以下、除霜制御システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
先ず、車両の出発前の除霜に関連する、車両、操作端末、及びサーバにおける制御系の全体構成について説明する。図1に示すように、例えば電気自動車である車両100に搭載された制御モジュール110と、操作端末200と、車両100の情報を集約して記憶するサーバ300とは、外部通信回線網400を介して、互いに情報通信ができるようになっている。サーバ300は、除霜制御システム10Aを構成する。
車両100の制御モジュール110は、外部通信回線網400を介してサーバ300と情報通信する通信部120と、通信部120による情報通信や後述する各ECU160との信号の送受信を制御したり種々の演算を実行したりする制御部130と、車両100の現在位置座標を検出するGPS140と、を備えている。制御部130は、通信部120を介して車両100の現在位置座標を含めた各種情報をサーバ300に出力する送信部である。また、制御部130は、除霜装置の運転を開始させるための運転要求信号を通信部120を介してサーバ300から受信する受信部でもある。なお、この実施形態では、制御モジュール110には、図示しない電池が内蔵されている。したがって、制御モジュール110は、外部からの電源供給が絶たれても、自身宛の情報を受信可能になっている。
制御部130には、車両100のスタートスイッチ191によって切り替えられる車両100の状態を示す信号が入力される。スタートスイッチ191は、車両100の状態を、オフ状態、ACC状態、オン状態の3つの状態に切り替える。オフ状態は、後述する各ECU160に電力が供給されていない状態である。車両100がオフ状態において、スタートスイッチ191が押されると、車両100はACC状態に切り替わる。ACC状態では、図示しない低圧バッテリが後述する各ECU160に電力を供給している一方で、図示しない高圧バッテリは電力を供給していない。したがって、ACC状態は、車両100に搭載されている各種の電動補機は駆動可能であるものの、駆動モータには電力は供給されず車両100は走行できない状態である。車両100がオフ状態またはACC状態であるときに、ブレーキペダルが踏まれながらスタートスイッチ191が押されると、車両100はオン状態に切り替わる。オン状態は、低圧バッテリ及び高圧バッテリの両方が電力を供給している状態である。すなわち、オン状態では、車両100が走行可能な状態となっている。車両100がオン状態であるときに、スタートスイッチ191が押されると、車両100はオフ状態に切り替わる。なお、車両100において、これらのオン状態、ACC状態、オフ状態とは別に、一部のECU160のみが低圧バッテリから電力を供給される状態とすることができる。
制御部130は、車両100の状態がオン状態に切り替わったときに、車両100のシステムが起動された旨を示す信号を、通信部120から外部通信回線網400に出力させる。また、制御部130は、車両100がオン状態であるときに、GPS140が検出する車両100の現在位置座標を、一定時間ごとに、通信部120から外部通信回線網400に出力させる。なお、本実施形態においては、1分間ごとに、通信部120は車両100の現在位置座標を外部通信回線網400に出力する。また、制御部130は、車両100の出発前に、事前に車両100の窓ガラスの霜を除去する事前除霜の処理の一部を実行する。事前除霜の処理については後述する。なお、車両100のフロントガラスとリアガラスとを総称して説明するときは窓ガラスと記載し、これらを個々に説明するときには、フロントガラス及びリアガラスとして記載する。
制御モジュール110は、CAN通信システムのCAN通信ライン150に接続されている。また、CAN通信ライン150には、車両100を制御する複数のECU160が接続されている。そのため、制御モジュール110は、このCAN通信ライン150を経由して、各ECU160との間で、各種の信号を送受信できるようになっている。
車両100は、複数のECU160のうちの1つとして、車両100の空調装置170の動作を制御する空調ECU160aを備えている。ここで、空調装置170は、エアコンプレッサや熱交換器を備えている。空調装置170は、車室の温度を調整する冷暖房機能に加え、フロントガラスの霜を除去するためのデフロスタ機能を有する。空調装置170は、デフロスタ機能がオンにされた状態で駆動された場合、車両100のフロントガラスの内面に最大風速で温風を吹き付ける。空調ECU160aは、冷暖房機能のオンオフや、デフロスタ機能のオンオフを切り替える。空調装置170及び空調ECU160aは、フロントガラスの霜を除去するフロント用除霜装置R1を構成する。なお、上記のとおり、空調ECU160aは制御モジュール110と接続されていることから、空調ECU160aを含むフロント用除霜装置R1は、制御モジュール110を経由して外部通信回線網400によりサーバ300及び操作端末200と接続されている。
車両100は、複数のECU160のうちの1つとして、車両100のリアガラスの霜を除去するデフォッガー装置180の動作を制御するデフォッガーECU160bを備えている。ここで、デフォッガー装置180は、リアガラスにプリントされた電熱線を含んだ電気回路として構成されている。デフォッガーECU160bは、電熱線への電力供給をオンオフする。デフォッガー装置180及びデフォッガーECU160bは、リアガラスの霜を除去するリア用除霜装置R2を構成する。なお、上記のとおり、デフォッガーECU160bは制御モジュール110と接続されていることから、デフォッガーECU160bを含むリア用除霜装置R2は、制御モジュール110を経由して外部通信回線網400によりサーバ300及び操作端末200と接続されている。以下の説明では、フロント用除霜装置R1とリア用除霜装置R2とを総称して説明するときは除霜装置と記載し、これらを個々に説明するときには、フロント用除霜装置R1及びリア用除霜装置R2として記載する。
操作端末200は、この実施形態では、車両100のユーザが所有するスマートフォンなどの携帯電話である。操作端末200は、外部通信回線網400を介してサーバ300と情報通信するための通信部210と、通信部120による情報通信を制御したり種々の演算を実行したりする制御部220を備えている。また、制御部220は、事前除霜の処理の一部を実行する。
また、操作端末200は、制御部220からの出力を表示させる表示部230を備えている。表示部230は、制御部220から出力された画像情報に基づいて、メッセージや操作アイコンを表示する。
操作端末200は、制御部220に情報を入力するための操作部240を備えている。操作部240が操作されると、制御部220に操作信号が入力される。なお、本実施形態では、表示部230がタッチパネルになっており、表示部230が操作部240を兼ねている。
操作端末200は、アプリケーションプログラムや各種のデータを記憶する記憶部250を備えている。操作部240やサーバ300から、制御部220にアプリケーションプログラムを起動させる信号が入力されると、記憶部250に記憶しているアプリケーションプログラムが実行される。
操作端末200は、操作端末200の現在位置座標を検出するGPS260を備えている。GPS260が検出した操作端末200の現在位置座標は、制御部220に入力される。
操作端末200は、操作端末200の加速度を測定する加速度センサ270を備えている。加速度センサ270が検出した操作端末200の加速度は、制御部220に入力される。
サーバ300は、外部通信回線網400を介して制御モジュール110及び操作端末200と情報通信するための通信部310と、通信部310による情報通信を制御したり、種々の演算を実行したりする制御部360を備えている。制御部360は、事前除霜の処理の一部を実行する。なお、制御部360における事前除霜に関する構成については後述する。通信部310は、外部通信回線網400を介して、気象サービスセンター500から配信される気象情報を受信する。
サーバ300は、車両情報を管理する車両情報記憶部320と、ユーザ情報を管理するユーザ記憶部330とを備えている。車両情報記憶部320とユーザ記憶部330とは、車両情報及びユーザ情報を記憶するデータベース340を共有している。すなわち、このデータベース340には、車両100の情報及び車両100のユーザの情報とともに、これら車両100の情報と、ユーザの情報とを関連させる関連情報が記憶されている。すなわち、データベース340によって、車両100の情報と車両100のユーザの情報とが紐付けられている。
車両情報記憶部320には、車両100の制御モジュール110からの車両情報が入力され、その情報はデータベース340に記憶される。例えば、データベース340には、車両100がオン状態となった旨を示す信号が車両情報記憶部320に入力されたときに、その信号が入力された時刻が車両起動時刻として記憶される。この車両起動時刻は、車両ごとに、過去数カ月分に亘って記憶されている。また、データベース340には、車両100の現在位置座標が入力されたときに、当該現在位置座標が記憶される。また、ユーザ記憶部330には、操作端末200からのユーザ情報が入力され、その情報はデータベース340に記憶される。
サーバ300は、気象サービスセンター500から配信される気象情報を記憶する気象情報記憶部350を備えている。気象サービスセンター500から配信される気象情報は、外気温及び湿度等の気象パラメータの予報値を含んでいる。気象情報記憶部350は、車両情報記憶部320、ユーザ記憶部330、データベース340とともにデータ記憶部を構成している。
次に、サーバ300の制御部360における事前除霜に関する構成について説明する。
制御部360は、車両100の出発予定時刻を取得する出発予定時刻取得部361を備えている。本実施形態では、出発予定時刻取得部361は、出発予定時刻を算出する。具体的には、出発予定時刻取得部361は、先ず、車両情報記憶部320がデータベース340に記憶した車両100の状態がオン状態となった車両起動時刻を、過去に車両100が出発した時刻と判定する。次に、出発予定時刻取得部361は、過去に車両100が出発した頻度と時刻について24時間における統計をとる。この統計から、車両100が出発した頻度が予め定められた閾値よりも高い時刻に、車両100はオン状態となると推定する。そして、出発予定時刻取得部361は、現在時刻より後の時刻であって、かつ車両100が出発した頻度が上記閾値よりも高い時刻のうち最も早い時刻、つまり現在時刻よりも後の時刻において車両100が最初にオン状態になると推定される時刻を、次回の車両100の走行が開始される車両100の出発予定時刻として算出する。なお、出発予定時刻取得部361が行う出発予定時刻の算出に関する処理としては、例えば、特開2013-233013号公報に開示されているような技術が挙げられる。
制御部360は、車両100の窓ガラスへの着霜に係る情報である着霜情報を取得する情報取得部362を備えている。着霜情報は、車両100の現在位置における、出発予定時刻の外気温及び湿度の予報値である。
制御部360は、出発予定時刻における窓ガラスの着霜度合いを着霜情報及び出発予定時刻に基づいて算出する着霜度合い算出部364を備えている。着霜度合いとは、出発予定時刻において着霜が生じている窓ガラスの着霜量である。着霜度合い算出部364は、着霜量に応じた複数段階の着霜レベルを算出することにより、着霜度合いを算出する。着霜レベルは、着霜がない状態を最低レベルとし、着霜量が多くなるほどレベルが高くなる。着霜度合い算出部364は、車両100のフロントガラスとリアガラスとのそれぞれに関して着霜レベルを算出する。
制御部360は、着霜度合い算出部364により算出された着霜レベルの霜が車両100の窓ガラスに着霜していると仮定した場合に、その霜を窓ガラスから除去するのに必要となる除霜装置の運転時間を算出する運転時間算出部366を備えている。運転時間算出部366は、車両100のフロントガラスの着霜レベルに応じて、フロント用除霜装置R1に関する上記の運転時間を算出する。また、運転時間算出部366は、車両100のリアガラスの着霜レベルに応じて、リア用除霜装置R2に関する上記の運転時間を算出する。
制御部360は、事前除霜をする際の除霜装置の運転開始時刻を決定する開始時刻決定部368を備えている。開始時刻決定部368は、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻と、運転時間算出部366により算出された除霜装置の運転時間から、運転開始時刻を決定する。開始時刻決定部368は、フロント用除霜装置R1とリア用除霜装置R2のそれぞれに関して、運転開始時刻を決定する。
制御部360は、除霜装置に対して運転を要求するための運転要求信号であって除霜装置の運転を運転開始時刻に開始させるための運転要求信号を出力する除霜制御部370を備えている。除霜制御部370は、フロント用除霜装置R1とリア用除霜装置R2のそれぞれに関して、運転要求信号を出力する。すなわち、除霜制御部370は、車両100の制御モジュール110に対して、デフロスト機能をオンにした状態で空調装置170を運転させる要求信号であるデフロスト運転要求信号を出力する。また、除霜制御部370は、車両100の制御モジュール110に対して、デフォッガー装置180を運転させる要求信号であるデフォッガー運転要求信号を出力する。なお、デフロスト運転要求信号を車両100の制御モジュール110の制御部130が受信すると、制御モジュール110の制御部130から空調ECU160aにデフロスト運転要求信号が入力される。そして、空調ECU160aは、デフロスト機能をオンにした状態で空調装置170を駆動させる。また、デフォッガー運転要求信号を車両100の制御モジュール110の制御部130が受信すると、制御モジュール110の制御部130からデフォッガーECU160bにデフォッガー運転要求信号が入力される。そして、デフォッガーECU160bは、デフォッガー装置180を駆動させる。
制御部360は、着霜度合い算出部364により算出された着霜レベル、及び開始時刻決定部368により決定された運転開始時刻を含んだ要除霜情報を操作端末200に出力する除霜確認部372を備えている。また、制御部360は、上記要除霜情報に応じて操作端末200から出力される情報に基づいて、除霜制御部370が運転要求信号を出力するか否かを判定する運転判定部374を備えている。
出発予定時刻取得部361、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、除霜制御部370、除霜確認部372、及び運転判定部374による各処理は、制御部360に記憶されたプログラムを、コンピュータとしての制御部130が実行することにより実現される。
次に、事前除霜の処理を、図2に従って説明する。
車両100の状態をオフ状態に切り替えるためにスタートスイッチ191が押されたときに、制御モジュール110の制御部130は、事前除霜の制御を開始する。
ステップS10において、制御モジュール110の制御部130は、サーバ300に対して、出発予定時刻算出要求を示す信号を出力する。その後、車両100の各ECU160に送られる電力は遮断される。すなわち、車両100はオフ状態となる。なお、外部から制御モジュール110への電力供給も絶たれるが、制御モジュール110は、サーバ300からの情報を受信できるスタンバイ状態に切り替わる。
出発予定時刻算出要求がサーバ300に入力されると、サーバ300の制御部360は、ステップS12の処理を実行する。ステップS12において、制御部360の出発予定時刻取得部361は、車両情報及びユーザ情報に基づいて、車両100の出発予定時刻を算出する。この後、サーバ300の制御部360は、処理をステップS14に進める。
ステップS14において、サーバ300の制御部360は、現在時刻が、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻の所定時間前であるか否かを判定する。この所定時間は、窓ガラスへの着霜レベルが、複数の着霜レベルのうちの最高レベルである場合に、その霜を窓ガラスから除霜するのに必要となる除霜装置の運転時間よりも長い時間として定められている。この実施形態では、所定時間は1時間である。制御部360は、現在時刻が出発予定時刻の所定時間前に至っていないと判定した場合(ステップS14:NO)、再度ステップS14の処理を実行する。すなわち、制御部360は、現在時刻が、出発予定時刻の所定時間前に至るまでステップS14の処理を繰り返す。そして、制御部360は、現在時刻が出発予定時刻の所定時間前に至ったと判定した場合(ステップS14:YES)、ステップS16に処理を進める。
ステップS16において、サーバ300の制御部360の情報取得部362は、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻における着霜情報を取得する。すなわち、情報取得部362は、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻、及びデータベース340に記憶されている車両100の現在位置を読み込む。なお、ここでの車両100の現在位置は、出発予定時刻算出要求を示す信号を出力した車両100から送信された現在位置のうちの最新の現在位置である。そして、情報取得部362は、車両100の現在位置における外気温及び湿度の予報値であって出発予定時刻の予報値を、気象情報記憶部350から取得する。この後、サーバ300の制御部360は処理をステップS18に進める。
ステップS18において、サーバ300の制御部360の着霜度合い算出部364は、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻における、車両100のフロントガラスへの着霜度合いを算出する。ここで、着霜度合い算出部364は、外気温及び湿度と、フロントガラスへの着霜レベルとの関係性を表した第1着霜マップを記憶している。第1着霜マップは、車両に取り付けられているフロントガラスの傾きや面積等に合わせて、シミュレーションや試験等により予め作成されている。第1着霜マップは、車種毎に作成されている。着霜度合い算出部364は、車両100の車種に対応する第1着霜マップを参照し、ステップS16で算出した、出発予定時刻における外気温及び湿度の予報値に対応する着霜レベルを算出する。
また、ステップS18において、着霜度合い算出部364は、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻における、車両100のリアガラスへの着霜度合いを算出する。ここで、着霜度合い算出部364は、外気温及び湿度と、リアガラスへの着霜レベルとの関係性を表した第2着霜マップを記憶している。第2着霜マップは、車両に取り付けられているリアガラスの傾きや面積等に合わせて、シミュレーションや試験等により予め作成されている。第2着霜マップは、車種毎に作成されている。着霜度合い算出部364は、車両100の車種に対応する第2着霜マップを参照し、ステップS16で算出した、出発予定時刻における外気温及び湿度の予報値に対応する着霜レベルを算出する。サーバ300の制御部360は、着霜度合い算出部364がフロントガラス及びリアガラスへの着霜レベルを算出すると、ステップS20に処理を進める。
ステップS20において、サーバ300の制御部360の運転時間算出部366は、フロント用除霜装置R1に関する運転時刻を算出する。具体的には、運転時間算出部366は、フロントガラスの除霜に必要となる、空調装置170の運転時間である第1運転時間を算出する。ここで、運転時間算出部366は、仮にフロントガラスに着霜が生じたときに、その霜を除霜するのに必要となる空調装置170の運転時間であってデフロスタ機能をオンにした状態での空調装置170の運転時間を、着霜レベル毎に規定した第1運転時間マップを記憶している。第1運転時間マップは、車両に搭載された空調装置の型式やデフロスタ機能の除霜能等に合わせて、シミュレーションや試験等により予め作成されている。第1運転時間マップは、車種毎に作成されている。着霜度合い算出部364は、車両100の車種に対応する第1運転時間マップを参照して、着霜度合い算出部364により算出された着霜レベルの霜をフロントガラスから除去するのに必要となる第1運転時間を算出する。
また、ステップS20において、運転時間算出部366は、リア用除霜装置R2に関する運転時刻を算出する。具体的には、運転時間算出部366は、リアガラスにおける除霜に必要となる、デフォッガー装置180の運転時間である第2運転時間を算出する。ここで、運転時間算出部366は、仮にリアガラスに着霜が生じたときに、その霜を除霜するのに必要となるデフォッガー装置180の運転時間を、着霜レベル毎に規定した第2運転時間マップを記憶している。第2運転時間マップは、車両に搭載されたデフォッガー装置の発熱能等に合わせて、シミュレーションや試験等により予め作成されている。第2運転時間マップは、車種毎に作成されている。着霜度合い算出部364は、車両100の車種に対応する第2運転時間マップを参照して、着霜度合い算出部364により算出された着霜レベルの霜をリアガラスから除去するのに必要となる第2運転時間を算出する。サーバ300の制御部360は、運転時間算出部366が第1運転時間及び第2運転時間を算出すると、処理をステップS22に進める。なお、この実施形態では、フロントガラス及びリアガラスのそれぞれの傾き等の事情により、リアガラスへの着霜レベルがフロントガラスへの着霜レベルよりも小さく、尚且つ、デフォッガー装置180の電熱による除霜能が、空調装置170の温風による除霜能よりも高いことから、第2運転時間は第1運転時間より短くなっている。
ステップS22において、サーバ300の制御部360の開始時刻決定部368は、事前除霜に係る除霜装置の運転開始時刻を決定する。開始時刻決定部368は、フロント用除霜装置R1に関する運転開始時刻を決定する。具体的には、開始時刻決定部368は、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻よりも第1運転時間だけ前の時刻を、空調装置170用の運転開始時刻である第1運転開始時刻として決定する。また、開始時刻決定部368は、リア用除霜装置R2に関する運転開始時刻を決定する。具体的には、開始時刻決定部368は、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻よりも第2運転時間だけ前の時刻を、デフォッガー装置180用の運転開始時刻である第2運転開始時刻として決定する。上記のとおり、第2運転時間が第1運転時間よりも短くなっている結果として、第2運転開始時刻よりも第1運転開始時刻のほうが現在時刻に近い時刻になっている。この後、サーバ300の制御部360は、処理をステップS24に進める。
ステップS24において、サーバ300の制御部360の除霜確認部372は、着霜度合い算出部364により算出されたフロントガラス及びリアガラスへの着霜レベル、開始時刻決定部368により決定された第1運転開始時刻及び第2運転開始時刻、出発予定時刻取得部361により算出された出発予定時刻を、要除霜情報として操作端末に出力する。
サーバ300から要除霜情報が操作端末200に入力されると、操作端末200の制御部220は、ステップS26の処理を実行する。ステップS26の処理において、操作端末200の制御部220は、表示部230に、要除霜情報、及び出発予定時刻までに事前除霜をするか否かを車両100のユーザに問うメッセージを表示させる。この後、操作端末200の制御部220は、処理をステップS28に進める。
ステップS28において、操作端末200の制御部220は、ユーザによる操作指令をサーバ300に送信する。具体的には、操作部240に、事前除霜をする旨の操作があった場合には、操作端末200の制御部220は、事前除霜をする旨の信号を送信する。また、事前除霜をしない旨の操作があった場合には、操作端末200の制御部220は、事前除霜をしない旨の信号を送信する。さらに、操作部240に対する操作が予め定められた時間内(例えば、10分間)にされない場合には、操作端末200の制御部220は、操作部240に対する操作がない旨の信号を送信する。
操作端末200からの信号がサーバ300に入力されると、サーバ300の制御部360は、処理をステップS30に進める。ステップS30において、サーバ300の制御部360では、運転判定部374が、事前除霜をするか否かを判定する。具体的には、運転判定部374は、サーバ300に対して、事前除霜をする旨の信号が入力されたと判定された場合には、事前除霜をすると判定する。一方で、運転判定部374は、サーバ300に対して、事前除霜をしない旨の信号または操作部240に対する操作がない旨の信号が入力されたと判定された場合には、事前除霜をしないと判定する。ステップS30において、事前除霜をしないと判定された場合(S30:NO)、サーバ300の制御部360は、事前除霜の制御を終了する。一方で、ステップS30において、事前除霜をすると判定された場合(S30:YES)、サーバ300の制御部360は、処理をステップS32に進める。
ステップS32において、サーバ300の制御部360の除霜制御部370は、現在時刻が、第1運転開始時刻に至ったか否かを判定する。除霜制御部370は、現在時刻が第1運転開始時刻に至っていないと判定した場合(ステップS32:NO)、再度ステップS32の処理を実行する。すなわち、除霜制御部370は、現在時刻が第1運転開始時刻に至るまでステップS32の処理を繰り返す。そして、除霜制御部370は、現在時刻が第1運転開始時刻に至ったと判定した場合(ステップS32:YES)、ステップS34に処理を進める。そして、ステップS34において、除霜制御部370は、車両100の制御モジュール110に対して、デフロスト運転要求信号を出力する。
デフロスト運転要求信号が車両100の制御モジュール110に入力されると、制御モジュール110の制御部130は、ステップS36の処理を実行する。ステップS36において、制御モジュール110の制御部130は、制御部130及び空調ECU160aに図示しないバッテリから電力が供給されるように制御する。これにより、制御部130がスタンバイ状態から起動するとともに、空調ECU160aも起動する。その後、制御モジュール110の制御部130は、処理をステップS38に進める。
ステップS38において、制御モジュール110の制御部130は、空調ECU160aによって、デフロスタ機能をオンにした状態で空調装置170を駆動させる。すなわち、空調装置170が温風をフロントガラスの内面に吹き付ける。
一方、サーバ300の制御部360の除霜制御部370は、デフロスト運転要求信号を出力した後、ステップS40に処理を進める。ステップS40において、除霜制御部370は、現在時刻が、第2運転開始時刻に至ったか否かを判定する。除霜制御部370は、現在時刻が第2運転開始時刻に至っていないと判定した場合(ステップS40:NO)、再度ステップS40の処理を実行する。すなわち、除霜制御部370は、現在時刻が第2運転開始時刻に至るまでステップS40の処理を繰り返す。そして、除霜制御部370は、現在時刻が第2運転開始時刻に至ったと判定した場合(ステップS40:YES)、ステップS42に処理を進める。そして、ステップS42において、除霜制御部370は、車両100の制御モジュール110に対して、デフォッガー運転要求信号を出力する。
デフォッガー運転要求信号が車両100の制御モジュール110に入力されると、制御モジュール110の制御部130は、ステップS44の処理を実行する。ステップS44において、制御モジュール110の制御部130は、デフォッガーECU160bに図示しないバッテリから電力が供給されるように制御する。これにより、デフォッガーECU160bが起動する。その後、制御モジュール110の制御部130は、処理をステップS46に進める。
ステップS46において、制御モジュール110の制御部130は、デフォッガーECU160bによって、デフォッガー装置180を駆動させて、リアガラスの電熱線に電力を供給する。以上の処理により、事前除霜の一連の終了が終了する。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)上記の構成においては、事前除霜を行うのに際し、ステップS18の処理で、出発予定時刻における外気温及び湿度の予報値に基づいて出発予定時刻における窓ガラスの着霜レベルを算出する。そして、ステップS20の処理で、ステップS18で算出された着霜レベルの霜を除霜するのに必要な、除霜装置の運転時間として、第1運転時間及び第2運転時間を算出する。そして、ステップS34及びステップS42の処理で、これら第1時間及び第2運転時間を出発予定時刻から逆算した運転開始時刻に、空調装置170及びデフォッガー装置180の運転を開始させる。このように、上記構成では、窓ガラスの着霜レベルを算出した上で、その着霜レベルに見合った運転時間で除霜装置を稼働させる。したがって、除霜装置を無駄に稼働することがなく、電力消費を抑える上で好適である。
(2)仮に、情報取得部や着霜度合い算出部が、車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられていて、制御モジュール110で着霜情報の取得や着霜レベルの算出を行うものとする。こうした構成の場合、着霜情報の取得や着霜レベルの算出をする処理の間、制御モジュール110は制御部130を起動しておかねばならず、その分、電力が消費されることは避けられない。
これに対して、上記の構成では、事前除霜を行う上で必要となる各種情報の算出を行う処理部が、全てサーバ300の制御部360に設けられている。具体的には、出発予定時刻取得部361、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、除霜制御部370、除霜確認部372、及び運転判定部374は、全てサーバ300の制御部360に設けられている。そのため、車両100の出発予定時刻の算出から始まって、デフロスタ運転要求信号及びデフォッガー運転要求信号を出力するに至るまでの全ての処理がサーバ300で実行される。したがって、サーバ300からの運転要求信号を受けて除霜装置の運転が開始されるまでは、車両100で実行が必要とされる処理はなく、車両100の各種制御部等を起動しておくことは要求されない。したがって、車両100での電力消費を抑えることができる。
(3)出発予定時刻取得部361によって算出される出発予定時刻に車両100を出発させない場合や、着霜レベルが比較的に低くて事前除霜が必要でない場合もある。こうした場合にまで事前除霜を行ってしまうと、無駄に電力を消費してしまう。
この点、上記の構成では、ステップS24~ステップS30の処理で、要除霜情報を操作端末200に出力してその情報を操作端末200の表示部230に表示し、事前除霜を行うか否かをユーザが選択できるようにしている。そのため、除霜装置を稼働させる必要がない場合にまで無駄に除霜装置を稼働させてしまうことがない。また、上記構成では、要除霜情報に除霜レベルが含まれている。そのため、除霜レベルに応じてユーザ自身が事前除霜の必要性を判断できる。
(4)上記の構成では、外気温及び湿度という、着霜に密接に係る気象パラメータに関して、これらが出発予定時刻に取り得る値を着霜情報としている。そして、この着霜情報に基づいて着霜レベルを算出している。そのため、出発予定時刻における車両100の窓ガラスの着霜レベルの算出を適切に行うことができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・事前除霜の処理の一部として、出発予定時刻になった時点で空調装置170及びデフォッガー装置180の運転を停止する処理を加えてもよい。このような構成にしておけば、仮にユーザが出発予定時刻に車両100に乗り込まない場合でも自動的に除霜装置の運転が停止されることから、無駄な電力を消費することはない。
・ステップS14での待機時間を決定する所定時間は、上記実施形態の例に限定されない。所定時間は、窓ガラスの着霜レベルが、複数の着霜レベルのうちの最高レベルである場合に、その霜を窓ガラスから除霜するのに必要となる除霜装置の運転時間よりも長い時間であればよい。このような所定時間が設定されていれば、事前除霜のために実際に除霜装置を運転させる際の運転時間に関して、算出された着霜レベルの霜を出発予定時刻までに除去するのに足る運転時間を確保できる。
・事前除霜の処理手順に関して、ステップS14の処理である待機処理を、ステップS12とステップS16の処理の間ではなく、ステップS16~ステップS24の間のどこかで実行してもよい。例えば、ステップS22とステップS24の処理の間でステップS14の処理を行うようにしてもよい。要は、第1運転開始時刻及び第2運転開始時刻よりも前までにステップS24の処理によって操作端末200に要除霜情報を送ることができればよい。
・ステップS14の処理を廃止してもよい。
・ステップS22の処理で第1運転開始時刻を算出した後、第1運転開始時刻の規定時間前(例えば15分前)になったタイミングでステップS24の処理を実行するように、事前除霜の処理の内容を変更してもよい。すなわち、第1運転開始時刻の規定時間前に、操作端末200に対して要除霜情報を出力する。こうした処理内容に事前除霜の処理を変更する場合、ステップS22の処理の後、現在時刻が、第1運転開始時刻よりも規定時間だけ前の時刻に至るまで待機する待機時間を確保し、その後で、ステップS24の処理を実行する。上記の規定時間を相応な長さに設定すれば、除霜装置の運転開始時刻に対して程よいタイミングで、操作端末200に事前除霜の実行の可否を問うメッセージを表示させることができる。
・ステップS24及びステップS26の処理に関して、要除霜情報から、リアガラスの着霜レベル及び第2運転開始時刻の情報を省いてもよい。着霜レベルが高くなりやすいフロントガラスへの着霜に係る情報が要着霜情報に含まれていれば、ユーザが事前除霜の必要性を判断する上での相応の材料にはなる。
・事前除霜の処理においては、フロントガラスまたはリアガラスのいずれか一方のみを選択して除霜を実行するように、上記実施形態の態様を変更してもよい。この場合、ステップS26の処理において、フロントガラス及びリアガラスの双方の霜を除霜するのか、いずれか一方のみの霜を除霜するのかを問うメッセージを表示部230に表示し、それに対する選択結果の信号をステップS28の処理で操作端末から出力すればよい。そして、ステップS30の処理では、操作端末200からの信号に応じて、どの窓ガラスの霜を除霜するのかを判定すればよい。
・車両がおかれる気象環境や、車両の停車の状況によっては、リアガラスの着霜レベルがフロントガラスの着霜レベルよりも低いとは限らず、前者が後者よりも高い場合もあり得る。こうした事情を反映して、第2運転時間が第1運転時間よりも長くなることもあり得る。この場合、第2運転開始時刻のほうが第1運転開始時刻よりも現在時刻に近くなる。こうした場合を考慮して、事前除霜の処理の手順を上記実施形態の態様から変更してもよい。すなわち、事前除霜の処理においては、第1運転開始時刻と第2運転開始時刻のうち、早いほうの運転開始時刻から順番に、運転要求をすべき除霜装置に対して運転要求信号を出力するように、上記実施形態の態様から処理手順を変更してよい。要は、空調装置170とデフォッガー装置180のそれぞれの運転開始時刻に現在時刻が至った時点で、それぞれの除霜装置が運転を開始するようになっていればよい。
・ステップS32の処理を、ステップS34の処理の後において車両100の制御モジュール110で行ってもよい。すなわち、ステップS30で事前除霜をすると判定された場合に、サーバ300の除霜制御部370は、第1運転開始時刻まで待機することなく、ステップS34の処理を実行して車両100の制御モジュール110にデフロスト要求信号を出力する。デフロスト要求信号を受信した制御モジュール110の制御部130は、そのデフロスト要求信号を保持した状態で、スタンバイ状態のまま第1運転開始時刻まで待機する。すなわち、制御モジュール110の制御部130は、ステップS32に相当する処理を行う。そして、制御モジュール110の制御部130は、現在時刻が第1運転開始時刻に至ったところでステップS36の処理を実行し、当該制御部130をスタンバイ状態から起動するとともに空調ECU160aを起動する。その後、ステップS38で、空調装置170が駆動される。こうした態様でも、第1運転開始時刻に空調装置170を駆動できる。
・上記変更例と同様にして、ステップS40の処理を、ステップS42の処理の後において車両100の制御モジュール110で行ってもよい。すなわち、車両100の制御モジュール110の制御部130は、デフォッガー運転要求信号を受信すると、当該デフォッガー運転要求信号を保持した状態で、スタンバイ状態のまま第2運転開始時刻まで待機する。そして、現在時刻が第2運転開始時刻に至ったところで、ステップS44の処理によってデフォッガーECU160bを駆動し、ステップS46でデフォッガー装置180が駆動される。
・着霜情報は、上記実施形態の例に限定されない。着霜情報として、例えば、着霜度合い算出部364が着霜度合いを算出するタイミングでの、窓ガラスの画像を採用してもよい。この場合、窓ガラスを監視するカメラを車両に装着しておく。そして、着霜度合い算出部364が着霜度合いを算出する前後の期間に亘ってカメラを起動する。そして、カメラが取得する画像を、制御モジュール110の制御部130がサーバ300に送信し、当該画像をデータベース340に記憶するようにする。着霜度合い算出部364が着霜度合いを算出する前後の期間にのみカメラを起動するようにすれば、無駄に電力を消費することはない。なお、窓ガラスを監視するカメラとしては、いわゆるドライブレコーダのカメラが挙げられる。
着霜情報として窓ガラスの画像を採用する場合、着霜度合い算出部364は、例えばつぎのようにして着霜度合いを算出してもよい。着霜度合い算出部364は、各着霜レベルに対応する窓ガラスの典型画像を過去のデータから抽出して予め記憶しておく。そして、着霜度合い算出部364は、着霜度合いを算出するタイミングでの画像と、予め用意しておいた画像とを比較して、最も近いと判定される画像の着霜レベルを選択する。着霜度合い算出部364は、この着霜レベルを、出発予定時刻において窓ガラスに生じると見込まれる着霜レベルとして扱う。ここで、上記実施形態では、出発予定時刻の一時間前に着霜度合いを算出する。つまり、出発予定時刻と、着霜度合いを算出するタイミングとでは、着霜レベルがさほど大きくは変わらないと推測される。したがって、上記のように、着霜度合いを算出するタイミングでの着霜レベルを出発予定時刻での着霜レベルとして扱うことが可能である。そして、このようにして算出された、窓ガラスの実際の着霜レベルに基づいて運転時間を算出することで、除霜装置に関する適切な運転時間を算出できる。
この変更例のように、着霜度合い算出部364は、必ずしも出発予定時刻の着霜度合いを算出しなくてもよく、出発予定時刻と着霜度合いが同程度であると見込まれる時刻の着霜度合いを算出してもよい。また、上記のように着霜情報として窓ガラスの画像を採用する場合、カメラが画像を取得するタイミングと、出発予定時刻との時間差が、窓ガラスにおける着霜レベルがさほどかわらないと見込まれる時間差であることを考慮している。つまり、カメラが画像を取得するタイミングは、出発予定時刻に基づいた時刻になっている。このように、着霜度合い算出部364は、窓ガラスの画像という着霜情報と、出発予定時刻とに基づいて着霜度合いを算出している。
・着霜情報として、着霜度合い算出部364が着霜度合いを算出するタイミングでの、車両100の現在位置から所定範囲に位置する他の車両における除霜装置の稼働状況の情報を採用してもよい。この場合、各車両における除霜装置の稼働状況を、常時、各車両からサーバ300に送信してデータベース340に記憶するようにしておく。上記の所定範囲は、外気温や湿度等、着霜に関連する気象パラメータが略一定とみなせる範囲であればよい。
着霜情報として他の車両の除霜装置の稼働状況の情報を採用する場合、着霜度合い算出部364は、例えばつぎのようにして着霜度合いを算出してもよい。着霜度合い算出部364は、車両100の現在位置から所定範囲に位置する他の車両のうち、除霜装置を稼働している車両の割合と、除霜レベルとの関係性を表したマップを予め記憶しておく。そして、着霜度合い算出部364は、着霜度合いを算出するタイミングにおいて、車両100の現在位置から所定範囲に位置する他の車両のうちの何割が除霜装置を稼働しているかを算出し、この割合に応じた除霜レベルを上記のマップから算出する。そして、着霜度合い算出部364は、上記カメラの画像を着霜情報として利用する場合と同様にして、この着霜レベルを、出発予定時刻において窓ガラスに生じると見込まれる着霜レベルとして扱う。このような、周囲の車両の着霜の状況を反映させた着霜度合いに基づいて除霜装置の運転時間を算出することで、適切な運転時間を算出できる。
・着霜情報は、外気温及び湿度の予報値、窓ガラスの画像、及び他の車両における除霜装置の稼働情報以外でもよい。着霜情報は、当該着霜情報及び出発予定時刻に基づいて、出発予定時刻における着霜度合いや、出発予定時刻と着霜度合いが同程度であると見込まれる時刻の着霜度合いといった、出発予定時刻において着霜が生じている窓ガラスの着霜量を算出できるものであればよい。例えば、車両100に外気温センサを設置し、着霜度合いを算出するタイミングでの、外気温センサの検出値を着霜情報としてもよい。外気温と着霜レベルとの関係性を表したマップを予め作成しておけば、外気温センサの検出値から着霜度合いを算出することができる。
・着霜情報として、種別の異なる情報を組み合わせてもよい。例えば、外気温及び湿度の予報値、窓ガラスの画像、及び他の車両における除霜装置の稼働情報のうちのいくつかまたは全てを採用し、それらの情報を組み合わせて出発予定時刻における着霜度合いを算出するようにしてもよい。
・除霜確認部372及び運転判定部374は必須ではない。つまり、これら除霜確認部372及び運転判定部374を廃止するとともに、ステップS24~S30までの処理を廃止してもよい。ステップS24~ステップS30の処理が廃止された場合、窓ガラスに着霜が生じていれば、必ず事前除霜が実行される。出発予定時刻に車両100を出発させることが予めわかっており、ユーザがいちいち操作端末200で事前除霜の実行の可否を選択する手間を省きたければ、除霜確認部372と運転判定部374を廃止することも有効である。なお、除霜確認部372と運転判定部374とを廃止する場合、ユーザが事前除霜の実行の可否を選択していないことから、ユーザは事前除霜が実行されることに気づかない場合もある。こうした事情を考慮して、除霜確認部372と運転判定部374とを廃止する場合には、出発予定時刻になった時点で除霜装置の運転を停止するように、事前除霜の処理内容を変更しておけばよい。
・ステップS24~ステップS30の処理を通じてユーザに事前除霜の実行の可否を選択させることに代えて、車両100の状態をオフ状態に切り替える前のタイミング等で、次にユーザが車両100を使用する際の事前除霜に関する選択をできるようにしてもよい。例えば、車両100の状態をオフ状態に切り替える前のタイミングで、操作端末200の表示部230または車両100における車載ディスプレイに、事前除霜を実行するか否かをユーザに問うメッセージを表示する。そして、このメッセージに対するユーザによる操作指令に応じて、ステップS10の処理を実行するか否かを選択する。すなわち、ユーザからの操作指令が、事前除霜を実行する旨の操作であれば出発予定時刻算出要求の送信し、事前除霜を実行しない旨の操作であれば、出発予定時刻算出要求を送信しない。出発予定時刻算出要求をしない場合には、その時点で、事前除霜の制御を終了する。
・出発予定時刻取得部361による車両100の出発予定時刻の算出方法は、上記実施形態の例に限られない。例えば、車両100のGPS140が検出する現在位置座標のデータをもとに、車両100が移動しているか否かを判定して、車両100が移動し始めるときを車両100が出発した時刻とみなして統計をとり、車両100の出発予定時刻を算出してもよい。
・また、出発予定時刻取得部361による車両100の出発予定時刻の算出方法は、操作端末200からの情報を利用したものでもよい。例えば、先ず、操作端末200の加速度センサ270が測定した加速度が、操作端末200の制御部220に入力されて、制御部220が、予め定められた閾値よりも大きい加速度と判定する。この閾値は、例えば、歯磨き、着替え、料理、体操など、ユーザが出かける前に行うであろう動作がされたときに得られる加速度に設定できる。次に、制御部220は、サーバ300に対して、加速度が大きくなった時刻を示す信号を出力する。さらに、サーバ300のデータベース340に、ユーザの加速度が大きくなった頻度と時刻が記憶される。そして、出発予定時刻取得部361は、加速度が大きくなった時刻の一定時間後を、車両100の出発予定時刻として算出する。ユーザが出かける前に行うであろう動作をしてから車両100に乗って、車両100が出発するまでの時間はおおむね一定であると想定できるため、上記のような出発予定時刻の算出が可能である。
・さらに、車両100のGPS140が検出する車両100の現在位置座標のデータと、操作端末200のGPS260が検出する操作端末200の現在位置座標のデータとを基に、車両100の出発予定時刻を算出してもよい。この場合、操作端末200のGPS260は、車両100のGPS140と同じように、一定時間ごとに、操作端末200の現在位置座標のデータを出力する。また、サーバ300のデータベース340には、車両100の現在位置座標のデータと操作端末200の現在位置座標のデータとが記憶される。さらに、サーバ300の出発予定時刻取得部361は、車両100の現在位置座標と操作端末200の現在位置座標が異なっていた状態から同一となった時刻を検出し、その頻度と時刻の統計をとる。このような統計から、出発予定時刻取得部361は、車両100の現在位置座標と操作端末200の現在位置座標が異なっていた状態から同一となった時刻を車両100の出発予定時刻として算出してもよい。
・他にも、例えば操作端末200の記憶部250に、ユーザが入力したスケジュール情報が入力されており、スケジュール情報の中に、ユーザが出発予定時刻をあらかじめ入力している場合、出発予定時刻取得部361は、このような出発予定時刻を取得してもよい。
・出発予定時刻取得部361、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、及び除霜制御部370は、サーバ300の制御部360、車両100の制御モジュール110の制御部130、操作端末200の制御部220のうちのどこに設けられていてもよい。サーバ300のデータベース340及び気象情報記憶部350に記憶されている情報を、制御モジュール110の制御部130や操作端末200の制御部220からの要求に応じて出力できるようにしておくとともに、3つの制御部間で、他の制御部で算出した情報を授受できるようにしておけば、事前除霜の処理を進めていく上で何ら問題はない。また、車両100の制御モジュール110に、当該制御モジュール110が搭載されている車両100がオン状態になった時刻や、当該制御モジュール110が搭載されている車両100の現在位置座標等の車両情報、及び気象サービスセンター500から配信される気象情報を記憶しておいてもよい。また、ユーザの操作端末200の記憶部250に、ユーザの車両100に関する車両情報、及び気象サービスセンター500から配信される気象情報を記憶しておいてもよい。記憶する情報が、自身の車両100の情報や気象情報だけであれば、記憶する上で容量が過度に多くなったりすることもない。
出発予定時刻取得部361、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、及び除霜制御部370を設ける対象を変更する場合の例として、図3に示すように、これらが全て車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられていてもよい。この場合、車両100の制御モジュール110が除霜制御システム10Bを構成する。また、この場合、上記のそれぞれの機能部が行う処理のプログラムは、車両100の制御モジュール110の制御部130に記憶される。
・図4に示すように、出発予定時刻取得部361、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、及び除霜制御部370が全て操作端末200の制御部220に設けられていてもよい。この場合、操作端末200が除霜制御システム10Cを構成する。また、この場合、上記のそれぞれの機能部が行う処理のプログラムは、操作端末200の制御部220や記憶部250に記憶される。
・上記の機能部の一部が車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられ、残りの機能部が全てサーバ300の制御部360に設けられていてもよい。例えば、図5に示すように、出発予定時刻取得部361が車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられ、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、及び除霜制御部370がサーバ300の制御部360に設けられていてもよい。この場合、車両100の制御モジュール110及びサーバ300が除霜制御システム10Dを構成する。また、この場合、車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられる出発予定時刻取得部361が行う処理のプログラムは、制御モジュール110の制御部130に記憶される。また、サーバ300の制御部360に設けられる情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、及び除霜制御部370が行う処理のプログラムは、サーバ300の制御部360に記憶される。
・上記の機能部の一部が車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられ、残りの機能部が全て操作端末200の制御部220に設けられていてもよい。例えば、図6に示すように、出発予定時刻取得部361が車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられ、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、及び除霜制御部370が操作端末200の制御部220に設けられていてもよい。この場合、車両100の制御モジュール110及び操作端末200が除霜制御システム10Eを構成する。また、この場合、車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられる出発予定時刻取得部361が行う処理のプログラムは、制御モジュール110の制御部130に記憶される。また、操作端末200の制御部220に設けられる情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368、及び除霜制御部370が行う処理のプログラムは、操作端末200の制御部220や記憶部250に記憶される。
・上記の機能部の一部がサーバ300の制御部360に設けられ、残りの機能部が全て操作端末200の制御部220に設けられていてもよい。例えば、図7に示すように、情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、及び開始時刻決定部368がサーバ300の制御部360に設けられ、出発予定時刻取得部361及び除霜制御部370が操作端末200の制御部220に設けられていてもよい。この場合、サーバ300及び操作端末200が除霜制御システム10Fを構成する。また、この場合、サーバ300の制御部360に設けられる情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、開始時刻決定部368が行う処理のプログラムは、サーバ300の制御部360に記憶される。また、操作端末200の制御部220に設けられる出発予定時刻取得部361及び除霜制御部370が行う処理のプログラムは、操作端末200の制御部220や記憶部250に記憶される。
・上記の機能部の一部が車両100の制御モジュール110の制御部130に設けられ、残りの機能部の一部がサーバ300の制御部360に設けられ、残りが全て操作端末200の制御部220に設けられていてもよい。例えば、図8に示すように、車両100の制御モジュール110の制御部130に出発予定時刻取得部361が設けられ、サーバ300の制御部360に情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、及び開始時刻決定部368が設けられ、操作端末200の制御部220に除霜制御部370が設けられていてもよい。この場合、車両100の制御モジュール110、サーバ300、及び操作端末200が除霜制御システム10Gを構成する。また、この場合、制御モジュール110の制御部130に設けられる出発予定時刻取得部361が行う処理のプログラムは、制御モジュール110の制御部130に記憶される。サーバ300の制御部360に設けられる情報取得部362、着霜度合い算出部364、運転時間算出部366、及び開始時刻決定部368が行う処理のプログラムは、サーバ300の制御部360に記憶される。また、操作端末200の制御部220に設けられる除霜制御部370が行う処理のプログラムは、操作端末200の制御部220や記憶部250に記憶される。