上記硬化性組成物は重合開始剤を含んでいてもよい。上記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤や熱重合開始剤等を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。上記重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記硬化性組成物中、上記重合開始剤の配合割合は、上記硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下、特に好ましくは1質量%5質量%以下である。上記重合開始剤の配合割合が上記範囲にあると、得られる硬化性組成物の硬化特性及び取り扱い性に優れ、所望の硬度を有する反射防止層、ハードコート膜、帯電防止膜等の上記機能膜を容易に得ることができる。
上記硬化性組成物には有機溶剤を加えてもよく、上記有機溶剤としては、公知の溶剤を使用することができる。上記有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記機能膜の厚みは、好ましくは0.9μm以上30μm以下、より好ましくは0.9μm以上20μm以下、特に好ましくは0.9μm以上5μm以下である。
上記基材と上記機能膜又は上記誘電他多層膜との密着性や、上記機能膜と上記誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、上記基材、上記機能膜又は上記誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理、真空紫外線処理等の表面処理をしてもよい。
[遮光膜]
また、本発明に係る光学部材は、その最表層又は層中の一部に遮光膜を有してもよい。例えば、図7Aの光学部材51は、基材53の表面に遮光膜52を有している。また、図7Bの光学部材61は、基材63の入光面及び出光面に遮光膜62a及び遮光膜62bを有している。このように遮光膜を有することで、光学部材51又は光学部材61を備える固体撮像装置やカメラモジュールにおいて、フレームやレンズで反射した光がセンサに入射することを抑制でき、ゴーストが抑制された画像を容易に得ることができるため好ましい。
上記遮光膜を形成する材料としては、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ニッケル、チタン、クロム等の金属材料、上記金属材料の酸化物、黒鉛やカーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素材料、1種又は複数種の顔料からなる吸収材料、1種又は複数種の染料等が挙げられる。これらの中でも、形状制御の容易性等の点から紫外線硬化樹脂を含むことが好ましい。
上記遮光膜の厚みは、好ましくは0.1μm以上10μm以下である。上記遮光膜の厚みが0.1μm未満の場合、十分なOptical Density(OD値)を得ることが困難となる傾向にあり、10μmを超える場合、上記遮光膜端面における回析や反射の影響が大きくなる傾向にある。好ましくは厚み0.5μm以上4.0μm以下である。
本発明に係る光学部材に設ける上記遮光膜は1箇所でも複数箇所でもよい。ここで、遮光膜の数について、連続している帯域が一つの遮光膜を形成しているとみなし、遮光膜を複数有するとは、非連続の遮光膜を複数有することを意味する。
上記遮光膜は、D65光源(国際証明委員会(CIE)により定義された標準光源)における全光線透過率において、OD値が、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上である。OD値が上記範囲にあれば、迷光を十分に遮光することができる。
上記遮光膜の形成方法としては特に制限されず、塗布方法、スパッタリング法、真空蒸着法、スクリーン印刷法等が挙げられる。該塗布方法としては、スピンコート法、バーコート法、ディップコート法、キャスト法、スプレーコート法、ビードコート法、ワイヤーバーコート法、ブレードコート法、ローラーコート法、カーテンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、スリットリバースコート法、マイクログラビア法、コンマコート法等が挙げられる。これらの方法における塗布は、複数回に分けて実施してもよい。
上記遮光膜は、複数の遮光膜と協同し、フレネルゾーンプレートやモザイクマスクを形成してもよい。上記フレネルゾーンプレートを構成する光学部材は、レンズの代替とすることができ、得られる固体撮像装置やカメラモジュール、センサモジュール等をより薄型にすることができ好ましい。モザイクマスクを構成する遮光膜は、レンズを不要とすることができ、得られる画像を計算処理することで、焦点距離を変えることができる画像データが得られることから好ましい。
本発明に係る光学部材は、光路に関与しない位置に凹凸部を有してもよい。図8Aでは、光学部材71の両側面に直方体形状の凸部72a及び凸部72bを設けた一例を示す。なお、図8Bは、入光面に対して垂直方向から見た光学部材71の上面図である。図8Cは反射面に対して垂直方向から見た光学部材71の下面図である。本発明に係る光学部材を備えるカメラモジュールにおいて、光学部材のずれによって、光の入射角がずれた場合、センサへ到達する光の光路が歪むことがある。光路に関与しない位置の凹凸部を基準とし光学部材の角度を固定できる観点から、本発明に係る光学部材は凹凸部を有することが好ましく、稜を有する凸部を有することがより好ましい。また、凹凸部は凹みであってもよい。
本発明に係る光学部材は、薄く、優れた視感度補正特性を有し、かつ入射光が高角度になっても、近赤外線帯域のカット特性に優れる。従って、高角度入射に対応した固体撮像装置、カメラモジュール、センサ等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。
[カメラモジュールの実施形態の詳細]
図9Aに示すカメラモジュール101aは、前述した光学部材1を備えており、光学部材1が反射面2を備えている。カメラモジュール101aは、さらにレンズ102と光学フィルター103aと光学センサ104aとを備えている。図9Bに示すカメラモジュール101bは、前述した光学部材11を備えており、光学部材11が反射面12を備えている。また、本発明に係るカメラモジュールは、レンズと光学センサとの間に光学フィルターを備えてなくてもよい。例えば、図9Cのカメラモジュール101cでは、レンズ102と光学センサ104aとの間に、光学フィルター103aを設置せず、光学部材1の入光前の光路上にカバーガラス107を設置している。
図9Aに示すカメラモジュール101aに入射した光は、反射面2で反射され、レンズ102を透過して光学センサ104aにて受光される。レンズ102は、一枚又は複数枚であってよい。また、レンズ102は、カメラモジュール101aのズーム性能等に応じて、凸レンズ、凹レンズ等が適宜設定される。
カメラモジュール101aは、光学部材1に入射した光の光路変換を反射面2によって行うことで、十分な光路長を確保することができる。そのため、光路に複数のレンズ102を組み込むことができる。カメラモジュール101aは、レンズ102によりズーム機能等を有することができる。また、カメラモジュール101aは、反射面2の光学特性によって、シリコンフォトダイオードの感度が高い700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する反射を抑制し、光学センサ104aにおける700nm以上1150nm以下の波長領域の光に対する感知を妨げることができる。その結果、カメラモジュール101aは、赤色を人間の目で自然な色合いにさせる視感度補正が良好となる。さらに、カメラモジュール101aは、その構成から近赤外光を遮蔽する光学フィルターを削減することができ、上記光学フィルターを用いた場合に生じる反射光に由来するゴースト等の画像不良の発生を抑制することができる。
図9Dに示すカメラモジュール101dは、レンズ102と、光路におけるレンズ102の前方に配置する光学部材1と、光路におけるレンズ102の後方に配置する光学部材1を備えている。また、カメラモジュール101dは、二つの光学部材1を備え、光路が略直角となるように二つの光学部材1が配置された潜望鏡形状の光学系収納ユニット108をさらに備えている。潜望鏡形状の光学系収納ユニット108を備えることで、光の入光面とセンサ面が並行となるため、カメラモジュールの厚みにセンサ幅が制限されず、より大面積のセンサとすることが可能になり好ましい。かかる構成のカメラモジュール101dは、光路を2回折り曲げることにより、長い光路長を確保することができるため、光学式望遠機能の高性能化及び薄型化の実現が可能となる。一方の光学部材1と他方の光学部材1との間にレンズ102又はレンズ代替平面光学素子106を有してもよい。また、図9Dに図示しないが、カメラモジュール101dは、光学フィルターを備えてもよく、複数の光学系収納ユニットを備えていてもよい。
図9Eに示すカメラモジュール101eは、特定の波長領域の光を吸収する吸収体105を備えている。吸収体105は、光学部材1に入射した光であって反射面2を反射せずに透過した光の光路上に設けられる。吸収体105の光学特性として、吸収体105に垂直方向から5°で入射する無偏光光線に対する平均反射率が、700nm以上1150nm以下の波長領域において10%以下であると好ましく、5%以下であるとより好ましい。
吸収体105は、例えば透明樹脂中に急峻な吸収特性を有する近赤外光吸収色素を含有させたものを用いることができる。上記近赤外吸収色素として、例えば、近赤外光を吸収する色素として作用する金属錯体系化合物や染料、顔料を用いることができ、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポリメチン系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、ジチオール金属錯体系化合物等を挙げることができる。
図9Fに示すカメラモジュール101fは、光学フィルターを備えることなく、反射面2を反射せずに透過した光の光路上に光学センサ104bが設けられている。光学センサ104bは環境光センサであるとよい。かかる構成のカメラモジュールは、反射面2を反射せずに透過した光を受光し、カメラモジュール101fの周囲の明るさを感知することができる。これにより、固体撮像のための受光部と環境光の受光部を一つのモジュール内に設置することが可能であり、意匠性の高いカメラモジュールを提供することが可能となる。カメラモジュール101fが備える光学センサ104bは、近赤外線センサであってもよい。この近赤外線センサは暗視の撮像や、対象との距離を測定することができる。
本発明に係るカメラモジュールは、図9Gのカメラモジュール101gのように、光学センサ104bの前に光学フィルター103bを設けてもよい。また、光学センサ104aの前に光学フィルター103aを設けることもできる。カメラモジュール101gは、光学フィルター103a及び光学フィルター103bの少なくとも一方を備えている。
本発明に係るカメラモジュールは、図9Hのカメラモジュール101hのように、光学センサ104aと光学フィルター103aの間に、フレネルゾーンプレート、フレネルレンズ、メタレンズ、モザイクマスク等のレンズとしての役割を有するレンズ代替平面光学素子106を設けてもよい。また、図9Iの光学部材1を備えるカメラモジュール101iのように、光を光学部材1の入光面から入光させず、反射面2で反射させてもよい。
本発明に係るカメラモジュールは、図9Jのカメラモジュール101jのように、光学部材11を回転可能な状態で備えていてもよい。光学部材11が適切な角度に固定された際に光学センサ104aに導光され、その他の角度の場合導光されないことから、光学部材11を用いたシャッター機能を設けることができる。
本発明に係るカメラモジュールは、図9Kに示すカメラモジュール101kのように、二つの光学部材1を有し、光路において光が反射される二番目の光学部材1と光学センサ104aとの間にさらにレンズ102が配置されていてもよい。
本発明に係るカメラモジュールは、図9Lのカメラモジュール101lのように、光学センサ104aの前面に光学フィルターを有さないことが、近赤外線によるノイズ・ゴースト低減の観点から好ましい。さらに光学部材11の前面に近赤外線カット性能を有するカバーガラス107を有することがいっそう好ましい。カバーガラス107は、特定の波長の光を透過する本発明の効果を損なわない限り限定されないが、その基材は光学部材と同様の素材を用いることができ、例えば、透明無機材、透明樹脂からなる。傷つきにくい観点から、透明無機材が好ましい。カバーガラス107は光学センサ感度向上、画像不良低下の観点から、反射防止層、誘電体多層膜を有しても良い。近赤外線を強く発する光源を光学センサに入射した際にも、近赤外線による画像不良を低下する観点から、カバーガラス107は、近赤外線カット機能を有する誘電体多層膜を有することが好ましく、カバーガラス107の垂直方向から入射した光における波長800nm以上1150nm以下の平均透過率が10%以下であることが好ましい。このような誘電体多層膜としては、例えば、後述する表7の設計(VII)などが挙げられる。
本発明に係るカメラモジュールは、さらに、焦点調整機構、位相検出機構、距離測定機構、虹彩認証機構、静脈認証機構、顔認証機構、血流量計、酸化型又は還元型ヘモグロビン量計、植生指数計等を備えていてもよい。このようなカメラモジュールは、画像や情報を電気信号として出力する装置に好適に使用することができる。また、このようなカメラモジュールは、レンズを有する構成でもよいし、レンズを有さない構成でもよい。また、光路を短くかつ収差の少ない画像を得る観点から、レンズとして反射型レンズを用いることが好ましい。
上記固体撮像素子を構成する部材としては、シリコン、アヴァランシェダイオード、ブラックシリコン、InGaAs、セレニウム、有機光電変換膜等の特定の波長の光を電荷に変換する光電変換素子が使用される。
[ブラックシリコン]
本フィルターを用いた固体撮像装置の受光部にはブラックシリコンを用いてもよい。ブラックシリコンは、例えば、シリコンウエハに、特定の雰囲気下でレーザー照射することにより、シリコン表面に微小スパイクを形成することで得ることができる。ブラックシリコンを用いた場合、シリコンフォトダイオードを用いた場合に比べ、近赤外線帯域の受光感度が高くなる等のため、ブラックシリコンは、近赤外線を用いた撮像素子により好適に用いられる。ブラックシリコンを用いたCMOSの市販品としては、SiOnyx社XQEシリーズ等が挙げられる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施形態は、例示であって本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換、追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解されるべきである。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。なお、「部」は、特に断りのない限り「質量部」を意味する。また、各物性値の測定方法及び物性の評価方法は以下のとおりである。
[分子量]
樹脂の分子量は、東ソー(株)製GPC装置(HLC-8220型、カラム:TSKgelα-M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ(株)製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
[樹脂合成例1]
下記式(a)で表される8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(以下「DNM」ともいう。)100部、1-ヘキセン(分子量調節剤)18部及びトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 0007251423000001
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(Cを0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32,000、重量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
[基材A]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、及び塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20重量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下140℃で2時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂製基材からなる基材Aを得た。
[基材B]
容器に、シクロオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)、ZEONEX)100部、及びシクロヘキサンを加えて樹脂濃度が20重量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下150℃で2時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂製基材からなる基材Bを得た。
[基材C]
厚み0.1mmのガラス基材(ショット日本株式会社製、D263T eco)を基材Cとした。
[基材D]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、化合物Aを0.04部、後述する化合物Dを0.08部及び塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20重量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下140℃で2時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂製基材からなる基材Dを得た。
[基材E]
図4に示す長さL5.0mm、幅W5.0mm、高さH5.0mmの三角柱型TECHSPEC(登録商標)合成石英製直角プリズム(エドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製)を基材Eとした。
[射出成形基材]
[基材F]
シクロオレフィン樹脂(日本ゼオン株式会社製ZEONEX T62R)を、射出成形機としてFANUC社のROBOSHOT S-2000i30Bを用いて、シリンダ温度320℃、金型温度160℃、射速 20mm/s、保圧時間6分、サイクルタイム20分で、図4に示す長さL5.0mm、幅W5.0mm、高さH5.0mmとして、シクロオレフィン樹脂製直角プリズムを得た。得られた直角プリズムを基材Fとした。
[基材G]
樹脂合成例1で得られた樹脂Aを、基材Fと同様の射出条件で図4に示す長さL5.0mm、幅W5.0mm、高さH5.0mmとして、シクロオレフィン樹脂製直角プリズムを得た。得られた直角プリズムを基材Gとした。
[基材H]
樹脂合成例1で得られた樹脂Aを、マイクロ波成形装置を用いて、100℃で樹脂Aを予備加熱1時間実施の後、マイクロ波の照射強度3kW、昇温速度5℃/min、目標温度180℃、温度保持時間10分とし、図4に示す長さL5.0mm、幅W5.0mm、高さH5.0mmのシクロオレフィン樹脂製直角プリズムを得た。同様に樹脂Aからなる縦1.0mm、幅1.0mm、奥行き1.0mmの立方体Aを形成した。得られた立方体Aの一つの面に塩化メチレンを塗布した後、上記シクロオレフィン樹脂製直角プリズムに、図8Aに示すように2個圧着させた後、150℃で30分乾燥することで、光路が関与しない位置に凹凸部を有する直角プリズムを基材Hとした。
[基材I]
を41部、Alを5部、NaOを24部、MgFを6部、CaOを6部、BaOを12部、CuOを0.035部秤量して混合した。白金ルツボに入れ、1000℃の温度で加熱溶融した。十分に撹拌・清澄した後、金型内に鋳込み、図4に示す長さL5.0mm、幅W5.0mm、高さH5.0mmのリン酸銅ガラス製の直角プリズムを得た。得られた直角プリズムを基材Iとした。
[基材J]
樹脂合成例1で得られた樹脂A、後述する化合物Aを、射出成型条件を図4に示す長さL5.0mm、幅W5.0mm、高さH5.0mmとして、シクロオレフィン樹脂製直角プリズムを得た。得られた直角プリズムを基材Jとした。
[塗布膜A]
下記樹脂組成物(1)をスピンコートで下記表8に示す基材の面に塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し、溶剤を揮発除去することで硬化層を形成した。この際、該硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。
樹脂組成物(1):イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(商品名:アロニックスM-315、東亜合成化学(株)製)30部、1,9-ノナンジオールジアクリレート20部、メタクリル酸20部、メタクリル酸グリシジル30部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5部、1-ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5部及びサンエイドSI-110主剤(三新化学工業(株)製)1部を混合し、固形分濃度が50質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過した溶液。
次に、容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、後述する化合物A 0.4部及び後述する化合物D 0.8部及び塩化メチレンを加えて樹脂濃度が15質量%の溶液(A)を得た。前記硬化層の上に、スピンコーターにより乾燥後の膜厚が10μmとなるように溶液(A)を塗布し、ホットプレート上80℃で30分間加熱し、溶剤を揮発除去することで、透明樹脂層を形成した。次いで、ガラス板側からUVコンベア式露光機を用いて露光(露光量:500mJ/cm、照度:200mW)し、その後オーブン中210℃で5分間焼成し、塗布膜Aを得た。
[塗布膜B]
塗布膜Aにおける化合物A 0.4部及び化合物D 0.8部の代わりに後述する化合物B 0.8部を用いた他は同様の手順にて、塗布膜Bを得た。
[塗布膜C]
塗布膜Aにおける化合物A 0.4部及び化合物D 0.8部の代わりに化合物A 0.2部、後述する化合物C 0.68部及び化合物D 0.8部を用いた他は同様の手順にて、塗布膜Cを得た。
[塗布膜D]
塗布膜Aにおける化合物A 0.4部及び化合物D 0.8部の代わりに化合物A 0.2部を用いた他は同様の手順にて、塗布膜Dを得た。
[塗布膜E]
樹脂組成物(1)を、スピンコーターを用い、乾燥後の膜厚が各0.002mmとなるように塗布後、イナートオーブン(ヤマト科学(株)製イナートオーブンDN410I)を用い、80℃で3分間乾燥した。塗布した膜の上に、樹脂製近赤外線カットフィルタールミクルUCF(ルミクル100-132)を300g/cm2の応力で圧着後、UVコンベア(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外硬化用装置、型式US2-X0405 60Hz)を用い、メタルハライドランプ照度270mW/cm、露光量500mJ/cmでUV硬化させ、塗布膜Eを得た。
[塗布膜F]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂Aを100部、後述する化合物Bを0.16部及び塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20重量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下140℃で2時間乾燥して、厚さ0.05mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂膜を得た。別途、基材に下記樹脂組成物(2)をスピンコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し、溶剤を揮発除去することで硬化層を形成した。この際、該硬化層の膜厚が2μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。
樹脂組成物(2):トリシクロデカンジメタノールアクリレート 60部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 40部、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5部、メチルエチルケトン(固形分濃度が30質量%となるよう使用)を含む組成物。
塗布した硬化層の上に、上記透明樹脂膜を300g/cm2の荷重で圧着後、UVコンベア(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外硬化用装置、型式US2-X0405 60Hz)を用い、メタルハライドランプ照度270mW/cm、露光量500mJ/cmでUV硬化させ、塗布膜Fを得た。
[塗布膜G]
塗布膜Fにおける化合物B 0.16部の代わりに化合物A 0.04及び化合物C0.14部及び化合物D 0.16部を用いた他は同様の手順にて、塗布膜Gを得た。
[蒸着A]
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、開始圧0.0001Pa、蒸着温度120℃、イオンガンへの供給ガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて、60nm以下の物理膜厚の層は水晶振動子の積算膜厚で制御し、単位面積あたりのイオン電流密度(μA/cm2)を成膜レート(Å/秒)で除した単位成膜レート・面積あたりのイオン電流密度8μA・秒/Å・cmのイオンアシストを行いながらシリカ層(SiO:550nmの光の屈折率が1.47)形成し、単位成膜レート・面積あたりのイオン電流密度10μA・秒/Å・cm以上20μA・秒/Å・cm以下のイオンアシストを行いながら酸化チタン層(TiO:550nmの光の屈折率が2.48)形成し、シリカ層と酸化チタン層とが交互に積層されてなる以下に示す設計(I)の誘電体多層膜を設けた。
Figure 0007251423000002
[蒸着B]
蒸着Aにおける設計(I)を表2に示す設計(II)に変えた他は同様の手順にて誘電体多層膜を設けた。
Figure 0007251423000003
[蒸着C]
蒸着Aにおける設計(I)を表3に示す設計(III)に変えた他は同様の手順にて誘電体多層膜を設けた。
Figure 0007251423000004
[蒸着D]
RFマグネトロンスパッタ装置を用いて、シリコンを蒸着源とし、RFパワー300W、酸素/(アルゴン+水素+酸素)が20%の混合比のガスを20SCCM供給しながら成膜することで得られるシリカ層(SiO:550nmの光の屈折率1.46)と、水素/(アルゴン+水素)が5%の混合比のガスを20SCCM供給しながら成膜することで得られるアモルファスシリコン層(α-Si:H:550nmの光の屈折率4.1)とが交互に積層されてなる表4に示す設計(IV)の誘電体多層膜を設けた。
Figure 0007251423000005
[蒸着E]
蒸着Aにおける設計(I)を表5に示す設計(V)に変えた他は同様の手順にて誘電体多層膜を設けた。
Figure 0007251423000006
[蒸着F]
RFマグネトロンスパッタ装置を用いて、Alを蒸着源とし、RFパワー300Wで成膜することで得られるAlを50nmの蒸着膜として設けた。
[蒸着G]
RFマグネトロンスパッタ装置を用いて、Agを蒸着源とし、RFパワー300Wで成膜することで得られるAgを100nmの蒸着膜として設けた。
[蒸着H]
蒸着Aにおける設計(I)を表6に示す設計(VI)に変えた他は同様の手順にて誘電体多層膜を設けた。
Figure 0007251423000007
[蒸着I]
蒸着Aにおける設計(I)を表7に示す設計(VII)に変えた他は同様の手順にて誘電体多層膜を設けた。
Figure 0007251423000008
[遮光膜A]
紫外線硬化性遮光インク(Marabu社製UltraPackUVK+180)を光学部材外周に幅1mm、厚み10μmスクリーン印刷にて塗布した。UVコンベア(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外硬化用装置、型式US2-X0405、60Hz)を用い、メタルハライドランプ照度100mW/cm2、露光量200mJ/cm2でUV硬化させ、遮光膜Aを得た。
[化合物A]
化合物として以下の化学式(A)で表される化合物Aを用いた。化合物Aは、ジクロロメタン中に溶解させた際の極大吸収波長が698nmである。
Figure 0007251423000009
[化合物B]
化合物として以下の化学式(B)で表される化合物Bを用いた。化合物Bは、樹脂A中の極大吸収波長が1095nmである。
Figure 0007251423000010
[化合物C]
化合物として以下の化学式(C)で表される化合物Cを用いた。化合物Cは、ジクロロメタン中に溶解させた際の極大吸収波長が738nmである。
Figure 0007251423000011
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤として、オリエント化学工業(株)製「BONASORB UA-3911」を化合物Dとして用いた。化合物Dは、ジクロロメタン中に溶解させた際の極大吸収波長が391nmである。
[実施例1]
上記基材Aを作成し、図5Aに示す光学部材31が有する誘電体多層膜36a(以下、実施例1から実施例5、比較例1及び比較例2においてA面という。)を上記蒸着Bにて、誘電体多層膜36b(以下、実施例1から実施例5、比較例1及び比較例2においてB面という。)を上記蒸着Aにて行うことで光学部材を得た。
[実施例2~5]
下記表8の実施例2から実施例5に示す基材、蒸着方法、遮光膜にて光学部材を作成した以外は、実施例1と同様にして、光学部材を得た。
[比較例1~2]
下記表8の比較例1から比較例2に示す基材、蒸着方法、遮光膜にて光学部材を作成した以外は、実施例1と同様にして、光学部材を得た。
[実施例6]
上記基材Eを作成し、図5Bに示す光学部材41aが有する誘電体多層膜46a(以下、実施例6から実施例18及び比較例3においてA面という。)を上記蒸着Cにて、誘電体多層膜46b(以下、実施例6から実施例18及び比較例3においてB面という。)を上記蒸着Aにて、誘電体多層膜46c(以下、実施例6から実施例18及び比較例3においてC面という。)を上記蒸着Aにて蒸着した。さらに、B面及びC面に遮光膜Aを形成することで光学部材を得た。
[実施例7]
上記基材Gを作成し、B面に塗布膜Aを形成し、A面を上記蒸着Cにて、B面を上記蒸着Aにて、C面を上記蒸着Aにて蒸着することで、光学部材を得た。
[実施例8~17、比較例3]
下記表8の実施例8から実施例17及び比較例3に示す基材、光吸収剤、蒸着方法、遮光膜にて光学部材を作成した以外は、実施例6又は実施例7と同様にして、光学部材を得た。なお、実施例11及び実施例12では、図9Iに示すように光学部材を使用することを想定して光学部材を作成した。
[実施例18]
実施例17と同様に光学部材を得た。また別途基材Cの一方の面に蒸着Iを設けカバーガラスを得た。
Figure 0007251423000012
[光学特性の評価]
実施例1から実施例18及び比較例1から比較例3のそれぞれについて作成した光学部材について、図10に示す方法でその光学特性を評価した。図10Aは光学部材の45°入射の無偏光光線の透過率を測定する方法である。図10Bは光学部材の45°入射の無偏光光線の反射率を測定する方法である。図10Cは光学部材の5°入射の無偏光光線の反射率を測定する方法である。図10Dはプリズム状基材からなる光学部材の45°入射の無偏光光線の反射率を測定する方法である。実施例11及び実施例12では、図9Iに示すカメラモジュールのように光学部材が使用されることを想定し、図10Dにおける反射率を分光透過効率とした。図10Eは実施例6から実施例10、実施例13から実施例17、及び比較例3における光学部材の分光透過効率を測定する方法である。図10Fは分光透過効率測定における参照とする光量100%を測定する方法である。図10Gは実施例18におけるカバーガラスを介した分光透過効率を測定する方法である。
[透過率]
光学部材の各波長域における透過率は、日本分光株式会社製の分光光度計(V-7200)と自動絶対反射率測定ユニット(V-7030)を用いて測定した。ここで、光学部材の面方向に対して垂直方向から45°の角度で入射した光の透過率は、図10Aのように、光学部材11の面方向に対して垂直方向から45°の角度で光L(P偏光光線及びS偏光光線)を入射し、垂直方向に透過した光を鏡202で反射後、積分球201で集光することで測定した。なお、波長A-Bnmの平均透過率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における透過率を測定し、その透過率の合計を、測定した透過率の数(波長範囲、B-A+1)で除した値により算出した。無偏光光線の透過率は、S偏光透過率とP偏光透過率の平均より算出した値を用いた。なお、波長A-Bnmの最大透過率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における透過率を測定し、その透過率の最大値を用いた。
[反射率]
光学部材の各波長域における反射率は、日本分光株式会社製の分光光度計(V-7200)と自動絶対反射率測定ユニット(V-7030)を用いて測定した。ここで、光学部材の面の垂直方向に対して45°の角度で入射する無偏光光線の反射率は、図10Bのように光学部材11の特定の面の垂直方向に対して45°の角度で入射する光Lについて、光学部材11が反射した光を鏡202を介して積分球201で集光することで測定した。同様に、光学部材の面の垂直方向に対して5°の角度で入射する無偏光光線の反射率は、図10Cのように光学部材の特定の面の垂直方向に対して5°の角度で入射する無偏光光線が反射した光を鏡202を介して、積分球201で集光することで測定した。
同様に光学部材が平板ではない場合における光学部材の面の垂直方向に対して45°の角度で入射する無偏光光線の反射率は、図10Dのように特定の面の垂直方向に対して45°の角度で入射する光線Lについて、光学部材1が反射した光を鏡202を介して積分球201で集光することで測定した。
波長A-Bnmの平均反射率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における反射率を測定し、その反射率の合計を、測定した反射率の数(反射率、B-A+1)で除した値により算出した。なお、波長A-Bnmの最大反射率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における反射率を測定し、その反射率の最大値を用いた。
[分光透過効率]
実施例6から実施例10、実施例13から実施例17及び比較例3では、光学部材による分光透過効率T(λ)は、図10Fにおける光量を100%とした時、図10Eの位置のように、光Lについて、基材通過後に反射面で反射した光を、鏡202を介して積分球201で集光することで測定した。実施例11及び12では、図9Iに示すカメラモジュールのように光学部材を使用することを想定し、図10Dに示す光学部材1の配置で得られる反射率を分光透過効率T(λ)とした。実施例18では、図9Cや図9Lに示すカメラモジュールのようにカバーガラスを介して光学部材を使用することを想定し、図10Gに示す光学部材1及びカバーガラス203の配置で得られる反射率を分光透過効率T(λ)とした。遮光膜を有する光学部材は、遮光膜の内側部分の遮光膜を設けていない部分を評価した。
なお、波長A-Bnmの平均透過効率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における分光透過効率を測定し、その分光透過効率の合計を、測定した分光透過効率の数(反射率、B-A+1)で除した値により算出した。また、波長A-Bnmの最大透過効率は、Anm以上Bnm以下の、1nm刻みの各波長における分光透過効率を測定し、その分光透過効率の最大値を用いた。
[ノイズ量評価]
[N/S感度評価]
光学部材を具備した光学センサにおけるノイズ量評価の指標として、近赤外線によるノイズNと可視光線によるシグナルSの比率、N/S感度評価を行った。N/S感度評価は光学部材の分光透過効率T(λ)、センサ画素において、青画素の波長別感度B(λ)、緑画素の波長別感度G(λ)、赤画素の波長別感度R(λ)から以下の式より算出した。
なお、シグナル強度Sは青、緑、赤画素の波長380nmから780nmの領域を1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、センサ画素感度の積の計算値の総和とした。ノイズ強度Nは青、緑、赤画素の波長781nmから1050nmの領域を1nm毎の光学フィルターの波長別透過率、センサ画素感度の積の計算値の総和とした。N/S感度評価は、これらNとSの計算値を用いて、ノイズ強度Nをシグナル強度Sで除した値を指標した。青、緑、赤の各センサ画素の波長別感度は、特開2017-216678号公報の記載に基づき、図11に示す値を用いた。
Figure 0007251423000013
[光学特性の評価結果]
実施例1から実施例18、比較例1から比較例3のそれぞれ表8に示す通り作成した光学部材について、上述した光学特性の評価を行った。評価結果を表9の通り示す。
Figure 0007251423000014
上記表9の結果から、実施例の光学部材は、特定の波長の光を反射することが可能であり、N/S感度が低いため、本発明に係る光学部材として好適である。また、比較例1から比較例3の光学部材は、700nm以上1150nm以下の波長領域の光の反射を抑制していないため、N/S感度が高く、本発明に係る光学部材としては不適である。
本発明に係る光学部材は、カメラモジュールを構成する光学部材として、特に有用である。また、本発明に係るカメラモジュールは、特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、スマートフォン用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、環境光センサ、距離測定センサ、虹彩認証システム、顔認証システム、距離測定カメラ、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。
L 光
L1 反射光
L2 透過光
1、11、21、31、41a~e、51、61、71 光学部材
2、12、22、32、42 反射面
3、43 入光面
4、44 出光面
5 プリズム
23 反射層
24、35、45、53、63、73 基材
36a、36b、46a、46b、46c 誘電体多層膜
52、62a、62b 遮光膜
72a、72b 凸部
101a~l カメラモジュール
102 レンズ
103a、103b 光学フィルター
104a、104b 光学センサ
105 吸収体
106 レンズ代替平面光学素子
107、203 カバーガラス
108 光学系収納ユニット
201 積分球
202 鏡

Claims (7)

  1. 反射面を備え、
    上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の平均反射率が、400nm以上640nm以下の波長領域で80%以上、700nm以上1150nm以下の波長領域で8%以下であり、
    基材と、上記反射面を構成する反射層とを備え、
    上記基材が、680nm以上1200nm以下の波長領域に吸収極大を有する化合物を含有し、
    頂角が70°以上120°以下である三角形断面を有するプリズムを備え、
    上記反射面が、上記プリズムの上記頂角に対向する斜面に構成され、
    上記プリズムが、上記反射面に向かって入射する光が透過する入光面と、上記反射面において反射された光が透過する出光面とを備え、
    上記プリズムが、上記入光面を入射後、上記反射面に対して垂直から45°の角度で反射して上記出光面を透過する無偏光光線において、平均透過効率が400nm以上640nm以下の波長領域で72%以上、透過率が600nmの波長で66%以上、かつ最大透過効率が700nm以上1150nm以下の波長領域で12%以下である光学部材。
  2. 上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の最大反射率が、700nm以上1150nm以下の波長領域で20%以下である請求項1に記載の光学部材。
  3. 上記反射面に対して垂直から45°で入射した無偏光光線の反射率が、650nmの波長で65%以上である請求項1又は請求項2に記載の光学部材。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学部材を備えるカメラモジュール。
  5. 光学センサをさらに備える請求項に記載のカメラモジュール。
  6. レンズをさらに備え、
    上記レンズと上記光学センサとの間に光学フィルターを備えない請求項に記載のカメラモジュール。
  7. 潜望鏡形状の光学系収納ユニットをさらに備える請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
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